■2012年04月

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■Year One/Adorno

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 ポルトガルから登場した4人組エモーショナルポストハードコアバンドであるAdornoの07年から08年の間に発表された音源をコンパイルした全9曲入りの編集盤が今作だ。ポルトガルというとあまり馴染みの無い人が多いかもしれないけど、高い楽曲の完成度と激泣きの激エモの歌と旋律、巧みに空間系のエフェクターを駆使し、楽曲の深みをより明確にするアレンジセンス、純度の高いエモーショナルサウンドを聴かせてくれるナイスなバンドだ。



 彼等の音楽性は中々ハイブリットな物になっており、DaitroやRaeinの様なメロディアスで青く繊細な激情系ハードコアの流れと、Kidcrashの様な緻密な音の配列を生かした繊細さと知性を持つエモーショナルロックのバンドの流れも汲んでいるし、2本のギターの絡みなんかはポストハードコアの流れも感じる。実に正統派なエモーショナルロック・激情系ハードコアの流れを受け継ぐバンドでありながら、その巧みなアレンジセンスや絶妙に取り入れられるキメやブレイクやギターフレーズの音作りといった細かい部分にまで気を配りまくったアレンジなんかは本当に緻密だし、非常に知性豊かでIQ高めな音を鳴らしている。しかし彼等に説教臭い要素は全くと言って良いほどに感じられない。泣き叫びながら心の奥深くにまで突き刺さるボーカル、そして楽曲の骨組みとなっている旋律がとにかく聴き手を泣かしにかかってきている。緻密なセンスを持ちながらも、それを最大限に生かした歌心と泣きに満ちた激情サウンドは本当に心の琴線を嫌になる位に刺激してくるし、そしてもうあざとさすら感じてしまう泣きのアルペジオの流線型から一気に感情がフルスロットルになる展開とかエモ・激情好きのツボをムカつく位に分かっているから本当にずるいと思う。



 ポルトガルという異国から登場したAdornoだが、彼等もやはり純度の高い激泣きのエモーショナルサウンドを奏でるバンドであり改めてヨーロッパのエモ・激情のレベルの高さを思い知らされてしまった。日本では残念ながらあまり知名度が高くないバンドかもしれないけど、メロディアスな激情系ハードコアやエモ・ポストハードコアを愛する人には本当に150km越えの直球ストレートなバンドだと思うので是非ともチェックして欲しい限りだ。



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■東京BOREDOM in E.K.!!!!!(2012年4月22日)@東高円寺二万電圧 & 東高円寺U.F.O.CLUB & 満州王

 09年の発足以来、東京のライブハウスシーンをより面白くする為に開催されている東京BOREDOMというイベントだが、過去には東京大学での開催や、非常階段や割礼といった長年シーンで戦い続ける伝説の出演と常に新たな刺激を生み出し続けているイベントだ。首謀者は皆バンドマンであり、バンドマン達の手で何のハイプや打算も無い純粋に格好良く面白い音が鳴り響くイベントとして東京BOREDOMは確実にシーンに定着しているが、今回の東京BOREDOMは東高円寺二万電圧と東高円寺U.F.O.CLUBという二つのライブハウスに加え、まさかの中華料理屋である満州王を舞台にした東高円寺を舞台にした一大ライブサーキットだ。しかも休憩&コーヒーとしてCogee Cornerという本当に普通の賃貸アパートの一室を使ってしまったという滅茶苦茶さに加えて、たった一日で総出演者28組、しかも今までに無い位にプリミティブでカオティックな音を鳴らす猛者が集結した。僕も東京BOREDOMには何回も遊びに行っているが、今回は見逃す手は無いと昼間から東高円寺で爆音を浴びて来た。物理的に全アクトを見るのは不可能だったけど、それでも総計15バンドのアクトを体感してきた。僕は二万とU.F.Oを往復する形でライブを見ていたので満州王の方でのアクトは全く見れていなかったが、今回体感した15バンドのアクトから東京のライブハウスシーンの可能性を十分に突きつけられたのだった。



・SUBTERRANEANSS

 最早恒例のworst tasteのカイタ氏による爆笑の開幕宣言(注意事項が「ハッパやるな!クスリやるな!セックスは高円寺の駅で勝手にやって来い!」だった。)から二万は一気にヒートアップし、今回のトップバッターであるSUBTERRANEANSSのアクトで東京BOREDOMは幕を開けた。30分のアクトで僅か3曲、ダブを基調にしながらダブのトリップ感覚をより明確にしそれに加えてより攻撃性を高めた音を繰り出す彼等の音はグルーブや空間的なノイズを駆使しながらもよりプリミティブな衝動に満ちたアクトを展開していた。特にドラムの遠藤氏はこのバンドの屋台骨を支える存在であり、高い演奏技術は勿論だが、一発一発の音の力強さと破壊力をダブのビートに落とし込み、彼等のグルーブの攻撃性をより高めていたし、ダブの空間的コラージュと不穏のピアノのフレーズと最早耳を突き刺すノイズを放出する物と化したギターとタイトで余韻を確実に残すベースのグルーブが組み合わさり、ノイズダブの世界へ誘う。どこまでもシリアスかつ冷徹で乾いた狂騒へと一発目から連れて行ってくれたし、ダブのドープさを極めながらも剥き出しの狂気が押し出されるライブアクトは緊迫に満ちていた。



・imamon

 そしてU.F.O.に移動してお次はimamon。今回出演するバンドの中でも特に正統派なオルタナティブロック・ポストハードコアサウンドを鳴らす彼等、ライブを見るのは久々だったが本当に大化けしたと思う。爆音で鳴らされる鋭角なサウンドと絶妙なブレイクやキメ、メロディアスでありながらもそれを押し出すだけじゃなく、変則的なギターフレーズを巧みに取り入れる創意工夫の多いアレンジ、しかしそれをアバンギャルドにやるのではなく本当にストレートに鳴らすのだ。本当に何のギミックも無しに楽曲の持つ初期衝動をダイレクトに伝えてくるライブは純度の高さと張り詰める緊張感に焦らされ、それを越えた先に爆音の暴発を見せる。どこまでも素直なバンドだからこそimamonはダイレクトにその衝動を見せ付けるアクトを体現出切るのだろうし、正統派でありながら、独特の毒を持つ彼等の楽曲とライブはやはり説得力がある。オルタナティブであるという事に真摯だからこそimamonは本当の意味でストレートにその爆音を鳴らすのだ。



・the mornings

 再び二万に移動した頃には既にthe morningsのアクトが始まっていた。変拍子を多様しながらも妙にキャッチーなフレーズを連発し、瞬発力と爆発力と初期衝動をフルスロットルにした捩れまくった末のポストパンクサウンドを展開する彼等だが、全力で突っ走るライブアクトは音源以上に圧巻の物になっていた。フロアではモッシュの嵐で、ボーカルのワタナベ氏はフロアに突入し暴れまくり叫びまくる。突拍子も無い奇抜さとアイデアを絶妙に取り込みつつも、高速で突っ走る必殺の楽曲の数々を全速力で繰り出し、アバンギャルドさとポップさをごった煮にしているからこそ生まれる笑顔と狂騒の毒素を彼等は放出しているし、破綻寸前のテンションで終始暴走しながらも変な場所で急ブレーキをかける様なサウンドに飲み込まれ、狂騒のアクトを体現していた。彼等はBOREDOMの持つ面白さと狂騒というコンセプトにぴったりのバンドだし、だからこそ多くの人をその渦へと巻き込むアクトを見せてくれたのだと思う。



・TACOBONDS

 再びU.F.O.に戻ってみるとちょうどTACOBONDSのアクトがスタート。メンバー脱退のピンチを乗り越え、見事に3ピースバンドとした更なる進化を見せた彼等だが、ダンサブル・脱臼・捩れ・ジャンク、これらの要素を3ピースのシンプルな編成で生み出し、そのノイズ・ジャンク・ノーウェイブを通過した音楽性は奇怪で複雑でありながらも、それをダイレクトに吐き出すからこそ馬力を感じさせるアンサンブルになるし、リズム隊が生み出すグルーブの力強さに支えられながら、行き先不明のノンフィクションのダンスミュージックを彼等のアクトで味わう事が出切る。こちらもフロアはまたたくまにモッシュの渦でダイバーまで出る始末な盛り上がり。奇妙で絶妙なアンサンブルのカタルシスを彼等から感じたし、主催バンドの一つである彼等は正に貫禄のアクトだった。



・おまわりさん

 そして転換後、U.F.O.でおまわりさんのアクト。名前しか聴いた事が無く、彼等の音に触れるのは初めてだったが、本当に凄まじいバンドだった。ある種人を舐めているとしか思えないバンド名とは裏腹にその音は極悪の一言。メンバーにエフェクターを操作しノイズを放出するパートがいたりする彼等はハードコアから激情・ノイズ・アンビエント・ドゥーム・スラッジまで行き来する非常にカテゴライズ不可能である最強に重い音塊を放出。アルペジオのフレーズが不気味さを加速させるアンビエントパートからノイズを放出しまくり、スラッジなリフが聴覚を貫き、狂気がフルスロットルなデスボイスを繰り出す暗黒ハードコアへと移行する瞬間なんかもうとんでもないカタルシスに満ちているし、型に囚われないバンド達の違法集会であるBOREDOMというイベントに新たな可能性を見せる新星として君臨したのだ。30分に及び狂気が渦巻く世界の音を悲壮感に満ちたまま放出し、ハードコアの新しい可能性を感じさせてくれる彼等のアクトは本当に圧巻だったし、孤高を貫き通す彼等は本当に格好良いバンドだと思った。



・HIMO

 そしてU.F.O.ではおまわりさんに続き北新宿ハードコア代表である4人組のHIMOのアクト!実に三年振り位に彼等のライブを見たが本当に相変わらずであるし、益々バンドとしての馬力は強くなったと思う。坊主頭で強面な4人が繰り出すのはほぼ全曲1分にも満たない超ショートカットハードコアの乱打、今回のアクトで恐らく20曲以上は軽くやっていたし、ハードコアの初期衝動と瞬発力の沸点のみを抽出し、それをカオティックに叩きつける。本当にそれしかやっていないバンドなんだけど、だからこそ、その瞬間のカタルシスをダイレクトに彼等は伝えてくるし、目まぐるしく高速回転するハードコアの暴走絵巻として多くのショートカットチューンは存在しているし、大量の楽曲をほぼノンストップで繰り出した先にある北新宿超ショートカットハードコアは一つのハードコア絵巻として完成するのだと思う。こちらもフロアは熱狂の嵐!!初期衝動と混沌だけで突き進むHIMOはどこまでも男らしいバンドだ。



・BOSSSTON CRUIZING MANIA

 そしてU.F.O.では今回の主催バンドの一つであり、東京のアンダーグラウンドシーンの裏番的存在であるカシマエスヒロ率いるボストンのライブ。全5曲と少しあっさりと終わってしまったのだけがちょっと残念だったが、ポリリズムと反復と破壊と構築を終わり無く繰り返した末の音にカシマ氏の独自のポエトリーのボーカルが乗る、レベルミュージックの飛び道具とも言うべき彼等の音はライブだとそのハウリングのノイズすら味方にしてしまい、よりプリミティブな音を鳴らしてくる。しかし卓越した演奏技術に裏付けされた分解し生まれ変わった変則のグルーブはライブでも見事に再現されているし、本邦初披露となった新曲はその分解されたビートとグルーブをよりダイナミックな躍動として鳴らした物であり、レベルミュージックの独自解釈を打つ鳴らす彼等の新しい進化を確かに感じさせる物だった。東京のライブハウスシーンの裏番長としての威厳を見せ付けるアクトは安定感と驚きをいつも確かに与えてくれる。



・ヨダレサゴ

 そしてダッシュで二万に戻り、次は神戸からの刺客ヨダレサゴ!3ピースでファスト&カオティックなハードコアを展開する彼等だが、二万の爆音使用の音響も手伝って、より混沌とした音塊をファストに叩きつけながらも、その高速回転ハードコアは燃え上がり一つの隕石が頭上に叩き落ちるかの如し宇宙感覚を生み出し、高速ファストコアでぶっ飛ばす。テクニカルでありながらも、安定感なんか糞食らえじゃ!!と言わんばかりに暴走する音の波の数々。ハイトーンで叫びまくり、とても3ピースとは思えない情報量の音を爆音で叩きつけるカオティックサウンドはライブでは更に天上知らずになっていたのだ。恐らく初めて彼等を見た人も多いかもしれないけど、東京BOREDOM初出演でありながら圧倒的なインパクトを残したのは間違いない筈だ。



・盪在空中

 そしてU.F.O.では台湾からの刺客である盪在空中(トウザイクウチュウ)のアクト。本当に多くの人々が注目していたらしくフロアは満員状態に。彼等の音に始めて触れたが、どこまでも素朴で優しいバンドだなっていうのが第一印象。FISHMANSに影響を受けたらしい彼等はフィッシュマンズの持つ平熱のダブサウンドをよりロックに接近させた物であり、どこまでも素朴な物になっている。決して派手なサウンドではないし、ライブでもただ淡々と優しい音色を鳴らし、その奥にあるエモさに多くの人々が胸を熱くしたと思う。スタンダードなルーツミュージックに裏づけされた汗臭く優しいサウンドを真摯に彼等は鳴らしていたし、それは異国である日本の多くのフリークスから最高の歓迎を受けるアクトとなった。狂騒が支配するBOREDOMというイベントのなかで一つの音のオアシスになっていたし、また彼等のアクトを見たいと思った人々は本当に多い筈だ。



・Tiala

 そして間違い無く今回見たアクトの中で一番の狂騒を生み出したのは小岩が生んだ暴れん坊大将軍であるTialaだ。まさかU.F.O.でモッシュの大暴動が起こる光景を目にする日が来るとは思わなかったし、Tialaのアクトの時にU.F.O.のフロアで安全な位置なんか無かったんじゃないかって言う位にフロア全体がモッシュ!モッシュ!!モッシュ!!!柿沼氏は早々にステージを降りて、フロアで叫ぶ暴れると大暴れ!!もうTaialaのライブは言葉になんか出来ない位で、小学生並の感想を言ってしまうのならば大暴れで凄かったの一言しか言えないし、でも陳腐な言葉で長々と語るよりは、「お前ライブ見てみろ!マジで暴動だから!!」の一言で良いのかもしれないって気持ちにすらなる。しかし彼等のライブはどこまでもピースフルだと思うし、ハードコアでみんな好き勝手に暴れて好き勝手に叫ぶ。それに応えるかの如く更にテンションを高め暴動の炎にガソリンをブチ撒けるTialaの4人。本当にそれだけしか存在しないし、ハードコアでここまで多くの人々を暴れさせ笑顔にするTialaは小岩から全国へそのハードコアのプリミティブなパワーを爆発させる唯一無二の存在だ。そして狂騒と笑顔を汗が渦巻くBOREDOMのカオティックな磁場と彼等のアクトは本当に最高の相性だし、笑顔の暴動がそこに存在していた。



・Alan Smithee's MAD Universe

 再び二万に戻りエクスペリメンタルプログレバンドであるAlan Smithee's MAD Universeのアクトへ。最早BOREDOMの常連バンドになっている彼等だが、今回のアクトはいつも以上に爆音仕様!安定感が半端じゃない超絶技巧の嵐は相変わらずだしいつも驚かされるけれども、それ以上に圧倒的な情報量を誇る音を武器にし、3人が火花を散らすアンサンブルは彼等のライブの大きな魅力だと思う。そしていつも以上の剥き出しのプリミティブさが今回のあくとの音に完全に表れていたし、プログレもルーツミュージックもエクスペリメンタルも越えた最果ての超次元プログレッシブミュージックとしての彼等の音は本当に揺ぎ無い物になっていると僕は思う。また彼等も東京のライブハウスから宇宙へと連れて行く存在だと思うし、それは今回のアクトでも全くブレてなんかいない。



・worst taste

 ダッシュで再びU.F.O.に戻り主催バンドの一つであるworst tasteのアクトへ。途中から見たのでそのライブは15分程しか見れなかったのは残念だったが、シンプルさを極めながらも、脱臼しつつも最終的にはダンサブルなポストパンクへと帰結させる彼等。ベースラインもシンプル極まりないし、ギターフレーズもパワーコードメイン、ドラムも躍動のビートを叩き出しながらもシンプルに、本当にたったそれだけなのに、いやたったそれだけで十分に人をダンスさせるダンスグルーブが彼等の最大の武器であるし、マイクを倒してフロアに突っ込む暴走加減と骨太なグルーブとポップさ、本当にそれだけで戦う底力が彼等のライブバンドとしての魅力だと僕は思う。ロックのダイナミックさをダンスに結びつける。本当に簡単そうで難しい事だと思うけど彼等はそれを実現しているバンドだし、だから彼等のライブで僕は踊り狂えるのだ。



・MILKCOW

 そしてまさかまさかのBOREDOM参戦!伝説的ハードコアバンドであるMILKCOW!!AIR JAM世代の多くのバンドからのリスペクトを一身に集め、生きる伝説となっている彼等のアクトは本当に楽しみだった。ハードコアとグラインドを基調にし、デス・スラッシュといったメタル要素も取り入れ非常にクロスオーバーな音楽性を持ちながらも、どこまでも硬派でブレ無いハードコアサウンドは本当にストレートで最高に暴れられる物。観客の女の子に「ラブソングをプレゼントすれぜ!」と言い、10秒未満の超速グラインドナンバーをプレゼントするというお茶目さからも伺える通り、バンカラで硬派なサウンドであると同時にどこまでもストレートで非常に分かりやすいバンドであるのだ。だからこそ純粋なハードコアの粗暴さのみで彼等は戦っていたし、長年戦い続けているからこそ貫禄のハードコアをBOREDOMに見事お見舞いしたのであった。



・Doit Science

 いよいよ終盤って時にU.F.O.では熊本からの刺客であるDoit Scienceが登場。新作をリリースしたばかりという事もあるが、彼等のアクトを楽しみにしていた人は本当に多いと思う。どこまでもスカスカな音、ポストロック的でありながらもそれを完全に分解したアンサンブル。ボーカルとコーラスの反復。歌心に満ちていながらも、それを分断し構築するアンサンブルはライブでも見事に完全再現されていたし、その静寂の中で揺るらかに流れる小川の様な優しいグルーブを生み出しながらも、それを分断し、反復させる。グルーブを分析し破壊しまくった末に彼等はそのズタズタさを統率し、一つの優しい歌と音色に帰結させていた。その柔らかな緊張感の中でフロアは彼等を静かに見守りながらも、曲が終われば本当に盛大な拍手が巻き起こっていたし、それだけ彼等の優しい分断の音色とグルーブの虜になっている人が本当に多く存在している事の証明だったと思う。熱いフロアからの声に応えてまさかのアンコールで東京でしかやらないという名曲「東京タワー」を披露。その優しい静寂の世界にフロアを誘っていた。



・KIRIHITO

 今回の東京BOREDOMの大トリは主催バンドでは無いが最早このイベントに必要不可欠なバンドと断言してしまっても良いKIRIHITO。たった二人でバスド抜きの巨大ドラムとリズムパッド、ギターアンプ二台とベーアンを繋ぎ、大量のエフェクターとシンセを足で操作すると言う彼等のサウンドスタイルは要塞化したステージのセッティングをみるだけでも異質だけど、そのサウンドは更に異質。早川さんは自らの巨体を完全に生かしたダイナミックなドラムでグルーブに喝を入れまくり、時にはリズムパッドで不穏のビートを生み出す。竹久のファンクのニューウェイブも電子音楽も全て食らった末に生まれる単音フレーズの躍動と面白さ。二人が常にぶつかり合う事で生まれるカタルシス。長年に渡って日本のアンダーグラウンドシーンを戦い続けているからこその貫禄が彼等にはあるし、そこに満足せずに常に新しく面白い事をやり続けていくという理念が彼等のライブから感じるのだ。フロアは本当に大盛り上がりで笑顔と汗の中で本当に沢山の人が踊り狂い暴れまくる光景は今回のBOREDOMを象徴する光景だったし、それは主催バンドでは無いけれども、BOREDOMの「ライブハウスから面白い事をやり続ける」というイベントの理念とKIRIHITOの音楽に対する理念が見事にシンクロしているからこそ生まれた光景だったと思う。





 全28の出演者の中で見たアクトは15組だったが、それでもたった一日でこれだけのバンドのアクトを体感出来るイベントだし、東高円寺を巻き込み、中華料理屋から民家まで巻き込んだ一大ライブサーキットは本当に大盛況で終わったと言える。ライブハウスから面白い事をやり続けるという理念とそれに賛同する多くの素晴らしいバンドが音楽イベントのテンプレートに囚われず、面白くて格好良い音楽が鳴り続けるイベントとしては勿論だけど、バンドマン達が生み出すライブハウスそシーンの面白さをどこまでもユニークに伝えるイベントとして東京BOREDOMは存在していると僕は思う。決して快適に過ごせるイベントでは無いだろうし、かなり体力勝負なイベントでもあるとは思うけど、だからこそその先にある音楽の面白さを高い純度で味わう事の出来るイベントになっていると思うのだ。バンドマン達が自らの手で作り上げているイベントだが、お客さんもお客じゃなく共犯者として参加出来るイベントとして東京BOREDOMは存在しているし、次回以降も多くの驚きと面白く格好良い音楽と共に多くの人々を共犯者に仕立て上げていくのを期待したい。
タグ : ライブレポ

■恋に関するいくつかのフィルム/埋火

恋に関するいくつかのフィルム



 見汐麻衣を中心に結成された3ピースバンド埋火(うずみび)。彼女達がまだ地元である福岡で活動していた頃のレコーディングされた05年発表の記念すべき初音源作品。ロレッタセコハンの出利葉氏がレコーディングし、リリースもロレッタセコハンのレーベルからのリリースとなっている。日本語詞とシンプルで音数少ないサウンドが織り成す歌物ポップスであるが、どこまでも優しく鋭い作品になっている。



 彼女達の音には本当に何のギミックも無い。清流の流れの様に紡がれるクリーンなギターフレーズはディストーションサウンドを全く使わずただ柔らかで気持ちの良い旋律を静かに奏で、リズム隊も必要以上に自己主張はせずに淡々とビートを刻む。そして見汐麻衣の少しヘタウマ的な透明感のある少し幼さの残る歌声でシンプルな言葉でシンプルなラブソングを淡々と歌う。第1曲「と、おもった」も柔らかな旋律が空間を包み込み、淡々と進行するけど、単なる歌物でこのバンドは終わらない。決して自己主張をしない音で構成されているのに、そのたおやかさの奥底にあるのは強度だ。それはヴァイオレンスさや攻撃性が持つ強さではなく、合気道の様に向かってくる力を全て無効化して受け流す様な、確固たる浮動さからくる強さだ。第2曲「サマーサウンズ」も中盤からはディストーションのかかったギターサウンドが登場するけれど、あくまでもブルージーに楽曲を盛り上げるアクセントとして機能し、そこからまた緩やかな速度へと自然と回帰する。そしてそのフレーズの持つ奥行きと高揚感を時にサイケデリックに膨らませイマジネーションを高めるドラマティックさ。あくまでもストーリーのアクセントとしてのディストーションサウンドであり、そこから更に高揚し広がるサウンドに決して引っ張られない見汐麻衣の歌こそがこのバンドの持つ強度だと思う。そして歌物の形を取りながら、その歌の強度を生かす楽曲のレンジの広さも見逃せない。第3曲「恋に関するいくつかのフィルム」はバンドの音自体はくぐもった少しサイケデリックな要素を感じさせるダウナーで音数の少ないサウンドになっているけど、そこに必要以上にダークさを感じさせず、あくまでも短歌の様に紡がれる言葉が前に出るのは歌物バンドだからこその強みを最大限に生かす為の楽曲の作り方をされているからだと思うし、第4曲「黄色い涙」は更にブルージーな要素を加速させ、ざらついた感触を強く持たせ切迫感を感じさせたりもしてるし、派手なギミック一切無しで、ルーツミュージックに近い感覚を生かし、それを最終的に歌に帰結させる力量は流石の一言に尽きる。



 シンプルな方法論でシンプルなラブソングを歌う埋火だが、単に安い言葉を並べるだけのシンプルさでは無く、一つ一つの言葉と音に確かな強度が存在するからこそ埋火の歌は心に深く染み渡って来る。方法論はまた違うけど割礼の持つロマンと残酷さをよりシンプルに歌に帰結させる彼女達は福岡と言うロックの異端の地から生まれた一つの強い意思だ。



■Death Cult Armageddon/Dimmu Borgir


Death Cult ArmageddonDeath Cult Armageddon
(2003/09/02)
Dimmu Borgir

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 シンフォニックブラックメタルの代表格としてその地位を不動の物にしているDimmu Borgir。03年発表の6thアルバムである今作は彼等の代表作としても名高いブラックメタルの名盤であるが、シンフォニックの枠やブラックメタルの枠を越えた一大破滅絵巻として超壮大な物語を一枚のアルバムで描いた作品だ。まるで超大作映画の様なスケールの楽曲ばかりが並び、メタルバンドが一つの芸術を手に入れた作品でもある。



 今作ではオーケストラを起用し、バンドのサウンド以外にもオーケストラの壮大なストリングスのサウンドが本当に前面に出ている。ブラックメタルよりもシンフォニックのカラーが強く正直言うとブラックメタルのカラーはそこまで色濃く出ていないが、高速のブラストビートと言ったブラックの要素も確かに存在している。しかしそれ以上に際立つのは非常にメロディアスな旋律と、それを際立たせるストリングスのやり過ぎを通り越した制作費500億円とか言ってしまいそうになるスケールの大きさ、そして楽曲の中で起承転結を明確にしたプログレッシブな楽曲構成で一大スペクタクルをブラックメタルにて描いているのだ。第2曲「Progenies Of The Great Apocalypse」ではヘビィな刻みと大げさなまでに目立つストリングスが一大ブラックメタルオペラの幕開けを告げる。ズクズクと刻みにリフとオカルト入ったデスボイスで煽りに煽り、それを更にストリングスが捲し立て、そしてサビではVortexが美しいクリーントーンボーカルを聴かせ高揚感を高めた後にストリングスのみになり幽玄の調べを聴かせ、そこから破滅的なブラックメタルサウンドが咲き乱れ、後ろで鳴ってるピアノが緊張感をよりスリリングにするというドラマティックさを極めた楽曲構成は本気でオペラの世界へと連れて行かれた気分にするなる。他の楽曲もまるで超大作SF映画の如しのスケールだし、過剰なまでのストリングスとヘビィでありながらもコテコテの旋律はもうやり過ぎな位に過剰なのだ。シンフォニックメタルの臭さと過剰さを臨界点突破まで貫きながらも、その取っ付きやすい過剰にキャッチーな旋律と、ダークサイドの刺々しさと禍々しさはやはりブラックメタルのそれであるけど、美しさとブルータルさが見事に手を組み、どちらも過剰さを前面に押し出した事によって生まれる絶妙なバランス。それぞれの要素を最大限に生かす楽曲構成も大きいし、各パートでのメリハリを持たせながらも、あくまでも今作の持ち味であるやり過ぎな過剰さは忘れない。とにかく全曲の完成度の高さにも目を見張るし、アルバム一枚でここまで統率されたコンセプトと美意識を貫き、それをシンフォニックブラックメタルと言う形で完成させた意義は本当に大きい。



 とにかくやり過ぎな位の過剰なオーケストラの音と共に卓越した演奏技術によるブラックメタルの一大オペラを描いた今作、一枚通して聴いたら胃もたれを起こしそうなシンフォニックさと、それを良い感じに中和するブルータルなリフの対比も見事だし、何より非常に聴きやすい作品だからブラック初心者かかって来いだし、シンフォニックとかそういった類の音楽が好きな人には本当に堪らない一枚だろう。過剰な美意識が暴走するブラックメタルすら超えた激シンフォニックメタルオペラがここにある。



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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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