■2014年05月

■SHINJUKU LOFT 15TH ANNIVERSARY 「COALTAR OF THE DEEPERS VISITORS Team」(2014年5月25日)@新宿LOFT

 さて昼間はERAでアジアの純真とERAの共同企画に足を運び、時間までERAのバーでビールを煽って小田急に乗って新宿まで移動。オープンの時間に優雅にうどん食ったりしつつも、スタート30分前位にはLOFTに到着。ハシゴする形で夜はCOALTAR OF THE DEEPERSの初期メンバーライブへと足を運んだ。VISITORS Teamと称された今回の編成はギターボーカルのNARASAKI、ドラムのKANNOは勿論だけど、ギターにNEGISHI、ベースに最近ではDISGUNDERでも活躍しているNAGASAWAという1stアルバムである「THE VISITORS FROM DEEPSPACE」時代の4人での編成でのセット。そして今年は1stリリース20周年だ。勿論このメンバーでライブをするって事はセットは必然的に初期曲中心だし、かなり特別なライブだったと思う。それもあっていつものCOTDのライブに比べて男性客が圧倒的に多かった。誰しもが特別なCOTDのライブを心待ちにし、そして10分押しでSEのモンキーマジックが流れ、ライブは始まった。



 モンキーマジックが流れる中、メンバー4人が登場。少し後ろの方で観ていたけど、NARASAKIは髪を黒くしていた、そしてNAGASAWAは相変わらず凄い強面。こうして観るとDEEPERSは初期メンバーもタイプの違う4人だったと思い知る。そして始まった。先ずは「Salah's Living4Moment」のイントロのあのベースが流れてフロアはいきなり最高潮!!っと思わせて必殺の「When You Were Mine」でキックオフ!!原曲よりシューゲイジング成分は抑え目にはなっていたギターだったけど、原曲よりソリッドに尖って攻めるリフの攻勢にフロアは早くも絶頂!!それにいつもより圧倒的に男の客が多い事もあってモッシュも早速発生!!普段の編成のDEEPERSに比べて更に爆音で荒々しくなったサウンドは様々な音楽のクロスオーバーとしてのDEEPERSとしてよりも、より攻撃的になったDEEPERSでそれが凄く格好良い。それに続く「Earththing」のNAGASAWAの極太のベースのイントロからノイジーに疾走するギターが炸裂!!もう分かっているけど、KANNOの正確無比さとロックのダイナミックさと熾烈さで叩き出されるドラムは圧巻だし、NAGASAWAの高速フィンガーピッキングによりグルーブを支配する極悪なベースと、NEGISHIとNARASAKIの2本のギターは共にソリッドにぶつかり合い、爆音で轟音と興奮の坩堝を生み出す。更に轟音が暴走する「Your Melody」は甘さも全開になっているのに、攻撃的に刻まれるスラッシュなリフの応酬はメタリックさ全開でガツンと来る。そして僕が個人的にずっとライブでやって欲しいと思っていた「My Speedy Salah」!!!!!あのイントロの刻みのリフだけで絶頂してしまったし、哀愁が全開になり、あおれが尖った音と見事にシンクロし、更にサビのコーラスパートはフロアがシンガロング!!全てが胸を焼き尽くす熱さしか無かったし、序盤の4曲だけで、今日のDEEPERSが本当に凄い事になっているのを知ったし、攻める刻みと轟音、熾烈なるグルーブと残酷な甘さ。それだけで、胸が張り裂けそうだ。
 びっくりしたのはこのメンバーでやると思っていなかった「Cell」だ。SEのナレーションとフラミンゴの鳴き声からKANNNOのカウントを皮切りにポップで切ない轟音スラッシュサウンドが性急に、攻め立て、まだまだ始まったばかりだぜと言わんばかりにフロアを全く休ませてくれないし、サビでは勿論シンガロングと突き上げられる無数の拳でまだまだヒートアップする。それとこの日はいつものDEEPERSと違ってMCも凄く多くて、特にNEGISHIとNAGASAWAはかなり喋っていたなあ。MC自体はかなり緩くて中身なんて全く無かったけど。そんな感じのMCから始まった「Summer Days」も甘い陶酔のアルペジオで早速引き込み、サビのコーラスパートでは勿論シンガロング。こうして振り返ると初期のDEEPERSの楽曲は本当にキラーチューンばっかりだと思った。その一方で青い疾走感と残酷な甘さがポップネスと焦燥の魔法を生
み出す「Charming Sister Kiss Me Dead!!」は清涼感溢れながら、でもやっぱ爆音でロマンを放っていたし、「Crawl To Me」はイントロのカッティングから暴発するディストーションサウンドのカタルシスの連続!!ここまで全く休まる暇なんて無かったし、セットの前半は本当に必殺の曲しかやらなかった。
 後半は一転して「Snow」から。幽玄のシューゲイザーサウンドが生み出すロマンは決して攻撃的じゃないのに突き刺さり、永遠の轟音の渦の中に飲み込まれそうな神秘的体験へ。続く「The Lightbed」は風通しの良いボサノバサウンドを機軸に悲哀のポップネスを発揮し、終盤の轟音のサウンドスケープに圧倒される。こうした攻撃性の薄い曲でも揺らがないSEEPERSの個性とサウンドは本当に素晴らしく、また身も蓋も無い言い方になってはしまうけど、ライブならではの生々しさがまたダイレクトに来るのだ。こうして聴かせる2曲でフロアの空気を良い感じに落ち着かせてから繰り出された轟音の煉獄の先を描く最強の一曲の一つである「Deepers Are Scheming」にてフロアに再び火を点ける!!燃え上がるディストーションの中で神秘的幽玄さと、刺し殺す鋭利さが同時に攻撃を仕掛け、そして焼き尽くされてしまった。今回の編成でしか演奏出来ない今回最もヘビィで邪悪なインプロ煉獄「The Visitors」を挟み。クライマックスはDEEPERSの代表曲である「C/O/T/D」、「終わらない青春を歌った曲です。」のMCからの「Blink」、そして本編ラストはアンセム「Amethyst」の必殺の名曲三連続!!!!!フロアはこの日一番の大きな盛り上がりを見せた。そしてアンコールは原曲大崩壊どころか、初期DEEPERSの中で最もハードコアなThe Cureのカバーである「Killing An Arab」にて、本編ラストの極上のポップネスのエクストリームさの先を嘲笑う地獄のヘビィネスへ!!モッシュ大量発生だし、混沌するサウンドの中で今回の初期メンバーライブは終わった。メンバー四人は演奏が終わっても直ぐには掃けずに多くのお客さんと握手したりとかしていたし、本当にいつものDEEPERSと違うけど、NAGASAWAもNEGISHIも、もう一回DEEPERS加入しちまえって思ったよ。

セットリスト

1.When You Were Mine
2.Earththing
3.Your Melody
4.My Speedy Sarah
5.Cell
6.Summer Days
7.Charming Sister Kiss Me Dead!!
8.Crawl To Me
9.Snow
10.The Lightbed
11.Thrash Up Disturbace #4
12.Deepers Are Scheming
13.The Visitors
14.C/O/T/D
15.Blink
16.Amethyst

en.Killing An Arab



 ここ最近のCOTDはライブも年数回だし、音源も2011年にリリースしたシングル「Dear Future」以降はリリースされていない。しかし一昨年のミソカLIVEみたいな過去メンバーライブだったり、現編成のライブでもこれまでやらなかった初期の曲をプレイしたりと少しずつでも歩みを進めている。NARASAKIもCOTD以外の活動がかなり目立っているけど、昨年のミソカLIVEでは2014年中に新作を出すと宣言したし(若干言わされてた感はあったけど)、結成20年を越えてもまだまだCOTDは終わらない。彼等の名曲である「Blink」の様な終わらない青春であり、この煌きは永遠だ。それを今回のライブを観て思った。何よりもただ単純に最高に楽しいライブだったよ!!
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■アジアの純真 × ERA presents「DAYTIME SPECIAL 3MAN SHOW !!」〜ERA 12th ANNIVERSARY(2014年5月25日)下北沢ERA

 下北沢ERAの12周年イベントの一環として今回開催されたERAとアジアの純真の共同企画。昼間のライブでありながらも、これが本当に濃密な3マンとなったのだ。メンバー全員ガチのオタクであり、何故かその音楽はそんなオタクさからは想像出来ない最高に渋くて熱い独自のジャズポストロックを鳴らすduludulu、最早シューゲイザーとエモの融合って言い方すら無意味にしてしまう3ピースで奏でる至福の轟音のオーケストラことCurve、そして今年初頭に名盤1stである「レジスト・レジスター」をリリースした何処にも属さない異質のポリティカル・ハード・アート・チームことアジアの純真。もうこの組み合わせでイベントなんて二度とねえだろっていう豪華極まりない3マン。勿論足を運ぶに決まってる訳で、前日のsports復活ライブに続いて僕は再び下北沢にやって来たのだ。



・duludulu

 ライブは久々に観る事になったduludulu。自分達の音源はまだ出して無いのに、メインコンポーザーの阿久津氏の参加するサークルのボカロCDは何故か物販に置いてあったり、物販席はバンド公式マスコット「づるづるたん」のねんどろいどや、ガンプラが飾ってあったりで、もうよく分からないけど、このバンドはメンバー全員ガチオタであるけど、その音楽もやっぱりガチなのだ。言うなれば、単なるインストバンドで片付ける事なんて無理な話なのだ。このバンドはジャズやフュージョンのエッセンスをポストロックに持ち込むだけじゃなく、間違いなくエモーショナルなのだ(こんな事を書くと本人達に否定されそうだけど)。勿論メンバー全員の演奏技術も並のバンドじゃ太刀打ち出来ないレベルで卓越しているんだけど、このバンドの持つ演奏技術はどこまでも純粋に表現の為の技術なんだと思う。ただ単にポストロック・インストじゃない、ただ単にジャズ・フュージョンじゃない。引き算の方法論により、音数こそ多くないにしても、4人の演奏はボーカルの存在なんて不要だって言わんばかりに、とにかく雄弁にそれぞれ主張する。特に阿久津氏がサックスを吹くパートなんてサックスが雄弁に他の音に融和し、そして歌う。そのロングトーンサックスもそうだし、確かな主張をしながら、ギターとサックスを際立たせるリズム隊もそうだし、切れ味鋭いカッティングを見せながらも、前に出過ぎないギターも、繊細さと大胆さを持つ阿久津氏のギターもそうだ。とにかく全てが最高に渋い。しかしこの日のセットの中で、まだジャズ要素が無くポストロック色が強かった結成当時の曲もプレイしていて、それでやっと馬鹿な頭で気付いたんだけど、このバンドはその渋さすらエモーショナルにしてしまうのだ。時にそれぞれの音が主張を大きくする瞬間の高揚感もそうだし、引くパートでもそうだ。このアンサンブルは男の熱情なんだ。この日出演したバンドの中じゃ派手な音では無かったのかもしれないけど。それでもセット全体で流れていた熱情は胸に焼き付いて離れない。

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・Curve

 ライブの度に感動を生み出す轟音エモーショナルオーケストラであるCurve。これまで二度ライブを観て、その二回とも素晴らしいライブだったけど、今回のライブはCurveが最強のバンドだって事を痛感させられるライブだった。先ず一曲目にプレイしたのは「The Long Distance Of The Night」というCurve最強の名曲だ。個人的にeastern youthの「踵鳴る」に匹敵する最強のイントロなコードストロークが鳴らされた瞬間に、胸が完全に焼き尽くされそうになっちまった。いきなり10分にも及ぶ壮絶な轟音オーケストラをやられた日にゃもう完全にCurveの勝ち。羅氏のボーカルはかなり調子が良く、爆音で奏でられる轟音ギターすら切り裂く高らかな歌声を響かせ、それだけじゃなくリズム隊の二人も先月観たアンチでのライブの時異常に屈強なアンサンブルとグルーブを生み出しているではないか!!引くパートでは幽玄なる神秘的音像を生み出しながらも、ここぞという轟音のエモーショナルパートでは決壊しまくりなドラマティック過ぎる世界を描き、それはまるで全ての闇を葬り去る光の福音であり、それをたった3人で生み出してしまうのはCurveの凄さだし、音源よりもずっと荒々しさとソリッドさが増幅したアンサンブルはより聴き手に突き刺さる。今回のライブも前回観たアンチの時と同様にプレイしたのは2曲だが、今回も披露した20分以上に及ぶ新曲は、本当に壮大なる光の先を描く新たなる賛美歌であり、マーチングの様な力強いドラムに引率されながら、躍動をそれぞれの楽器が生み出す序盤の高揚から、シリアスな重みを感じさせる中盤、そして全てを埋め尽くす轟音と共に眩い光を描くクライマックスと、完璧過ぎる名曲だし、羅氏の歌声は本当に天すら越えて宇宙の果てまで届く様な強さを感じた。観ていて本当に涙腺がずっと熱くなってしまったし、このバンドの持つ轟音は単なる轟音じゃなくて、最強のメロディとドラマティックさを持つ名曲を、最高のアンサンブルと共に、最高の感動として表現される宇宙であり、そして俺達が生きる日常だ。何度観ても穢れた心を洗い流す様なライブは本当にベタな言い方だけど感動しかないし、それ以外の言葉が思いつかない。このバンドは本当に見果てぬ先にいるのは最早明確だし、ライブを本当に観るべきバンドだ。死にかけてる感受性が全て蘇生する力がCurveのライブにはある。

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・アジアの純真

 そしてトリはアジアの純真。1stにしてこのバンドの集大成的作品である名盤「レジスト・レジスター」に完全にブッ飛ばされてしまった僕だけど、ライブを観るのは初めてで、本当にライブを観るのが楽しみだったが。結論を言うと、ここまで完成されたステージをするバンドはいないと思った。メンバー全員黒尽くめの活動家ライクな衣装に身を包み、SEの「イデアリスム」が流れる中、ステージに佇むだけでも異様なオーラを放っているけど、キックオフの「メガロマニア」をプレイした瞬間に、アジアの純真によるライブという概念を超えたショウが幕を開いた。あくまでもポエトリーとしてのボーカルでありながらアクションの一つ一つすら目を奪わせ、ドスの利いた声で演説の様に言葉を繰り出す泉氏はアジアの純真の描き演じる世界の指揮者であり、そのボーカルとステージだけでもオーラが溢れるけど、弦楽器隊の2人も負けてない。ギターの吉松氏は派手なアクションでギターを弾き、その動きはある種のギターヒーロー的風格に溢れ最高に格好良いし、一方で細身の体を揺らしながら極太巨根ベースを弾き倒す藤野氏はクールでありつつも、熱さを感じる。勿論このバンドは単なる見かけだけのバンドじゃない。シンプルなバンド編成でありながら、泉氏の放つ圧倒的情報量の言葉に負けないアンサンブルを奏でるのだ。レゲエ・オルタナティブ・激情を通過しながら、それをロックへと帰結させる吉松氏のギター、グルーブの鬼とも言える藤野氏のベース、ビートの躍動の緻密に大胆に叩き出す藤野氏のドラム、アジアの純真の音楽は間違いなく個々のロックバンドとしての強さに支えられているし、それはより焦燥感の増した「メガロマニア」に溢れていた。
 今回は新曲「フクシマ」(また色々と敵を作りそうな曲名だな、おい)を披露したけど、この曲が彼等の新機軸とも言える名曲だった。ドラッギーなビートを機軸にしつつも、静と動を生かし、より激情要素が加わり、より雄弁になったギターワークが素晴らしく、そして原発云々を歌う曲かと思えば大間違いで、ライブでもほぼ歌詞が聞き取れる泉氏のポエトリーな歌を聞き取ってみたら、この曲は震災を切欠に生と向き合う曲で、シリアスでありながらも、生きる事を投げかけるアジアの純真らしい聴き手に考える事を投げかけるメッセージとしての曲だった。このバンドはこの日もプレイしていた「マイノリティ」の歌詞である「天皇!核!自衛隊!」といった歌詞や、そのアートワークや衣装なんかでポリティカルなバンドだと思う人も多そうだけど、ポリティカルなメッセージを持つ曲はそれこそ「マイノリティ」だけで、政治はあくまでも彼等が扱い考察するテーマの一つに過ぎない。そして共通するのはどの曲も最終的にはポジティブなエネルギーに帰結しているのだ。「戦争」をテーマにした「ヒューマニズム」も、ロックバンドとしてのダイナミックさとファンキーなグルーブが先ず最高に格好良いし、曲だけでも体を揺さぶらせるロックバンドとしての強さを持っているし、僕個人としてはそんな事をしなくても十分に曲だけで彼等の世界は伝わるとは思ったりもするけど、曲間の朗読も表現であり、ライブでも彼等の美意識は徹底している。
 特に最高だったのは終盤に披露した「ノーフューチャー」の溢れんばかりの激情、そしてラストにプレイした「ゴッドイズデッド」という新曲がアジアの純真の新たなる代表曲として素晴らしかった。シリアスに何度も「神は死んだ」と泉氏は繰り返していたけど、その先の生を歌い上げ、彼等もまた確かな希望をあくまでもロックバンドとして、あくまでもアートチームとして、あくまでも劇団的なそれで、なによりもアジアの純真として表現していた。言うまでも無い、全てが完成されていた圧倒的ステージだった。

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 日曜の昼間から酒を飲みながらライブを観れるってだけでも最高なんだけど、それ以上に昼間から濃密過ぎる3バンドのライブを観れて本当に最高だった。やったる音楽も、描く世界も全然違う3バンドだけど、3バンド共に共通するのは、それぞれのバンドが確かな熱を持っていた事だと僕は思うし、昼間からERAは爆音で熱かった。
 そして終演後は僕はERAのバーで酒を煽り、そして酔った頭と体で、その日二本目のライブとなるCOALTAR OF THE DEEPERSの初期メンバーライブを観に新宿へと向かうのだった。

(COTDライブレポに続く)
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■I LIKE SPORTS 2014(2014年5月24日)@下北沢GARAGE

 07年に活動休止を宣言し、表舞台から姿を消した00年代前半に登場し、混迷していた当時のシーンを駆け巡り消えていったsportsというバンドがいた。本当に多くのギターロックバンドが登場しまくり、大きなムーブメントとなっていたその当時のバンド達の中じゃ決して知名度は高く無かったかもしれない。しかし僕自身にとっては高校生だった頃の青春のバンドであり、sportsが鳴らしていたポップネスと独特に歪んだサウンドは今になってむ唯一無二だし、代わりのバンドなんて未だに見つかってもいねえし、これから先出て来ないと思う。
 活動休止から7年、sportsは一夜限りの再結成ライブを行う事になった。フロントマンである伊藤君は今でも作曲家・アレンジャーとしての活動とザ・チャレンジとしての活動で現在も音楽の世界にいるけど、ドラムの大石君は実に7年振りにスティックを握る事になったし、メジャーデビュー当時のベーシストだった紀子嬢は今回参加せず、紀子嬢脱退後にサポートで参加していた菊池君もステージに立つのは一年振り、不安が無い訳じゃなかったと思う。しかしそれでも僕を始め、またsportsに会えるのを楽しみにしていた人は本当に多かったと思う。実際にチケットは販売開始即日でソールドアウトし、いざ当日に下北沢GARAGEに足を運ぶと本当に沢山の人で、ハコは本当にギュウギュウになっていた。見てみるとやっぱり女性客が多くて、男の俺は若干のアウェイ感を感じたりもしたけど、そんな事より、活動していた当時はライブを観れず、ライブを観れないまま活動休止してしまったsportsのライブを観る事が出来るという喜びに満ちていた。そして予定のスタート時間から10分程押して客電が落ち、いよいよ一夜限りの復活ライブは始まった。



 10分程押して客電が落ちる。メンバー三人が登場した瞬間に先ず大きな歓声が起き、メンバーはステージ上で抱きしめ合う。この時点で今日が特別な夜である事を認識した。ステージングは下手にドラムセットが置かれ、真ん中に菊ちゃん、上手に伊藤君という配置で、割と後ろの方で観てた僕でもメンバー三人の姿はよく見える。そして始まった。復活の狼煙は
2ndの一曲目を飾る「Love Is」からだった。イントロの突き抜ける爽やかなポップネス溢れるギターストロークが鳴り響いた瞬間に僕はsportsが帰って来たって事をその目と耳で認識した。伊藤君の浮遊感溢れるボーカルは相変わらずだし、大石君のドラムは7年のブランクを感じさせない程に安定しているし、菊ちゃんのベースは安定していながら、攻める部分はしっかり攻めてる。何よりも3ピースというシンプルな形でざっくりと鳴らされる音は直情的だし、ポップネスとロックバンドとしての荒々しさが見事に融合し、sportsの持つポップネスとギターロックの魔法は確かにこの瞬間生まれた。続く「P.I.L」ではよりダイナミックなロックバンドとしてのsportsを見せ、そして早々に必殺の「Super sonic」へと雪崩れ込む。あのイントロのコードストロークだけで僕のテンションは最高潮だし、轟音のポップネスが咲き乱れ、正に疾風が吹き荒れる音像は音源よりも更に刺さったし、その歌詞通り「破壊のメロディ」が吹き荒れていた。そして1stからの楽曲が続き、「D.Jhonston」のレゲエ的な揺らぎもライブで見事に再現されていたし、名曲「Pumping On The Radio」の宇宙的サウンドスケープは、より生々しさを増していた。一方で2ndの「Kick Off, Now!」メロウさからのダンサブルな躍動は心を躍らせる陽性のポップさが炸裂し、ゆるやかに駆け抜ける3人の音が最高の気持ち良い。
 そして伊藤君がギターを置き、キーボードをセットしてキーボードボーカルの演奏へ。原曲はギターでの弾き語りである「Sing」はよりシンプルになったピアノの音数がボーカルを際立たせて、ゆるやかさの中の揺らぎをまた違う形で表現。そして終盤のギターが無いアレンジになった「鉄の街」は途中から菊ちゃんがエフェクターを駆使しトリッキーなベースラインで曲にアクセントを加え、轟音パートが無い代わりに、静謐さから生まれた熱がじんわりと染み渡る。
 そんなしんみりした空気を見事に打ち破る「Believer」は打ち込みの音こそ無かったけど、ライブでの3ピースの音はよりギターロックバンドとしてのsportsをアピールし、シンプルなギターフレーズだけで高揚感を生み出し、更には最初は固さも少し感じたバンドの演奏も脂が良い感じに乗り、ダンサブルなグルーブを見事に体現し絶好調!何よりもやると思って無かった「nude」のダークな湿り気に満ちた退廃的空気はsportsの持つまた別の一面だし、残酷なロマンを痛々しく奏でて歌い上げるのはやっぱり00年代前半に登場したバンドらしかったりもしたし、その時は僕の心は本当に高校の頃に戻っていた気がする。ベースから始まるアレンジに変わった「Rhythm Drowner」は宇宙的スケープをより生々しくし、更に残酷なロマンへと繋げ断罪する。そんな曲とポジティブな躍動のダンスナンバーである「Fall In Love Once Again」が見事に繋がるのはsportsならではで、多方面から生れる幻想の世界は、3ピースの音のみで生み出すライブでは更に統率されていたと思う。
 本編のセットも12曲が終わってしまい、時間の経過はかなり早く感じたりもしたし、もうsportsの音に観客が陶酔していた所で、宣言されていた新曲を披露。「夜間飛行」というこの曲は路線で言うと2ndの作風に近い風通しの良い歌物の一曲なんだけど、こうして七年振りの新曲を聴くとsportsってバンドの普遍性の強さは大きな武器だって思い知る。そしてこっからは本当に一瞬だった。インディーズ時代の名曲である「X-Ray」の王道のギターロックな疾走と焦燥、「Washing Machuine」のソリッドなサウンドでありながら、哀愁が全開になったドラマティックな泣き、「ラブリーガール」の終末観、そして伊藤君のこの曲でメジャーデビューしたとかあり得ないみたいなMCから本編ラストは彼等の代名詞とも言えるメジャーデビュー曲である「Sports Wear」、分かりやすい展開じゃ無いし、メジャーのバンドにしては7分超えの長尺だし、確かにコマーシャル性を考えたら、この曲でメジャーデビューしたというのはまた不思議なんだけど、ドープさから煌きの世界を描くポップネスは正にsportsの代名詞だし、曲を重ねる毎にブランクを感じさせない演奏へとなっていくバンドの演奏も最高潮へ!!そんな置き去りのポップネスと共に全17曲の本編は終了。
 本編ラスト前にあっさりアンコールがある事を宣言していたし、本編が終わりアンコールの手拍子が始まると意外とあっさりと伊藤君がステージへ戻る。そしてアンコール一発目は伊藤君のギターの弾き語りの「Xanadu」爛れたギターフレーズの耽美さが剥き出しになったこの曲は。sportsの持つ魅力である終末観の先の世界を見事に描いた名曲だし、瞬く世界を歌とギターだけで体現。そこから大石君と菊ちゃんもステージに戻り「I Like Sports」という最初期の名曲を披露。本編の時のMCで伊藤君は「伝えたい事なんて特に無いし、自分の作った曲を聴いて欲しいだけ。」って事を言っていたけど、そんな伊藤君の音楽観はこの曲にも表れていたし、その後に披露した「Puzzle」にも見事に繋がっている。彼等が生み出した音はどんなに月日が経過しても色褪せやしないんだ。そして最後のMCで9月に今回のライブの追加公演を同じく下北沢GARAGEでやる事を告知、この日一番の歓声だったと思う。この夢が今日だけじゃない事を伝え、アンコール最後は2ndのラストを飾る「さよならパレード」、決して夢は終わらない、そんな余韻を残しながらsportsの一夜限りの復活ライブは幕を閉じた。
 筈だったんだけど、客電が点いても誰も帰らない。止まない手拍子。そしてステージに戻ってくるメンバー。伊藤君はこの三人で出来る曲は全部やってしまったと言っていたんだけど、ここで菊ちゃんの提案で初期の名曲「Furry Monster」をまさかまさかのプレイ!!予定調和じゃない、本当の後夜祭は奇妙な捻れが疾走するsportsならではの轟音ギターロックであり、そこで生まれたのは新たな始まりだった。突き刺す轟音の中で新たなる夢の扉を開き、こうして全22曲、二時間以上にも及ぶ熱演が終わった。
 
セットリスト

1.Love is
2.P.I.L
3.Super Sonic
4.D.Jhonston
5.Pumping On The Radio
6.Kick Off, Now!
7.Sing
8.鉄の街
9.Believer
10.nude
11.Rhythm Drowner
12.Fall In Love Once Again
13.夜間飛行(新曲)
14.X-Ray
15.Washing Machine
16.ラブリーガール
17.Sports Wear

en1.Xanadu
en2.I Like Sports
en3.Puzzle
en4.さよならパレード

en5.Furry Monster



 伊藤君は何度もMCをしていて、本当に沢山の事を話していたと思う。活動休止時のラストライブの時の「また会おう」と言った約束を果たしに来た事とか、大石君と菊ちゃんとライブをしたかった事、sportsとは何だったか確かめに来たって事、やっぱりロックが一番最高の音楽だって事。本当に色々な事を話していたと思うし、そんなの当たり前の話なのかもしれないけど、今回の復活ライブは観に来た僕達だけじゃなくて、sportsのメンバーにとっても本当に特別な物だったんだろうし、一夜限りの夢では終わらなかった。7年前に終わりを迎えたsportsという夢が、また新たに始まるという特別な夜だったんだと思う。僕自身は今回の復活ライブで初めて彼等のライブを観たし、ずっとsportsは好きだったけどライブを観る事は叶わなかった人も多いと思う。だからこそこれは新たな始まり。9月の追加公演以降どうなるかは全く分からないけど、これはsportsが新たな始まりを迎えるという事だと僕は思っている。何よりもずっと大好きだったのにライブを観れずに活動休止してしまったsportsのライブを観れた、それだけで十分過ぎるんだ。
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■Sunbather/Deafheaven


SunbatherSunbather
(2013/07/12)
Deafheaven

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 これがブラックメタルのジャケットかよ!?って言いたくなる位にオサレサブカルなジャケットだが。これポストブラックのアルバムのジャケットです。先日の来日公演も本当に多くの集客と、その素晴らしいパフォーマンスで大絶賛・拍手喝采だったサンフランシスコの激情ポストブラックメタルバンドであるDeafheavenの2013年リリースの2ndアルバム。今作もリリースは前作に引き続きDeathwisから。



 今作はPitchforkをはじめとする多くのメディアで大絶賛され、日本でも今作を切欠に一気に知名度を広め、普段ブラックメタルを聴かない層まで取り込んだ作品だけど、同時にそのヒップスターブラックの最右翼具合から多くのdisを浴びたりもした問題作だったりもしたんだけど、僕自身はDeafheavenというバンドにブラック云々っていうのは野暮だとすら思うのだ。確かにブラックメタル要素はあるけど、極限までポストブラックな作風は原理主義者からしたら無いのかもしれない。でも美轟音と共に放たれる激情のカタルシスの美しさが本当に素晴らしいのだ。
 轟音系ポストブラックと言えばWolves In The Throne Room辺りのバンドが出てくる人が多いとは思うけど、今作はそれらのバンドと比べても明らかに洗練されまくっている。前作と大きく路線は変わらない筈なんだけど、2ndで爆発的に変化を感じさせるのは持ち前のメロディセンスを最大に生かし、ブラックメタルらしいブラストとトレモロの熾烈なる応酬が存在しながらも、同時に全ての音がポジティブに解き放たれている。第1曲「Dream House」の時点で彼らの進化は明らかで、胸を掻き毟りる青き旋律のトレモロリフからブラストビートが入りより熾烈に、より強く、より青き激情を放つ様になったサウンドが鼓膜と心に突き刺さる。フロントマンのジョージ君のボーカルこそポストブラック感溢れるがなり声ボーカルではあるけど、洗練された美旋律の応酬の中では見事に湿り気ある激情の体現者となり、またバンドサウンドと自然に融和しているのだ。バンドとしてのスケール感を格段に向上させ、楽曲のストーリー性や構築美を研ぎ澄まし、静謐なパートでの落とし方も更に上手くなり、楽曲全体でクリアな轟音系ポストロックを思わせるアプローチを導入しつつ、全体の音はあくまでもソリッドな攻めの音だから、より凄まじいカタルシスが生まれるのも事実。そして最後はここぞとばかりに轟音がピリオドの向こう側へと突き抜けていく瞬間は、もう熱くて熱くて最高だ。
 また今作はメインになる長尺の楽曲4曲を機軸に構成され、その合間にインタールード的なインスト3曲が収録されているけど、そのインストの楽曲は完全にポストロックな曲であり、クリアな旋律を剥き出しにした第2曲「Irresistible」、Alcestのネージュ大先生の朗読とアンビエント・ドローンkらノイズ、そしてアコースティックへと形を変える第4曲「Please Remember」、アンビエントな揺らぎを見せる第6曲「Windows」も今作を構築する大切なピースとなっている。そして第3曲「Sunbather」だが、こちらはより激情系ハードコアの要素を強くし、のっけの轟音のフレーズから痛々しさ全開のメランコリックさにやられそうになるし、よりソリッドに、より熾烈になり、ダークな感覚を感じさせ、今作の中でも特にブラック色が強い楽曲であるにも関わらず、行き着く先は開放と救いであり、轟音系激情系ハードコアのそれでありながr、非常にドラマティックな楽曲構成の素晴らしさを知る。
 今作でも一番の長尺である14分以上の大作「Vertigo」はメランコリックなアルペジオが非常に印象的でそんな静謐さからドラマティックな轟音系ポストロックの様に楽曲は展開し、シューゲイジングしまくるギターフレーズに酔い知れていたら、モダンヘビィネスな味付けのギターリフと研ぎ澄ましたギターソロ、そして怒涛のブラストとトレモロの絶頂具合!!14分の中で起承転結を明確にし、一つのストーリーを描くんだから堪らない。そして個人的に今作で一番大好きな最終曲「The Pecan Tree」は今作でも特に激情に振り切った名曲であり、冒頭からシューゲイジングするトレモロとブラストとジョージ君の痛々しくて自己陶酔感あるボーカルが三位一体で攻めまくり、そんな前半から後半からラストにかけては多幸感溢れるサウンドの高揚感の連続で、本当に聴き手を「heaven」へと誘ってしまうのだ。



 多くの絶賛も批判も浴びた今作だけど、こうしてリリースから一年が経過し、来日公演を観た今になって改めて聴き直すと本当に洗練と多くの人々に訴える懐の大きさを感じる作品だし、何よりもバンドとして有無を言わせない説得力に満ちた作品だ。これまで多くのポストブラックメタルバンドが登場したが、彼等程に堂々とヒップスターブラックであり続けているバンドはいないし、だからこそ批判も浴びるかもしれないけど、でも僕はブラック云々以上に美轟音激情として今作は素晴らしい作品だと思うし、まだまだポストブラックの可能性は大きい事を見事に提示してくれたのだ。新たな地平を切り開くバンドとしてDeafheavenは素晴らしいし、そんな彼等を僕は支持する。



■Funny!!!/sports


Funny!!!Funny!!!
(2004/10/06)
sports

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 一夜限りの再結成ライブもいよいよ間近に迫ったsportsの04年リリースの1stアルバム。07年に活動休止をしてしまったsportsだが、このバンドがギターロックバンドが多く登場し混迷としていた00年代前半に登場し、それらのバンドの中でも屈指の完成度とポップネスを放ち、独自の道を切り開いていたのだ。今作はそんな混迷とした当時のシーンに必然として生れ落ちた名盤であり、決して時系列の彼方に葬ってはいけない作品だ。



 伊藤寛之、永井紀子、大石貴義。この三人によるsportsはバンドとして本当に完全であった。そもそもシーンの中でsportsというバンドは屈指の演奏技術を持つバンドだったし、伊藤君の空間系エフェクターを変幻自在に使いこなすセンスは郡を抜いていたし、元ハートバザールである紀子嬢の動くまくり、メロディを司りながらグルーブを支配するベースの凄み、大石君のダイナミックさをバンドに与え続けるドラム。このトライアングルが生み出すギターロックはバンドとして完全だったし、それでいて極上のポップネスを放っていた。
 一部でイントロのコード進行がモロにCOALTAR OF THE DEEPERSの「C/O/T/D」なのも話題になっていた第1曲「Super Sonic」から先ずとんでもない名曲だ。確かにイントロのコード進行はモロCOTDだけど、COTDに負けず劣らず轟音のポップネスが咲き乱れるこの曲をアルバムの頭に持っていったのは大正解過ぎるし、クリーントーンの爽やかなギターとソリッドさと轟音が渦巻く伊藤君ならではの独自の歪みの方法論、常に高揚感しか無くて、目前を疾風の様に駆け巡るギターサウンドは正に必殺であるし、同時に紀子嬢のあざとい位にメロディラインを引き倒し、独自の熱量をグルーブに託し、sportsというバンドのもう一つのメロディとして、更に絶対のグルーブを司る女神としての存在感。そんなイケメンと美少女の弦楽器隊に対して、男前ドラマー大石君は二人のバックを確かに支えるタイトなドラミング。しかしタイトでありながら大胆な熱情を同時に持っているし、駆け巡るギターとベースの音の粒子を統率するビートの守護神としてのドラム。この3人がsportsをやっている事だと思わせるアンサンブルの全てが「Super Sonic」には存在しているし、エモーショナルな初期衝動を爽やかなメロディで奏でながらも、どこか陰鬱な湿り気もあり、ギターロックバンドとして必要な物をこのバンドは全て持っていたのだ。
 ギターロックバンドに必要な物を全て持っていると書いたけど、それは他の楽曲を聴けばより一層痛感するだろう。第2曲「Heart Beat」や第3曲「Sports Wear」の歌物であり、バンドが持っている叙情的部分と繊細さを前面に押し出したこの2曲は静と激の対比も見事だし、楽曲としては徹底的に一つの憂いを持ち、これは80年代のバンドが持っていたそれだけど、しかし楽器隊の各フレーズはそんな楽曲の中でも攻撃的に攻めるし、浮遊感を持ちながらも、バンドとしての核は絶対的だし、一つの泣きを轟音のギターに全て託しているからこそ最高に格好良い。一方で伊藤君のピアノの弾き語りから始まる第4曲「鉄の街」の剥き出しになった哀愁も心が打たれるし、流麗のピアノに、バンドサウンドが入り、激情のサウンドを展開し、伊藤君のたおやかな歌から悲痛なシャウトを皮切りに轟音の激情へとドラマティックに展開していく楽曲構成も素晴らしい。
 またsportsはバンドとして非常に音楽的多様性を持つバンドでもあった。レゲエライクなカッティングとグルーブ理論をギターロックに持ち込んだ第5曲「D.Johnston」のメロディアスでありながらも、不穏さが木霊する感覚のダークネス、一転してsonic Youthばりのノイジーなギターワークが炸裂し、疾走感と共にギターポップにオルタナティブを持ち込み、怒濤のサウンドが全てを貫く第6曲「Ivy」という全く真逆な2曲がアルバムの中で同時に存在し、しかも統率されたアレンジで違和感を全く感じさせないのは、もう完全に伊藤君の天才的な職人肌のポップネスが成せる技なのだろう(それは現在の作曲家・アレンジャーとしての活動にも生かされている)。またどの楽曲も揺らぎと言う部分を非常に強く感じるし、それが前面に出たアンプラグド的なアレンジを施した「メロトロン」に表れており、伊藤君の中性的な歌声と見事に嵌る。
 そんなどの楽曲も屈指の完成度とポップネスを誇るアルバムだけど、その中でも屈指の名曲となっている第8曲「Pumping On The Radio」はsportsの中でも一番の王道ギターロックとしてのアプローチをしている楽曲でありながら、同時にやっぱり一筋縄じゃいかなさもあるし、美麗の旋律が楽曲を引率しながら、宇宙的浮遊感と高揚感が浮世を否定していく。そしてその先の世界を描く様な宇宙の果てを孤独に彷徨い、やがて考えるのを止めてしまいそうになる第9曲「Rhythm Drowner」の無慈悲さと、揺らぎの果ての世界もギターロックの残酷過ぎる魔法だ。



 sportsというバンドは間違いなくポップネスとギターロックの魔法を放つ言ってしまれば「選ばれた」バンドだったのだ。しかし05年の紀子嬢が体調不良で脱退し、サポートベースを迎えて活動を続けるも、07年に大石君が地元浜松に帰る事になりバンドは活動休止を余儀なくされ、2枚のアルバムと何枚かのミニアルバムとシングルを残し、混迷とした当時の時代と共にsportsは消え去ってしまった。しかしこのバンドは決してロッキン○オンがプッシュしなかったにしても(メンバー全員ルックスも良いし、正統派過ぎる位にギターロックバンドとして優れていて更にポップな要素もかなりあったのに何でプッシュされなかったか僕には理解に苦しむけど)、僕を始めとした多くの人にとってかけがえの無い魔法をかけたバンドだったし、僕はこのバンドの存在と彼等の最高傑作である今作の存在は絶対に当時の混迷の中で埋もれてはいけない作品だと思っている。国産ギターロックの金字塔だと断言する。




■- Noise Slaughter - vol.2(2014年5月18日)@新代田FEVER

 今回はFEVER企画のこのイベントに足を運ばせて頂きました。随分とポストロック色が強いイベントながらもその中にBBがいたりっていうのも中々面白いし、個人的には今回はTCOとBACTERIA目当てで足を運ばせて頂きました。しかしながらいざFEVERに到着すると見事に女の子のお客さんが多くて(しかも結構お洒落でモテそうな感じの子達)、僕みたいなムサイ野郎は勝手にアウェイ感を感じていたのはここだけの話。



・about tess

 一発目はツインギター・ツインベース・ツインドラムのインストバンドであるabout tess。その異形すぎる編成も先ずびっくりだし、今回初めてその存在を知ったバンドなんだけど、王道なインストポストロックをやるのかと思っていたが全然違った。確かにメロディなんかは非常にエヴァーグリーン感じ溢れるんだけど、単なる轟音ポストロックサウンドとはまた違って、轟音で突き抜ける瞬間が本当に多い。クリーンなパートも焦燥感溢れ、カオティックでテクニカルなフレーズが数多く存在し、とにかくロックバンド的な高揚感が常に音から溢れているし、とんでもない情報量を待っている。何よりも煌びやかな音の放列が光輝き、幾重にも差し込む轟音のシャワーであった。音源もちゃんと聴いた事すら無いバンドだったけど。これは中々良かった。


・THE CREATOR OF

 ここ最近のライブは本当に脂が乗りまくっていて、バンドとして本当に強いTCO。今回もインスト曲のみのセットだったけど、今回のライブでは坂本氏が6弦ベースから4弦ベースになっていたりと地味に大きな変化もあったりした。それもあってか今回のライブはベースの重低音部分がかなりバンドの中で色濃くでていたと思うし、グルーブとしての重さという部分を聴かせるライブだったと思う。勿論トリプルギターが複雑に絡み合って天へと上り詰める緊張感とドラマティックさは今回も健在だったし、サイケデリックさやうねりといった部分も今回のライブはかなり色濃く出ていたと思う。轟音パートでここぞとばかりに音塊として突き抜けるギターも、より強固になったリズム隊のグルーブも、毎回毎回ライブ毎に進化を続けるだけじゃなくて、新たな発見もあるバンドなんてそうそういないし、特に終盤の「Black Star」の緊張感溢れながらも、快楽に満ちたサウンドから、ここ最近ライブでは絶対に最後にプレイしている「Acoustic」のハナから音が混沌の坩堝と化し、混沌に混沌を重ねてトランスし、最後は爆音でビッグバンになる瞬間は圧巻過ぎた。6月7日にはカイモクジショウとの2マンライブを控えているし、そちらもどんなステージを見せるか非常に楽しみだ。


・BB

  DESSERT、 WRENCH、MINOR LEAGUEのメンバーが新たに結成したバンドであるBBでるが、今回のイベントの中ではかなり異色のヘビィネス全開なバンド。それぞれのメンバーのキャリアも凄いし、どんな音を繰り出すか非常に楽しみだったけど、それぞれのメンバーが参加しているどのバンドとも違う、ダークサイドに振り切ったヘビィハードコアサウンドがそこにあった。基本的にダウンテンポで進行するビート、一発一発が強いドラム、バキバキに歪みまくったベース、ダークな旋律を激重リフに全て叩き込んだ脳髄破壊のギターリフ、何よりも日本語詞で憎悪みてえなボーカルを叫び散らし、クリーンなパート?んな物ねえよ!!って言わんばかりに徹底してダークなヘビィネスを叩き出す。しかし単なるヘビィロックでは無く、長年戦い続けている猛者達によるあまりにも重くてダークなヘビィネスは場の空気を闇に変える力を持っていたし、全力で破壊に特化したサウンドは今回のイベントの中では確かに浮いていたのかもしれないけど、しかし全てをねじ伏せるだけの力は間違いなくあったし、とんでもなく極悪だ。早く音源の方もリリースして欲しい!



・BACTERIA

 今回観るのを楽しみにしていたバンドの一つであるBACTERIA。このハードコアミーツ轟音の破壊力抜群のサウンドを非常に楽しみにしていたが、ライブの序盤は骨太なリズム隊のグルーブは良いのに、いかんせんギターの音量が小さくて、折角の気持ちの良い轟音サウンドが少し弱くて、イマイチ破壊力に欠けていたのが正直だったんだけど、ライブ中盤からギターの音量も上がったら、一気にバンドのアンサンブルも凄まじい事になって、突き刺す轟音と肉体的なグルーブによるハードコアな轟音シューゲイジングサウンドが甘くありつつも、熾烈に繰り出され、もう最高に堪らない。後半は長尺の楽曲をプレイしていたけど、それはより深みにあるサウンドで、壮大なスケールをバンドのアンサンブルで見事に体現していたし、ほぼインストみたいな曲であったけど、ここぞと言う所で激情のシャウトをかまし、渦巻く轟音がFEVERを包み込み、神秘的奈空気を見事に生み出していた。恐らく6月にリリースされる新作の楽曲中心のセットだったのだろうけど、空間を支配する轟音とハードコア性の見事な融和は流石の一言だ。だからこそ最初から万全の状態でのライブを次は観たい。



・te'

 トリは残響レコードのオーナーがメンバーにいて、日本のインストポストロックを代表するバンドであるte'。正直に言うとこのバンドは1stだけ聴いた事があって、正直個人的にピンと来なかったんだけど、しかし今回初めてライブを観させて頂いたけど、僕の中でこのバンドに対する印象はかなり大きく変わった。とにかく全てがアグレッシブなのだ。恐らくはここ最近の曲をプレイしたいたんだろうけど、2本のギターもベースもドラムも圧倒的情報量で歪んだ音の塊を全身全霊で叩きつけてくるのだ。激しいアクションでステージングするメンバーもそうだけど、エモーショナルな旋律を前面に押し出し、それでいた複雑に展開しながら爆発を何度も何度も繰り返していくというスタイル。その音は浴びていて本当に気持ち良かったし、しかも2ビートを繰り出す曲もあり、焦らし無しで熾烈な音を繰り出すサウンドは単なるインストポストロックで終わらず、感情の爆発を音のみで見事に表現していた。卓越した技術とアンサンブルも凄かったし、自分の中で今回ライブを観てかなり良い意味で印象は変わった。



 そんな感じで簡単にではあるけど駆け足でレポさせて頂いたけど、今回色々とアウェイ感ありつつも、轟音からヘビィネスから混沌まで巻き込む良いイベントだったし、個人的にも新たな出会いや発見のあるイベントになりました。しかしFEVERは開店した時から通っていたりしたハコだけど、何度行っても良いハコだなあなんて思います。
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■DEAFHEAVEN Japan tour 2014(2014年5月16日)@渋谷eggman

 「重圧殺と激情と轟音の人間交差点」、きっとかの古舘伊知郎が今回のライブをあの独自の語彙とセンスのある言葉で表現するならきっとこんな感じなのだろうか。昨年リリースされた2ndアルバムである「Sunbather」にて世界中のメディアから大絶賛を浴び、すっかり人気のバンドとなったサンフランシスコの激情ポストブラックメタルバンドであるDeafheaven。leave them all behind 2012で初来日から約一年半振り二度目の来日だけど、前回と今回の来日ではこの日本でも大きく状況が違う。「Sunbather」はこの日本でも大きな賛辞を浴びると同時に、彼らのある種のサブカル感溢れたオサレなアートワークだったりとかそうゆう部分や、ブラックメタルとは思えないキラキラしたポジティブなサウンドは同時に大きな批判もあったし、色々な意味でこの日本でも注目のバンドになったと思う。しかし彼等のブラックメタラー以外にもガンガンアピールしまくるサウンドはやはり日本でも大きな人気を集めているのは事実だし、今回のツアーファイナルはEnvyのダイロク氏を中心に国内ハードコアの猛者三人が集結した激重スラッジであるStorm Of Void、もう言うまでも無い国内激情系ハードコア最高峰にして最強のバンドであるheaven in her arms、そしてDeafheavenという完璧過ぎる3マンツアー初日の東京公演(こちらは国内勢はisolateとCOHOLが出演、こっちも行きたかった…)、もド平日に関わらずかなりの集客があったらしいけど、今回のツアーファイナルはまさかのソールドアウトという記録を樹立。本当に今回のDeafheaven来日ツアーは大きな事件となったのだ。



・Storm Of Void

 スタート予定時刻である19時ほぼジャストに客電が落ちて、先ずはSOVのライブからスタート。3月に初めてライブを観て、3ピースから生み出される激重スラッジサウンドに悶殺されてしまったのだけど、その時よりも今回は更にバンドのグルーブは凄い事になっていた。至ってシンプルな白熱電球の薄暗い照明とスモークのみのステージングの中でひたすらストイックに繰り出されるスラッジサウンドは、このバンドが国内ハードコアの猛者三人によるバンドだというのもあるけど、本当にスラッジの気持ちの良いグルーブが凄い。ジョージ氏の8弦ギターによる激重リフの反復と応酬。トム氏とダイロク氏のプログレッシブさと重さを同時に持ち、複雑極まりないのに、ビートとグルーブの快楽をお見舞いするリズム隊、とにかく常に攻めに攻めまくるサウンドは聴き手に興奮と恐怖しか与えないし、重低音の煉獄からジョージ氏がここぞとばかりにストーナーでサイケデリックなソロをお見舞いして、鼓膜を蹂躙し、基本的にダウンテンポのビートで脳髄を破壊しに来ながら、時にBPMを一気に加速させ、混沌を生み出すアンサンブル。リフ主体なのに随所随所にカオティックなフレーズも盛り込み、変則的に展開しながら一貫してドス黒いグルーブを放ち、そして殺す。ライブ自体は全4曲30分程度だったけど、グルーブとプログレッシブさを徹底的に追求して、黒煙のスラッジ煉獄でストラックアウトよろしく、激重スラッジの2枚抜きの連続でパーフェクト達成!!MCも全く無しの非常にストイックなライブだったけど、その最高の快楽を生み出すスラッジサウンドと何度もジョージ氏が高らかに掲げていたメロイックサインが全てを物語っていた。

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・heaven in her arms

 次は今回の来日ツアーに同行していたHIHA。前回のBorisとCOHOlとの3マンの時もこのバンドはどこまで進化を続けるんだという凄まじいライブだったけど、この日のアクトも更なる進化を感じさせ、国内激情系最高峰の貫禄しか無いライブだったと思う。少し長めの転換が終わって、SEと共にメンバーが登場したら会場は大きな歓声で包まれる。そして始まった。先ず一曲目はもうライブじゃ定番な「縫合不全」から。あのメランコリックさと陰鬱さが織り交ざったアルペジオが響く瞬間にこの世界は完全にHIHAの物となってしまう。まるで豪雨の中で悲しみに暮れながら、それでも何かを待ち続けている様な、そんなメランコリックさが溢れる美戦慄の流れから、ドラマティックにディストーションサウンドへと変貌し、そしてありったけの激情を叩きつける。毎回ライブを観る度に思うのだけど、
 HIHAというバンドは本当に圧倒的な美的センスとドラマティックさを持っているけど、同時に剥き出しなのだ。だからどんなに楽曲の完成度が高くても、どんなにバンドとしてのライブの完成度が高くても、彼等5人は常に剥き出しで俺達とぶつかってくる。それは続く「声明」から「痣で埋まる」というドス黒い音塊が濃密過ぎる程の濃密さでシューゲイジングするトリプルギターとうねりまくるベースと熾烈過ぎるドラムと共に痛々しく駆け巡る瞬間にどんなに興奮で馬鹿になってしまっているライブを観ている時の俺でも痛感するし、「痣で埋まる」が始まる瞬間に弦楽器隊全員がステージ前に出て俺達を煽り、そして混沌と狂騒のカタストロフィーを生み出す。そこにはもう本当の激情しか無くて、シリアスな痛みと言う痛みを神々しく生み出してしまうHIHAというバンドにしか生み出せない世界があるし、俺は神を信じる事は出来なくてもHIHAは信じる事が出来る。そう断言する。
 そして「幻月」からの「反響した冷たい手首」~「ハルシオン」~「螺旋形而蝶」の流れは何度ライブで観てもこの世の物とは思えない美しさしかない。「反響した冷たい手首」の反復するアルペジオとドローンと化したベースが生み出す奈落の底に吸い込まれる様な、まるでこの世のありとあらゆる絶望が全て脳内で起きて、境界性人格障害的な被害妄想じみた闇に飲まれる感覚。そこから「ハルシオン」~「螺旋形而蝶」の流れは神々しい闇と光の交錯を音で生み出し、ポストメタル化したサウンドでありながら、独自の情緒もあり、そして微かな光が俺達を救済する。もうこれも何度も言っているけど、HIHAというバンドは一つの神話であるし、そんな神話のストーリーテラーなんだと思う。そしてラストは現時点のHIHAの最強の一曲とも言うべき「終焉の眩しさ」。HIHAの武器である怒涛の濁流、痛々しさ、ドラマティックさ、トリプルギターの黒き轟音、怒涛の勢いで急降下するブラストビート、そして終焉の眩しさの向こう側にある微かな光、それが最後の最後にクライマックス過ぎる程に放たれ、そして微かな救いと共に終わる。もう何かレポにもなってねえし、自分で自分が言ってる事が最強に気持ち悪いのは自覚してるけど、本当にHIHAのライブは凄いし、このバンドは他には生み出せなかった激情を完全に生み出している。もうずっと追いかけ続けていくし、ずっと大好きなバンドなんだと思うわ。

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・Deafheaven

 そして本日の主役のDeafheaven!!HIHAのライブで燃え尽きて喫煙所で放心してたせいで、Deafheavenは残念ながら前に行けないで結ど、それでもメンバーが登場した瞬間にフロアはこの日一番の歓声で包まれる。しかしこう後ろの方でステージ全体を見るとメンバーのルックスが見事にバラバラなのも彼等らしいし、特にギタリストのみんな大好きキモヲタ系なケリー君、手に黒いグローブをしてて、凄い背が高くて、妙な気持ち悪さを持つジョージ君は特に目立つ。そして始まった。先ずは2ndの1曲目を飾る「Dream House」からキックオフだったけど、イントロのトレモロリフの洪水から凄まじいブラストビートの嵐へと雪崩れ込んだ瞬間に今回のライブのDeafheavenの完全勝利を確信!!というか2012年のLTABで観た時と全然違うバンドになっていた。上手く言葉で言い表せないけど、もう有無を言わせない説得力があったし、もし今回のDeafheavenのライブをかの古舘伊知郎が観ていたら、あの自己陶酔に満ちたやたら格好良い感じの実況すら出来ずに「ほげえええええええええええええ!!!!!!!!!!1イングゥウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!ンギモヂィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!1私の鼓膜がショットガンタッチいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!」って感じでザーメン撒き散らしながらアヘ顔だったと思う。その位にDehevenの音は完璧だった。一年半前と全然違って、バンド自体が本当に強くなったのが全てなんだろうけど、ツインギターの轟音トレモロと、全速力で爆走するビートの人間交差点。そして1stの頃からあったメランコリック過ぎる泣きに泣きまくった青臭さ、ドラマティックさ、彼らの曲の良さにバンドの演奏が完全に追いついていたし、熾烈な音で爆音なのに、でもこう心に突き刺さりながらも、キラキラした光のヴェールがエッグマンに発生しているかの様な状態だったと思う。
 今回のセットは2ndである「Sunbather」をほぼ再現する形でのセットだったけど、合間合間の小品なインストを除くと、彼らの曲はどれも長尺であるにも関わらず、ライブ中に全くダレなかったし、表題曲「Sunbather」のあざとい位にメランコリックなメロディを生かした轟音ギターからもうアヘ顔キメるしか無かったし、何よりも後ろでじっくり観ていたからステージ全体が良く見えたけど、フロントマンのジョージ君のアクションは一々気持ち悪い(最大の賛辞)。何か妙にV系臭い感じのポーズをやたら織り交ぜて、高いタッパを生かしたステージングは最高にキモくて格好良かったし、アクション自体はそこまで多くないにしても、一々動きがキモ格好良い。そんな部分も含めてDeafheavenは一つのスター性を感じるバンドになったと思うし、勿論動を最大限にブチかましながらも、静謐でクリーンなパートはしっくり聴かせて、焦らしに焦らして爆発する激情サウンドは最高に痺れるし、これはもうポストブラック云々なんて本気でどうでも良いし、激情として最高に格好良くて熱いと俺は思うけど、それすら本当はどうでも良くて、あらゆる音楽好きを巻き込むだけの多様性と力量をバンドが持ち、そして一貫して煌きの激情を放つからもう観てて燃え上がるしかなかった!!
 メランコリック大曲「Vertigo」なんてバンドの美意識が本当に咲き乱れ、しっとりとした湿り気を完全にライブで再現し、あぞとく泣きに泣きまくる音の洪水にやられそうになったけど、そこから熾烈なるブラック色を前面に出した音の連続へと雪崩れ込み、もうエッグマンの客は全員Deafheaven様万歳三唱!!!!!そして本編ラストであり、僕が2ndで一番大好きなDeafheavenによる最強の激情系ハードコアこと「The Pecan Tree」は凄すぎた!!もうクライマックスというクライマックスをフルスロットルで駆け抜け、そして見果てぬピリオドの向こう側へとOne Night Carnivalしちまっている轟音カタストロフィーにもう死んだ。完全に死んだ。
 本編が終了し、フロアはまだまだ熱気冷めぬまま歓声とアンコールの手拍子、そして再びメンバーが登場して披露したのは1stの名曲「Unrequited」。印象的な静謐で少しドロっとしたアルペジオとトレモロの対比の美しさに引き込まれてしまい、熾烈さだけじゃなく、繊細な美しさもこのバンドは格段に進化していた事を改めて実感させられたと同時に、でもやっぱり轟音の渦巻くサウンドになると絶頂するしか無くなったし、初来日の時にもやっていたこの曲がバンドの桁違いの進化を見事に証明していたし、もう眩い光を音で表現していた。それがもう最高に気持ち良かったし、約一時間に渡る激情の轟音の天国は正に「heaven」だったよ!!

セットリスト

1.Dream House
2.Sunbather
3.Vertigo
4.The Pecan Tree

en.Unrequited

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 ライブを観ていた時はあまりの気持ちの良さに気づかなかったけど、ライブの全プログラムが終わって外に出て暫くしたらしっかり耳鳴りがして、今日は見事に全バンド爆音だったんだなあって小学生並みの感想を抱いたけど、しかしこの日のライブは本当に全てが快楽だったし、三者三様の音の世界がとんでもない画素数の音で生み出されていたと思う。何よりも今回のdeafheaven来日ツアーファイナルは金曜とはいえ平日であるにも関わらずエッグマンという決して小さくないハコをソールドアウトしたという事件だったと思う。Alcestの四月の来日の集客の凄さも事件だったけど、それに続く形でDeafheavenもこの日本で本当に大きな人気と注目を手に入れてるのを改めて実感したし、彼等のライブはそれを完全に証明する実力しか無かった。そしてそれに全然負けないライブをしていた国内勢のSOVとHIHAも凄いライブをしていたし、本当に多くの人々の記憶に残る最高のツアーファイナルになったと思う。何よりも各バンドのスラッジだとかポストブラックだとか激情だとか、そんなカテゴライズなんて凄いライブやってまえば関係無いんじゃと言わんばかりの説得力にはもう敬意しか無いし、そんな物は必要無い。目の前で繰り広げられていたライブが最高に凄かった。もうこの夜を総括する言葉はそれで十分だ。
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■今日も生きたね/THE NOVEMBERS


今日も生きたね今日も生きたね
(2014/05/14)
THE NOVEMBERS

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 日本のギターロック最高峰の一つであるノベンバの自主レーベルMERZ設立第2段となる今作は、特殊な形態でこれまで販売されていたMERZ設立第1段音源である4thアルバム「zeitgeist」の全国流通と共にリリースされる2曲入シングルであり、ノベンバ自身にとって渾身の2曲が収録された作品だ。また今作は一つのパッケージに同内容のディスクが2枚おさめられた「シェアCD」仕様となっており、シェア用ディスクにも歌詞カードと紙ジャケットが封入され、盤面には宛名と贈り主を記入する事が出来るという付加価値ありの作品であり、今作を購入した人はノベンバの音を友人などにアナログな形でプレゼント出来る。こうした付加価値はバンドの一つの拘りを感じるスペシャルさがあって非常に素敵だ。



 今作に収録されている2曲はバンド自身にとってかなり特別な2曲だ。表題曲である「今日も生きたね」は「zeitgeist」以降、フロントマンの小林氏曰く「自分なりのアンセム」というテーマに製作した楽曲となっている。そしてもう一曲の「ブルックリン最終出口」はノベンバ活動初期から存在する楽曲であり、ライブではずっと演奏されていた楽曲。ノベンバの最新の一曲と、これまで未音源化だった、最初期の楽曲の2曲を収録したというのはバンドにとっては一つの覚悟だっただろうし、小林氏の今作のリリースに寄せたコメントによると、「ブルックリン最終出口」は“架空の執着”と“現実への依存”の歌であり、「今日も生きたね」は「ブルックリン最終出口」で描かれている残酷性への執着や悲惨な世界への諦観を別の視点で歌った楽曲であるらしく、ノベンバが昔から持っていた、現実への絶望と終着、悲惨な世界への嘆き、依存や愛、そういったテーマを繋ぐ2曲なのだろう。だからこそ今回シングルという形でのリリースとなったと僕は思っている。
 「今日も生きたね」はノベンバにとって現在最新の1曲となっているのだけど、ノベンバ史上最も音楽的多様性と豊かさを持つ最高傑作「zeitgeist」以降の楽曲とは思えない程に「今日も生きたね」は削ぎ落としに削ぎ落とされたシンプル極まりない楽曲であるし、アンセムを意識して作られた楽曲にしてはまるで、花どころか葉すらも枯れ落ちてしまっている、だけどそこにずっと存在する大木の様な楽曲だと僕は思った。7分半にも及ぶ楽曲でありながら、楽曲の構成も進行もかなり淡々としているし、リズムも緩やかなまま進行し、ギターフレーズも最小限のシンプルな音のみ、コード進行もシンプルで空白まみれ、展開も最小限。極限の極限まで音を削ぎ落とし、しかしほんのシンプルなメロディのみで進行しながらも、そのメロディは柔らかで優しくあるし、ここ最近の楽曲と違って完全に歌物を意識している事もあってか、小林氏の歌が非常に前面に出ている。言ってしまえばバラッドなんだけど、それにしてはここまでドラマティックさを放棄したバラッドなんて中々無いし、この曲を聴いて感じるのは本当に体温の温度なのだ。何かに怒る訳でも、嘆く訳でもない、残酷な世界に対する一つの諦念を歌っているんだけど、でも小林氏は最後にそんな穢れた世界を祝福する様なフレーズを歌うし、日々を生きる人々に対する賛美歌という意味ではこの曲は間違いなくアンセムだし、絶望の先の生をただ受け入れているからこその歌だし、終盤の賛美歌みたいなコーラスだったりとかも含めて、ノベンバが最小限の音で描きたかった世界だと思う。方法論こそ違うけど、ノベンバ自身が大きく影響を受けたSyrup16gのバラッドもそうだけど、派手な装飾を拒み、シンプルで優しく美しいメロディと歌のみで紡がれる楽曲は正に渾身の一曲だろう。
 一方で最初期の楽曲である「ブルックリン最終出口」も歌物ギターロックな曲になっているが、「今日も生きたね」とは違ってシンプルながらももっとバンドサウンドが出た曲となっている。こちらもクリーントーンで淡々と進行する楽曲であり、「今日も生きたね」よりは展開等は少し明確になっているけど、それでも余計な装飾を拒み、シンプルな展開の曲。初期ノベンバにあった、カッティングを生かしたギターワークだったり、空間系エフェクターにより、美しく歪んだ音色や、メロディを奏でるベースラインといった要素もある。しかしこの曲で歌われているのは、美しい物が犯される絶望であり、自分自身が人間であるという事に関する嫌悪だ。レイプだとかディストピアといったテーマはノベンバの中ではかなり前から一貫して歌っていた事だし、そういった映画に影響を受けた小林氏の世界観がこれまでのノベンバのどの楽曲よりも色濃く出ている。しかし
「今日も生きたね」と「ブルックリン最終出口」は間違いなく繋がっている双子の様な曲であると僕は思うし、この2曲は他の楽曲と共に音源に収録される事を拒んだからこそ今回のシングルリリースになったと僕は勝手に思っている。



 「zeitgeist」リリース後に、この2曲をシングルとしてリリースしたという事実は間違いなくノベンバにとって一つの節目であると思うし、「zeitgeist」とは一転して、完全にシンプルな歌物のバラッド2曲をここで発表したのは覚悟の証だ。初期ノベンバは特にメロディアスな普遍性を持つバンドだったけど、今のノベンバがそういった普遍性を持つ楽曲をリリースした事によって、改めて進化を感じたし、バンドのこれまでとこれからが一つの線で確かに繋がったと思う。派手さが全く無い2曲ではあるが、この2曲は間違いなくノベンバにとって屈指の名曲だ。そしてこの先のノベンバがどうなっていくのかを僕は見たいと心から思うのである。



■極東最前線/巡業〜ジャガイモ機関車ひた走る〜(2014年5月10日)@渋谷CLUB QUATTRO

 日本のエモ(吉野氏はイースタンをエモと言われるのを嫌うけど)の最重要バンドであり、25年以上に渡って現役で最前線で闘い続けるイースタンの20年に渡って何度も開催されてきた自主企画である極東最前線。今回はゲストに昨年完全復活を果たした日本のポストロックの先駆者であるdownyを迎えるという全くベクトルの違う2バンドによる2マン(吉野氏はこの日のMCで音がうるさいのは共通してると言ってたけど)、全く畑が違う二者だけど、共に時代を切り開いた先駆者であり功労者であるという点は共通しているし、このもう二度とねえだろという2マンライブ、僕個人の話にはなるけどイースタンとdownyという思春期に聴きまくり今でも敬愛するバンドがぶつかり合うという事実はもう必然的にブチ上がるしか無いし、今回足を運ばせて頂いた。オープンが17時と早い時間だったから僕がクアトロに着いた時には客足はそんなに多くなかったけど、downyが始まる頃にはクアトロはほぼ満員。全く違う両者だが、この事件的な2マンライブを誰もが楽しみにしていたのだ。



・downy

 スタート予定から5分程押して本日のゲストであるdownyのライブからスタート。昨年の復活ライブとなったWWWのワンマンでも先駆者としての圧倒的ステージを魅せてくれた彼等のライブをまた観れるという事実に高まるしかないし、一曲目はもうdownyのキラーチューンとして御馴染みの「酩酊フリーク」バックに映し出されるVJと共に不穏な轟音と攻撃性が炸裂、正に無類一閃なギターリフでのっかからクアトロの人間を辻斬りで斬捨て御免。続く「弌」も変拍子を駆使し、絶対零度さと、その奥底の不穏な熱量を発揮し、更に轟音の精神的混沌を描く「葵」とdownyの代表曲であり攻撃性の際立つ3曲をのけっから繰り出していく。W青木の轟音でありながら安易な轟音じゃない、メロディアスでありながらも、切り刻まれた断罪感覚を放つツインギター、仲俣&秋山の変拍子を機械的に叩きながらも、同時に緊張感溢れる躍動をドラムとうねるベースで生み出すグルーブもやっぱりdownyならではだ。
 しかしここまではまだまだ準備運動だった。「時雨前」と「黒」という新作の楽曲から一気にバンドの空気と言うかグルーブが一変した。downyの中でも特に歌物な感覚が強い楽曲でありながら、アンサンブルにとんでもない緊張感と切迫感が加わり、リズム隊のグルーブに脂が乗りまくり、ギアをフルにし、そのアンサンブルだけじゃなく青木ロビンの歌にも切迫する感覚が加わり、観ていて心臓をピアノ線で締め付けられる感覚を覚えてしまったし、新作の中でも更に歌物なシンセを導入した「春と修羅」はdownyの方法論から郷愁を生み出す名曲だけど、楽曲のメロディの良さや緩やかさよりも、何かに追い詰められていく感覚が充満し、それがバンドのアンサンブルに更なる完成度を加えながら、ライブだからこその緊迫を生み出していた。
 そんな状態でdowny屈指の名曲である「左の種」を繰り出して来やがったからもう死ぬしかないじゃん!!ざらつきと心を掻き毟るギターの旋律、中盤の青木ロビンの叫びから一旦完全に音が鳴り止む瞬間の無音の緊張感、そして最後の最後の「低空飛行」と痛々しく叫ぶ青木ロビンと共にバンドの演奏はとんでもない熱量を生み出していたし、それがもう最高にエモーショナル過ぎて震えた。再び新作の楽曲である「曦ヲ見ヨ!」で人力ドラムンベースと変則的でありながら統率された混沌を燃え上がりそうで燃え上がらない焦らしと共に放ち、そして青木ロビンが簡単なMCをし、イースタンにリスペクトの言葉を述べ、最後はいつもライブを締めくくる最初期の名曲「猿の手柄」、ドラマティックで静謐な美しさを漂わせて、最後はドラマティックにビッグバンを起こし、青木裕のノイズギターソロで完全に昇天!!クアトロを覆いつくすノイズギターの残響の中で立ち尽くしたたままになってしまった。今回はイースタンとの2マンという事も意識してかdownyの中でも攻撃性やエモーショナル成分が強い楽曲が並ぶ攻めのセットだったけど、とにかく緊張感と切迫感が凄かったし、ライブ自体は45分位だったけど、本当に濃密過ぎるライブで、WWWのワンマンの時よりもバンドが更に良い状態にあるのを実感。完全復活を果たしただけじゃなくて、バンドとして進化をまだまだ続けるdowny、本当に凄い!!

セットリスト

1.酩酊フリーク
2.弌
3.葵
4.時雨前
5.黒
6.春と修羅
7.左の種
8.曦ヲ見ヨ!
9.猿の手柄



・eastern youth

 そして本日の主役のイースタン。イースタンはもう11年位大好きなバンドで、自分の中で本当に大きな存在なんだけど、ライブを観るのは本当に久しぶりで、久々にイースタンのライブを観るという事に期待しか無かったのだけども、本当に新旧満遍なく名曲を繰り出すセットに燃えるしか無かったし、最初から最後まで熱き熱情しかないライブだった。メンバーの三人が登場し、吉野氏のヤマハのSGが放つあの独自のディストーションサウンドを持つギターの一音が鳴った瞬間に完全にイースタンの熱情激情が幕開け。「街はふるさと」の吉野氏が掻き毟るギターが鳴り響く瞬間にもう胸が締め付けられたし、右手は強く握り締めていた。二宮氏のフレットレスベースによる独自の揺らぎを持ち、明確な音階を体感させないのに、グルーブ楽器としてのベースとして完璧過ぎるベースはもう最高の一言だし、田森氏の決して音数こそ多くないけど、繊細さとダイナミックさを兼ね備えたドラム、吉野氏の熱情しかないギターと歌、たった3人で繰り出す四重奏、それだけでイースタンは魂を燃やし尽くす音楽を生み出すし、もう最初から凄い目頭が熱くするしか無いんだよ!!「野良犬、走る」のメランコリックさも泣きしかないし、吉野氏がまた泣きそうなあの顔で歌いギターを弾くからまた胸が熱くなる。そしてMCでも吉野節は全開、言い方は悪いけど、吉野氏のMCは本当に赤羽とか阿佐ヶ谷の立ち飲み屋で管を巻いてるオッサンのそれだし、「俺は酒のプロだから、作る方じゃ無くて飲む方ね。」とか言って笑いを起こしていたりもしてたけど、そんなMCも心を熱くするし、downyへのリスペクトを述べ地獄は褒め言葉とか言って、でも日常が地獄だと言ってからの「それがどうしたって言うんだ。」って言葉からの「ドッコイ生キテル街ノ中」は余計に心を掻き毟りまくったし、本当にボロボロでも前向いて歩くしかねえだろおい!!ってケツをぶっ叩かれたし、イースタンの泥まみれになりながらも必死で生きる俺達への熱い応援歌だ。「目眩の街」、「砂を掴んで立ち上がれ」のイースタンの中でも新しい楽曲でも、どんなに年を取っても消え去らない感情が音と歌に篭りまくっていたし、イースタンは感情の表現として最強のバンドである事を実感。そして不朽の名曲「夜の追憶」をプレイ!!痛みを持ち、苦し紛れかもしれないけど、それでも前を向く力強さがあったし、この曲が収録されている「雲射抜ケ声」がリリースされてから実に15年が経過しているけど、それでも絶対に朽ちない強さがあるし、それはずっと走り続けてきた今のイースタンがライブでやるからこそ大きな意味と説得力があった。「スローモーション」も大分昔の曲にも関わらず本当に色褪せない良さしか無かったし、「Don quijote」で会場全員が「Don quijote!!」と高らかに叫んだ瞬間は本当に美しい光景だったよ。そして吉野氏の「人種が何だ国籍が何だ!!」とレイシズムに対する怒りを唱えるMCから「俺達は人間だ、36℃だ!!」と言い放ち「沸点36℃」を演奏した時はもう泣いた。何回も同じ事しか言ってないかもしれねえけど、イースタンの曲やライブって本当に感情の決壊しか無いし、これを安易にエモで定義するのもおかしい話だ。自称エモの感情や激情の無いバンドが永遠に到達できない、どうしようもねえ糞野郎達の心のアンセムをイースタンはずっと一貫して歌って来たし、だからこそイースタンのライブは本当に生々しくどうしようもねえ糞野郎にとって救いでもあるし、生きるという事と自分自身と向き合うしかないし、だから俺はイースタンのライブの時にずっと拳を握り締めてたし、何度も拳を突き上げたよ。「荒野に針路を取れ」はそんな痛みや敗者だと言われても、まだ負けてなんかいねえぞ!!俺は生きてるぞ!!今に見ていろ!!っていう糞野郎の這い上がり立ち上がり、歩いて行き、そして戦っていくんだっていう最強の決意表明だし、もう何か色々グチャグチャになりながらも僕はイースタンと向き合っていた。そして本編ラストは吉野氏の「夏は好きですね、外で飲むの美味いし、結局酒なんすよ俺。じゃあ酒が飲める音頭を。」というMCからイースタンの最強の代表曲である「夏の日の午後」!!!!!!会場は多くの「Oi!」コールで埋まり、イースタンの最強の代表曲でクアトロを完全に焼き尽くした!!
 そして勿論多くのアンコールの手拍子が起こりアンコールへ。二宮氏のMCのコーナーで骨折していた足のギブスが取れた報告とギブスが思ったより臭くなかったとかいう話から、これをやるとは思ってなかった!「ズッコケ問答」で本編とはまた良い意味で空気を変える。そしてまたしても必殺の名曲「いずこへ」でアンコールも完全燃焼!だと思っていたが、客電が点いてBGMが流れても誰もその場を動かないし、巻き起こるアンコールの手拍子。そして恐らく予定に無かっただろう二回目のアンコールは「サンセットマン」という意外な選曲。渋い!!こうして熱狂のアンコールもあり、約一時間半の熱情劇場は幕を閉じた。

セットリスト

1.街はふるさと
2.野良犬、走る
3.ドッコイ生キテル街ノ中
4.目眩の街
5.砂を掴んで立ち上がれ
6.夜の追憶
7.スローモーション
8.Don Quijote
9.沸点36℃
10.荒野に針路を取れ
11.夏の日の午後

en1.ズッコケ問答
en2.いずこへ

en3.サンセットマン



 個人的に本当に久々のイースタンのライブだったし(実に5年以上振りかもしれない)、極東最前線に行くのは初めてだったけど、ずっと昔から敬愛する2バンドの2マンは本当に夢の時間だったし、downyの切迫した異次元の音に殺され、イースタンの熱情に完全燃焼してしまった。毎回極東最前線の対バンは最高のバンドばかりだけど、こう畑やジャンルを越えて、本当に猛者だけを呼び、ガチンコでぶつかり合うこのイベントは良さしかないに決まっているし、次回の開催も早くもアナウンスされている。にしても本当にイースタンのライブに心を打たれたよ。渋谷が熱情の燃えた夜だった。
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■Hardcore Emotion/Naiad


Hardcore EmotionHardcore Emotion
(2003/07/29)
Naiad

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 正にそのアルバム名通りの音だ。06年に解散してしまっているが、未だに大きなリスペクトを浴び、多くのバンドに影響を与えまくった京都の激情ニュースクールハードコアバンドであるNaiadの03年にGOOD LIFEからリリースされた1st EP。全5曲というコンパクトな収録内容でありながら、本当に感動的でエモーショナルな作品であり、日本のニュースクールは勿論、激情系ハードコアの面で見ても歴史的名盤であり、今後も語り継がれていく名盤だ。



 Naiadははっきり言って単なるニュースクールハードコアバンドでは無い、激情やポストロック的なアプローチを盛り込んでいる云々の話でも無い、このバンドは屈指のメロディセンスを持ち、そして全ての音が胸を焼き尽くすエモその物でしかないし、エモーショナルなハードコアとしてこれ以上に無い位に完璧なのだ。感情を掻き毟るメロディとズクズク刻まれるギターと力強いビートと熱いボーカルとシンガロング、タフネス溢れる音でありながら同時に繊細な泣きもあり、手法こそ今となっては目新しさこそ無いのかもしれないけど、ニュースクールとしても激情としてもエモとしても、ここまで完璧なバンドは正直言って他にいないとすら思ってしまう。
 第1曲「Sensuous Tone」こそ轟音系ポストロック的エヴァーグリーンさと清流の旋律から始まり、その音が熱を高めて明確な輪郭を持ち、メタリックでありながらこれ以上無い位に泣きまくったメロディを持つリフと高らかな雄たけび、ドラマティック過ぎる最高のオープニングから今作は幕を開くが、第2曲「Believing Dreams」がもう完璧過ぎる名曲なのだ!!6分間の中で繰り出されるドラマ、ヘビィでメタリックなリフと叙情で歪んだアルペジオの対比がもう胸を熱くしまくりだし、全身全霊な雄たけびを繰り出しまくるボーカルと拳を突き上げるしか無くなる激熱シンガロング、一々ブレイクやキメも最高に格好良いし、何よりもタフネス全開のサウンドな筈なのに、随所随所のクリーンなパートの落とし方の美味さだったりとか、そもそも純粋な楽曲の良さ、手法こそ他のバンドも取り入れている方法でもあるのに、このバンドのドラマティックなエモティブさは本当に何なんだろうか。ここぞと爆発する瞬間の爆発力が本当に凄いし、ニュースクールハードコアでありながら激情とポストロックのハイブリットであるし、それらの要素の一番濃い部分だけで作られた音は必殺。ドラマティック過ぎる楽曲展開もそうだけど、常にフルスロットルでクライマックスが訪れる感覚になるのだ。何よりも本当に泣ける。
 クリアなアンビエントな音色のみの小品である第3曲「Waves Of Influence Strike With」を挟んでの第4曲「Song Of Nature」も屈指の名曲のけっから激情のクライマックスを放ち、疾走感溢れるサウンドと共に彼方へと突き進み、徹底してドラマティックであり、何よりもポジティブなエネルギーに満ち溢れ、激情と共に光の彼方へと拳を突き上げる熱さ、それこそがNaiadの最大の魅力だし、最終曲「Hopeful Progress」ではポストロック成分が他の曲より少し多めだが、そんな静謐さからラスト1分の激情と激動のラストはとんでもないカタルシスだ!!



 解散して随分経つし、僕がNaiadを知ったのは解散後ではあるけど、本当に今の激情系や叙情派のハードコアバンドに与えた影響は数知れないだろう。これは時代を超えて語り継がれる名盤だし、本物の激情を鳴らすハードコアバンドとしてNaiadは最強過ぎるのだ!!



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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