■Yumi

■Epicureans/Yumi

a0646600697_10.jpg



 昨年末に来日を果たし最高に熱いライブを繰り広げたシンガポール激情系ハードコアYumiの2014年リリースの1stアルバム。この日本ではheaven in her armsとのスプリットでその名を知った人も多いのではないだろうか?今まさに勢いを増している東南アジアハードコアではあるけど、今作はそんな東南アジアハードコアの正に決定打となる名盤だと思う。日本のバンドにも大きく影響を受けているらしく、日本人好みするセンスを持っているけど、それを東南アジアから鳴らし、日本のバンドとはまた違う衝動と激情を鳴らしている。



 HIHAのスプリットではポストブラックメタル×激情系なサウンドを聴かせていたけど、今作は正に王道を往く激情系ハードコアとなっている。それも現在進行形の激情とは違い、それこそ「君の靴と未来」の頃のEnvyだったりとかに代表される00年代初頭の激情系だったりとか、激情黎明期である90年代US激情だったりとか、エモヴァイオレンスだったりとか、そういった多くのバンド達の影響を受けている音だと思う。そのサウンドは斬新かと言えば違うんだけど、Yumiの音はこういった音を出すバンドっていそうでいなかったって感じだし、懐古主義のサウンドでは無くて、過去を現在へと繋げる音だから説得力がある。のっけから絶叫とエモヴァイオレンス感溢れるギターフレーズにガッツポーズな第1曲「Mountains」が必殺過ぎる。クリーントーンのパートではポストロック的な音に走らないで、ハードコアの荒い感触と美旋律をちゃんと両立させているし、こういった部分はここ最近のジャーマン激情のバンドとかに通じるんじゃねえかって思うけど、Yumiの場合はそのセンスの良さをもっと荒々しく初期衝動に溢れたサウンドで放ってくるから格好良い!!あざといメロディセンスは全編通して冴えまくっているし、それを90年代US激情らしいリフと自然と同居しているから凄い。
 HIHAとのスプリットの楽曲の様にバンドの美意識と構築美を重視した第2曲「Keeley Davis」では一転してクリーントーンのサウンド主体の壮大な轟音系サウンドではあるけど、そんな楽曲でも衝動的な荒さがあるから信頼出来る。一方で第3曲「弓」はベタベタに泣きまくったギターフレーズと疾走するビートがガツンと来るキラーチューン。まるで初めてEnvyだったりとかIctusを聴いた時の様な新鮮な感動がありつつ、でも真新しい事は特別していなかったり、これはもうバンドの持つサウンドの純度の高さが為せる技だとしか思えない。第4曲「HH」もソリッドなリフと共に暴走する叫びとビートがのっけから絶頂しまくっているし、しかしメロディセンスは抜群。この猛る疾走感とエモティブなメロディセンスの見事な融合は個人的にフランスのThe Third Memoryにも通じる物があるとすら思った。
 そして作品の後半はいよいよ壮大にエンディングへ。激と美が織り成すドラマである第5曲「Swarm of Wasps」の王道の壮大な激情系サウンド、今作屈指のヴァイオレンスなサウンドで咲き乱れる第6曲「Dissipate」、そして最終曲「Sound of Feeling」のアクセル全開にしまくり混沌としたサウンドで攻めながらも、The Caution Children級の美旋律を見せつけ、引きのクリーンパートからの大団円な激情のラスト。最初から最後まで完璧すぎる流れだ。



 激と美が同居し、これぞ激情系と言わんばかりの王道サウンドで攻めまくり、荒々しさをしっかり感じさせながらも洗練された音。王道サウンドでありながら、バンドとしての武器の多さ、東南アジア激情もいよいよここまで来たかと思ったし、シンガポールの激情系の歴史を受け継ぎながらも、その先を行く音を生み出している。というか東南アジアだとかシンガポール云々なんて関係無いし、こんなに初期衝動に溢れながらも美しく熱いサウンドを現行で鳴らすバンドっていないとすら思う。激情系好きは絶対にマストな一枚だろう。



スポンサーサイト

プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

タグ別記事表示

日本 ライブレポ 激情系ハードコア アメリカ スラッジ ポストメタル ポストハードコア ポストロック カオティックハードコア ドゥーム エモ オルタナティブロック イギリス サイケ フランス アンビエント ストーナー ネオクラスト ドローン ドイツ シューゲイザー ハードコア ロック グラインドコア プログレ ギターロック ポストブラックメタル インタビュー マスロック ポストパンク デスメタル スウェーデン カナダ モダンへビィネス スラッシュメタル ブラックメタル ギターポップ エクスペリメンタル エレクトロニカ ジャンクロック イタリア インダストリアル ベルギー フューネラルドゥーム グランジ ノルウェー 年間BEST ジェント オーストラリア スペイン アコースティック ポップス プログレッシブメタル ラーメン ブラッケンドハードコア フォーク ミニマル モダンヘビィネス ニューウェイブ パワーヴァイオレンス ロシア ゴシックメタル ハードロック ファストコア ノイズ ニュースクールハードコア フィンランド メタルコア ゴシックドゥーム トリップホップ ヒップホップ 自殺系ブラックメタル オランダ 駄盤珍盤紹介 アブストラクト ノーウェイブ クラウトロック ダブ ヘビィロック パンク ゴシック ダブステップ ノイズコア シンガポール ラトビア ミクスチャー チェコ インディーロック メロディックパンク テクノ ポーランド ドラムンベース ウィッチハウス オルタナティブ アイルランド デンマーク スイス ヘビィネス メキシコ ポジパン ジャズ ヴィジュアル系 アシッドフォーク メタル ブルデス 声優 ボイスCD ドリームポップ トラッドフォーク クラストコア スクリーモ カントリー プリミティブブラック 韓国 ハンガリー アイスランド イラン シンフォニックブラック ギリシャ スコットランド USハードコア ポルトガル ガレージ ソフトロック フリージャズ モダンクラシカル 台湾 トルコ ファンク 

カテゴリー

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

カウンター