■OSRUM

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■OSRUM/OSRUM


OSRUMOSRUM
(2014/12/17)
OSRUM

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 正に再生の歌がそこにあった。2012年のAS MEIAS解散、2013年のZの解散を経てスーパーギタリスト魚頭圭が、ex.NAHTの羽田氏とBALLOONSの藤本氏と新たに結成したOSRUMの2014年リリースの1stアルバムが今作だが、この重鎮三人が集まったらこんな音になるって納得するしかない音でありながら、同時に魚頭氏がとうとうこの境地にまでたどり着いてしまったのかと驚く作品にもなっている。魚頭氏はこれまで数多くのバンドで活動して来たけど、これまでのキャリアの中で一番のグッドメロディ、そしてシンプルさと深みを持つ音になっているのだ。



 魚頭氏はゼアイズやZでもボーカルを取った事はあったけど、OSRUMではギターボーカルとして全てのボーカルを担当している。そして時にエモーショナルな叫びに近い歌を聞かせたりもしながらもほぼ全てクリーントーンのボーカルになっている。3ピースって編成もあるけど、サウンドはこれまで以上にシンプルに削ぎ落とし、魚頭氏もこれまでプレイして来た変態的フレーズはほぼ封印し、本当にシンプルなコードストロークのサウンドを基調にしたギターを聞かせてくれる。メンバーそれぞれが90年代のハードコアやエモやグランジなんかをルーツに持っているのもあるだろうけど、その空気感を現代のエモリヴァイバルな空気を融合させ、そこに渋みを加えたのがOSRUMというバンドだ。楽曲はほぼミドルテンポ、分かりやすい激情爆音サウンドはほぼ無し、あるのは長年シーンの最前線で戦った3人だからこそ生み出せた誰にも壊すことの出来ないアンサンブルの美しさ、波紋を作りながら浸透する優しいメロディと歌、たったそれだけだ。いやそれだけで十分だとすら言える。
 第1曲「2013」を聴いて僕は涙が止まらなくなってしまった。2013年は正にZが解散した年であり、今作で魚頭氏が日本語詞で歌っているのはZ解散からOSRUMを結成し再びステージに立つまでの再生の物語なのだから。勿論この3人の描くアンサンブルも凄い。魚頭氏はZやAS MEIASでも聞かせていたエフェクトワークこそあれど、フレーズは本当にシンプルなフレーズで攻める。そして機材の鬼でもある魚頭氏だ。ギターの鳴りが本気で泣いている。藤本氏のドラムは決して自己主張をしている訳では無いけど、ミドルテンポの重みをドラムで体現、羽田氏はズ太いベースラインを前に押し出しながらも、常に前に出るのでは無く、押しと引きを生かしたラインだ。魚頭氏がリードフレーズを弾けばエモとブルースが融合した音階を奏でているし、曲展開こそ決して多くないし、シンプルにフレーズを繰り返しながら、徐々に熱を帯びさせるサウンドスタイル。こんな音はこの猛者達じゃなきゃ生み出せないし、歌詞の内容も含めて本気で泣いてしまう名曲だ。
 一方で第2曲「満月か低気圧」ではそれぞれの音が主張しながらも、絡み合っていくアンサンブルが本当に気持ちが良いし、引きのフレーズで高める音はディストーションと共に静かに炸裂していく。個人的にはこのサウンドスタイルはオリジナルグランジにエモを持ち込んだ音になっていると思うし、曲の中で激の要素はかなり強い筈なのに、そこで感じるのは熾烈さでは無くて、変速性をアクセントにして寄せては返す波の様であり、同時に心臓の鼓動の様でもあるのだから。インストである第3曲「調和」は今作の中では一番各楽器のコアな要素を絡め合わせたポストロック色の強い楽曲。個人的には再結成してからのEarthの様な雄大なアメリカーナ感すら感じるし、魚頭氏の空間系エフェクターの使い方が絶妙過ぎるし、藤本氏のスネアの音色が深い所に叩き落としてくる。ディストーションサウンドになってからはより涅槃感が高まり、ループするフレーズと共に聴き手をトランスさせてくる。
 そして終盤の第4曲「新しいこと」と最終曲「全然終わってない」は今作でも特に熱い2曲だ。勿論ただ単に直情的なサウンドを奏でる訳が無い、キレまくったギターのカッティングと吐き捨てる様なボーカル。これ再結成してからのアリチェンが持っている物と同じじゃん!!ってなった。ソロフレーズなんか滅茶苦茶ブルージーで枯れているのに熱いし、ここぞって所でリズム隊の音が主張を強めて炸裂してくる「新しいこと」、「調和」同様に静謐なアンサンブルの反復から熱が爆発し、羽田氏のベースラインがメロディアスでありながらボトムを作りまくった末に、最後の最後は必殺のフレーズが炸裂!!しかしそこにあるのは負の感情では無くて、それでも前に進もうとする気迫だ。魚頭氏は今作でも時にはZやAS MEIAS時代にも聞かせていた攻撃的なフレーズをここぞとばかりに使ってくるけど、それは誰かを傷つける為の音じゃ無い、誰かを奮い立たせる為の音だ!!


 
 しかしAS MEIASとZという変態バンドを経て魚頭氏が到達した音は、魚頭氏らしさ全開であり、同時に羽田氏と藤本氏という強烈な個性とぶつかり合った末に調和を生み出しながらも、これ以上に無い位に素直な歌だったのは本当に驚いたけど、でもメンバー3人のこれまでの偉大なキャリアと実力があったからこそ到達出来た音だと思うし、シーンの重鎮の新たな攻めのサウンドでありながら、最早万人受けしても全然良いんじゃないかってレベルの歌心の説得力と深さ。最高に渋いんだけど最高に熱い作品だし、熟練の力と続けて来たからこその説得力が半端じゃない。2014年の最後の最後に産み落とされた再生の歌は本当に涙無しじゃ聴けないと僕は思う。



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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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