■2011年06月

■Empty Words/From Hell


EMPTY WORDSEMPTY WORDS
(2004/04/21)
FROM HELL

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 Hellchildのメンバーによって結成されたのがこのFrom Hellであるが、04年に発表された今作はスラッジ・ドゥームの純粋な殺意ばかりを噴出する外側にも内側にも有効な破壊的ヘビィネスを炸裂させている。それでいてハードコアもしっかりと通過しているから、即効性にも満ちているという残虐極まりない重圧殺ヘビィロック絵巻と言って良いだろう。



 今作はいきなりスラッジコアの毒素に満ちた超ヘビィなリフで幕を開ける。第1曲「Seeking The Invisible」から極悪極まりないスラッジ・ドゥームを展開しているのだ!蛇の様に這いずり回るリフ、ズ太く重いベースライン、静謐なアルペジオとスラッジリフの対比、並大抵のバンドには出せない殺意が満ちているのだ。しかし第2曲「Words Deprive You」ではBPMも早くなりかなりハードコア色の強い楽曲を展開してる。今作の中でもかなり聴きやすい楽曲ではあるが、From Hellのヘビィさはしかkり健在。今作で特に印象的なのはズ太く硬質なアタック感が強烈なベースの音であり、例えギターが静謐な旋律を奏でていてもベースのヘビィなフレーズの存在によって作品全体におけるヘビィさは全く削がれていないし、より幅の広い展開を可能にしているのだ。
 しかしながら今作でのアプローチの幅は本当に広い。第3曲「Life, The Precious」はモダンヘビィネスのカラーも出ているキラーチューンと言って良いし、第6曲「Swirls Of Words」はカオティックハードコア色のあるピロピロのギターフレーズが楽曲を引っ張っているだが楽曲は完全にFrom Hellの音として統一されているし、どんなアプローチをしても殺気に満ちたヘビィネスは絶対に揺らがないのだ。特にボーカルのTSUKASA氏のハードコアとヘビィロックの狭間で、殺意をバラ撒き、精神世界のダークネスを確かに表現するボーカルの存在がやはりFrom Hellにとって大きな要素になっているからではないだろうか。



 スラッジコアとハードコアを基調にしながら、決して単純のヘビィな音を鳴らすのではなく、様々な手法を取り入れる事によって、確実に聴き手をブチ殺せる破壊と悲しみのヘビィネスが今作には存在している。慟哭と殺意を極限までヘビィな音で鳴らした今作、かなり聴き手を選ぶだろうし壮絶極まりないが、負の感情をここまでダイレクトにぶつけてくるバンドは中々いないし、おぞましい位のカタルシスが今作には存在している。
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■暴力フォーエヴァー/ダッフルズ


暴力フォーエヴァー暴力フォーエヴァー
(2000/03/15)
ダッフルズ

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 柏が生んだ人間ハードコアこと向達郎がヌンチャク解散後に結成したのがこのダッフルズだ。向はこの後にkamomekamomeを結成したので、ダッフルズとしての音源は今作のみだが、ハードコアでありながらも陰鬱さが際立ち、kamomekamomeの1stにも通じる部分はかなりある。打ち込みを取り入れていたりしながらも、激情と歌メロを見事に際立たせ、非常に感情豊かな作品に仕上がっている。



 第1曲「号泣五十三次」が今作のSEであり、向のポエトリーリーディングなのだが、そのポエトリーリーディングだけでヌンチャクとは全く違う向の中にある陰鬱な精神世界を描く作品であることを思い知らされる。そこから第2曲「22+33」に繋がるのだが、ヘビィなリフが存在しながらも、シンセの打ち込みを取り入れ、向は完全にクリーントーンで歌っている。静謐で叙情的ですらあり、向が自らのハードコアをズタズタに分解している事が一目瞭然だ。第3曲「暴力フォーエヴァー」ではシャウトを決めていたるするし、ゴリゴリのリフとベースラインが印象的なストレートな旋律を持つ楽曲であるのだけれど、その様な楽曲ですら豊かな感情と旋律が非常に印象的ですらある。
 驚くべきは第4曲「えりも岬」だ。女性ボーカルとデュエットしている事も驚きだが純粋に優しく美しい旋律がすばらしく、じわじわと感情を揺さぶるミドロテンポの楽曲であるし、後のkamomekamomeで発揮される独自の歌心はここにも存在しているのだ!第6曲「女女50/50」に至ってはドープなトラックに向のラップが乗るというヒップホップ要素が強い楽曲だ!しかしサビで一気にバンドサウンドになりエモーショナルな旋律へと変貌し、それが自然に溶け込んでいるのだ。そして第8曲「モウソウ竹日和」で見事な激情ハードコアを展開しており、向達郎自身がどんなアプローチをしていても芯にあるハードコア精神は決して揺らがない事を証明している。



 今作は向自身が様々なアプローチを展開している実験的作品と位置付けて良いだろう。しかしそれらは決してブレる事なく向の音楽になっているし、ダッフルズで培った物がその後のkamomekamomeに完全に活かされていると言っても良いだろう。自らの音を広げ、それを完全にハードコアとして鳴らした向。この男もやはり進化を止めない男であり、だからこそ柏の生きる伝説であり続けているのだ。

■MINIATURES/Panicsmile


MINIATURESMINIATURES
(2004/12/24)
PANIC SMILE

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 福岡という場所は本当に数多くのアバンギャルドで捻くれたバンドを多数生み出している場所であるが、その博多バンドの中でもPanicsmileは最強に捻じ曲がりまくってるのに、最高に踊れて最高にファニーで格好良いバンドと言っても良いだろう。今作は04年発表の5thであるが、パニスマの奇天烈な部分を純度100%のまま抽出し、ジャンクさが際立ち目まぐるしく展開するノーウェイヴ・ポストパンク・オルタナティブロックの奇妙な世界が展開されている。



 今作は殆どの楽曲が2分にも満たない楽曲ばかりで、矢継ぎ早に楽曲は進んでいく。しかし尺の短い楽曲の中でフレーズはあっという間に切り替わり、膨大な量のアイデアが惜しみなく詰め込まれている。しかもわざと各楽器のキメをずらしたり、変拍子に加え各フレーズをズタズタに分解し、それを緻密に組み合わせるというパニスマ独自のプログレッシブ理論がより混沌を生み出していると言っても良いだろう。
 しかしながらアバンギャルドで難解なだけの独りよがりな音に決してならないのがパニスマだ、妙にキャッチーなフレーズを脳を絶妙な感触で刺激してくるし、それに加えズタズタになったビートが奇妙なグルーブを生み出し、踊れないのに踊れるし、踊れるのに踊れない独自の痙攣ダンスビートになっているのだ、それでいて奇跡的に歌メロもしっかりと生きているのだから恐ろしくなる。突発的にノイジーになったりする展開もあったりするから本当に気が抜けないし、聴き手に緊張感を与えながらも、麻薬の様な快楽も与えている。それでいてエッジの立ったギターフレーズの切れ味と破壊力はやはり凄まじいし、そんな楽曲に吉田肇の危機感を煽り捲し立てる様なボーカルが乗っているのだ。今作はアバンギャルドでありながらも、ロックとしての破壊力がやはり確かな基盤になっているのだ!



 決して分かり易い体系ではないけれど、先人達の功績をしっかりと学びながらも、それをただなぞるのではなくズタズタに分解して再構築するのがパニスマの魅力であり、今作はパニスマの作品の中で最もそのファニーさが際立っていると言っても良いだろう。それでいて通り魔的ギターフレーズの切れ味が本当に強烈なのだ!ジャンクで尖ったオルタナティブロック。凄まじい毒素と殺傷力にやられてしまいそうになること請け合いだ。

■放送事故現場/kamomekamome × Deepslauter × FUCK YOU HEROES


放送事故現場放送事故現場
(2009/06/03)
KAMOMEKAMOME、FUCK YOU HEROES DEEPSLAUTER 他

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 柏の異形の歌謡ハードコアであるカモメと、柏の爆裂カオティックハードコアDeepslauter、オールドスクールハードコアに絶妙なキャッチーさをブチ込んだFYHと強烈としか言えないハードコアバンド3組による三つ巴スプリットが今作だ。それぞれのバンドが2曲ずつ提供した全6曲の内容であるが、それぞれのバンドが自らの持ち味を最高に活かした必殺の楽曲を提供した事によって異形さが滲みでた脳天直撃スプリットに仕上がっている!



 カモメは「ルガーシーガル」で手に入れたハードコアとしての強さと歌心を見事に融合させた楽曲で攻めている。まず第1曲「この時期のヴァンパイア」が屈指のキラーチューンであるのだ!ポリリズムを駆使したドンシャリで攻めて来るリフとダンサブルな変拍子、あまりのもエモーショナルな展開と完全に卑怯で最強な1曲になっている。第2曲「メモは語る」もカオティックハードコアと歌心の融合といった楽曲になっており、やはりカモメの異形さが十分に伝わる楽曲になっている。
 Deepslauterは遂に柏から宇宙に飛び立ってしまってたといっても過言では無い超ダンサブルスペースハードコアを展開!第3曲「FRACTURE」で目まぐるしい展開、空間系のフレーズが一気に拡散していくカタルシス、全ての混沌が一気に爆発しているかの様だ!第4曲「タヌキ」もキャッチーでありながらも、脳髄を犯していく宇宙行きハードコア!もう前人未到の領域にDeepslauterは到達しようとしているのだ!
 FYHは今作で最もストレートにハードコアを展開。オールドスクールなバンカラさを持っていながらもシンガロング出来るキャッチーさも兼ね揃えており、シンプルながらもリフの格好良さはハードコアの男臭さと華やかさを感じさせてくれるし、ブレイクやキメでしっかり聴き手を突き刺していく。どこまでも正々堂々としたハードコアの強さと格好良さを感じさせてくれる。



 今作は三者がそれぞれ必殺のハードコアを無秩序に展開した事によって攻撃性の際立った必殺のスプリットになったと言えるだろう。タイトル通り、事故であり事件であるハードコアの危険信号が今作にはあるし、あっと言う間に終わってしまう全6曲はやはり必殺の一言に尽きる。そんなカタルシスしかない名スプリットとなっている!

■NO ALBUM 無題/bloodthirsty butchers


NO ALBUM 無題NO ALBUM 無題
(2010/03/10)
bloodthirsty butchers

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 孤高のまま突き進んでいくジャパニーズエモのカリスマであるブッチャーズの2010年発表の目下最新作。03年に田渕ひさ子が加入して4ピースになったブッチャーズはついに一つの形になり、決して揺らぐことの無い不動のカルテットとしてのブッチャーズがついに完成したと言っても間違いないであろう。現在進行形で自らの音と感情を進化させ続けるブッチャーズにしか鳴らせない音。それのみが存在する大傑作だ。



 今作の楽曲は王道のブッチャーズそのものな楽曲ばかりが並ぶ。大河の流れの様に揺ぎ無い優しい旋律と歌に満ちた楽曲の数々は確かな強さを持っている。尖った感覚は決してないし、ブッチャーズらしい爆音はどうしようもない優しさと旋律が鳴り響き、本当にただ単純に心に刺さる旋律と感情を嘘偽り無く鳴らした純粋な感情としてのロックがここに存在しているのだ!第1曲「フランジングサン」の感情を揺さぶるアルペジオが鳴り響いた瞬間に心がじわじわと燃え上がる様な感覚に襲われてしまう。透明度の高い楽曲は一歩一歩歩みを進めるような強さを確かに感じるし、間違いなくブッチャーズそのものの音だ。第2曲「散文とブルース」も滴り落ちる汗の感覚すら生々しく感じる透明度と確かな感情と優しい旋律が一気に胸を締め付ける名曲だ。第7曲「ノイズ」の伸びやかな音と哀愁を皮切りに今作は一気に感情の高まりを高めていく。特に第9曲「ocean」からその音は一気に加速していく。冒頭のストロークの一音目が鳴った瞬間に世界が一気に優しい青に染まり、透明度の高いアルペジオは一気に豊かな色彩感覚と景色と匂いが五感を刺激していく。この楽曲はブッチャーズの大傑作「kocorono」に収録されている「7月」に匹敵する感情の洪水が存在するのだ!しかも「七月」で鳴らされていたのは立ち尽くしたままの悲しみであったが、ここにあるのは少しずつ不器用でみっともなくても歩き続ける確かな強さだ!この瞬間にブッチャーズはカルテットとして完全な音を手に入れたと言っても間違いが無い。揺ぎ無き強さと進化だ!そして第10曲「curve」の美しさで心が涙を流してしまう。どうしようもない位に美しいのだ!



 ブッチャーズには「kocorono」という自ら作り上げてしまった大傑作が十字架の様に存在していた部分が少なからずある。しかし今作でブッチャーズはその十字架を完全に壊し、新たな次元にある透明で純粋な強さを持つバンドに完全な形で進化を遂げた。ここまで優しい音に満ちた作品は存在しないとすら思ってしまう位だ。ひさ子が加入してから試行錯誤を繰り返していたブッチャーズであったが結局行き着いたのは真っ直ぐに自らの音を鳴らすというスタンスであったし、だからこそ最強のブッチャーズが新たに幕開けたのだ!この壮大で力強い音が存在する限り、僕はブッチャーズを追いかけ続けるだろう。そんな2010年の大傑作だ!!



タグ : 日本 エモ

■Houses Of The Unholy/Church Of Misery


Houses of the UnholyHouses of the Unholy
(2009/07/07)
Church of Misery

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 日本が世界に誇る超極悪ドゥーム・ストーナーバンドであるチャーチの09年発表の3rdアルバム。圧倒的音圧と煙たさと一気に堕ちていく酩酊感は究極を極めたと言っても過言では無いし、地鳴りの様な音が引き摺りながら一気に加速していく様は正に圧巻の一言。初期サバスの漆黒の音階と煙たさをしっかり継承していながら、それをより凶悪かつ陰鬱で攻撃性に満ちた物に仕上げ、聴き手を爆音で皆殺しにする正に殺人的ドゥームメタルの言葉が相応しい危険値MAXの作品だ。



 第1曲「El Padrino」の必殺のギターリフが這いずり回り空間を一気に埋め尽くし、殺伐とした乾いた感覚とトグロを巻く脳髄を破壊するグルーブが生み出され、聴き手を危険な煙が渦巻く視界が滲む世界にブチ込んで行く!そこから第2曲「Shotgun Boogie」の疾走感がブギーする楽曲に雪崩れ込んで行く流れは本当に鳥肌を覚える位だ。大型トラックで目の前にある物をなぎ倒し、見知らぬ人間を轢き殺す感覚すら覚えてしまう位に本当に危険な殺戮音楽!人間の内面の殺意が基準値オーバーで渦巻き、猟奇的な感情を抱かせる殺意のサウンドがここに存在している!第3曲「The Gray Man」でのドゥーム音階との煙たさから、頭の中にあるヤバイ分泌物が止まる事無く溢れるリフは涎がダバダバ出てくるのは間違いないし、第4曲「Blood Sucking Freak」では陰鬱なリフの極悪さが際立っている遅めのストーナーロックを展開。本当に全編に渡り狂気と殺意が渦巻き、音楽の危険な様さがこれでもかと噴出している。これは正にサイケデリックなドラッグの感覚と、内面に潜む狂気を融合させたおぞましい化け物だ!爆音のハリケーンに飲み込まれ意味が分からないまま殺されるといった表現が相応しい、正に無差別大量殺人鬼だ!!



 日本のドゥームストーナーの帝王として君臨するチャーチの極悪さと無慈悲さが嫌になる位に表に出ている今作。陳腐な表現で申し訳ないのだが本当に危険の一言に尽きる音楽が生み出した狂気だ。これを聴いて興奮する様になってしまったらもう立派なゲス野郎の仲間入り間違いないな爆音殺戮ストーナー絵巻。覚悟を決めて聴いて欲しい。別次元にぶっ飛ばされ、気付いたらあらゆる体液で体は汚れていき、二度とマトモな感覚には戻れなくなってしまうけど…



■All the Dread Magnificence of Perversity/Gnaw Their Tongues


All the Dread Magnificence of PerversityAll the Dread Magnificence of Perversity
(2009/09/08)
Gnaw Their Tongues

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 Gnawは本当にこの世の負の感情を全部集めて放出させているかの様なおぞましい負の塊を発信している。オランダのMoriesによるノイズもブラックもアンビエントも飲み込んでしまった黒のみが存在するズタズタの暗黒絵巻を描くGnaw。09年発表の1stアルバムである今作も止まる事を知らない黒と血と嘔吐物で全てを埋め尽くしてしまうかの様な本物の苦痛が鳴り響く拷問ノイズ地獄と言っても過言では無い。



 今作には安らぎなんて言葉はまず存在しない。聴き手に苦痛を与えるかの様なノイズがかなりローファイな音で四方八方から聞こえてくるし、音の輪郭なんてまず掴む事は出来ない。殺伐とした音圧に潰されそうになるし、何重にも重なった音は痛々しさばかり伝わってくる。ボーカルも憎しみに満ちた叫びを見せ付けているし、本当に徹底して負の感情をおぞましく描いているのだ。旋律なんて全く存在しない暴虐の独りオーケストラだ!しかしながらこの醜悪さの向こう側には計算された美意識も確かに存在しているのを忘れてはいけない。絶叫と嘔吐物といった美しさを何も感じさせない醜さに満ちた音しか鳴っていない筈なのに、その音が重なり合う事によって一種のカタルシスと美しさが見えてくるのは確かである。。狂気の沙汰は加速すればする程に、醜さすら超えてしまう事を証明していると言い切ってしまいたい位だ!そして終わり無く続く奈落の地獄絵図を聴き通した後の開放感とカタルシスもある意味今作の魅力である気もしてしまう。



 この世におぞましさを感じさせる音楽は数多く存在するが、ここまで徹底的にそればかりを鳴らす音楽は滅多に無いであろう。正直言って今作は何回も繰り返し聴く様な作品ではないし、快楽的要素なんて皆無な拷問作品に違いは無いのだけれども、この音は人間の内面に潜む醜さを表現した音だと思う。この世には様々な音楽が溢れているが、この様な快楽性の無いアート的な作品も存在価値があるし、今作の音にカタルシスを感じる人も確かにいる筈だ。絶対に一部の愛好家以外には受け入れられない音楽ではあるけれど、だがその漆黒と汚物に満ちたカタルシスは確かな物である事だけは間違い無い。



■D.A.M.N./GREENMACHINE

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 金沢が生み出したChurch Of MiseryやEternal Elysiumと共にドゥーム・ストーナー御三家と言われている超極悪ストーナーバンドであるGREENMACHINEの96年発表の作品。僅か6曲であるが、頭からラストまで一気に駆け抜ける煙たき爆音のストーナー地獄。ブギーしまくっているのに、引き摺りまわるヘビィなリフと喚き声が空間を満たし、ローファイな音がその異形さをより加速させ、脳汁が溢れ出し、涎が止まらない極上のストーナーロックに仕上がっている。



 第1曲「On」から行き成りヘビィな刻みのリフが狼煙を上げ、視界を一気に歪ませたいく。僅か1分半の楽曲でありながら破壊力は嫌になる位に抜群、というか第1曲~第4曲までの短い尺の曲が並んでる箇所は陶酔感に満ちており、本当に言葉通りストーナーなのだ。この煙たい音が全てを埋め尽くした瞬間に聴き手の世界は完全に今作に支配されているし、爆音で聴けば聴く程にその効果は上がり、下手な麻薬なんかじゃ太刀打ちできない爆音の快楽に脳が一気にやられてしまう!瞬間的なハウリングや、割れまくった音さえもこの音の快楽を加速させてるから中毒性は最強だ。後半の第5曲「Narrow」は一気にEW級のドゥーム絵巻を鳴らし始め、BPMも遅くなり、這いずり回るリフが聴き手を一気に破壊するべく襲い掛かってくる。ストーナーロックの本質的な揺らぎのみを抽出したかの様な音はまさに極悪そのものであり、この地獄の音からは絶対に逃れられる気がしない。そして第6曲「D.A.M.N.」で再びブギーするストーナーロックに回帰し、今作のハイライトといっても過言では無い危険極まりないギターソロまで飛び出している。その頃には聴き手はこの危険なストーナーサウンドに完全に壊され殺されているのは言うまでも無いだろう。



 日本でも屈指の基準値超えの危険信号と極悪極まりないストーナーサウンドに満ちている今作。僅か6曲でありながら、容赦なんか一切無い極上の音が今作の揺ぎ無い魅力だと思う。リフの破壊力も素晴らしいが、徹底して空間を埋め尽くす煙たさが存在してる限り、今作の極悪さは絶対に揺らぐ事は無いだろう。ロックの危険地帯に存在するこの音は、一度嵌まったら絶対に抜け出せない麻薬の様な中毒性に満ちている。



■Llenandose De Gusanos/Corrupted

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 世界屈指のヘビィさを持つドゥームバンドであるCorruptedの99年発表の1stアルバムにしてとんでもない大名盤。今作はdisc2枚組、全1曲二時間以上に及ぶ超大作だ。SxOxBの故TOTTSUANに捧げられたレクイエムである今作は音も精神的のも重い作品であり、一人の人間の人生を描いているかの様ですらある。静謐さも、激情も、怒りも、苦悩も、無も、この世のあらゆる感情を音で体現してしまっているのではないかとすら思ってしまう。それだけこの作品の持つ意味は大きいし、Corruptedの最重要作品と言っても過言では無い。



 まずdisc1は冒頭から静謐なピアノのフレーズがかなりBPM遅めで鳴っている。厳格な雰囲気と重苦しさが空間を満たし始め、hevi氏の日本語でボソボソと語るポエトリーリーディングがその重苦しい空気を更に押し潰していく、この時点で既にただならぬ重さを持った作品である事は嫌になる位に分かるであろう。拷問の様なピアノパートが終わり無く続いたかと思ったら、ハウリングの音から一気にこの世の全てを粉砕するかの様なギターとベースとドラムが一気に降りかかってきて、ただでさえヘビィなCorruptedが可能な限りのヘビィさで聴き手に襲い掛かってくる。BPMなんて本当に遅いし、隙間だらけの単音のフレーズの筈なのに、空間を隙間無く埋め尽くす黒き悲しみ。まるでこの世という地獄に生れ落ちてしまった事を悔やむかの様な激重激遅スラッジ地獄。hevi氏のボーカルも怒りに満ちた重苦しい咆哮を轟かせただならぬ空気が一気に加速していく。終わり無く続くスラッジ地獄に冒頭の様な静謐で厳かなピアノの音が重なり始め、今作はより重苦しさをましていく、ヘビィなだけでは決して無い、人間の生と死を描いているかの様な感覚を覚えるし、ピアノの音とスラッジサウンドが何度も入れ替わり、再び終わりなき拷問が続いていく。しかしこのパートはどこまでもエグく、逃げる事すら許されない人間の負の感情を全てかき集めているかの様な音なのに、とんでもなく神秘的で美しくもあるのだ、醜と美が同居し、終わり無き苦しみを巡り巡っていくかの様な、そんな地獄絵図だ。そして静謐なピアノの音と、僅かになるハウリングでdisc1は終わる。続くdisc2は70分にも及ぶ終わり無き拷問ドローンなアンビエント。まるで死後の完全なる無を表現しているかの様な、奈落の最も深い場所を描いているかの様な音だ。このパートに音の変化は殆ど無く、ひたすらくぐもった音が70分続くだけだ。しかしこのdisc2も今作では重要なパートであるし、耳がブチ壊れるかの如きスラッジ地獄の先に待ち構える音なのだ。そうまるで全ての人間が行き着く先は終わり無き奈落であるとでも言っているかの様な。



 今作は分かり易さなんて完全に皆無であるし、決して気軽な気持ちで聴ける作品なんかじゃない。しかし音楽は決して楽しい物ばかりじゃない。この様な一人の人間に捧げられた救い様の無い重さを孕んだ作品の存在も重要であるのだ。ただ今作は人の人生や価値観を一気に塗り替える位の物を持った作品であるし、決して気軽な気持ちじゃ聴けないんだけど、この作品を聴かずに死ぬのは勿体無さ過ぎる!良いとか悪いとか好きとか嫌いとかって概念はいっそ捨てて良いと思う。ただこの大作とサシで向き合ってみて欲しい。それだけの価値は十分にあるから。



■The King Of Limbs/Radiohead


The King of LimbsThe King of Limbs
(2011/04/05)
Radiohead

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 twitterから始まったハチ公騒動にてRadioheadがいかに現在に至るまで多くの人々に大きな影響を与えているかを証明したのは記憶に新しいが、そんなレディへの11年発表の最新作。今作は再び暗黒のブレイクビーツが咲き乱れる作品になっており、ダブステップを取り入れた事によって電子的な無機質な暗黒さを持つレディへが更に進化した作品だと言えるのではないだろうか。細部まで練り込まれている音も印象的だしドロドロとして陰鬱さが今作には満ちている。



 静謐で不穏なピアノの音からじわじわと聴き手を侵食していく第1曲「Bloom」に始まり、ミニマムにループするギターとビートが聴き手の脳髄を犯す第2曲「Morning Mr Magpie」とレディへらしい陰鬱さはしっかりと持ちながらも、より無機質な音が連なった事によって非常に不気味な音になっている。トムの歌声は相変わらずパラノイア全開だし、精神世界を揺さぶりロックを否定したレディへはやはり今作でも健在なのを証明している。
 ダブステップ要素の強い前半から第5曲「Lotus Flower」の漆黒ダンスナンバーで今作は一気に作品の色が変わっていく。無機質さと不穏さを持ちながらも、より精神面に落ちていくような楽曲が並び始めている。「Lotus Flower」は無感情な冷徹さが何故か奇妙な美しさを生み出しているし、第6曲「Codex」の美しさはやはりレディへならではの物だ。不穏の精神世界の旅を終えた先に待つ第8曲「Separator」の深遠な音で今作は終わる。



 今作は不穏でミニマムな作品でありながら、かなりコンパクトな作品であるし聴き易さを持っている。その反面レディへが持っている暗黒の陰鬱が高い濃度で出ているし、陰鬱さを極めるロックを否定するレディへはやはり健在だと再確認させられた。決して派手な作品では無いがレディへの新たな進化を確かに感じる作品であるし、レディへはいつでも自分達を否定し作品を更新していく。ただ核になっている暗黒さと精神世界だけは絶対に揺らぐ事は無いのだ。

プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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