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■2012年07月

■Get Some/snot


Get SomeGet Some
(1997/05/27)
Snot

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 最早説明不要だと思うし、90年代のヘビィロックを語る上で絶対に外す事の出来ない1枚である。ボーカルのLynnの死によってたった1枚のアルバムで活動を停止してしまったカルフォルニアの伝説的ヘビィロックバンドであるsnotが97年にリリースした唯一のオリジナルアルバム。90年代のPANTERAが作り出したヘビィロックの流れを更新しただけでなく本当の意味でsnotはミクスチャーであった。雑多でありながらsnotがsnotでしか無い証明でもあり、ヘビィロックの歴史に強烈な傷跡を残した。



 名刺代わりである第1曲「snot」からこいつらが凡百のバンドが束になっても太刀打ちできないヘビィロックを打ち鳴らしている。ワウを駆使したファンキーなギターとヘビィでありつつもザックリとしたオルタナティブさを感じさせる2本のギターが織り成すリフがヘビィさとグルーブを同時放出し、ゴリゴリのラインを弾き倒すベースの男らしさ、Lynnの怒りと歌心を同居させた素晴らしいボーカル、そして特筆すべきはドラムだと思う。メンバーの中でも郡を抜いて演奏技術が高いだけでなく、乾いたタイトな音を叩きつけながらも、ジャズやファンクのグルーブをヘビィロックに落としつけるだけでなく、オルタナティブロックの直接性も持ち合わせたビートはsnotの核であると同時に、彼等のヘビィロックを基点にした雑多な音を統率し、それを別次元まで引っ張っている。そして第3曲「Joy Ride」は今作屈指のアンセムオブアンセム。疾走感に満ちたサウンドは彼等がヘビィロックとしてだけでなくオルタナの視点から見ても優れたバンドである事を証明するだけでなく、ゴリゴリの音の中にメロディアスさもしっかり入れてくるし、サビでのコーラスワークや終盤のスラップベースのブレイクとか最高にニクい!第4曲「The Box」ではメロウさとシリアスさを前面に押し出し怒りとしてのヘビィロックを体現しているだけでなくsnotの持ち味であるファンキーさとオルタナティブとヘビィの融和という核もしっかり刻み付けているし、ミクスチャー色の強い第7曲「Get Some」の冷え切ったギターフレーズのヒリヒリした緊張感からサビでのヘビィネス大爆発な展開もやたらエモーショナルであるし、今作第2のアンセムオブアンセムである第12曲「Tecato」のごった煮でありながら殺気だった緊張感を保ち、その衝動を殴りつけてくる粗暴さなんか本当に堪らない。そしてラストの第15曲「My Balls」は今作で最もファンキーな1曲。ワウギターにスラップベースを盛り込みつつも直情的なラインを攻めるベース、ビートとグルーブを支配するドラムといったsnotの武器を完全開放し、狂騒のまま終わる。



 今作は本当に多くのヘビィロック・ミクスチャーのバンドに影響を与えたと思うし、たった1枚のアルバムしか残していないという事実は残念極まりない。しかしそのたった1枚でヘビィロックを塗り替える大名盤を作り上げてしまったsnotはやはり偉大なバンドであるのは間違いの無い事実だし、snotのトリビュートに参加している面子を見るだけでどれだけのバンドに影響を与えたかは納得出来る筈だ。snotはsnotがsnotでしか無かったから今作が生まれたのも重要な作品なのも必然でしか無い。



■Disorderly/NoLA

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 僅か19歳でここまで凶暴な音を鳴らしている事実。NoLAという新宿アンチノックなどのハコを拠点に活動する若手バンドがいるが、こいつらはメタルとハードコアをクロスオーバーさせより極悪かつブルータルにし、情け容赦無く鉄槌を下すバンドだ。そんな若きホープであるNoLAの2012年リリースのdisk union限定で販売されている7曲入りの処女作が今作である。ブルータルな憎悪に甘えは全く無い。



 インタールードであるタイトル曲の静謐さを第2曲「K.G.B」から完全にブチ破る轟音にまずはやられてしまった。ダウンテンポでブルータルかつドゥーム成分を含んだリフが極悪革命軍の行進の様に重々しく進行し、その遅さからスラッシュな高速パートへと移行する瞬間に鳥肌が立つし、スラッシュとグラインドとカオティックとごった煮にしてそれを綺麗に一纏めにせずにそれらの要素の持つ毒素をそのままに放出!遅さと速さという両極端なエクストリーム要素を存分に盛り込み、それらで交互に殴りつける!それだけでNoLAがただならぬバンドである事を既に証明してしまっているのだ!続く第3曲「No Country」では速さに特化したキラーチューンとしての猛威を振るう。極悪なリフとスラッシュとグラインドを交互に叩き出し、随所で盛り込まれるブレイクダウンがその速さと混沌をNより際立たせる構成力。タイトで正確無比でありながらも暴走する部分では完全にリミッターを解除し、脳髄粉砕スラッシュグラインドを見せる。これはもう脅威だ。第4曲「橙」では完全にドゥームの領域に達した音階の静謐さから心臓すら貫くであろう鉄槌リフが降り注ぐ絶望的な音を鳴らすと、そのレンジの広さも目を見張る物があるし、あくまでブルータルかつ甘え無用。そして圧巻なのは第7曲「Mist」だと思う。12分にも及ぶ今作最長の楽曲であり、漆黒のアルペジオが静かに響く始まりから、完全にフューネラルな激情と殺意が入り混じる黒のドゥーム絵巻。音の輪郭すら見えなくなりそうな音質で、メロウさを残しつつもただ冷徹な殺戮マシーンとしてドゥームリフが頭上に降り注ぐ。スラッシュやグラインドといった要素の強い楽曲が収録されていながらも、この楽曲の今にも息の根が止まるであろう激遅ドゥームは彼等の持つ容赦の無いエクストリームさをより極限の形で体現していると思う。



 こうゆう言い方はベタでアレかもしれないけど、僅か19歳のバンドがここまで速さも遅さも重さも殺気も自在に操り、本質的な意味でクロスオーバーな音を鳴らしているのがまず驚きだし、一番恐ろしいのは処女作でこのレベルに達してしまっている事だと思う。軟弱な奴等を容赦無くブチ殺し、自らの覇道の第一歩を踏み出した若武者であるNoLA。このバンドのこれからの動きは僕もしっかり追いかけていくつもりだ。また今作はdisk union各店舗、もしくは下記リンクから購入可能となっている。



Disorderly/NoLA購入ページ



■The Ruiner/Made Out of Babies


RuinerRuiner
(2008/06/24)
Made Out Of Babies

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 このバンドは単なる女性ボーカルヘビィロックとは明らかに別の次元にいる。ニューヨークのヘビィロック・スラッジ4人組であるMade Out of Babiesの08年リリースの3rdアルバムである今作は単なるへビィネスとは違うよりグランジでハードコアな色と深みと渋さの光る楽曲にカリスマ性に満ちた女性シンガーであるJulie Christmasの狂気と殺意が交錯する1枚になっている。またRed SparowesのメンバーであるBrendan"Bunny"Tobinがメンバーである点も見逃せない。



 第1曲「Cooker」のイントロの不協和音の反復するギターリフから既に只事では無い空気が漂うが、そこから激重のスラッジとヘビィネスが正面衝突へと雪崩れ込む瞬間に言い知れぬ殺気が確かに音として鼓膜を突き破る。彼女達のサウンドはモダンヘビィネスを機軸にしながらも、ポストメタルの深遠さのエッセンス、スラッジのダークな重み、女性ボーカルバンドらしいゴシックさ、グランジなざらつき、それを独自のヘビィロックとして体現している。音的には特別難解な物でもないし、ヘビィネス愛好家なら堪らない物に仕上がっているが、単なる良質なヘビィネスで終わらないおどろおどろしい空気と、変則的な楽曲構成を取り入れつつも、よりドラマティックかつ殺伐と広がる血飛沫、時にジャンクさを醸し出しつつも赤黒い音をタイトかつ無慈悲に吐き出す様は残血王としても悪名高いUNSANEをふと思い出してしまったし、プロデューサーであるAndrew Schneiderの手腕による凄みだろう。無機質なビートを上手く取り入れ、スラッジやインダストリアルも昇華している辺りもこのバンドの恐ろしい所だ。しかしそれらの音に一つの統率感をもたらしているのは間違いなくボーカルであるJulie Christmasの存在感による物だと思う。ヘビィネスをやってもインダストリアルをやっても、スラッジをやっても彼女達のサウンドになるの彼女のボーカルによる物が本当に大きい、ざらつき甲高い声でシャウトをかまし、本能のままに憎悪を吐き捨てる彼女のボーカルのパワーは凄まじい物だし、それに加えて女性ならではのゴシックな空気を生み出し、それを綺麗に聴かせるのではなくて、女性の奥底にあるドロドロとした殺意をプリミティブに吐き出しているからこそ、このバンド特有のざらつきは生まれているし、その狂騒こそ彼等のレンジの広いサウンドと見事にマッチしている。



 数多くの猛者とバンドを組んでいる人間が集まって構成されているバンドなだけあって、本当に濃厚なダークさを剥き出しのヘビィネスとして放出しているし、それを綺麗に取り繕わないで、醜さすら美しいと勘違いしてしまいたくなる情念の憎悪としてのヘビィロック。絶頂と狂騒に押し潰されてしまいそうだ。



■Discography 1994-1997/Anasarca


94-97 Discography94-97 Discography
(2002/04/16)
Anasarca

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 全ての音が泣いている。Anasarcaが放つ激情は言葉にするとその一言に尽きると思う。94年~97年と言う激情系ハードコアがまだ市民権を得ていなかった時代に活動し、僅か3年の活動期間で激情の名曲を残したワシントンDCのバンドであるAnasarca。今作はAnasarcaが僅か3年間の間に残した7曲の名曲を収録したディスコグラフィー盤である。



 彼等の音は激情系でありながらもエモの近い感覚を持ち合わせ、かといってメロディアスさを前面に押し出している訳ではなく、金属的なギターの音とストップ&ゴーを繰り返すビートはワシントンのバンドらしいポストハードコアの毛色が相当強く出ているし、ヘビィさで押し切る訳でも、メロウさを過剰に出す訳でも無く、ポストハードコアサウンドを機軸にしているからこそ生まれるエモーショナルさが彼等の魅力だ。そして忘れてはいけないのはその泣きの旋律の魅力である。ギターフレーズこそザクザクとしていて荒涼とした物ではあるけれども、その旋律は一々胸に来る切なさがあり、その刹那の瞬間の悲しみや哀愁を一つの激情として体現している。そしてしゃがれ声での叫び、ミドルテンポで進行する楽曲、しかし時にBPMを早めてバーストしたりもするし、そこからテンポを落として緩急を付けたりもする。基本的に本当にポストハードコアその物なサウンドでありながらも、その当時の空気を吸い込み、それを確かな形にしていると思うし、現在でも色褪せない物だ。そして絶妙に絡むコーラスワークがまた楽曲を見事に盛り上げてくれる。特に第1曲「East Bunk Hill」はこのバンドの魅力をダイレクトに伝える名曲だし、第4曲「Stationary People」の硬質なサウンドがバーストし、タイトなギターワークとビートがシンクロしながらも、そこにある蒼い衝動が迸り、次第にメロディアスかつドラマティックになっていく様は思春期の淡い美しさを感じる。特に気に入っているのは第5曲「Enginize」ザクザク進行するギターリフとコーラスのかかったアルペジオの絶妙な絡み、そしてついシンガロングしたくなる激アツなコーラスワーク!!加速する哀愁!!本当に堪らない。



 90年代前半から後半にかけて活動したバンドであるし、激情系でありながらもワシントンDCの当時のポストハードコアの空気を思いっきり吸い込んでいるサウンドではあるが、その蒼い旋律と魂の叫びは間違いなく激情であるし、激アツなギターワークとコーラスワークは激情好きだけで無く、エモ好きやポストハードコア好きも確実に虜にすると思う。胸を掻き毟る激情必聴盤だろう。



■深沢健介追悼企画 bury the sun(2012年7月1日)@吉祥寺 GOK SOUND

 six o'minusのフロントマンであった深沢健介氏。2010年3月に突然この世から去ってしまってもう2年が経つ。そして同じsix o'minusのメンバーでもあり、SUBTERRANEANSS、GROUNDCOVER.としても活動する遠藤泰介が深沢氏を追悼する為に開催しているこの企画も今回で3回目となった。生前深沢氏と関わりの深かったバンド達による爆音の追悼式。僕自身も何度もsix o'minusをライブで観た人間でもあるし、深沢氏の死は大きなショックでもあった。だからこそこのイベントに余計な感傷は抜きにして、ただ深沢氏がこの世で音楽をしていたからこそ繋がった猛者達の宴を純粋に楽しみたいと思い、今回足を運んだ。会場は本当に多くの人で一杯だったが、出演したバンドも、観に来ていた他のお客さんもきっとただこの夜に鳴らされていた爆音をただ純粋に楽しみに来ていたと思う。



・GROUNDCOVER.

 一発目は今回の主催者である遠藤氏がドラムを叩く望月氏率いる異次元音楽集団GROUNDCOVER.!!何度もライブを観ていたが観るのは本当に久々で、まず大幅に変更された編成に驚いた。ステージのド真ん中に巨大なミキサー。そしてギター、ドラム、サックス、ベース、パーカッションを含む6人編成。そして望月氏はギターを放棄し、ミキサーを操り叫ぶ!叫ぶ!!音楽性も大きく変わり、ダブ×トランスな超エクスペリメンタルサウンドを展開。とんでもないパッションで叩き出される遠藤氏のドラムはやはり格別であるし、、常に安定してグルーブを引っ張るベースに支えられながらギターとサックスが暴れ狂い、望月氏がダブ処理を施し本当に訳が分からん状態。過去の楽曲も完全に生まれ変わり、ノイズ塗れの狂騒の中でサイケデリックさとトランス状態感覚が加速し、エクスペリメンタルを極めようとする勢い。終盤ではそれが完全に巨大な渦を描き、望月氏は脚立に乗っかるわ、そっからダイブして叫ぶわと大暴れ!!その狂騒の渦を強大なカタルシスとして見事に叩きつけてくれた。一発目から本当にぶっ飛ばされた!!



・naxat

 お次はこちらは完全に初見なnaxat。個人的に感じたのは和製A Perfect Circleだなって印象。所々で変拍子とキメを絶妙に取り入れる手法のプログレッシブさや、分かり易くヘビィでありながらも随所にカオティックなフレーズを盛り込み、それをシンプルなヘビィロックに帰結させながらも、ボーカルの歌を最大限に生かすスタイルは多くの人に受け入れられそうな感じがするし、ライブでは安定感に満ちた楽器隊のアンサンブルが本当に際立っていて非常に好印象。ポジパンとヘビィネスとプログレッシブを融合させつつも、純粋にロックバンドとしての力量も確かに感じさせてくれるライブだったし、その耽美さは小さなスタジオのステージで色濃く花咲いていた。



・TACOBONDS

 鋭角ポストパンクとして名高いTACOBONDSのアクト。もう彼等のライブは何回も観ているのだけれど全く以って飽きない中毒性がある。捻れたビートを性急に繰り出し、奇怪なギターフレーズが行き先を失った先のサイケデリックさへと連れて行く。こうやって文字にすると難解に見えるかもしれないが楽曲はやはりポップさが核にあるし、その捻れを完全に味方にして、鋭角さの中にある一番尖った部分を観客に突き刺す殺傷力の高さこそ彼等のライブの魅力であると思うし、3ピースであるからこそ生まれるダイナミックな緊張感は本当に彼等の最大の武器だ。それでいて踊れるビートと音を生み出す事も忘れていないし、改めてずるいバンドだなと思わせてくれたし、そんな彼等は独創性とモヤモヤを同時多発テロしてくるからまた魅力的なんだと思う。



・STEINER

 こちらも観るのは本当に久しぶりなSTEINER。先のTACOBONDSとはまた違ったオルタナティブダンスミュージックを生み出す猛者であり、ジャンクさを極め、極限まで凍りついたギターサウンドの金属感を最大限に生かし、その鉄の冷たさと振動で一発で切り捨て御免であるし、ニューウェイブ感覚に満ちた、冷徹な人力ビートは本当に踊れるし危険だ。リバーブとディレイで脳髄を揺らし、その酩酊感覚に陥った脳髄に容赦無く叩き込まれる鋭角ジャンクサウンドは相変わらず健在であったし、やはり彼等もまた猛者であるのだ。



・Fragile

 そして奈良県が生み出した正当なるオルタナティブロックの継承者であるFragile!この猛者揃いのイベントの中でも郡を抜いて爆音のアクトを展開。一発目の「魔人間」から東京のフリークス共を完全にブチ殺しにかかってた。南はハイトーンで叫び、ツインギターが織り成すポストハードコアを極めたギターフレーズは正に必殺!!そしてダイナミックなグルーブで喝を入れる。しかし彼等の魅力は爆音の必殺のサウンドだけでは無いのだ。もう一人のフロントマンである大塚絵美嬢の爆音の向こう側から聞こえる声は彼等に絶妙なポップさを与えるだけでなく、絵美嬢がメインボーカルを勤める歌物の楽曲もそのポップさを生かしながらも、より爆音で繰り出され、よりダイナミックに伝わってくるのが本当に良い。南が暴れ狂いながら繰り出された「Alter」では逆に狂気は限界まで加速しているのに、そこに絶妙なバランスでポップさが同居しているし、その両面性は彼等の本当に大きな武器であると同時に、それを統率して爆音オルタナティブロックへと帰結させるライブは本当に是非一度は体感して欲しいと思う。ラストの「みずたまり」では爆音の渦のド真ん中で、南と絵美嬢の二人の声が確かな強度で聴こえていた。今回のアクトで彼等を知った人も多いとは思うが、東京のフリークス達に間違いなく大きな爪痕を残してくれた筈だ!!



・385

 そして元BLEACHのメンバー率いる385のアクト。ベースボーカル、キーボード、ドラムという編成も歪だが、それ以上に超絶技巧を繰り出す3人の変態デスマッチというのが正に彼女達の音だと思う。ありえない音数を叩き出す超絶技巧のベースが楽曲を引っ張り、フリーキーなドラムとキーボードが本当に好き勝手に暴れている変態の宴とも言うべきアンサンブルは本当に刺激的極まりない。ここまでスラップベースで好きに暴れまわりながらもグルーブを確実に生み出し、それでベースボーカルと言うのだから驚きだし、ハイテンションで繰り出す音の乱舞は見事だった。



・BOSSSTON CRUIZING MANIA

 東京のアンダーグラウンドシーンの裏番的存在であるボストン!!今回はGROUNDCOVER.の望月氏がダブ処理を施し、ダブモードのボストン。相変わらず反復と構築を際限無く繰り返し、それをドープなダンスミュージックとして吐き出す彼等のアンサンブルは最早鉄壁の領域にすらいると思っているのだけれども、そのダイナミックな躍動をダブ処理によってより深みへと引きずり込む物になっていたし、変則ビートはレベルミュージックに帰結している事はダブアレンジになった今回のアクトでまた明るみに出たとも思う。独自解釈を繰り返し、徹底した分解と構築の美学を彼等は変わらずにライブでも見せてくれるし、そんな彼等の音に酩酊しながら踊り狂うのであった。破壊の先にある創造を見せるボストンはやはり唯一無二だと思う。



・worst taste

 そしていよいよ終盤戦!脱臼ポストパンクトリオであるworst taste!!カイタ氏がまさかの出血と言うアクシデントこそあったが、シンプルなポストパンクサウンドと、キーボードによる不協和音が終わり無く続くアバンギャルドさの両方を今回のアクトでは見せつけ、狭いスタジオ内で超爆音で刺しに来るライブだったと思う。ロックとダンスとアバンギャルドを食らい、それを最高にキャッチーかつキチガイに繰り出し、超ハイテンショyンで暴れ狂う音の数々。骨太なアンサンブルが支配し、そこでやんちゃに暴れまわるギターフレーズの反復とダイナミックなビートが織り成すダンス天国がそこにはあったし、ラストはそれすら取っ払って、暴走する音を止めもしないでただ本能のままに繰り出す彼等は最高に格好良かった!!



・LOOLOWNINGEN & THE FAR EAST IDIOTS

 トリ前は元マヒルノの赤倉氏率いるLOOLOWNINGEN & THE FAR EAST IDIOTS。その評判の高さは色々な場所で耳にしていたし、デモ音源でマヒルノとはまた違う気だるい酩酊の世界に打ち抜かれた身として今日のアクトは本当に楽しみであったし、結論として期待以上のアクトだったと思う。よりアシッドになり、よりルーツミュージックに近づき、よりBPMは今にも止まりそうになり、より音はスカスカになり、それなのに本当にその空気や音のスカスカの隙間や、一音の響きすら支配し、それがそこらのドラッグなんかよりも絶大な効果のあるサイケデリックロックを打ち鳴らすのだ。本当にルーツに忠実な音でありながらも、その空白を完全に生かし、その奥底にある深淵へと導くロック。マヒルノ以上にスカスカでシンプルでありながらも、より解き放たれているし、赤倉氏はやはり鬼才であるのは間違いない。そして音源の何百倍も脳に浸透するアンサンブルは本当に脱帽の一言。



・SUBTERRANEANSS

 そしてトリは今回の企画の主催者である遠藤氏率いるSUBTERRANEANSS。今回のアクトも僅か3曲でアンコール無しであったが、狭いスタジオでのアクトだからこそダブを徹底して分解したノイズダブはよりダイレクトに伝わってくる。まず遠藤氏が本当に素晴らしいドラマーであり、ダイナミックでありながら、高い演奏技術を持ち、どんなビートやフレーズを叩いても、どこをどう聴いても遠藤氏のドラムになるという素晴らしさ。そしてピアノと不協和音とギターの轟音、全ての音に空間的処理を施しているからこそ、その一音の余韻すら最強に暴力的に聴こえてくるし、その暴力性を深めたからこそ、決して分かり易い盛り上がるパートとか無い音にも関わらず意識を完全に向こう側へと連れて行くのだ。その狂騒こそsix o'minusが鳴らした音であると同時に、SUBTERRANEANSSはその先にある天国か地獄かすらも分からない世界へと連れ出し、そこで訳の分からない汗を垂らし、冷え切ったままトランスさせるのだ。時間軸すら揺るがすSUBTERRANEANSS、涅槃の音を完全に鳴らしている。



 今回のイベントは深沢氏の追悼イベントであったが、そこに感傷は無く、ただ深沢氏がいたからこそ繋がった物を爆音で鳴らし、それを多くの人が楽しむ。そんなイベントだったと思う。ただのライブイベントとしてもこれだけの猛者のアクトをノンストップで見れるという素晴らしい物であるが、それは生前の深沢氏がいたからこそ生まれた物であるのだ。SUBTERRANEANSSのアクトの時に遠藤氏が今回参加したバンドとお客さんの簡単に感謝の言葉を述べたが、僕の方こそ遠藤氏に感謝の言葉を伝えたい気持ちになった。僕自身がライブ以外の部分で色々言うのは野暮だし、僕は深沢氏と直接的な親交は全く無い。でもこのイベントに出たバンドが本当に最高のバンドである事と、その点と点を繋げたsix o'minusの深沢氏が素晴らしい音楽を作っていた。僕はただそれだけだと思う。
タグ : ライブレポ

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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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