■Walk Through Fire

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■Hope Is Misery/Walk Through Fire

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 スウェーデンにとんでもないバンドが存在していた!!今作はスウェーデンのスラッジ・ドゥームのバンドであるWalk Through Fireの2014年リリースの3rdアルバムだが、それがダウンテンポを極めに極めた暗黒スラッジだった。激重・激遅・激暗の全てを兼ね備えた極限過ぎるサウンドは確実に人を選ぶとは思うけど、暗黒の世界観を持ちながら、時にハードコアな要素も感じさせ、スラッジな音の中から悲哀の旋律を確かに感じさせ、ズブズブと奈落の最奥へと引きずり込まれるサウンド。圧倒的な完成度を誇るし、この手の音楽の最高峰とも言える大傑作だ。



 第1曲「Sustained in Grief」から暗黒スラッジのインストで驚かされるだろう。殆ど推進力を失ったベースの重低音の反復が延々と続き、途中から入り込むギターとドラムもフューネラル成分を放出しまくり、ただ終わりなく地獄の暗黒スラッジリフのみが続く。約7分半に渡る地獄からの第2曲「Hope Is Misery」は一転して今作が単なるスラッジ作品じゃ無いことを証明する14分にも及ぶ大作。クリーントーンの暗黒旋律のギターの反復からディストーションが炸裂する瞬間のカタルシスに飲み込まれ、どこかハードコアライクでありながらも、狂気しか無い叫びのボーカルが木霊し、極限までBPMを落としたダウンテンポを極めた音のみが続く。しかしこのバンドの凄い所は極限までスラッジの激遅サウンドを追求するだけで無く、その無慈悲なサウンドの中にも確かな悲哀を感じるメロディがあるという所だと思う。フューネラル成分を感じさせるコード感であったり、クリーンの静謐なパートでのシンプルでありながらも、荒涼としたギターフレーズであったり、ベースの重低音を嫌でも感じるしかない重さであったりとか、そういった部分を見事に配列しているし、暴力性と芸術性のバランスが本当に絶妙なのだ。基本的に速いパートは全く無いんだけど、ここぞというパートでは少しだけBPMを速くして、メロディアスさとポストメタル的緻密さもアプローチして来るのは凄い。しかもスラッジ側からのポストメタルアプローチだから、全体的に音がとにかく重くて硬いから、強靭過ぎる。一瞬延々と展開無く反復するスタイルの音だと思わせておいて、しっかりと楽曲に起承転結が存在しているし、単にスラッジさを追求するのでは無く、スラッジさを極限まで極めた上での、芸術性も極限まで極めているから強い。
 アコースティックなギターとベースの重低音の反復を生かしたドローンな小品である第3曲「Grow Stronger in Isolation」を挟んで、第4曲「Harden in Despair」と第5曲「Waking Horror」ではまた一転。最も狂ってた頃のNeurosisを彷彿とさせるハードコアを感じるスラッジサウンドの連続だ。音の隙間も無くなり、ひたすら激歪の音が織り成す黄泉の情景。常に血反吐を撒き散らす叫びが繰り出され、リフの一つ一つとビートの一つ一つの重苦しさは凄いけど、同時に解放される感覚もあったりするし、一見凄い人を選ぶ音ではありながら、こうした分かりやすいアプローチもしっかりとカマしているし、ボーカルがハードコアライクなのもまた大きいと思う。
アコギのダークフォークインストである第6曲「Next to Nothing」を挟み、20分以上にも及ぶ第7曲「Another Dream Turned Nightmare」は本当に真骨頂。断続的に繰り出すクリーンのギターストロークから始まり、そしてそっからひたすら暴力的なスラッジサウンドと、キチガイとしか言えない叫びが続く。スラッジもドゥームもドローンもアンビエント成分も、なんか色々と飲み込みまくったギターの断罪的リフと極限まで重さしかないビートのみで生み出す、本当に黒さしか無い音の連続。ハウリングの持続音すらとにかく重いし、先ほどの楽曲と一転して、感情が入り込む余地はまるで無いし、人間の感情すら焼き尽くしてしまうかの様なサウンド。それはクリーントーンになっても変わらないし、歪んでいないのに重さしか無いという、言ってしまったら根本的な部分でのメロディがひたすら重いし、不協和音しか繰り出してないのに、微かな美しさを生み出すコード感だったり、アンビエント要素のあるパートで焦らしに焦らしまくってからの後半のスラッジ地獄は、更にタメを利かせたビートを叩き出し、でもドラマティックなご褒美パートなんて無く、終わりなく鉄槌を振り下ろすだけだ。そして最終曲「Laid in Earth」はフューネラルなピアノの調べから始まり、破壊の限りを尽くして焼き尽くした世界への葬送曲でありレクイエムだ。11分にも渡り、ピアノのみで描かれる美しき終末の先にある完全なる死と無の世界は、身震いする美しさであり、このバンドが闇からとんでもない芸術的終末を描いていた事を知る。



 実に80分近くに渡って繰り広げられるスラッジからの総合芸術は確実に体力を削りまくるし、聴手を押し潰しまくってくるけど、この手の拷問スラッジでは間違いなく最高峰に位置するだけの作品であるし、フューネラル成分をぜつみょうに活かし、冥界の音をその手で奏でている。ダウンテンポの美学と暗黒の美学を極端に追求し過ぎてしまったやり過ぎ作品ではあるけど、その重さと美しさの織り成す黄泉の音は確実に心を蝕むであろう。



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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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