■agak
■suicide note ep/agak
document not found、tetola93、doopamin、union of snakes、FADELESS DECISIONのメンバーが在籍している事で、激情ハードコアフリークスからは前々から注目を集めていたagakの2017年リリースの初の正式流通音源。
日本国内でも激情ハードコアという音楽は黎明期をとうの昔に終え、音楽的には一つの到達点を通過し、人によっては過渡期に入っていると感じる人も多いかもしれないが、agakからはその事実と向き合い激情ハードコアを次のフェーズへと更新しようとする気概を感じる。
日本国内でも激情ハードコアという音楽は独自の進化を遂げ、USや欧米諸国と違う日本独自の文脈を確かに確立しており、agakは間違いなくその文脈にあるバンドだ。
それこそメンバーが在籍していたTetola93は日本じゃなければ生まれる事の無かった激情ハードコアであり、USや欧米諸国の激情ハードコア以上に陰鬱でヒステリックな悲壮感こそ国内激情ハードコアの一つの武器だと僕個人は感じたりもする。
agakを語る上で、悲壮感というワードは絶対に外すことの出来ない物であり、ツインギターが織り成す陰鬱なギターフレーズの数々はagakの肝とも言えるだろう。
楽曲はヴァイオレンスなビートダウンや変則的な曲展開を盛り込み、時にトラディショナルなハードコアを独自に解釈したかの様なフレーズも飛び出す。
ドロドロとドス黒い混沌の中から悲哀を感じるメロディが楽曲を引率し、メロと多展開という二つのフックが見事なバランスでガッチリ組み合わさり、そこに日本語詞の痛々しい叫びが乗る。
第5曲「循環」は特にagak持ち味が一番堪能出来る名曲となっている。
プログレッシブさと黒さも魅力的な作品であるが、それ以上に印象的なギターフレーズとメロディが研ぎ澄まされた傑作となった。
ANODE、STUBBORN FATHER、langといった日本独自の文脈の中だからこそ生まれた激情ハードコアは確かに存在する。
それらの素晴らしいバンドと同様にagakもメンバーのキャリアは勿論、新しい文脈の中で生まれた素晴らしいバンドである。
今作はコンパクトなEP作品であるが、今後リリースされるだろうフルアルバムは国内激情ハードコアの新たなclassicとなり得る怪作になる予感を孕んでいるって期待も高まる素晴らしい作品だ。