■Slint

■Tweez/Slint


TweezTweez
(1993/06/20)
Slint

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 ポストロックの源流を生み出したと言っても過言ではないSlintの89年発表の1st。無機質で冷徹なSlint印の音は勿論健在であるが、今作はパンキッシュな攻撃性も感じさせてくれる作品となっている。無機質に歪んだギターの音色と、冷徹なビートが反復し、奇妙に歪んだアンサンブルが今作には満ちている。パンク・ハードコアを実験精神によってズタズタに切り裂き解体した結果生まれたのは、Slintにしか鳴らせないジャンクでありながら完成された音の断層だ。



 今作は2ndである「Spiderland」に比べたらパンキッシュな要素も感じられるし、尺も短めの曲が多いが、決して分かりやすく爆発はせずに、ジワジワと迫り来る緊張感と、暴発しそうでしない絶妙なバランスでの歪みと攻撃性を無機質に鳴らしている。そこに存在する静かな殺気と実験精神が結びついたのがSlintの音だ。第1曲「Ron」は無機質でありながらもノイジーで機械的な旋律の破壊力に満ちているが、そこにあるのはズタズタの解体され、組みなおされたサイボーグの様なおぞましい音だ。
 静謐に燃え上がりながら、聴き手の脳髄を侵していく第4曲「Kent」の緊張感に満ちたアンサンブルもまたSlintの持ち味であるし、実験精神・パンクの攻撃性・冷徹なアンサンブルの三つが理想的な形で組み合わさったこその音だと思う。第7曲「Warren」なんか全てを粉砕する性急なビートと機械的であるからこそヘビィさを感じさせるギターがインダストリアルな感触で響き渡ってるし、その破壊力こそが今作でのSlintの魅力だ。



 未だに数多くのバンドに影響を与え続けているSlintであるが、妥協無き実験精神と無機質な殺気を融合させたからこそのポストロックである。こいつらこそ本質的な意味で「ポスト」であるし、パンク・ハードコアの先にある音を模索し鳴らした。この整理なんかされないジャンクさは実験を繰り返したからこそであり、グチャグチャでありながら理想的な位に完成されたこの音は、やはり歪みと断裂の先に生み出された物だ。
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■Spiderland/Slint


SpiderlandSpiderland
(1994/03/31)
Slint

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 現在、市民権を得て、多くのリスナーに聴かれているジャンルであるポストロック。21世紀に入り日本でも拡散し、広まっていったジャンルであるが、そのポストロックというジャンルに於いてSlintは最重要バンドであると言える。91年に発表された2ndでありラストアルバムである今作の存在は、ポストロックを語る上では絶対に外せない。バンドは今作発売直前に解散してしまったが、ポストロックのシーンに於ける価値は今なおとんでもない物だ。

 今作に録音された音に古い音は一切無い、あまりにも早過ぎた音は、今だからこそ大きなインパクトを持っている。無機質でザラザラと尖った音、無機質かつ複雑なビート、ノイジーであり、妙な残響感覚を持っているギターの音、ポエトリーでありながら、いきなりシャウトしたりするボーカル、延々とループを繰り返し、そしていきなり転調する曲調、これらの全てが現在までのポストロックのサウンドに通じている要素でもあるし、これを91年というポストロックという概念すら無かった時代に鳴らしているのだ。
 決して分かり易い轟音パートがある訳ではない。静謐さから一気に突き抜けそうな様相を見せながらもまた静謐さを取り戻したりするし、美しいメロディでありながら不協和音であり、不穏さと冷徹さを以って鳴らされるギターがやたら印象に残るし、安易なお約束や快楽的要素をSlintは真っ向から否定しているのだ。しかし、パンクを通過した上でのサウンドはどこか攻撃的快楽を持っていたりするし、決して難解で複雑なだけのサウンドではない。mogwaiなどに通じる残響と轟音の快楽的要素が見えてきたりもするのだ。ただそれらの音がどこまでも無機質かつ絶対零度の冷徹さでストイックに鳴っている。

 90年代初頭はSonic YouthやMelvins等、ロック・パンクを否定する事によって新たな価値観を作り出したバンドが台頭した。その中でもSlintの存在は決して忘れてはいけないと思う。Slintは孤高である事は否定しなかった。だからこそSlintが鳴らしていた音は2011年現在でも大きな意味を持っているし、多くのバンドに計り知れない影響を与えた。もう一度言うが、この作品に古い音は全く無い。そう今こそ多くの人に聴かれるべき音なのだ。

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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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