■突然段ボール

■抑止音力/突然段ボール


抑止音力抑止音力
(2009/08/05)
突然段ボール

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 何処にも属す事の無く居場所が無いロック。後にも先にもこんな作品が出てくる事は無いんじゃないかという化け物みたいな作品は多い様で実は少ない気がする。蔦木兄弟率いる突然段ボールが91年に発表した今作は紛れも無くそんな作品であるし、居場所なんてどこにも無いし、本当の意味で反骨精神とアナーキーさに満ちた孤高の名盤。それがこの「抑止音力」だ。奇妙に歪みまくったリズムマシーンのビートとギターとボーカルという編成もよく分からないし、音の響きはあまりにも奇妙だし、旋律も歪みまくったポップさがあるし、何より蔦木栄一の歌は居場所の無さに満ちている。誰一人として似ているボーカリストはいないし、圧倒的説得力と知的さと反骨精神に溢れた歌は絶対の物だ。



 今作の凄まじさは第1曲「夢の成る丘」を聴けば一発で分かると思う。リズムマシーンにビートと木琴とギターが鋭角なニューウェイブな感触で鳴らされ、そこに蔦木栄一の力強さと怒りに満ちた歌声が乗った瞬間に、今作の異形さが一気に世界を支配する。蔦木栄一は本当の意味でポリティカルな人であるし、突段は何の装飾や誤魔化しの無い本当の意味での芸術性とメッセージ性を確かに持っている事が嫌という程に伝わってくる筈だ!
 その他の楽曲に関してもサウンドのアプローチも精神性も徹底しているし一貫している。何かに抗い続けているからこその居心地の悪さが作品全体に満ちているし、ジャンクさとニューウェイブ感覚に満ちた楽曲のキャッチーさが尚更その居心地の悪さを加速させていると言える。突段のパンク精神とポリティカルさに嘘なんか無いし、徒党を組んで反抗ごっこをしているだけの名前だけの糞みてえなパンクスもどきには逆立ちしても出せない言葉の力が圧倒的過ぎる!そしてどこまでも不器用なバンドだとも思う。本当に真っ直ぐなメッセージや怒りを全然スマートに伝えてなんかいないから。それで良かったのだと僕は思ったりもする。この泥塗れな不器用さこそが今作の核になっているのだから。



 残念ながら蔦木栄一はもうこの世の人では無い。しかし弟の蔦木俊二の手によってバンドは現在も活動を続けているし、何より「抑止音力」という化け物を残していってくれたのだから。今作は日本語ロックの異形の作品であるが、同時に日本語ロックの最果てに存在する大名盤だ。JOJO広重も言っていたが今作をまだ聴いていない人は今すぐにでも聴いて欲しい。本当にもっと評価されるべき作品だし、日本語ロックの本質が存在しているし、聴いたらロックに対する価値観が間違いなく変わるから。
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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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