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■2011年11月

■dis is the oar of me/Discharming man


dis is the oar of me (TRCP48)dis is the oar of me (TRCP48)
(2009/01/21)
Discharming man

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 ex.キウイロール蝦名氏のソロプロジェクトとなって始まったDischarming Man。今作はそんなソロプロジェクトからバンド編成へと変化を遂げたDischarming Manの09年発表の2ndアルバムにして00年代のエモ・オルタナティブの屈指の名盤だ。バンドメンバー&プロデューサーとしてbloodthirsty butchersの吉村氏も参加し、蝦名氏の歌世界をより壮大な物にしているし、緊張感ととんでもない重厚さで鳴らされる音のスケールの大きさはバンドでオーケストラをやっていると言っても過言じゃ無いレベルだ。圧倒的な歌世界が広がっている。



 たった一つの音で世界を描く様な、たった一筋の歌で世界を嘆く様なそんな音が終わり無く響いている。第1曲「因果結合666」からそんなDischarming Manにしか鳴らせない世界が広がってくる。独白めいた蛯名氏の歌とシンプルながら美しいスケールで鳴り響くピアノが楽曲の世界を作り時に吉村氏の歪みながらも優しい温もりに満ちたギターフレーズがそのスケールを膨大にしていく。あくまでも歌を基調に楽曲を作りながら、ドラマティックに感傷的なフレーズを鳴らす楽器隊の音が重なり合い膨大なスケール感で鳴らす個人的心象の歌世界を生み出している。大半の楽曲がスロウテンポでピアノのフレーズは静謐なギターのアルペジオを基調に楽曲を構成し、時に歪んだ激情やギターフレーズが登場するけど爆音でバーストするのでは無くて、郷愁の感触と蝦名氏の心の奥の醜さすら剥き出しにした歌をより明確にしていく。空間的な鳴りを大切にしたアンサンブルからもそれを伺う事が出来る。その中でも第4曲「THE END」の轟音の中で加速する感情的な音は今作の中では異質かもしれないけどクライマックスへと向かうドラマティックなスケールで駆け抜ける3分間は本当に感動的だ。クラシカルな感触で淡々と歌を紡ぎ、終盤のHIG MUFFのギターフレーズが感情を直撃する第5曲「スロゥ」も、ポストロックの様な静謐さで進行し、緩やかに引き伸ばされた時間軸の中で最小限の音のみで圧倒的な重厚の音を聴かせる第6曲「360°」も今作の楽曲は全てがドラマティックかつ壮大なスケールで紡がれる名曲であり、僕はbloodthirsty butchersの大名盤「kocorono」の様な微かな感情の機微すらも描く本質でのエモーショナルさを今作から感じるのだ。終盤の第10曲「white」と第11曲「だいなしにしちゃった」の2曲はその中でも屈指の壮大さであり、厳かさすら感じさせる音はその一音の響きさけで空気すら変える力を持っている。本当にエモーショナルロックのオーケストラとしか表現出来ない「white」と、アコースティックギターの響きで彩られる旋律の剥き出しの美しさから心を射抜く「だいなしにしちゃった」は本当に純白の音のみがそこにある。



 6人編成でありながらそれぞれが本当に必要な音のみを鳴らしながら、それだからこそ全ての音に満ちた空気と感情に圧倒的な重みがあり、重厚なアンサンブルを奏でる。フォークもエモもポストロックも飲み込んだDischarming Manの音楽と歌は優しさも憎しみも狂気も全て包み込んでくれる。情景豊かな音に触れて浮かぶ色彩は本当に多い。今作は本当に大きなスケールで描く心の歌なのだ。



タグ : 日本 エモ

■END HITS/FUGAZI


End HitsEnd Hits
(1998/04/28)
Fugazi

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 Minor ThreatでDCハードコアの礎を作り、このFUGAZIで90年代のポストハードコアを作り上げたイアンマッケイであるが、彼のキャリアの中でも最高傑作とも言える作品が98年にFUGAZIの5thアルバムとして発表された今作だ。ベスト盤の様なタイトルであるがれっきとしたオリジナルアルバムでもあるし、FUGAZIが目指したポストハードコアの紛れも無い到達点である。形式化するハードコアに対するアンチテーゼとしてイアンはFUGAZIを結成したが、イアンが目指したハードコアを打ち砕くハードコアが今作であるのだ。



 今作はハードコアらしさを求めて聴くと初聴では少し肩透かしを食らう人もいるかもしれない。決して分かりやすいハードコアサウンドじゃ無いし、初聴では地味に聴こえてしまう楽曲も多いからだ。しかし今作は聴き込めば聴き込む程にオリジナリティ溢れるアンサンブルとサウンドセクション。多彩な方法論、それでいて何処をどう切ってもFUGAZIにしか鳴らせない音が存在し、ハードコアの向こう側にFUGAZIが到達した記念碑であるのだから。第1曲「Break」から先ず異質で、16分の刻みのリフと怪奇なリズムセクションは何処かファンキーさを感じさせながらも静謐な緊張感の中で進行するアンサンブルからイアンのシャウトと共に暴発するカタルシスによりEND HITSの世界へと引き摺り込まれる。ミニマムさを感じるリフのループからタメて暴発する第2曲「Place Position」もFUGAZIにしか生み出せない緻密さと独創性を感じる。不協和音とポストロック的なアンサンブルによって不穏のサウンドを奏でる第4曲「No Suprise」なんかは今作でも屈指の名曲であるし、熱量を上げたと思えば沈静化させるいs、構成は異形その物。変則的なリズムセクションとクールさでありながらも熱量の高まりを感じさせる終盤の展開は鳥肌物だ。第5曲「Five Corporations」や第6曲「Caustic Acrostic」の様な必殺のリフが炸裂する分かり易い1曲もFUGAZIが鍛え上げた構築とハードコアの美学が融合しているし、紛れも無いFUGAZI節がそこにはあるのだ。単音リフを巧みに操り、ストイックさが際立ちながらもそれをハードコアに結びつけるセンスこそ正にFUGAZI節であると言える。鐘の音を導入しレゲエ風のリズムで展開していく第8曲「Floating Boy」何かも今作の多彩さを感じさせてくれるし、変則のリズムとギターフレーズが脳髄を犯し尽くしてくる魔力の存在がそこにある。第10曲「Arpeggiator」のほぼ一つのコードで進行しながらも緻密な構成によりマスロック調のアンサンブルまで飛び出す様もFUGAZIの発想力の凄まじさに恐怖すら覚えるレベルだ。最終曲である第13曲「F/D」は特に静謐なアコースティックパートと暴発する激情パートの対比が見事であるし、ラストはインプロ的なアンサンブルで終わり決して分かりやすいドラマティックさでは無く狂騒感の中で終わりを迎える。



 FUGAZIが目指したのは既存のハードコアを打ち砕いた先のハードコアであり、今作はそのFUGAZIのコンセプトを一番強く感じる作品であり間違いなく最高傑作であり、ポストハードコアではDrive Like Jehuの「Yank Crime」に並ぶ最重要作品だ。そのアイデアを取り込みながら、美しいベースラインも隙の全く無いドラムも、そのアイデアを体現しながらもストイックな格好良さを見せるギターワークもイアンの殺気に満ちたボーカルも全てがその先の音を生み出しているのだ。ハードコア=進化を体現した今作は紛れも無くFUGAZIが最果てのバンドである事を証明している。



■Drive Like Jehu/Drive Like Jehu


Drive Like JehuDrive Like Jehu
(1992/01/24)
Drive Like Jehu

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 サンディエゴが生み出した伝説にして90年代のポストハードコアの最重要バンドであるDLJの92年発表の1stにして2nd同様に90年代のポストハードコアを代表する作品である。「西のFUGAZI/東のPitchfork」とまで評されたPitchforkを解散し、そのメンバーであったリックとジョンが結成したこのバンドであるが、ジョンのギターワークもリズムセクションも変拍子を駆使しながらドライブするビートもリックの熱情に満ちたボーカルも全てギリギリのラインでの緊張感で疾走する屈指の作品だ。



 第1曲「Caress」からDLJの必殺の鋭角オルタナティブが炸裂し必殺の1曲になっている。不協和音を駆使したコード進行と、緩急のついたストップ&ゴーのリズムセクションと疾走するギターリフで冒頭から完全に聴き手をブチ殺しに来ている必殺のポストハードコア。不協和音の中に感じる哀愁のエモーショナルなリックのボーカルが胸を熱くし、キメと構成の美学を駆使し脳髄破壊のポストハードコア。もうこの1曲だけでこいつらがFUGAZI同様に誰も追いつけない完全に自らの音を見せ付けている事が分かるだろう。第2曲「Spikes To You」も不協和音のエモーショナルサウンドが爆走する2分間の硬質のサウンドにやられてしまう。しかしただ疾走するエモーショナルサウンドだけじゃ無いのがDLJだ。第4曲「O Pencil Sharp」の長尺の中での静謐なアルペジオの不穏さから冷徹なギターワークの快楽とミドルテンポでありながら時に暴発し、緻密な構成の中で中弛みする事など無く、静謐さと必殺のリフが渦巻く暴発パートの変化の付け方も見事だ。そこからジョンのお家芸であるスライドとチョーキング多用のギターワークと変拍子のキメが炸裂する爆裂ナンバーである第5曲「Atom Jack」へと雪崩れ込む流れもニクい。硬質のリズムセクションとギターワークがポストパンクのカラーを感じさせ、それにエモーショナルなサウンドをブチ込んだ第6曲「If It Kills You」の変則の変態性もDLJの懐の大きさを感じる。哀愁の旋律とジョンのギターワークが冴えまくりでキレまくりな第9曲「Future Home Of Stucco Monstrosity」も不協和音駆使のサウンドスタイルでありながら、それすらも胸を突き刺す感情の音であり、その中でバンドとしての肉体性を殺さないのが素晴らしい。



 今作はジョンとリックのツインギターのギターワーク中心の楽曲を構成し、それを最大限に生かすリズムセクションを生み出し、フックと切れ味に満ちたリフの中に隠された叙情性と。複雑なビートを乗りこなし疾走しながらも、緻密な楽曲構成。そのギターワークを生かすアンサンブルと構成の美学は凄まじさしか感じる事が出来ないレベルだ。2ndも屈指の名盤として名高いが、この1stも90年代ポストハードコアの必殺の1枚だ。聴いてえ震えろ!!



■add 2009/I Want City

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 accidents in too large fieldのドラムの清水氏とaccidents~の元メンバーであるJUNKOによる2ピースユニットI Want City。デラシネ・accidents~・VELOCITYUT・ANTI AGAINST ANTI・百蚊等、現在九州を中心にとにかく面白い音楽を鳴らす異端集団九州Fuck Waveなんて呼ばれるムーブメントが地下で起きているが、このバンドもその九州 Waveの重要バンドである。今作はタイトル通り2009年にリリースされた1stアルバムだ。



 このバンドはベースボーカルとドラムの2ピースという非常に変則的な編成のバンドであるが、先ず清水氏がaccidents~同様に変拍子を駆使し時にトライヴァルなビートも繰り出すジャンクな変則のビートを今作でも炸裂させている。JUNKOのベースもゴリゴリのラインをエフェクターを駆使した音作りで、ビートの変則的なうねりが生み出すグルーブは変則的でありながらもダンサブルだ。だがaccidents~の様な混沌としたジャンクさでは無く、もっとひんやりとしたクールなNo Waveの冷徹さがI Want Cityの音の最大の特徴である。ブレイクビーツを独自解釈し、ジャンクな電子音が鳴り響き、その中でJUNKOのクールで透明感溢れるボーカルが乗るスタイルは本当にクールだ。ミドルテンポを基調にしたドープなグルーブが支配するダンスミュージックと言えるだろう。第1曲「South Africa」や第3曲「Mathematics You」はそんなI Want Cityの音を堪能できる楽曲になっている。No Waveさが極まった第4曲「Swim Sleepy」や鋭角の性急さやSonic Youthにも近いオルタナティブな感触とキャッチーさが同居した第7曲「Pacific Child」も見事。終盤では歌物に接近した楽曲が並び、メランコリックさが際立ち淡々とした第8曲「She Is Beautiful」やアンプラグドに限りなく近い感触で気だるく退廃の世界を歌う第9曲「Wonder If...」なんか80年代のシーンの空気感を感じさせてくれる。



 80年代のNo Waveやオルタナティブの空気を吸い込みジャンクでありながら、どこか郷愁の音も聴かせてくれる今作は狂ったクールさによるダンスミュージックだ。先人の音を吸い込み消化した変則のダンスミュージックとオルタナティブサウンドは音楽の危険さと面白さを体現した全10曲はクールで最高に面白い音になっている。

■視界走った光の放列

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基本毎日レビューなり何なりの記事は上げてますけど雑記では本当にお久しぶりです。Twitterでは相変わらずどうでも良い事ばかり呟いてますけどw
何だかんだ2011年もそろそろ終わりそうですけどね、来年の2月には24歳になりますわ。結構本気で泣けてくる感じがします。



今日朝方に自分の好きな声優の白石稔さんが入籍の報告のニュースが入って来て、今野さんの貰い手どうなるんだよ!もう僕が今野さんと結婚するしか無いじゃねえかとか思っていた矢先、夜には大学のサークル時代の友人が入籍し、3月に挙式するから来てくれってご報告が入り何か因果を感じたり感じなかったりします。式には勿論行くつもりですけど、結婚式に出席するの初めてで、ご祝儀とか幾ら包めば良いかとか、服装は普通にスーツで良いのかとか色々考えてしまいます。兎にも角にも結婚おめでとうって気持ちで一杯です。でも大学時代を共に過ごした同い年の友人の結婚は色々と置いていかれる気分になったりもします。今年は身近な方にお子さんが生まれたり、出産予定だったりと色々と目出度い事が重なりますね。自分が結婚するっていうのは今は全く想像が出来ないです。父親になる自分とか本当に想像が出来ない。
そうそう以前書いたライブレポでも書いたけどTHE CREATOR OFの新曲が本当に良い感じです。持ち前のダークなへビィさに緻密な静謐さも加わった感じの楽曲で、これからのTHE CREATOR OFはポストメタルにも接近し、持ち前のグランジ精神を更に進化させている事が伺えます。本当に新譜としてその音が世に出るのが待ち遠しいですし、日本のへビィロックが次の次元に進む重要な作品になるのは間違い無いと思ってます。ハードコアはやはり進化の精神だと僕は勝手に思っていたり。
後は友人がかつて参加していた「根暗」ってバンドの音源を先日聴かせて頂いたのだけれども、それが本当に格好良いし是非とも7インチで出して欲しいと思えるレベルです。ガセネタ辺りの影響を感じるジャパニーズハードコアといった感じなんですけれども、ハードコアの格好良さとセンスを本当に感じさせてくれるバンドです。友人が活動再開を本気で検討しているらしいので凄く楽しみです。
僕個人は今月中に東京の不動産屋に行く予定です。年内には東京に引っ越します。引っ越したら今以上に色々なライブに行けると思いますので、このブログでもライブレポなりを随時更新していこうと思います。そう言えばこのブログも今月で一周年を迎えました。真面目にレビューとか書く様になったのは今年の4月末からですけど、そこからほぼ毎日何かしらの記事を上げてる自分は飽き性の癖にまあまあ頑張っているなって思ったり。まあこれからも気ままに楽しみながらやっていくつもりです。CDを買う時の情報として扱ってくれるならそれは本当に嬉しい限りです。



取り敢えず自分はまだ大人にはなれなさそうです。結婚とか父親になるとか本当に想像が出来ないw
それとBorisのフレアを毎日の様に聴いてますね。間違いなく今年のベストソング。そろそろ年末の年間Bestの事も考えて行くつもり。後は年内にはTokyo Jupiter関係の音源色々入手する予定なのでそちらもレビュー上げていく予定です。

■AS MEIAS II/AS MEIAS


AS MEIAS IIAS MEIAS II
(2010/12/08)
AS MEIAS

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 Bluebeard、Kulara、There Is A Light That Never Goes Outといったエモ・激情系ハードコアの猛者が集結した軌跡の様なバンドであるAS MEIASの2010年発表の2ndEP。04年の1stEPから実に6年振りの音源である。彼らの音はSunny Day Real Estateの様な風通しの良いエモーショナルな音にMeshuggahの様なポリリズムを駆使しまくった最高のキャッチーでありながら、とんでもなくテクニカルで変態その物な音を鳴らすバンドだ。今作でもそんなAS MEIASにしか鳴らせない音は見事に炸裂している。



 基本的なサウンドはそれこそ90年代USエモの郷愁に満ちた音をベースにしており、表面的には純粋に良質なエモであるが、少し注意して聴いてみるとドラム・ベース・2本のギターがポリリズムを駆使し、ズレを駆使し奇妙な捻れをを感じるだろう。だが決して変態的な音が表面に出る事は無く、あくまでも伸びやかな歌と郷愁の旋律が支えるエモーショナルな歌世界を展開し、持ち前のポリリズムの応酬はそれを際立たせる要素として存在しているのだ。基本的な方向性は1stと変わってはいないけれど、純粋なメロディが良くなっているし、よりタイトかつソリッドになった楽器隊のアンサンブルの進化を第1曲「STRUGGLE」を聴けば一目瞭然だ。今作でも彼等はあくまでもロックバンドであるという自らの姿勢を崩していないのだ。第2曲「AROUSE」のプログレッシブさを強めながらも、何者にも邪魔されない旋律と歌が羽根を広げて飛び立っていくかの様な高揚感とそれをサポートするスリリングなポリリズムの応酬は見事であるし、真冬の夜空の世界の様な郷愁の旋律はBluebeardにも通じる彼等の核だ。テクニカルなリフとビートの応酬が快楽的でもあり、ソリッドさを感じさせながらもそれらも持ち前のエモーショナルなサウンドを際立たせる第3曲「WAY」、持ち前の変態性を開放した第4曲「DISAPPEAR」の緻密に入り組んだ音のフォルムが魅せる美しさも素晴らしい。純粋な歌物エモとしてのAS MEIASの核と底力を見せ付ける壮大で胸を突き刺すメロウな旋律の楽曲その物の純度の高さを見せ付ける第5曲「INSTANT」で終わるのもまたニクい。



 僅か5曲で見せ付けるのは1st以上に多彩になったアプローチだけでなく、より屈強になったアンサンブルと不変の郷愁のエモーショナルサウンドだ。緻密に組み込まれ計算され尽くした構成や展開もそうだし、徹底的に自らの音を鍛え上げる職人気質と、マニアックなアプローチをしまくっているのに、自らのキャッチーさから逃げない姿勢は本当に評価すべき点だ。今作も前作同様に多くのリスナーに有効な音を鳴らしているし、AS MEIASは自分たちにしか鳴らせない音を見つけそれを進化させるバンドであるのだ。今作も前作同様に屈指の傑作である。



■NEW BUILDINGS/accidents in too large field


new buildingsnew buildings
(2008/01/30)
Accidents in too large field

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 福岡の異端児であり、九州Fuck Waveを引っ張るバンドであるaccidents in too large fieldの08年発表の1stアルバム。リリースは危険音源発信レーベルであるless than TVから。現在はツインドラムの4人編成であるが、今作ではまで3ピース編成での作品であるが、変拍子を駆使し、ベースもギターも大量のエフェクターを駆使したジャンクなダンスサウンドを展開しており、ドラッギーなダンスミュージックそのものである。



 ブラックホールへと吸い込まれそうな怨念と混沌に満ちた音作り、硬質なビートと変則的な構成はポストパンクやニューウェイブの影響を感じさせる物であるが、それをより混沌へと加速させた結果がこのバンドの音になっていると言える。空間系の音を使いこなしサウンドコラージュのノイジーさが、得体の知れない音になっているし、ジャンクでドラッギーでありながらも、純粋に格好良い硬質なギターフレーズ、多彩なアイデアを吸い込む面白さ、複雑な構成の楽曲を乗りこなすテクニカルさ、それでいてどこかキャッチーでありダンサブルだからこそ生まれる危険な音。硬質のギターリフとトライヴァルなビートが生み出すキマりまくったダンスミュージックである第2曲「Pigeon at Belvedere」から一気にぶっ飛ばされるのは間違いないだろう。不協和音を奏でるピアノのフレーズが効果的でもあり、ドープな世界へと突き落とされる第3曲「ノンフィクション落下」も素晴らしいが、特に第4曲「DIAGONAL」は屈指の出来。キャッチーさも感じさせるギターフレーズと共に破滅へと暴走するビートのハンマーが振り落とされる。曲中盤のブレイクでの狂騒感から最高に飛べるギターソロへの以降は本当に痺れる。全編に渡って図太く様々なエフェクターを駆使したベースが生み出すグルーブと加速する狂騒の中でダンサブルに変態的なビートを繰り出すドラムと、キャッチーでありながらも刺し殺しまくりな尖りっぷりを見せるギターフレーズの3つが生み出すジャンクパンクのマジックが今作には満ちている。ノイズ塗れのまま破滅へと落ちていく第8曲「August Out」で今作が終わる辺りもなんとも彼等らしいではないか。



 音楽が持つ危険さえをこれでもかと盛り込んだ末に生まれたダンサブルジャンクロック。No Wave、ポストパンクの血肉を感じさせながらも、更にドラッギーで狂気に満ちた正に危険音源だと言えるだろう。バンド名通りにノイジーな狂騒がぶつかり合う様は本当にスリリングで正に音の交通事故現場そのものであるのだ。無差別に人をブチ殺せる様な危険さに満ちた音に植えている人にこそaccidents in too large fieldは必要だ。



■Montuenga/Aussitôt Mort

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 激情帝国フランスが誇る激情神ことAussitôt Mortの08年発表の2ndアルバム。2011年の日本の若手激情最高峰バンドheaven in her armsとのスプリットで殺り合ったのも記憶に新しい人も多いと思うが、こいつらは数多くの激情系ハードコアの中でも世界トップレベルのバンドであり、誰も追いつけない唯一無二の存在として君臨している。日本ではkillieの吉武氏主宰のoto recordsから国内盤がリリースされ、日本でもその名を轟かせているが、全てを飲み込む激情神としての猛威と、誰も追いつけない圧倒的な存在感は今作を聴けば伝わる筈だ。



 Aussitôt Mortはまずスラッジコアな重低音が轟く音の破壊力が凄まじいバンドである。その殺伐とした音に激情帝国フランスの血肉を感じさせ、ドラマティックであり深遠なスケールを持つ楽曲が赤黒い破滅的世界を描く。第1曲「Mort! Mort! Mort!」では冒頭からストーナーなリフの重低音が視界を埋め尽くし、ミドルテンポの重心の強さを感じる引き摺る様なグルーブと時にメロディアスに泣くギターフレーズが殺気と激情の核融合を果たし聴き手の胸を抉り取る。時にポストロック的なアプローチも、BaronessやMastodonを彷彿とさせる様なプログレッシブな展開も見せ付けてくれるし、名刺代わりにしては本当に強烈な傷痕を聴き手に残す名曲だ。基本はドゥーミーな成分も感じさせるリフやメロディアスなギターフレーズを巧みに使い分け、スラッジコアのミドルテンポの毒素に満ちたグルーブをポストメタルの緻密さとプログレッシブな要素を盛り込み、その重低音のサウンドで全てをなぎ払う激情系ハードコアと言えるし、ボーダーレスな音でありながらAussitôt Mortにしか鳴らせない完全にオリジナルな音になっている。第4曲「Huit (Part 1)」みたいなアンビエントな小品を盛り込んでくる辺りもニクイし、第6曲「Le kid de la plage」のグロッケンを導入し、トラッドなアコギのフレーズも飛び出す懐の大きさと、緻密かつドラマティックな展開で描くこの曲でもこいつらの個性は絶対に失われていない。終盤の第7曲「On a qu'à se dire que l'on s'en fout」で見せるストレートな旋律と緩急付けた構成からノイジーにクライマックスへとダイブする様なんか本当に心臓を串刺しにされる様な感覚に陥るし、最終曲である第8曲「Le prophète de malheur」のスラッジ・ポストメタル・カオティックハードコアの異種交配のキメラの様なサウンドスタイルと壮大なスケールは圧巻の一言。



 スラッジ・ドゥーム・ポストメタル・アンビエントまで飲み込み、ミドルテンポの重心の効いたグルーブとフランス激情の血肉が生み出した完全に誰も追いつけない激情系ハードコア。こいつらが激情神として君臨し、誰も追いつけないオリジナルの激情を今作で見事なまでに見せつけてくれた。激情フリークスは勿論、それ以外の音楽の愛好家にも有効な音であるし、大きな衝撃と感動をもたらしてくれるハードコア。見逃してはいけない!
 また今作は下記リンクのAussitôt Mortのbandcampでフリーダウンロード形式で配信されているので是非チェックして欲しい。



Montuenga/Aussitôt Mortダウンロードページ



■Absolute Mortality # 1/Mortalized

Absolute Mortality # 1



 京都が誇る超ショートカットグラインドコアバンドであるMortalizedによる03年リリースの1stCD。ギターはHayaino DaisukiやGridlinkにも参加している。ギターとドラムとボーカルのみのベースレス3ピースという編成はグラインドコアのレジェンドであるDiscordance Axisを思い出させるが、音楽的にもDxAxの影響を強く感じる超ファスト&ショートカットチューンが並び、全4曲4分半という超速で駆け抜ける混沌のグラインドコアだ。



 DxAxの影響を感じるサウンドであるが、カオティックな要素も感じさせながらも純度の高いグラインドコアを展開しており、カオティックさを感じるのはその超速過ぎるBPMによる物だ。随所にBPMを落とすパート等も盛り込み、僅かな時間でキメとブレイクを巧みに取り入れ目まぐるしい展開を見せ付けてくる。グラインドコアの中でも屈指の演奏力を持っているし、ただ速いだけで無く緻密に複雑なビートを乗りこなすドラムはやはりDxAxに負けない速さと技術とセンスを感じさせてくれる。グラインドコアらしいギターリフをとんでもないスピードで叩き付け、そのあまりの速さゆえのカオティックさとリフの変化のつけかたのセンスにも脱帽。低域デスと喚き散らす様な灰トーンシャウトを使いこなすボーカルによる一人ツインボーカルなスタイルも格好良すぎて痺れる。それにしても僅かな尺の楽曲の中に無駄なんか一切存在せず、全てが激走の音としてのカタルシスと破壊力を持っている。特に第3曲「Speed Satan」はそのリフの破壊力も暴走するブラストビートの破壊力も屈指の名曲だ。



 今でこそ世界レベルで活躍する日本のバンドが増えたが、Mortalizedは間違いなく世界トップレベルのグラインドコアバンドだと断言出来る、日本の京都から世界を震撼させるカオティック&ファストなグラインドコア、僅か4分半だからこそ生み出せるカタルシスがあるし、そのサウンドフォルムは完璧であるのだ。

■Rivals/Cinemechanica


RIVALSRIVALS
(2008/10/10)
Cinemechanica

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 ジョージア州が誇るマスロック×ハードコアな音を放出する4人組であるCinemechanicaの08年発表のEP。1stにてTera Melosを更にハードコアにした爆裂バカテクサウンドを展開したが3曲入りの今作はそのハードコア成分を感じさせながらもより緻密になった音が目立つ。時にポストロック的アルペジオなんかも登場しながらもやはりマスロックらしいピロピロサウンドは健在だし、更に緻密になり楽曲のスケールも大きくなった。



 バンドの進化は第1曲「Hero/Protagonist」から伺える縦横無尽に蠢くビートとは対称的に静謐なアルペジオのフレーズが印象的だ。その中でも変拍子駆使のビートは鉄壁だし、繰り返されるピロピロのギターフレーズが一つ一つのキメを見せ、その中で徐々に熱量を高めるドラマティックなインストになっている。その音がノイジーに高まり最後は静謐なアルペジオのみで終わるこの曲は計算された中で爆裂のハードコアサウンドを展開した1stに比べて更に緻密なアンサンブルを手に入れ、より自らの音に説得力を持ったと言える。第2曲「Rivals」は今作でもっともハードコア色の強い楽曲であるが、爆裂のドライブ感では無く、ドッシリとしたミドルテンポを機軸にした変拍子駆使のビートの重みと変則的に絡み合う2本のギターが印象的だ。音の厚みが増しているし、より歌心を見せる様にもなっている。第3曲「Kurosawa」は完全にマスロックなパートで始まり、不協和音を分解したギターフレーズをビートと組み合わせた引き算の1曲。轟音のサウンドも見せ付けているし、歪な変則的な構成でありながらも、ポストロック的アプローチと、スケールの大きなドラマティックさも見せる様になったのはバンドの大きな変化だ。繰り返すフレーズが快楽の熱量を高め、ラストは轟音のカタルシスへ帰結する。



 全3曲共に1stとは全く違うアプローチであるし、バンドの音に深みがかなり増した作品だ。持ち前のマスロックサウンドとハードコアさは健在でありながら、更に緻密なアンサンブルを鳴らしバンドの成長を実感させるEPとなっている。1stでの爆裂サウンドに惚れていた人からしたら少し物足りなさは残るかもしれないが、僕は今作の緻密な音にさらなる激情が加わったら間違いなくマスロック×ハードコアな彼等の音は見違える様な進化を遂げると思うのだ。そんな事を期待させてくれる1枚。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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