■2012年07月

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■Behind The Walls Of Melody/Emanon

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 個人的に実はハードコアが熱い国なんじゃないかと思っているラトビア発の激情系ハードコアバンドEmanonの06年リリースの1stアルバム。リリースはロシアのOLD SKOOL KIDS RECORDSから。Funeral Dinner辺りの正統派激情の流れを汲んでいたりするが、目まぐるしく変化する展開の嵐と怒涛のテンションが吹き荒れる作品であり、エモーショナルさをカオティックに加速させる1枚。



 まず驚くべきはメンバー全員がボーカル状態になってる怒涛のボーカルだ。メインボーカルが誰か分からなくなってしまうレベルで絶唱のリレーが巻き起こり、それが否応無しのエモを生み出しているのがこのバンドの大きな特徴であると言える。同時に2分台3分台の中で見せる楽曲展開もカオティックかつエモ。クライマックスの連続とも言える激情具合、合間合間にコンパクトに挿入されている静謐なパートを生かしながらもエモや激情の要素が全面に押し出されている。そしてローファイな音質がこのバンドのささくれ立った殺気をより際立たせているし、変拍子駆使のキメを多用してカオティックさも押し出す。ここまで怒涛という言葉が似合うバンドも中々いないだろうが、哀愁溢れる旋律をハイテンションに叩きつけてくる様は本当に熱くなれる事は間違い無しである。滅茶苦茶な楽曲展開を見せている様にも見えるが、暴発と静謐さを短いスパンで交互に繰り出す手法は彼等のアングリーで尖ったハードコアの核であるとも思うし、何よりもそんな音にドンピシャで嵌るボーカルリレーが堪らない。クリーンのボーカルは全く無く、ボーカルパートは常に絶唱の掛け合いが繰り出され、全身全霊で魂がぶつかり合う瞬間を一つのドキュメントとしてパッケージしているし、一瞬たりとも聴き逃す事は出来ない緊迫感が充満している。正に火花散るハードコア合戦だ!!



 正統派激情の流れを受け継ぎつつも、それをよりカオティックかつエモティブに仕上げた彼等のハードコアは本当に喉が擦り切れるレベルで叫びたくなるし、魂を燃やし尽くす勢いのエネルギーが充満している。90年代エモティブハードコアやフレンチ激情辺りの音の良さを濃縮しながらも、それをブチ壊す勢いで叫びまくるボーカルと楽器隊の全面戦争!隠れた激情系の名盤だと思う。



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■Electric Wolves/Castle

Electric Wolves



 AmenraやKidcrashや日本のMelt-Banana等の猛者の音源をリリースしているInitから投下されたアメリカはサウスダコタのポストメタル・スラッジバンドの06年リリースの3曲入作品。これぞスラッジポストメタルとも言うべき激重のリフとグルーブの洪水が容赦無く押し寄せながらも、その残虐さの中にあるメロウさが非常に魅力的である。予備知識無しでユニオンで購入したが大当たりだった。



 こうゆう系統のバンドにしては珍しく収録されてる楽曲は6分台と5分台という尺で、ポストメタル系では短めであるが、それ以上に彼等のサウンドプロダクトにはまず無駄が全く無い。冗長さを完全に排除し、激重のリフとグルーブを直情的に放つ続ける。芸術性や構築美といった要素も勿論高まってはいるけど、それ以上に無駄の無いサウンドが放つ直接的なヘビィネスとうねりの破壊力が突き抜けているのだ。そんな残虐さが際立ちながらも、歪みまくった音色の奥底にある繊細な旋律のメロウさとエモさも魅力の一つであり、楽曲の中に輪郭が明確な泣きのギターソロを挟んで来たりもする。暴虐さでは同じレーベルであるベルギー激重神Amenraに通じる物があるが、もっとシンプルで直接的なアプローチをしており、もっとメロウであるのがこのバンドだ。楽曲構成はポストメタルらしく決してシンプルでは無いのに、リフとグルーブで攻める漆黒の音から生まれるハードコアのドラマがそれを感じさせず、全編に渡って暗黒スラッジから生まれたドラマティックさが際立っているから、かなり聴き易いし感情移入もしやすい音になっていると思う。そんな彼等の魅力が詰まった第1曲「Violate」から吹き飛ばされるし、第2曲「Trepidation」ではタイトなビートと共に、情緒豊かな旋律が黒く咲き乱れ、中盤の怒涛のスラッジ地獄から、終盤ではミドルテンポのダウナーさに引き摺り込まれる。第3曲「Wrath」は今作の中で最も重苦しいグルーブが支配する1曲で、ベースの残響音の重苦しさから、黒の洪水へと雪崩れ込み、その中で激情を見せ付けてくる最もタイトでハードコアな1曲。破壊の限りを尽くしながらも最後は胸を打ち抜く旋律が重苦しくありながらその心を突き刺し押し潰して行く。それぞれの楽曲の完成度も凄い高い。



 3曲で18分半と決して長い作品では無いのだけれども、それ以上に濃密なスラッジ系ポストメタルが炸裂しており、緩やかに堕ちる感覚と共に、落下するスラッジリフと、ナヨさ皆無でありながらも、見えてくる情緒豊かな旋律のメロウさと正統派でありつつも、高い完成度を持つバンドであると言える。漆黒の美しさとうねりが支配する激重作品だ。

■The Prophet Feeds/Masakari


Prophet FeedsProphet Feeds
(2010/06/08)
Masakari

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昨年はドイツの超激情ネオクラストバンドであるAlpinistともスプリットをリリースしたMasakariの2010年リリースの1stアルバム。ジャケットは日本のハードコア絵師であるSUGI氏の手による物で彼等は日本のハードコアに大きな影響を受けているらしいが、彼等が鳴らすのはネオクラストと激情が正面衝突した暗黒のハードコアだ。一辺の甘えや隙の無い血みどろで野蛮過ぎる音は軽い気持ちで触れたら怪我をしてしまうだろう。



 そのサウンドスタイルはHis Hero Has Gone直系ではあるが、その先にある更にヴァイオレンスな音を彼等は鳴らす。単に激情系としての暴力性を高めるだけでなく、メタリックなギターリフは非常にトラッシュで殺伐としており、怒涛のカオティッククラストビートはタイトかつ重々しい。そんな粗暴さを追求し、楽曲の中で静謐さを感じさせるパートなんかはないが、脳菌ハードコアかと言ったらそれは全然違う。常にカオティックさをバーストさせながらも、高速のビートの嵐の中にスラッジ色のあるリフを盛り込んで来たりと細かい部分での緻密さも感じさせてくれる。何よりも常に輪郭が崩壊寸前の音圧を鳴らしているにも関わらずそのメタリックなリフからは物悲しさや叙情性といった要素を感じさせるのだ。こういったヴァイオレンス系のバンドではあるけれど、彼等の楽曲は非常にメロディアスであり、短い楽曲の中で目まぐるしくもドラマティックさを感じさせるメロディセンスは本当に光っている。まるでクライマックスに更にクライマックスを上書きする様な絶頂感のみで攻めてくる。ド直球カオティック激情で始まり、そこから顔を見せる悲壮感に満ちた旋律、そしてそれを高めていく絶唱の破壊力と言ったら本当に堪らない。クラストの殺気と破壊力、USハードコアらしいメロディセンス、現在進行形の激情とカオティックの洗練された音、そいつらを完全に暴力装置として機能させるからこそ、最初から最後まで常に闇のクライマックスが黒く塗り潰していく。ほとんどの楽曲がショートチューンに仕上がっているのも大きく、徹底して無駄の無いサウンドプロダクトと構成で、余計な前フリ等は必要ないと言わんばかりに絶唱状態が続き、あっという間に叩きのめされてしまう。



 現在進行形で盛り上がりを見せるネオクラストシーンの猛者であると同時に激情系の先人の叡智だけでなく、ハードコアの叡智を飲み込み、それをヴァイオレンスさの極まった極限世界として吐き出すMasakariはここ最近の暗黒系激情の中でも郡を抜いた存在であるし、ド頭から放たれる暴虐の激情は息切れ一つ起こさず、ドス黒さを高めて暴走している。ヴァイオレンスでシリアスである事を極めようとしているからこそ、この音が生まれた必然だけがある。



■Funeral Moth/Funeral Moth


Funeral MothFuneral Moth
(2008/06/01)
Funeral Moth

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 DE-NIHIL、COFFINS、BROBのメンバーによって結成された東京のフューネラルドゥームバンドの06年にテープでリリースされたデモ音源を08年に再録音しCDとしてリリースした作品であり、たった2曲で28分というもう期待通りのフューネラルドゥーム作品である。日本国内では恐らくかなり珍しいであろうフューネラルドゥームのバンドであるとは思うけど、無慈悲な暗黒は徹底している。



 彼等は泣きの旋律を用いて悲しみを生み出すバンドでは無い。とにかく美しい旋律と言うのは無く、絶対零度であり極限まで重いリフと、心拍数停止寸前の推進力放棄の空白だらけのドゥームのビート、徹底した規格と意識でそれを貫き、僅かな救いすら与えてくれない。第1曲「Ignorance」からいきなり16分の大作であるけど、冒頭から無慈悲かつ淡々と振り落とされる音塊、ドラムやベースはグルーブとかそういった物は当たり前に放棄しているし、ただ重く遅くある事のみに特化した音であり、肉体的重圧と精神的重圧を同時に生み出し、両方の面で暗黒重圧殺マシーンと化す。しかも一思いに殺してなんかくれないし、嬲り殺しの音楽となっている。楽曲の中で展開や構成といった要素もほぼ皆無であり、それにただ苦痛を描く超低域グロウルが乗る。それがただ16分続き、聴き手をどこまでも突き放すが、美しい旋律やドラマティックさを放棄してまでも徹底して絶望を描く姿勢は一貫しているし、徹底して重い。第2曲「Depressive Dawn Of A Dismal Misty Day」も尺こそ11分と少し短めになっており、微かに旋律を感じさせるアルペジオのフレーズが挿入されていたりもするけれど、歪みまくった重音は全く変わらず、呪詛の様なボーカルと共に推進力放棄で進行する。中盤で不穏のアルペジオのみになり、そこで囁く様なボーカルが入ったりと少しばかり展開の変化等もあったりするが、そこから感動的な音へと移行するなんて事は全く無いし、最後の最後まで漆黒の重低音が視界と聴覚を埋め尽くし、死の黒煙が噴出したまま終わりを迎えるのだ。



 感傷や救いを徹底して排除し、漆黒の重低音をただ放出する彼等の音は軽々しく聴ける代物では無いが、正座して自らの暗黒と対話する時に不思議と調和する音になっているのも事実であり、遅くて重くて暗いという要素を徹底して追及した音楽は暗黒系フリークスには涎が出る代物であるのも間違いないであろう。終末感を味わうには持って来いの一枚であり、その闇の美学に感服するのみだ。



■いいにおいのするDARK SUMMER TOUR 2012(2012年7月22日)@渋谷eggman

 ブラックメタルの代表格であるMayhemの元メンバーであり、SUNN O)))の準メンバーとしても御馴染みのAttila Csihar来日!本当に様々な方面でグレイトな海外バンドを呼んでいるいいにおいが企画するライブシリーズの東京編!!残念ながらキャンセルになってしまったが、本来はポストブラックの代表格の一つであるKralliceも参戦予定だったという豪華さ。Kralliceのキャンセルは非常に残念だったが、それでもAttilaを迎え撃つ国内勢も全然負けていない。激情とブラックメタルから冷徹なる音を鳴らすCoholと、国内ブラックメタルの大将ことSigh、いいにおいシリーズでは最早御馴染みのVampilliaと特濃過ぎるイベント!!そしてスタートと同時に会場のeggmanに入ったが、本当に人が多い!!正直想像以上の客入りで大盛況だった。そしてブラックメタルTシャツ率の高さよ。やはり黒い方々は多く潜んでいるのだなと思ったりもした。



・Cohol

 イベントは18時半ほぼきっかりにスタート。一発目はブラックメタルと激情系ハードコアを組み合わせ、深遠なる暗黒を鳴らすCohol!!前回観たKoiwa Death Fest.では寝坊による遅刻で半分しか観れず悔しい思いをしたが今回はしっかり個人的なリベンジを果たせた。そんな話はどうでも良いとして、今回はたった20分のアクトで正直言うと短いとも思ったが、そんなのどうでも良くなるレベルで文字通り懇親のアクト。KYOSUKE氏が怒涛のブラストビートを叩きつけ、HIROMASA氏が5弦ベースを巧みに操りながら、声帯が引き千切れんばかりの激情のボーカルを魅せ、ITARU氏は柵に何度も登り観客を煽りながら、静謐で凍りつきそうなアルペジオを盛り込みつつも、トレモロリフの洪水を巻き起こしながらこちらは低域デスで地獄を作り出す。たった3曲のアクトではあったが、今日のライブでは本当に1曲1曲が全て奈落の底とか最果てへと暴走する様なテンションがあったし、冷徹で漆黒のCohol節としか言えない激情が炸裂しまくり、極東のエクストエリーム世界が目の前に広がっていた。3ピースでここまで重厚な音を作り上げているのも凄いけど、その重厚さが全て絶望や悲しみへと向かい、極限の激情と化すCoholはやはり別格のバンドだ。エクストリーム極まりない面子しかいない今回のイベントでも圧倒的な存在感を見せ付けていた。

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・Sigh

 そして日本のブラックメタルの代表格である川嶋未来氏率いるSighのアクト。結論から言うと最高に楽しいライブをしてくれた。マイクスタンドに牛の頭の骨、飾られた蝋燭、火を放つシンセと視覚的にも楽しめるバンドだし、まず楽器隊の安定感が凄い。川嶋氏とミカンニバル嬢のパフォーマンスがやはり目立つが、音楽的にもブラックを越え、スラッシュやシンフォニックといった要素を取り入れ、それをド直球に叩き付けるアクトはそれだけでヘドバン間違い無し!そしてパフォーマンスが凄い!ミカンニバル嬢が本を燃やしたり、川嶋氏が火を燃え上がらせたり、とにかくやり過ぎ感が堪らないし、音楽的にもテンション上がりまくりで最高に楽しめるのに、視覚的な部分でも盛り上げてくれるからそりゃ今回ダントツで一番の盛り上がりだったのは言うまでもないだろう。スタスタと小気味良いドラムのビートと、爆音で歪んでいながら安定感のあるベースに、ザックリ切り刻みながらソロではここぞと泣いてくるギターと、最高にシンフォニックな川嶋氏のシンセの音と、川嶋氏とミカンニバル嬢のボーカルがぶつかり合う!!そりゃもう興奮するしか無いのだ!!40分程と少し長めのアクトだったにも関わらず、その楽しさが勝り本当にあっという間の時間だった。最後はミカンニバル嬢が低温蝋燭を自らに垂らしながらパンツに手を入れる公開オナニーというクライマックス。MCで「今日マスターベーションするとか言ってた奴、やってくれよ。」とか川嶋氏が言っていたし、それに便乗してのパフォーマンスだったのかな?ちょっと刺激強めでした。しかし徹底して観客のボルテージを上げまくるこれぞメタル!!と言わんばかりの楽曲とアクト、そしてブラックメタル最初期から現在まで活動を続ける猛者の貫禄を完全に発揮していたし、最高に笑顔になれるアクトだった。またSighを観たい!!と心から思う。

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・Vampillia

 いいにおいシリーズでは完全に御馴染みとなっているVampillia。彼等を見るのは今回が初めてだし、吉田達也氏と竜巻太郎氏のツインドラムセットと聞いて楽しみにせずにはいられなかったが、ブルータルオペラの名に恥じないアクトだった。彼等の楽曲は全然知らなかったりするが、まずは厳かなピアノとヴァイオリンの音が始まりを告げ、そこに空間系エフェクターを多数使用したギターが優しい音を静かに広げていく、その静寂の余韻からドラマーの二人が入り、そして前田敦子みたいなお面をした男性ボーカルが登場してから一気にその熱量を高めカタルシスへと雪崩れ込む。デスボイスとギターボーカルの女性のさながらオペラみたいな相反する声が何故か見事に調和し合い、そして正確無比でありながらとんでもない手数を魅せるツインドラム対決、ピアノやヴァイオリンがその音に厳かさと神秘性を加え、静寂と轟音を繰り返しながらストーリーは進行していく。時に寓話の世界を思わせるピアノのフレーズがファンタジーを作ったと思えば、デスボイスと轟音がそれを破壊する。美と醜さの対比と言えば良いのだろうけど、そんなチャチな言葉では表せない、エクスペリメンタルオーケストラが繰り譜広げられる。そして終盤になると今回のイベントの主役であるAttilaが乱入!予想はしていたけれど、それでもテンションは上がるしか無かったし、彼の多彩な暗黒ボーカルはVampilliaに新たな色を加えるし、VampilliaもAttilaの存在感に全く負けていない。そして最後はトリプルボーカルでの絶唱でエンディングというこれ以上に無い美しく残酷なクライマックス。ほぼノンストップであったが、ここまで異次元と非現実を音楽で生み出す多くの猛者による狂騒のオーケストラにはただ脱帽するだけである。

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・Void Ov Voices

 そしてトリは本日の主役であるAttilaのソロユニットであるVoid Ov Voicesのアクト。ほぼ暗闇に近い状態になったステージで黒いローブに青い照明を取り付け果てにはスモークまで噴出するという超謎衣装でAttilaは登場。キーボードとか機材とか蝋燭とか置かれたテーブルのみのセットは本当にこれから別の暗黒へと連れて行かれる予感しかしなかった。音楽的にはAttilaのお家芸である多彩な暗黒ボーカルを変化させたりループさせたりとボーカル主体で楽曲を作り上げるアンビエントな音楽。そしてSUNN O)))ですら裸足で逃げてしまうであろう地獄の洞穴から聞こえる呻き声ボーカルが無数に重なり合い、それに加えて、地獄の空気を生み出すアンビエントノイズの競演。もうeggmanは完全なる黄泉の国へと変貌しており、多くの観客がAttilaが繰り広げる闇の儀式を固唾を飲んで見守っていた。個人的には中盤のインダストリアル風味な無機質なビートを主体にトラックが進行し、そこにAttilaの呪いの声が乗るパートがかなりキテ、今までくぐもった閉塞感から開放されたと共に、また別の奈落へと連れて行かれる様な感覚を味わったりもした。一時間程のアクトであり、その音楽性もあって途中で少しダレたりするかななんて思ってもいたけど、そんな事は全く無し、ミニマルであり、分かり易いカタルシスも無い、聴き手を確実に選ぶ音ではあったが、それでも目の前で繰り広げられる闇と闇が交わり坩堝となり、更なる漆黒を生み出す光景はAttilaだからこそ生み出せる物だっただろうし。アクトが終わってからの観客の盛大極まりない拍手を聞くまで、eggmanにいた人々は確実に涅槃や奈落と行った世界へと連れ去られていただろう。

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 4バンドそれぞれが現実を破壊する異次元の音を鳴らす闇の日曜日とも言うべき今回のイベントは本当に非日常へと連れて行かれる思いで一杯となった。今回初めていいにおいシリーズに足を運んだが、ここまで特濃のイベントを開いてくれた事に感謝したいし、渋谷を確実に闇に染める異次元が確かにeggmanに存在していた。今でも目の前で繰り広げられた4つのアクトは本当に現実だったのかと疑問に思いたくもなる、そんなイベントだったし、いいにおいシリーズにはこれからも特別な夜を作り続けて欲しいと心から思う。
タグ : ライブレポ

■discography/Portraits Of Past

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 激情系ハードコアの必聴盤は数多く存在しているが、今作は激情系の中でも特に必聴盤になっていると思う。94年に結成され、95年に解散という本当に短期間の活動だったにも関わらず、90年代US激情の代表格として語られ、Funeral Dinnerのメンバーがかつて在籍していたバンドとしても名高いPortraits Of Pastの僅かな期間で残した楽曲をほぼ網羅した嬉しい嬉しい編集盤だ。



 彼等ももれなく激情系はカオティックの雛形を作ったバンドの一つであり、現行のそこら辺のバンドを愛する人は抑えておいて間違いないバンドであると言える。第1曲「Kqed Equals Volvo」の不穏なベースの音のストロークから、暴発するメロウかつ暴虐なサウンドと叫びに血管が一瞬でブチ切れてしまう筈だ。不意に楽曲のテンションを落とし、冷徹なタム回しを入れてきたり、変則的なビートでありながら暴発する部分でドンピシャでエンジンをフルスロットルにしたりと激情のツボというツボはもう完全に押さえている。それでメロディアスなパートもしっかり用意し、じっくり聴かせる懐の深さもある。激情系といったらメロウさに特化したバンドや、逆にカオティックさや暗黒さを追及するバンドが多かったりするが、彼等は暴発する部分では容赦が無く、メロウなパートではどんなに叫んでもその旋律に心を奪われるし、コーラスワークがそのメロウさをよりエモーショナルにしたりと本当に随所随所で魅せてくれる。特に1st収録の楽曲である第1曲から第7曲は本当にこれぞ激情系ハードコアと言わんばかりの素晴らしい名曲揃いであり、ドスの効いた音をしているベースが重みを与え、尖り切っていながらメロディアスなギターワークは攻撃性とメロウさを同時に与え、目まぐるしく変わっていく展開と共に暴発とメロウさを切り替え、最終的にはそれらが混ざり合う瞬間なんか本当に胸を熱くするし、楽曲の中での起承転結が明確だからこそ生まれるドラマティックさは壮大なスケールを持ちながらも、どこを切ってもハードコアであり続ける信念を感じる。ミドルテンポと暴発の切り替えにより切り返し、ドラマティックの構成、ソリッドなリフと絶唱、激情系には欠かせない要素を徹底して極めたからこその激情であり、そこにあるのは先人の圧倒的な力だ。



 今でこそ本当に多伎に渡る音が生まれ、多くのフリークスを獲得している激情系というジャンルではあるが、やはりそこに至るまでは多くの先人の存在を外す事が出来ないし、彼等は間違いなくそんなバンドだ。そして元メンバーはそれぞれ様々なバンドにてその先の音を鳴らしている意味も大きい。激情系ハードコアの最重要作品!心して聴け!!



■ENTERTAINMENT/SEKAI NO OWARI


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(2012/07/18)
SEKAI NO OWARI

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 最早武道館ライブまでしているし、完全に人気バンドの仲間入りしてしまっているセカオワの意外な事に初の2012年リリースの1stフルアルバム。元々は「世界の終わり」と名乗っており、その当時は彼等に対してかなりアンチに近い感情を抱いていたが、改名後に一気に化け始め、今作では改名後の成長と進化を見せ付けるに相応しい作品に仕上がったと思う。ポップである事を徹底的に突き詰めた作品だ。



 彼等の評価はボーカルの深瀬氏の色々とアレな言動だったり、色々と超越している歌詞だったり、変則的なバンド編成だったり、DJ LOVEがピエロだったりとそうゆう話ばっかり出てきている気がするが、彼等の音楽性はどこまでもポップであるのだ、彼等が登場した当時の音はそのポップさが正直言うと平凡だなって評価だったのだが、現在のセカオワは、正統派ポップスとしてただ単純に良い曲を作り続けるバンドになったと思う。アルバムに先駆けてリリースされたいたシングル曲も完成度が高かったし、特にギターである中島氏が作曲する楽曲が多くなり、バンドの作曲面でのメインコンポーザーになった事は本当に大きい。それとリズム隊不在で打ち込み主体のビートというバンドとしては弱点になりかねない要素をカバーし、より楽曲その物を洗練させた事も進化の秘訣になっている。ワンパターンだったアレンジも幅が広がり、カノン進行中心に作られた楽曲ばかりでありながらも、アレンジ等で方向性を少しずつ変化を付ける事によるある種のスタンダードさを逆手に取って、ありがちなコード進行だからこその取っ付き易さを生かしてくるのだ。歌詞も初期の頃の痛さが超越して狂気まで感じさせる楽曲もありつつも、大半の楽曲がその痛さがマイルドになりファンタジー要素のある物になっているからこそ、歌物であるが故に歌詞が前に出てしまい、歌詞の要素から彼等を嫌悪していた人でも彼等に対する評価を変えるだけの物になっているだろう。言うなればアニソンと古き良きJ-POPの両方のポップさを併せ持つのが今のセカオワのポップさの秘訣だし最大の武器になっている。打ち込み主体のサウンドだからこそ栄えるダンサブルなポップさと、高揚感に満ちた第2曲「スターライトパレード」、やたら切れ味のあるカッティング主体のギターワークが渋く、緩やかに熱量を高めつつもフラットさを保っているが故にすんなりと耳に入り込む心地良さを持つ第5曲「不死鳥」、反復するアコギとピアノのフレーズがヒップホップ風のトラックとなり、その反復による不穏さを出しながら、サビではストリングが前面出てシリアスさを高める狂気的セカオワの代名詞になるであろう第7曲「Love the warz」、ファンキーなワルツとも言うべき第9曲「生物学的幻想曲」、ポジティブなエネルギーと躍動感あるバンド感を前面に出した第14曲「Fight Music」、童謡チックなアレンジと旋律が光る最終曲「深い森」が個人的には今作の中でもセカオワの成長を強く感じた楽曲だ。



 収録楽曲も16曲と特盛だし、正直に言ってしまうと楽曲毎の完成度にはブレこそあるが、それでもかなり聴き所の多いポップアルバムに仕上がっている。元々アンチであった僕だったけど、彼等のポップネスは認めざる得ないし、改名後の確変入った彼等の一つの集大成として今作は存在している。期待以上の洗練と成長があるし、純粋にポップバンドとしてセカオワは高い完成度を持っている。これから先、更に化ける可能性があるとも思うし、これからに対する期待が更に高まる1stになった。



■ANIMAL/Human Beings

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 まさか台湾にここまで素晴らしい激情系バンドがいたなんて!!ギターのダン氏は22Recordsというレーベルのオーナーでもあり、台湾のハードコアシーンでは重要な存在にもなっているらしいHuman Beingsの1st音源が今作だ。日本にも来日しており、その事もあって日本でも徐々に知名度を上げ始めてるが、正統派激情でありながら、シリアスでダークな激情を鳴らし、攻撃性に特化した激情としての猛威を振るっている。



 とにかく彼等の音はソリッドさを極めている。数ある激情系の中でもここまでストイックな音を鳴らしているバンドも中々いないだろう。タイトさを突き詰めているからこそ楽器隊の音はとにかくシリアスだし、常に聴き手を突き刺しにかかってくる。そして特筆すべきはギターであるダン氏のギターワークだろう。時折空間系エフェクターを使い、ブレイクでカオティックな音色を出しつつも、尖ったリフを貫き、静謐なパートでは広がる音が轟音として広がり、そこから壮大なクライマックス激情パートへと雪崩れ込む美しさもあるし、ハードコア特有のタイトさを前面に押し出しながらも、それと対比させるクリーンさとスケールがあるのがまた彼等の持ち味である。そして常に怒りをブチ撒けるボーカル!血管ブチ切れ超ハイボルテージそして膨大なエネルギーを投げつけてくる!時折入る静謐なパートを非常に効果的に取り入れつつも、やはりメインディッシュは無尽蔵のエネルギーをシリアスかつソリッドに慣らしている点だろう。とにかく悲壮感が郡を抜いているし、聴き手に突き刺すサウンドと共に、生命とは何かを訴える彼等のハードコアは安易に聞き流す事など不可能だし、常に自分自身と対峙させられる気分になってしまう。カオティックも交えつつ、その尖った攻撃性を前面に押し出すサウンドはやはり格好良いのだ。それでいてシリアスでドス黒い音塊を放ってるから、激情系としては相当刺激的であると思う。



 台湾のシーンの事は全く知らないからアレではあるが、先日のSUMMER MEETINGで初めて彼等の音に触れて一発で虜になってしまった僕としては台湾という地でここまで高純度の激情が存在していた事が驚きであったし、それでいて正統派でありつつも、持ち前のダークさ、シリアスさ、尖ったアンサンブルという三種の神器をフル発揮し、暴発の激情を魅せるのだ。これからもっと日本でも名前と音が広がって欲しい。



■BALFES × SSFES presents SUMMER MEETING 2012(2012年7月15日)@新代田FEVER

 名古屋のレーベルであるレコードショップであるStiffSlackとBALLOONSによる共同企画!このイベントは二日間に渡り新代田FEVERにて行われたライブハウスフェスであるが、東京での開催にも関わらず東京を拠点に活動するバンドの出演は少なく、その大半が東京以外の各地方を拠点に活動する猛者が集結するという日本のライブハウスシーンの一つの縮図とも言えるイベントになった、果てには両日共のアメリカのSelf-Evidentの出演と二日目は台湾からの刺客であるHuman beingsの出演と日本という枠すら越えてしまった激アツイベントとなった。僕はイベント二日目のみ赴いたが、10バンドそれぞれが強烈なる激情の音をそれぞれのやり方で鳴らし、全バンドメインアクトとも言うべき超絶特盛爆音フェスティバルであった。そんな訳でFEVERは昼間から多くの人が集まり大盛況だったし、長丁場にも関わらず出演バンドのナイスな音は僕を休ませてくれなかった。



・heaven in her arms

 イベント前に公開されていたタイムテーブルを見て驚いたが一発目はまさかのheaven in her arms!!こんな大物がイベントの一発目かよとも思ったが、開演前のステージにセットされたアンプの要塞を見て、既に僕のテンションはクライマックス。実に2年振りに見たが、ド頭から圧巻の爆音激情世界を見せてくれた!!1曲目の「縫合不全」の静謐なアルペジオが鳴らされた瞬間からHIHAの神秘のドス黒い世界が開かれ、その爆音でありながら美麗の旋律が爆音の激情パートへと雪崩れ込む瞬間のカタルシスはライブだと音源よりも更に格段に伝わってくる。3本のギターが生み出す重厚極まりないアンサンブルもそうだが、合計アンプ8台という超爆音のセッティングでありながら、HIHAの音は五月蝿さではなく、その純粋な激情と楽曲の美しさをより際立たせる武器としての爆音なのだ。そしてイントロダクションである「声明」からHIHA必殺の激情カタストロフィーである「痣で埋まる」へ!!乱打されまくるドラムが悲しみの雨を鳴らし、シューゲイジングする3本のギターはハードコアでありながらハードコアすら越えた漆黒のシューゲイザーと化し、ケント氏の泣き叫ぶ様なシャウトが悲しみをより黒く染める!!そして最後に披露された新曲が現在のHIHAが誰も追いつけない境地にいる事の証明であった。「幻月」で見せた激情とポストロックとスラッジの融和とはまた違う、よりダイレクトな激情をカオティックかつ美しく壮大に鳴らし、最早完全に孤高の世界へと飛び立ってしまっていたのだ。久々に見たが、より洗練され、より混沌渦巻く轟音の要塞から放たれる痛みとしての激情は、イベント一発目からFEVERを超越世界にしてしまっていた。僅か3曲だったがいきなり絶唱の世界へと連れて行かれた。

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・to overflow evidence

 福島県はいわきから全国に激情を鳴らす5人組であるto overflow evidence。結論から言えば本当に心温まるアクトであった、彼等の音は確かに激情系のそれではあるが、殺気としての激情ではなく、持ち前の叙情性を伝える為の激情なのだ、爆音でバーストする展開もあるし、力の限りのシャウトもあるが、クリアな旋律が彼等の魅力であり、それは爆音のライブでも何も変わらない。何よりも本当にポジティブなエネルギーが彼等にはあるし、それを美しく紡ぎ合わせ、ドラマティックな展開を見せる。しかしただ単に美しさを追求するだけでなく、ハードコアバンドとしての力強さが彼等にはあるし、真摯である何の装飾も無いし、ドラマティックな旋律と、力強いビートと共に光を感じさせるポジティブなメッセージを発信する彼等のアクトには本当に胸が打たれた。福島にて生まれた若き激情のホープはFEVERを本当に温かい気持ちにしてくれたのだ。



・unripe

 こちらは沖縄からの刺客unripe。事前情報が全く無い状態で見たが、沖縄という言葉から開放的なバンドを想像してたがそれは良い意味で裏切られた。序盤から不協和音が爆音で鳴り響き、ポストロックの緻密さを取り入れながらも、哀愁と悲壮感に満ちた旋律が、ダークサイドの芸術としての音を鳴らす。冷徹で無慈悲でありながら、それと同時に聴き手の心をじわじわと侵食する黒いエネルギーを無尽蔵に増幅させ、爆発させる。沖縄のイメージを完全に裏切りながらも、沖縄のシーンの奥深さを知ると同時に、沖縄に潜む隠れた猛者の存在に戦慄してしまった。不協和音と共にカオティックかつ怒涛の破滅へのジェットコースターがFEVERで炸裂!沖縄激情も猛威だ!



・infro

 こちらは北九州からの刺客であるinfro。先程までの空気を完全に壊すメロディックハードコアだ!とにかくハイテンション&ハイボルテージ!歌心と激情の中間にある絶妙なポイントを針の穴に糸を通すかの如く潜り抜けるボーカルがまず良かったし、楽曲はとにかくハイテンションなライブ同様に終始泣きメロ前回で力強くメロウな旋律で正々堂々と立ち向かっていたし、タイトかつソリッドな音がエモーショナルさだけでなく、持ち前のメロディセンスを最大限に生かす鋭利さとして突き刺さってきた。何の予備情報も無しに見たが、その力強いアクトは多くの聴き手の胸を打ち抜く懐の大きさを見せるには十分過ぎる。



・malegoat

 お次は八王子代表エモーショナルロックバンドであるmalegoat。とにかく彼等の売りは清涼感溢れる旋律だ。USエモのシーンと完全に共鳴したサウンドは八王子と言う西東京の都市から世界へと羽ばたく飛躍感に満ちている。グッと聴き手の心を掴んで離さない人懐っこさと一抹の哀愁はライブでも余裕で健在であるし、時折見せる小技に効いたフレーズなんかもその魅力を拡張しているし、それでいて素直なまま力強い哀愁を見せ付けてくれる頼もしさ!今回の出演バンドの中でも特にストレートなサウンドを鳴らしていたし、その夕焼けサウンドの虜になった人も多い筈だ。



・FLEX

 後半戦一発目は仙台からド直球エモーショナルハードコアを鳴らすFLEX!!とにかく爆音!激しい!泣ける!と本当に何のギミックも無いドストレートなメロウなハードコア!とにかく全ての音が一貫してズ太くたくましい!そして漢気全開となったパワフルなアンサンブルは男の子だったら脳直で腕を突き上げるしか無いし、女の子だったらその巨根っぷりに濡らしまくるしか無いじゃないか!!そして泣ける!照れ隠しなんか無用と言わんばかりに激泣きの旋律をここまでストレートに響かせるかっていう楽曲にもうズッキュン間違い無し!!とにかく熱く魂を震わせるアクトだったのだ!いやー男の子で良かった!!

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・MIRROR

 そして今回の面子で唯一のインストポストロックバンドであるMIRRORのアクトへ。MCで一々会場を沸かせたりもしていたが、彼等のライブはとにかくハイボルテージ!!卓越した演奏技術で複雑極まりない楽曲をプレイしている筈なのに、彼等の音には本当に説教臭さとかそう言った物が全く無い。エモとかそういった物を通過しているからこそのポストロックというのもあるだろうけど、とにかく高いテンションでクリーンな音を爽やかかつ暑苦しく鳴らし、それでいてメンバーは終始笑顔だから観ているこっちまで本気で楽しくなってしまう!!無垢で透明度の高いアンサンブルを鳴らしているからこそ、その奥底にある少年の様な無垢さが際立ち、ポストロックをどこまでも純度の高い感情として鳴らしている。最後はギターの森氏があまりのテンションの高さにギターのストラップが壊れてしまうなんてシーンもあったけど、そんなアクシデントすらMIRRORらしいなとほっこりしてしまったよ。

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・forget me not

 国内バンドラストは愛媛が誇る激情3ピースであるForget me not!!たった一個のランプのみが照明代わりとなっているステージはやけに神々しかったりもしたが、僅か3曲のアクトにも関わらず国内激情系最高峰の底力を見せ付けた。3ピースでありながらほぼインストに近い感触で重苦しいフレーズを時には静謐に、時にはカオティックに鳴らし、そしてその不穏な静謐さからバーストする瞬間にここぞとばかりに絶唱と言うスタイルはダークサイドからゆらりと手を伸ばし、気が付いたら首を締め付けられている感覚に陥りそうだ。カオティックなラインを弾くベースと、ヘビィなリフを変則的に鳴らすギターと、変拍子駆使の少しばかりトライヴァルなドラムと、所々に入る絶唱のみで作り上げられたアンサンブルは激情であると同時に、激情の枠のみではとてもじゃないけど語り尽くせないし、Hoover直系でありながら、それを全く別物として聴かせるサウンドと、終末とかそういった単語が思い浮かぶライブでも悲壮感とも絶望とも違う平熱の狂気。初めて観たし、今回かなり楽しみにしていたバンドであったが本当に別格の激情に失禁しそうになったよ。

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・Human beings

 そしてトリ前は台湾からの刺客であるHuman beings!!ギターのダン氏はSUNNアンプとマーシャルの2台を使用と言うセッティングにわくわくさせられたが、本当に台湾にこんな凄い激情系HCがいたのかって驚きだった。初っ端からエフェクターでノイズを放出し、歪みながらもクリアな音が爆音で繰り広げられる。アンプ2台使用と言うのもあるが、とてもギター1本とは思えない超音厚で激情が攻める!攻める!攻める!静謐なパートですら、その淀みが垣間見えたし、そして暴発する激情パートでは耳をつんざく轟音がFEVERを埋め尽くす!!とにかくバンドとしてのエネルギーの量が計測不能であると同時に、正統派激情系HCを受け継ぎながらも独自に進化した激情はかなりソリッドであると同時に、そのストイックさと同時に動物的本能を完全に開放したパフォーマンスとエネルギーで暴発する瞬間に圧倒的な悲壮感と共に聴き手に訴え!対峙させる!!途中のMCでボーカルの人がダン氏にお子さんが生まれた事をたどたどしい日本語でカンペを観ながら報告していたのはやたら微笑ましかったが、そんな気さくさとは裏腹に、バンドとしては極限までシリアスさを極め、それを音でダイレクトに伝える圧巻のアクトだった。それにしても多数のエフェクターの使いこなし変幻自在の音色を生み出し、それでいて破壊的なサウンドも精神世界をキリキリ刻むヒステリックなフレーズも美しい音色も操るダン氏のギターワーク、本当に恐るべし!!



・Self-Evident

 そしてトリはポストハードコア・エモの素晴らしき猛者であるSelf-Evident!!ここまで爆音のバンドばかり続いたが、最後の最後でクリアな熱量を持つ彼等というのがまた何ともニクい。エモとかポストハードコアと言えば爆音サウンドを思い浮かべる人が多いが、彼等はなんというか本当に激渋でクールであると同時に、平熱の中で高まった熱量を繊細かつ大胆に鳴らしている。3ピースというシンプル極まりないスタイルでありながらさり気無く随所に盛り込む変拍子のキメと、それでいて基本的に歌にかなり重点を置いているというスタイルは派手では無いにしても、じわじわと込み上げる物がある。そしてここぞとばかりに叫ぶ瞬間もあるけど、それはほんの一瞬に訪れる微かな激情であると同時に、平熱から生まれたからこその熱さだ。エモとは爆音じゃなくても、歪んで無くても生み出せるという事を完全に証明しているだけでなく、ライブでも本当に自然体のままで、淡々と力強く一歩一歩確かなアンサンブルを鳴らしていたし、正にいぶし銀ポストハードコアの名に恥じないアクトだったし、彼等のアクトは本当にじんわりと来る物だった。最後に再び日本に来る事を今日集まった人々に約束したが、僕もまた彼等のアクトを観るのを楽しみにしている!

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 今回は二日目のみ観に行ったが、本当に日本と言う枠すら越えて、各地の猛者が一同に集結した意味は本当に大きいし、日本国内だけでも、まだまだ知られざる猛者がいる事を再認識させられた。東京で開催されたイベントという事もあって、普段は中々観れない地方のバンドをこうして観れたってのも大きいし、地方のシーンもまだまだ無限の可能性があると言う事だ。今回のイベントは「7割が東京外のバンドで!」というコンセプトを元に開催されたらしいが、そのコンセプトにが確かな形で実を結んだイベントだったと思う。
タグ : ライブレポ

■Disconnected/Greymachine


DisconnectedDisconnected
(2009/08/04)
GreyMachine

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 これは最凶のタッグが生み出した悪夢だ。Godfreshの首謀者でもあり現在はJesuで活動するジャスティン先生とISISのフロントマンであり、こちらも現在は多岐に渡り活動するアーロン先生。二人が師弟関係であるのは有名であるが、そんな二人がタッグを組んだユニットがこのGreymachineであり、今作は09年にリリースされた1stである。そして悪夢のインダストリアルノイズ絵巻だ。



 JesuとISIS、それぞれヘビィでありながら美しい幽玄の音を奏でているバンドであるが、今作はその真逆を行った作品であり、美しさなんて微塵も無いし、ノイズまみれの陰鬱な音がただひたすらにインダストリアルなビートと共に暗黒エクスペリメンタルミュージックと化している。確かにジャスティンのかつてやっていたGodfreshはスラッジすら巻き込んだ無慈悲で極悪なインダストリアルユニットではあったし、初期ISISはGodfresh、Neurosisフォロワーであったし、かなりスラッジ要素の強い音を打ち鳴らしてはいた。しかしそれらを越えるドス黒いノイズが空間を支配するインダストリアルの範疇を越えてしまった作品なのだ。ジャスティン先生はJesuではほぼ封印していた殺気だったシャウトを完全に開放しているし、ほとんどノイズ放出マシーンと化したギターが冷徹なリフを弾きながら、脳髄を締め付ける緊張感と共に全身をズタズタに切り刻む。極端に低域と高域を主張するベースはバキバキに歪み、インダストリアルビートがそれらの音の無慈悲さをより加速させている。音質に至ってはハイファイさとは完全に無縁になってしまった歪んだ音像と化しており、低域の音なんて音割れを当たり前の様に引き起こしていたりする。しかしただ狂気と粗暴さを馬鹿の一つ覚えにしてる訳では無い。こんな音楽性でも効果的に挿入されるサンプリング音や随所でボーカルにループをかけたりと細かい部分での芸でも魅せるのは流石の一言。作品全体で徹底してダウナーかつ冷徹なインダストリアルノイズが展開され、聴き手が休まる暇は無いし、極限まで癒しとか美メロとかいった要素を排除し、常人なら発狂確実な音像のみが今作では展開されている。特に極限まで殺意を高めた第5曲「We Are All Fucking Liars」は今作のハイライトとも言うべき1曲で、渦巻くノイズギターと、無機質に輪郭が崩壊したビートを容赦無く振り落とし、そんな音ですら楽曲の奥底から見える微かな旋律で神秘性を感じさせるから完敗。



 二人の鬼才がタッグを組んだ時点で只事では終わらないのは安易に予想出来たけれど、まさかここまで極限の音を作り上げるとは思ってもいなかった。初期ISISともGodfreshとも違う、ノイズの方向からインダストリアルの狂気を極めんとする今作。緻密でありながらも破壊的な音はやはり二人の鬼才ならではの物である。



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AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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