■2013年04月

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■Infinite4ce/Shuly to 104kz


infinite 4ceinfinite 4ce
(2012/09/19)
shuly to 104kz

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 これはタイトル通り本当に無限の力に満ち溢れた作品だ。広島は福山の伝説であるゆーこときカズ、そして桜王のメンバーである金築氏と原田氏を中心としたバンドShuly to 104kz(シュライトゥーテンフォーケージー)の2012年リリースの1stアルバム。ゆーことの地獄メタルコアとは全く違い、今作ではどこまでも真摯に漢としての生き様をメッセージとして放つ最高に熱く美しい激情系ハードコアを聴かせる作品になっているのだ。



 このバンドはボーカル・ギター・ヴァイオリン・ドラムというベースレスの非常に変則的な編成のバンドにはなっているが、壮大なスケールで描かれる激情を描くとなるとこの上無い位に最高の編成となっている。先ず原田氏はゆーことの時の様にゴリゴリの高速地獄リフとは全く違う、美しい旋律を奏で、ポストロック的な空間的なエフェクターの使い方をしているし、ヴァイオリンの旋律が原田氏のギターと共に、よりスケールを拡大させ、無限に広がる美しい旋律を聴かせ、激情のパートでは轟音のサウンドを展開し、美しく高めたエネルギーを暴発させ、美しい轟音バーストを見せ付ける。ドラムもポストロック的なアプローチをタイトに力強く鳴らしながら、ここぞの時はダイナミックなビートの乱打を叩きつけ、何よりも金築氏のボーカルが放つメッセージが凄い。ポエトリーリーディングにより、明確かつシリアスに言葉をストレートに放ち、そして激情のパートではその魂を震え上がらせる福山のハードコアヒーローとしての力を完全に解放する。音楽性はストレートなハードコアでは無いにしても、やはり福山ハードコアパンクスである彼等だ、どんな手法で、どんな音楽性になっても、彼等の核にあるのは熱きハードコア魂であり、それをその声で、その音でダイレクトに叩きつけて、ブン殴ってくる。そしてよりメロウで美しく、感動的ですらあるのだ。
 そんな彼等のサウンドは第2曲「STILL ALIVE」から発揮されているし、第3曲「屍」では激情系ハードコアとヒップホップとポストロックを融和させた様な楽器隊のアンサンブルが、ソリッドに発揮され、ドスの効いた声でのポエトリーから、最後の最後で絶唱へと雪崩れ込む展開は、ドラマティックで本当に熱い。第5曲「花」ではより幽玄の旋律を聴かせ、ヴァイオリンの旋律とギターのアルペジオが共鳴する感動的な美しさ、オリエンタルさすら感じさせるヴァイオリンの旋律が本当に印象的だし、情緒豊かなギターの旋律も最後は激情の美しいディストーションサウンドを聴かせる。第6曲「STILL GRIND」ではダンサブルなビートと共に、より直情的になった激情系ハードコアサウンドが炸裂、ディレイするギターフレーズが奥の奥まで突き刺し、ループするヴァイオリンの幽玄さはそのままにグラインドし、バーストするサウンドをボーカルの高揚感が本当に堪らない。
 今作で特に印象的なのは第4曲「Infinite4ce」と第7曲「S.T.1 PRIDE」だろう。今作の中でも長尺になっているこの曲は、そのスケールの凄まじさもそうだけれども、金築氏が放つメッセージが圧倒的な情報量を誇り、圧倒的経験と鍛錬を長年積み重ねた成果が発揮されているし、本当に美しさと強さが共存した楽曲になっているし、何よりも金築氏の言葉が本当に真摯に刺さるし、これこそが漢として生き続けている漢の生き様であり、だからこそどこまでもドラマティックさを極めに極めているし、何よりも不器用でありながらも、ただ一点を見つめ射抜く様な音と言葉が放つハードコアの魂の激情が炸裂する。本当に余計な感情を抜きにして、その音と言葉は聴く人の中にある感情とか激情とかをフル稼働させ、感受性を応答させる。それこそがShulyが持つ音と言葉の力だと僕は思う。特に福山ハードコアパンクスとしての生き様を歌い叫ぶ「S.T.1 PRIDE」のラストの歪みに歪んだギターの轟音と、絶唱と、美しいヴァイオリンと、乱打されるドラムが放つ全身全霊の激情は圧巻の一言だし、メッセージ性の強いバンドでありながら、その音でも極限まで美しい魂を情景として強く描くのだ。



 怒りも喜びも全てひっくるめて、それを言葉にし、音に乗せる。そして美しい激情の音と、福山が生んだハードコアヒーローこと金築氏の言葉による本当に全身全霊の激情がパッケージされた作品であり、漢なら震えるしか無い筈だ。激情系ハードコア好き(特に最近のEnvyが好きな人)、ヒップホップ好き(特にTHA BLUE HARB辺りが好きな人)、轟音系ポストロック好きは絶対にマストな一枚だし、そうじゃない人にも全力で大推薦したい1枚。漢の生き様がそこにある!!



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■DEMO/anthology three chord

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 北海道から本当に素晴らしいエモーショナルロックバンドが登場した。4人組エモーショナルロックバンドであるanthology three chordの2曲入デモ音源が今作なのだが、これがもう本当に素晴らしい歌を歌い奏でているバンドなのだ!北海道の先人達の血肉を感じさせ、USエモの空気を大きく吸い込み、郷愁の珠玉のメロディセンスを生かし、伸びやかに、しかし哀愁全開で、じわりじわりと歌い上げるバンドだ。



 今作は「janet」と「海の向こう」という2曲を収録しているのだが、本当に誤解を恐れないで言えば、現在のUSエモの空気と、北海道のエモーショナルロックバンドの空気を吸い込み育ち、それを自らの歌として歌っているのだ。彼等のギターワークだったり、メロディだったりはそれこそbloodthirsty butchersだったり後期のCOWPERSだったりの影響を感じさせる物だけど、彼等はそれを見事に昇華し、それらの先人の音を絶妙にすり抜け、確かな流れを受け継いだバンドだと思う。何よりも彼等は本当に歌という点に対して真摯なバンドに見えるし、伸びやかであり、かつ不器用な居場所の無さを感じさせるギターボーカルの安田氏のボーカル、絶妙に燃え上がりながらも、爆音の暴発へ行きそうで行かなく、でも確かなエモーショナルな暴発へと雪崩れ込んだりもし、微熱の中で静かに燃え上がる熱量を感じさせる楽曲のアンサンブルやメロディ、特にメロディセンスとギターワークのセンスが本当に秀逸なバンドだと思うし、歌と鋭利さが本当に良い塩梅で共存している。「janet」の一発目のギターストロークからクリアなアルペジオ、そしてチョーキングを絶妙に織り交ぜたギターワークと硬質にザックリとした感触で響くバッキングのギター、それがもう北海道のあの感じ、USエモのあの感じを上手に料理して、先人達への敬意を、自らの音にして還し、生まれ変わらせている。個人的に今は亡きWE ARE!に対しても凄く強く感じていたのだけれども、本当に凄いバンドは偉大なる先人の影響を強く感じさせながらも、それを単なる模倣じゃなくて、自らの音として生まれ変わらせる事が出来るし、真っ向から王道のサウンドを奏でる気迫、それと同時に先人が作り上げた王道を絶妙にすり抜けて、自らの覇道として更新する。そのすり抜けて、更新していく感覚がこのバンドにも感じるし、彼等の音はUSエモや北海道エモの流れで説明出来そうで出来ないのだ。何よりも研ぎ澄まされたメロディセンスが生み出す青い郷愁と、過ぎ去ってしまった日々の煌きがアンサンブルに見事に表れている。「海の向こう」なんて、クリアなアルペジオの旋律と暴発するエモーショナルな躍動から始まりながらも、その燃え上がる熱量を落し、緩やかに流れる情景を想起させるアンサンブルによって、より純度を高めた歌が響き渡る。そして泣きに泣きまくったギターソロからファズギターと共に感情の暴発が疾走するパートへと雪崩れ込んでくるニクい展開も見せてくれるのがまた良い。とにかく歌心を最大限に生かしたエモとして彼等は単純に素晴らしい曲を生み出しているバンドだと思う。



 言ってしまえば彼等は一つのズルさを持ったバンドである。先人達への影響こそ感じるし、それらの先人の生み出した音に対する愛も凄い感じる。しかしそれをすり抜けてかわしていく感覚。それこそが本質的な意味でセンスと呼べる物なんだと思うし、何よりも純粋にメロディセンスが郡を抜いて素晴らしいバンドなのだ。今作は2曲収録のデモ音源となっているが、是非ともアルバム単位で作品に触れたいバンドだし、何よりもライブを観たいバンドだ。
 また僕は今作をTIED KNOTSのベーシストであるちんねん氏のディストロにて購入させて頂いている。関東では近作を扱っているのは恐らくちんねんディストロだけらしいので、下記リンクのちんねんディストロのページを是非ともチェックして頂きたい。

ちんねんディストロ(仮)



タグ : 日本 エモ

■彼岸花/weepray

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 2099年に結成された都内で活動する激情系ハードコア4人組weeprayの1stデモ音源。2ndデモ同様にこちらもデモながらしっかりCDとしてプレスされており、7インチが少し小さくなった封筒型のジャケットにCDと歌詞が書かれたポストカードが封入された凝ったデザインになっており、デモ音源ながら美意識と気合が伺える。



 今作に収録されているのはタイトルにもなっている「彼岸花」1曲のみだが、約8分にも及ぶ痛みとして激情を鳴らすweeprayのサウンドが見事に展開されている楽曲であり、彼等の名刺代わりの音源としてはかなり強烈なインパクトを与えてくれる物になっている。アンビエントなSEから始まるオープニング、ポエトリーから不穏な空気と痛々しい絶望感が既に充満しており、その空気を破壊する形で、熾烈でヘビィなリフとハイトーンの絶唱が響き渡る瞬間にweeprayのダークかつ美しい激情が咲き乱れる。ソリッドさが際立つアンサンブルのダークな旋律を生かした無慈悲なサウンド、ダウンテンポとハードコアらしい疾走するパートを交互に繰り出し、無慈悲でありながらもその中で楽曲は目まぐるしく展開し、時にスラッジ要素すら飲み込んだパートすら取り入れ、ハイトーンシャウトとポエトリーを交互に繰り出し、より精神を蝕む言葉と悲痛さ。特に後半のポエトリーが何重にも重なりながら、スラッジなビートとリフが降り注ぎ、そこから再びハードコアパートになり、絶望の深淵へと落下していくラストへと雪崩れ込み、悲壮感が美しく咲き乱れる美しさは、堕落と絶望が美しく、甘い蜜だって錯覚すらさせれれてしまう陶酔の世界だ。メタリックなビートとギターリフの感触は本当に冷徹であり、そこにダーク系激情の正統派の流れを受け継ぎながら、痛々しい自傷的な激情系ハードコアをweeprayは展開しており、この「彼岸花」でけで十分過ぎる程に彼等の魅力は伝わる筈だ。



 僅か1曲ではあるがweeprayの持つ絶望の悲痛さを体現する激情が見事に咲き乱れており、内面のドロドロとして感情を無慈悲に切れ味鋭いハードコアとして体現している。2ndデモ同様にこちらも是非聴いて欲しい作品だし。ここ最近盛り上がりを見せる国内激情の重要バンドなのは間違いない。



■the small back e.p./wakamiya

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 東京を拠点に活動する激情系ハードコアバンドwakamiyaの2012年からライブ会場限定にて販売されている3曲入りEP。パッケージは便箋みたいになっており、その中に歌詞カードとCD-Rが封入されている物になっている。青く透明感溢れるサウンドが生み出す郷愁と、美しく青く激しい魂の激情がパッケージされており、現在のwakamiyaの魅力を十分に堪能できる1枚になっている。



 第1曲「背中」からいきなり郷愁が込み上げる青き美旋律が炸裂。ポストロック的に静謐かつ美しいフレーズとポエトリーによって、透明感が静かに広がり、しかし冗長にはしないでクリアさをバネにして、暴発を生かす。時にマスロック的なフレーズすら盛り込み、テクニカルさすら感じさせつつも、サビではその青き旋律が暴発し、激情系ハードコアと歌を見事に融和させ、燃え上がる青き感情を体現する。まるで美しかった過去への郷愁や切なさや後悔といった物を音にして、胸を締め付けてくるけど、それを乗り越えて前を向こうというポジティブなエネルギーを感じさせるし、触れると壊れそうな繊細で美しい旋律をハードコアのアンサンブルによって力強く前向きに鳴らしているのがwakamiyaが持つエモーショナルさであり、彼等の大きな魅力になっていると思う。第2曲「valentine」は激情の叫びから始まり最初からクライマックスといえる楽曲だが、歪んだギターワークは激情系ハードコアのそれなのに、その奥にあるクリアさも際立たせ、それを約4分の中で異様にドラマティックに描く。彼等はハードコア要素とエモ要素とポストロック要素を絶妙に配分しているバンドだし、そのどれもが確かなバランスで共存し、そして持ち前のメロディセンスの良さを最大限に生かしている。第3曲「表裏の賛美歌」は今作で一番美しい旋律が光る1曲で、激情系とか以上に郷愁のエモーショナルさが炸裂し、そして美しい前半から、熱量を高め、最後は壮大に燃え上がる名曲であり、彼等の持ち味である青き激情をより高次元にした物だ。とにかく聴いていて心が震え上がる作品だし、ハードコアでありながら、ここまで青く美しい激情を見せてくれる素敵な作品だし、wakamiyaは日本人ならではの郷愁の激情を見事に描くバンドだと思う。



 収録されている3曲どれにも言えるけど、静謐なパートを生かしつつも、ここぞでエモーショナルな激情を暴発させてくれるし、何よりも卓越したメロディセンスとアンサンブルが描く郷愁としての激情は本当に聴き手の心を突き刺し燃え上がらせてくれるのは間違いない。今作はライブ会場限定販売の音源ではあるが、wakamiyaはライブも本当に良いバンドであるし、是非機会があったらライブに是非とも足を運んで頂きたい。



■過点 第七回(2013年4月13日)@吉祥寺WARP

 正に激情が吉祥寺を揺らした熱い夜だった!!新体制となり、新たなスタートを切ったwakamiyaの企画である今回は、wakamiyaに加え、ヒップホップから激情を鳴らすGENIUS P.J's、こちらも新ドラマーを迎え新体制でのスタートを切ったカオティックハードコアの最果てから地獄を生み出すwombscape、そして広島は福山から漢の激情を叩きつけるshuly to 104kzという4バンドが生み出す激情はベクトルこそ違えど、本当に凄まじいエネルギーを生み出す4バンドであり、この面子が集結するってだけで本当に熱い夜になるのを確信したし、いざ足を運べば想像以上の感動が生まれた本当に良い企画となった。



・wakamiya

 一発目は企画主であるwakamiyaから。今回出演する3バンドをじっくり楽しんで欲しいという想いとリスペクトの念から、こういった企画では非常に珍しい主催バンドが一発目を飾る事に。彼等のライブを観るのは1年振り位だったが、新たなギタリストが参加し、これまでギターボーカルだった喜早氏はピンボーカルとなり、4人編成でのライブ。以前ライブを観た時も緻密に練り込まれた楽曲と、その青く熱いエネルギーを激情として鳴らしていたが、今回のライブではよりハードコア要素が強くなり、持ち前の青き旋律の郷愁と言うwakamiyaの大きな魅力はそのままに、よりダイレクトにハードコアとして青い激情を叩きつけてくる様になった。ポエトリーリーディングと魂の叫びを使い分け、焦らし無しでダイレクトかつドラマティックに燃える青き炎。本当に卓越したメロディセンスを持っているバンドだし、何よりも郷愁を高次元で描くアンサンブルの凄みも相当だったし、改めて彼等の放つ激情系ハードコアを本当に容赦無く心を揺さぶり、魂を美しく焼き尽くしていた。何よりも本当にポジティブなエネルギーに満ち溢れていたライブだったし、一発目からいきなりクライマックス!!観たのは久々であったけれども、本当に素晴らしい激情を鳴らすバンドに進化したなと実感させられたし、企画主として序盤からWARPを熱く焦がしてくれた。本当に胸が震えた!!



・GENIUS P.J's

 続いてヒップホップから激情を鳴らすGENIUS P.J's。今回その名を初めて知ったのだけれど、ドラムとギター兼トラック&MCという一風変わった編成の3人組。しかし彼等の音はヒップホップではあるけれども、間違いなくエモだった。生ドラムの躍動とバーストする熱量、トラックもヒップホップというよりも、エモ・激情にかなり近いし、何よりもMCの人のラップは激情系ハードコアのポエトリーにかなり近い感覚。時にトラックの人がギターを弾いたと思えば、高揚感溢れるクリアで青臭い旋律を最大限に生かしたトラックの持つ熱量を、ギターの轟音サウンドで一気に暴発させ、そして繰り出される言葉は日常を生きる人々へと訴える熱さがある。バンドサウンドでヒップホップをやっている人達は別に珍しくは無いとは思うけれども、彼等は別格中の別格であり、本当に下手したら激情系ハードコアのそれにかなり接近しているし、それを洗練されたトラック、ダイナミックなビート、そしてヒップホップとしても激情としても高い次元にあるMCのラップ。それが三位一体となって聴く物の心を揺さぶるのだと思う。初見ではあったけれども、wakamiya同様に心を揺さぶるライブをしてくれたと思うし、ヒップホップからも激情を鳴らせる事を彼等は証明してくれた。



・wombscape

 wakamiyaとGENIUS P.J'sが生み出した魂を揺さぶる熱い空気を完全にブチ壊す形で、地獄の最果てをカオティックハードコアとして鳴らすwombscapeのライブへ。ドラムの脱退により一時期活動を停止していたが、新たなサポートドラムを迎えて新体制でスタートを切った彼等。彼等のライブも観るのは一年振りだったけれど、その煉獄っぷりは更に極まり、本当に目の前に悪夢が広がっていた。今回のライブは30分で3曲。サンプラーのアンビエントな音色と共にメンバーが登場し、不穏の旋律が2本のギターが静かに奏でるオープニングから「蝕の刻」へ!!その不穏さを破滅へと変貌させるカオティックなハードコアサウンドへと変貌した瞬間に一気に意識が覚醒し、そして目の前にあるのは地獄。ボーカルのりょう氏はのたうち回り、叫び、時にうめき声を上げながら、悶え苦しむ様にステージで暴れ、カオティックハードコアらしいタッピングのフレーズを炸裂させながら時にスラッジに、時にポストロック的に、時にアンビエントに展開する2本のギター、そして目まぐるしく展開される楽曲を支えるリズム隊。演奏技術も素晴らしいバンドだけれども、単なるテクニック先行型カオティックなんかとは全然違うし、彼等は技術とセンスを全て、おぞましい悪夢を体現する為に使いこなし、そして表現している。時折入るサンプラーの音がまた彼等の描く世界を高次元の物にし、「嗚咽する空の内側に」の様な静謐さが際立つ楽曲でも、ハードコアの憎悪が静かに渦巻き、そしてドラマティックさが加速すればする程に、より痛々しく重苦しくなっていく様は本当に圧巻。長尺の楽曲をほぼノンストップで演奏していたのもあって、30分に渡る奈落の組曲としてwombscapeは降臨していたし、最後はスラッジ要素を全開にし、自ら生み出した煉獄すら焼きつくし完全なる無を描いていた。本当に壮絶なライブだったし、観たいた人は確実に殺されたと思う。カオティックハードコアの先を行き、全てを置き去りにするどころか、全てを漆黒の炎で無に還すハードコアとして、wombscapeは本当に壮絶極まりないライブを魅せた。破滅の美しさがそこにはあった。


・shuly to 104kz

 そしてトリは広島は福山の伝説であるゆーこときカズ、そして桜王でも活動する金築氏と原田氏によるshuly to 104kz。ゆーことの狂気を描く地獄メタルコアとは打って変わって、shulyで描くのは美しく壮大な激情系ハードコアであり、そして漢として生きるというメッセージを放つ本当に熱いハードコアだ。ボーカル・ギター・バイオリン・ドラムというベースレスの変則的な編成であるけど、そんなのお構いなし!一発目の「屍」からギター原田氏はポストロックの流れを感じさせる美しい旋律を高次元で体現、更にタイトかつダイナミックなドラムがビートを支え、バイオリンの旋律が壮大さを生み出す。何よりも福山が生んだハードコアヒーローである金築氏だ。ポエトリーなボーカルで、メッセージをストレートに伝え、その言葉は武骨で硬派な男らしさ全開で、本当に真摯で全身全霊。そして複雑に展開されるポストロック的反復するフレーズのアンサンブルから全ての楽器がエネルギーのリミッターを解除し、激情系ハードコアのパートに雪崩れ込む瞬間は神々しく美しい旋律が鳴り響きながらも、シリアスであり、本当に持ち前の激情を爆音のサウンドで放つ。なによりも激情パートでは金築氏がゆーことの時とはまた違う、言葉をダイレクトに伝える激情の叫びを本当に魂を削り放ち、そして力強く本当にポジティブなメッセージとして聴き手に叩きつける。そんな彼等のライブにフロアの人々は皆、拳を高く突き上げ、その「生きる」というメッセージを全身で受け止めていた。何よりも感動的だったのは本編ラストに演奏された「Infinite4ce」と、アンコールで演奏された「S.T.1 PRIDE」だ。どちらも約10分にも及ぶ大作だが、shulyの持つ美しく壮大な激情がドラマティックに目の前で暴発し、その美しい旋律と、轟音のカタルシスに心が本当にブン殴られる様な感覚と感動を覚えた。何よりも金築氏が圧倒的な情報量を言葉で伝え、そして叫ぶ。その姿は本当に暑苦しく、不器用で、でも漢として生き続ける福山が生み出したハードコアヒーローとしてのカリスマ、そして漢としての生き様をハードコアとして描くshulyの魂の音、本当に泣きそうになったし、強く拳を握り締め、そして何度も何度も突き上げていた。最後の最後はドラムもギターもバイオリンも最大級のクライマックスを表現し、金築氏の魂を焼き尽くした叫びによって完全燃焼の45分は幕を閉じた。



 今回の企画は個人的に記憶に残るライブになったし、4バンドが圧倒的なライブを見せてくれた。wakamiyaが描く青き炎としての激情、GENIUS P.J'sのヒップホップから放つ日常の中の激情、wombscapeの奈落の底の底を表現する負の激情、そしてshuly to 104kzの漢として生き続けているハードコアヒーロー達による魂の叫びとしての激情。この日も日本全国で素晴らしいライブが同時多発で繰り広げられていたと思うけど、4月13日の吉祥寺WARPは間違いなく世界で一番熱い激情が生み出されていた。個人的に忘れていた感情や感覚を思い出させてくれたライブだったし、本当にこの場にいれて本当に良かった。たかだかバンドの企画ライブかもしれないけど、でもこの日の吉祥寺WARPにいた人々には、wakamiya主催の「過点 第七回」というイベントが本当に記憶に残るイベントとして残り続けると思う。少なくても僕はこの夜を絶対に忘れない。
タグ : ライブレポ

■The Present/静カニ潜ム日々


The PresentThe Present
(2013/04/03)
静カニ潜ム日々

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 2013年3月にPlay Dead Seasonが本当に素晴らしい1stアルバムをリリースしたが、そんなPDSとかつて共にスプリットをリリースした横浜にて結成された3ピース静カニ潜ム日々もほぼ同時期に、負けずに素晴らしい1stアルバムをリリースした。BIGMAMA、[Champagne]といった人気バンドを輩出したRX-RECORDSからリリースされる静カニの2013年リリースの1stアルバムは、全9曲の確かな熱量を持ちながらも、ゆるやかに歩を進め日常を生きる歌が収録されている。



 まず静カニは本当に単純に曲が良すぎるバンドである。90年代エモやUSインディーロックといったバックグラウンドを持ち、ポストロックなんかの要素も持っており、3ピースというシンプル極まりない形態で、本当に余計な装飾をしたない剥き出しであり、確かな強度のアンサンブルで鳴らす。そして本当にメロディセンスが卓越しているバンドであり、平熱~微熱の絶妙なエモーショナル具合。全ての音がごく自然に存在しながら、鋭利な冷たさと、柔らかな温かさの両方を持っている。更に今作のざらついた感じのミックスなんかも、彼等の温度とアンサンブルを更に生かし、静カニの魅力が更にダイレクトに伝わってくるのも大きい。更にはギターボーカルである川元氏のボーカルが本当に良い。焦燥だとかいった要素を感じさせながら、どこまでも優しく。どこまでも伸びやかに、どこまでもクリアに響き渡る歌。これが静カニの魅力だ。今作に収録されている全9曲は、本当にただの名曲の集まりだ。余計なギミックも無く、本当にごくシンプルに素晴らしい歌が収録されている。そしてその歌は何よりも鋭利に聴き手の胸を突き刺していく。時に歪んだ轟音も織り交ぜながらも、楽曲は常にクリアで青い。そして何よりも本当にポジティブなエネルギーが静かに燃え上がっている。
 第1曲「Step Forward」の冒頭のギターのハウリング、そして3カウントから既に胸を焦がされそうになり、クリアさと歪みが絶妙に同居したギターのサウンドと、タイトで本当に無駄が無いなのに、躍動感に満ち溢れたビートに引っ張られながら、全てを祝福する福音が響き渡る。どこまでも純度を高め、2分半の中でいきなりクライマックスへと導かれる瞬間。既に静カニの描く世界に引き込まれている。第4曲「Idea」では更に透明度を高め、本当に平熱の中に潜む微熱の熱量がじんわりと浸透し、聴き手の心に入り込んでくる。本当に極限まで削ぎ落されたアンサンブル。必要最低限の音しかないのに、その一音がこれ以上無い位に感情を伝え、そして力強く羽ばたいていく。後半になると絶妙に歪み、しかし爆音サウンドのそれとは絶妙に違い、どんなにギターのサウンドが歪んでも、その旋律とアンサンブルが持つ熱力は自然と変わっていないし、終盤は絶妙な焦燥を感じさせ、静かに拳を握り締めたくなる。本当にバンド名そのままで、静かに聴き手に潜む日常の中の熱量を見事に体現した名曲だ。そして終盤の3曲は本当に静カニの真骨頂とも言える楽曲が続く。哀愁も男臭さも暴発させ、轟音系ポストロックの様に静謐さから歪みが暴発し、高らかな叫びと共に涙腺を崩壊させる第7曲「Carry On」。今作で屈指のドラマティックさを持っている第8曲「What Should I Say ?」。シンセの優しい音色から始まり、まるで子守唄の様に日々の終わりを優しく見守り、最後はドラマティックな歌と共に新たな日々の始まりをただ祝福する最終曲「Isotope」この3曲は近作でも屈指の名曲であり、もう感情という感情が揺さぶられる。



 盟友であるPDSとは路線も方向性も違うけど、静カニもPDSに負けず劣らず本当に素晴らしい名盤を生み出してくれた。9曲40分で描かれる日々の感情としての音楽。エモ・インディーロック・ポストロックの要素を取り入れながらも、それをすり抜け、自らにしか生み出せない屈強な強さと優しさで描き、日々を生きる人々への賛美歌集として今作が生れ落ちるのは本当に必然だったと思う。また素晴らしい1枚がこの世に生れ落ちた事が、僕は本当に嬉しい。



■Godspeed You! Black Emperor(2013年4月10日)@恵比寿LIQUIDROOM

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 奇跡の再結成、2011年に奇跡の来日、そして昨年奇跡の新作のリリースと、カナダが生み出した伝説であるGodspeed You! Black Emperorのが再び日本の地を踏む。今回の来日公演は、2011年の来日の時に「もう日本には来ないだろうな。」と思っていた僕には本当に更なる奇跡であり、心の底から敬愛するGY!BEのライブがまた観れるという喜びに震えていた。今回の来日公演はリキッドルームでの2Daysであり、今回二日目の公演の方に足を運ばせて頂いた。19時頃にリキッドルームに到着し、最初はあまり多くなかった観客も開演直前には、多くの人々が集結し、奇跡が再び目の前で起きる瞬間を今か今かと待ち望んでいた。



 予定の開演時間である19時半の少し前には客電は点いたままだったが、不気味な重低音ドローンなBGMが鳴り始めて只ならぬ空気を生み出す。そんな時間が10分程続いて客電が落ち、奇跡の再来日公演が始まった。、静カニメンバーがステージに登場を始める中、ヴァイオリンの悲哀漂う音色と、アンビエントな残響音が響く。1曲目は「Hope Drone」からだ。今回の公演は前回の来日の時よりもメンバーは少なく、オレンジの薄暗い照明と、映写機の光が映し出すステージを見るに、恐らくは7人程の編成になっていた。だから音圧とかそういった点でのインパクトは前回の来日公演の方があったかもしれない。しかし、例えいつもよりメンバーが少なかったとしても、そこはGY!BEだ。持ち前のシリアスさを極めた壮大かつ複雑極まりない世界は何も揺らいでいないし、この「Hope Drone」で、スクリーンに映写機から映し出される「Hope」という文字の重み、幾重にも重なる楽器の音が不穏に、美しく、そして壮大にスケールを拡張させ、言葉や歌が存在しない、インストのサウンドを究極レベルまで極めた彼等の真骨頂が既に発揮。そしてドローンなサウンドから高まっていく熱量、それは新たな崩壊の瞬間を予言している様な感じであったし、目の前の「HOPE」という文字同様に、本当に重苦しく、観る物の精神にその音は圧し掛かっていた。しかしそんな「Hope Drone」に続く形で繰り出されたのは最新作からGY!BEの楽曲の中でも屈指の高揚感と崩壊のカタルシスを生み出す「Mladic」。ドローンな残響音が続く中で、パーカッシブな不協和音が響き、ツインドラムがGY!BEお得意の躍動感溢れるバーストするビートを叩き出した瞬間に、情景が一気に変わる。しかしまだ溜めに溜める。高揚感を持続させながら、映画的な音像を繰り出し、その暴発の瞬間を予感させつつも、ヴァイオリンはオリエンタルな音を奏で、そして破滅を予告する。そしてツインドラムのビートの手数が増え、本当に幾重にも重なる轟音が一気に明確な形を見せた瞬間に、本当に全神経が覚醒する瞬間と、それに伴う快楽が一気に押し寄せてきた。そこからは本当に圧巻で、全ての音が作り出すのは計算され尽くした混沌であり、スクリーン映像の効果もあって、シリアスさを極めながら、正に崩壊の瞬間を極限まで極めた美意識と精密さとシリアスさで描き出していた。そして「Mladic」が終わった瞬間に起きた盛大すぎる拍手。もうこの前半の2曲だけで意識は完全にGY!BEの生み出す音に蹂躙されてしまった。
 中盤に入り続いて繰り出されたのは「World Police And Friendly Fire」、再びヴァイオリンが幽玄の音色を奏で始め、不穏の旋律と共にドローンでありながらも、単なる音の持続音とはかけ離れた、感情や意思が閉じ込められているからこその音の重みに再び圧し掛かられる、その緊迫感は本当に尋常じゃなく、映写機が映し出す揺らめく炎と共に、目の前の音が静かに燃え上がり始める。ヴァイオリンが機軸となる音を奏でながら、他の楽器も複雑に絡み合っていく美しさも凄かったが、本番はその音が熱量を高めに高めて一気に燃え上がってからだ。轟音が本当に押し寄せるとかそういったレベルじゃ無く、本当に意識の奥の奥にまで入り込んでいくのだ。そして高揚感からバーストするクライマックスの瞬間にあるのは開放じゃなくて、終わりの無い悲劇を目の前にして、ただ打ちひしがれるしかない絶望であり、本当に成す術も無く立ち尽くしている様な感覚になってしまったし、そして加速するビートと音色が、その悲劇を美しく描き、最後は残響音と共に崩壊した。それに続いて未発表の新曲である「Behemoth」。この曲が実に40分以上に及ぶ、ただでさえ20分越えが当たり前なGY!BEの楽曲の中でも特に最長の楽曲であり、前半はこれまで以上の美意識で描かれる、幽玄なる桃源郷を感じさせる美しい旋律が見事なる調和を生み出し、その高揚に酔いしれていたら、長い長いドローンパートに入り、楽園の崩壊を描き、本当に長いドローンパートに意識が酩酊していく中で、再び音は輪郭を取り戻し、そして最後は鉄槌の様に音が降り注ぎ、全てを焼き尽くし、そして奈落へと落ちる瞬間を凄まじい音像で描いていた。40分以上に及びながらも、思っていたより長くは感じ無かったし、もうたった1曲でそこらの映画以上のスケールとメッセージをこのバンドはオーケストラレベルの壮大さで描いてしまっているし、ライブでも全くブレない美意識、感情も破滅も全てその音で描き出し、圧倒的な情報量でありながら、無駄は一切無く、不協和音やドローンパートですら魅せるバンドであり、それらが全てGY!BEを構築する上で必要不可欠な要素なのだ。
 そしてラストは「Slow Riot For New Zero Kanada」から大名曲「BBF3」。SEのオッサンの声が聞こえた瞬間に、今回のライブで一番の緊張感に襲われ、静謐なアンサンブルで描き出すモノクロの情景の美しさ、そしてドラマティックなストーリーが数多く脳内に浮かび上がり、中盤からは本当に数多くのクライマックスが押し寄せてくる。そして終盤では本当に全てを無に還す様な純白の楽器の轟音とヴァイオリンの音色、どこまでも力強く叩きつけられるドラム、そして原曲よりも性急かつシリアスに描かれる終盤のクライマックスのパートは本当にこの世の全ての喜びも憎しみも怒りも悲劇も集められるだけ集めて、そしてそれを燃やし尽くして音にしているかの様だったし、その圧巻のクライマックスが終わった瞬間に全てが天へと上り詰めるのを確かに感じた。そして最後は不穏のドローンサウンドが鳴り止まない拍手の中で響き渡り、メンバーがそれぞれ手を上げて観客に簡単に挨拶をしてステージを立ち去った。MC無しアンコール無し、ほとんど曲間無しの約2時間で全5曲の異次元の交響曲は幕を閉じた。

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セットリスト

1.Hope Drone
2.Mladic
3.World Police And Friendly Fire
4.Behemoth
5.BBF3



 初来日の公演を観た時に比べたら流石にインパクト点は少し弱かったかもしれない。でも目の前で繰り広げられていた音像は更に磨きがかかっていたし、圧倒的な情報量を、極限まで高次元で描き、そしてそれを極限までシリアスに描くバンドが魅せたのは、本当に別次元の世界だったし、二時間が本当にあっという間に終わってしまった。ここまで長々と書いたけど、それでもGY!BEのライブの凄さは言葉でなんか言い表せないし、本当に「凄い」って言葉ですら言い表せないとすら思う。彼等の音楽は本当に体験してそれを実感する物だし、音源とほぼ変わらない高次元の音像を極めながら、映写機の映像と共にライブでダイレクトに全てを放つ彼等の音は本当にエモーショナルであり、あらゆる感情がオーケストラと化した轟音に埋め尽くされてしまう。ただこの瞬間を再び目撃出来た事が本当に嬉しいし、僕にとってGodspeed You! Black Emperorというバンドは本当に代えの無い唯一無二の存在であるのだ。



 本当に目の前に奇跡が広がっていた。それに尽きる。

■Vicissitudes/Wrong Day To Quit


VicissitudesVicissitudes
(2010/12/07)
Wrong Day to Quit

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 アメリカはニュージャージ州の激情系ハードコアバンドであるWrong Day To Quitの06年リリースの8曲入り1st音源。The AssistantのメンバーだったLeigh SchlatterとTodd O'Learyを中心に結成され、またYou and Iのメンバーも参加している。女性ボーカリストであるLeigh Schlatterのボーカルが光り、獰猛でカオティックでありながら、エモーショナルな激情が聴ける1枚になっている。



 このバンドは獰猛でカオティック系の激情系ハードコアバンドであり、第1曲「The Only War We Own」からLeigh嬢の女性らしかぬドスの効いたスクリームが炸裂しまくる。それでいて女性らしいヒステリックさも持っているからよりインパクトのあるボーカルを聴かせる。楽曲の方も暴走するBPMとカオティックハードコア要素のあるタッピングのフレーズなんかも盛り込み、カオティック系激情のツボというツボをしっかり押さえているから流石だ。しかもLeigh嬢はクリーントーンのボーカルもしっかり使い、パートによって見事にボーカルを使い分ける。カオティックなパートでは熾烈なスクリーム、エモーショナルでメロディアスなパートではクリーントーンのボーカルといった使い方で、目まぐるしく展開する楽曲の中で、見事な対比を生み出している。第2曲「Sprawl」では打って変わって、かなりポストハードコア的なアプローチを見せ、クリーントーンのボーカルを主体にエモーショナルな旋律を生かし、しかし王道のサウンドから絶妙に外した感じが独特の捩れを生み出し、最後の最後はカオティック激情となり、スクリームとヘビィに歪んだリフの応酬によってドラマティックに暴発している。第5曲「The Boss Has Left The Building」では今作でも屈指の破壊力を持ち、スラッジな感覚で叩きつけるリフの重みと凄みが、絶唱と共にドス黒く振り注ぐ。そこに絶妙なカオティックハードコア印のフレーズを盛り込み、ジェットコースターサウンドを生み出す。しかし暴走パートと、美しいクリーンなエモパートを本当に自然に溶け込ませているバンドの力量は流石だし、どの楽曲もコンパクトでありながらも、ストレートに激情を叩きつけつつ、微妙に王道のサウンドをすり抜けていくセンスはお見事。あっという間に駆け巡る少し影のある激情が押し寄せる全8曲は中々のインパクトだし、なによりも熱い!



 ニュージャーシーの激情の猛者が集結したバンドなだけあって、その力量は流石の一言に尽きる。女性ボーカルである事をしっかり生かしながらも、ヒステリックで影があってエモーショナルな激情系ハードコアを体現し、絶妙なラインですり抜けながらも、ツボをしっかり押さえてくるセンスは流石。エモーショナル系激情、カオティック系激情、ポストハードコア好きは勿論。スクリーモ系が好きな人にもお勧めな快作。

■鉄の歌を聴け vol.3(2013年4月6日)@新宿ninespices

 満を持しての1stアルバム「JUNKHEAD」を三月にリリースした都内で活動するポストハードコアバンドであるPLAY DEAD SEASON。そんな彼等のレコ発企画は対バンに福島のRedd Temple、旭川のTG.Atlas、更にはthread yarnとthe north endという5バンドによるガチンコのバトル!この熱すぎる4バンドとPDSによって2013年のポストハードコアの金字塔のレコ発は敢行された。ナインスパイスは本当に多くの人が詰め掛けていて、PDSが本当に勢いのあるバンドである事を証明していたし、この日が本当に熱い夜になる事は最初から確信していた。



・Redd Temple

 まず一発目は福島のRedd Templeから。一週間前に同じくナインスパイスで彼等のライブを観たけど、今回も安心と安定のスカスカな音から生み出されるニューウェイブ&Dcサウンドによる全てを歪ませるダンサブルかつ緊迫感溢れるショートカットチューンの嵐。大体の楽曲が2分未満でありながら、反復するギターとベースのフレーズが生み出す奇妙な高揚感。本当に最小限の音のみで生み出す歪んだアンサンブルは彼等独自の物だと思うし、今回のライブもショートカットチューンをノンストップで連発。本当に最小限のミニマムさから、全てを削ぎ落とし、その先にある感覚の覚醒と冷徹さを今回のライブでも彼等は生み出していた。



・thread yarn

 お次は爆裂爆音3ピースポストハードコアバンドthread yarnのアクト。Redd Templeとは打って変わって、とにかく超爆音で歪みに歪みまくったサウンドで全てを破壊する。まずギターの音が歪みに歪み音の輪郭や音階すら崩壊させながらも、リフ主体で攻めまくる彼等からしたら、それは自らの音の破壊力を更に増幅させる最高の手段であるし、音源以上に突っ走るドライヴィンかつジャンクかつディスコードな楽曲が倍プッシュで押し寄せる。そんな爆音の渦の向こう側から聞こえるのはツインボーカルの絶唱に告ぐ絶唱のエモーショナルさ。特に最後に「Play Dead Seasonに捧げます」とのMCからプレイされた「Wired」はもう絶頂物。threadn yarnの楽曲の中でも特に前のめりなエモーショナルさと哀愁が滲み出るこの楽曲がライブで更に凄まじい爆音で攻め立てる瞬間は本当にこのバンドの恐ろしさと凄さを感じた。観たのは久々だったけど、更に彼等はパワーアップしている!!



・the north end

 続いてはthe north endのアクト。今回初めて観るバンドだったが、一気に魅入られるライブだった。音楽性は轟音系ポストロック×エモ的なアプローチをしているバンドで、まずギターの音が本当に良い。ドラマティックに盛り上がる轟音パートでは本当に壮大な轟音を繰り出し、エモ寄りなパートではソリッドなギタープレイを見せ付ける。静謐さとバーストを繰り出しつつも、時にはソリッドなエモーショナルさで、轟音に頼らなくてもドラマティックさを見せ付けていたし、リズム隊もゴリゴリに歪んだベースラインを弾き倒すベースと、躍動感と激情を体現するドラムが生み出すグルーブが圧倒的だったし、ボーカルはスポーキンに日常とか生活とか行った物を言葉にし、楽曲の持つ熱量を更に高めていた。壮大に繰り出される日常生活の中の激情を体現しているバンドであり、予備知識無しで今回観たが本当にぶっ飛ばされた。音源の方も是非聴きたいし、またライブを観たい!!



・TG.Atlas

 トリ前は旭川からの刺客であるTG.Atlas。観るのは2008年のdo it以来なんだけれども、「旭川から婚活にやって来ましたTG.Atlas」なんて脱力Mcから始まったけど、このバンドは本当に本質的な意味でオルタナティブなバンドだと再認識させられた。決して難解では無いけど、絶妙に涅槃へと導くオルタナティブサウンド。反復する硬質なギターリフが徐々に意識を溶かし、手数の多いフリーキーなドラムと、ゴリゴリのベースが生み出すジャンクなグルーブと、ツインギターの無慈悲なフレーズの反復が生み出すジャンクかつ混沌のアンサンブルは本当に言葉では簡単に形容出来ない。ギターの人が途中でドラムスティックでギターを弾いたりしていたり、その音楽性もあってSonic Youthが頭によぎったりもしたけど、それを更にジャンクかつディスードにし、アバンギャルドでありつつ、不穏の硬質な音楽にしていた。近々新作アルバムもリリースさせるし、そちらが俄然楽しみになるライブだった!旭川の猛者の貫禄を見せつけてくれたよ。



・PLAY DEAD SEASON

 そしてトリは本日の主役であるPDS!!一発目の間違いなく2013年のポストハードコアの金字塔とも言うべき大名盤「JUNKHEAD」のレコ発という事もあって気合も十分!彼等はライブバンドとしても名高いし、そのライブアクトで現場から名を広げた実力派の中の実力派であるけど、一発目の「瞬間と循環」から今日のライブは本当に凄い物になると確信したし、音源でも凄いけどPDSの魅力はライブでこそ発揮される。そのドライブするポストハードコアサウンドがよりダイレクトに伝わるし、やっている事こそ音源と変わりは無いのに、ただ単純にライブだからこその生々しさだったりと火、躍動だったりとか、気迫だったりとか、そういった物が他とは全然違うのだ。正に全身全霊の言葉しか出ないし、メンバーは全員汗だくになってライブをし、そのリフの破壊力も脳を突き刺し、もう自然と拳を突き上げてしまう正に真の漢にのみ許されたバンドにしか生み出せないドキュメントがそこにあった。プレイされた楽曲は「JUNKHEAD」の楽曲だが、どの楽曲も音源より更に凄まじい物だったし、それど怒涛の勢いで繰り出しまくり、一瞬たりとも目を離せない。そして本編ラストで繰り出された「鉄の歌を聴け」は本当にPDSの全てを体現した楽曲だと思うし、哀愁も漢らしさもポストハードコアも全てひっくるめて、このバンドが本当に全てを貫く「鉄の歌」を奏でるバンドである事を証明していた。そしてアンコールで繰り出された「COBRA」で再び着火。モッシュの嵐になり幾多の拳が突き上げられるフロア。こうしてPDSは完全燃焼のアクトを魅せてくれた。



 ライブ中のMCでも言っていたが、PDSは今回のツアーが終わってから暫くは地下での製作活動に入り、ライブの本数は減ってしまうらしい。しかし次のアルバムは更に凄い物を作る事を約束してくれたし、今回のツアーはまだまだ始まったばかりだ。彼等は全国でその鉄の歌を響かせてくれるに違いない。今回のレコ発企画は対バンも含めて全てがハイライトと言えるライブだったが、印南氏の赤いSGには間違いなく多くの人々の笑顔と突き上げられる拳が写っていたし、本当に最高の夜だった。
タグ : ライブレポ

■現実と交差する何か/nonrem

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 吉祥寺を拠点に活動する4人組激情系ハードコアバンドであるnonremの2012年リリースの4曲30分の1st音源。昨年はベルギーのTHE BLACK HEART REBELIONとも殺り合ったりもしたが、彼等は現在新たな盛り上がりを見せる国内激情のシーンの新たなホープであり、直情的な激情とポストロック的美しい情景を描くバンドである、激しくも美しい世界が今作では描かれている。



彼等の魅力は複雑に絡み合う音が生み出す壮大なスケールと美しい旋律が生み出す情景であり、しかし単なるポストロック的激情では終わってないし、あくまでもハードコアである事が核にあるし、直情的な激情を奥行きのあるアンサンブルでスケールを強靭かつ強大にして描く。時に尖り、時に緩やかな流れを生み出し、静謐さと暴発を繰り返し、スケールを強大にしていくドラマティックさ。それがnonremが描く激情だ。第1曲「縋る」から複雑に絡むアルペジオから瞬く間に轟音となり、肉感的なアンサンブルを描きながら、振り落とされる断罪の様なハードコアバンドとしてのアンサンブルには魂が揺さぶられる。空間的な音作りもかなり巧みだし、何よりも本当に美しい旋律を持った名曲だし、轟音系ポストロックの領域に入り込みながらも、決してそっち側には行き過ぎずに、絶妙なバランスにあるのがまた良い。更に第2曲「無呼吸」は10分近くにも及ぶ楽曲で、更にスケールが拡大。ここ最近のEnvyに迫る勢いのポストロック的なアプローチから、暴発する音と叫びが木霊し、時にポストメタル的アプローチまで取り入れ、そこから疾走する感情がハードコアとして響いてくる。時に後半は轟音系ポストロックの領域に突入した轟音パートから、引いていく波の様に、クリアで静かに広がるギターの音色が印象的な柔らかな旋律で締めくくられる。第3曲「不浄の目」では序盤はフルスロットルで暴発し、静謐なパートでドラマティックさを高めて、そこから再びハードコアパートへと雪崩れ込む。そして最終曲「現実と交差する何か」では激情系ハードコアと轟音系ポストロックが正面衝突した序盤からいきなりクライマックスへと連れて行かれる。そしてディレイを駆使しまくったアンビエントな音が世界に断層を作り、そして熱量を高めてまた暴発。ただでさえ壮大でドラマティックな楽曲ばかりが並ぶ今作の中でも特にドラマティックな名曲になっており、ラストはリリカルな轟音がビッグバンを起こす。今作に収録されてる4曲はどれも素晴らしい完成度を誇っているが、特に「無呼吸」と「現実と交差する何か」はnonremの凄さが凝縮された必聴な楽曲になっている。



EnvyやRAEIN辺りに通じながらも、This Will Destroy You辺りにも迫る美轟音の美学も感じさせ、激情系ハードコアとして本当にハイブリットなバンドだと言える。ヨーロッパでもライブ経験があるバンドだし、先日観たライブでも、そのスケールに圧倒された!激情系ハードコア好きは勿論、轟音系ポストロック・ポストメタル辺りが好きなリスナーにも訴える力があるし、国内激情の期待のホープであるのは間違いない。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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