■2013年03月

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■SPICE ADDICTS&A-BOY presents こんなの絶対おかしいよvol.3(2013年3月17日)@秋葉原GOODMAN

 ライブハウスにてフード活動をしているSPICE ADDICTSとA-BOYによる企画ライブであり、今回で第3回を迎える。しかし今回の面子はありそうで全く無かった組み合わせといえる。PanicsmileにFUN★ANAにTHE EARTH TEMPLEに加えてまさかの屍という4バンドが集結。この時点で本当にスペシャルな夜になるのを確信し、今回足を運ばせて頂いた。いざGOODMANに着くと、既に振る舞いカレーの調理によるカレーのスパイスの香りがしていて、既に食欲を掻き立てられる。そんな中で今回のイベントは始まった。



・PANICSMILE

 先ずはパニスマのライブからスタート。パニスマはこれまでに何度もライブを観たバンドだけれども、2010年に一旦活動休止をして、新体制で復活してからは初めて観る事に。そんな新生パニスマを今回目の当たりにする事になったけど、結論から言うと、本当にファンキーでポップなバンドになったと思う。勿論、変拍子駆使で、敢えて外される変則的なキメと、ソリッドかつタイトなギターフレーズ、分解と構築を繰り返すビートの脱臼具合とか、そういった要素は普通に健在だけれども、活動停止前のポップで歌を生かすパニスマのスタイルを更に突き詰めて、より踊れるサウンドになってし、これまでの楽曲も全くの別物になっていた。しかも新曲はパニスマ特有の奇妙なオルタナティブさを生かしながら、よりファンクに接近しつつ、よりダイレクトなハードコアさも手に入れてた。実に10曲近くを30分ノンストップで繰り出していたが、新生Panicsmileは新たなオルタナティブさを手に入れていたし、それがこれからどのような形で変化していくか本当に楽しみになるライブだった。



・THE EARTH TEMPLE

 続いては今回初めて観させて頂くTHE EARTH TEMPLEのアクトへ。ツインギターツインドラムツインベースという大所帯バンドだが、これがもうノイジーかつダンサブルで直情的なハードコアだったのだ。ボーカルの人は目元に謎にマスクをして、所狭しと暴れ、叫び、ツインドラムが繰り出す竜巻の様なビートの応酬、とにかくプリミティブで粗暴でキャッチーなハードコアを大所帯で演奏する事によって難解さではなくキャッチーでありながらも、単純に音圧と圧倒的テンションによるエクスペリメンタルミュージックとして機能し、怒涛のハードコアとして圧倒的カタルシスを生み出していた。30分が本当に一瞬で過ぎ去る嵐みたいなライブだったし、単純にハードコアを大所帯でやってるからって説明だけでは説明出来ない、凄さを彼等から感じた。本当にトルネードが目の前に渦巻いていたよ。



・屍

 そして憎悪を放つハードコアとして最強を誇る屍のアクト。前回観た1st再現ライブがあまりにも凄かったせいで、個人的にかなりハードルが高い状態で今回観る事になった。今回は現時点での最新作である「バラバラ」の曲中心のセットだったが、本当に息を飲む凄い物を見てしまった。頭でインプロ的な演奏から始まりつつも、披露される楽曲たち、板倉氏のボーカルは本当に凄くて、まるでこの世の憎悪の全てを吐き出しているかの様だったし、ハードコアを基調にしていながらも、ハードコアではとてもじゃないけど片付けられない。途中の静謐なパートでベースの音を心臓の鼓動の様に聞かせたりなんてしながらも、メタリックでありながら、赤黒いギターリフが生み出す悲しき旋律。ファストコア・ハードコアを基軸にしたビートの応酬。照明は常に赤のみで、目の前に赤黒く照らし出されたメンバーの3人の姿は神々しくもあったし、最後の最後には目の前に繰り出されてる音が、全てを超越した煉獄の業火の様に燃え盛っている様にすら見えてしまった。言葉では上手く形容できないけど、ファストコアとかハードコアという音楽性でありながら、それを憎悪って一点に特化させまくった結果生まれた地獄だし、本当に心臓を鷲掴みにされる様なライブだった。結論から言えば屍のライブは本当に凄すぎるのだ。



・FUN★ANA

 そしてトリは元ちゅうぶらんこの榎本氏とパニスマの吉田氏率いる4人組サイケデリックロックバンドであるFUN★ANA。屍のライブも凄かったけど、それに負けないレベルでFUN★ANAは爆音のサイケデリックロックを鳴らしていた。独自の捩れを感じる普遍的でありながら、妙に引き摺ったビートに引っ張られながら、スロウでメロウな普遍的なロックである筈なのに、爆音のファズギターが繰り出すヘビィさがまず凄いし、ちゅうぶらんこ時代の名曲「つまんない」ですら全く別の曲へと変貌してしまっている。ストーナーとかそういった要素にも足を伸ばしつつも、あくまでスロウでメロウなロックであり続け、それを極端に歪ませるから生まれる断層と断罪。音圧によるヘビィさ、何よりもギターボーカルの榎本氏のカリスマ性溢れる佇まいは、屍の板倉氏がハードコアの憎悪の象徴なら、榎本氏は割礼の宍戸氏の様な酩酊の世界に佇むロックスターであると僕は感じた。全6曲に渡って凄まじい爆音のファズギターが生み出すサイケデリックなロック。ちゅうぶらんことパニスマの二人がタッグを組んだこのバンドは、日本のサイケデリックロックの新たな断層を生み出すバンドだと再認識した。



 そんなわけで4バンドにも及ぶ濃密な夜を堪能しました。そしてライブ終演後は振る舞いのカレーをお腹一杯食べました。カレーの方も本当に美味しかったし、転換中に振るまって下さってたカレーで煮込んだチキンもまた美味で、本当に美味しいカレーと楽しい時間、何よりも4バンドの壮絶なライブという本当に素敵な日曜日を過ごしましたよ。
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■TERMINAL-H(2013年3月16日)@恵比寿BATICA

 今回はTHE CREATOR OF、NINGEN OK、Networks出演のイベントへと足を運ばせて頂いたのでそちらのレポを簡単に書かせて頂きます。約半年振位に恵比寿BATICAへと足を運んだけど、相変わらずの狭さでスタジオライブみたいな感覚になってたなあ。



・THE CREATOR OF

 先月の三軒茶屋に続く個人的に今年二度目のTCOのライブだったけど、前回の三茶が爆音で殺気を放つライブだったなら、今回は爆音ではあるけど、緻密で優しい音を聴かせるライブになったと思う。セットは4曲でここ最近のインスト主体で攻めるセットだったけど、今回はギターの音が本当に絶妙なシンクロを見せるライブだったと思う。「Pass Awya」、「Resonance」の序盤の2曲ではインストポストロックとしてのTCOの美しき重さを見事に体現していたし、複雑に絡み合いながらも、高揚感を高めるアンサンブルは観ていて本当に気持ち良くなる物だった。肝となるビートの絶妙な重みと安定感によるグルーブを下地にして、そこに美しい音を幾重にも重ねていく方法論が確かに光っていた。後半の2曲は「LIGHT」、「Wind Up」のボーカルの入った2曲を披露。「LIGHT」の静謐さから見せる美しきヘビィネスはやはりお見事だったし、ラストの「Wind Up」で見せるのは、かつてのTCOと今のTCOを繋ぐヘビィネスであり、一つの音が確かな存在感で美しく降り注ぐ情景だった。こうしてライブ毎に良い意味で楽曲のテンションが違うのもTCOのライブの魅力であるし、武器でもあるし、だから毎回ライブを観ても、凄みこそ感じても全然飽きないし、観る度に新たな発見がある。また次のライブでは違う一面を魅せ、美しく重い衝撃を与えてくれるであるに違いない。



・NINGEN OK

 続いてはここ最近知名度を一気に上げてきている金沢のインストデュオであるNINGEN OK。ギターとドラムのみで、ステージとフロアに三角錐型の照明をセットしていたりと、中々に異質な空気を生み出していたが、その音楽性は本当に歪みまくっている。硬質でソリッドで歪んだギターとタイトで粗暴なドラムのぶつかり合いであり、変則的なキメを乱打しまくり、時にはインストバンドらしい美しい音を聴かせつつも、核になっているのはギターとドラムのみで生み出される、ソリッド過ぎる音の正面衝突であり、その衝突と衝突の間の空白すら緊張感を生み出すスパイスとして機能させ、脱臼に脱臼を重ねていく。秩序的でありながらも、いつその秩序が崩壊してもおかしくないかっていうアンサンブルが、彼等がマスロック的なアプローチをしていながらも、それに染まらないバンドになっている決め手だし、ライブで生まれる緊張感とカタルシスは凄かった!



・Networks

 そしてトリはやっとライブを観る事が出来て嬉しいNetworks。ピアノとガットギターとドラムによる3ピースインストトリオだが、とにかく演奏力が凄い!音源でもオーガニックでありながら反復を繰り返し高揚していく人力トランスな感覚を見事に生み出していたけど、ライブではそれを完全に新しいダンスミュージックにしてしまっている。とにかく反復を繰り返すフレーズが生み出す高揚感と圧倒的な情報量。純白でクリアなピアノのフレーズの美しさと、渋くあり、絶妙にドラムと絡むガットギター、そしてNetworksのアンサンブルのキモとなるとにかく踊れるドラム。それらが三位一体となって、あらたな高揚感とトランス感覚を生み出していた。演奏されたのはたった3曲だttけれども、それでも30分にも及ぶオーガニックな透明感と、それが生み出す意識の覚醒としてのダンスミュージックは音源以上に最高の気持ちよさがあった。



 そんな感じで簡単にだけど、今回のライブレポとさせて頂きます。三者三様の独自を音を楽しんだ夜になったし、ヘビィな美しさ、ソリッドなぶつかり合い、調和が生み出す高揚感と、本当にお腹一杯になりました。
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■M B V/My Bloody Valentine


MBVMBV
(2013/03/04)
My Bloody Valentine

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 先日の来日公演も記憶に新しい(チケットは秒速で完売で僕は行けなかった…)、最早伝説になっているシューゲイザーの代表格であるマイブラの実に22年振りとなる2013年リリースの新作。まさかの再結成に奇跡の来日と、ファンを色々と振り回していた彼等だが、突然の新作リリースは本当に寝耳に水で、出るとは思ってなかったファンも多かったと思うし、驚きと共に、大きな喜びを感じている人も多いだろう。



 肝心の内容の方だが、全編に渡ってアナログレコーディングが施されており、作品全体にざらつきを感じさせる。そして何よりも彼等の代表作であり、伝説的名盤である「Loveless」と何ら大きな変化は無い、ある意味では安心と信頼のマイブラ節が全開で、本当にどこを切ってもマイブラらしい作品だと言える。だからこそ「Lovelless」を初めて聴いた時の様な大きな衝撃みたいな物は今作には無かったりする。でもマイブラが新たな作品を出してくれて、それが安心のマイブラの音であった。それだけでも今作は大きな意味を持ってしまう位にマイブラの新作としては十分過ぎるし、「Loveless」の様な破壊力こそは無くても、美しいホワイトノイズは全然健在なのだ。
 それでも変化はあると思ったりもする。作風こそは変わっていなくても、今作の音は個人的に凄く優しさを感じる。耳を貫く鋭い轟音では無く、柔らかに耳に入り込み、脳を甘く溶かす轟音であり、轟音と言っても、破壊的な音では無いし、本当に空気の様に当たり前に存在する平熱の優しさを今作の音から感じる。
 第1曲「She Found Now」から全くリズム楽器を使用しないで、ギターのフィードバックノイズの音と、おぼろげなボーカルのみで構成された楽曲であり、しかし柔らかに包み込む甘い旋律を基軸にしたフィードバックサウンドが緩やかなリズムを作り出し、まるで呼吸をするかの様な自然な速度と温度を体現しているし、この楽曲だけでマイブラが本当に唯一無二な存在だってのを再確認出来る。第2曲「Only Tomorrow」なんて完全にマイブラらしいギターポップ機軸であり、シューゲイザーを確立した彼等の王道な楽曲。ざらついたギターの感触の荒さがまた良いし、歪みと甘さのバランスが本当に黄金律を生み出し、ほとんど大きな展開こそ無いけど、淡々と刻まれるリズムと共に、緩やかに舞い上がる感覚と、ある種の重みや淀みをスパイスにして、ただ甘いだけのギターポップにしないで、絶妙な揺らぎを生み出している。第3曲「Who Sees You」に至っては、ホワイトノイズの破壊力は上がっているけど、それ以上に「Loveless」と何も変わらない感が本当に強くて、心から安心する。
 だけど決して変わらないと言っても、「Loveless」とはまた絶妙に違う。第4曲「Is This And Yes」はシンセの音の反復によって作られたマイブラ流アンビエントになっているし、第6曲「New You」はシンセベースの音がやたら印象的であるし、轟音サウンドを封印しつつも、マイブラの裸になったギターポップ・ドリームポップ的な陶酔感はかなり強いし、聴けば聴く程にじわじわと嵌っていく。今作の音は、アナログレコーディングの作品であるし、2013年の作品にしては音圧は決して強くないのかもしれない。しかし僕はマイブラはそれで良いとすら思う。きっと現代的なマスタリング・レコーディングで作られたら、マイブラのマイブラ感は無くなってしまうのかもしれないし、ケヴィンが自ら拘る音で作り上げた作品だからこそ意味がある。だから全然派手じゃないけど、それが近作にも存在する甘い陶酔の揺らぎへと繋がっているのだから。
 アルバム終盤の3曲は打ち込みを機軸にした楽曲であるが、それでも結局はやってる事は何も変わらない第7曲「In Another Way」。ドラムン調のビートと、フィードバックノイズのコラージュのみで作られた躍動感あるダンスチューンな第8曲「Nothing Is」。ここはマイブラのある種の変化でもあるけど、それでも核はやっぱり不変。そして最終曲「Wonder 2」で今作屈指の混沌へと雪崩れ込む、徐々に上がっていく音圧。ドラムンなビートが後ろでなり、加工に加工を重ねた音が徐々に輪郭を無くし、最後は爆音になり霧となり、そして消えていく。その瞬間こそ今作屈指のハイライトだし、この楽曲を聴き終えた瞬間に、マイブラの新作なんだこれって改めて実感した。



 新たな試みはあったりもするけど、それでも「Loveless」と基本的には変わっていないし、そうゆう意味では新たな衝撃は無い。でも楽曲の完成度の高さはやっぱり凄いし、派手では無くても、聴き込む程に楽曲に脳が溶かされてしまう作品であり、本当に末永く付き合ってこそ意味のある作品だと思う。何よりも22年の歳月を経て、マイブラが新たな作品を世に送り出してくれた事が何よりも嬉しいし、それがどこまでも僕たちが愛しているマイブラの音なのが僕は心から嬉しい。



■この手で描く滅びの碧、 その手で綴る終末の詞/weepray

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 東京の4人組激情系・カオティックハードコアバンドであるweeprayの2012年リリースの2曲入のデモ音源。デモ音源でありながら、しっかりCDプレスされているし、7インチが少し小さくなった位のサイズの封筒ジャケット、ポストカードに歌詞が印刷されてる仕様、アートワーク等、デモ音源でありながらもかなり凝った仕様でリリースされているのはバンド側の美意識による物か。



 さて肝心の音の方だが、ここ最近盛り上がりを見せる国内激情らしい暗黒系カオティックサウンドになっており、プログレッシブかつドラマティックな展開を見せつつも、熾烈なダーク系激情のツボをしっかりと押さえた物になっている。ブルータルな要素やスラッジな要素も取り込んでおり、そんな楽曲の中でも暗黒系の美しい旋律を感じさせ、世界観を作り上げている印象。第1曲「この手とその手」はダウンテンポのリフから始まりながら、ブルータルかつカオティックなハードコアへと暴走。カオティックに展開する変拍子の嵐の中でポエトリーをハイトーンの叫びとポエトリーを交互に繰り返すボーカル、高速ビートを繰り出すハードコアパートとダウンテンポの重苦しいパートの使い分け方がかなり上手いし、ドロドロした情念めいた感情を音として表現している。ヘビィでメタリックなリフで容赦無く攻めるギターリフもまた良い。一方で第2曲「滅びの碧 終末の詞」では、ダウンテンポでズルズル這い回る様に展開されるビートとリフがスラッジさを更に加速させ、ハードコアパートでは不穏のアルペジオと共にビートが突っ走り、絶唱を聴かせる。約8分の中で目まぐるしく展開し、ポストブラック辺りの音にも接近している。楽曲の後半では静謐なアルペジオが引率するパートへと変貌し、悲壮感溢れる言葉をポエトリーで吐き出し、終末感と破滅願望の甘美な美しさに聴き手を酔いしれさせる。そして最後は絶望と破滅を掛け算したかの様な終末的ヘビィさで締めくくられる。楽曲構成なんかは練りに練られていると思うし、破壊的サウンドの要素を巧みに使い分けて、絶望とか終末といった世界観をサウンドで見事に体現している。美しさを感じさせながらも、狂気的な感情が全てを塗り潰し、その歌詞も含めてダークサイドの甘美さに酔いしれる事が出来、そのメタリックなギターサウンドと痛々しい絶叫にはナイフで何度も刺されているかの様だ。



 国内若手激情・カオティックの中でも特に人間の内面に迫るドロドロとした負の感情を体現する事に優れているバンドだと思うし、言葉と旋律で内側から痛めつけ、メタリックなリフと怒涛のビートで外側から痛めつける、自傷的な激情系ハードコアだ。絶望から救いを感じさせる要素は全く無いし、徹底して重苦しく、痛々しい。こういった音や言葉に酔いしれたい方々には本当に甘美に聴こえるだろうし、kularaとか、ZANN辺りの熾烈で痛々しい激情が好きな方々には是非聴いて欲しいバンドだ。



■praparat/boris


praparat [Analog 限定180g盤]praparat [Analog 限定180g盤]
(2013/03/06)
boris

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 日本を代表する世界的ロックバンドの一つであるBoris、2013年に入ってから一気に音源のリリースラッシュに入り、今作はその先陣を切る1枚であり小文字borisとしては本当に久々にリリースされる新作だ。2011年にリリースされた3枚はこれまでのBorisでもあり、これからのBorisでもある3枚だったが、この久々のboris名義でリリースされた今作はこれまでのborisのアンビエントでサイケデリックな流れにありながらも、今まで以上にキャッチーさもある1枚になっている。



 全11曲で40分弱とborisにしてはコンパクトなサイズであり、ほぼインストで占められてる作品構成なんかはかつての名作「Mabuta no Ura」の様な一種のサントラ的な作品に仕上がっていると言えるし、borisの持つ実験精神と幾多の要素を行き来しながら、サイケデリックやアンビエントと言った要素を飲み込み、それをミクロの視点から生み出す作風は健在。しかしこれまで以上に聴きやすくもあるし、それぞれの楽曲のコンセプトが本当に明確になった気もする。少し難解な印象もあったりしたboris名義の作品だけど、今作は基本軸はborisでありながら、ここ最近のミクロもマクロも同時に見せるBoris名義での作品の感覚に近くもあり、それはBORIS名義やBoris名義で多くの作品をリリースした先にある、一つの洗練としての進化である。
 第1曲「December」は静謐さから生まれるアンビエントなサイケデリックさに揺らされ、美しい旋律に陶酔してしまう1曲であり、そこから今回のborisは始まるのだが、第2曲「哀歌」はborisらしいヘビィさと美しさの両方を手にした音像が非常に印象的であり、何よりもboris名義では今までに無いレベルで歌に接近しており、一つの荒涼とした情景を想起させる1曲になっており、今作でも特に象徴的な1曲になっている、特に楽曲の終盤で一気にBPMを上げてポップになっていく様なんかは「New Album」を作り出したからこそ出来た事だとも思うし、今回のborisは堂々とポップであるのだ。第4曲「砂時計」はサイケデリック要素もありつつも、正統派な轟音系ポストロック的アプローチであり、クリアな旋律が柔らかくも爆音で意識を覚醒させる。とにかく今回の新作は音楽的なレンジが非常に広い作品でありながらも、それをborisらしいヘビィロックから生まれるサイケデリックさで上手に統率し、作品の統一性も損なっていない。
 中盤に入るとヘビィな楽曲が続き、第5曲「Method Of Error」ではスラッジリフの反復と鐘の音色の音が生み出す神秘的でありながらも、粗暴で重苦しいアンサンブル、シンプルなリフの反復でありながら、随所にインプロ的アプローチも加え、ヘビィロックから新たな音を生み出してきたborisらしいストーナーな酩酊へと帰結する楽曲になっている。第6曲「Bataille Suere」は本当にBORISとborisの中間を絶妙に掻い潜る楽曲だし、ライブで聴いたら一気に陶酔の世界に呑み込まれそうになるだろう。今作のもう一つの歌物楽曲である第9曲「Mirano」では再びサイケデリックなポップさへと飛躍し、重苦しい哀愁とアシッドさを前面に出している。そして第10曲「カンヴァス」で全てを開放する激重サイケデリックの音像を見せつけ、今作を総括する。



 久々のboris名義のリリースとなった今作だが、コンパクトな作品でありつつも、borisの持つ音楽性の広さとヘビィさから生み出すサイケデリックさはやはり健在で、それをより分かりやすく聴かせる懐の大きさも手に入れた作品という印象を受けた。しかし個人的には今作はまだboeisが新たな段階へと到達する進化過程の間にある作品だとも思ったし、今作の先にある音は一体どんな世界なのか期待も膨らむ。ここ最近のBorisの作品から入った人もすんなり聴けるし、これまでのborisを知ってる人も唸らせる作品だとは思うけど、まだまだこんな物じゃないって期待をしっかりと抱かせてくれる1枚。



■100ANTENNA(2013年3月9日)@鶯谷WHAT'S UP

 今回は羊数える企画の方に足を運ばせて頂いたので、簡単にですけどレポを書かせて頂きます。鶯谷WHAT'S UPというハコには初めて行ったけど、まず鶯谷が本当にラブホしか無くて、おいおいこんな場所にライブハウスあるのかよ!?って鶯谷に着いた時に思ったりしたが、無事にWHAT'S UPを発見。ハコ自体は本当に小さくて、アンプも家庭用みたいな感じ。何よりステージとフロアの境界が全く無い。そんな場所で今回の地下集会が行われた。



・MiDDLE

 先ずはMiDDLEのアクトから。ギターボーカルの人がDrive Like JehuのTシャツを着ていた事から確信したけど、もう完全に古き良きサンディエゴな爆裂ポストハードコアサウンド!爆音で激走するドライヴィンなリフの応酬だけでも滅茶苦茶格好良いのだけれでも、それに加えてメンバー三人全員がボーカルを取り、絶唱の掛け合いで更にバーストしまくる!とにかく絶妙なキメとリフで攻めに攻めて、ノンストップで爆走するポストハードコアサウンドは一発目からテンションをブチ上げてくれた!正統派サンディエゴ直系ポストハードコアの底力と爆発力をライブだからこそ体現し、それで刺しに刺しまくる音!ナイス!!

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・TIED KNOTS

 お次は昨年末のfrom ten to nine企画以来に見るTIED KNOTS。前回見た時はハードコアから90sからエモティブなサウンドを聴かせている印象だったけど、今回のライブではまた印象が変わって、もっと歌の部分に接近した印象を受けた。ハードコア上がりな男臭さはしっかり健在ではあるけど、もっと楽曲に透明感が加わっていた様にも見えるし、とにかく泣きのクリアなアルペジオのフレーズと無骨なギターフレーズが絶妙に絡むのは反則だろって思ってしまった。とにかく無骨でストレートな泣きの旋律に更に磨きがかかっていたと思うし、よりドラマティックなサウンドを聴かせるバンドになったと思う。近々レコーディングらしいので、完成した音源も非常に楽しみになるライブだった!

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・quizkid

 続いてはquizkid。ギターはなんと200mphのハヤシ氏というのも驚きだが、このバンドとにかく渋かった!!簡単に言うと歌物のエモなんだけれど、とにかく3ピースのシンプルなアンサンブルの中で静かに燃え上がる熱量が凄い!各楽器の音は強い主張を特別にしてる訳では無いのに、それが絶妙に絡み合う瞬間に焦燥と哀愁が一気に美しい旋律と共に涙腺を刺激しまくる。特にハヤシ氏のギターワークが本当に秀逸で、エモ・ポストハードコアの流れを汲み、その絶妙な歪みと揺らぎが生み出す哀愁が本当に堪らない。またボーカルが本当に良いバンドで、少し枯れた感じの渋さしかないクリーントーンの歌が、このバンドの持つエモーショナルさを更に加速させているし、とにかく胸に響きまくる。エモとはドラマティックである事であり、このバンドは静かな流れの中で一つの物語を楽曲の中で作り上げるバンドであり、それはもう魂を十分に震え上がらせる。今回のライブの間違いなくベストアクトだったし、本当に良いライブだった。

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・羊数える

 そしてラストは主催の羊数える。ディスコーダントかつドライヴィンなサウンドを聴かせる3ピースであり、なおかつカオティックに暴走する音塊はバンド名に反してかなり極悪。3ピースでありながら、全ての音をバキバキに歪ませ、ハイトーンで叫びまくりジャンクで崩壊寸前のまま暴走する。しかし楽曲自体はかなりの構成力と爆発力を見せる物で、そういった叡智をジャンクなサウンドで叩きつけるからこそ爆走のポストハードコアになっているのだと思うし、あらゆるバックグランドを感じさせながらも、それを自らの物にしてる感じもあった。この日一番の暴走をライブで見せつけ、企画主としてしっかり企画を締めくくってくれた!最高に格好良かったけど、音源買い忘れてしまったのが残念だ。またライブを見たいと思ったし、ライブだからこそ彼等のサウンドは本当に映えるなと思った。

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 今回は4バンド中3バンドが初見だったけど、ディスコーダントな音を聴かせてくれたMiDDLEと羊数えるという2バンドと個人的に幸福な出会いを果たせたし、TIED KNOTSは更に歌とエモさに磨きがかかっていたし、何よりもquizkidが本当に良いライブを見せてくれた。結構お酒飲んだりもしたし、ライブ終演後は出演者や他のお客さんとも楽しくお話もさせて頂きました。土曜の夜に良いバンドのライブとお酒という素敵な時間と空間で楽しい時間を過ごさせて頂いたのです。
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■My darkest friends/PALM

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 大阪のAtomic WarHead HardcoreバンドであるPALMの2012年リリースの2ndアルバム。アートワークはあのConvergeのJacobの手による物。その事もあって2012年の国内ハードコアの話題作にもなっていたが、そういった予備情報以上に、今作はハードコアを極限まで極めた激ヴァイオレンス&激カオティックな1枚になっており、2012年の国内ハードコアの重要作品になった。



 今作はヴァイオレンスなカオティックさで暴走するハードコア作品であり、自らの音をストイックに鍛え上げたからこそ生まれる瞬発力とパワーで全てを薙ぎ払う作品だが、同時にあらゆるエクストリームミュージックの要素を飲み込み、熾烈さも極限まで高めている。徹底して暴走ハードコアであり続けながらも、曲は一辺倒には決してなってないし、本質的な意味でカオティックでありハードコアからエクストリームミュージックを生み出しているのだ。導入の第1曲「明暗」はアコギで和製ドゥームな音階を奏で、読経めいたボーカルが不穏さを見せる曲、仏教的なアコギとボーカルのみの音像にいきなりハッ!?とさせられてしまうが、第2曲「Fighting The Darkness」から本番開始!!メタリックなリフご高速で侵略開始!!がなり立てるシャウトと共に、暴走するビートとリフが織り成すヴァイオレンスさを極めたハードコア阿鼻叫喚サウンドには一気に魂を熱くさせられてしまう。曲の終盤ではボーカルもグロウルになりスラッジ成分を高めたBPMとリフが高速のサウンドから推進力を落とした重戦車の音になり、両極端のエクストリーム要素の落差で粉砕される。しかし続く第3曲「The Neighbor」ではまた高速ハードコアとなり、リフとビートの破壊力に身を任せて叩きつける極悪さを展開。しかし、そういったエクストリームなサウンドの中でもシンガロング出来るコーラスを盛り込んだり、とにかくロックなギターソロを披露したりと、ヴァイオレンスさの中でキャッチーさも見せる事も出来るのがPALMの凄さだろう。第5曲「Rebel Without a Cause」なんてストーナーロックとハードコアの融和とも言うべき1曲で破滅的な音圧で攻めながらも非常にロック色の強い1曲でキャッチーな格好良さが充満しており、正に必殺。そんな楽曲に続く第6曲「Stray Dog」では完全にドゥームに振り切れており、極端なまでの落差を感じる。作品の中で落差を見せながらも、基本は暴走ヴァイオレンスハードコアになっているし、その暴走サウンドを生かす為に他のエクストリーム要素も盛り込み、結果として更に極悪でメタリックかつカオティックなハードコアにしているのだ。また単なるヴァイオレンス一辺倒じゃなくて、楽曲の中でしっかり変化を見せる展開があるし、それがまた絶妙にドラマティックになっているのだ。そして今作を総括する8分以上に及ぶ最終曲「My Battle Could Be Yours, Your Battle Could Be Mine」にて、今作に存在するあらゆる要素を1曲にブチ込み、暴走ハードコアから始まり、最後は美しく重苦しい終焉を迎える。



 Converge好きは勿論だけど、ハードコア好き、エクストリームミュージック愛好者を唸らせるだけの手腕は間違い無くあるし、極限まで音を鍛え上げたら最高に強くて格好良いハードコアになったという最も良い例の一つだし、そこに落差やドラマティックさや美しさを盛り込みながらも、最終的にはヴァイオレンスなハードコアにしっかり着地してるし、もう馬鹿みたいに単純に格好良すぎるハードコアだと思う。ライブでもそのパワーとヴァイオレンスさは更に加速しているし、本当に凄いバンドだ。



■BLACK MUTANT/skillkills


BLACK MUTANTBLACK MUTANT
(2012/12/26)
skillkills

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 2011年の登場と1stアルバムのリリースにて一気に知名度を上げたアバンギャルド人力ヒップホップ4人衆であるskillkillsの本当に早くも届けられた2012年リリースの2ndアルバム。精力的なライブ活動を行いながら、メジャーシーンとは別の場所で活動しているバンドとしてはありえない僅か一年でリリースされた2ndだが、これが1stで聴かせた衝撃を更に上回る作品になっている。4人それぞれ卓越したスキルを持ちながらも、よりアバンギャルドに、そしてダンサブルになった今作は本当にヤバい。



 リズム隊である弘中兄弟の生み出すグルーブ、ヒカルレンズ氏のターンテーブル・サンプリング・キーボードの入れ方のセンス、マナブスギル氏の解き放たれたラップと言語のセンス。それらがぶつかり合い、ヒップホップというかビートミュージックをネクストへと引き上げるのがskillkillsの音楽だが、今作はそれが更に上を行くネクストへと到達している。単なる人力ヒップホップでは終わらず。ポストパンクからアバンギャルドからレベルミュージックまでを喰らった音はより洗練され、各メンバーのスキルにも更に磨きがかかっている。変則的なビートやトラックの使い方をしているのに、どこまでもグルービーであり、肉を強制稼動させるグルーブとアンサンブル、黒い突然変異が新たな進化を見せてくれた。第1曲「skillillkills」からノイジーなサンプリング音と、弘中兄弟の必要な音のみで生み出す、揺らぎと屈強さのグルーブ、マナブスギル氏の解放された言語感覚によるパンチラインの嵐と変則的でありながらも、どこまでもダンスミュージックであり続けるバンドの音と見事に調和したラップ。変則的に入るキメが揺らぎのグルーブから覚醒させ、バンドの進化を見せ付ける。単なる人力ヒップホップでは無く、バンド編成だからこそ生み出せる肉体的を揺らすグルーブとアンサンブル。奇天烈な癖にどこまでも脳に危険信号を送るサンプリングやラップといった自らの武器を更に進化させ、それを「スキル」として遺憾なく発揮しているのだ。第2曲「Chloroform」では本当に必要最低限の音のみで生み出されるリズム隊の音が生み出すドープなグルーブ、その空白を見事に埋めるラップとループするサンプリングとキーボードの高揚感、ドープさから生まれる高揚感という矛盾を矛盾では無くしてしまい、新たなビートミュージックとして放っているのだ。
 個人的には中盤の楽曲が特にガツンと来た。第3曲「Teenage Mutant」なんてポストパンクの変則性を見事に活かしながらも、ロックのダイナミックさも体現し、時折入るマナブスギル氏のギターがまた良い感じで危険信号となっている。第4曲「π」では奇妙なキーボードとフリーキーなドラムから始まり、よりダイナミックになったビートが体と脳髄を揺らし、三味線のサンプリングのループがまた高揚感を生み出し、マナブスギル氏のラップに至っては「お腹がすいたらスニッカーズ」とか「ポリンキーポリンキーskillkillsの秘密はね教えてあげないよジャン」なんていうパンチラインまで飛び出すレベルまで言語感覚を更新するラップを披露している。中盤で入る妙にブルージーさを感じさせるギターソロがまた良いし、今作でも本当に必殺の1曲になっている。それに続く第5曲「Count 2.9」は正に黒い突然変異の二つ名を体現する楽曲であり、変拍子のドラムと、よりドープなグルーブに磨きがかかるベース、不協和音をループさせるキーボードが不気味なおぞましさを生み出しながら、それを絶妙なバランスでビートミュージックとして成立させてしまう手腕、ダブとかそういった要素を取り入れながらも、それでは絶対に終わらないアバンギャルドさ。本当に恐ろしい。
 終盤に入ると、より黒っぽさをskillkills流に体現した楽曲が並び、ジャズのセンスのピアノが印象的でありながら突発的にスペーシーになったりもする奇妙な捩れが生まれている第6曲「P.N.P.」、スグルキルス氏のベースが今作で一番ブチ切れてる第7曲「Back Spin」、ノーウェイブな感覚を感じるサンプリングが人力レベルミュージックと化した最終曲「Hungover」と全8曲にも及ぶグルーブとアバンギャルドさが生み出す本質的な意味でネクストに到達したビートミュージック。本当の意味で「面白い音楽」であり、本当の意味で「ダンスミュージック」をskillkillsは体現している。



 多彩なアイデア、そしてそれを活かすスキル。似ている曲なんて全く無い、しかし一貫してるのはアバンギャルドでありながらも、どこまでもダンスミュージックであり続ける事。ビートにダイナミックさはバンドだからこそ生まれ、ヒップホップのテンプレートを嘲笑い、雑多な要素を単純にダンスミュージックとした鳴らすskillkillsは異質でありながらも、誰よりも踊れる音に意識的であると感じるし、それがskillkillsにしか生み出せない音楽なんだと思う。そして先日初めてライブを観たが、ライブは音源が物足りなくなってしまうレベルで更に凄い!!本当に体の細胞が全部覚醒する感覚を覚えてしまった。黒い突然変異ことskillkills、完全にノーギミックなヤバイスキル、凄まじい名盤が生まれてしまった。



■MURDERFREAK MUSICK PRESENTS DOUBLE HEADLINE SHOW(2013年3月2日)@渋谷CYCLONE

 昨年末のワンマンライブで二時間半にも及ぶ圧巻のステージを見せてくれた日本が世界に誇るドゥーム、いやロックバンドであるCHURCH OF MISERY。滅多に日本でライブをやらない彼等だが、ここに来て僅か二ヶ月で再び日本でライブをやってくれる事になった。しかも今回は東京の暴走ロックンロールバンドであるBAREBONESとのダブルヘッドライナー2マンというスペシャルなライブ。勿論今回も足を運ぶ事になったわけであるが。スタート直前にサイクロンに入れば既に多くの人で賑わっている。暴走ロックンロールと殺人鬼ロックンロールの激突を誰もが楽しみにしていたのだと思う。



・BAREBONES

 ライブは19時きっかりにスタート。先手はBAREBONESから。今回のライブで初めて彼等の音に触れる事になったのだが。とにかく最高に格好良いロックバンド以外の言葉が出ないバンドだ。3ピースでベースボーカルって編成や、ベースボーカルの人のマイクの位置が高い事や、音楽性も含めて正に和製Motörheadって言い方が一番しっくり来るバンドで、ベースの音はとにかくゴリゴリに歪んでて凶悪。ギターはストーナーロックの流れを汲みながらも兎に角ストレートなリフと爆走ギターソロで勝負!やってる音楽性事態は本当に正統派ハードロックであるのだけれども、海外バンドに全然負けない馬力を持っているし、マーシャルのキャビ2段積なセッティングから放たれる爆音のリフとグルーブが生み出す肉体を殴りに殴るロックとしての凄み、ブギーするストーナーさが、喰らいやがれ!!とばかりに押し寄せてくる。曲も2分台3分台の楽曲ばかりで、合間のチューニング以外はほぼノンストップで繰り出される爆音サウンドにフロアは盛り上がるしかなくなってた。何のギミックも無い音楽性であるけど、ハードコアライクでもありながら、どこまでもロックなバンドだったし、予備知識無しでも魂を燃え上がらせるライブを見せてくれたよ。一時間程で、ライブは終了したが、アンコールの手拍子が既に発生し、そしてアンコールで披露されたのはMotörheadの「Ace Of Spades」のカバー!!!!!俺たちのアンセムオブアンセムのカバーによって更に盛り上がりモッシュの嵐になるフロア。そのカバーもMotörheadに真っ向勝負を挑む様なストレート極まりない物だけど、バンドの力量が物を言い、本家に負けないパワーと迫力だったし、20曲近くにも及ぶ暴走ロックンロールでサイクロンを激熱状態にしてくれた!!しかし最後の最後で「Ace Of Spades」のカバーは反則過ぎるでしょ!!!!

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・CHURCH OF MISERY

 BAREBONESのアクトから10分弱程で再び客電が落ちる。後手はCHURCH OF MISERYのアクト。のっけからヒデキ氏がアンプの上に設置されたダブのバンドとかが使いそうなノイズとかを発生させる謎の装置(そこら辺の機材の知識無いので詳しくは分からないです)を操作し、ディレイのかかったノイズがいきなりハコに充満する。そして楽器隊の演奏が入り1曲目から最強の楽曲の一つである「El Padrino」からの幕開け、前回のワンマンのライブでもこの曲の獰猛でドゥーミーでありロックをひたすら凶暴凶悪かつサイケデリックにした事によって生まれた血と死肉の香りしか無い殺人鬼ロックだが、今回のライブでは新ギタリストイクマ氏がバンドのサウンドを更に喰い殺さんとばかりの凶悪さを全開にしていたし、ヘビィで引き摺るドゥームさとワウで歪むサイケデリックさをリフのブチ込み、フロアの客の鼓膜を蹂躙。三上氏のベースもオートワウ全開で、歪みの中からサイケデリックなグルーブを生み出す。バンドとしての屈強さは更に鍛え上げられており、より凶暴なサウンドを聴かせる。
 今回のライブは要所要所でヒデキ氏がノイズを発生させ、バンドの凶悪な音を更に凶悪にしていたが、やはりヒデキ氏はその佇まいと獰猛なボーカルこそ最大の魅力だ。何度もフロアな客を煽り、時には拳をぶつけあい、時には勢いよくダイブしたりと暴れまくり、猛獣以外何者でもない超肉食の叫びを聴かせる。ヒデキ氏は勿論だけど、今の編成になってのチャーチは本当にメンバーそれぞれが凶暴な音をぶつけ合って噛み付き合いながら強靭かつ異質のグルーブを生み出しているのも凄いのだが、それだけではなく本当にメンバー4人全員に華があると思うし、そのサウンドだけじゃなくて佇まいからしてロックバンドとして最高に格好良い。
 チャーチはドゥームメタルバンドであり、サバス直系ドゥームの最強のバンドであるのはもう分かりきってる事であるけど、それ以前に単純にロックバンドとして最強なんだと思う。メンバー全員が華があって、そのサウンドもストレート極まりなくて、それでいてサイケデリックな陶酔感をグルーブで感じさせ、凶暴なギターリフとボーカルで惨殺するというロックの危険な要素を凝縮されたそれは、本当に最高にクレイジーだあり、フロアの人々を狂気で笑顔にする事が出来るのだ。今回のライブは定番の曲はしっかりと押さえ、アンコール含めて約1時間半程のセットだったが、常に這い回るグルーブと暴走するリフが最大音量で迫り、ヒデキ氏のボーカルとアクションで更にロックバンドのライブとしてエキサイティングさせてくれたし、余計な言葉抜きに「格好良い」以外の賛辞は要らないんだなって実感した。凶悪極まりないドゥームサウンドをストレートに刻み付けるチャーチのライブは全開のワンマン以上に圧巻だったし、ロックバンドとして本当にとてつもないエネルギーを持っているからこそ、世界の猛者とぶつかり合い、そして世界トップレベルの評価を得た日本のバンドとしてチャーチは語られる様になったんだ。世界最高クラスのロックが目の前にあった。

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 待ちに待った新作も5月頃にリリースされる事がアナウンスされているし、5月に再び二万電圧でのライブも決定し、いよいよチャーチの新章が加速し始めているが、本当に今回のライブもロックバンドCHURCH OF MISERYが圧巻のステージを見せてくれた。勿論、BAREBONESも最高の爆走ロックンロールで見せてくれたし、二つの最高のロックバンドのぶつかり合いにより最高にトベる夜になった。ロックをどこまでも凶悪にする事で最高のエクストリームミュージックになる事を2バンド共に証明してくれたし、その凶悪なサウンドとは裏腹にフロアは笑顔で溢れていた。5月の二万電圧のチャーチのライブも絶対に足を運ぶつもりだし、BAREBONESもまたライブを観に行くつもりです。本当に最高のロックンロールショウだったぜ!!
タグ : ライブレポ

■Vertikal/Cult Of Luna


VertikalVertikal
(2013/01/29)
Cult of Luna

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 スウェーデンの大所帯ポストメタル集団Cult Of Lunaの実に5年振りとなる2013年リリースの6thアルバム。今作ではこれまでメインボーカルだったKlas Rydbergがバンドを離れた事により、バンドのメインコンポーザーでありギタリストでこれまでもサブボーカルを務めていたJohannes Perssonがボーカルを務めている。しかしそんなバンドのピンチから生まれたとは思えないレベルでとんでもない傑作が生まれてしまった。伊達に5年間も沈黙していただけの事はあるのか、今作は間違いなく2013年のポストメタルの重要作品の一つだ。



 これまでのCOLはスウェーデンらしい耽美な旋律と大所帯の凄まじいアンサンブルと、強靭なスラッジさをダイナミックかつ緻密に放つサウンドが魅力的だったのだけれども、COLが素晴らしいバンドであると同時に、僕は彼等が良い意味でも悪い意味でもISIS系統のポストメタルの優等生バンドって立ち位置に落ち着いてしまっていたとも思うのだが、今作ではそのポジションを完全に脱却。自らの音を新たに作り出したのだ。今作はドイツのSF映画「メトロポリス」を題材にしたコンセプトアルバムになっており、ボーナストラック含めて10曲で約80分近くという圧倒的ボリュームの作品でもあるのだが、本当に宇宙ポストメタルとも言うべき新たな次元をこじ開ける作品なのだ。短いSE的な小品3曲を除くとどれも壮大なポストメタルの宇宙を体現しており、一つのコンセプトが彼等に新たな扉を開かせてしまったのかもしれない。
 ダークアンビエント調でエレクトロニカな導入である第1曲から、揺らぎの感覚が充満し、意識を彼方へと持っていかれる。そして第2曲「I: The Weapon」から一気に暴発!!これまでのCOLの流れを感じさせるISIS系ポストメタルな楽曲だが、末期ISISの叡智を手にしながらも、それをよりスケールアップし、幾重に重なる楽器の音と強靭なビートの屈強さというこれまでの武器を鍛え上げただけでは終わらずに、よりスペーシーさを感じさせる音の作り方やギターのエフェクターの使用の方法論。スラッジなリフとビートが楽曲の骨組みを支えながらも、作り込まれた音が浮遊し揺らぎ、そして降り注ぎ、ドラマティックな旋律と共に展開していく名曲になっている。これまでの作品よりもスラッジ成分は少し薄くはなっているが、それでもスケールは格段に向上しているし、キーボードの入れ方やベースの揺らぐラインだったりとか、スラッジさから美しく耽美な旋律が咲き乱れるラストまでの流れが既に圧巻。この楽曲だけどもバンドの進化と変化を嫌でも痛感させられてしまった。
 しかし更なる新機軸と進化を見せるのは約19分にも及ぶ第3曲「Vicarious Redemption」だ。前振りの長めな宇宙的アンビエント・ドローンな前振りで焦らしに焦らし、そこから幾重に重なるギターの美しい旋律が高揚感を徐々に生み出し始め、そこからスラッジサウンドへと移行していく展開はこれまでのCOLの流れかをより貫禄と深みを持たせた物であるけど、驚くべきは後半で全てを塗りつぶす漆黒の音塊から、エフェクトをかけまくったベースラインとドラムとボーカルがダブステップ調の展開を見せて、それが一気に神々しい光すら感じさせるポストメタルパートへと雪崩れ込むのだ。そしてプログレッシブな感覚で闇と光が交錯する一大スペクタルへと向かい、壮絶なクライマックスを迎える。もう第2曲と第3曲だけでも今作の凄みという凄みが嫌でも味わえるし、本当に彼方から宇宙を生み出すバンドへとCOLは生まれ変わったのを実感した。
 勿論、他の楽曲の完成度も高い。合間に入るスペーシーなSEが作品の空気をより明確にしているのも大きいし、第5曲「Synchronicity」では今作屈指のスラッジ成分を感じさせながらもドラムとパーカッションの金属的なぶつかり合いが堪能できるし、無慈悲に放つスラッジ成分の強いリフの刻みと、スペーシーなサンプリングとキーボードがまた破壊と創造の調和を生み出す。より壮大なスケールで放たれる第6曲「Disharmonia」も新たな誕生を想起させるポストメタルの王道から新たな道をこじ開ける楽曲になっている。終盤の第8曲「In Awe Of」ではこれまでのCOLのサウンドを彷彿とさせるし、第9曲「Passing Through」は終わりなきギターの不穏で美しいアルペジオの反復と、アンビエントなサウンドと、Fredrik Kihlbergのアシッドな歌声が生み出すダークサイドの旅だ。



 これまでのCOLの流れを組み込み、それを更にスケールアップさせ進化させるだけでなく、新たな試みを取り入れ、それが完全にバンドをネクストレベルまで進化させた作品であり。正に宇宙ポストメタル以外の何者でもない、新次元の作品をCult Of Lunaは生み出したのだ。メインボーカルの脱退と言うピンチを乗り越え、更なる高みへと登り詰めた金字塔だ。これまでの作品に比べたらスラッジや激重といった要素は少し薄くはなってしまったのだけれども、それでもより緻密なサウンドプロダクトと決して揺るがない屈強なアンサンブルが織り成す一大宇宙交響曲としてポストメタルの新たな道を切り開いた作品だと言える。
 ISISの解散以降、Amenra、Light Bearer、Milanku、Grown Below、Morneといった猛者が、ISIS以降というポストメタルの先を作り出す傑作をリリースしたが、COLもその次元に到達する作品をついに作り上げた。2013年もポストメタルはまだまだ新たな進化を続けていく。



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AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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