■sora

■灯台の上で待つ/sora


灯台の上で待つ灯台の上で待つ
(2012/10/10)
sora

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 八王子の4人組エモーショナルバンドであるsoraの活動10年目にしてリリースされた2012年作の1stアルバム。同時に2012年でバンドを解散させる事も発表し、最初で最後のフルアルバムとなってしまった作品でもある。リリースは名古屋のSTIFF SLACKからであり、郷愁の中で静かに光り輝く最後の結晶をsoraは生み出したのだ。正に渾身の一枚であり10年に及ぶ活動を総括する一枚。



 soraは初期の頃は激情系ハードコアの中でエモーショナルな郷愁を生み出すバンドであったし、同時にその頃から歌の部分を大切にする楽曲もあった。今作ではハードコアの要素は完全に身を潜めており、日本語詞の響きを大切にするエモ・オルタナティブロックの要素がかなり大きな比重を占めている。激情の叫びは無く、クリーントーンで歌は歌われ、柔らかな感覚の中で確かの強度とエモーショナルさがじわじわと来る作品だ。第1曲「echo」から疾走するサウンドの中で、決して激しさを感じさせずに緩やかな流れを生み出し、ツインギターの緻密なアンサンブルとメロディアスさが生み出す郷愁のエモーショナルさが何処までもクリーンに響き渡り、大河の流れすら感じさせるアンサンブルの壮大さと同時に、非常に日常とかそういった感覚の熱量を保ち、徐々に燃え広がる感覚が胸を熱くしてくれる。第2曲「月は静かに」はこれまでのsoraの楽曲でも見せていた、郷愁と90sエモの融和であり、静かにかつ高らかに歌は歌われる。第3曲「COLOR」は複雑なアンサンブルで進行しながらも、それを決して難解にしないで、古き良きエモのカラーをsora独自の体温で鳴らした印象が強い。
 今作はハードコアの側面を捨て去って完全に歌とエモに振り切れた潔さがあるし、それを大げささではなく、平熱の中の熱量をじっくりと放ち、静謐さも武器にしながら何処までも丁寧に作り上げたからこその説得力があるし、だからこそ胸に響く。第4曲「小さな手」、最終曲「旅」という今作の中でも長尺になっている2曲は本当に大げさなアレンジこそ無い素朴な音になってるからこそ生まれた壮大さがあり、それはまるで日常生活の中のドラマティックさであり、ただ淡々と歩みを進めていくからこそ生まれる静かなポジティブさを感じるし、メロウな絡む2本のギターと歌が織り成す日常の中の物語であり、それを確かな強さを持つビートと共に一歩一歩進んでいく。だからsoraの音楽は本当に信頼出来るのだ。



 約10年の活動で残した音源はEP2枚とアルバム1枚と決して多くは無いし、そして自らの歴史にピリオドを打つ事になってしまったsoraだが、それでも残した来た音楽は永遠に輝く日常の中の結晶となるであろうし、どこまでも実直な音楽を鳴らしたからこそ、本当に多くの人々の心に残る音楽を残せたのだと思う。今作はそんなsoraの集大成であると同時に、これからも僕たちの胸の中で輝き続けるマスターピースとなると確信している。



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■いつかのテープレコーダーCDep/sora


いつかのテープレコーダーCD EPいつかのテープレコーダーCD EP
(2009/10/10)
sora

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 killieの内田氏がフロントマンを務める八王子のエモーショナルバンドの09年発表の2ndEP。前作同様こちらも愛媛のオルタナティブレーベルImpulse recordsからのリリースとなっている。基本的な音は前作の延長線上のキウイロール等に通じる歌物のエモーショナルロックであるが、前作以上にグッと踏み込んだ印象を強く受けた。より緻密に練りこまれた音と強靭になったアンサンブルが生み出す優しく包み込む様でもあり、どこかひんやりとしたエモーショナルロックだ。



 soraはENGINE DOWNのの様な微熱の激情を慣らしているバンドであり、決して暴発したりはしないけど限りなく体温に近い温度とほんの少しのウェットさと優しく入り込むナチュラルな旋律が生み出すエモーショナルロックであるが、第1曲「影と踊る」から伺えるのはそれに加えてアンサンブルの進化だ。よりタフになったアンサンブルと立体的な音が交差する事により、一音一音の重みが確かな物になっているし、微熱の激情は全くブレずに存在している。更に今作では3cmtourの様なポストロック要素からの激情の要素も大きく取り入れている。クリーントーンのアルペジオのメロウさもそうだが、タイトな音を緻密に配置した楽曲も存在している。第2曲「月は静かに」の流暢なメロディの描くフォルムの美しさもそうだが、第3曲「公園」が特にその部分での成長と変化を感じさせる新機軸になっている。緩やかなBPMで進行し、ポストロック的なアプローチの音に乗るのは朧げな感触の歌。その熱量を楽器隊の音と共に高めた瞬間に生まれるのは確かな歌の力が生み出す感情の音そのものであり、soraの感情を刺激する歌がこれまでに無い位にダイレクトに響き渡る。それに反する第4曲「無色の景色 (走馬灯ver.)」のクリアな透明な音が織り成す激情系ハードコアで止めと言わんばかりに突き刺してくる。クライマックスの音の洪水の中で振り絞る様な歌がその楽器隊の音以上に確かな説得力で響き渡る。



 前作以上に緩やかで静謐な楽曲が揃う全4曲。より歌物にシフトした印象も受けるし、曲のスケールも大きくなった。微熱の熱量とドラムを機軸に生み出されるアンサンブルをそれぞれ強めたからこそ増した説得力と、ポストロック的な静謐さの中だからこそ映える感情の色。soraは今作でいよいよ自らの音を完全に確固たる物にしようとしている。この先にリリースされる音源での更なる飛躍にも期待が高まる作品。
タグ : 日本 エモ

■耳鳴りとその訳/sora






 killieのギタリストである内田氏率いる八王子を拠点に活動するエモーショナルハードコアバンドsoraの1stEP。リリースは愛媛のインディペンデントレーベルImpulse recordsから。キウイロールが持っていたセンチメンタルさを全開にした激情だったり、風景や体温や空気の臭いを想起させる様なメロディであったり、バンド全体で放たれる緊張感とそれを暴発させてしまいそうな胸を掻き乱す歌。先人達が作り上げた日本人にしか鳴らせないエモと激情をsoraはしっかりと受け継ぎながらも、先人達の真似事ではなく、それを旋律と歌の純粋な力で更新する作品だ。



 soraはENGINE DOWNに通じる様な絶妙な湿度を持った旋律を鳴らすバンドだ。そしてバンド全体で激情を鳴らしながらも、その激情は殺意や狂気に満ちた物ではなく、人間の体温に近い柔らかながらも熱を持つ激情なのだ。第1曲「空の下」では胸を掻き乱す旋律とバンドのブ厚い芯の太さを見せつけるグルーブが魅力的であるが、内田氏が淡々とした熱量で紡ぐ歌は、バンドの微熱の様なヒリヒリとした緊張感と化学反応を起こし、大河の流れの様な激情を確かに鳴らしているのだ。第3曲「飛べない鳥は夢を見る」でも徐々に熱を上げるバンドの音とは裏腹に内田氏の歌は平熱のままであるし、その中で必殺のセンチメンタルな旋律がより聴き手に突き刺さる本質的な感情を確かに鳴らしている。
 その中でも特に第5曲「新世界」はsoraのサウンドの魅力がより全面に出た名曲だ。体に浸透していく透明度の高い旋律と、有無を言わせない歌の力が今作で最も高い濃度で凝縮されたsoraだからこそ鳴らせる名曲だ。



 soraは日本人しか鳴らせない激情とエモの流れをしっかりと汲みながらも、そこをすり抜け次のレベルへと行ったバンドだ。アプローチはまた違うがWE ARE!と同様に王道のエモーショナルサウンドを突き進みながらも、そこに甘える事無く自分達にしか鳴らせない音を鳴らせるバンドは実際にそんな多くない。
 何のギミックも無い純粋な旋律と歌の力をsoraからは確かに感じる。killieという激情をネクストレベルまで持ち上げたバンドに籍を置く内田氏が鳴らす音と歌は、アプローチを変えてもやはりエモと激情をネクストレベルまで持ち上げているのだ。
タグ : 日本 エモ

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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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