■2011年08月

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■結局一億分の一の意見は誰の耳にも届かない/killie

結局一億分の一の意見は誰の耳にも届かない



 フランスのレーベルsalvationから発表された2曲入りのレコード。2曲入りでありながら20分越えの大作志向のkillieが前面に出た作品となっている。激情の枠の中にありながら、その複雑な楽曲構成はkillieの大きな魅力の一つではあるが、その要素が前面に出た作品だ。計算され尽くした混沌と、統率されていながらも破綻寸前のカタルシスとしての激情系ハードコア。それが本当に前面に出ており、killieが激情の枠を超えたプログレッシブさを持ったバンドである事が分かる作品となっている。



 第1曲「歌詞は客の耳に届かない」は不穏なアルペジオとアコギの旋律から始まり、そこから変拍子を駆使したkillie流激情ハードコアへと一気に雪崩れ込む、同じフレーズを繰り返したりする事無く、非常にドラマティックで突拍子も無い展開を持ちながらも楽曲の中でそれらは完全な形で統率されている混沌だ。特に中盤のパートなんて完全にマスロックの音になっている。タイトなドラムとそれぞれの空白をそれぞれの音で埋めるかの様なベースと2本のギター、そして必殺のキメがこれでもかと放たれる様は正にカタルシス。そして再びスロウテンポになり不穏で壮大な音になり最後は変拍子を駆使したキメが不穏に繰り返されて終わるという結末を迎える。
 そして第2曲「一億分の一」はkillieで最も壮大な楽曲であり、killieの怒りの要素が最も出た楽曲だ。半分近くがポエトリーリーディングで歌われ、その言葉の一つ一つはkillieが訴える怒りそのものといっても良い言葉だ。そこから伊藤氏と吉武氏の絶唱の掛け合いボーカル、変拍子駆使のジェットコースターの様な疾走感のハードコアに雪崩れ込み、そこから一気にkillie屈指のスケールを持つパートへつ繋がっていく。物悲しい旋律が一気に支配し、その不協和音と暗闇の中で蹲ったまま狂っていくかの様な感覚、それが終わり無く続き、その音の全てが一つの塊になって降り注ぎ、救い無い感情のまま怒りを吐き出し終わっていく。



今作は日本では販売されなかった作品だ。それはkillieの意志が本当に出された作品でありながら日本で販売されてない事には日本のリスナーに対するアンチテーゼが本当に大きいからだ。それは「一億分の一」を聴くと嫌でも伝わってくる。だからこそ今作を日本でもリリースして欲しかった限りだ。勿論killie側にも意志があるのは分かるけど、これだけの完成度を持った音とどこまでも真摯な意志はやはりもっと多くの人に届く形にして欲しいと考えたりするのだ。killieのインディペンデントの精神やその統率された混沌としての激情系ハードコアの音に僕は心の底から惹かれている。だからこそその音をもっと多くの人に伝えて欲しいのだ。僕の我侭であるのは百も承知だがkillieはそれだけの物を持ったバンドなのであるから。
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■DUM SPIRO SPERO/DIR EN GREY


DUM SPIRO SPERODUM SPIRO SPERO
(2011/08/03)
DIR EN GREY

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 DIRはその経歴もあってか本当に様々な意味で議論される事が多いバンドである。90年代末期に登場しV系バンドとして時代を築き、そこから脱V系し完全にヘビィロック路線になり、海外でのライブも精力的に行う様になったりと本当に波乱のバンドだ。そんなDIRの音楽性を一つの到達点とも言える前作「UROBOROS」から約3年の月日を経て2011年に発表された今作は更に一歩踏み込んだ発展系の作品だ。インパクトは確かに前作の方が大きいが、更にダークで深遠なヘビィロックを今作では見せてくれている。



 ここ近年のDIRはOpeth等の影響を感じさせるプログレッシブさと大作志向と耽美さを追求した音楽であるが、今作ではそれを更に突き詰めた印象を受ける。前半の曲郡は徹底してダークでヘビィでミドルテンポの楽曲で攻めて来る。京の高域と低域を自在に行き来するボーカルスタイルは更に成長を見せているし、ベースラインもただヘビィなだけでなく複雑なラインを見せ付けてくれているし、その音楽性もドゥーム要素まで取り入れたりとより幅広くなっている。しかしながら海外バンドの模倣ではなく、その影響を受けながらも、それを日本人独自の耽美さを注入した事によって独自のゴシックな感覚すら感じさせてくれる。しかし第8曲「LOTUS」からが今作でのDIRの進化を見事に見せ付けていると僕は思ったりする。「LOTUS」は4分というコンパクトな尺とメロウで耽美で美しい情緒性とヘビィさが見事なバランスで融合し、京も全編に渡ってクリーンで歌う楽曲だが、このようなシンプルな楽曲で何のギミックも無しで攻めた時こそDIRの精神的ヘビィネスと耽美さがどこまでも深く豊かに表現されているのだ。これは間違いなくバンドにとって大きな進化だと断言出来る。そこから第9曲「DIABOLOS」の壮大さと渦巻く陰鬱さへと連なる流れが今作の核になっているとすら思う。その漆黒の蓮華の世界を描く様はDIRだからこそ到達出来た場所だ。そしてヘビィさで攻め立てる曲郡からの終盤の哀愁漂う2曲は今作の壮絶なヘビィさから一転してシリアスでありながらも優しく美しい。最終曲「流転の塔」は正にDIR印のバラッドであるし、その剥き出しになった感情をヘビィでありながらも素直に吐き出すそれは今作のラストに相応しく、重苦しさの先の救いの音だ。



 今作は益々複雑になり、重苦しくなり、それでいてそのドロドロとした激情を更にダイレクトにアウトプットした作品である。前作「UROBOROS」は「VINUSHKA」という楽曲が作品の絶対の存在として君臨した作品であったが、今作は作品全体で一つの物語の様な作品になった。しかしながら「LOTUS」や「流転の塔」の様な楽曲こそが今作の真価があると個人的には考えており、シンプルなアプローチの楽曲でも確かな説得力と精神的な重苦しさと、ヘビィな音ではあるがそれ以上に楽曲そのものの旋律であったりといった剥き出しの姿になっても戦える強さと美しさを感じる事が出来る。確かに大作志向ではあるけど、それらの4分といったコンパクトな尺の曲でも長尺の曲に全然負けない説得力を身につけたのは大きい。あとは音源での音をライブでしっかりと刻みつける事が出来るかが大きな課題になるだろう。それをクリアすればDIRはとんでもないバンドになるんじゃないかと僕は思うのだ。



■Like Shadows/AMPERE

ampere_like_shadows.jpg



 ORCHIDのメンバーによって結成されたAMPEREはUS激情の中でも最強といっても過言ではない圧縮された狂気と混沌を生み出す超破滅的激情ハードコアバンドである。2011年発表の今作であるが、その狂気はリミッターすら破壊し、徹頭徹尾ファストで破壊的なショートカットチューンで攻め立てる音だ。15曲13分という本当にショートでファストな作品でありながら常にテンションと狂気はマックスであるし、常にクライマックスと破滅に向かって燃え尽きて行く様な感覚すら覚えるのだ。



 今作は常に爆音の洪水で満ちた音が終わり無く降り注ぐ作品だ。殆どの楽曲がクライマックスだけを抽出したかの様な旋律とテンションが徹底して鳴らされているし、破壊的な音のカオティックハードコアを圧縮し、その僅かな尺の中でただ狂気を垂れ流すのではなく、クライマックスの中ですら起承転結のドラマ性を持たせている事によってその激情はより鮮明な音として存在している。それでいて徹底してるのはその暗黒具合!黒を更にこれでもかと黒で塗りつぶしていくかの様な漆黒を極めた邪悪な炎が常に暴発し続けるそれはハードコアとしての肉体的強度を持ちながらも、それ以上にドス黒い音塊で殺しにかかってきている音としか言えない。ミサイルの嵐の様なドラムと爆風と邪炎のギターの轟音のカタルシスは常に絶頂を極め、更に血管なんてとっくの昔に全てブチ切れてしまったかの様なテンションと怒りと殺気のスクリームを叩き付けてくるボーカル。それをたった13分に全て詰め込み一点集中の音に圧縮したからこその破滅具合は正にハードコアの狂気そのもの。本当に禍々しい音が吹き荒れているのだ。



 激情系ハードコアのバイオレンスさをリミッター破壊のテンションと轟音で鳴らしたからこそのそれは、怒りと狂気の音楽として非常に危険な物となった。激情と悲壮を最もバイオレンスな形で表現したからこそのカタルシスしか今作には存在していない。ノイジーなドス黒い音の炎に焼き尽くされる事は必至!ハードコアのバイオレンスさと激情を極めた名盤!そしてその音は破滅的だからこそ最高に快楽的でもあるのだ。



■I Was Here For A Moment, Then I Was Gone/MayBeSheWill


I Was Here For a Moment, Then I Was GoneI Was Here For a Moment, Then I Was Gone
(2011/06/06)
Maybeshewill

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 轟音の向こう側から美しい叙情感と旋律を鳴らし、胸を締め付ける音を奏でているMBSWの11年発表の作品。65daysofstatic、mogwaiの系譜から登場し、それらのバンドと比較される事が多かった彼らだけど、その青臭く美しい旋律を武器にここまで来たこいつらはその自らの最大の武器を今作で更に磨きをかけてきたのだ。音楽的なアプローチこそ1stから一貫して変わってはいないけれども、その楽曲と旋律が持つ力を着実に進化させ、それをより美しい感情の洪水とメランコリーな旋律が咲き乱れる音の世界へと導いていくのだ。



 ギターのメロウな轟音とストリングスの調べとピアノの流暢でいて優しい音が三位一体になって感情の核をこれでもかと刺激しにきている音はやはりMBSWの持ち味。バンドサウンドなアンサンブルは今までに比べ轟音の成分よりも旋律と音の響きに重きをおいた印象だけれども、それがよりMBSWが自らにしか出せない音へと接近したからだ。デジタルの感触は残ってはいるけど、よりバンドとしての音の力はダイレクトに伝わる様にはなっているし、それはバンドがよりドラマティックな感情の海を描ける様になったからこその変化と進化だ。それは楽曲レベルだけでなく作品全体で大きなドラマ性とキラキラとした音が自由に飛び交い、より一層MBSWの胸をキュッとさせる青い轟音と旋律が確固たる物として存在しているのだ。特に終盤の2曲は本当に作品のクライマックスを締めくくるに相応しい出来。性急なビートと轟音の旋律とピアノの音がその感情を剥き出しにして咲き乱れ、その疾走する激情をより鮮明かつダイレクトに伝えてくるのだ。持ち前のヘビィネスも解禁し、重厚なアンサンブルによる超感情的轟音胸キュンサウンドは涙と感傷をこれでもかと叩き付けてくるのだ。



 65dosと比較される事が多かったMBSWだがその流れから完全に自らのセンチメンタル具合を高めた事によってその先を鳴らすバンドへと完全に進化したと今作で実感した。音楽性こそ一貫はしているけど、自らの楽曲の力を純度の高いまま鍛えた事によって確かな実力と個性を確かな物にした。このセンチメンタルな激情は真似出来る様で出来ないMBSWの物だ。更なる成長にも期待出来る作品。胸を焦がされる事は必至の感情の洪水がここにはある。

■A Sun That Never Sets/NEUROSIS


Sun That Never SetsSun That Never Sets
(2001/08/07)
Neurosis

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 NEUROSISはやはり全てを置き去りにする孤高のバンドだ。ハードコアから始まり、それを粉砕する悪夢の様な激重サウンドを鳴らしながらも、それを更に超芸術的な音に仕立て上げてしまうバンドなのだから。そして01年に発表された今作はそのNEUROSISがヘビィロック・ハードコアの枠すら破壊し尽くした先の超芸術の世界を描いた深遠で壮大なる大傑作だ。スティーブ・アルビニをエンジニアに迎えた今作は歌物の作品となっている。しかしそこはあくまでもNEUROSISであるからただの歌物作品なんかではない、歌を重きにおいたからこそ、その音はよりダークでありながらも繊細で深く全ての音が呼吸をし、そしてその漆黒の先の微かな光に手を伸ばすかの様な感触なのだ。徹底的に作りこまれた音と精神世界はNEUROSIS史上屈指といっても過言ではない。00年代を代表する大傑作と断言出来る作品だ。



 まず第2曲「The Tide」から明らかな変化が伺えるだろうダークなアコギの旋律と空間的な音のコラージュに乗るのは淡々とした歌と言葉、分かりやすいスラッジリフは無いけれど、ピアノ・ヴァイオリンの旋律と、トライヴァルで手数こそ少ないけど一音の重さが半端じゃないドラム。これは紛れも無いNEUROSISだからこそ出せるダークさであるし、ヘビィさだ。しかしどこか優しい感触すら感じてしまうのである。そして後半では一気にスラッジリフが巻き起こる、しかもそれは殺伐とした感触ではなくとんでもない壮大な美しさと音の広がりを見せ付けるのだ。感傷と激情が三位一体となった血と涙の音。もうこの1曲だけで今作はNEUROSISがNEUROSISを超えてしまった作品だって断言出来てしまうレベル。今作はとんでもない痛みの音であるのに、その先に微かな救いすら鳴らしてしまっているのだ。作品全体で鳴っている旋律が本当に美しく悲しいのだ。第3曲 「From The Hill」も管楽器とギターの旋律が鬼気迫る物でありながらも完全に泣きの旋律、しかしそれは安易な泣きなんかでは勿論無いし、悲哀とも詠嘆の振り絞る様な激情と叫びだ。叙情性も凄まじく本当に残酷なまでに感情を揺さぶる。
 そして第4曲「A Sun That Never Sets」はNEUROSIS×アルビニの蜜月が最強クラスにまで表現された屈指の名曲。本当に全ての音が生々しいままアウトプットされており、その緊迫感と空気の振動が空間をその音の世界で染め上げていく。そしてその歌を悲壮さまでもが生々しく、本当に残酷なまでに全ての音が迫り来る様な陰湿さと気迫を感じざる得ないのだ。、オーボエとヴァイオリンをを取り入れた第7曲「Crowl Back In」もその感情に訴える叙情性が最も出た楽曲であるし、厳かな歌と緻密に組み合わさった楽器の音が爆発こそはしないけど、確実に聴き手に大きな爪痕を残すであろう赤黒いカタルシスが毒素の様に噴出している。そして最終曲の「Stones From The Sky」である。鐘の音色と、重苦しいスケールのアルペジオが神秘的な世界を奏で、そして暴発する激情パートになってからはほぼワンリフで繰り返されるギターリフ。反復する音の螺旋は破壊的ではあるが、今作までのNEUROSISの様な全てを粉砕するスラッジハンマーな音ではない、本当に重くも優しい音なのだ。そしてそれは一気に感情の高ぶりを見せ、全てを巻き込む嵐の様な音へと変貌し、最後は徐々に音飛びのコラージュが入りそのカタルシスを保ったままプツリと切れる。途方も無いエネルギーは直に浴び尽くしたまま聴き手は取り残されてしまうのだ。



 今作は今までのNEUROSIS同様にダーク極まりない作品ではあるのだけれど、歌物作品云々という部分以上に、今までのNEUROSISとは全く違う作品だ。途方も無い殺気を無慈悲に放出するバンドであったNEUROSISが底無し沼の深淵から地上から差し込んでくる僅かな光を求め、その途方も無い泥の海をただひたすらに光を目指して泳ぎ続けていく様な力強さを感じさせてくれるし、本当にあるゆる感情を徹底的に音にしたからこその芸術性と深遠さが途方もない作品なのだ。ネガティブな感情をひたすら殺気に満ちた音で鳴らし続けていたNEUROSISがその先の光を求め始めたバンドにとっても超重要作品であるし、本当にハードコアの一つの到達点とも言える歴史的名盤であるのだ。ここまで長々と書いたけど、今作に関してはただヤバい、その一言に尽きる。

■RIZLA/EDGE OF SPIRIT×THE CREATOR OF

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 日本のメタルコアを代表する超ブルータルバンドEDGE OF SPIRITとハードコア・ヘビィネスから暗黒の精神世界へと誘うTHE CREATOR OFによる00年発表のスプリット。それぞれのバンドがシーンで圧倒的な存在感を放つ2バンドによる全4曲はそれぞれのアプローチから圧倒的なパワーと極悪さをこれでもかと体感する事が出来る物となっていると言っても良いだろう。進化を止めない先駆者による音は10年経った今でも説得力を持ったままだ。



 まずはEDGE OF SPIRIT。第1曲「GLEAM」は冒頭からSHO氏の咆哮と鬼の刻みにリフと怒涛の2バスが炸裂。ブルータルさとエモーショナルな旋律が絶妙なバランスで配合され、ストレートな音でありながら力の限り暴走するブルータルな音の破壊力には最早脱帽。ただストイックに自らの音を鍛えているからこそのメタルコアサウンドはダークでありながらもとんでもないパワーを持っているのだ。後半では泣きのギターフレーズまで飛び出しながらもその攻撃性は衰えずに爆走する。第2曲「SOLITUDE」ではメタリックな刻みのリフがこれでもかと飛び出し完全にメタルのそれになっている。決してメロディアスさを前面に押し出して逃げる事はなく、自らの筋力をフルに発揮させながら、その中で泣きとエモーショナルの旋律を感じさせる。本当にバンドとしてのタフさとそのツボを突いてくるセンスが素晴らしい!
 そして後半はTCO。第3曲「RESET」は「IN RESERVOIR」にも収録されている必殺の1曲であるが、こちらはギターの音はより凶悪にベースの音はよりバキバキにドラムの手数も多く、ヘビィロックのダークネスを前面に押し出した凶悪な物になっている。トライヴァルなビートとうねるベースラインとパワーコードのリフを駆使しながらも、変拍子によってよりえげつない物になっているリフは完全にTCOも持ち味であるし、このヘビィネスの破壊力は本当に鬼気迫る物だ。そして第4曲「寿命」はTCOの凶悪なヘビィネスが最も表に出ている1曲だ。変拍子のベースラインは本当に不穏そのものであるし、尖ったギターリフは精神を蝕むダークさであるし、何よりもそれらをプログレッシブな構成で鳴らす事でその不気味さはハードコアの邪神そのものと言える物になっているのだ。ヘビィロック・ハードコアの先を鳴らしながらもその音は本当に極悪そのものだ。



 EDGEもTCOも今も現役で活躍するバンドである。やはり進化を止めずにストイックに自らを鍛え上げて2バンドだからこそ今もシーンで闘い続ける事が出来ているし、今作の音には甘さなんか一切存在しない物だ。ただひたすらにドス黒い音塊をそれぞれのアプローチで放出しているこの2バンドはやはり全てを置き去りにする力と進化の精神を感じさせてくれるのだ。

■TONE RIVER JAM'11(2011年8月21日)@利根川ゆうゆう公園

 毎年千葉県我孫子市で開催されている完全DIYなフリーライブイベントTONE RIVER JAM。フリーライブとは思えない豪華な面子と、利根川の自然に囲まれた最高のロケーションという隠れた名フェスとなっているが、今回ついに見に行く事になった。僕は二日目の方に見に行ったが、会場に到着したのが、13時半前なのと、宇都宮に帰る終電と終バスの関係で4バンドしか見る事は出来なかった(AS MEIAS本当に見たかった…)が、その僅かな時間でも最高のイベントを味わう事が出来た。
 当日は生憎の雨模様。僕が会場に到着した頃は雨も小降りになっていたが、雨のお陰で地面は完全に泥化。しかしそんな悪天候にも関わらずテントを作りキャンプを楽しみ、出店の料理と酒を楽しむ人々。服の汚れなんか全く気にせず泥塗れになりながらモッシュする人々とイベントは本当に高い熱気を持つ物に。自然のロケーション、都内からのアクセスの良さ、そして数多くのバンドのアクトと素晴らしいフェスになったのではないか。



・HARDCORE FANCLUB

 僕が会場に到着した頃に丁度ライブをやっていたので後半の20分位しか見ていないがかなり楽しませてもらった。完全に初見のバンドであったけど、直球なバンド名同様に直球のハードコアサウンドを展開。キャッチーさとスピード感が一体となった音は本当に暴れられる音!もちろんステージ前では泥まみれになりながらモッシュする人々が続出!王道のパワフルなハードコアを存分に満喫させて貰った。てか最初から見たかったなあ…



・kamomekamome

 そして柏から全国へと異形のハードコアを鳴らす5人組kamomekamome!我孫子市はボーカルの向氏の生まれ育った街という事もあって完全にホームでのアクト。カモメは僕が敬愛するハードコアバンドの一つであり、今までに何回もライブを見ているが結論から言って今回のライブは今まで見たカモメの中でも一番のライブになったと言えるだろう。1曲目は最早完全に必殺の1曲目となっている「エクスキューズミー」。序盤からダイバー続出!ポリリズムを駆使しまくった複雑極まりないフレーズと構成でありながらキャッチーさと歌心とハードコアとしての粗暴さと即効性を極めたここ最近のカモメはやはり別次元のバンドなんだなと再認識。そのまま「ハンズフリーからのお知らせ」→「この時期のヴァンパイア」へと雪崩込む。「この時期のヴァンパイア」はやはりカモメで最もドラマティックな一曲であり、とんでもないパッションと激情が渦を巻いていた。後半の向氏と中瀬氏の掛け合いのシャウトと高まっていく旋律はやはり胸を打つし、向氏の「甦れ!!日本!!!!!」とデスボイスでのシャウトがオーディエンスの胸を完全に打ち抜いた。激情そのものと言っても過言ではない新曲も披露し、そこから必殺の「メデューサ」へ!一気にダイバーとモッシュの嵐!!
 そして中盤の「事切れ手鞠歌」と「髪を結った部屋」の繊細さと優しい旋律に重きを置いた2曲で歌を聞かせるカモメも見せ付ける。繊細さと光と闇が交錯するその2曲は力強さとシリアスさがより前面に出ており、それを屈強なバンドとしてのアンサンブルによって本当に強さを感じさせる音にしているのだ。
 そして終盤の「旧感覚置き場」、「化け直し」にて再びハードコアの百花繚乱カタルシスへ!!再び盛り上がるオーディエンス!向氏はこれでもかとオーディエンスを煽り、モッシュとダイブでそれに応えるオーディエンス!そしてラストは「Happy Rebirthday To You」!!日本・全国各地・そしてオーディエンスの一人一人に再び強く甦る事を訴え!一気にカタルシスは幕を閉じた。僕自身もモッシュとダイブしまくりでたった40分で服と全身は汗と泥塗れになってしまったが、そんな事以上にその瞬間を燃え上がらせてくれるカモメのハードコアとしての強さに本当に打ち抜かれた。



・the SHUWA

 次も柏バンドであるthe SHUWA。実は三年前のdo itでライブを見た事があるバンドなんだけれど、その時はイマイチグッと来なかったので、今回再びそのライブを見たが、どうしても僕好みのバンドでは無い事を再認識した。しかし客観的に見れば全然悪いバンドではない。ダンサブルなビートと風通しの良さ、それでいて高い演奏力とお洒落なコード進行とは裏腹にエモーショナルな感触も見せる旋律であったりは矢張りバンドとしての力量を感じた。良いバンドだし、良いライブしてたとは思うんだけど、どうしてもイマイチグッと来なかったんだよなー。カモメの後だからそう感じたのかもしれないし、音源聴いたらまた変わるのかも。



・FC FiVE

 そして茨城出身の超破壊的ニュースクールハードコアバンドFC FiVEへ!ストレートでゴリゴリのリフとビート、そして力強いボーカルという真っ向勝負の音でありながらも、その音の破壊力と肉体への即効性はとんでもない物!サークルモッシュとダイブの嵐!オールドスクールのキャッチーさ、ニュースクールのメタリックなリフ、そしてブルータルさとシンガロング出来るパート。それらのバランスが絶妙な配分で構成され、それを高いポテンシャルで演奏する事でオーディエンスを沸かせまくっていた。ラストは大量のダイバーがステージに上がりとんでもない混沌が生まれ!ハードコアとしての強さと即効性を本当に感じさせる良いアクトであった。



 と僕はここで宇都宮に帰る為に会場を後に。AS MEIASが本当に見たかったが終電の関係で断念しました。それだけが本当に心残りです。しかしながらフリーライブでここまで高い熱量を持ち、徐々に規模を大きくしているTONE RIVER JAM。この素晴らしいイベントが更に発展し、より良い物になっていく事を願うばかりです。来年はもっと万全の状態で是非参加させて頂きたい!
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■KIW Discovery #17(2011年8月19日)@小岩Bushbash

 日本のハードコアの異端児であり、シーンをそれぞれ作り上げてきたkillieとtialaの2マン。これは本当に大きい事件だと思う。それぞれのバンドが切磋琢磨し、シーンを作り上げてきた最前線のバンドだ。その2バンドが真っ向勝負をすると言うのは本当に事件としか言えない。それを表すかの様にBushbashは超満員!とんでもない熱量を持ったイベントになったと言えるだろう。
 と、書いたが僕はこの日は本来「FREE DOMMUNE ZERO」の方に行く予定で、このイベントへの参加は断念していた。しかしDOMMUNEの方が野外イベントであり、当日神奈川県に大雨洪水警報が出ていた為に中止と言う結果になってしまった。それから川崎でずっとうだうだしてから小岩に向かった結果になった。因みに19時30分スタートの予定だったのに、tialaが21時05分から。killieが22時15分からのスタートという事になったらしい。僕は21時30分過ぎにBushbashに到着した為にtialaのライブは見れず仕舞いだった…川崎でウダウダしてないで男らしくとっとと小岩向かってればよかったって後悔したよ…よって今回はkillieのアクトしか見てない結果になるんだけれども、そのkillieのアクトの為だけでもチケット代全然払ってよかったどころか、何かもう色々な物を全て吹き飛ばしてくれた。本当にその瞬間に存在するカタルシスが想像以上の物だったのだ。



 さてそのkillieのアクトであるが、SE代わりにニュースのアナウンスを流しながらメンバーは演奏を開始。1曲目は恐らくこの先に発表されるであろう音源に収録される予定であろう新曲だったが、それがもうkillieの進化を見せ付けるとんでもない楽曲であった。静謐で不穏なアルペジオの絡みから一気に胸を抉りつける様なドラマティックな激情を鳴らし、その中でkillieのプログレッシブさとスケール感を見せ付ける様な正にkillieだからこそ鳴らせるハードコア・激情の先へと到達したそれは一気に僕の胸を抉りつけてくれた。
 そこから必殺の1曲である「体脂肪と戦う」へ。メンバーも狭いステージでこれでもかと暴れ狂い、フロアはモッシュの嵐へ!蛍光灯の光で照らされたステージはとんでもないハードコアの不法集会の空気を生み出し、それ以上にkillieのアクトが全ての空気を歪ませる!そこから更に名曲「歌詞は客の耳に届かない」へ。音源以上に性急な感覚で演奏され、より肉体に訴えかける物に。複雑極まりないフレーズと構成をメンバーは暴れ狂いながら寸分の狂いも無く演奏するそれは正に理知的に計算された混沌。更にそのん中で本能的な激情をありのままに吐き出すそれがドス黒いエネルギーとして暴発しとんでもないカタルシスとしてその空間を支配する。そして本編ラストは「落書きされた放置死体」!!!!!!本当にその瞬間その瞬間が生み出すカタルシスと激情のハードコア。一気にフロアが燃える燃える!たった1分40秒に詰め込まれた破壊的な音は正にハードコアの邪神としての圧倒的な力を見せ付けてくれていた。
 そして呼応するフロアの空気から再びメンバーがステージへ。伊藤氏がtialaとの長年に渡る共闘関係の話をし、今回のイベントがそれぞれのバンドにとって本当に大きな意味を持つ物である事を伊藤氏のMCから伺えた。そしてアンコールは「針千本飲ます」!最後のエネルギーを振り絞り、全てを揺るがすハードコア絵巻を完成させた。



 伊藤氏もMCで「その瞬間を楽しめ。」と言っていたが、本当にその瞬間その瞬間がクライマックスと言っても過言ではないアクトをkillieは見せ付けてくれた。破綻寸前のギリギリのバランスの中で理性と本能がぶつかり合うハードコアのカタルシス。空間と空気を支配し、ただ圧倒的な音をぶちまけていったkillieはやはりハードコアとして本当に止まることを知らない化け物である事を僕は再認識した。残念ながらtialaのアクトは見れなかったが、それでもkillieが生み出した約40分のカタルシスは何者にも代える事の出来ない瞬間であった。
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■Normal Notes/niumun×nemo

Normal Notes



 危険音源製造工場としてお馴染みのless than TVよりリリースされたniumunとnemoのスプリット作品。それぞれが1曲ずつ提供するという形の全2曲であるが、2曲で33分というとんでもないボリュームの大作をそれぞれのバンドが提供するという形になっている。それぞれのバンドが既成概念に囚われない音を鳴らし、ミニマムな世界から宇宙へ、オツタナティブロックから悪夢へ、別次元の世界へと導く作品だ。



 niumunは第1曲「Doppelganger」を提供。ミニマムに繰り返すフレーズが終わりなく反復し、その後ろでノイジーで美しい旋律がそれぞれ鳴り響く作品になっている。徐々に構成を変えていくビートが楽曲に変化を与え、ミニマムでありながらも徐々に音の熱を高めていくのだ。中盤から反復するビートに反して、ギターフレーズがより解放され始め、美しく不穏の旋律から一気にノイジーな音塊に変貌を遂げる。それらの音は全て映像的でもあるし、聴き手の想像な数だけ世界と映像が創造される作品だ。幾重にも重なる音の音圧も凄まじいが、それらの音が本当にオーガニックであり不穏であり幻想的なのである。
 続くnemoは第2曲「Caffeine Tower + 9min」を提供。こちらは硬質のリフが終わり無く反復し始まる。nemoの持ち味である微熱の激情によるパラノイア感覚が完全な形で表現された楽曲といって良いだろう。徹底的に冷徹に繰り広げられる序盤は本当に脳髄を揺さぶり侵しにかかっているとしか思えない。それでいてThis Heat的な楽曲構成とジャンクさがまた不気味な音として目の前に聳え立つのだ。ループするビートに乗るディスコードのギターフレーズは悪夢の前兆の様な恐怖感を煽りに煽ったままループしていく。そして中盤からはその病巣の音は更に加速していく。ドラマ性なんた全く皆無な不穏のハードコアがただ終わり無く続いていくのだ。そして終盤になって全ての音が硬質な冷徹さを保ったままその熱量だけが暴発寸前に陥っていく。そしてそのパラノって感覚のまま誇大化した病巣は発散されずに悪夢のまま終わるのだ。



 それぞれのバンドが安易なドラマ性など放棄した、冷徹で残酷な幻想と悪夢を鳴らした今作は33分にも及ぶオルタナティブ・ハードコアの影が前面に出た悪夢の様な作品だ。その音は本当に緊張感に満ちているし、非常にカオティックでありながらも知的ですらある。決して発散されない熱病に苛まれるかの様な世界はきっと聴き手の脳髄をおかしくしてしまう物だ。しかしその音は非常に快楽的ですらあるから本当に恐ろしい。

■Recorders/nemo


RecordersRecorders
(2004/03/17)
nemo

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 元COWPERS、元PLUGのメンバーが結成したオルタナティブロックバンドnemoの04年発表の1stアルバム。冷徹でクールな感触を持ちながらも静かに燃え盛る熱情を感じさせる切れ味と熱量を武器に必殺のリフを繰り出すバンドだ。硬質なビートと金属の感触を嫌でも感じるであろう冷たさを持つギターリフの音に、オルタナティブロック・ハードコアの熱を確かに持ち、エモーショナルでいてジャンクな音を鳴らしている。90年代初頭のアメリカのエモ・ハードコアの影響を感じさせながらも、そこから更に自らの音に発展させ更に冷徹でノイジーな音が全てをなぎ払うのだ!



 言うなればこのバンドの音はNo Wave時代のバンドが持っていた冷徹さとジャンクさに90年代エモ・ハードコアにツボを押さえまくりなギターリフやディスコードの旋律を融合させ、それを00年代の音として完全な形で消化した物だ。第2曲「ホワイト・ロリータ」の金属的な必殺のイントロのリフからそのボルテージは高まるばかりだ、しかし分かりやすいエモや激情に走らないのもnemoの持ち味、あくまでも無感情で冷徹なテンションを保ちながらも、その旋律や構成は紛れもなく感情的なのだ。相反する二つの要素を両立させ、冷たい熱情が非情なまでに満ちているのだ。第5曲「タワー・レコーダー」もプログレッシブな感触を持ちながら、徐々に上がっていく熱量は一気に胸を掻き毟り、そこから微熱のエモさがじわりと刺してくる。
 個人的にはSlintの様な金属的感触と実験精神をnemoからは感じたりもする。しかしSlint以上にエモーショナルなカラーを押し出したこの音は、冷たい熱を感じる。日本人だからこその繊細さと作りこまれた音は本当に先人の音に影響を受けながらも、更にその先へと踏み込んだ自らの音になっていると言える。それでいてハードコアのダイナミックな感触もしっかり出しているから肉体にも訴える力を持っているし、何よりハイボルテージなギターリフの応酬!2本のギターがそれぞれ必殺のリフで聴き手を惨殺しまくりながらも美しく絡み合う様はもう堪らなくなる!



 日本のオルタナティブロックシーンを支えた男達が更にその先へと飛び立ったバンド。それが間違いなくnemoなんだと思う。数多くの先人の音を完全に自らの音に消化するセンスも素晴らしいし、それを肉体へと直接訴えるバンドとしての馬力の強さもまたグレイトの一言に尽きる。どこまでも無慈悲な鉄槌を下すnemoの音はオルタナティブロックの攻撃性を最高の形で放出している。そんなハイボルテージで宇宙行きの名盤。

プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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