■kallaqri
■カイホウ/kallaqri

青森を拠点に活動するツインベース激情系ハードコア5人衆kallaqriの恐らく多くの人が待ちに待ってただろう単独音源。2曲入りシングルではあるが、このバンドがいかに異質で狂ったバンドかが分かる作品になっているし、05年結成と活動歴自体は結構長いのに、まだ多くの人に知られていないというどうにかしなきゃいけない状況というのが今作のリリースで大きく変る筈だ。アートワークはちくわしなちくちくわの着火林氏が担当!
音楽性は90年代のUS激情辺りの影響を色濃く感じさせる物になっており、荒々しく刻まれたリフと多展開サウンドはそれらの影響下にあると思うし、一見すると正統派なサウンドのバンドだと思うかもしれない。しかしこのバンドは兎に角使っているコードが兎に角気持ち悪さしかない。第1曲「最も容易で効率的な手段」が2分未満で多展開のプログレッシブな変態性と暴発サウンドでkillie辺りのあの音が好きな人には間違いなくストライクだと思ったりするけど、曲の序盤で突如として入り込むクリーントーンのアルペジオの不協和音、兎に角心が不安になる。感情に訴えるエモーショナルなパートを盛り込みながら正統派なエモヴァイオレンス感じを大事にしているのに、リフから汲み取れるメロディが不安を煽りまくっている。
第1曲は名刺代わりにお見舞いされるストレートでエモティブな楽曲なのに既に色々得体が知れ無さ過ぎるんだけど、第2曲「箱庭」がとんでもない名曲だ。約7分版という第1曲とは対照的に長尺の楽曲になっているが、序盤のアルペジオの調べから壮大さやメランコリックさ皆無!!独自のメロディセンスを活かして輪郭の掴めない異様さをアピールしている。そして激の暴発のパートに入ると圧倒的情報量で目まぐるしく異常な世界が展開される。カオティックなギターフレーズが楽曲を引っ張り、ツインベースのリフが重たく突き刺す、変態性全開なプログレッシブなパートも、極悪なビートダウンも盛り込み、でも泣きのパートではしっかりと泣きのメロディを聴かせて来たり、かと思えばまたエモヴァイオレンスな残酷な音が襲い掛かり、そして後半からは序盤で聴かせたあの不気味なアルペジオを基調に進行し、ノイジーなサウンドが吹き荒れる中で、感動的で叙情的なラストなんて全く見せず、蠢くエネルギーの暗黒さだけが充満する。
アグレッシブな多展開サウンドも、変則的な楽曲構成も、実際は全然目新しい訳じゃないし、寧ろこのバンドの基盤になっているのは90年代後半から00年代前半の時代の激情系やエモヴァイオレンスだったりすると思うんだけど、それをより混沌の中で分解し、そこに奇怪過ぎるメロディを加えた事によってよりおぞましい音に仕上げたと言えるし、2曲入ながらもインパクトはかなりある作品だ。是非とも早くフルアルバムを聴きたいし、そのフルアルバムは間違いなくシーンに一石を投じる作品になるだろう。Orchid、Kaospilot、killie、Off Minor辺りが好きな人は絶対にマストだろう。また音源の方はバンド側の通販だったりSTMや礎や各種ディストロで入手可能となっているので是非チェックを!!