■Twolow
■Glutamic Acid/Twolow
As Meias、Kulara、Hellish Life、Detrytusに3LAとメンバーのこれまでのキャリアを挙げたらキリが無いスーパーバンドTwolowの1stフルアルバム。
2014年秋の自主企画での初ライブからの精力的な活動で名を広め、またバンド名からも分かる通り全員がラーメン二郎フリークスという事実も色々話題になったりもしたが、悪ふざけは全く無しで全てが大マジで全マシだ。それは今作の音が全て物語っている。
まるで3ピースの限界に挑む様なサウンドプロダクトがまず現代の小難しさばかり先行するヘビィロックに対する宣戦布告だろう。メンバー3人のプレイはそれこそ複雑なフレーズを叩きつけてはいるけど、極太麺の如く図太い一本の線としてアウトプットし、バンド名は伊達じゃないとばかりに一口目でガツンと衝撃に襲われるだろう。
Twolowを語る上で絶対に外せないのは90年代の混沌とした時代のヘビィロックだろう。それはグランジから始まり、モダンヘビィネスやジャンクロックといった部分にまで渡るけど、Unsane、Today is the Day、先日のワンマンでもカバーしていたTadの様なSUB POPのバンド、ヘビィネス代表格であるHelmet、果てはメタルまでと幾多に渡るエッセンスを調合してコクと旨味を引き出している。
ただTwolowは90年代焼き直しバンドでは無い。タイトに複雑なビートを叩きながらも、躍動感を絶対に失わない塚本氏のドラム、ストイックに太く歪んだベースラインを弾き倒す亀井氏のベース、そしてダミ声で吐き捨てるボーカルと共にリフに次ぐリフで堂々と攻める水谷氏のギター。そこに余計な味付けは全く無いし、素材の味を最大限に生かし、現行のヘビィロックに対して真っ向から立ち向かい、だけどそれを90年代から続くヘビィロックを2015年の物として表現しているのが今作のキモだ。
「Turning On」から全マシのリフがダークネスを振りまき、リズム隊の音が内蔵を圧迫していく。空研的なエフェクトはほぼ使用せずに、生々しさ重視のレコーディングやミックスが施されるライブ感、ベタな言い方だけど、鉄と血の匂いが充満する音がTwolowの持つ90年代ヘビィロック感の正体だろう。
疾走感がメジャー感を生み出す「Lost Inからドゥーミーさすら匂わせ、Twolowの武器であるミドルテンポの業火の真骨頂「Article #9」、そしてめくるめくリフとビートのドープさからラスト1分の疾走によって貪りながら食った、完飲!!って感じの絶頂感と焦燥感と使命感という衝動で締めくくられる「Dead Man Working」まで素材の味と体に悪い成分をてんこ盛りにした極上の一杯ならぬ極上の一枚だ。
バンド名は二郎だし、自主企画名は「ニンニク入れますか?」だし、アルバムタイトルはグルタミン酸だから知らない人は悪ふざけしたラーメンバンドだと勘違いしてしまうかもだが、それはギルティだ。
全てが大マジじゃなきゃこんなシリアスでダークなヘビィロックが生まれる訳が無いし、オルタナティブロックっやハードコアのリスナーは勿論だけどメタラー兄貴が聴いても大満足な一枚だろう。
REDSHEERやBB等、90年代から時代を作り上げた猛者がその時代の空気感を受け継ぎながらも新たな音を創造する現在、Twolowもそんなバンドだし、腹ペコ野郎共は食い逃してはいけないのだ。