■2013年01月

■Knellt/Knellt

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 Kill My Bleeding Smileを前身バンドとした大阪のスラッジバンドKnellt。今作は2011年リリースの彼等の自主制作1stである。同じ年にCyberne、DEADとのスプリットもリリースしてるが、こちらはツインドラム編成ではなく、また音楽性も違う物になっている。Kill My Bleeding Smileの芸術的な美しさはそのままに、より重苦しく病的に狂ったスラッジサウンドに粉砕される全5曲。



 音楽性は現在のKnelltとも、Kill My~とも微妙に違い、Kill My~の延長線上ではあるが、より荒涼とした印象を受けるし、より粗暴な破壊の美学に磨きをかけて、より混沌へと貶める音楽性へとなっている。美しい導入である1分程の第1曲から第2曲「When Dreams And Brain Shed On Pavement」へと続く流れはスラッジだとかそういった要素は感じさせずに、ポストロック的な絞った音数で不穏の熱量で淡々と美しい旋律を奏でているが、徐々にビートに重みが加わり、ギターとベースの音が歪み始めてから妖しさとこの先の破滅への不安を煽られ、そしてスラッジな音が見え始め、先程までの調和が崩れ始める。セス氏のボーカルが入った頃には完全にスラッジコアのそれへと変貌し、垂直落下型のソリッドでありながらも、重い鉄塊が終わり無く降り注ぎ、美しい調和が乱れ、また新たな調和を生み出す。重苦しくダークでソリッドな音でありながらも、絶妙なラインで美しさを感じさせ、破滅と調和のバランスで魅せる美しさ。そしてセス氏がクリーントーンで歌うパートではスラッジさの中に美しい旋律が見え始め、そして病巣としてのヘビィロックの美しさが花開く。
約11分にも及ぶ第3曲「Frost」ではKill My~時代に通じる音楽性の楽曲でありながらも、より不穏さとおざましさが静謐さの中で蠢く序盤からして異質であると思うし、展開はよりドラマティックになり、アンサンブルはより引き締まり削ぎ落とされ、クリーンなパートでのアンサンブルのソリッドさから、そのソリッドさはそのままにスラッジサウンドへと変貌する瞬間は、薄っぺらな平穏と、それが嘘である事が暴かれ、破滅だとか死だとかそういった単語が脳裏によぎり、そしてフューネラルな煉獄へと導かれる。Kill My~時代もそうだったが、今作は無慈悲で冷徹なソリッドさとスラッジさがかなりアンサンブルの中で際立っている作品なのだけれども、セス氏が叫び歌う瞬間になるとアンサンブルは一気にドラマティックさと精神の牢獄でのた打ち回る負の感情へと振り切ったエモーショナルさが一気に暴発するし、それがセス氏の狂気のカリスマとも言うべきもう素晴らしいの一言しか出てこないボーカルと完全すぎる化学反応を起こし、Kill My~続く美しき破滅としてのヘビィロックの芸術性が暴発するのだ。
 第4曲「Pallor」ではよりメロディが際立ちクリーントーンのギターとボーカルが魅せる仄暗い絶望が本当にゴシックでフューネラルな空気を生み出し、そんなパートでも硬質でタイトでスラッジさを感じさせるビートのアンサンブルの強度は全くブレ無いし、ディストーションが一気にかかっても、その旋律の美しさが本当に際立つ今作で最もメロディアスでありながらも悲しさを感じさせる名曲になっているし、最終曲「Agey」はスラッジなパートで始まりながらも、アンビエントの入ったくぐもった感覚も入り込み、そして最後は緩やかな破滅をセス氏が美しく歌い上げ、そして残されるのは完全なる無だ。



 Kill My Bleeding Smile時代の音楽性をより重くソリッドかつスラッジにしながらも、更に高次元の芸術性と破滅を描くバンドとして間違いなくKnelltは存在しているし、今作の収録されている楽曲はどこまでも完成度が高く、そして破滅的だ。現在はデュオ編成で活動するKnelltだが、先日のライブを観て、よりドゥーミーによりおぞましいバンドに変貌していたし、本当にKill My~時代から見ても進化が止まらない化け物だと思う。大阪の最終兵器にして最も悲しく美しいヘビィロックを鳴らすバンド、それがKnelltだ。



 
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■Kill My Bleeding Smile/Kill My Bleeding Smile


kill my bleeding smilekill my bleeding smile
(2008/08/27)
kill my bleeding smile

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 昨年アルバムとCyberneとDEADとのスプリットをリリースした大阪のKnelltの前身バンドであるKill My Bleeding Smileの08年リリースの音源。Knelltからこのバンドを知ったのだが、これがもう本当に重く美しい芸術性に満ちたスラッジ・ポストメタルサウンドで、そういった形容なんか無意味な圧倒的美意識による退廃的な美しさを誇るヘビィな世界が目の前に広がる作品だ。Knelltとはまた違った魅力が今作にはある。



 今作は全5曲で約31分の作品。2曲程3分台の楽曲もあったりしつつ、基本は長尺の大作志向の楽曲で攻めている印象。そして音楽性はNeurosisやGrails等の影響を強く感じさせる物。もしくはThis Will Destroy Youがよりスラッジさとハードコア成分を手にした物とも言えるし、一概にこれっていう言葉では表せない。全体的に音は重いし、ダークさが充満しているが、引き摺る重さよりも、タイトさを感じさせるアンサンブルと、重くありつつも美しい旋律を本当に強く感じるリフ。曲によってはピアノ等の盛り込む作り込まれた楽曲、本当に多くの魅力を持っている。
 第1曲「Skin And The Sky」は今作のプロローグとも言える3分弱のインストではあるが、ポストロックの領域に達したアンサンブルとメランコリックさが際立つアルペジオが楽曲を引率し、その旋律の美しさはそのままに、スラッジ成分を強めてドラマティックな轟音へと雪崩れ込む美しさが堪らない。しかし本番は第2曲「The Sky Bleeds To Kill」からだ。耽美なアルペジオの導入から、セス氏の非常に美しいクリーントーンのボーカルが入り、退廃的で荒涼とした風景を想起させるモノクロの音像がただ静かに流れ、スラッジ成分を高めるドラムのビートが待ち構える暴発を予告し、そして楽器隊の音が音圧を高めてスラッジになった瞬間のセス氏の悲痛な叫びが破滅の瞬間のカタルシスの美しさを描く。暴発パートの後のクリーンのパートがまた美しさを際立たせているし、ポストロックとかポストメタルの領域の音であり、性急さを放棄した代わりに、壮大でただゆるやかに流れる時間が、穏やかに破滅を描く。後半からのピアノを導入したパートからは本当にドラマティック極まりないし、ドゥーム・スラッジの範疇を超えた芸術性がそこに存在している。
 第3曲「The Day He Died」の様な約4分のコンパクトな楽曲でもそれは発揮されているし、無慈悲かつ静かに叩き付けるスラッジリフとクリーンなボーカルが織り成す退廃的世界と、エモーショナルに狂う暴発パートは全て自然に繋がっている。第4曲「The Great Dead」は今作屈指の美しさを誇り、最早スラッジだとか激重とか以上に、叙情的であり、退廃的な世界観が徹底して繰り広げられているし、何よりもセス氏のボーカルが本当に素晴らしく、死とか破滅が美しい物だと錯覚させられてしまいそうにすらなる。



 Neurosisをはじめとする海外のエクストリーム系の猛者の影響を昇華し、それらのバンドと本当に遜色の無いレベルのヘビィミュージックの芸術性と美しさを体現してしまっているバンドだし、それはknelltという新たなバンドになり、音楽性を変えた現在でも変わっていない核だ。日本のバンドでありながらも、本当に日本人離れしたスケールとアンサンブルの強みと表現力が凄いし、唯一の音源である今作にてその凄みは体感出来る筈だ。日本が生み出したエクスペリメンタルヘビィロックの一つの到達系だとすら思う。



■NoLA presents "抄"(2013年1月26日)@東高円寺二万電圧

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 若手にして現在、各地でその邪悪かつ異世界の激重エクストリームサウンドを放出している若武者であるNoLAの自主企画。2012年は初音源のリリースと精力的なライブ活動でその名を広めたが、そんなNoLAは2013年も止まる事無くその悪意を拡散する。そんな新年早々の自主企画はFIREBIRDGASS、bilo'u、ZENANDS GOTS、そして大阪からKnelltという凄まじい面子が勢揃い。残念ながらIMMORTAL SENSEはキャンセルになってしまったけど、それでも十分過ぎる位に悪夢の夜が訪れるのは確定的だし、そしていざ足を運んだら想像以上の悪夢の宴となったのだ。



・ZENANDS GOTS

 一発目はNoLAと共に殺り合っている2ピースエクストリームバンドであるZENANDS GOTS。ドラムとギターボーカルという本当に最小限の編成でありながらも、あらゆるエクストリームミュージックを喰らい、それをショートカットカオティックチューンとして放出する彼等だが、今回のアクトも凄かった。凄まじい音圧で静謐さも暴虐さも光速で放出し、ブラストビートを怒涛の勢いで叩き出すドラムと、ドゥームもハードコアもポストロックももうなんでもかんでも喰い尽くして放出するギター、そして悪意に満ちた叫びをブルータルに放出するボーカルが魅せるのは音の臨死体験とも言うべきエクストリームさ。ほぼノンストップで繰り出される音の事故現場が目の前に広がり、気を抜いたら轢き殺される恐怖をこの2人は音で魅せるのだ。相変わらずの凄まじい殺気と音圧に一発目から殺されそうになってしまった!!



・bilo'u

 お次はプログレッシブハードコア5人衆であるbilo'uのアクト。彼等の音に触れるのは初めてだったが、Meshuggah直系のプログレッシブなポリリズム、7弦ギター2本と5弦ベースのヘビィなサウンド。ブルータルさとカオティックさが正面衝突した変態性と極悪さが充満し、それを正確無比な演奏技術で弾き倒す、徹底してブルータルさを押し出し、嵐の様な複雑なリフと展開の変化が休む間を与えずに殴りにかかってくる。とにかく安定感が凄まじいし、徹底的にドスの効いた音塊を放り投げ続けてきた。音楽性は正統派のテクニカルデスではあるけれども、しっかりブルータルさと重みを感じさせ、バンドとしてのポテンシャルの高さをそのライブでもしっかりと発揮してくれた。初見だったがこれは良いバンドだ!!



・Knellt

 そして大阪からの刺客Knelltのアクトへ。昨年のCyberneとDEADとのスプリットでその存在を知り打ちのめされていたが、メンバーの脱退によりギターボーカルとドラムの2ピースに。そして今回のアクトはほぼ新曲でのセットだったが、それがもう凄かった!!これまでの作り込まれた楽曲と打って変わって、極限まで削ぎ落とされながらも、その重さと破壊力で押しつぶすスラッジの煉獄。よりリフの重みと破壊力に重点をおいたからこそ、その一発一発の音で本当に人を殺せるだけの猛威を見せ、それでいて、その重さの中で旋律も感じさせる芸術性も発揮。引き摺る残響やドラムの音と音の合間の空白すら不穏さを感じさせ、それすらも自らの表現にしてしまっている!!メンバー脱退というピンチすら乗り越え、それを新たな進化へと繋げ、より殺気と音圧で悪夢としてのドゥーム・スラッジを発揮していたKnellt。より原始的な殺気が確実に二万を覆い尽くしていたし、何よりも殺意も悲しみも見事に表現するボーカルと、悪意のスラッジリフから感じる破滅の美しさが、Knelltの音を異次元の物にしていた。圧倒的音圧で放出される悲しき悪夢、それがKnelltだ!!



・FIREBIRDGASS

 トリ前は高円寺を拠点に活動するパンクバンドFIREBIRDGASSのアクト。今回のライブはベースの方がインフルエンザで倒れてしまい、急遽代打でベースを迎えてのアクトだった為、5曲で20分未満という決して長いアクトでは無かったが、それでも、いやそれだからこそ全力で限界突破するパンクサウンドが暴発していた。Knelltが生み出した邪悪な空気を一変させるメッセージ性の強く、本当にシンプルで正統派なハードコアパンクは、シンプルだからこそ全力限界突破のテンションで暴走し、キャッチーでもあり、しっかりシンガロングするパートもありつつ、短距離全力暴走型サウンドの凄みを体感。ボーカルの人が「盛り上げってこうぜ!!土曜の夜だからよー!!」というMCで盛り上げ、二万は一気にパーティ会場へ。それでも真摯に自分自身へと問いかける様なメッセージを放ち、正に自分自身の限界を超えようとする全身全霊のアクトの凄みは圧巻だった。最後はボーカルの人とギターの人がフロアへと飛び出し、一気に混沌へと雪崩れ込み大盛り上がり!!NoLAの出番を前に貫禄のハードコアパンクを見せてくれたし、最高に格好良かった!!



・NoLA

 そしてトリのNoLAへ。彼等のライブは若手らしさなんか微塵も無い貫禄と神々しさ、そして圧倒的な音圧と重みと速さと遅さというエクストリームな臨死体験だが、本当に少し観ない間に更にとんでもないバンドになってしまっていたのだ!!1曲目「橙」から一気に不穏な旋律と読経ボーカルで、不穏を生み出し、待ち構える惨劇の予告。そしてディストーションの激重ドゥームリフと静謐に刻まれていたドラムが重みと破壊力を加え、そしてタケル氏の狂気値が沸点を超えた極悪な叫びが響く瞬間に一気に悪夢と惨劇が生まれ、おぞましさに身を震え上がらせるしかなくなるのだ。そして続く「Confusion And Liquor」、「Slave」でドゥーミーな空気を一変させてトラッシュな速さで攻めに攻める。しかしそんな楽曲の中でも遅さを取り入れ、メタリックな7弦ギターのリフのブルータルさがとにかく死体殴りの領域に達してしまっている殺人鬼っぷりを発揮。更に新曲はそんなリフの凄みを生かし、シンプルさが際立ちながらも、だからこそプリミティブな破滅の殺人鬼としての狂気が咲き乱れる。タケル氏は今回もフロアへと飛び出し、暴れ回り叫ぶ叫ぶ!!徹底して重くダークな音を放出し続けているからこそ、その悪意と殺意で観る人を狂気で狂わせるNoLAのライブは本当に凄まじいの一言だし、本当にライブを一回でも観るべきバンドだと僕は思う。ラストは10分以上にも及ぶドゥーム絵巻「Mist」で締め。今回のアクトを締めくくるに相応しい奈落の底へと突き落とされる闇が目の前に確かに広がっていたし、本当に魂を砕かれてしまった。NoLAのライブが終わってから暫くの間、僕はステージ前の柵にへたり込んで、ただ笑うしか出来なくなってしまった。ライブを観て、そんな状態に陥るなんて先ず無いんだけど、そうなってしまったよ。それだけNoLAのライブに僕の魂は粉砕されてしまったんだ。



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Photo by Kimihiro Kato



 益々進化を続けるNoLAという化け物、そして今回出演した猛者達も含めて本当に壮絶な臨死体験を味わった夜になった。音楽の狂気と悪意が生み出す悪夢と非現実が確かにこの日の二万にはあったし、何よりもNoLAが本当におぞましい化け物になっているのを痛感させられてしまった。昨年リリースされた1st音源で彼等を知り、当ブログでインタビューもさせて頂いたが、引き続きNoLAの動向は追いかけ続けていくつもりだ。そして他の4バンドも圧倒的なアクトだったし、そちらも随時追いかけていく。
 また今回のライブレポで一緒に足を運んだ友人のKimihiro Kato氏の撮影した写真を使わせて頂きました。本当にありがとうございます!!
タグ : ライブレポ

■Loathus/Loathus

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 数多くの素晴らしいバンドを輩出している激情帝国ベルギーの3人組激情系ハードコアバンドであるLoathusの最初で最後となった唯一の音源。元々は30枚限定の音源だったらしいが、09年に日本のTokyo Jupiterから正式にリリースされた5曲入作品である。バンド自体は残念ながら現在存在しているかどうかすら不明だが、ブラックメタルっぽいジャケやメンバーがコープスペイントをしてたりとか、社会に対する不信感等とかを訴えてたりするらしかったりと、バンド自身のコンセプトは中々に謎だったりもする。



 そんなブラックメタル感溢れるアートワークやバンドコンセプトとは裏腹に、その音楽性は間違い無く激情系ハードコアのそれであり、FUNERAL DINER系の正に正統派な激情系ハードコアのそれである。ポストロック的な静謐なパートを交えつつも、アグレッシブかつ獰猛にその怒りを激情として打ち鳴らした音は非常にドラマティックであり、第1曲「Decline Of The Miraculous」はそんなサウンドが見事に展開されている。緊迫感溢れる静謐なパートと、その熱量を徐々に高めて、3ピースとは思えない音圧で怒りの嘆きのハードコアとしてドラマティックな旋律と共にハードコアサウンドは展開されている。第2曲「The Eye Is Pointing At My Chest」ではそのテンションと怒りがより明確な破壊力を持った轟音として押し寄せ、シューゲイジングするギターの音塊が押し寄せる名曲となっている。手法自体は本当に正統派のそれだとは思うけど、その壮大なスケールを肉感的なアンサンブルで鳴らすサウンドはその手の音が好きな人からしたら堪らないと思う。
 第3曲「This Is A Product Of Your Own Hypocrisy」では約3分間で目まぐるしく展開される攻撃性が咲き乱れ、君靴の頃のEnvyが好きな人とかには是非とも聴いて欲しいし、時に重苦しさすら感じるギターリフやビートがクライマックスへと雪崩れ込む様は圧倒的。最終曲である「I Am Vertigo」は今作で最も直情的なハードコアが展開されており、怒りとしてのハードコアの終焉に相応しい1曲となっている。



 全5曲ではあるが、十分に楽しめる内容だし、正統派激情として胸を熱くしてくれるシリアスな怒りに満ちている。それだけに今作しか音源を残していないのが残念で仕方ない。そしてベルギーという国のハードコアのレベルの高さを改めて痛感させられた1枚だ。今作は下記リンクのTokyo Jupiterのサイトから購入可能になっている。



Tokyo Jupiter Records



■Frigidiis Apotheosia:Abstinencia Genesiis/Celestia

Celestia-Frigidiis Apotheosia slipcase CD



 昨年には来日を果たしたDrakkarのNoktuによるフランスのブラックメタルバンドであるCelestiaの08年リリースの2ndアルバム。その筋の人々の間ではかなり有名なバンドらしいが、僕は今作で初めてその音にしっかり触れたが、ブラックメタルに関して全く明るく無い僕でも、その完成度の高さと作り込まれた世界観と美しさには完全にやられてしまった。またキーボードでXasthurのMaleficが参加している。



 まず今作はブラックメタル初心者でも十分かかってこいな作品だと思う。音質も良いし、楽曲の尺も長く無いし、明確な展開がしっかりあり、何よりもここぞとばかりに寂しげなメロディが本当に印象的でもある。第1曲「She's Dead (Valse Faneste de Decomposition)」が始まった瞬間に聴こえてくるのは寂しげで儚くも美しいトレモロリフの洪水、それだけでもうメランコリックさにやられてしまうが、そこにMaleficの今にも壊れそうなキーボードの音色が入り込み、より神秘性と美しさを高めている。トレモロリフのパートは勿論だけど、常時ギターは美しくありながらも寒々しく身を切り刻む鋭利さと、その裏にある美しい旋律が本当に絶妙で、攻撃的でありながらも、破滅に至る瞬間のカタルシスと美しさが存在しているし、Noktuのがなり声ボーカルも楽曲に見事に嵌っている。基本的には意外と正統派なブラックメタルでもあったりするとは思うけど、キーボードの入れ方にしてもそうだし、異様にドラマティックに展開するメロディもそうだし、本当に細部に渡るまで作り込まれている印象を受けたし、その芸術性の高さと耽美さは本当に堪らない。
 第2曲「A Plaintive Cry, Merely, Echo」ではカセットテープに録音したみたいな篭った音質のギターの導入から始まりつつも、ザクザクにギターが攻めるパートと、アコギの入るパートの対比が本当にお見事。第3曲「Admirable Eros Abstraction」では怒涛のドラムと切り刻むギターとより前面に出たアコギとキーボードが織り成す寂しげで悲しい音像に心を揺さぶられる名曲になっている。その流れから続く第4曲「A Regrettable Misinterpretation of Mournfulness」ではアコギが更に前面に出ており、郷愁と哀愁が確かな表現力で生み出され、終盤のボーカルが入ってブラック色が強くなるパートで、それが暴発する様は本当に美しいの一言に尽きる。今作で一番の長尺曲でありながらも、やたら爽やかさすら感じるイントロのギターにハッ!?となりつつも、そこからダークさが滲み出てドラマティックにスケールが拡大する第5曲「Death of the Lizard Queen (Necro Phaanthasma)」も個人的にはかなり気に入ってる。
 それぞれの楽曲の完成度が本当に高いし、音楽性も単調じゃなく、楽曲毎にしっかり幅広さを感じさせ、同時に耽美で憂鬱な暗さと美しさが常にあるから作品全体を通して本当にドラマティック。何よりもキーボードの音とミドルテンポのビートと、今作で一番美しいギターフレーズの旋律が暴発する最終曲「Frigidiis Apotheosia (Dormant Rests of Raped Necrosia)」は本当に終末という言葉を想起させる破滅の瞬間の美しさを表現した素晴らしき名曲であり、この名盤のラストを締めくくるに相応しい物になっている。



 湿り気のある陰鬱さと、咲き乱れる旋律の美しさ、楽曲の完成度、そして徹底して生み出されている耽美さ、それらが本当に桁違いだし、ブラックメタルの名盤であるのは間違いないし、何よりも本当に聴きやすい作品にもなっているから、ブラックメタル初心者にも是非お勧め出来るし、多くの黒くて怖い人がcelestiaを絶賛するのも納得できる出来だ。しかも録音状態もかなり良いし、それがまた今作の良さを更に加速させている。ブラックメタルだとかフレンチブラックとかは全然明るく無い自分でもこれは手放しで賞賛したい傑作だ。



■If There's Light It Will Find You/Trainwreck

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 EAVES とENGRAVEのメンバーによって結成されたジャーマン激情最高峰とも言うべきバンドであるTrainwreckの2011年リリースの現時点での最新作となるEP。全5曲で第1曲がSE的な楽曲だから実質4曲入りと収録曲こそは少ないけれども、、それでも怒涛のカオティックサウンドを徹底して鍛え上げ、破滅的なテンションで押し寄せる音は勿論、少しのメロウさ、ストイックなアンサンブル、マシンガンの様なビートを鍛え、より前人未到の領域に達した1枚だと思う。



 クリーントーンのギターのみで厳かな雰囲気を作り出す導入的な第1曲からそれを粉砕する第2曲「Crooked Rooms」が先ず凄い。怒涛のクラストのビートが攻め立て、徹底してソリッドなギターリフが刺しに刺しまくる。爆音の音塊の中で時にはメロディアスなフレーズを取り入れながらも、常に天井知らずのテンションで叫ぶボーカル。カオティック等の要素も取り入れ、ブレイクダウンでの落差や、重低音の利いたグルーブ等は今まで以上に鍛え上げられて、火力を極限まで高めている。続く第3曲「Thorns And Shroud」でもそれは留まる事を知らない。HIS HERO IS GONE的瞬発力とカオティックさとネオクラストの憎悪と破壊力を融和させた鬼神の音塊こそTrainwreckの大きな魅力だと僕は思っているが、作品を重ねる毎にそれは鍛え上げられているし、作品毎の路線とかは正直に言ってしまうとそこまで大きな変化は無かったりもするのだけれども、それでも自らのスタイルを変えずに徹底してビルドアップさせたアンサンブルと火力は作品を重ねる毎に凄まじくなっているし、それだけじゃなくメロディアスさやドラマティックさも加速させた結果、暴力的で深遠さを感じさせる漆黒の濁流としての激情をTrainwreckからは感じるし、第4曲「Smaller And Smaller」はそんな彼等の進化を一番感じられる名曲となっており、そこから今作屈指のドラマティックさが暴走する最終曲「Piano Gigante」へと雪崩れ込み、激情のカタルシスが怒涛の洪水としての猛威を見せ付ける。激情とかカオティックとかネオクラストとか、そう言った類のサウンドを徹底して極めようとしているTrainwreckの現在進行形での進化が暴走しているのだ。



 最早、現行の激情のバンドの中では最高峰に位置していると言っても過言じゃ無いレベルで今のTrainwreckは凄まじい事になっている。今作は収録されてる楽曲数こそは少ないけれども、全曲凄まじい完成度を誇っているし、よりヴァイオレンスに、よりドラマティックに狂うTrainwreckは最果てへと暴走を続けているのだ。



■Sonic Mass/Amebix


Sonic MassSonic Mass
(2011/09/23)
Amebix

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 80年代ハードコアに於いて最重要バンドの一つと言われる伝説的バンドであるAmebix。2008年に再結成したが、今作は2011年にリリースされた再結成後初のアルバムであり、実に25年振りのオリジナルアルバム。しかし80年代はメタルクラストバンドであった彼等だが、その面影は全く無く、一言で言うなら全てを超えた先にあるドラマティックな物語があった。枠組みを破壊し、本当に素晴らしい作品であるその一言に尽きる。



 本当に野暮になってしまうけど、今作はメタル・ハードコアだけでなく、プログレッシブロック。ゴシックとかそういった要素も入り込んだ作品になっており、ジャンルで形容するのは最早意味が無いし、本当に一言で素晴らし過ぎるハードコアとしか言えない。そして作品の楽曲が全て繋がった組曲形式の作品になっており、楽曲の合間合間にはSEが入っていたりもするし、本当に壮大な物語としてのハードコアだ。全楽曲にてシンセが本当に重要な役割を果たしており、そのシンセがゴシックな感覚を生み出し、また組曲形式になっている楽曲が本質的な意味でのプログレッシブさを生み出している。また楽曲の傾向も本当に幅広く、メタリックなハードコアからゴシックメタルまで本当に幅広い、しかし全ての楽曲が一つの太い線で間違いなく繋がっているし、楽曲の尺も4分台5分台で占められており、長尺な楽曲は無い。しかも決して難解では無いし、ハードコア・メタルの要素を思いっきり感じさせる音にもなっている。それでも今作は全てが一線を画している。もうそれはあらゆる要素の音を極限まで極めたからこそ生まれた物だと思うし、楽曲の完成度の高さと作品としての気高さを極めたからこその凄みであり、分かり易いアプローチをしても芸術性をとことん追求し鍛え極めたらとんでもない化け物になる事を今作は証明してしまった。
 うねるベースに引っ張られシンセのフレーズと独特な爬虫類ボーカルが耳に残る第1曲「Days」から「Sonic Mass」という壮絶な物語は幕を開け、楽曲の終盤ではゴシックかつクラシカルな世界が広がり、その壮大な超大作映画の様な世界に圧倒される。メタリックな第2曲「Shield Wall」でも単なるヘビィロックでは終わらず、プログレッシブなビートと細部まで作り込まれたシンセとSEの音が壮大さを与え、読経ボーカルから始まり正にプログレッシブメタルとしか言えない、トライヴァルさとゴシックさとプログレッシブさを極限までダイレクトに伝える第3曲「The Messenger」で今作の物語は一気に絶頂。第4曲「God Of The Grain」の様なシンプルなパンキッシュさを出してる楽曲こそあるけど、それでも常に入り込むシンセが聞き流すのを許さないし、肉体的なアンサンブルの強度とは裏腹に本当に細かい所まで洗練されたアレンジの緻密さも光る。Amebix流ゴシックメタルな第5曲「Visitation」、オリエンタルな旋律が印象的なアコースティックナンバーである第6曲「Sonic Mass Part 1」、その空気を切り裂き今作屈指の高速ヘビィネスメタルサウンドを展開する第7曲「Sonic Mass Part 2」、アッパーでエモーショナルなロックナンバーである第8曲「Here Come The Wolf」、ソリッドさからスケールを加速させる第9曲「Here Come The Wolf」と本当に捨て曲が全く無いどころか、全曲が本当に名曲で目まぐるしく変わるサウンド、そして決して変わらないバンドとしての屈強なアンサンブルと芸術性、それらを高めた先に待ち構える最終曲「Knights Of The Black Sun」は間違いなく今作のハイライトであり、「Sonic Mass」という闇と光が交錯する天変地異の物語から新たな誕生を想起させる本当に生命としての原始的かつポジティブなエネルギーを感じさせ、そしてその先にある新たな光と物語の幕開けを告げるクラシカルな音像が力強く響き渡る。もうこれは本当に終わりの無い生命の輪廻の様でもあり、今作に満ち溢れている生命エネルギーがビッグバンを起こしている!!!!!



 何度も言うけど、今作には枠組みなんて本当に不要だし、あらゆる要素を飲み込みそれらを極めた先にある壮大な世界、正に進化の精神がネクストレベルに突入している事から今作は最高に素晴らしいハードコアであり、そして最高のロックアルバムであるのだ。今作では全ての音が一つの円を作り出し循環をしている、そして第1曲と最終曲が一つの繋がりを持ち、まるで円環その物であるし、そして生命が還る場所であり、新たに旅立つ場所でもある。それがこの「Sonic Mass」で描かれる物語だ。もう自分でも何を言っているか分からないけど、一言で言えばメタルとかハードコアとか抜きにあらゆる音楽好きを屈服させるだけの壮絶な1枚になっているのだ。歴史的名盤!!!!!



■kataka/swaraga


Kataka(カタカ)Kataka(カタカ)
(2012/08/29)
swaraga(スワラーガ)

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 ちゃんとリアルタイムで聴けていたら2012年の年間ベスト上位に間違いなく入れていたのに!!って言いたくなる名盤。長年に渡って日本の地下シーンで活動する川上啓之氏が在籍するswaraga(スワラーガ)の2012年リリースの1stアルバムだが、これが80年代の日本のニューウェイブだとかSSEとかトランスレコード辺りの時代の空気を完全に継承しながらも、それを懐古的な音ではなく、2010年代のハイブリットな日本人らしい感覚と雑多さで一つのロックとしてどこまでも素晴らしい作品を作り上げたのだ。



 このバンドは80年代の古き良き混沌の時代の空気と共に生きた川上氏が在籍しているからこそ、あの時代の空気を非常に強く感じる音楽性だが、でもそうゆう説明をすると80年代懐古型のバンドだと思われてしまいそうだが、それは全く違う。あの時代から一つの道を確かに作り上げ、何処をどう聴いても現代的な音に仕上げているのだ。ポストロックやマスロックやギターポップやオルタナティブロックと今作に内包されてる音楽性は本当に雑多だが、それを単純に素晴らしいロックとして鳴らしている。松本玲子嬢のボーカルはゴスな感覚とか独自のノーウェイブ感を持ちながらもやたらポップな耳障りと妙な毒素を持っているし、川上氏の変幻自在のギターワークが本当に良い。コーラスやフランジャーといった類のエフェクターを多用している辺りは80年代ポジパンの流れなんだろうけど、そのギターワークは現在に至るまで様々なバンドで活動して磨き上げたセンスで現代性の中に独自の捩れをを持たせていると思う。第1曲「猩猩緋」はニューウェイブとポジパンを融和させ、多用されるキメが曲に不穏さを与え、インド音楽辺りを想起させる音階とボーカルもあったりと、一発目から本当に雑多で混沌とした要素を持っているが、それが妙にポップなメロディだったり松本嬢のボーカルだったりと、本当に中毒性に満ちた今作の必殺の1曲になっている。作品全体を通してそれぞれの楽曲の完成度は本当に高いし、それぞれの楽曲に本当に個性豊かな要素がある。第2曲「レクイエム」なんて完全にポジパンになっているし、第4曲「アウルクリーク」はプログレッシブなギターワークとパンキッシュさが絶妙に絡み合いつつも、変則的なキメに脱臼必至だし、第5曲「例えばダーガーのこと」はドリーミーさと切れ味の良いカッティングを繰り出すギターワークが光り、第6曲「D」はジャンクなニューウェイブパンク、そして最終曲「cluster」は今作で一番プログレッシブなギターワークが
炸裂しながらも、それを冗長にはしないで、あくまでもパンキッシュさとオルタナティブロックのざらつきを通して鳴らすからこそ、それを直接的な躍動と快楽をもたらしてくれる。



 本当に雑多な要素を持ったアルバムだとは思うけど作品を通して聴いて思うのは本当に単純に素晴らしいオルタナティブロックの一つとしてswaragaは存在しているっていう事だと思う。80年代と2010年代の間に存在する空白を繋ぎ、独自のオルタナティブさで鳴らしているからこそ、本当にロックとして面白いバンドだと思う。個人的には相対性理論レベルの人気と評価を得てもおかしくないバンドだとすら思うし、是非チェックして欲しい。



■seimeitai presents"I'll see you when we're both not so emotional"(2013年1月13日)@東高円寺二万電圧

 2013年にも突入し、今年のライブ初めとしてseimeitaiの企画に行って参りました。フロントマンのナカネ氏曰く、本当に自分が客として見に行って面白い企画にしたかったという事で、今回の企画の面子は本当に多彩であると同時に、この組み合わせでのライブは滅多に無いという6バンドによる一つのイベントとなったし、だからこそ二万は多くのお客さんで賑わっていた。正統派からエクスペリメンタルまでの幅広さ、それぞれのバンドが確かな存在感を見せるライブをしていたと思うし、本当に楽しい夜だった。



・TACOBONDS

 スタートギリギリに二万に到着し、一発目からいきなりTACOBONDSのアクトからスタート。このバンドは何回も観ているけど、本当にライブでの安定感が凄いバンドだと思うし、捩れた変則ビートと反復を繰り返すフレーズが生み出す捩れは本当にじわじわと飲み込まれるし、それでいてしっかりポップであるのがまたニクい所だと思う。全5曲と曲数自体は多くなかったけど、ノーウェイブ・ポストパンクから生み出される捩れたポップさはTACOBONDSならではだし、それを毎回安定感に満ちたアンサンブルで空間の磁場を捻じ曲げまくるライブの空気の作り方はやっぱり凄いと観る度に思うのだ。長年東京のライブハウスシーンで活動を続けているからこその貫禄がそこにある。



・1000pounds

 こちらは初めてその音に触れる事になった1000pounds。TACOBONDSの捩れたノーウェイブ感を塗り替え、一気に清涼感溢れるエモーショナル歌物ロックへ。今回ライブを観た感想としては、緻密で丁寧に作り上げらた楽曲と、郷愁とかそういった単語が思い浮かぶメロディの良さ、クリーントーンのギターフレーズが心に静かに吹き荒れ、丁寧なアンサンブルの中で時にエモーショナルさを暴発させ、何よりも真摯で真直ぐな歌の魅力が全面的に出ているバンドだと思ったし、柔らかさと強靭さの両方を持つバンドだからこそ、派手では無いかもしれないけど、確かな屈強さをライブで見せてくれるバンドだと思った。初見だけど凄い良いバンドだと思ったし、またライブ観たいです!!



・otori

 そしてこちらも初めましてなotori。コーラスをかけまくったギターフレーズとノーウェイブ・ニューウェイブの影響を感じさせながらも、それを独自解釈した音楽性を持っており、脱臼しまくり反復を繰り返し不気味な磁場を生み出す。そして冷徹なトーンの女性ボーカルがそれを助長させ、ブリブリと這い回るベースラインと、耳を劈く残響を脳髄にトラウマの様に残すギターが生み出すのは熱病の脳髄が冒される様な奇妙な陶酔感。更に変則的なフレーズが高速で乱打される楽曲では、ノーウェイブの時代のアバンギャルドさを現代的な形で生み出していたし、こちらも良かった!!しかしライブ後にバンドで調べてみたらotoriのメンバーの大半は元The Shopのメンバーらしく、その音楽性も奇妙さもThe Shopの進化系だったと納得させられた。



・PLAY DEAD SEASON

 そして凄い楽しみにしていたバンドの一つであるPDSのアクトへ。意外な事に二万でのライブは今回が初だったらしいが、最早新世代のポストハードコアの代表格として名高く、そのライブの凄さは多くの場所で話題になっている猛者である彼等はそんなのお構いなし。ライブを観るのは初であったし凄い楽しみだったが本当にライブバンドだなあって子供みたいな感想しか出てこなかった。ツインギターの鋭角フレーズとドライビングする変拍子のビートと、加速に加速を重ねるギターフレーズの凄み、それらをポストハードコアとかオルタナとかそういった言葉すら不要だとばかりの、本当にロックバンドとして馬鹿みたいに単純な格好良さで突き抜けていくバンドアンサンブルの破壊力。音楽性は本当に正統派Dlive Like Jehuチルドレンなそれではあるけど、本当に凄い猛者は正統派の手法であっても、その先人すら喰い殺すセンスとバンドとしての馬力を誇るし、PDSは間違いなくそんなバンドだとライブを観て改めて痛感させられてしまったよ。



・GROUNDCOVER.

 トリ前は、今本当にライブが凄いバンドとして名高いGROUNDCOVER.のアクト。ダブやらトランスやらハードコアやら全てを飲み込んだ激エクスペリメンタルな音楽で全てを破壊するサウンドを展開する現在のGROUNDCOVER.だが、去年は何回も彼等のライブを観たのだが、本当にバンドとして益々制御不能のカタルシスを生み出しているのだ。パーカッションと遠藤氏のドラムが複雑なビートを生み出しながらも、鉄槌として叩きつけるビートの鬼神と化し、ダブの冷徹さから、じわじわカタルシスの予感を生み出し、それが一気に暴発した瞬間にエクスペリメンタル菜轟音が全てを破壊する。望月氏はミキサーそ操作しながら叫び暴れまくり、そしてビートと空間的コラージュを過剰に施して、更に暴走するギターの管楽器のノイズの暴走。しかも最高に踊れる音になっているし、フロアの人々はその異次元のエクスぺリメンタルトランスミュージックにひたすら踊り狂っていたし、僕もその邪悪な音塊に飲み込まれながらも、ひたすら踊り狂っていた。GROUNDCOVER.は今本当にライブを目撃するべきバンドだと個人的に思っているし、どこまでも容赦の無いカタルシスの嵐、音楽は暴力である事を今のGROUNDCOVER.は証明し続けているのだと断言したい。



・seimeitai

 そしてトリは今回の主催であるseimeitai。結成当初から何回もライブを観てきたバンドだったが、実に3年振り以上にライブを見る事に。序盤はここ最近に作られた楽曲を中心にプレイ。ブリブリと独自のメロディラインを引くサック氏のベースラインが非常に印象的だし、90年代のオルタナティブの流れを独自解釈し、それを少し乾いた音でタイトかつソリッドなアンサンブルで鳴らしていた。余計な装飾を徹底して排除し、それをざらつきと絶妙なメロディアスさで融和させ、オルタナティブに独自の間口の広さを加え、それをあくまでも硬派に鳴らしていたのは本当に印象的だった。後半はバンドの初期からの楽曲である「Blackbird Rising」をプレイしてたけど、よりソリッドで刺さる感覚を新たなアレンジと長年プレイしていたからこその鍛えたアンサンブルで過去の楽曲にも新たな息吹が加わっていたし、本編ラストの「感違いガール」と後半のメロディアスなギターロックであった2曲は、よりソリッドに刺さるオルタナティブロックとしての真価を発揮し、バンドとしての進化を感じた。アンコールではバンドのテーマ曲とも言える「Fuck Police」をプレイ。僅か1分のサック氏が叫び倒すヘビィなハードコアだが、それを4回位連続でプレイして締め。バンドとしての進化も感じたし本当に良いバンドになったと改めて思った。



 そんな感じで個人的には今年のライブ初めだったのですが、全バンドそれぞれがそれぞれのやり方で良いライブを見せてくれたし、本当に楽しい夜を過ごさせて頂いた限りだ。ナカネ氏の自分自身が本当にライブを観たいバンドを呼んで企画をしたいというシンプルながらも確かな意思が企画にも表れていたし、それが確かに身を結んだ良いイベントだったと思う。あくまでも1バンドの企画だけど、そういったシンプルかつ確かな意思がある企画だったからこそこの日の夜は多くの人が楽しい時間を過ごしたと確かに思うのだ。
タグ : ライブレポ

■the seabed 謎の海底宇宙/JAGO

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 現在、地下世界にて少しずつ盛り上がりを見せる日本のカオティックハードコアだが、このJAGO(ヤゴ)もそんな盛り上がりの中にいるバンドだと思う。今作は2011年リリースの音源であり、FLYING HUMANOIDからのリリース。超常現象とかそういった類のオカルト的世界観をテーマにしたコンセプトアルバムとなっている。5曲15分で描く異形の世界は正にオカルティックカオティックハードコアと呼びたくなる出来だ。



 作品全体で一つの楽曲とも言うべき作品であり、個人的には5部構成のオカルト絵巻の様にも見える。水の「コポコポ」っていう効果音のSEから静謐でクリーンなアルペジオが一気に異世界へと引き込み、歪んだベースから一気にカオティックハードコアへと雪崩れ込む第1曲「古の海底遺構」から一気に作品に引き込まれる。彼等のカオティックハードコアはBotch辺りの先人の影響を感じさせながらも、日本で言えばKularaや同じくシーンで活動するwombscape辺りにも通じる物もある。第2曲からは本当に怒涛のカオティックハードコアが押し寄せ、変拍子と突発的なブラストビートとワープゾーン的な展開、不協和音が吹き荒れるズタズタのサウンドに身を切り刻まれる。ポストロックやスラッジ的な要素も随所に盛り込み、怒涛のサウンドと、不穏なパートが絶妙にお互いを引き立て合って、そして作品が進んで行くとスケールを密室化させ、第4曲「失われた記憶と宇宙」では陰惨なスラッジさを見せ、最終曲「異世界」では不穏のポストロックサウンドから終末へと緩やかにダイブするカオティックハードコアで締めくくられる。全5曲が繋がっているかの様な構成だし、ある意味全1曲15分の海底へと沈んで行くカオティックハードコア絵巻だと思う。
 各楽器隊が卓越した演奏技術で、それぞれ破滅的なサウンドを奏で、暴走しながらもギリギリのラインでのバランスを保っていたりもするが、JAGOは何よりもボーカルが良い。OZIGIRI氏がガテラルからハイトーンのシャウトまで多彩に使い分け、そのパートそのパートに見事にハマっているボーカルを聴かせてくれる。楽曲自体がブラストかたドゥーミーなダウンテンポ、不協和音の歪みから静謐で美しい旋律まで変則的に繰り出しているし、メタリックさからポストロックまでを見事に飲み込み変則的ながらも統一された世界観を生み出しているからこそ、OZIGIRI氏の自由自在に狂気を吐き出すボーカルが更に際立ち生かされ、より行き場の無い混沌へと堕落していく感覚になってしまう。重苦しく沈んで行く様は本当に地下や海底の異質の密室感を想起させ、その混沌で聴き手を飲み込んでしまう。



 日本のアンダーグラウンドのシーンのカオティック・激情のシーンはConvergeやBotch等の先人の叡智を正しい形で継承しながらも、それを新たな形で更新する猛者が蠢いているが、JAGOもそんな猛者であるし、一つのコンセプト作品でありながら、そのオカルトというコンセプトを見事に体現した作品になっている。カオティック好きや激情好きは聴いて本当に楽しめる1枚だと思う。



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AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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