■2012年12月

■2012年BESTアルバム TOP50

 今回で三回目になりました毎年恒例の年間BESTを発表させて頂きます。今年は本当に名盤がアホみたいにリリースされまくった一年だったと思いますし、TOP50まで枠を広げさせて頂こうと思います。順位に関しては本当に気分的な物だし、順位とか関係なしにどれも素晴らしい作品ばかりです。そこは気にしないで下さい。では発表させて頂きます!!






Unknown Rooms: a Collection Ofacoustic SUnknown Rooms: a Collection Ofacoustic S
(2012/10/16)
Chelsea Wolfe

商品詳細を見る


第50位:Unknown Rooms: A Collection Of Acoustic Songs/Chelsea Wolfe

今年大ブレイクの美しきメンヘラ。ちゃんとポップであるのが良い。



40134428.jpg

第49位:Answersongs/The Anchors

三重のオルタナティブエモ。80sの流れのギターワークが秀逸。




Tokyo BlueTokyo Blue
(2012/04/11)
stereo type

商品詳細を見る


第48位:Tokyo Blue/stereo type

静岡三島から放たれたマスロックの多彩なる情景の数々の性急さ。




Split CraniumSplit Cranium
(2012/03/20)
Split Cranium

商品詳細を見る


第47位:Split Cranium/Split Cranium

アーロン大先生まさかのスカンジナビアハードコアで大爆発!




プティパ(初回限定盤)(DVD付)プティパ(初回限定盤)(DVD付)
(2012/03/28)
悠木碧

商品詳細を見る


第46位:プティパ/悠木碧

声優の音楽作品としてというか一つのコンセプトアルバム。ポップス作品としての完成度の高さ。



538115_410359485653270_270109466344940_1241508_2058573720_n.jpg

第45位:A Collection Of Hidden Sketches/Trachimbrod

どこまでもクリアでスケールのある激情の美しさに惚れる。



00046023.jpg

第44位:Memories, Voices/Cyclamen

Djent有望株の作品。日本人だからこそ生み出せる豊かなる感情表現。




HarmonicraftHarmonicraft
(2012/04/24)
Torche

商品詳細を見る


第43位:Harmonicraft/Torche

決して揺るがないストーナーポップの屈強さ。




ENTERTAINMENT 初回版(CD+DVD)ENTERTAINMENT 初回版(CD+DVD)
(2012/07/18)
SEKAI NO OWARI

商品詳細を見る


第42位:ENTERTAINMENT/SEKAI NO OWARI

本当に大化けしたと思う。2010年代のポップスの魔法。




Infinity OverheadInfinity Overhead
(2012/08/28)
Minus the Bear

商品詳細を見る


第41位:Infinity Overhead/Minus The Bear

エレクトロニカ導入後の路線を更に深化させた歌物ポストロックの豊かなる色彩。




WreckWreck
(2012/03/20)
Unsane

商品詳細を見る


第40位:Wreck/Unsane

もうアートワークから音楽性まで良い意味で何も変わらないヘビィなる惨血の帝王の貫禄の凄み。




MOONLIGHTMOONLIGHT
(2012/05/23)
SLIGHT SLAPPERS (スライト・スラッパーズ)

商品詳細を見る


第39位:Moonlight/Slight Slappers

速い!短い!五月蝿い!ヴァイオレンス!という大正義。



Clappedout air

第38位:Clappedout air/Fragile

期待の新人枠その1。ギターロック・ポストハードコア。ギターポップどのベクトルで見ても素晴らしい奈良の轟音の刺客。



KYOTY_UCOODASYITFP.png

第37位:Undiscovered Country Of Old Death And Strange Years In The Frightful Past/KYOTY

リリカルな激重ポストロックの優等生。




I.V. [Analog]I.V. [Analog]
(2012/02/14)
Loma Prieta

商品詳細を見る


第36位:Ⅳ/Loma Prieta

US激情の猛者が生み出したカオティック絵巻。



IND9400.jpg

第35位:デモ/おまわりさん

期待の新人枠その2。どこまでもエグいパラノイアなハードコアサウンド。極悪さを既に極めようとしてる。




Monolithe IIIMonolithe III
(2012/11/19)
Monolithe

商品詳細を見る


第34位:Monolithe III/Monolithe

相変わらず壮大でメロディアスなフューネラルドゥーム。お見事でした。




Materials ScienceMaterials Science
(2012/07/25)
DOIMOI

商品詳細を見る


第33位:Materials Science/DOIMOI

ヘビィさもカオティックさも全て突き抜けるエモさへと昇華する手腕に脱帽。



c0049495_18521922.jpg

第32位:333333333333333333333333333333333/Cyberne×DEAD×Knellt

正に混沌という言葉が似合うナイスなスプリット。Cyberneのジャンクさ、DEADのストイックさ、Knelltの胸に染みるドゥーミーさ、どれも良かった。



PNK1204-900.jpg

第31位:Disorderly/NoLA

期待の新人枠その3。スラッシュからハードコアからドゥームまでクロスオーバーさせた悪意のサウンド。これでまだ19ってのが恐ろしい位に既に貫禄を感じる。



20121111_9194cb.jpg

第30位:Twelve Inch Six Songs/theSun

北海道ハードコアの猛者がよりプリミティブなエモーショナルさに回帰した快作。




Riala [Analog]Riala [Analog]
(2012/07/31)
Suis La Lune

商品詳細を見る


第29位:Riala/Suis La Lune

どこまでもクリアに響き渡る激情。やはりこいつらは別格だ。




Emerald Forest & the BlackbirdEmerald Forest & the Blackbird
(2012/02/14)
Swallow the Sun

商品詳細を見る


第28位:Emerald Forest and the Blackbird/Swallow the Sun

お耽美ゴシックドゥーム。相変わらず楽曲の完成度の高さには驚かされる。




Anxiety Despair LanguishAnxiety Despair Languish
(2012/11/27)
Lento

商品詳細を見る


第27位:Anxiety Despair Languish/Lento

緻密さも多彩も手にした激重スラッジの煉獄



wt037.jpg

第26位:Terranean Wake/Worship

フューネラルドゥームの帝王はもう安定して遅いし重いい暗い。何も変わってないのが良い。




For My ParentsFor My Parents
(2012/09/04)
Mono

商品詳細を見る


第25位:For My Parents/MONO

路線こそは変わらないけど、映画的轟音ポストロックの底力は流石。



BLURRED-40-Cover.jpg

第24位:Emotional Outburst/Zagio Evha Dilegj

どこまでも極悪で下劣な長野のグラインドコアの狂気。速くて短くて極悪は正義!!



IMPS-60.jpg

第23位:The Living Dead/MOTHER

期待の新人枠その4。最高に男臭くて泣けるエモーショナルポストハードコア。



0962dd8c896c67b4c029c8fc401fc415.png

第22位:Har Nevo/The Black Heart Rebellion

来日してくれてありがとう!!最早激情すら超えたベルギーから放たれる不穏の響き。




The Broken ManThe Broken Man
(2012/01/17)
Matt Elliot

商品詳細を見る


第21位:The Broken Man/Matt Elliott

暗黒フォークの帝王。やはり健在。




SkylightSkylight
(2012/04/03)
Atoma

商品詳細を見る


第20位:Skylight/Atoma

ここまで耽美で宇宙的なサウンドは無いと思う。非常に神秘的なゴシックメタル。




ECHOESECHOES
(2012/07/11)
LOSTAGE

商品詳細を見る


第19位:ECHOES/LOSTAGE

長年の戦いの結晶をどこまでも力強く優しい歌へと結びつけてくれた。ワンマンも素晴らしかった。




灯台の上で待つ灯台の上で待つ
(2012/10/10)
sora

商品詳細を見る


第18位:灯台の上で待つ/sora

そりゃあのラストライブ見たら上位にしますよ!10年間お疲れ様でした。優しく羽ばたいていくマスターピース。




NoNo
(2012/06/26)
Old Man Gloom

商品詳細を見る




第17位:NO/Old Man Gloom

復活のOMGはもうアーロン大先生大爆発!ボストンハードコアオールスターの熾烈極まりない音塊。




Les Voyages De L'ameLes Voyages De L'ame
(2012/01/16)
Alcest

商品詳細を見る


第16位:Les Voyages De L'Ame/Alcest

来日してくれてありがとう!どこまでも光を放つ轟音の彼方へ。




Yellow & GreenYellow & Green
(2012/07/17)
Baroness

商品詳細を見る


第15位:Yellow & Green/Baroness

彼等の進化は必然だった。ヘビィさすら捨て去った先の孤高の道を歩んでくれ!!




The SeerThe Seer
(2012/08/28)
Swans

商品詳細を見る


第14位:The Seer/SWANS

闇の住人が生み出す憎悪の結晶。本当に飲み込まれる。




Weather SystemsWeather Systems
(2012/05/07)
Anathema

商品詳細を見る


第13位:Weather Systems/Anathema

本当に天すら越える至福の音だと思う。これ以上に美しい音があるのだろうか。




All We Love We Leave BehindAll We Love We Leave Behind
(2012/10/12)
Converge

商品詳細を見る


第12位:All We Love We Leave Behind/Converge

カオティックハードコアの最果てはやはり先人が抉じ開けるしか無かった。やっぱりConvergeはConvergeでしかない。



61JXuUZkq.jpg

第11位:Split/Northless×Light Bearer

Northlessも良かったけど、もうLight Bearerの壮大なる1曲の名曲だけでこの順位にしてしまった。来年出すアルバムは間違いなく化け物だと思う。



Eryn-Non-Dae-Meliora1.jpg

第10位:Meliora/Eryn Non Dae.

ポストメタルとかデスメタルとかカオティックとかDjentとかを超えた先の音をフランスから放つ猛者。もっと評価されろ。




Koi No YokanKoi No Yokan
(2012/11/13)
Deftones

商品詳細を見る


第9位:Koi No Yokan/Deftones

今こそデブ豚は絶頂期であると確信してる。何よりもチノのボーカルが過去最高に良い。タイトル以外は本当に良い。




Ariettes OublieesAriettes Oubliees
(2012/03/26)
Les Discrets

商品詳細を見る


第8位:Ariettes Oubliees/Les Discrets

実は作品だけはAlcest以上に気に入ってます。気高き轟音の奥にある慟哭のサウンドに胸を打たれたよ。




PosthumanPosthuman
(2012/06/19)
Jk Flesh

商品詳細を見る


第7位:Posthuman/JK Flesh

単なるインダストリアルへの回帰じゃ終わらないジャスティン先生の悪意の暴発。来日してくれてありがとう!!




Honor Found in DecayHonor Found in Decay
(2012/10/30)
Neurosis

商品詳細を見る


第6位:Honor Found In Decay/Neurosis

もう信者ですよ!!「Sun That~」に迫る作品を遂に作り上げてくれたのが嬉しい。そして来日はよ。



IMPS-34.jpg

第5位:Till The End/Curve

今年のエモーショナル大賞。もう名曲しかないし、徹底して泣きとポジティブなエネルギーに満ちたエモーショナルシューゲイジングサウンドに涙を流すしか無かった。




絶塔(ゼットウ)絶塔(ゼットウ)
(2012/08/15)
Z(ゼット)

商品詳細を見る


第4位:絶塔/Z

国内激情の猛者が最後の最後に生み出した最果てに聳え立つ激情の塔。本当に超越した音しか存在しない。最後の日まで全力で追いかける!!




Allelujah! Don't Bend! Ascend!Allelujah! Don't Bend! Ascend!
(2012/10/16)
Godspeed You! Black Emperor

商品詳細を見る


第3位:Alleujah! Don't Bend Ascend/Godspeed You! Black Emperor

奇跡の再結成から奇跡の新作リリース。どこまでもブレないからこそ信頼しているし、GY!BEは本当に孤高だから再結成後の作品でも進化を見せてくれた。



AmenraMassV.jpg

第2位:Mass Ⅴ/Amenra

今年の激重大賞受賞。Neurosisに認められたベルギーの激重神が放つドス黒い血で染められた悪夢の煉獄。もう誰も追いつけないんじゃないのか?



300.png

第1位:Pris A La Gorge/Milanku

本当に今年一番聴いた作品だと思う。手法は正統派ポストメタル・轟音系ポストロックだけど、焦らし無しでリミッターなんか存在しない激情と徹底して楽曲を磨き上げたからこそ生まれるメロディの良さ、本当に曲の純粋な良さだけでここまでの作品を作ってくれた。個人的に一生物の作品。



実を言うと今年一番聴いたのアイマスだけどね!!!!!



 そんな感じで今年の年間BESTはこんな感じです。今年は本当に名盤ばっか出たせいで順位決める必要無くね?とすら思いました。そして相変わらず激情系ハードコアとポストメタルばっかり聴いてた気がします。その中で愛媛のIMPULSE RECORDSが本当に良い作品をリリースし続けてくれたので、追いかけてて楽しかったです。その中でも本当にCurveが永遠に輝き続けるであろう傑作を生み出してくれた事には心からありがとうと言いたい。
 Tokyo Jupiterも本当に良い作品を送り続けてくれましたが、今年は本当にMilankuとの出会いは大きな意味が僕の中でありました、昨年Tokyo Jupiterから編集盤を出したAmenraもあそこまで熾烈な作品を生み出してくれるとは思ってなかった。
 数多くのベテランが作品をリリースした年でもあったけど、今年は本当にAlcestとGodfleshの来日は個人的にというか本当に多くの人にとって大事件だったと思うし、その目撃者になれたのは心から嬉しく思う。そして来年頭にはCONVERGEとOld Man Gloomの2マンとSWANSの来日(何で被ってるんだ!!)もあるし、まだまだ怒涛の来日ラッシュは続きそうですね。
 それに今年は国内の素晴らしいバンドの解散ラッシュだった。残念ながら即効でラストライブのチケットは売り切れて行けなかったけど、AS MEIASが最後の最後に残した1曲入りシングル(シングルだから年間BESTには敢えて入れなかったけど)は本当に最高の輝きを放っていたし、soraの最後のステージの目撃者になれたのは本当に誇りに思う。そして来年2月のZ最後の日は絶対に行きます!!
 今年は都内に引っ越したので昔みたいにライブ行ける様になったのは自分の中では本当に大きかったし、また現場に足を運べる喜びは大きかった。だからこそおまわりさんとかNoLAみたいなバンドに出会えたし。来年も時間と金が許す限りは現場に足を運ぼうと思います。
 では最後に今年の自分を象徴する一言と今年の殿堂入り作品の紹介で締めます。




THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL 05THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL 05
(2012/11/07)
如月千早(CV:今井麻美)、萩原雪歩(CV:浅倉杏美) 他

商品詳細を見る


殿堂入り:THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL 05/THE IDOLM@STER




アイマス最高!!!!!!!!!!!!!!!!
スポンサーサイト
タグ : 年間BEST

■割礼ワンマンライブ(2012年12月22日)@吉祥寺MANDA-LA2

 来年で遂に結成30年を迎え、そして現在こそがバンドの絶頂期である日本のサイケデリックロックの重鎮である割礼。非常にマイペースな活動を長年に渡って続けている彼等の今年を総括するワンマンライブに足を運んだ。会場の着くと既に多くのお客で賑わっており(やっぱり年齢層は高めだったなあ)、これから目の前で繰り広げられる甘く重い陶酔のロックに対する期待で胸が膨らんでしまう。座って観るタイプのライブは実に4年振り位だが(その時も同じ場所で割礼のワンマンだった)、普段と違う期待が込み上げたのは、いつもと違う空気のハコだからかもしれないけど、やはり僕の中で特別なバンドである割礼のライブだからだ。



 約15分程押して、客電が落ち、ステージでセッティングをしていたメンバーが楽器を構える。始まった。2012年の割礼を総括するライブの1曲目は彼等の代表曲であり、屈指の名曲である「リボンの騎士(B song judge)」から、鐘の音の様な印象的なギターのストロークが響く瞬間に完全に空気が変わり、徹底的にスロウなビートと音色、そしてメロディアスで甘く、精神的な閉塞感を感じさせ、緩やかに歪むギターの音色と宍戸氏のねっとりとした歌。そして日本のギターが徹底的に遅くするという形で分解されたフレーズが絡み合う。甘くロマンティックなロックを徹底的に遅くする事で独自の磁場を生み出す割礼のサイケデリックさはライブでは更に際立ち、本当に時間軸の感覚が歪み、地の底で震えがる感覚が想起させられる。そして終盤の超スロウで超ロングな宍戸氏と山際氏のギターそれで、その陶酔の世界は更に広がる。揺らぎと歪みを極めたギターの音色が、じわじわと侵食し、ただ淡々と同じラインを弾く鎌田氏のベースと、繊細さと同時にタイトさと屈強さと躍動を感情的に叩き付ける松橋氏のドラムがアンサンブルとして、この上無い以上に完璧であるし、この15分以上に及ぶ大作を1曲目に持って来て、完全に割礼にサイケデリックロックの真髄を見せ付けられてしまったし、曲が終わった瞬間に意識が完全に飲み込まれていた事をやっと実感した。
 そして宍戸氏の紹介のMCで今回のライブのゲストである工藤冬里氏が登場し、工藤氏を迎えての5人編成で迎える2曲目は「散歩」、工藤氏のインプロ的な感覚で弾かれるピアノが割礼の楽曲に更なる不穏さを加え、ある種の危うさを加えた「散歩」は全く別の楽曲になりながらも、変則的なピアノと、歪んだギターと、屈強なビートと、宍戸氏のロマンティックさが、残酷過ぎるレベルで静かに押し寄せる。静謐に重苦しい「INスト」で更に感覚の歪みと五感の歪みを更に加速させる、ドープな閉塞感にやられそうになり、「マリブ」で、割礼屈指に甘ったるさとメロウさが暴発し、過去の楽曲も全く別の物としてアップグレートし、現在の編成になったから生まれた楽曲も、割礼の真髄である甘さが更に極まっているし、本当に割礼は現在こそが最高の状態のバンドである事を改めて痛感させられる。そしてグルーブだ、メロディアスさと宍戸氏の歌だけでなく、スロウさの中で密かな狂気と鋭利さをむき出しにし、独自の磁場をあくまでもロックを徹底的にスロウにするという手法で生み出す、そして割礼にしか生み出せないグルーブを生み出す。その中で割礼に中でも比較的にBPMの速い「ラブ?」でもそのグルーブは健在だし、それに加えて松橋氏のドラムと、工藤氏のアップテンポなピアノのフレーズ性急さを生み出し、それまでプレイした楽曲と落差を生み出すだけでなく、純粋にロックバンドとして本当に極まっている割礼を目の当たりにした。「のれないR&R」で再び自らのスロウさを見せ、そこから繰り出されたのは割礼の屈指の名曲である「君の写真」。ラブソングとしての割礼の狂気が冒頭のギターぼフレーズから剥き出しになり、シンプルな言葉で歌っているのに、屈指の重苦しさと悲しみが咲き乱れ、コールタールの中にズブズブ沈んで堕ちていく感覚にただ身を任せてしまいたくなる。
 そしてドラムの松橋氏がドラムセットから立ち上がり割礼のライブでは恒例の松橋コーナーへ、マイクを全く使用せず、「今年も物販頑張って来ました!!」から始まり、そして物販の紹介だけで巻き起こる爆笑、工藤氏のピアノがやたら哀愁を誘い、さっきまでの重い酩酊の空気を良い感じで揺るませ、最後に曲紹介で締めて、「ゲーペーウー」へ。再びロックバンドとしての割礼を見せつけ、シンプルなビートと、オーソドックスなコード進行の横ノリのグルーズから生まれる揺らぎと歪みも改めて最初期の割礼の武器だったと実感。そしてそれを現在進行形でグルーブを進化させている事に驚く。そして本編ラストは「アラシ」と、「ルシアル」という2曲で、過去の楽曲と繋がる割礼にしかない揺らぎと甘さを見せ付ける。ラストの「ルシアル」は本当に最後の曲に相応しいロマンの暴発であり、最後の歪み揺らぐギターソロで完全に昇天させられてしまった。
 観客からのアンコールの拍手に応えてアンコールへ、宍戸氏が座ってギターを弾き、工藤氏の楽曲である「Manson Girls」をプレイ。アシッドな感覚と工藤氏の妙に引き摺った歌が印象的であると同時に、割礼のメンバーによる演奏がまた新たなざらつきを生み出す。そして最後の最後に演奏された「溺れっぱなし」は間違いなく今回のライブのハイライトだった。音源とは完全に違う楽曲になり、ロングバージョンとして約20分近くの壮大さを手に入れただけでなく、サイケデリックな陶酔を極め、ギターソロも長くなり、最後は全ての音が救いの無さと共にカタルシスを生み出し全てを漆黒のサイケデリックさで飲み込んだ。こうして約2時間全12曲に及ぶ割礼のワンマンライブは終了。ライブが終わって暫くは、その余韻が頭に残りっぱなしになっていた。



セットリスト

1.リボンの騎士(B song judge)
2.散歩
3.INスト
4.マリブ
5.ラブ?
6.のれないR&R
7.君の写真
8.ゲーペーウー
9.アラシ
10ルシアル

en1.Manson Girls(工藤冬里氏の楽曲)
en2.溺れっぱなし



 楽曲がプレイし終わる度に本当に惜しみない拍手が巻き起こっていたのも印象的だったし、重苦しい世界の中で、それこそ溺れっぱなしで良いやって感覚にすらしてしまう割礼の音楽は本当に唯一無二であり、人間の精神の内側へと向かうロックとして本当に最高峰に存在している。そしてそのグルーブや陶酔や揺らぎや歪みやロマンが全て深化するライブの凄みは本当に圧巻の一言だし、それは割礼だから生み出せたサイケデリックロックなのだと思う。バンドは来年で結成30年だが、恐らくは来年もマイペースに活動を続けていくと思うし、割礼は伝説のロックバンドでは無く、今が最も凄いバンドとしてその楽曲の様にスロウではありながらも、確かな歪みを残し続けるのだ。
タグ : ライブレポ

■Honor Found In Decay/NEUROSIS


Honor Found in DecayHonor Found in Decay
(2012/10/30)
Neurosis

商品詳細を見る




 このバンドは深淵の奥底から一体何を掴もうとしているのだろうか。最早シーンのオリジネイターであるのは言うまでも無いし、本当に多くのバンドが彼等に影響を受けているし、あのISISですら最初はNEUROSISフォロワーだった。そんな孤高のカリスマにして己の覇道を突き進む彼等の2012年リリースの実に5年振りの10枚目のアルバムが今作だ。「A SUN THAT NEVER SETS」以降のNEUROSISを総括するだけでなく、遂にNEUROSISは「SUN THAT~」に迫るだけの傑作を5年の月日を費やし作り上げた。



 確かに現在の彼等には90年代の頃の様な分かりやすい重さや殺気を極限で鳴らすバンドでは無くなってしまっている。でも「SUN THAT~」以降のエクスペリメンタルさと神秘的な美しさを追及したサウンドはやはり孤高の物であったし、最早完全に蜜月の関係になっているアルビニの録音は安定感があり、00年代以降のNEUROSISのカラーを本当に決定付ける大きな要因にもなった。今作でもそれは揺るがないし、今作で大きく音楽性が変わったかと言えば、それはNOだ。しかし確実に変化はあるし、00年代に追求し続けた自らの音を深化させ続けたからこそ行き着いた先でもある。分かりやすいスラッジ要素こそ今作は多くは無いけど、ポストメタルとかスラッジだとかそう言った枠組を超えたエクスペリメンタルな世界が広がっているし、作品一つで、壮大なストーリーを描く辺りはヘビィロックの芸術性を極めた彼等だからこそだと思う。
 今作の大きな特徴としては、先ずは今までの作品以上に民族楽器やキーボードといった音の比重が大きくなっている。勿論、徹底して重苦しく生々しいダウンテンポの引き摺るビートだって、重さと美しさを極めたギターフレーズだって健在だし、磨きがかかっている。何より第1曲「We All Rage In Gold」にて驚いたのはこれまで以上に歌っているのだ。管楽器の雄弁な調べも加わり、どこまでも大きなうねりを生み出している。殺気とかそういった要素は薄いし、そこに物足りなさを感じる人は多いとも思う。でも重苦しいサウンドから少しずつ精神は開放され、広大な大地にて地平線の最果てに浮かぶ夕日を観ている気分にすらなってしまうし、誤解を恐れずに言えばネガティブな感情も持ちながらも一種のポジティブな精神の開放だ。第2曲「At The Well」ではトライヴァルなドラムとスラッジでありながらも、緩やかに波打つギターリフが非常に印象に残るし、それらの音を機軸に幾重の音が重なり合い、最後には高揚感と共に激情を放つ。より雄大になり、地球という大地の終わりの無い躍動を厳かに描く様な第3曲「My Heart For Deliverance」もそうだが、長尺の大作志向の楽曲の中で明確なストーリーが存在し、それを聴き手にそれぞれ想起させて、世界と一つになったあらゆる感情の受け入れるサウンドだと思うし、それは自らの芸術性を徹底的に突き詰めた結果だと思う。
 パーカッシブかつトライヴァルなビートと極限のエクスペリメンタルさを見せるギターが破滅的な空気を生み出し、ある種のトランス感覚すら覚える第4曲「Bleeding The Pigs」、今作で最もダークな深淵を感じさせる最終曲「Raise The Dawn」は彼等の持っているダークさが輝く楽曲ではあるけど、それでも熾烈というより、その深淵の先に何があるのかを手探りで漂いながら捜し求めている様でもあり、救いがある。そして今作を聴き終えた時に、一つの壮大な物語は終わり、自らの五感が静かに覚醒させられていたのに気付くと思う。



 かつての破滅的熾烈さは無いかもしれないし、アルビニも彼等のそういった要素を生かす録音よりも、神秘性や芸術性を生かす録音を施している。はっきり言ってしまえば派手な作品では無いし、こう一発でガツンと来るタイプの作品でもない(ライブでは全然違う感じになってそうだけど)。でもこれまでのNEUROSISの作品がそうであった様に、今作も何度も何度も聴き返してこそ意味がある作品だと思うし、じっと彼等の音と対峙してこそ意味がある作品だし、だからこそ僕は今作を何度も聴き返す。そして聴く程にその凄みを知る事になるのだ。



■Meliora/Eryn Non Dae.

Eryn-Non-Dae-Meliora1.jpg



 フランスの5人組激カオティックポストメタルバンドであるEryn Non Dae.の3年振りのアルバムである2012年リリースの2ndアルバム。1stではあまりの完成度の高さと、極限まで緻密な楽曲と暴虐のブルータルなスラッジさにド肝を抜かれた反面、1stであれだけの物を作ってしまって2ndは大丈夫なのか!?って心配にもなったが、今作は前作よりはブルータルな要素は若干抑え目になってはしまっているが、彼等の持ち味であったポストメタル的緻密さが更に磨きがかかった傑作になった。



 7曲で約60分という長尺の楽曲ばかりが並ぶ楽曲の構成もそうだけど、今作はかなりの大作志向の作品になっており、彼等の暴虐さの裏にあった緻密な頭脳的なアプローチといった部分がより表に出ている。しかし極悪さは相変わらずで、分かりやすいアプローチが出てきた反面、よりカオティックさとデスメタル的粗暴さとスラッジな重さが正面衝突し、それをDjent的なアプローチで鳴らした作品になっている。不穏な空白すら聴かせる重みは相変わらず健在ではあるけど、それに加えてカオティックさがバーストするパートではより破壊力とカタルシスが鍛え上げられているし、少しばかりメロウさも加わり、間口を広くしつつも、計算に計算を尽くした混沌が暴発する。
 第1曲「Chrysalis」から約2分間のアンビエントなドローンサウンドがSE的に始まり、そこから一気に変拍子炸裂のツインギターが複雑に絡み合いながら地獄の果てにダイブする激カオティックサウンドが展開。ひたすら絶唱を繰り出すボーカルもあり、瞬く間に視界がドス黒い血飛沫で染まってしまう。更にUneven Structureにも負けないレベルの壮大なスケールと高い演奏技術による緻密さもあるし、Uneven Structureがカオティックさから宇宙へと飛び立って行くなら、彼等はカオティックさから煉獄をありとあらゆるダークな色彩で描いていくのだ。静謐なパートを盛り込みつつ、複雑怪奇なドラムがその先にある破滅を予感させ、そして暴発するカタルシスは本当に絶頂物。約12分にも及ぶ第2曲「The Great Downfall」に至っては完全にポストメタルの独自解釈の領域に達した複雑かつ壮大な楽曲を無慈悲な激重スラッジで叩きつけているし、まるで最も凶悪だった頃のNeurosisとMeshuggahが正面衝突したかの様なエクスペリメンタルさすら感じるサウンドを展開しているし、最後は引き摺る音が終末を体感させてくる。
 今作の中では一番分かりやすいカオティックハードコアサウンドを展開しながらもスケールは変わらない第3曲「Scarlet Rising」、よりDjent感が出ている第4曲「Ignitus」と続いて第5曲「Muto」では今作屈指のカオティックブルータル絵巻が展開され、統率された世界観の中で地獄の堂々巡りを繰り返している感覚すら覚えそうになる中盤の3曲も凄いし、完全にNeurosisレベルのエクスペリメンタルさを手に入れてしまった事に恐怖しか感じない第6曲「Black Obsidian Pyre」と、あまりの楽曲の完成度の高さに驚くしかないが。最後の最後に待ち構えている最終曲「Hidden Lotus」は正に今作屈指の出来を誇る名曲。悪魔達のパレードを想起させる冒頭の激重リフの応酬から、カオティックハードコア・デスメタル・ポストメタル・Djentとあらゆるエクストリームなサウンドを食い尽くた先にある血みどろの世界を描き、今作の凄まじさを総括し終わる。



 前作を初めて聴いた時は、新人若手バンドとはとても思えない極悪さと緻密さと完成度の高さにド肝を抜かれたが、2ndである今作は更にエクストリームさを拡大させ、より混沌をダイレクトに伝え、アンサンブルの強度と破壊力を鍛え上げ、独自のカオティックサウンドを自らの手で掴み取った作品だと思う。先人達の叡智を継承しながらも、その先人すら喰い殺そうとする暴虐の限りを尽くす5人組。こいつらは本当に凄いバンドだと思う。そして今作を聴いて本当に強く思ったのは、もうこれ以上の作品作れるの?3rd大丈夫?って前作を聴いた時と同じ事を思ったが、こいつらは次回作でまたとんでもない化け物を生み出してくれる筈だ。



■LOSTAGE ECHOES TOUR(2012年12月18日)@渋谷CLUB QUATTRO

 幾多のピンチを乗り越えながらバンドとして突き進んで来たLOSTAGE。最早3人体制も完全に板に付き、自らの音を進化させ続けているが、今年は5枚目のアルバム「ECHOES」をリリースし、本当に素晴らしい名盤を世に送り出した。今回のライブは「ECHOES」のリリースツアーのファイナルとなるワンマンであり、LOSTAGEにとっては2012年のラストライブであり2012年を締めくくる大切な日でもあった。事前にこの日のライブが後にライブ盤としてリリースされるって告知もされていたし、本当に特別な夜になる予感しかしなかった。19時15分頃に会場に着いたが、既に多くの人で賑わっており、LOSTAGEの登場を誰もが待ち望んでいた。



 開演時間から10分程押して、LOSTAGEの3人が登場。一気に会場のボルテージが高まる。そして一発目は新作でも1曲目を飾る「BROWN SUGAR」。LOSTAGE必殺の1曲に新たに仲間入りしたこの曲のざらついたギターストロークのイントロが掻き鳴らされた瞬間に、モッシュが発生し、その鋭利なオルタナティブサウンドが炸裂!!一気にフロアのボルテージを高める五味兄の叫びと、3ピースだからこそのスリリングなアンサンブルがもう既に完璧な形となっていた。そしてLOSTAGEの鋭角チューンが次々と乱打。3ピースになってからのLOSTAGEは本当に余計な装飾の無い、最低限の音で最大級の破壊力を生み出すという引き算の美学が光る楽曲ばかりだし、「断層」の空白すら聴かせる、削ぎ落としまくったポストハードコアサウンドは、ライブでは更なる不穏さを生み出し、不気味に降り注ぐベースの音色から、ささくれ立ったギターフレーズが一気に広がる瞬間のカタルシスは凄かった。そして歌物オルタナティブである「BLUE」では、青い疾走感が咲き乱れていたが、音源以上にどこまでも透明感溢れるギターの音色が更なる郷愁を生み出し、心に静かに刺さっていく。しかしその流れから「DOWN」の様なビートとリフの切れ味勝負な楽曲が続くだけで無く、それが一つの流れとして本当に自然に存在させる事が出来るのはLOSTAGEの大きな魅力だと改めて痛感した。歌を聴かせる「あいつ」の鋭さの中にある優しさや、「私」のストーナーな広がりを見せるギターフレーズも、全部LOSTAGEとして確かな必然として存在している。
 ライブも中盤に入り、告知されていた通りゲスト参加の時間へ。一人目のゲストはサックス人間こと俺たちのZの根本潤!!Zの名曲「蛇鉄」のサックスのフレーズを少しだけ吹いたりというお茶目なサービスをしていたりしてたが、フリーキーなサックスが吹き荒れる「真夜中を」にて新たな空気を生み出す、続いて演奏された「裸婦」もそうだけど、根本潤が音源の方でもサックスで参加している2曲は、LOSTAGEの持つ鋭利さに、更なるフリーキーさと不気味さを加え、それぞれが相乗効果を生み出し、楽曲の破壊力を増幅させている。それを改めて実感させてくれたし、根本兄のサックスはLOSTAGEのアンサンブルの中で必然として存在していた。根本兄が掃けてからは、「眩暈」、「僕の忘れた言葉達」と、オルタナティブさの中でキャッチーさと歌心を響かせる曲が演奏される。「僕が忘れた言葉達」の印象的なベースラインと共に高らかに歌う五味兄からは本当にポジティブなエネルギーを感じたよ。
 いよいよライブも佳境に差し掛かり、続いてRopesのアチコ嬢がゲストで登場。そして「楽園」が演奏される。LOSTAGEの新機軸を打ち出したこの曲は、ダブ的なアプローチを展開し、彼等のグルーブにある種のドープさを盛り込んだ楽曲であると同時に、その冷たいグルーブの中でアチコ嬢のコーラスと共に、優しい歌を響かせる五味兄。冷え切った体を優しく温めてくれている様な感覚すら覚えた。そして更にmelegoatの岸野氏とsawagiのコイチ氏もゲストで登場。五味兄がベースをアコギに持ち替えて演奏された「NAGISA」、「これから」は新作でも本当に重要な核となっている楽曲だし、オルタナティブさすら放棄してしまっているが、LOSTAGEがその鋭利さだけでは無く、どこまでもメロウで優しい歌を奏でるバンドである事の証明でもあるし、この2曲に心がキュッとなった人は本当に多かったと思う。
 ゲストの3人が掃けて、ライブもいよいよ終盤。ハウリングノイズと共に一撃で全てを殺すギターのイントロを五味弟が鳴らした瞬間にさっきまでの温かい空気を破壊するLOSTAGEの必殺の名曲「Hell」!!岩城氏の怒涛のドラムと、五味兄のバキバキに歪んだベースと、五味弟のもう必殺しか無いと言わんばかりのギターリフの応酬が織り成す、殺戮ポストハードコアサウンドに再びモッシュが発生し、更なる狂騒の渦が生まれる。続く「カナリア」でも歪みまくったベースラインが必殺のキメの嵐が吹き荒れ、オルタナティブロックの楽園が正に目の前に広がっていた。本編ラストは「夜に月」、尖りつつも、新たな夜へと疾走する感覚が吹き荒れ、本編は終了
 フロアの拍手に応えて、再びLOSTAGEの3人が登場しアンコールへ。アンコールではZの怪物ギタリストである魚頭圭がゲストとして登場。そして新作で魚頭氏がゲストでギターを弾く「ペラペラ」を演奏。五味弟がギターを爪弾き、そのループするフレーズの不穏さから暴発するオルタナティブサウンドは魚頭氏のギターが加わる事によって更なる広がりと、アンサンブルの屈強さを叩きつける。そして続いて演奏されたのはLOSTAGE最初期の名曲であり、彼等の代表曲とも言える「手紙」!!!!!!4人編成だった時はライブで絶対最後にやっていた名曲のイントロのドラムが鳴った瞬間にフロアは本当に狂騒の渦へ。誰しもが腕を突き上げ、後ろ向きな癖に前を向こうとする五味兄の歌に魂が震え上がったし、五味弟と魚頭氏のツインギターの破壊力、変則的な癖にどこまでも力強いビート、全ての音と歌が必然として存在し、惨めであっても明日を生き抜こうとする歌はLOSTAGEのバンドとしての姿と凄い重なるし、だからこそLOSTAGEにしか鳴らせない歌として「手紙」は存在するし、だから本気で涙を流しそうになった。そしてアンコールラストはこちらも最初期の名曲「MINDJIVE」プリミティブなオルタナ・ポストハードコアサウンドが狂騒を更に加速させ、五味兄はフロアにダイブし、最後はベースを弾くのを放棄して、ピンマイクで叫びまくる、その瞬間のカタルシスによってアンコールは終了。狂騒と狂乱の中で惜しみない拍手が響く。
 止まないアンコールの拍手に応えて、再び3人が登場。二回目のアンコールへ。演奏されたのは3人編成になってからの新たな旅路を始まりを告げた楽曲でもある「ひとり」!!!!!!!!!もう五味弟の絶妙に歪んだLOSTAGE史上最強のイントロのギターストロークで再び魂の沸点は余裕でオーバーしてしまったし、狂騒も鋭利さも、憂いも全ての感情をアンサンブルとして叩き付けるこの楽曲は凄みやライブではさらにダイレクトに伝わってくるし、本当に胸を熱くさせられた。そしてアチコ嬢と岸野氏とコイチ氏が再び登場して、五味兄がアコギを持ち最後の最後に演奏されたのはLOSTAGEで一番優しい歌を聴かせる「NEVERLAND」。岩城氏の力強いドラムから始まり、本当に素直で剥き出しのままの感情とか郷愁とかがスッと胸に入り込み、自らが帰る場所への愛だったり、想いだったりが本当に胸を貫いた。もう終盤は何度も涙ぐみそうになったが、最後の最後に演奏された「NEVERLAND」は今日という特別な日が終わっても、まだこれからも歩みを進めていけるっていう大きな希望があった。こうして約2時間半以上に渡るLOSTAGEの大熱演は大団円を迎えた。



セットリスト

1.BROWN SUGAR
2.12
3.断層
4.BARON
5.言う
6.BLUE
7.DOWN
8.TOBACCO
9.あいつ
10.私
11.真夜中を
12.裸婦
13.眩暈
14.僕の忘れた言葉達
15.喉
16.瘡蓋
17.楽園
18.NAGISA
19.これから
20.Hell
21.カナリア
22.夜に月

en1.ペラペラ
en2.手紙
en3.MINDJIVE

en4.ひとり
en5.NEVERLAND



 五味兄がMC音楽と生活が本当に近くにあるっていうのは有難いと思うみたいな事を言っていたけど、LOSTAGEの音楽は本当に日常や生活といった物とシンクロしているし、だからこそ確かな強さと説得力を感じる。この日集まった人々にもそれぞれ生活や帰る場所があるし、僕にもそれはある。そんな日々を生き抜いて行く為の音楽としてLOSTAGEは本当に最強のバンドである事を今回のワンマンで改めて痛感させられた。
 日々を生き抜く為のオルタナティブロックとして僕はLOSTAGEを心から愛しているし、今回のワンマンで本当にLOSTAGEはでっかいバンドになったなあとしみじみ思った。でもどれだけ人気のバンドになっても、LOSTAGEは何も変わらないだろうし、これからも活動を続けて、良い作品を生み出し続けていくだけだと思ったりする。だからこそ僕はLOSTAGEってバンドが好きなんだなって思う。本当に特別な夜になったし、僕は心の底からLOSTAGEにありがとうって言いたい。
タグ : ライブレポ

■Ariettes Oubliees/Les Discrets


Ariettes OublieesAriettes Oubliees
(2012/03/26)
Les Discrets

商品詳細を見る




 Alcestとスプリットをリリースした事でも御馴染みな、AmesoeursのメンバーだったFursy Teyssier率いるポストブラックメタル3人組であるLes Discretsの2012年リリースの2ndアルバム。不気味なジャケットからはおどろおどろしい音楽性を想像してしまうかもしれないが、これがAlcestにも負けず劣らず天上の美しさを持つシューゲイジングブラックメタルであり、至高の美しさを見せてくれる。



 彼等もAlcest同様に、もうブラックメタルじゃないだろって音楽性だったりする。ブラストビートやトレモロリフは確かに存在するけど、あくまでも楽曲の中でふりかけ的な感じで使われているだけだし、今作の大きな持ち味はAlcest同様に激メランコリックな旋律が織り成す繊細で美しい芸術性だろう。それにMONO的な映画的情景の描き方を見せてくれるし、一つの作品で一つの映画みたいなドラマティックでストーリー性溢れる作品だと思う。どこまでも丁寧に作り上げられた繊細で緻密な楽曲の完成度の高さにも驚くし、シューゲイジングする美しい轟音だけではなく、アコギの柔らかな旋律も取り入れ、儚い幻想的な世界に気付いたら飲まれているだろう。一つ一つの旋律で情景を描き出し、FursyとAudrey嬢のボーカルがそれを更に感動的に仕上げる。正に直情的な激メランコリックシューゲイジングブラックメタルであり、一つの感動的な映画の様な作品だ。
 今作のイントロ的立ち位置の第1曲「Linceul D'hiver」の静謐なギターの旋律から、聴覚と視覚がシンクロして、深い森を彷徨うオープニングが目に浮かび、轟音フレーズが壮大なるオープニングを更に加速させる。そして第2曲「La Traversée」に雪崩れ込んだ瞬間に、その幻惑の世界が一気に浮世の悲しみや負の感情を洗い流すメランコリックな轟音のシャワーが降り注ぎ、心を綺麗に洗い流される様な感覚と、静かに空を羽ばたいていく感覚が同時に体験出来る。ただ単純に気品高く美しいとか、柔らかで優しい旋律に包まれる優しさがあるだけじゃ無くて、悲しみの先を描くメランコリックさも際立っているし、何処かシリアスな緊迫感も楽曲にあるし、若干ブラック色が出てくるパートなんかは、そんな要因を持っていたりするけど、それでも徹底した美意識が生み出す芸術的な音の情景は全く変わらないし、それは本当に作品全体で一貫している。
 何処までもクリアでありながらも、少しばかり悲壮感と憂いを感じさせるギターフレーズが非常に印象的な第3曲「Le Mouvement Perpetuel」や、今作では一番アップテンポでありつつも、トレモロリフの轟音とアコースティックギターの対比と融和が美しい第5曲「La Nuit Muette」や、シューゲイザーやブラックメタルと言った要素すら捨て去った先にある、剥き出しの美しさと、彼等の楽曲の本質的な部分が出た第7曲「Après l'Ombre」も名曲であるが、特に素晴らしいのは第4曲「Ariette Oubliees I Je Devine à Travers Un Murmure...」だろう。アコースティックギターのフレーズに導かれた先に、超轟音のメランコリックで触れたら壊れそうな轟音の繊細さは本当に儚く感動的で、今作のハイライトとも言える。そして第6曲「Au Creux De L'hiver」は今作のもう一つのハイライトであり、シャウトなんかは全然使っていないのに、その旋律は正に感情の正面衝突であり、正にシューゲイジングブラックから激情が強大なうねりとして押し寄せ、もう涙無しでは聴けない感情の轟音絵巻が展開されている。今作は非常に気品溢れる作品であるが、「Au Creux De L'hiver」のメランコリックな激情は個人的に今作の一番の感動的シーンだと思う。



 今年出たAlcestの新作も勿論素晴らしい作品だったが、Les Discretsは今作でそのAlcestすら超える勢いで激メランコリックかつ芸術性と数え切れない色彩を用いた情景をどこまでも高次元に描く作品を生み出してしまった。僕は今作を聴いて、Alcestの1stを初めて聴いた時と同じレベルの感動と衝撃を味わったし、それはどこまでも繊細かつ巧みに描かれる音の情景や、旋律のリリシズムもそうだけど、何よりも魂にダイレクトでぶつかってくる旋律に本当に心をぶっ飛ばされた。Alcestの新作同様に2012年の重要作品になるのは間違い無い筈だ。



■sora presents「1st full album “灯台の上で待つ” release tour 2012 – Final -」(2012年12月15日)@下北沢ERA

DSC_0496.jpg



 八王子のエモーショナルオルタナティブロックバンドであるsoraが約10年に渡る活動に終止符を打つ。遂に1stアルバム「灯台の上で待つ」をリリースし、それに伴うレコ発ツアーでsoraは活動を終了。今回のライブは、そんな最後のツアーのファイナルであり、soraのラストライブでもあった。他の出演バンドもsoraの活動の歴史の中では切っても切り離せない盟友であり、本当に最高のエンディングをsoraは迎えようとしていたし、結論から言うと、本当に最高のラストライブだった。全バンドが本当に素晴らしいライブをしていたし、soraは本当に一切の感傷もいらない笑顔溢れる最高のライブをしてくれた。もうそれだけでも伝われば良いとすら思う。この日の下北沢ERAは本当にキャパの限界まで人が入っていたし、あの場にいた約数百人の人々とsoraの最後を見届ける事が出来たのは本当に嬉しく思う。




・bacho

 一発目は姫路の4ピースであるbacho。初めてその音に触れたバンドだったが、本当に等身大でストレートで激エモという言葉が似合うバンド。どこまでも暑苦しく日本語詞で高らかに熱唱するスタイルは、非常に胸にヶツンと来る物があったし、どこまでもメロディアスでドラマティックな音を聴かせてくれた。しかしただ単にストレートでエモい音を鳴らしているかっていうと全然違うし、細かい部分での緻密さも見せてくれるし、力強いアンサンブルの中で、煌くフレーズが融和し合って押し寄せる感覚は初見でもかなり熱くなれた。特にギターの人が曲の終盤のここぞというパートで空間系を使用したドラマティックな轟音フレーズを入れてくるし、それがメロディや歌と見事にシンクロして本当に感情の洪水が押し寄せてくる感覚に襲われてしまった。今回のライブは盟友の最後を飾るライブっていうのもあっただろうし、本当に全身全霊のアクトを見せてくれた。全く知らないバンドだったが惚れてしまったよ。そしてこのbachoのアクトを観た瞬間に、僕は今日が最高の夜になるのを確信した。

DSC_0484.jpg




・bed

 2バンド目は京都の4ピースであるbed。本当に久しぶりに彼等のライブを観る事になったのだが、暫く観ない間に本当に別のバンドになってしまったんじゃねえかってレベルで格段にライブが良くなってた。エモ・オルタナといった要素を前面に押し出しながらも、どこまでも高らかに歌い、渋さもあり、緻密さと繊細さに満ちながら、緩やかに広がるアンサンブルの波は本当に心地良いし、派手さこそ無いけれど、自らの音を大切に育んで来たからこそ生まれる絶妙な磁場でのエモーショナルさ、bedの音楽は凄い言葉では説明出来ない物が僕の中であって、エモ・オルタナっていう範疇にあるサウンドでありながら、どっかはみ出してしまっている感覚。大きくはみ出しているのではなくて、絶妙にはみ出てしまっているからこそ生まれる個性が彼等の魅力だと思うし、それを純度の高さで鳴らすからこそ彼等は良いライブをするのだと思う。柔らかに広がる音の波紋に酔いしれていたら、刺される感じ。絶妙なラインをすり抜けて強くなっていくbed、本当に良いバンドになったなあ。

DSC_0487.jpg



・heaven in her arms

 そして僕が心の底から敬愛する国内激情系ハードコア最強のバンドの一つであるHIHAのアクトへ。bachoとbedが生み出してた空気を完全に破壊するトリプルギターの激重激情のオーケストラ。soraとは本当に付き合いが長いバンドっていうのもあったとは思うが、今回のセットはHIHAのドラマティックな激情をどこまでも高次元に伝える曲をプレイしていた。今日のライブは新曲無しで、全曲彼等の必殺の名曲というセット。1曲目の「縫合不全」からポストロックと呼応する繊細で不穏で悲壮な旋律とビートが静かに響き、ギターのディストーションが入った瞬間にHIHAの激情大オーケストラが一気に花開く。トリプルギターの轟音と共に放たれるケント氏の叫び。漆黒の世界が目の前に広がり、その美しさにただ見とれるしか出来ない。そして「声明~痣で埋まる」で、カオティックかつシューゲイジングする漆黒の激情系ハードコアの洪水で全てを飲み込むという流れが生まれ。その時には、その凄まじさに殺されるしか無かった。しかし続く「角膜で月は歪む」こそ、この日のHIHAのハイライトだったと思う。美麗のアルペジオとドス黒いギターの轟音が溶け合い、正に激情をビートで体現したドラムの乱打が押し寄せ、感動的な音塊がクライマックスへと暴走し、ラストの「赤い夢」という激情シューゲイザーで締めくくられた。今年は何回もHIHAのライブを観たが、観る度にスケールが格段に広がり、本当に最果てへと暴走するバンドになっている。本当に気迫と渾身の激情を体感したし、漆黒の渦の中で確かに美しい情景が見えた。

DSC_0490.jpg



・forget me not

 トリ前は愛媛の激情の先を鳴らす3ピースであるforget me not。ドラムの井川氏はIMPULSE RECORDSのオーナーでもあるし、soraはIMPULSEからEPをリリースした事もあるし、本当にsoraと切っても切り離せないバンドでもある。今回のアクトで演奏したのはたった3曲。しかしディスコダンスであり、ドライビンさと不穏な静謐さを取り入れ、緊迫感溢れるギリギリでありながらも卓越した演奏技術によるアンサンブルの凄み、激情系ハードコアからプログレッシブとかポストハードコアとかマスロックとかそういった要素を盛り込み、目まぐるしく展開していくサウンド。たった一つのランプの灯りのみが照らすステージで、3人の音が一触触発のスリリングさを常に生み出し、ツインボーカルで放たれる燃えきらない熱病の様なシャウト。歪みまくりながらもグルグルと落下していく感覚。本当に唯一無二のバンドだと思うし、HIHAの感動的な激情絵巻から一転して、冷徹で残酷な殺人事件をERAで引き起こしていた。激情という凶器を手にし、それで無差別に切り刻み殺して行くハードコアがforget me notであり、愛媛から放たれる狂気にただ刺し殺されてしまった。

DSC_0491.jpg



・sora

 そしていよいよ本日の主役であるsoraの最後のステージ。スタッフが可能な限り前に詰めるお願いのアナウンスをするレベルで人で一杯になり、そしてメンバーがステージに登場し、最後のライブが始まった。1曲目は「新世界」で始まり、タイトで性急で躍動感溢れるドラムに引っ張られながら、クリアなアンサンブルが一気に会場を包み込む、そして瞬く間にフロアではモッシュが発生、内田氏が高らかに素朴な歌を聴かせる中で、ダイバーまで飛び出し、誰もが拳を突き上げ、そのsoraの最後のステージを魂で感じ取ろうという気迫が目に見えたし、もう最初からクライマックスと呼ぶに相応しい瞬間が生まれてしまった。続く2曲目は僕がsoraで個人的に一番大好きな「飛べない鳥は夢を見る」!!郷愁の旋律と2本のギターの美しい絡みと、屈強なビートが世界を広げ、何度も胸を締め付けられそうになったし、本当にどこかに羽ばたいていけるんじゃねえかって感覚すら覚えた。続く「小さな手」で物悲しく優しい旋律と歌に本当に涙腺が緩んでしまったし、もうクライマックスというクライマックスが繰り広げられ、何か余計な感傷とかそういった物が無くなり、ただこの瞬間を全身で感じていたくて仕方なかった。
 決して派手な事はしていないのに、それぞれの楽器の音が確かな存在感を放ち、煌く「灯台」、冒頭のアルペジオだけでもう何かが込み上げそうになってしまった「LAST DAYS」。soraが生み出して来た名曲が、最後の出番を終えていく。普通に考えてセンチメンタルになってしまう筈なのに、そんな感情を抜きにして、本当に単純に曲の素晴らしさと、soraの美しく優しく力強いアンサンブルをただ感じていただけだったし、本当に目の前に美しい音と情景がただ広がっていた。「生活」、「公園」と伸びやかな内田氏の歌は本当にどこまでも羽ばたいていたし、本当にそのバンド名通りに、どこまでも無限に広がる空を、soraの4人はどこまでも力強く描いていた。
 そしてライブもいよいよ終盤になり演奏された「旅」で、4人の新たな出発を祝福する様な優しい福音が降り注ぎ、もうその瞬間に全てが込み上げてしまって、僕はただ拳を握り締めていたし、本当に終わりの先の新たな旅路にsoraの4人は進んでいくのだと思った。ラストは「echo」で締めくくられ、もう感傷とか切なさとかそういった物を全て振り払い、新たな旅路をこれからも歩んで行くという力強い宣言の様でもあったし、フロアは再びモッシュとダイブの嵐。とんでもない熱気(本当に熱かったし、酸欠になりそうになった)の中で、誰しもがsoraの力強い音楽に心を震わされ、沢山の拳が振り上げられていた光景は、本当にsoraが多くの人に愛されていたバンドだから生み出せたんだよ。
 そして観客からのアンコールの声、メンバーはステージから掃けずに、再び楽器を持つ。そして演奏されたのは正にsoraの代名詞とも言える初期の名曲「空の下」!!!!!!本編の優しくエモーショナルな空気から、初期のsoraの激情系ハードコアから打ち出す郷愁の音が炸裂。2本のギターのアルペジオと、うねるベースと、複雑なフレーズをどこまでも力強く叩き付けるドラムが一気に激情を生み出し、そして魂の絶唱が響き渡るラストへ!!!!!そして最後の最後は、こちらも最初期の名曲「無色の景色」!!!!!!この日一番の激情と共に本当にsoraは最後の最後で魂の演奏を叩きつけてきた。本当に瞬間のクライマックスとカタルシスと共にsoraは最後のライブを終えた。
 全ての曲目の演奏を終えた後、本当にフロアから止まない拍手が響き渡り、ステージ上ではメンバー4人が集合して、多くの人々に写真を撮られてたりして、何だか卒業式みたいだったし、メンバーそれぞれフロアにいた観客の伸ばされる手に力強い握手で応えていた。こうしてsoraは約10年の活動を2012年12月15日の夜、終わりを迎えた。



セットリスト

1.新世界
2.飛べない鳥は夢を見る
3.小さな手
4.灯火
5.LAST DAYS
6.生活
7.公園
8.旅
9.echo

en1.空の下
en2.無色の景色

DSC_0507.jpg

DSC_0505.jpg

DSC_0506.jpg

DSC_0498.jpg



 このレポを書いている今、もうsoraというバンドは存在していない。これまで大好きなバンドの解散は幾らでも経験したし、バンドのラストライブに足を運んだのも今回が初めてではない。でもsoraの最後は本当に力強い新たなスタートだったと思うし、終わってしまうからこそ、その先には新たな始まりがあるって事をsoraの音楽が伝えてくれた。この日、下北沢ERAにいた人々は本当に心からsoraを愛した人達だと思うし、そんな人々の笑顔が僕は今でも目に焼きついて離れない。soraのメンバーはそれぞれまた音楽を続けて行くと思うし、もしかしたら再結成してまたsoraとして活動する可能性だって無い訳ではない。これは悲しむ事では無くて、本当に大きな節目であって始まりなのだ。内田氏は何度も涙ぐみそうになりながらも笑顔だったし、不動の4人で約10年歩んできた事の意味は本当に大きい。この日、出演した他の4バンドもそれぞれがsoraの最後を見届けて、それぞれが自らの音楽を続けていく。僕にとって本当に忘れられないライブがまた一つ増えたし、soraというバンドの最後の瞬間を笑顔で見届ける事が出来たのは本当に嬉しく思う。



本当に10年間、お疲れ様でした。そしてこれからの新たな活動と活躍を心から楽しみにしてます。
タグ : ライブレポ

■灯台の上で待つ/sora


灯台の上で待つ灯台の上で待つ
(2012/10/10)
sora

商品詳細を見る




 八王子の4人組エモーショナルバンドであるsoraの活動10年目にしてリリースされた2012年作の1stアルバム。同時に2012年でバンドを解散させる事も発表し、最初で最後のフルアルバムとなってしまった作品でもある。リリースは名古屋のSTIFF SLACKからであり、郷愁の中で静かに光り輝く最後の結晶をsoraは生み出したのだ。正に渾身の一枚であり10年に及ぶ活動を総括する一枚。



 soraは初期の頃は激情系ハードコアの中でエモーショナルな郷愁を生み出すバンドであったし、同時にその頃から歌の部分を大切にする楽曲もあった。今作ではハードコアの要素は完全に身を潜めており、日本語詞の響きを大切にするエモ・オルタナティブロックの要素がかなり大きな比重を占めている。激情の叫びは無く、クリーントーンで歌は歌われ、柔らかな感覚の中で確かの強度とエモーショナルさがじわじわと来る作品だ。第1曲「echo」から疾走するサウンドの中で、決して激しさを感じさせずに緩やかな流れを生み出し、ツインギターの緻密なアンサンブルとメロディアスさが生み出す郷愁のエモーショナルさが何処までもクリーンに響き渡り、大河の流れすら感じさせるアンサンブルの壮大さと同時に、非常に日常とかそういった感覚の熱量を保ち、徐々に燃え広がる感覚が胸を熱くしてくれる。第2曲「月は静かに」はこれまでのsoraの楽曲でも見せていた、郷愁と90sエモの融和であり、静かにかつ高らかに歌は歌われる。第3曲「COLOR」は複雑なアンサンブルで進行しながらも、それを決して難解にしないで、古き良きエモのカラーをsora独自の体温で鳴らした印象が強い。
 今作はハードコアの側面を捨て去って完全に歌とエモに振り切れた潔さがあるし、それを大げささではなく、平熱の中の熱量をじっくりと放ち、静謐さも武器にしながら何処までも丁寧に作り上げたからこその説得力があるし、だからこそ胸に響く。第4曲「小さな手」、最終曲「旅」という今作の中でも長尺になっている2曲は本当に大げさなアレンジこそ無い素朴な音になってるからこそ生まれた壮大さがあり、それはまるで日常生活の中のドラマティックさであり、ただ淡々と歩みを進めていくからこそ生まれる静かなポジティブさを感じるし、メロウな絡む2本のギターと歌が織り成す日常の中の物語であり、それを確かな強さを持つビートと共に一歩一歩進んでいく。だからsoraの音楽は本当に信頼出来るのだ。



 約10年の活動で残した音源はEP2枚とアルバム1枚と決して多くは無いし、そして自らの歴史にピリオドを打つ事になってしまったsoraだが、それでも残した来た音楽は永遠に輝く日常の中の結晶となるであろうし、どこまでも実直な音楽を鳴らしたからこそ、本当に多くの人々の心に残る音楽を残せたのだと思う。今作はそんなsoraの集大成であると同時に、これからも僕たちの胸の中で輝き続けるマスターピースとなると確信している。



■Har Nevo/THE BLACK HEART REBELLION

0962dd8c896c67b4c029c8fc401fc415.png



 ベルギーの激情系ハードコアバンドであるTBHRの実に4年振りの2ndアルバム。日本盤のリリースは勿論Tokyo Jupiterから。先日の来日公演でも完全に別次元に進化した音を見せ付けてくれたが、この最新作はTBHRが激情系とかそういった枠組を超える、新たな次元のバンドへと変貌した事を告げる怪作。最早激情系すら超えて完全にエクスペリメンタルの音の世界を鳴らしてしまっているのだ。



 TBHRはこれまでは激情系とポストロックの融和とも言うべき音楽を鳴らしていたが、今作ではそれに加えて民族音楽のテイストを大胆に取り入れている。鈴の音色から始まり、パーカッションの音も大胆に取り入れ、民族音楽的なトライヴァルなビートを前面に押し出し、不穏の旋律を響かせ、ダウナーさの中で一つの躍動感を生み出しながら、不気味な読経ボーカルを繰り出し、合間合間に民族音楽的な掛け声まで入れてくる第1曲「Avraham」からTBHRが完全に別のバンドへと進化してしまった事を告げている。第2曲「The Woods I Run From」では、、これまで同様にポストロック的アプローチを見せながらも、不穏のビートは相変わらずだし、地を這う空間的轟音がビートと共にうねりを生み出し、更にハードコア的粗暴さを聴かせる激情のシャウトも放出。完全にクロスオーバーかつエクスペリメンタルな音を奏でるまでに至ってしまった。今作の音は本当に無国籍な音に仕上がっているし、その中でこれまでの自らの音楽性を高めつつも、それを完全に別の化け物にしてしまっている。決して分りやすいハードコアサウンドでは無いのだけれども、だからこそ生まれる不穏の闇の放出。第4曲「Animalesque」こそハードコアテイストが少し強めではあるが、それでも幾多の打楽器と不気味なラインをなぞるベースのおどろおどろしいグルーブと、燃え上がりきらない焦燥の中で身を刻まれる感覚は凄まじい物があるし、ダウンテンポかつトライヴァルなビートの強靭さの中で、残響音が響き、よりクロスオーバーな第6曲「Ein Avdat」、オリエンタルな旋律と共に、当ての無い旅路を描く様な第7曲「Gold And Myrrh」、そして最終曲「Into The Land Of Another」ではシタールまで取り入れ、今作の不穏の旅路を総括する激情を放出。民族音楽やエクスペリメンタルといった要素と混ざり合い、ギターの残響音をどこまでも有効に使い、その空間的な響きの中で、消えない闇を彷徨い、屈強なビートが常に楽曲を引っ張り、更にはシャウトや読経だけでなく、謎な掛け声まで見せるボーカルの素晴らしい表現力が、この世界の現実すら虚無にしてしまうであろう、天国でも地獄でもない、異次元の何処かへと聴き手を導く作品なのだ。



 正直に言うと、ここまで違うバンドに化けるとは思っていなかったし、先日の来日公演で進化した彼等を初めて目にして、音源以上の高次元のエクスペリメンタルな世界にただ驚くしか無かったし、彼等もまた進化を続ける事でハードコアを破壊するハードコアバンドだったのだ。Tokyo Jupiterの公式サイトの作品紹介のページにAmenraのColin H. Van EeckhoutとNeurosisのSteve Von Tillという猛者の惜しみない賛辞の言葉が綴られているが、本当にそれだけの作品だと思うし、TBHRは新たな次元への旅路を続けていくのだと思う。激情の最果てを描く傑作。また今作は下記リンクのTokyo Jupiterのサイトから購入可能になっている。



Tokyo Jupiter Records

■Harmonicraft/Torche


HarmonicraftHarmonicraft
(2012/04/24)
Torche

商品詳細を見る




 再び4人編成となったアメリカのストーナー・ヘビィロックバンドTorcheの4年振りの3rdアルバム。ストーナーポップと評され、ヘビィでありキャッチーな無骨でありながらも、人懐っこさもあるサウンドと、ありえない本数のライブをこなしているからこそ生み出せる屈強さが魅力のTorcheであるが、今作でもそれは健在。更に自らのサウンドに磨きがかかった快作となっている。



 第1曲「Letting Go」から無骨で重いヘビィなリフとビートが押し寄せてくるが、そのヘビィなリフから感じられる旋律は本当に明確だし、しかもポップ。片方のギターでヘビィなリフを弾き倒しつつも、もう片方のギターがキャッチーなフレーズやギターソロを絶妙に入れる事によるヘビィネスとポップネスが手を取り合うサウンドはもう相変わらずお見事としか言えないし、リズム隊の屈強なアンサンブルの安定感は更に鍛え上げられながらも、決して必要以上の重さは無いし、重みがありながらもパンキッシュさも持っているし、ストーナーらしい轟音サウンドも随所に盛り込みつつも、それを決して冗長にはせずにあくまで必要な時に繰り出し、楽曲に絶妙な変化をつける手腕も流石だ。あくまでリフ主体で楽曲を引っ張り、歌はクリーントーンで本当に素直なまでに歌い、ヘビィなアンサンブルと調和を果たしている。楽曲も相変わらず少し短めで聴き易くしているのも自らの魅力を分かっているからこそだと思うし、ブルース・ストーナーの土臭さもしっかりと盛り込み、ハードロックといった要素とも融和し、非常にクロスオーバーしているサウンドを、もう一つのTorche節として統率し、それを重厚なグルーブとアンサンブルで鳴らし、そしてどこまでも素直にポップさを極めようとする一貫したスタイルを貫いているからこそ、Torcheの音楽は本当に素直にノレるし、馬鹿じゃねえのって言いたくなる位に格好良いのだ。かといって楽曲のスタイルは一辺倒かっていったら違うし、それぞれの楽曲で異なるアクセントをしっかり付けているのも今作が飽きずに聴ける秘訣になっている。第7曲「Sky Trials」なんかはマスロック的なフレーズを絶妙に盛り込み、第11曲「Solitary Traveler」ではダウンテンポで重厚な轟音を聴かせてくれたりもする。他の楽曲もギターソロや細かい部分でのフレーズでそれぞれのカラーを付け足し、一貫したスタイルの中で変幻自在のポップネスとヘビィネスを行き来し、それこそジャケット同様にあらゆる色が混ざっていながらも、それが喧嘩せずにタッグを組み、極上のストーナーポップとして鮮やかに花開くのだ。そんな楽曲が続く中で最終曲「Looking On」は完全に異質な1曲で、コンパクトな楽曲が並ぶ今作で唯一の少し長めの楽曲で、サイケデリックかつヘビィなストーナー・スラッジの猛威を見せる。そんな楽曲も最後は極上のポップネスでしっかり締めくくるから大した物だ。



 アーロン・ターナー大先生が「笑顔でヘッドバンキングできる」という賛辞を送った通り、どこまでも肉体に訴えるヘビィで重厚なアンサンブルと、素直な歌とメロディが際立ち、カラッとした爽快感に満ちた作品。2ndで日本でもその名を広め、ストーナーポップの名を欲しいままにしたTorcheだが、今作でもそれは全くブレてないし、どこまでも力強く拳を突き上げたくなる最高に気持ち良いヘビィロック作品になっている。余計な事なんか考えないで笑って頭を振れば良いのだ。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

タグ別記事表示

日本 ライブレポ 激情系ハードコア アメリカ スラッジ ポストメタル ポストハードコア ポストロック カオティックハードコア ドゥーム エモ オルタナティブロック イギリス サイケ フランス アンビエント ストーナー ネオクラスト ドローン ドイツ シューゲイザー ハードコア ロック グラインドコア プログレ ギターロック ポストブラックメタル インタビュー マスロック ポストパンク デスメタル スウェーデン カナダ モダンへビィネス スラッシュメタル ブラックメタル ギターポップ エクスペリメンタル エレクトロニカ ジャンクロック イタリア インダストリアル ベルギー フューネラルドゥーム グランジ ノルウェー 年間BEST ジェント オーストラリア スペイン アコースティック ポップス プログレッシブメタル ラーメン ブラッケンドハードコア フォーク ミニマル モダンヘビィネス ニューウェイブ パワーヴァイオレンス ロシア ゴシックメタル ハードロック ファストコア ノイズ ニュースクールハードコア フィンランド メタルコア ゴシックドゥーム トリップホップ ヒップホップ 自殺系ブラックメタル オランダ 駄盤珍盤紹介 アブストラクト ノーウェイブ クラウトロック ダブ ヘビィロック パンク ゴシック ダブステップ ノイズコア シンガポール ラトビア ミクスチャー チェコ インディーロック メロディックパンク テクノ ポーランド ドラムンベース ウィッチハウス オルタナティブ アイルランド デンマーク スイス ヘビィネス メキシコ ポジパン ジャズ ヴィジュアル系 アシッドフォーク メタル ブルデス 声優 ボイスCD ドリームポップ トラッドフォーク クラストコア スクリーモ カントリー プリミティブブラック 韓国 ハンガリー アイスランド イラン シンフォニックブラック ギリシャ スコットランド USハードコア ポルトガル ガレージ ソフトロック フリージャズ モダンクラシカル 台湾 トルコ ファンク 

カテゴリー

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

カウンター