■2013年06月

■3つの終わり/forget me not


3つの終り3つの終り
(2009/08/29)
forget me not

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 愛媛が誇る国宝レーベルであるIMPULSE RECORDSを運営する井川氏が在籍する愛媛から全国を不穏に陥れる3ピースことforget me notの09年リリースの4曲入音源。リリースは勿論IMPULSE RECORDSから。この作品だが本当に緊張感とカオティックさが渦巻く作品であり、緻密でありながらも、徹底的に冷徹な音のみが存在し、27分に渡って全てを凍りつかせるスリリングさが充満した1枚だ。また凝りに凝りまくったジャケットやアートワークも素晴らしいの一言。



 forget me notの音楽性はHooverや、SLINT辺りのTOUCH&GO周辺のバンドの影響がまず色濃いと言える、とにかくジャキジャキで硬質なアンサンブルが非常に特徴的だし、歪み破綻的になるパートと、静謐な不穏さを押し出すパートの対比が見事。また楽曲も長尺な曲が多く、曲展開も非常に複雑。なによりもメンバー3人が卓越した演奏技術と表現力を持っており、それがスリリングにぶつかり合い、そしてツインボーカルで残酷な死刑宣告を食らわせる様なボーカルを繰り出す。そのアンサンブルを最大の武器にして独自の激情を生み出しているのだ。
 のっけから約9分にも及ぶ第1曲「20X号室の住人」からこのバンドの凄まじさが発揮される。タイトなビートと、不穏に刻まれるギターリフがただ温度も感情も無く鉄槌を下す序盤、ポストロック的なアプローチを見せながらダイナミックに展開していくカタルシス、更にはマスロック的アプローチも盛り込み、ボーカルが入ってからは性急さも見せつつ、よりダイナミックなポストハードコアとしてのカラーを出しながらもビートもギターフレーズも非常に変則的に展開。しかしどのフレーズも切れ味の方が凄まじく、先の見えない展開で、どこまでも不気味かつ残酷に展開する。そこには安易なドラマティックさは無く、終盤になると更に冷徹さすら極めディスコーダントさと緊張感と共に混沌を生み出していく圧巻の1曲だ。
 第2曲「欠ける間と掛けられた記憶」は更に静謐な不穏さを前面に押し出し、少しずつ展開していくフレーズの反復が時折変則性とテンションの変化を生み出しながら、上がりきりそうで上がりきらない熱病の様なテンションで展開していく。ボーカルもそんな楽曲と見事に嵌り、より不穏で頭がヤラれてしまいそうな感覚に陥らせる。後半になると、またダイナミックな展開を見せつけてくるし、本当に複雑怪奇な楽曲構成をアンサンブルが生み出し、乗りこなし、混沌を一つの秩序で制圧しながら、それが却って新たな混沌を生み出している。そして何よりも収録されているどの楽曲にも言えるけど、今作にはタイトル通り終わりを想起させる冷徹な残酷さがあるし、本当にそれぞれの楽曲が一つの終末を描く。インタールード的な第3曲「憂鬱の鳩」を挟んで第4曲「薄明かりの街灯は曲がり角を照らす」でもその静謐さから破滅へバーストするforget me notの魅力は全開だし、クリアな音色なのにどこかドス黒い濁りすら感じるギターのアルペジオの反復や、必要最低限の音しか鳴っていないのにグルーブの重みを音と音の隙間から生み出すリズムセクション、最後の最後まで安易な感情論を否定し冷たい熱病の様なアンサンブル。もう完璧過ぎる。



 愛媛という地方から全国を震撼させるレベルの作品だと思うし、27分に渡り緊張感が途切れる事は無い。多くの素晴らしいバンドを吸収し昇華し、完全に自らの音にして独自の激情を鳴らすforget me notというバンドは本当に唯一無二な存在であり、冷徹な狂気と混沌をハードコアとして鳴らすバンドだ。3ピースで描くディスコダンスハードコア経由のスリリングな世界、想像以上である。



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■BAY SIDE RIOT x 100 ANTENA presents PLAY DEAD SEASON FIRST ALBUM [JUNKHEAD] レコ発 横須賀編(2013年6月23日)@横須賀PUMPKIN

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 1stアルバム「JUNKHEAD」を3月にリリースし、現在全国をツアーしているPlay Dead Season。今回はそのツアーの横須賀編という事だが、対バンに羊数える、MIDDLE、Deepslauter、Curve、weaveという豪華極まりない面子が集まり、PDSの横須賀でのライブをガッツリ脇を固めた。この面子は東京でもかなり凄い面子だし、今回は電車で二時間近くかけて横須賀まで足を運んだ。会場の横須賀PUMPKINは30年以上の歴史を持つ伝統的なハコで、今回初めて足を運んだが、ハコの雰囲気も凄く良かった。そして爆音の夜が始まりを告げた。



・羊数える

 トップバッターは横浜のディスコダンス3ピースこと羊数える。3月の鶯谷でその存在を知り、ぶっ飛ばされたのだけれども、今回のアクトも見事に鋭角のディスコダンスジャンクサウンドが炸裂しまくってた。ポストハードコアとかニューウェイブ辺りの流れを受け継ぎ、変則的なビートセクション、バキバキのサウンド、しかしドライブしまくる感じ、不協和音が生み出すジャンクさが、攻撃性特化型のサウンドを見事に展開。タイトで荒々しい猛獣ドラムと、変則的でありながらも巧みに刺し殺しに来るギターワーク、激歪なベースの凶悪さ、金属的なサウンドを最大限まで生かし、そのジャンク極まりないポストハードコアサウンドは狂気的な格好良さに満ちているし、そんな不穏なアンサンブルにハイトーンで叫ぶボーカルが乗り、より狂騒を高める。今回のライブも見事に自らの鋭角サウンドを展開し、一発目から横須賀を熱くしてくれた。

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・MIDDLE

 お次のMIDDLEも三月の鶯谷以来にライブを観る事に。こちらも羊数える同様に鋭角のポストハードコアサウンドだが、こちらは更にドライヴィインさと、ロックンロールさが高まったサウンドを展開。男は黙ってリフで勝負!!と言わんばかりのディスコードドライブなリフロックを展開。正統派DLJ系統のサウンドでありつつも、時にツインボーカルで熱い掛け合いを見せたり、もっとシンプルに暴走するロックンロールさをこのバンドは持っているし、とにかく一瞬も隙を見せずに容赦無くリフというリフで攻める爆音ポストハードコアサウンドはやはり圧倒的な格好良さを見せていたと思う。しかもそのストレートなサウンドの中に確かな余裕や貫禄も感じさせるズルさもあるからこのバンドは凄いと思う。横須賀でもライブバンドとしての力量を確かに発揮していた。

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・Deepslauter

 柏市から全国へ狂騒のハードコアを鳴らすDeepslauterのアクトへ。彼等のライブを観るのは実に一年半振り位だったのだけれども、もうド頭からファストかつカオティックかつキャッチーなDeepslauterだけのハードコアが炸裂しフロアはモッシュの嵐へ!!ボーカルのオサムさんはとにかく客を煽りに煽りまくり何度もフロアに飛び出し、楽器隊はデカいアクションで暴れまくっているのに、演奏技術の卓越さを見せながらも、とにかく性急にクライマックスへダイブしていく感覚を音で生み出す。一回入ったMCと何度かのチューニング以外は常にノンストップで曲を乱打しまくり、常にハイボルテージかつハイテンションなライブは観る者の脳髄のヤバイ分泌液を放出させまくる危険性があるし、混沌に次ぐ混沌をノンストップで叩き出すからこそ生まれるカタルシスはDeepslauterの本当に大きな魅力だと思う。柏市が誇るハードコアの猛者は、この横須賀でも大いなる猛威を見せ付けてくれた!最高に格好良かった!!

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・Curve

 後半戦は打って変わってシューゲイザーを通過し、エモからどこまでも眩い光を生み出すCurveのライブへ。昨年リリースした3rdである「Till The End」は個人的に歴史に残すべき大傑作だと思っているが、ライブを観るのは今回が初めてで、非常に楽しみにしていた。一発目の「Dawn Promised」のギターの静謐なフレーズが響いた瞬間に本当に空気が一変したし、そこから轟音の激泣きのギターフレーズと羅氏の力強い歌が響いた瞬間にもう心を完全に持っていかれてしまった。最早Curveはエモとシューゲイザーの融和とかそういった形容なんて本当に不要なバンドだと思うし、ただ圧倒的メロディセンスと素晴らしい歌声を持つ羅氏、力強く楽曲のボトムとグルーブを支えるリズム隊の屈強さ、それらがただ一つの感動的情景を生み出し、本当にポジティブなエネルギーを放っているのだ。そして初期の楽曲である「broken beautiful product」でその繊細でありながらも美しい世界が更に花開き、感情という感情を想起させられてしまう感覚にすら陥った。先日の羅氏によるCurve解散宣言があったが、今回のライブで解散宣言を撤回していたのを知り(見事に情弱な自分…)、それが何よりも本当に嬉しかったし、羅氏が何度も「続けていきますよ」と言い、ラストに屈指の大名曲「The Long Distance Of The Night」へ!!イントロのコードストロークの時点で一気に感情の洪水がクライマックスになり、轟音シューゲイジングサウンドと、どこまでも力強く羽ばたくビート、そして羅氏の歌声が生み出す新たな始まり、終末とか絶望を完全否定する有無言わせない説得力、音で眩いばかりの光を生み出し、何度も涙を堪えるのに必死になってしまった。今回初めてライブを観たけど、ここまで自分の心とか感情を揺さぶられたライブは本当に久々だったし、そしてこれからもCurveは続いていくという宣言もあったし、まだまだこのバンドを観る事が出来るのは本当に嬉しく思ったし、感動的過ぎるライブだったよ。

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・weave

 トリ前は地元横須賀で活動するエモーショナルポストロックバンドことweave。音源の方を聴かせて頂き、こちらも今回ライブを観るのが楽しみなバンドだったけど、いざライブを観ると本当に大きく印象が変わってしまった。サウンドスタイル自体は静カニ潜ム日々とかにも通じる歌物エモーショナルポストロックなんだけれども、ライブは音源の何十倍もダイナミックなアグレッシブさに満ちており、伸びやかな歌声もよりエモーショナルな暑苦しさに満ちていた。音源での静謐でクリアなアンサンブルから生まれるエモーショナルさとはまた違い、ライブは本当に全身全霊という言葉が似合う、熱く暑いライブを展開していたし、このバンドも改めてライブバンドである事を認識させられた。ライブは今回初めて拝見させて頂いたが、予想以上にエモーショナルなアクトにまた魂を揺さぶられてしまったよ。

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・PLAY DEAD SEASON

 そして本日の主役のPDSのアクト。四月のツアー一発目の自主企画以来に彼等のライブを観るが、驚いたのはたった数ヶ月でただでさえライブバンドであったPDSが更に進化を遂げていた事だ。屈指の名盤「JUNKHEAD」を引っさげてのツアーで更に数多くのライブをこなし、音とアンサンブルに更なる説得力が加わっていたと思うし、一発目の「瞬間と循環」のイントロのギターからもう持っていかれるし圧倒された。本当に音源とやっている事は全然地側無いのに、持ち前の全身全霊のエモーショナルさと、クールな殺気が生み出すポストハードコアはその一瞬一瞬でカタルシスを生み出し、怒涛の勢いで攻めるサウンドが本当に鬼の化身みてえになっていたんだ。リフの格好良さ、ビートの格好良さ、熱いコーラスワーク、PDSの格好良さは色々あるけど、それをライブという瞬間のドキュメントとして放ち、ライブだからこそ自らの持ち味を最大級まで発揮できる彼等は本当に選ばれたライブバンドだと思うし、今回披露された新曲も更に破壊力を高めた素晴らしい物だった。今回もセットのほとんどは「JUNKHEAD」の楽曲だったけど、更に鍛え上げたサウンドは破壊力も感情に訴える哀愁とか激情もよりダイレクトに伝わってくる物になっていたし、本当に横須賀の熱い夜を最大の熱さで締めくくってくれた。

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 今回ははるばる横須賀まで足を運んでのライブだったが主役のPDSは勿論、出演バンドがそれぞれ熱いライブをブチかましてくれて、横須賀は夏直前に既に真夏超えな熱さに満ちていたとも思う。PDSの方はいよいよツアーも終盤戦でPSWINGSETとのライブ、更には7月20日には小岩でツアーファイナルを迎える。ツアーファイナルの方は僕もまた足を運ぶ予定だし、その頃にはPDSは更なる進化をライブで見せていると確信している。しかしながら横須賀は大分遠かったけど、今回は本当に片道二時間近くかけても足を運んだ甲斐があるライブだった。何度も言うけど本当に熱い夜だったんだよ!!

■ガサ入れGIG Vol.2(2013年6月21日)@東高円寺二万電圧

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 この日は本当に悪夢の夜となった。煉獄から熾烈極まりない憎悪をハードコアとして放出するおまわりさん。そんな彼等の自主企画ライブの第二回となる今回は本当に全国から猛者が集結した。東京からはNoLAとTRIKORONAとHuHと、これだけで既に凄まじいのに、更には大阪からCYBERNE、四国からはSPACEGRINDERとDEAD PUDDINGという総勢7バンドにも及ぶ悪夢の宴。この日の二万は雨にも関わらず、本当に満員寸前の大盛況だったが、これだけの猛者が一同に会する事は滅多にないし、そりゃもう非日常の悪夢の熾烈なるエクストリームサウンドが充満する一夜だったのだ。



・SPACEGRINDER

 先ずは四国松山から亀井氏による一人グラインドことSPACEGRINDER。照明が全て消えたフロアで、ほぼ暗闇の中、打ち込みのグラインドが流れた瞬間から本当にあっという間。真っ暗なフロアで亀井氏はセッティングされた無数のマイクスタンドをなぎ倒し、投げ、のた打ち回り叫び、観客に体当たりしながらとにかく暴れまわる。初めて観たんだけど、本当に純粋になんだこりゃ!?ってなった。そしてライブ自体は約5分位という圧倒的短さで、破壊の限りを尽くして終了。呆然としてたらライブは終わり、フロアには無数のマイクスタンド等が散乱しているだけだった。一瞬過ぎてよく分からなかったけど、ただのっけからいきなり異常事態な感じは、今回の企画のスタートに相応しかったと思う。



・TRIKORONA

 続いてヴァイオレンスかつカオティックな狂騒をハードコアとして打ち出すTRIKORONAのアクト。先日、音源を購入させて頂き非常に気に入ったバンドだったので、今回ライブが楽しみだったのだが、先ず音源よりも更にその熾烈さが極まっていた。パワーヴァイオレンスを基調にしながらも、より悲壮感を漂わせ、それを暴力的なハードコアとして打ち出し、怒涛のビートとボーカルによって暴力的なまでに叩きつける。何よりも個人的にこのバンドはギターワークが本当に素晴らしく空間系エフェクターを使いこなし、不穏な混沌を生み出しつつも、基本は熾烈で残酷なリフを無慈悲に放出、純粋にハードコアバンドとしてのパワーを発揮しながら、同時にエクストリーム要素も叩きつけ、正に混沌と暴力のハードコアとしてのライブを見せ付けてくれた。このバンドも凄まじい怨念と憎悪を個人的に感じるし、それを極限まで高めたハードコアとしてライブも圧巻のパフォーマンスだった!!

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・HuH

 3バンド目のHuH。ギターとドラムの2人組だが、このバンドも本当になんじゃこりゃ!?ってなった。先ずはギターの人がマイク片手にフロアに飛び出し叫びに叫ぶ!!そして怒号が響く狂乱の中でギターを手にしたら、あっというまに極限の世界へ連れて行かれた。音楽的には即興とかノイズとかそういった要素を感じさせるライブで、ダンサブルな怒涛のドラミングと、のっけから弦をブッタ切り、インプロとか混沌とかアヴァンギャルドといった要素を感じさせる不規則でありながら、一発一発の音の破壊力の凄さと、無尽蔵さの中で、緻密さも感じさせるギターのみが生み出す不穏な狂騒。しまいには明確な輪郭を持っていたギターの音も完全にノイズとなり、最後はギターのハウリングが響きまくり、ドラムの人が叫びまくって終了。ライブ自体は10分弱位だったが、圧倒的アヴァンギャルドノイズの世界は観る物に大きな衝撃を与えた筈!!

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・CYBERNE

 昨年の9月に初めてライブを観てトラウマの様な衝撃を残した大阪のCYBERNE、今回で観るのは二回目だったが、まずステージに所狭しとセットされた機材とツインドラムとど真ん中にセットされた拡声器は見てるだけで圧巻だったけど、ライブは更に圧巻。まさに全てを喰い殺し、骨まで噛み砕く野獣サウンド、熾烈なヘビィさを変則的かつ、正確無比に叩き出し、ツインドラムの圧倒的ビートの嵐、ジャンクかつノイジーかつヘビィなツインギターとベースのフレーズの洪水、そしてトリプルボーカルな弦楽器隊の3人が目の前で食うか食われるかの怒号の応酬。正確無比なアンサンブルなのに、結果的には超爆音の音塊が容赦無く降り注ぎ、観る物をブチ殺しまくる血みどろプログレッシブ&カオスな音の応酬。常にスリリングなカタルシスが吹き荒れ、事故現場にて大災害が起きたみたいな異常事態を音楽で生み出す殺人鬼。初めて観た時もそうだったけど、今回も圧巻過ぎるライブにただ震えるだけだった。大阪という猛者が蠢く地で育ったジャンクな大量殺人鬼ことCYBERNE、今回も凄まじすぎて失禁しそうだったよ!!てか失禁する暇も無く殺された。

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・NoLA

 企画も後半戦に入り、圧巻のライブで各地のライブハウスで猛威を振るう、若武者でありながら最早貫禄すら感じるカリスマことNoLAのアクト。一月のNoLA企画以来にライブを観たが、更に凄まじいバンドになっていた。最早ドゥーム曲もトラッシュな楽曲も殺傷力が極限まで鍛え上げられているし、ボーカルの建氏は読経的なボーカルの時は棒立ちなのに、神々しい風格すら感じるし、叫び暴れ狂う時は平然とフロアで暴れ狂い、ステージに戻ったと思ったら縦横無尽に狂い、魅せる。それだけじゃなくNoLAはメンバー3人全員に圧倒的な華みたいな物があるし、それぞれの存在が強烈かつ確かな存在感をアピールする。しかしその佇まい以上に3人の放つ音が圧倒的なのだ。トラッシュな楽曲では鬼神の如き重機関車ビートを繰り出し、ドゥーム曲では空白すら支配し、一発の音の破壊的カタルシスと、その残響の余韻さえも美しいドラムの空間とビートを司っている感、7弦ギターが繰り出す、ブルータルな猛獣の如きリフの応酬から、垂直落下型スラッジ鉄槌リフ、ギターとドラムのみで繰り出してるとは到底思えない音圧と殺気。何よりもラストに披露した10分越えのドゥームの悪夢である「Mist」は何度ライブで観ても凄まじい。最終的にはギターは全てを埋め尽くす漆黒の濁流となり、その濁流を貫くドラムの熾烈さ、そんな音を身に纏い、破壊の悪鬼として君臨する建氏の狂気を最大限に体現するボーカル。久々にライブを観させて頂いたけど、更に進化は続いているし、新曲も含めて更なる猛威を魅せてくれた。本当に恐ろしいバンドだと思う。

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・DEAD PUDDING

 いよいよ終盤戦。四国香川からDEAD PUDDINGの出番だ!!しかし今回のライブは諸事情でまさかのボーカルの人が不在で、代わりにSPACEGRINDERの亀井氏がボーカルで参加。MCでは台風で飛行機が遅れてリハもやってない状態で今回のライブに臨んだと言ってたが、このピンチとしかならないであろう状況すらチャンスに変えて、見事なライブを見せてくれた。ハードコアのダイレクトさを持ちながら、半ばマスロックにまで至っているカオティックなアンサンブル。整合されており、非常にダイレクトかつアグレッシブであり、それはハードコアとして生かすアンサンブルの凄さ。何よりもギターの人のギターの音がZOOMのマルチ一個で作ってるとは思えない音の良さと、変幻自在さ、それでいて一貫して不穏に脳髄を攻める感じだから凄いし。卓越したアンサンブルを全てハードコアとして昇華しているのだ。何よりもそんなサウンドスタイルのバンドに乗る亀井氏の破壊的なシャウトがまた絶妙にマッチしており、見事なコラボライブとなった。四国の猛者によるアクトはこの東京でも確かな強靭さを持っていたと思う。

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・おまわりさん

 トリは企画主のおまわりさん。今回の猛者のみが集結した異常な企画の最後をどう飾ってくれるかと期待に満ちていたが、その期待すら軽々しく超える圧倒的ライブだったと先に言っておく。メンバーが静かにステージに立ち、静寂が支配する中で突如として鳴り響く邪悪な怨念ノイズ、エフェクターのノイズとギターノイズが膨張し破裂し、瞬く間に二万はノイズの濁流に飲み込まれてしまった。更には強靭なビートがノイズの中で暴走し、ボーカルの風人氏は最早フロアで狂人の如く暴れ叫ぶ。しかしそんな熾烈なノイジーさだけでなく、静謐で不穏なパートでは、その空気を一変させ、更なる不安と恐怖を生み出し、その静謐の中の恐怖を破壊的な恐怖で塗りつぶしていく様は圧倒的の一言。ハードコア色を前面に押し出した楽曲はおぞましい憎悪の渦を、長尺のアンビエント要素もある楽曲では静寂の恐怖から暴動の狂気へと変貌する悪夢を、それぞれ生み出せる事が凄いし、海外でのライブもあってか、更に自らの音に磨きがかかり、猛毒の毒ガスも刃物も機関銃も爆弾も、あらゆる殺人の道具を総動員して、ライブハウスという地下室を、大量殺人のガス室にしてしまっている様な感覚すら今回のライブを観て覚えてしまったレベルだ。アンコール含めて約30分、渦巻くノイズと叫びが木霊し、本当に目の前に地獄が広がっている錯覚を馬鹿みたいに覚えてしまったライブだったと思う。この悪夢の夜を、大量の死体の山を築いて新たなトラウマを生み出したのだ。

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 台風が近づいていたという悪天候にも関わらず、今回の特別過ぎる悪夢の宴は本当に多くのお客さんが集結し、7バンドにも及ぶ壮絶な殺戮ショウのリアルタイム上映祭を脳髄に焼き付けた筈だし、変な言い方かもしれないけど、極端というかエクストリームな方向に振り切れまくった壮絶なバンドばかり集まった企画に、これだけ多くの人々が集結したのは、おまわりさんというバンドに誰しもが大きな期待とか興奮を覚えている事、日本全国の猛者が集結する特別な夜だった事、それに尽きるんじゃないかなと個人的に思ったりもした。とにかく全出演バンドが二郎の大ブタみたいな圧倒的ボリュームだったし、強烈過ぎるライブを見せてくれた。次回のおまわりさん企画はいつになるかは分からないけど、またこんな特別な夜になると思う。
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■From the past, the present and through to the future(2013年6月15日)@新代田FEVER

 今年に入ってから再び音源を活発的にリリースし、大きく動き始めた全てを置き去りにするバンドであるBoris。そんな彼等の日本での久々のヘッドラインライブは、新代田FEVERでの二日間に渡るレジデンシー・ショウであり、二日連続のライブで全く違うセットリストでのライブを行う。一日目はこれまでの代表曲中心のセット、二日目はエクスペリメンタルやドローン方面のセットというBorisだからこそ出来る趣向だ。僕は今回は一日目だけ足を運んだが、まさにこれまでの、そしてこれからのBorisを見せ付ける圧巻のHeavy Rocksが渦巻くライブだったと思うし、全てを置き去りにするバンドであるBorisだからこそ生み出せたライブだったのだ。



・BP.

 10分弱程開演時間が押して、先ずはオープニングアクトであるBP.のライブからスタート。昨年末のCOTDのライブのOA以来約半年振りにライブを観たが、再始動から新作のリリースを重ねてのライブは、相変わらず少し前のめりで、ちょっと危なっかしいんだけれども、妙に整合された轟音ギターポップ、時にソリッドなハードコア要素を盛り込みつつも、常にポップであり続け、一種のキュートさと、やたらハードコアな要素が見事に調和するライブは相変わらずだし、ある意味ずっと変わらないっていう安心感と、だからこそ揺らぎ無い強さを、少しだけへっぽこだけど頼もしいアンサンブルから感じたりもするのだ。約40分で新旧の楽曲を満遍無くプレイし、BorisのOAでもしっかりとその存在感を見せ付けてくれた。 



・Boris

 そして本日の主役であるBorisのライブへ。今回のライブも3人編成でのライブで、セッティングが終わり、ステージを包むスモークと共に、3人が登場し、そして一発目は「Cosmos」からスタート、静謐なフレーズとTakeshiの歌から一気に轟音の旋律が耳を貫き、Atsuoの渾身のドラムの乱打と、wataさんのヘビィでありながら、彼方へと飛ばすギターリフが生み出すのは紛れも無くヘビィでありながら、サイケデリックであり、美しくあり、単なるヘビィロックでは片付けられないBorisにしか鳴らせない音が正に目の前に広がっており、意識は完全に向こう側へと持っていかれた。そして続くwataさんボーカル曲「Rainbow」にて更にくぐもった不穏のサイケデリックさを魅せる。中盤のストーナーとサイケデリックが交錯するギターソロでは拍手も起こり、揺らめきが幻想的に冷たく刺さる感覚を覚えた。
 しかしそんな酩酊の空気を一気に打ち砕くかの用に「Pink」のギターリフが刻まれた瞬間に、破壊的で圧倒的なストレートなBorisのヘビィロックの時間へ。ブギーするサウンドが観る物の魂を一気に着火させて、フロアはまさかのモッシュの狂乱の渦へ!!更に続くは新曲の「Vanilla」。「New Album」に収録されている「フレア」の様なBorisのエクストリームポップという側面を前面に押し出した楽曲であるが、独自のポップセンスをヘビィロックとして鳴らすナンバーであり、今後の必殺の一曲になるのは間違いないだろう。そして「Statement」で極悪に歪むギターフレーズで全てを薙ぎ倒しながらも、妙にキャッチーだったりもするのはやはりBorisならでは。しかし獰猛なヘビィロックである事には変わらないし、この3曲でフロアは一気にヒートアップした。
 そんな狂騒から繰り出された「Angel」にて再びサイケデリックで美しいヘビィロックとしてのBorisを魅せる。壮大なストーリー性を持ちながらも、静謐さと、全てを飲み込む爆音のカタルシスが同居する楽曲によって、フロアは異次元の光景を静かに見守る、大量のスモークがその情景を更に引き立て、圧倒的な神々しさをステージの三人から感じさせる。かなり長尺の楽曲でありながらも、まだ音源化されていないその新曲はこれまでのBorisを総括しながらも、これからのBorisを見せていたし、今回のライブのハイライトだったと個人的には思う。
 AtsuoのMCに入り「今日はロックパーティなんで。」の一言から再び酒池肉林のヘビィロック天国へ。彼等の代表作である「Heavy Rocks」からまさかの「Heavy Friends」、「Dyna Soar」、「1970」がプレイされ、更には初期の名盤である「Amplifier Worship」から「Hama」がプレイされるという斜め上を行った特別な4曲にフロアは再び狂騒のモッシュへ。Borisは特別なヘビィロックバンドでありながらも、原始的な破壊力を持つバンドだし、ドゥーム・ストーナーの猛威を全開にした楽曲を立て続けにプレイし、「Angel」で自らが生み出した神秘的な空気を塗り替え、単純にロックバンドとしても別格である事を見せ付けて来た。
 そしてラストは彼等の代表曲である「決別」。美しい光が視界を埋め尽くす様な美しい情景をヘビィに鳴らす代表曲によって今回のライブを締めくくった。時間にして1時間半、全11曲のアクトだったが、かなり濃密なライブであったし、アンコールこそ無かったが、最後の最後までアンコールを求める拍手は鳴り止まなかった。



セットリスト

1.Cosmos
2.Rainbow
3.Pink
4.Vanilla
5.Statement
6.Angel
7.Heavy Friends
8.Hama
9.Dyna Soar
10.1970
11.決別



 個人的にもっと多くの楽曲をやって欲しかったり、今回セットに入って無かった楽曲の中でもやって欲しかった曲は数多くあったが(特にフレアとLuna)、それでももう二度と観れないであろう特別なセットであったし、Borisの過去と現在と未来を繋ぐ重要なライブだったと思う。彼等は孤高の存在であり、それまでもそうしてきた様に、これからも最果てのヘビィロックを奏でて行くのだと思う。今回のヘッドラインライブは一日目のみに足を運んだが、それでもBorisが繰り出すヘビィロックにただただ打ちのめされるだけだった。日本が世界に誇る唯一無二のヘビィロックは僕達を嘲笑いながら、まだまだ進化を続けていくのだ。
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■X'ed Out/Tera Melos


X'ed OutX'ed Out
(2013/04/16)
Tera Melos

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 マスロックの先駆者であり最重要バンドの一つであるTera Melosの2013年リリースの最新作。前作からマスロックでありながら、よりキャッチーになり、当たり前の様にボーカル入りの楽曲ばかりになり、テクニカルでスリリングなアンサンブルを奏でながらより分かり易いエモ要素を取り入れ始めたが、今作ではもうマスロックを置き去りにする勢いのバンドになってしまっていた。これは単純に素晴らしいエモーショナル歌物アルバムだ。



 勿論、卓越した演奏技術は変わっていないどころか、更に磨きがかかっていると思う。でもマスロックらしいタッピングのフレーズやあからさまな変拍子の乱打といった要素はかなり鳴りを潜めている。代わりに空間的な音作りがかなり目立ち、同時によりダイレクトに攻めるアンサンブルを巧みに取り入れ、そして前作以上にボーカルが伸びやかに歌っている。第1曲「Weird Circles」からもう純粋なエモ的な楽曲であり、静謐なアンサンブルが優しく魂を焦がし、そしてスリリングにバーストする快楽、同時に浮遊感を見せ、
よりスタンダードに接近していると同時に、より唯一無二のアンサンブルを手に入れたのだ。マスロックらしいスリリングさはそのままに、それをメロディアスかつクリアに奏で、浮遊と躍動を同時に見せる楽曲は、凄い素直に脳に入ってくると同時に、よりトランス出来る物になった。第2曲「New Chlorine」なんて透明感溢れるアルペジオと轟音サウンドが生み出す完全なるエモーショナルロックだ。
 勿論、彼等がマスロックを捨て去っているかと言えば、それは間違いなくノーだ。今のTera Melosはマスロックの先駆者がマスロックの先を奏で、ありきたりなテンプレートを唾棄し、そのスリリングさを浮遊感溢れる歌物へと進化させただけなんだから。第3曲「Bite」がマスロック要素を色濃く出し、不規則かつ不穏にアンサンブルが展開しながらも、それを難解に聞かせずに、性急さとして描き出しているから凄い。第5曲「Sunburn」も一々フレーズとビートが気持ち良い所を絶妙な力加減で突いてくるギターフレーズが最高にツボだし、それに単純にメロディが良くなっている。
 前作からそうなのだけど、今作も以前のTere melosの様な長尺の楽曲は全く無いし、3分台4分台で必要な要素を効果的に使いこなし、本当に無駄を削ぎ落としたからこそキャッチーになったし、絶妙なギターワークが生み出す浮遊感が本当に気持ちいいし、それに反して変則性やテクニカル要素を持ちながらも、よりダイレクトな躍動感を生み出すリズム隊が織り成すアンサンブルは独自の物へと進化した。第7曲「No Phase」の様にじわりと広がる空間的なアンビエントなギターと歌のみでより透明感溢れる高揚を生み出す楽曲もあるし、第9曲「Slimed」の様なポストハードコア色と金属的な音作りが不穏さで冷やりとさせる楽曲もありと、作品全体でメリハリもある。そして終盤は第11曲「Surf Nazis」の今作で一番スリリングなアンサンブルでマスロックバンドとしての風格を見せつけながら、より風通しの良くなったサウンドで軽やかな躍動を生み出し、最終曲「X'ed Out and Tired」にてアコギと空間的コラージュと歌のみで静謐な浮遊感で、意識を漂わせて終わる。



 前作でマスロックの先を目指し始めたtera Melosだが、今作では音楽的なレンジも更に広がり、よりキャッチーでポップな歌物要素にも更に磨きがかかり、そして軽やかで少しだけ不穏な浮遊感による高揚感という新たな武器も手に入れた。マスロックの先駆者は自らの手によって新たな扉を開いた会心の1枚。



■Thy Kingdom Scum/Church Of Misery


Thy Kingdom ScumThy Kingdom Scum
(2013/06/11)
Church of Misery

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 またチャーチは最高のアルバムを作り上げてしまった!!前作から4年の歳月を経てリリースされた2013年リリースのチャーチの最新アルバムはもう手放しでそう言いたい大名盤だ。最早日本が世界に誇るシリアルキラードゥームメタルバンドであるチャーチ、今作も前作同様にリー・ドリアン主宰のRISE ABOVEからリリースであり、バンドを離れていたボーカルのヒデキ氏が復帰、新ギタリストにイクマ氏を迎えて製作された1枚。



 基本的な音楽性は特に変わってはいない。今作もサバス直系ドゥームメタルを殺人鬼の狂気と強靭なアンサンブルによってより重くエグくした正統派でありながら凶暴な猛禽具合全開なドゥーム作品である。しかし今作はそんな作品でありながらもチャーチの更なる進化が溢れている。まずバンドに復帰したヒデキ氏のボーカルが更に磨きがかかっている。視界に入った者を全て噛み殺す勢いの牙剥き出しな殺意と狂気は相変わらず健在、しかし昨年末のワンマンと今年三月のライブでも思った事だけれども、今のヒデキ氏はその佇まいからボーカルまで、本当にロックスターの余裕と風格とカリスマすら感じさせるレベルの格好良さなのだ、それがチャーチをドゥーム云々以前に誰にも反論させないどころか、そんな隙を与えず粉砕していく強靭極まりないロックバンドになったのだ。今作に収録されている楽曲はどれも過去最高にグルーブの深みと重みが際立っているし、それ以上に一つの風格と渋さもあり、全てを抉り出し食らう凶暴さを鍛えただけで無く、そのグルーブやアンサンブルを海外での積極的なライブ活動で鍛え続けてきたからこその、ロックバンドとしての圧巻の貫禄を見せ付けてくれる。三上氏の歪みまくり、這いずりサイケデリックなベースと成田氏のパワフルで圧殺具合と重みが一発一発に込められたドラムが生み出すビートとグルーブはもう遅く重くありながらも、聴き手を酩酊させて撃ち殺す破壊力しかないし、新ギタリストイクマ氏のギターワークは、正統派ドゥームのマナーにしっかり乗っ取りながらも、深みのある音作りにより、ただ破壊的なだけでなく、その音階の奥にあるサイケデリックさを最大限に生かす。特にイクマ氏のギターソロプレイは煙たさとサイケデリックを十分に生み出し、そこからまた重苦しい圧殺リフで絞め殺してくる。
 今作のリードトラック的楽曲である第3曲「Brother Bishop (Gary Heidnik)」は正に今のチャーチの凄まじさを体感させられる重圧殺ドゥーム絵巻であり、重さ、深み、貫禄、グルーブ、サイケデリックさというドゥームの最重要要素を究極まで高め、更にロックバンドとして孤高の帝王具合すら感じる。第4曲「Cranley Gardens (Dennis Andrew Nilsen)」ではイクマ氏の空間的なギターワークさ冴え渡り、窒息しそうな音圧のリフを同時に使い分け、リズム隊の更に遅く重苦しくなったグルーブと共により酩酊の世界へと導く。ヒデキ氏の一つの情念の様な憎悪に満ちたボーカルもまた素晴らしい。しかもサイケデリックさを重点的に押し出しておきながらストーナー的なロック色の強いパートもしっかり盛り込んでいる辺りが分かりすぎていると思うし、本当にニクい。第5曲「One Blind Mice」はQuatermassのカバーであり、今作で一番BPMが早い楽曲であるが、イントロの歪みまくった三上氏のベースでまず昇天、元々はプログレバンドの楽曲であるがメロトロンが重圧殺ギターリフに変貌し、猛禽ストーナーロックへと変貌させてしまっている名カバーだ。そして最終曲「Düsseldorf Monster (Peter Kurten)」にて約13分にも及ぶドゥームの煉獄を創造。スリリング極まりない展開で終わりなき圧巻のドゥームを生み出し、もう何回死んだか分からない聴き手を完膚無きまでに叩き潰す。
 今作はレコーディングやマスタリング面もかなり素晴らしい出来になっていると個人的に思ったりもする。バンド自身の力量が帝王級になったのも勿論であるけど、これまで以上に器のデカさや壮大さや深みを感じさせる録音はチャーチを更にネクストレベルまで高めている。ただ単に音質が良いとかそうゆうのでは無くて、チャーチが持つエグさや残虐さもダーティにビルドアップさせ、サイケデリックなグルーブや音をよりダイレクトに叩きつけてくる録音の方も手放しで賞賛したい。



 失踪したヒデキ氏の復帰、そして新ギタリストのイクマ氏の加入と、昨年末から新たな体制でスタートを切ったチャーチだが、今作は長年世界で闘い続ける猛者が帝王へと上り詰めた証明であり、正にカリスマの貫禄に満ちた1枚である。ドゥームメタルとしては勿論だけど、ロックアルバムとしてここまでの完成度の作品を作り上げてくれた事に驚くしかないし、本当に前人未到の孤高の領域にチャーチは到達してしまったのだ。2013年最重要作品だし、これからずっと聴き続けるであろう大名盤だ。もう黙って殺されるしかないんだよ!!



■chain/naxat

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 都内を中心に活動するsix o'minusのフロントマンであった深沢健介氏の弟である深沢氏率いる4人組ロックバンドであるnaxatの2013年リリースの3曲入り音源。正式なリリースは少し先であるが先日の深沢健介氏の追悼イベントであるbury the sun vol.4のnaxatの物販で先行販売されており、そちらで一足早く購入させて頂いたので、今回フライングして紹介の方を書かせて頂きます。個人的にnaxatのライブは何度か拝見させて頂き、音源のリリースを本当に心待ちにしていた。



 このバンドは一つの懐かしさを感じるバンドであり、普遍性を持ちながらも、単なるロックで終わらないバンドだと思っている。音楽性はA Perfect Circleの影響を強く感じさせながら、単なるフォロワーでは終わらないバンドであり、誤解を招きそうだがそこに90年代V系のテイストを感じたりもする、古き良き時代の日本のロックの持っていた耽美さを持ちつつ、すんなりと聴ける普遍性を持ちながらも、モダンヘビィネスのテイストも持ち合わせ、更にはAPC、TOOL仕込みのプログレッシブ要素をブチ込み、それを卓越した演奏技術で鳴らす(特にリズム隊のリズムセクションはかなり高度なアンサンブルを鳴らしている)。今作はたった3曲のEP作品とはいえ、naxatの名刺代わりな作品としては十分すぎる完成度を誇るし、懐かしさや哀愁を感じさせつつも、現行のロックとして洗練された部分もしっかり持ち、妖しく耽美な世界をプログレッシブかつ普遍的に鳴らすバンドなのだ。
 第1曲「jude」から複雑なアンサンブルを決して難解にさせずに、複雑かつ美しいアンサンブルによる高揚感を生み出しながらも変拍子を絶妙に使いこなし、感傷と歎美さに満ちたアルペジオが胸を掻き毟り、ここぞというパートではヘビィネス色を押し出し、感情の暴発をリズム隊と共に叩き出すギターワークがまず秀逸。深沢氏のボーカルも妖しくエロスに溢れるクリーントーンのボーカルを中心に歌い、時にシャウトをかまし激情も見せ、楽器隊の奏でる音と見事に溶け合っている。第2曲「躓き」はnaxatの必殺の1曲で、ヘビィなギターリフとプログレッシブなリズムとギターフレーズが螺旋を生み出し、妖しさと暴発が交互に攻め立て、後半からは高揚感と共にnaxatの魅力と言える感傷のヘビィロックが咲き乱れる非常に高い中毒性を誇っている。
 特筆すべきは第3曲「ShiBa」だ。深沢氏のボーカルとコラージュされたアンビエントな音と、TOOL仕込みな妖しくプログレッシブなベースラインが楽曲の不穏さを感じさせ、深沢氏のシャウトと共に楽器隊のテンションが一気に高まる瞬間の高揚。そこからプログレッシブさを全面的に押し出し、今作で最も複雑なアンサンブルと曲展開を見せつけ、正に和製TOOLとも言うべき楽曲になっている。しかしTOOLとはまた違い日本人的美意識を強く感じさせる旋律、約8分の中で見事にドラマティックさを展開させながら、精神の奈落へと突き落とす煉獄の様なダークなアンサンブルとヘビィさが炸裂する終盤のカタルシス。それがもう本当に素晴らしくて堪らない。



 今作がnaxatの初音源であるが、3曲でバンドの力量を十分に見せ付ける充実の1枚に仕上がっている。特に「躓き」と「ShiBa」は本当に名曲だと思うし、聴いて損は全く無いだろう。今作はバンドの名刺代わりの作品と言えるが、この先の可能性と進化も期待できるし、個人的には早くフルアルバムでの作品を是非とも出して欲しいと思う。



■おまわりさん、ロングインタビュー

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 おまわりさん。これは何ともインパクトがあって、一見ふざけたバンド名かもしれない。しかしこの5人組は新たなハードコアの憎悪を生み出すバンドである。メンバーにノイズ担当もいるバンドであるが、本当にハードコアの負の感情をどこまでもジャンクに、そしてあらゆる音楽的要素を飲み込み、それらの持つ邪悪さとカタルシスが一気に攻めてくる音像は圧巻であり、赤黒い残酷な情景を作り上げ、膨張させ、爆発させるバンドだと思う。
 僕がおまわりさんを知ったのは2012年の東京BOREDOMであり、予備知識無しにおまわりさんのライブを観たが、それはもう言葉に出来ないトラウマの様に記憶に残るライブだったのを覚えてる。ドゥームからノイズまで飲み込む爆音のギターと多数のエフェクターから繰り出されるノイズが暴力的に鼓膜に襲い掛かり、ボーカルの風人氏がフロアに飛び出し叫びのた打ち回り、地獄への直下型特急の様でもあり、時にダウンテンポで鉄槌を下すビート、本当に悪夢の様な世界がその音で生み出されていた。その後、デモ音源(当ブログでの紹介はこちらから)を購入したが、そちらもライブに負けず劣らず負の感情と殺意渦巻く無秩序なハードコア地獄が煉獄の如く炸裂し更に衝撃を受けた。
 それから何度かおまわりさんのライブを拝見させて頂き、観る度にその制御不能な漆黒が膨張し爆発。観る者にトラウマの様な衝撃を与え続けている。そして今回、おまわりさんというバンドについて個人的に色々と知りたいという想いと、もっとおまわりさんを多くの人に知って欲しいという想いからバンドの中心人物である風人氏(Vo)と松田氏(Gt)にインタビューの方をさせて頂く事になった。新たなる殺意と狂気を生み出すカテゴライズ不能なハードコアことおまわりさん、彼等の存在を少しでも多くの人に知って頂ければ幸いである。



■まず始めにおまわりさんの結成から現在までの経緯を教えて下さい。

風人(以下、風):2006年にVo.風人、Gt.松田、Ba.、Dr.で一応結結成をしたんですがリズム隊が中々定まらず三年ぐらいぐだぐだしてました。
その間は入れ替わりが沢山あって (ドラムを探してるのに気がついたらノイズが増えてたり笑) 、2010年の春頃にようやく今のメンバーで固まりました。
その後は2010年12月に初めて二万電圧と、2011年2月にSete Star Septの1234 FUCK OFF!という企画に出していただいたのがでかいかなあ。
今よく付き合いのあるグラインド、ノイズ、オルタナとかの界隈に繋がりを持つきっかけになった気がします。



■おまわりさんという非常にユニークでインパクトのあるバンド名ですが、そのバンド名の由来とかありましたら教えて下さい。

風:特に無いです笑。



■おまわりさんの音楽性のルーツとか、どうしてこの様な音楽性になったかとか教えて下さい。

松田(以下、松):NIRVANAに代表されるような静と動のコントラストを突き詰めていたらこうなりました。



■バンド結成当初から現在みたいな音楽性でしたか?

風:最初は全然違いました。
メンバー変遷もたくさんあったし、何より今よりも更に遥かにヘタだったのでもっとガレージパンクみたいな感じでした。



■おまわりさんはハードコアを機軸に、ノイズ・ドゥーム・激情といった要素を感じさせる非常に雑多でジャンクなバンドだと思いますが、それはどの様な物をイメージしてこうなったとかありますか?

松:既存の"ジャンル"対する物足りなさ、逃げ、とかですかね。
風:根暗でひねくれてるのでニッチなことがやりたいです笑。
その上でもやっぱり乱暴な感じ、悪い感じ、のことはやりたいんだろうな。



■またバンドの音に一つのおざましさや恐怖を僕は感じたりしますが、聴き手にどんな印象を与えたいとか、どんな感覚を体感させたいとかっていうのはありますか?

風:印象は人それぞれ感じてくれればいいと思うし共感して欲しいとも思いません。
でもまあぼくら自身も、すごく大まかにはそんなような感覚を持ってやっているのかなあ。
メンバー内でも100%「これ」と合致しているわけではないと思いますけど、おれ個人としては自己嫌悪、怒っている感じ、ネガティブな感じが多いかもしれません。
松:おれは躁と鬱みたいなことですかね。
風:あと、同じ曲でもその時によって多少感覚が違うこともあります。



■それではおまわりさんが発表しているデモ音源の話に入りますが、こちらのデモはいつ頃作成されましたか?

松:2011年の夏ぐらいに録りました。
風:もう二年も前か!



■デモに収録されている楽曲の当時の勢作過程とか製作状況とか教えて下さい。

風:Tr.1の膨張は曲が出来たばかりでした。
Tr.2~4は前の年ぐらいに作ってライブでやっている曲でした。
Tr.6のメシ食えはバンド結成当初に作った曲です。



■こちらのデモはライブでもよく演奏している楽曲が多いですが、デモを収録した当時と、現在で楽曲に変化とか、ライブでプレイして感じる物とかありますか?

松:曲に根本的な変化は無いですが、ライブごとの空気感を反映させようにはしていますね。
だいたい30分弱の短いライブの中でバンドの色を出したいと思っています。



■デモの1曲目の「膨張」なんか個人的におまわりさんを象徴する楽曲だと思ってますが、この曲は特にバンドの破壊力が前面に出ていると思うのですが、その殺気や狂気は自分達でどこから生まれていると思いますか?

風:仕事が忙しい、仕事が見つからない、とか人それぞれ色々有ると思います笑。
松:日常や自分に対する八つ当たりですかね。。



■それでは話を少し変えます、僕は東高円寺での東京BOREDOMで予備知識ゼロでおわまりさんのライブを観て非常に衝撃を受けたのですが、おまわりさんは非常にライブバンドだとも思います。バンドとしてライブに対する意気込みや想いはありますか?

二人:ありがとうございます。
風:その時それぞれありますが、ポップに充実した人たちを見ていると逆恨みしたくもなりますよね笑。
逆にゴツゴツしたいかつい人たちに対しては舐めるなよ、おれ達の方がやってやるぞとか思ったりしますね。



■ライブという場でおまわりさんは何を生み出したいですか?

風:わかりません、難しいなあ。
何かしら非日常的なものを生み出して印象にガツンと残りたいとは思っていますが具体的に何なのかは常に模索している感じかなあ。
その日のバイオリズムとかお客さん、場所によっても感情は変わりますからね。
松:極限状態でのひきつった笑顔って言うんですかね。高感、混乱、不感、倦感、何であれその場に残るようにと思っています。




■主にライブで競演したり交流しているバンドなどを教えて下さい。またそれらのバンドの存在はおまわりさんにどのような影響を与えていますか?

風:Bamseom Pirates(ソウル)、BANJAX、BOMBORI、CHRIST FUCK(ソウル)、DIGZIG、ENDON、FIREBIRDGASS、GROUNDCOVER.、HORSE&DEER、HUH、INSECURE、JAH EXCRETION、lang、L'eclipse Nue、NAPALM DEATH IS DEAD、NoLA、self deconstruction、SITHTER、SPACEGRINDER(死國松山)、VAU!、ZOTHIQUE、94th6、黒電話666、ゲバ棒、等々
月並みですが多々多々パクらせていただいています。
今に見てろよとも思っています笑。
企画に呼んでいただいてばかりでまだこちらから呼べていない人たちもいるので今後そういう人たちも呼ぶつもりです。



■自分達でおまわりさんはどのようなバンドでありたいとかっていうのはありますか?

松:現状を維持しないバンドでありたいと思っています。
風:とにかく説得力は持って(自他に)ガツンと自己表現していきたいと思っています。



■それとおまわりさんはシーンでどの様な存在でありたいですか?またシーンにどのように自らの音を侵食させたいですか?

風:国分寺から下北沢まであちこちのシーンで「あいつらなんかすごいぞ」と言われるようになりたいです。
松:シーンを乱していきたいですね。
風:その上で一つ新しいシーンを作って行きたいと思っています。



■現在は新曲とか新しい音源は製作されていますか?もしされていましたらどの様な物になる予定でしょうか?

風:新曲はいくつか作っています。6,7月ぐらいに三曲ほど録って秋頃までにデモを出す予定です。
松:曲ごとの展開はもっとシンプルにしてライブ、アルバム単位で緩急をつける方向で進んでいます。


■これから先、おまわりさんはどんなバンドになると自分達で考えてますか?

風:SXSW出たりアメリカツアー行ったりしたいし有名になりたい!
少なくとも他人に対する説得力になりますからね。
Baの佐々木はアイドルになりたいと言っておりました笑。
音楽的には現状維持しないでいたいのでどうなるかわかりません。
勿論自分に対する説得力は持った上でです



■最後になります。今後のライブ予定なんかを教えて下さい。

風:6月に自主企画と10月にNoLAと共同をやるのでよろしくお願いします。



 6月21日におまわりさんは二度目の自主企画を開催する。以前当ブログでもインタビューさせて頂いた神々しくおぞましい音を放出する若武者であるNoLA、ヴァイオレンスかつカオティックなハードコアの最果てを放出するTRIKORONA、輪郭を掴めない静謐な不穏さを描くHUH、大阪からジャンクなる殺人マシーンことCYBERNE、四国からDEAD PUDDINGとSPACEGRINDERという刺客を迎え、全7バンドによる全くどうなるか予測不能な混沌の宴となる筈だ。僕の方も足を運ぶ予定だし、この日は一つの事件とも言うべき企画になると予想している。是非とも足を運んで欲しい。
 そして少し先にはなるが10月にはNoLAとの共同企画も控えており、そちらもまた凄い事になる予感しかしない猛者が揃い踏みになっている、こちらも今の内にチェックして損は全く無い筈だ。


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6.21(金)

ガサ入れGIG vol.2

東高円寺二万電圧

・おまわりさん
・DEAD PUDDING(死國香川)
・HUH
・NoLA
・SPACEGRINDER(死國松山)
・TRIKORONA
・CYBERNE(大阪)

Open.17:30 Start.18:00

Adv.1,500yen Door.1,700yen (+1d 500yen)



■10.6(日)

NoLA、おまわりさん共同企画
・NoLA
・おまわりさん
・THE DEAD PAN SPAKERS
・ENDON
・knellt(大阪)
・ZOTHIQUE

委細TBA







【twitter】https://twitter.com/omawarisunn
【facebook】https://www.facebook.com/pages/おまわりさん/123744961038639
【購入(disk union)】http://diskunion.net/jp/ct/detail/IND9400
【ライブチケット予約メールアドレス】omawarisunn@gmail.com


photographer : ミツハシカツキ
http://peacethruwar.blogspot.jp/

■ReddTemple 12/Redd Temple

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 このバンドは本当にオリジナリティの塊だと思う。福島から精力的に活動する3ピースであるRedd Temple。現在そのライブ活動を目撃した人々の間で本当に高い評価を受けているバンドだが、そんな彼等の2013年リリースの初の単独音源は12インチでのフォーマットでの全12曲の作品となった。またMP3ダウンロードコードも付属している。



 音楽性は全然違うし誤解を招きそうな発言だとは思うけど、僕はこのバンドを聴いているとふと54-71の存在が頭をよぎる。それは54-71もそうなんだけれども、Reed Templeも最小限の音で最大の効果を生み出すバンドであり、極限まで削ぎ落とした音が最大の快楽を生み出すからだ。またそのライブも凄まじく本当に一発目の音で空気を変える、そんな部分が個人的に54-71とシンクロしたりする。
 勿論音楽性は全然違う。Redd Templeのバックボーンにあるのはニューウェイブやノーウェイブであったり、DISCHORD周辺のバンドの流れを感じるけど、それらのバンドの流れにありながら全く違うオリジナリティ溢れる音を生み出している。バンドのアンサンブルは言ってしまえば本当にスカスカで、3ピースというシンプル極まりない編成だけで無く、ギターもベースもドラムも本当に必要最低限の音しか存在していないし、ギターに至ってはそのミニマルなフレーズの反復がフレーズの大半だったりする。ある種の8bit感さえ感じるレベルですらあるのだ。ベースもドラムも基本的に最小限の音で最小限のフレーズを反復させるスタイルで、その反復から徐々に音を変化させつつも、決して沸点には到達しない。でもある種の微熱の感覚を常に孕んでいるし、それが次第に脳を侵食していくのだ。何よりもそんなスカスカな音でありながらRedd Templeの音は踊れる音になっていると僕は思う。フレーズにミニマルな反復が徐々に高揚感を生み出し、本当に空白だらけのアンサンブルなのに不思議と踊れるし、不思議とキャッチーだったりもする、だからこそRedd Templeの音には確かな捻れと断層があるし、それが益々聴く人の脳を混沌へと叩き落してしまうのだろう。そして残酷なまでに無慈悲で冷徹でもあるのが恐ろしい。本当に最小の方法論で最大の効果を生み出す全12曲が並んでおり、一部の楽曲を除くとそのどれもが短い楽曲が大半だったりするから作品全体を通して聴きやすかったりもするし、その楽曲毎に変化していく反復のビートとフレーズは緊張感に溢れるアンサンブルを生み出しながらも最大の効果を生み出すダンスミュージックになっている。



 Redd Templeのライブは何回か拝見させて頂いてもいるが、このバンドがまたライブバンドであり、音源より更に緊張感溢れるアンサンブルで本当に空気を鋭くするライブを展開しており、それがあって福島を拠点に活動しながらも都内での積極的なライブ活動も手伝って本当に多くの人々に現在進行形で衝撃を与えている。唯一無二なオリジナリティとアンサンブルで聴き手の脳を揺らすRedd Temple。これから益々多くの中毒者を生み出すバンドになると確信している。



■ lloy x THE CREATURE OF 『依存のケイブ』(2013年6月1日)@Heaven's Door

 今回はTHE CREATOR OFとlloyの2マンライブの方に足を運ばせて頂いた。2マンというだけあって、2バンド共に一時間弱のセットだったし、ある意味異色な組み合わせだった今回の2マンだが、ヘブンズは多くの人が集まり、TCO目当ての人もlloy目当ての人も凄い楽しめたライブになったのではないかと僕は思う。僕はlloyについては全く初見の状態で今回の2マンに足を運んだのだけれど、結果として凄い楽しいライブだった。そして19時45分、ライブが始まった。



・THE CREATOR OF

 先攻はTCOから。先日のKING OF TATTOOから約一ヶ月振りにライブを観るし、ロングセットは昨年2月のTCO企画以来だったけど、今回のライブはほとんどが近日リリースが予定されている新作アルバムからのセット。ベースが坂本氏の代わる等もあったりしたが、5人編成になってからのTCOが本当に固まったと思う。披露した楽曲の大半はインストではあるけど、それでも先ずボーカルの入ってる「Wind Up」、「Light」ではTCO特有の重いダウンテンポのグルーブでありながらも、これまでの楽曲と違いどこまでも優しい轟音が五感を包み込む感覚を覚える。タイトかつ繊細でありながらも、一発一発の音が本当に重いドラム、多数のエフェクターの使い空間的なアプローチを繰り出しながらも、楽曲の旋律の部分を同時に司り、重いグルーブを生み出すだけではなく、一つの秩序を生み出す。何よりも今回のライブでは古谷氏もギターを弾いていたし、3本のギターが複雑に絡み、楽曲の基礎を司るリフ、それに絡んでいく旋律の数々。それらが生み出す一つの秩序が今のTCoであるし、それはインストである「Wash Ove」でも発揮されていた、特に「Pass Away」では更なる神々しい一つの世界を生み出す情景とか光景も浮かんできたし、今のTCOが完全に形になっていたと思う。
 後半で疲労された「You Are」は現在のTCOの楽曲の中でも特にキャッチーな楽曲であり、それが一つの浮遊感でトランスさせながらも、ずっしりと重いリフとビートのグルーブも存在し、同期されるラップトップの音と共に、グランジ要素とポストロック要素が見事に融和する名曲だと思うし、「You Are」は今後のTCOの中でも重要な楽曲となるのを確信した。そしてラストは15分以上にも及ぶ「Hi On」を披露。打って変わって煉獄の様なプログレッシブなヘビィネスが炸裂していたが、それだけではなく一つの秩序を新たに生み出し、最後は怒涛のリフが攻める攻める展開!!一気に一つのカタルシスを生み出し、今回のライブを締めくくった。ここ最近観たライブの中でも屈指のアクトだったし、本当に凄いライブを体感させてくれた。



・lloy

 後攻はlloyのアクト。今回初めてその存在を知りライブを観たが、ベースがHATE HONEYの八田氏で、女性ボーカルのゴスとポストパンクの要素を感じさせる音楽性のバンド。同期させる音と共に、四つ打ちのドラムがダンサブルなビートを生み出し、ゴリゴリに歪んだベースが見事に調和し、ギターがコーラスをかけ、ゴシックな空気を生み出す。ポストパンク的なダンスミュージックとしてのアプローチは中々に格好良いし、鋭角なフレーズをキメにキメてくる音は見事にフロアの人々を躍らせていた。全15曲程のセットであったが、ゴス的な要素を聴かせる楽曲もあり、ダンサブルな楽曲もありと多彩なアプローチを見せつつも、一つの妖しい空気を生み出していたのが印象的だったし、初見ではあったけど個人的には凄い楽しめたライブだった。



 そんな2マンライブであったが、今回のライブはジャンルの違う2バンドの2マンだったが本当に楽しいライブだったし、TCOのライブは本当に圧巻だった。初見だったlloyも個人的に凄い楽しませて頂いたし、良いライブだったと思う。それぞれがそれぞれの美学を貫いた2マンライブだったし良い夜だったと思う。
タグ : ライブレポ

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AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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