■2013年09月

■live in tokyo (2013年9月28日)@鶯谷what's up

 この日は吉祥寺WARPも小岩Bushbashも早稲田ZONE-Bも本当に熱いイベントが繰り広げられていて、正に同時多発GIGだったのだけど、悩みに悩んでこの日は鶯谷what's upでのelica企画に足を運んできた。elicaは一昨年のotoからリリースされた1stを凄い聴いてたけどライブはまだ観てなかったし、同じくライブを観てみたかったoffice voidsにもう安定の格好良さなMIDDLEとshipyardsという4バンドと決して多くは無いけど、かなり熱い面子が集結してたし、各地の熱いライブに負けじと鶯谷も熱い夜になったのだ。



・office voids

 一発目は鹿コアのバンドであるoffice voids。鹿コアというけどこのバンドは本当にオールドスクールなUSハードコアのDNAを確かに継承した猪突猛進でキャッチーさを持っていて、それが凄いナイスなんだけど、ライブも前のめりさと、良い意味でのチープさで、ドカスカ駆け巡る勢いと初期衝動オンリーさ、UG MANなんかもそうなんだけど、こうしたキャッチーさを良い意味で逆手に取って、本当にシンプルに突っ走る感じ、極悪さではなくてある種の人懐っこさ、でもしっかしハードコアな感じ、鹿コア云々抜きに本当に古き良きUSハードコアの格好良さをモロに出してる楽曲とライブアクトはのっけから鶯谷を熱くしてくれた。



・MIDDLE

 お次は鶯谷の番長ことMIDDLE。今年に入ってライブを観るのは四回目だけど、今回のライブは本当にブチ切れに切れまくってた、このバンドはポストハードコアのディスコードな疾走を渋さも感じさせて放つバンドだと思っているけど、今日は特にその疾走するサウンドが完全に暴走していたと思う。メンバー3人のテンションとパッションもかなり凄まじかったし、MIDDLEというバンドのハイボルテージさが本当に発揮されていた、鋭角のビートを叩き付け、ディスコードの海を疾走するギターリフの格好良さはもう相変わらず抜群の殺傷力を持っているけど、今回のライブは本当に殺しに来ているという表現が凄いしっくり来ると思う。鶯谷の番長はホームにて圧倒的なライブを展開していた。



・shipyards

 先月の横須賀以来一ヶ月振りに見る八王子のメロディックパンクバンドshipyards。1曲目の1音目でギタボの篠沢さんがギターの弦を切ってしまうというアクシデントから今回のライブは始まったけど、仕切り直してライブを始めたら、もう安定の泣きメロと男臭さ溢れるメロディックパンクを見せる。個人的にメロディックパンクは全然明るく無いジャンルだけど、このバンドに関してはメロディック云々というよりも本当に純粋な楽曲の良さ、シンプルに伝わるサウンドの中にある確かに作り込まれたアンサンブル、何よりも悲哀を感じさせるグッドメロディの絶妙な湿り気、それをライブでも十二分に発揮しているし、その汗臭さは本当に信頼できると僕は思う。新曲も相変わらず良かったし、最後にプレイした「Let Alone」は本当にアンセムオブアンセムで何度も拳を突き上げたよ。MCで来年にはまたアルバムを出したいと言ってたし、そちらも改めて楽しみだ。



・elica

 そして企画主のelica。国内の数多い素晴らしいポストハードコアの中でもかなりのバンドだし、今回初めてライブを観たが、音源にも顕著に現れていたディスコードによる焦燥と緊張感を本当に見事に表現していたし、正統派ポストハードコアでありながら、より不協和音のフレーズを観る者に突き刺し、更にそれをドライブさせ、時に落とし、本当に金属の振動の冷たいソリッドさ、そしてそのクールな渋さの中に確かに存在する熱量。冷たい熱さという二律背反な音の快楽を狂気的な刃物とし切り刻む様な感覚。ラストの彼等の楽曲の中でも屈指の名曲「Letter」はその鋭利さも渋さも突き抜ける不協和音も全てを金属の暴力として放出していて、とんでもなく格好良かった。



 前回の羊数える企画以来の二度目のwhat's up来訪だったけど、今回も最高の4バンドが見事に殺り合うナイスな企画だったと思う。個人的にはMIDDLEに完全に殺されてしまったのだけど、全バンドが本当に良いライブをしていたし、数多くの熱い企画が同時多発だったこの日にwhat's upを選んで良かったと本当に思う。
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■刻光/heaven in her arms×COHOL


刻光 (コクコウ)刻光 (コクコウ)
(2013/09/25)
heaven in her arms / COHOL (ヘヴン・イン・ハー・アームズ / コール)

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 今年でレーベル発足10周年を迎えるDaymare Recordingsの久々のスプリットシリーズは国内激情系の中でも最高峰と呼べる2バンドのよるスプリット!!正に国内激情最高峰の名を欲しいままにするHIHAのYumiとのスプリット以来の約1年振りの新曲と、ブラックメタルすら飲み込み、漆黒の憎悪を痛々しく刻み付けるCOHOLも久々の新曲をそれぞれ3曲ずつ提供した計6曲のスプリット作品。これが本当に今の国内激情最高峰に位置する両者の現在をパッケージした物であり、両者がとんでもない事になっている事を知らしめる作品となっているのだ。



 先攻のHIHAは先ず「黒い閃光」にて彼等が持っている漆黒から生み出す美しさを存分に発揮している。こちらはインストの楽曲であるのだが、HIHAならではのトリプルギターの旋律が絡み合い、新たな結晶を生み出していく情景を刻み付ける1曲になっており、これまでも彼等が楽曲の中で見せていた美しい旋律の螺旋を前面に押し出した楽曲だし、静謐なポストロックパートから、後半の轟音バーストのパートへと雪崩れ込む見事なまでに轟音系ポストロックのそれを見せているが、そこには彼等が長年かけて積み重ねた物が確かに存在するし、闇の中からその闇を切り裂く一筋の光を感じさせる1曲。しかし本番はイントロとなるSE「繭」からの「終焉の眩しさ」だ。クラシカルな「繭」から壮大な空気を感じさせるが、本編の「終焉の眩しさ」が始まった瞬間にもう完全に現在のHIHAが最高の状態である事を証明している。怒涛のトリプルギターのトレモロリフが生み出す濁流、これまで異常にクラシカルさを際立たせるギターフレーズ、怒涛のブラストビート、その序盤だけでも完全に持っていかれてしまうけれども、それだけでは終わらず、意識を奈落へと突き落とすアルペジオから、うねりにうねるベースラインのおぞましさ、合間合間でBPMを落としながらも奈落の底へと垂直落下する様な怒涛のビートとトレモロリフが本当に感動的ですらあるし、HIHAのこれまでの楽曲の中でも屈指のドラマティックさを誇っている。怒涛の展開を見せる漆黒の音の中でクラシカルな旋律が際立ち、これまでに無い位にメロディアスでもある、あざとい位の壮大なストーリー性を見せるこの楽曲によって、彼等が「幻月」を製作したその先の音を遂に見せてくれた事に対する喜びに震えてしまう。
 対する後攻のCOHOLであるけど、こちらもHIHAに負けずに新たな進化を見せてくれている。「空洞」の頃に比べて、ドラムのメンバーチェンジがあったのもあるけど、これまで以上にブルータルな要素を強めて来たと思うし、ビートやギターリフも含めて更にメタリックな要素が強くなった。ソリッドに切り刻むギターの殺傷力が凄いし、複雑に展開していくドラムも凄い。相変わらず激情を憎悪として吐き出すボーカルもそうだけど、各楽器の音が鋭利さと黒々しさを更に押し出し、よりバンドサウンドが肉体に訴えるだけの力を手にしたと言える。「不毛の地」は彼等が新たなステージへと進んでいる事を見事に体現しているし、より複雑に楽曲は展開しながらも、より無慈悲な惨忍さを発揮し、更にブラストとトレモロリフが衝突するパートでは本当に地獄を見せてくる。幽玄なるSE的な小品である「木霊」を挟み、「疎外」ではのっけからブルータルさが暴走し容赦の無い血まみれの鎌を振りかざしてくる。際限無しに突き進むサウンドもそうだし、たった3分の中で現在のCOHOLが持っている暴力性を更に高め、中盤からのビートの応酬は本当に視界に入る全てを粉砕するだけの物だし、ただ無慈悲に暴走するだけでは無いギターリフはその中で確かな芸術性も存在する。HIHAとは良い意味で対象的に、無慈悲さとドス黒さの中で見せる激情を見事に描いているし、彼等もまた国内激情最高峰に相応しいバンドだと納得させる楽曲を生み出している。



 本当に別格の音をこれまで鳴らして来た両者が打ち出した新たな一手は、想像を遥かに超える物であったし、正に現在の国内激情を担う両者だからこその名スプリットだと断言したい。両者共に久しくリリースされていない単独音源に対する期待もかなり高まるし、HIHAとCOHOLの2バンドは確実に前人未到の領域にダイブしようとしているのだ。その予告編にしては今作はあまりにも壮絶過ぎる!!



■Trachimbrod + Sore Eyelids/Trachimbrod×Sore Eyelids

trachimbrod_soreeyelids.png



 2013年のTokyo Jupiterのリリース第一弾は、昨年同じくTokyo Jupiterから2ndアルバムリリースしたTrachimbrodと、Suis La Luneのメンバー2人が在籍するエモーショナルシューゲイザーバンドであるSore Eyelidsのスプリット作品だ。同じスウェーデンの同郷バンド同士が2曲ずつ提供した計4曲のスプリット作品だが、どちらも美麗なる碧い旋律を見事に聴かせてくれる好盤。



 先ずはTrachimbrodだが、昨年リリースの2ndにて繊細な旋律と哀愁のサウンドをハードコアに内包しながらも、スケールを感じさせる轟音として鳴らしていたが、その流れをより明確に推し進めてきた印象を受ける。元々は碧いエモーショナルさと繊細さが売りであり、その奥底にハードコア要素を手にして、持ち前のサウンドを力強く進化させた彼等だが、今作の頭を飾る「I Am Jack's Wasted Life」からマスロック的なギターフレーズが咲き乱れ、繊細さの中にある疾走するパートで見せる暴走する郷愁のサウンド、時にシンガロングするパートもあり思わず拳を握り締めたくなる。そんな繊細で柔らかさの中の強さを確かな進化として見せつつも、続く「Erect, Eyes Closed」ではよりタイトになったバンドアンサンブルが印象的であり、それでいながら朧げで、幻想的な音の浮遊感と輪郭、それにあざとい過ぎる位に郷愁の旋律が揺らめきと共に炸裂する様は、あざとくありつつも、聴き手のツボを確かに押さえているし、繊細に揺らめくサウンドの中に確かに感じる汗臭さはナイスだ。
 後攻のSore Eyelidsは今作で初めて彼等の音に触れたのだが、単なるエモとシューゲイザーとの融合では終わらないバンドであり、たった2曲ではあるけど彼等が別格である事を証明している。まず本当に根本的なメロディセンスが素晴らしいのだ。徹底して碧くありながら、どこか後ろめたい絶望的悲哀とその先にある希望がごちゃ混ぜになってしまった様なメロディは本当に彼等だからこそ生み出せる物だし、ギターサウンドはシューゲイザーよりしく淡く繊細でありながらも、それに反してリズム隊のタイトで屈強なビートが良い具合に相乗効果を生み出しているのも大きなポイントだと思う。「Next To Nothing」からモロにシューゲイザーなギターサウンドが展開されているけど、彼等はシューゲイザーに寄り掛かっているバンドとは絶対的に違うし、機軸となる楽曲の完成度の高さ、轟音バーストしないパートでも、絶妙にメランコリックなフレーズが冴えに冴えまくっているし、何よりも、轟音の奥から伸びやかに響く繊細でありつつも、確かな強さを感じさせるボーカルがまた良い。「Dissolve」なんてメロディの奥底にあるサッドネスさが本当に涙を誘うし、単に碧いだけでなくて、奥底のダークさも彼等にはあるから、本当に信頼出来る音を鳴らしている。



 スウェーデンからTokyo Jupiterを通して届けられた美麗なる碧いサウンドが咲き乱れる全4曲。両バンド共に日本での知名度は決して高くは無いかもしれないけど、聴き手を選ばない繊細でエモーショナルなサウンドは本当に多くの人に届いて欲しい。両バンドへの入門編としても是非チェックしておきたい好スプリット作品だ。





■Palms/Palms


PalmsPalms
(2013/06/20)
Palms

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 本当に数え切れない位に渡って活動するDeftonesのチノと元ISISのJeff Caxide、Aaron Harris、Bryant Clifford Meyerによって始まったPalmsというプロジェクトだが、ほぼISISのメンバーが集結した上にボーカルはDeftonesのチノという編成の驚いた人も本当に多いと思う。そんなPalmsの2013年リリースの1st音源なのだが、ISISのサウンドをチノが歌い上げるサウンドを想像した人も多いが、それは半分は正解だけど、半分は間違いだ。今作はISIS解散以降の音を、チノの手を借りて生み出した作品であり、ISISでは辿り着けなかったポストメタルの境地へと確かに達した作品だと僕は思う。



 そのリズムセクション、その美麗なる旋律、その構築美、それは紛れも無くISISのそれではあるけど、でも決定的に違う。今作はよりクリアのポストロックの方向に振り切ったISISとも言えるサウンドが展開されており、より美麗な旋律を前面に押し出した印象を受ける。末期ISISでもこの様な片鱗は確かにあったけど、そちらはもっとハードコアだったし、粗暴なダイナミックさと美麗な旋律が織り成す構築美が末期ISISの魅力ではあったけれども、今作ではそのハードコアさを置き去りにしてしまっている。チノもシャウトはあまり使用せずに、クリーントーンでそのエロスに溢れた美声を存分に発揮しているし、バンドの方もあからさまなディストーションサウンドは使用せずに基本的にはクリーントーンのサウンドで進行していくスタイルだ。単なるチノが歌うISISでは無く、本当にISISでは成し遂げられなかったサウンドをチノと元ISISの3人の手によって生み出し、ISIS以降という一つの分岐点に自らケリを付けたんだと思う。第1曲「Future Warrior」を聴くだけで、末期ISISのそれを感じさせる旋律に感動を覚えてしまうが、あからさまにバーストするのでは無くて、ゆるやかな波の様に熱量を高めていくサウンドとチノの歌声は本当に美しいし、誤解を恐れずに言えば本当にメロディアスであるし、ある種のキャッチーさすらあると思う。
 第2曲「Patagonia」はよりクリーンな音がプリズムの結晶の様な煌きを静かに放ちながらも、ISISのリズム隊による緻密なリズムセクションが単なるポストなサウンドでは片付けさせてないし(何よりもJeff Caxide先生のベースラインが素晴らしくセクシーッ!エロいッ!)揺らぎの中で高まる熱量と色を加えていく色彩の美しさにはもう脱帽だ。個人的には「White Pony」の頃のDeftonesともリンクする第3曲「Mission Sunset」ではチノの卓越したボーカルが本当に咲き乱れ、バンドサウンドとこの上ないレベルでシンクロしているし、より艶やかさを加速させた第4曲「Shortwave Radio」、浮遊する音の数々陶酔してしまうアンビエンスな最終曲「Antarctic Handshake」と、全6曲でありながら全曲が屈指の出来を誇っているし、本当に豊潤で濃密なサウンドに満ちていながら、アルバムを通した聴いた直後に、ある種の安らぎを感じさせ、濃密でありながら、本当に全ての音と声が優しく耳に入り込んでくる。



 単なるDeftonesと元ISISのサイドプロジェクトでは片付けられない作品だと思うし、個人的にはISIS以降を決定的にする作品だと思う。DeftonesとISISという時代を切り開いた先人が、自らの手によってまた新たなページを開いた作品だし、ポストメタルとかポストロック云々を抜きに2013年のヘビィロックを代表する作品だと思う。あまりにも豊か過ぎるメロディと歌に聴いてて本当に心が豊かになるのは間違い無いだろう。是非とも今作限りの単発プロジェクトではなくて、是非ともプロジェクトを継続させて次回作も作って欲しい限りだ。



■Shadows/Morne


ShadowsShadows
(2013/07/29)
Morne

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 2ndである前作「Asylum」が本当に素晴らしかった、ネオクラスト派生型激重ポストメタルであるMorneの2年振りとなる2013年リリースの3rdアルバム。前作で素晴らしい完成度を誇るNeurosis直系のポストメタルサウンドを聴かせた彼らだが、今作ではて更にスラッジ要素を高め、より芸術性と密教性を強めながらも、更に歪んだ漆黒の音を放出している。前作の完成度から今作へのハードルは高くなってはいたが、それを越えてくれた傑作を彼等は生み出した。




 前作との大きな違いは、よりスラッジの要素を高めた事と、より密教的なアプローチを仕掛けてくる様になった所だと思う。AmebixとNeurosisの流れを組み込み、独自のサウンドへと変貌させている力量は流石の一言だけど、前作以上にドス黒さが際立つサウンドでありながら、その密教性の奥底にある叙情性が生み出す芸術性も凄い。前作で見せ付けた音を更に極限まで磨き上げた作品だと言えるし、より極端すぎる音塊を放つバンドにもなっている。何よりもよりドゥーミーさを加速させたからこそ、よりエグさが極まったのだ。第1曲「Coming Of Winter」では推進力を完全に放棄したビートと、輪郭を掴ませない漆黒の濁流と化したリフ、楽曲の展開こそ少ないのに、ほぼ反復を繰り返すリフの応酬が脳髄を漆黒の螺旋へと飲み込んでいく。ドゥームの持つサイケデリックな酩酊を手に要れ、更には持ち前の激重のサウンドを進化させた改心の1曲だと言える。第2曲「A Distance」ではクリーントーンの密教的旋律とトライヴァルなビートがかなり印象的だし、同じフレーズの反復を繰り返しながらも、徐々に歪みを見せていく展開は流石だし、そんなトライヴァルな前半とは打って変わって、後半からはクラスト色を色濃く打ち出し、重々しく暴走するビートのプログレッシブさは近年のAmebixのそれを確かに継承しながらも、よりダークで漆黒なヘビィネスに特化させ、同時に妖しさも手にしている。
 前作に比べると確かにポストメタルらしいポストメタル色は後退し、よりドゥームやスラッジといった要素に接近した印象だけど、前作でもあったドゥーミーさをより追い求めたからこそ、ポストメタルの範疇に収まらないクラスト側からのドゥーム・スラッジへの回答として確かな説得力を今作は持っている。第3曲「New Dawn」は今作の中でも一番ポストメタル色が強い楽曲ではあるけど、相変わらずドゥーミーな密教度は高いし、そこから反復の美学を見せつつも、複雑に展開し、感情を落として行く様は圧巻だし、無慈悲な筈なのに不思議とドラマティックだ。第4曲「Shadows」では圧巻のスラッジサウンドを展開する今作では一番分かりやすい楽曲ではあるけど、終盤で歪んだサウンドの奥底にあるドラマティックな旋律が花開く様は本当に鳥肌が立つし、最終曲「Throes」は、前半はほぼアンビエントだし、淡々とドラムの音とアンビエントノイズが織り成す妖しい視界ゼロの黒煙が充満する中で、ほぼ音の輪郭を放棄したスラッジサウンドが展開されていく様は本当に全てを置き去りにしている。



 更にドゥーム・スラッジの要素を色濃く打ち出した作品だが、持ち前の神秘性と圧倒的肉体性を更に屈強にし、激重のサウンドをより漆黒へと導き、更なる異次元を生み出すバンドになったと思う。単なるクラストからポストメタルへの変貌ではなく、更に地下深くへと落としにかかる宗教的サウンドを彼等は手にして、更に独自の音を手にしてのだ。前作も本当に素晴らしかったが、今作も屈指の作品となっているし、クラスト側から彼等は確かなる世界を見事に描いてくれた。



■また創るその時のために/isolate


また創るその時のためにまた創るその時のために
(2013/09/18)
isolate (アイソレイト)

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 heaven in her arms同様に日本の若手激情系ハードコアの代表格に相応しいバンドだと言えるisolate。今年の11月にはイタリアのダーククラストバンドであるThe Secretを招聘してツアーを行うのも話題になっているが、それに先駆けリリースされた彼等の最新音源である3曲入EP。またINFORESTとのスプリットである「壁画」ツアーのファイナルとなった今年2月の40分に及ぶ全曲披露ライブ映像のダウンロードコードも付いており、新曲だけで無く、ライブ映像の方でもかなり豪華な内容となっている。



 ライブ映像に関してはそのライブを実際に現場で観たのもあるのでこちらのレポを参考にして頂ければ幸いである。なのでここでは新曲の紹介という形を取らせて頂く。isolateと言えばとにかく光速のブラストビートを基調にし、徹底的に速さを追求する速さの美学と、美しくダークなトレモロリフが咲き乱れるトレモロの美学が正面衝突し、ポストブラックと激情の融和と言うだけでは済まされ無い、徹底してダークで美しいハードコアを鳴らし、それがisolateが唯一無二なバンドである大きな要因なんだけれど、今作の新曲はその方向性こそは変わってはいないけれども、その持ち前の美学を更に磨き上げて、より確固な物にしている。
 幽玄なるギターのストロークとアルペジオから始まり、これまで以上に持ち前の旋律の美しさを見せ付ける所から始まる第1曲「塗り重ねた虚像の果てに」は多数の空間系エフェクターによる幽玄なる調べが非常に印象的で、これまでのisolateにもあった要素ではあるけど、それを更に徹底的に磨き上げた美しさは一つの新境地だとも言える。そしてシューゲイジングするトレモロリフが全てを染め上げた瞬間からは完全にisolate節が炸裂し、轟音サウンドとブラストビートがぶつかり合い、極限まで精神と肉体を切り刻む寒々しさが炸裂!それに続く形で第2曲「狂う影にあわせて」では激情の方向に完全に振り切れた音を展開し、のっけからブラストビートとトレモロリフの横暴が続く。合間合間に入り込む静謐で美しいフレーズもこれまで以上だけど、そこからバーストする瞬間の破壊力と瞬発力も更に磨きがかかり、バンドとしての力量の進化を否応無しに感じさせる。更に楽曲展開もよりダイナミックにドラマティックさを見せ付けている。最終曲「落日」もまたisolateの進化を感じさせる名曲だが、こちらもより粗暴なハードコアに振り切る方は振り切りながらも、その暴力性を高めながら持ち前の闇の美しさは変わらないし、楽曲の中で見事なまでに速さと遅さの対比を魅せるのも新たな境地だ。そして全ての音をノイジーに変貌させた先の破滅的な美しさがもう素晴らしい。



 バンドは来年にもアルバムをリリースするらしいが、その来るべきアルバムに対する期待をかなり高めるだけの作品だし、EP作品でありながら、isolateの美学の進化を十分に感じさせる力作となっているだろう。11月のThe Secretとのツアーやアルバムもそうだが、isolateの今後に益々期待が高まる一枚となっている。

■NINE SPICES 6th ANNIVERSARY SPECIAL EVENT!(2013年9月15日)@新宿Nine Spices

 都内のライブハウスである新宿NINE SPICESの六周年イベントであり、今回は4バンドの出演ながらも国内激情系最高峰であるheaven in her arms、エクストリーム激重ハードコアのYoung Lizard、EXTRUDERSに、北海道から重圧殺マシーンことGOMNUPERSという豪華極まりない4バンドが集結。個人的には約四ヶ月振りのライブとなるHIHA目当てだったけど、一度はライブを観たかったYoung Lizard、そしてまさか今年二回も都内でライブを観れると思ってなかったGOMNUPER、それだけで足を運ぶには十分過ぎる理由だし、足を運ばせて頂きました。



・heaven in her arms

 意外な事にトップは国内激情系最高峰を欲しいままにしているHIHAのアクトから。5月以来の久々のライブだったが、今回も正に圧巻のライブを魅せてくれた。壁と化したアンプから放たれる轟音は正に負のオーケストラを放っていたし、更なる進化が見えた。今回のライブは普段のライブでの定番の楽曲はプレイせずに、恐らく今月末にリリースされるCOHOLとのスプリットの楽曲と幻月からの楽曲からプレイ。頭の3本のギターが美しく絡み合う新曲から、HIHA屈指のカオティックさを誇る「Inversion operation」へと雪崩れ込んだ瞬間に、今回のライブの彼等の勝ちは完全に確定。静謐な美しさからカオティックな激情までの落差も彼等の魅力だし、それでも一貫して壮大なスケールを持っている強みが彼等にはある。途中機材トラブルがありながらも、中盤の幻月の楽曲は、圧倒的な負の感情の正に激重のオーケストラとして奏で、本当に次元の違いを見せ付けていたし、ラストのトレモロリフが暴走する新曲は本当に全てを焼き尽くす業火であり、美しき負の感情が壮絶に体現されていた。今回のライブは40分の少し長めのセットだったし、本当に久々に彼等のライブを見れた喜びに震えてしまったよ。



・Young Lizard

 そして今回初めてライブを観る事になったYoung Lizardだが、彼等もとんでもない爆音で、本当に耳を貫くと言う表現が相応しいダウンチューニングのギターサウンド。3ピースと言うシンプルな編成でありながらも速さと遅さを自在に行き来し、徹底して重いスラッジからハードコアまで展開するエクストリームさを発揮していた。時にドラムがブラストしてハードコアになる瞬間の高揚感も凄いし、引き摺る音が充満する瞬間も凄い。要は徹底して無慈悲で両極端な音が彼等の魅力だと思う。そしてその中にとんでもない暴力性があるのだ。最後はギタボの人がマイクスタンドと共にステージに飛び出してライブが終わったが、その瞬間に全てを吹き飛ばされた荒野に立っている気分すら感じた。



・EXTRUDERS

 今回唯一予備知識無しで観た彼等。音楽性は本当にミニマルなポストロックと言えば良いのかな。本当に一音一音が静謐で淡々としており、その中で途中ざらつきも見せる。ウィスパーなボーカルが淡々と歌い上げ、本当に骨組みだけのアンサンブルが響き渡る感じのバンド。正直に言うと僕の好みの音では無かったりもしたんだけど、でもそのストイックに鳴らされるミニマルな反復と不穏さは確かに人を惹き付ける物はあるとは思うし、クリアさの中にある絶妙な歪み、反復する音の坩堝、それらが生み出す音はかなり独自性もあったと思う。



・GOMNUPERS

 トリはまさか年内に二回も都内でライブを観れると思っていなかった重圧殺マシーンことGOMNUPERS。再び爆音の激重地獄へと舞い戻ったナインスパイスを覆い尽くす重低音、3ピースでありながら、とにかく徹底的にリフとビートが生み出すグルーブによって脳を粉砕し酩酊させる彼等のライブは今回も勿論健在。引き摺るリフで攻めながら、絶妙に変化を付けたり、小技的なフレーズを盛り込むギターとベース、音数こそ多くは無いけど、本当に一発の音の破壊力が凄まじいドラム。彼等がスラッジコアを起点としたバンドであり、その音は重圧殺マシーンの異名を欲しいままにしているのは勿論納得の事実だけど、彼等にはEyeHateGodが持っていたヘビィさの中にあるグルーブを見事に継承しているバンドだと思うし、ヘビィでダウンテンポだけど、ノレるという武器を持っているのだ。彼等も今回ロングセットで、際限無く繰り出されるスラッジサウンドのグルーブと、時折垣間見えるハードコアの直接的な暴力性が見事にタッグを組み、ヘビィさから生まれる躍動と重圧を展開してくれた。やはりGOMNUPERSは凄い!!



 そんな訳でナインスパイスの六周年を飾るに相応しいイベントだったし、本当にそれぞれ全く違う音を鳴らしながら、自らの存在感を見せ付けていた夜だと思う。改めてナインスパイス六周年おめでとうございます。そしてこれから益々のご発展をお祈りしています。
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■Out Of Sight​,​Out Of Mind​.​EP/stereo type

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 先日、活動限界ワンマンを終えて一先ずはその活動に幕を閉じてしまった三島のポストロック・マスロックバンドであるstereo typeの最後の音源である2曲入EP。今作はタワーレコードとHMVで10月頭から販売される予定の作品だが、僕が足を運んだstereo typeの活動限界GIGで先行販売されていたのを購入したので、一足先に紹介させて頂く。また各種ディストロでも既に販売されていたりもする



 今作は2曲入の作品だが、stereo typeの持っていた熱量やら鋭利さやら美しさがこれまでのどの作品よりも際立っているし、何よりも屈指の完成度を誇る2曲が収録されている。持ち前のサウンドを更に進化させた2曲を聴くと、改めて活動限界を迎えてしまったのが残念だ。彼等のサウンドは絶妙にエモーショナルな熱量、クリーンであるのに何処か歪んだサウンド、各楽器のスリリングなぶつかり合いによって飛び散る火花、時にエヴァーグリーンで美しいフレーズを聴かせ、時にマスロックの性急かつテクニカルなアプローチの乱打。それらの彼等の魅力がこれほどまでに無い位に凝縮されていながら、更にドラマティックな展開を見せる様になって、インストであるからこそ生み出すギター・ベース・ドラムだけの三つで圧倒的な音数と情報量を孕ませ、最後の最後に不穏に熱量を加速させるフレーズの乱打が咲き乱れる「さよならを教えて」を聴くと、本当にこのバンドはまだまだ行けたと思う。
 もう1曲の「大言壮語も吐いて去ろう」もラスト音源にも関わらず彼等の新たな境地を見せている楽曲で、これまでのどの楽曲よりも音が素直で直情的な熱を孕んでいるし、最後の最後でディストーションギターのが爆音で本当に感情を揺さぶる旋律を開花させる瞬間とか本当に堪らない。これまでの彼等は確かなエモーショナルさを持っていたバンドではあったけど、それを絶対零度の鋭利さや残酷さを通過させて鳴らしていたし、だからこそ、ここまで素直な音を彼等が鳴らしたのは驚きだし、それは今作が最後の音源だからなのかもしれない。本当に今作にあるのは、stereo typeの確かな軌跡と、最後の最後にまた進化したサウンドだし、だからこそ本当に活動限界は勿体無いと心から思う。



 stereo typpeというバンドは終わりを迎えてしまったが(あくまでも解散でも活動休止でも無く、活動限界と言う体ではあるけれども)、最後に残した今作に収録されている2曲は彼等の確かな軌跡であり、その集大成だ。だからこそ、もし彼等が再び新たな音を鳴らす時は、改めて全力で追いかけて行きたいと僕は思う。

■FAR EAST HARDCORE PUNK/ENSLAVE

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 本当に凄い作品だと思う。都内を拠点に活動する男女ツインボーカル激情クラスティハードコアバンドであるENSLAVEの2011年リリースの1stアルバム。活動暦自体は結構長いバンドだったりするが、初のフルアルバムである今作は、ENSLAVEというバンドが本当に純度1000%の激情をメッセージとして放ち、それをカオティックかつドラマティックに鳴らすバンドとして唯一無二である事の証明であり、何よりもここまで感動的なハードコアはこの世に他に存在するか分からない。




 先ず彼等が放つ音は本当にハイブリット極まりない。国外ネオクラスト勢とシンクロしながらも、ジャパニーズハードコアの色をしっかりと打ち出し、オールドスクールなテイストも持ちながらも、激情系ハードコアとしての叙情性溢れるギターワーク、しかしそれを高速で放つ事によって生まれるカオティックさ、D-BEATからブラストまで容赦無く繰り出すドラム。ドラマティックな楽曲構成を持ちながら、それをあくまでの2分台3分台の楽曲の中で展開していく楽曲。本当にあらゆるハードコアパンクが下地にあり、非常にハイブリットな音を鳴らしているバンドであるのだが、彼等が唯一無二なバンドである最大の要因はそのツインボーカルにあると思う。全編日本語詞で歌い叫ばれるのは、怒り、嘆き、痛み、そしてそれを乗り越えた先にある希望。彼等の歌詞はかなりメッセージ性が強かったりもするのだが、それを鬼気迫る勢いで叫び、ポエトリーのパートではエモーショナルに俺達にその言葉を語りかける暴君であり、熱きハードコア魂をとんでもない熱量で繰り出す男性ボーカル陸JEEP王氏と、ヒステリックなハイトーンシャウトをブチかまし、こちらも負けずに全身全霊であり、ありったけのまま叫ぶ感情と言葉によってまた新たな光を生み出す女性ボーカルPG-2嬢。この男女ツインボーカルは最早常に絶唱しかしてないというシンフォギア一期の終盤レベルの圧倒的激情の絶唱を魅せ、それがこのバンドの持つオリジナリティと感動的ハードコアの核だと思う。
 時にメタリックに、時にメロディアスに、時に武骨なハードコアとして、あらゆる側面を持ちながらも、それを統率して一つの音として確かな芯をこのバンドからは本当に感じるし、メタリックなタッピングのフレーズから幕を開ける第2曲「Obliging」では、ENSLAVEの持ち味であるクラスティでありながら、メロディアスに暴走する2本のギターと、怒涛のビートを繰り出すビート、絶妙に展開を変えていく事によって更に拡大するドラマティックさ、そしてツインボーカルの絶唱の掛け合いと、彼等の魅力が既にフルパワーで発揮されているし、それに続く第3曲「Under Ther Isolation」ではジャパニーズハードコアなカラーも色濃く出したリフも飛び出し、更に限界突破で突っ走りまくるドラマティックなヴァイオレンスさ、更に真摯にメッセージを放つ二人のボーカル、合間に入る悲哀を感じさせるアルペジオからの陸JEEP王氏のポエトリーからの絶唱。更に第4曲「My Will」ではのっけからPG-2嬢の絶唱とトレモロリフの洪水から始まり、更に天井知らず。序盤のこの3曲からもうとんでもないパッションとヴァイブスが生まれており、それを神々しく、しかもあくまでもハードコアとして鳴らしている。更にストレートなハードコアサウンドを圧巻の音圧で放つ第6曲「Only I Can Judge Me」、今作でも特にメロディに悲哀を感じさせ、痛みを鳴らすハードコアバンドとしてのENSLAVEの本領しか無い広島・長崎へ落とされた原爆に対する痛みと悲しみを歌った第9曲「Black Rain」、そしてドラマティック極まりない今作を締めくくるに相応しい最終曲「Each Ideal」と。本当に最初から最後まで軽く聞き流すことなんて到底不可能な、真摯なる言葉と圧巻のハードコアサウンドと、ドラマティックかつエモティブな絶唱しかない。



 何度かライブも拝見させて頂いてるが、音源でも圧巻のサウンドがライブでは更にとんでもない事になっており、本当に鬼気迫るという言葉が相応しいレベルのライブを繰り出すライブバンドでもあるENSLAVE。闇を切り裂き、そこから光を放つハードコアは本当に心を揺さぶりまくり、それでいてサウンドはヴァイオレンスなのに、どこか優しくもあり、何よりもツインボーカルの絶唱により放たれる言葉。本当に心を突き動かす作品だし、ハードコアから生まれた一つの到達点だとも思う。歴史に残すべき1枚だろこれは。



■朽ちていく中で/Seek

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 大阪が誇るツインベース激重激情ハードコアバンドであるSeekの2007年リリースの3曲入2nd音源。先日リリースされた最新音源「崇高な手」も素晴らしい作品で絶賛させて頂いたが、こちらも負けずと素晴らしい名作に仕上がっている。「崇高な手」では熾烈でヘビィな激情を見せ付けていたが、今作は3曲で37分と言うかなりの大作志向になっており、激情でありながらポストメタルの領域に達している作品であり、そして07年リリース作品とは思えない物で、当時から現在のポストメタルの流れに通じるサウンドを鳴らしている事にも驚きだ。



 Seekは一つのエクストリームミュージックをクロスオーバーさせたバンドであり、基本的にはヘビィ系の激情系ハードコアサウンドを見せるバンドであるが、スラッジ要素をかなり盛り込み、それをツインベースの本当に重いグルーブで打ち出し、アンビエントやポストメタルの要素も盛り込み、壮大過ぎるストーリー性を持った楽曲によって、熾烈なる激情の先からの美しさも感じさせてくれたりもするけど、それでも極限状態にまで達した漆黒の邪炎によって全てを焼却する音を鳴らし、圧巻の世界を生み出している。
 タイトル曲である第1曲「朽ちていく中で」は、アンビエントパートから、静謐なアルペジオの調べとツインベースのスラッジな重低音の地鳴りから始まり、この時点で既に迫り来る悲劇を予感させるが、焦らしに焦らしてから美しきスラッジの煉獄へ叩き込まれる瞬間に、既に意識がとんでもない方向へと飛ばされる、更にはSuguru氏がドスの効きまくったグロウルを披露してから、ダウンテンポのビートが一気にブラストビートになり、更にはカオティックなフレーズがガンガン飛び出し、速さから遅さへと移行する瞬間の得体の知れなさ、悪夢を音で生み出している錯覚にすら陥る。更に後半ではポストメタルパートも盛り込み、クリーントーンのボーカルも飛び出し、更には陽性の光を感じさせる旋律も飛び出すけど、それを全て焼却するか如く、再び激重へと雪崩れ込み、後半は複雑過ぎる楽曲構成にブーストがかかり、終盤は美しいアルペジオから全てを解き放ち、闇と光が交錯する激情大大団円を向かえる14分にも及ぶ壮大過ぎる激情の世界だ。もうそれだけで全てを変貌させるだけの音を鳴らしているのだ。
 第2曲「Tragic Ending」はエヴァーグリーンなフレーズから始まりながらも、より直接的に激情を叩きつけ、ダウンテンポのリフの応酬に圧殺必至なんだけど、今作で最もドラマティックなエモーショナルさを誇り、合間合間に入るクリーントーンのフレーズが、それを加速させる。熾烈さを高めに高めてからの終盤のクリーンなフレーズとヘビィなリフが同時に降り注ぐ様は本当に美しくある。第3曲「The Moss Which Grows In Faith」も熾烈な前半と美しい後半の対比が見事で、約13分の中で壮大過ぎる物語を描く。今作は07年リリースでありながらも、現在進行形の海外のポストメタル勢と肩を並べる美しさと壮大さと緻密さを持っていながら、それを更に漆黒の激重サウンドと、ハードコア成分を色濃く打ち出した事によって、それらの連中と肩を並べる完成度を誇りながらも、Seek独自の壮絶なる激情を生み出した作品であるし、37分にも及ぶ闇も光も飲み込む憎悪と破滅、それをあくまでエクストリームさを生かしながら、その先にある美しさを感じさせる手腕には本当に脱帽である。



 熾烈さと芸術性を徹底的に追求したからこそ生まれた、極限の音は今作でも健在だし、よりハードコア色が強くなった現在でも、今作の持つ美しい芸術性は十分生かされていたりする。今作と、最新音源では人によってどっちが好みかは別れるとは思うけれども、それでもSeekは激重のと激情から彼方を生み出す圧巻のサウンドを鳴らすバンドだし、何一つブレてないから僕は彼等を信頼している。大阪が生み出した至高の一枚であるし、最新音源「崇高な手」と共にこちらもあらゆるエクストリームミュージック好きは絶対にチェックすべき作品だ。



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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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