■Greatful Dead
■American Beauty/Greatful Dead
![]() | アメリカン・ビューティ(デラックス・エディション) (2011/01/26) グレイトフル・デッド 商品詳細を見る |
アメリカのロックンロールを代表する存在であるデッドの70年発表の代表作。カントリーを基盤としたシンプルでアコースティックなロック作品であるが、取っ付きやすく聴き易い作品であるのだけれども聴き込めば聴き込む程に作品全体の呼吸や緊張感に気付いてくるし、何回聴いても色褪せる事の無い、温もりと緊張感に満ちている。そして各楽曲がかなりの水準の完成度を誇っているし、シンプルでありながらも少しずつ見せる表情を変えていくアプローチも多彩。本当にディープな名盤になっている。
作品全体に漂うのはアメリカの大地を感じさせる広大さと開放感。ゆったりとしたタイム感で楽曲は演奏されているし、純粋に旋律の美しさや豊かさが輝く作品だと言える。第2曲「Friend Of The Devil」はデッドの代表曲であるし、陽気な旋律に満ちているが、それと同時にどこか物悲しい哀愁も感じさせてくれる豊かな。感情を感じる事が出来るし。第3曲「Sugar Magnolia」もコーラスワークのシンクロ率の高さであったり、ダンサブルな旋律であったりと聴き所の多い名曲だ。第6曲「Ripple」もシンプルなカントリーソングであるが、一音一音の呼吸が確かに伝わってくるし、柔らかな緊張感や唯一無二だ。そして今作屈指の美しいメロディが存在しているのだ!アコースティックで広がりのある楽曲も十分魅力的であるが、今作はシンプルな作品でありながらも、デッドの根底にあるサイケデリックさも確かに存在している。第9曲「Attics Of My Life」は静謐な楽曲でありながらも何処かドープさを感じさせてくれるし、第10曲「Truckin'」のブルージーなエレキギターの音は煙たさすら感じるサイケデリックさが堪らない。そしてボーナストラックで何曲かライブ音源も収録されているのだが、それがもう本当にグレイトの一言!デッドの真髄はライブであり、スタジオ音源以上に緊張感に満ちた空気を感じることが出来る。これはもうデッドにしか出せない柔らかな戦慄だ。
タイトル通りアメリカンな作品であり、アメリカの広大な大地の空気が否応無しに伝わってくる作品であるが、本当の意味で豊かな音が今作には詰まっている。シンプルでソフトでありながらも、絶対に変わることのない深みを今作は持っている。デッド特有の長尺でサイケデリックさを前面に出した楽曲こそないが、美しい旋律の向こう側にあるドープさはやはりサイケデリックであるのだ。アメリカンロックの絶対の名盤であるし、デッドは絶対に外す事の出来ないバンドだ。そして今作は死ぬまで飽きること無く聴き続ける事の出来る美しさが確かに存在している。