■2015年04月

■Bullshit Propaganda #8(2015年4月25日)@阿佐ヶ谷Studio Zot

 今年頭に18年にも及ぶ長いキャリアを持ちながらやっと待望の1stフルアルバムをリリースした国産ブラッケンドパワーヴァイオレンスの猛者Su19b。そんなSu19bの企画となった今回のスタジオライブは94th6とUmberliteとSithterという容赦無き4者の暗黒の祭典だった!!
 とまあここで一つ懺悔しなければいけない事があるのですけど、当日中央線で阿佐ヶ谷に向かっていたのですけど、電車内で寝過ごしてしまって、起きたら立川だったという失態をやらかしまして、Zotに到着したのは94th6の出番終了直後で、94th6のライブを完全に見逃してしまいました…ライブを観るのを心から楽しみにしていたし、自分の失態を悔やむばかりなのだですが、よって今回は2バンド目のUmberliteからの3バンドのレポになります…



・Umberlite

 若手激情系のホープAstheniaのVoのHiroshi氏と、超ショートカットブラックメタルYvonxheのサポートギターTatsuki氏が在籍する今年に入って各所で話題を集めまくりなブラッケンドハードコアバンドであり、一回その実態を自分の目で確かめたかったのだけど、こりゃ各所で絶賛されまくるわって納得のライブだった。ブラッケンドハードコアらしさもかなりあるけど、そこに国内激情系のエッセンスを持ち込みまくっているし、トレモロリフの寒々しさはブラックメタルのそれであるけど、そのメロディは激情系らしさが溢れ、ハードコアエッセンスはかなり濃厚。実際楽曲の方向性も非常に多彩なバンドであるし、デプレッシブなダークさに溢れる楽曲から、ブラッケンド要素はアクセント程度でもっと直情的なハードコアな曲もあり。弦楽器隊が情報過多に多くの音を放出しながら、獰猛に突っ走るビートと見事な奈落感を生み出し、Hiroshi氏の絶唱がよりダークに木霊する。既存のブラッケンドハードコアとも違い、既存の激情系とも違うUmberliteは間違いなく新たなるハードコアバンドであり、新たな時代がまた始まろうとしているのである。そんな新時代の旗手、今の内に是非ともライブを観るべきだろう。



・Sithter

 東高円寺代表暗黒スラッジSithterだけど、サウンドチェックの時点で爆音過ぎて思わず笑ってしまったけど、いざライブ始まるとスタジオ全体が比喩でもなんでもなく本当に爆音過ぎる重低音で振動しまくっていた。前身バンド時代からのホラーな世界観はそのままにEyeHateGod直径のスラッジサウンドの酩酊感は重いだけじゃなくて、本当に煙たくてトランス出来る。スタジオライブって環境もそうだけど、歪みまくって音が最早割れてしまっているギターとベースもSithterだと尚更恰好良く聞こえてしまうから本気でずるい!劣悪さから最高に下劣で格好良い音を生み出しているし、恐怖の重低音に身も心も震えるしか無かったけど、最後のTakanoさんがドラムセットに倒れ込んでビールを飲んでいた姿は本気で格好良さしか無かった!!ライブ自体は結構久々に観たんだけど、相変わらず地獄の悪霊を呼び寄せるサウンドだったし、正に阿佐ヶ谷 IS DEADなライブだった!!



・Su19b

 そしてトリは主催のSu19bだけど、このバンドは本気でパワーヴァイオレンスを超えた暗黒を常に生み出している。既存のパワーヴァイオレンスの方法論から逸脱した1stアルバムはとんでもなく高い評価を各所で集めているけど、このバンドはパワーヴァイオレンスからブラッケンドへとリンクし、地獄の中の地獄を生み出すまでに至った訳だけど、実際に1stを聴いてからSu19bのライブを観ると本当に凄いバンドだって改めて思った。音源の空気感や音を完全に再現している点も素晴らしいし、息が完全に合った演奏はやはり長年バンドを続けてきた猛者だからこそ出せる物だろう。時間が押していたらしくて曲を削ったのかもしれないせいかライブの時間自体は短めだったのは唯一残念ではあったけど、しかし決して長くない演奏時間でも濃密過ぎるドス黒い音に悶絶。激遅暗黒パートから一気に激速パートに移行する瞬間は、遅い音に悶絶しまくった末のご褒美って感じで僕はアドレナリン出まくっていたし、何よりもスタジオライブだろうがなんだろうが音が兎に角重くて最高でしかない!!



 実際に観れたのは3バンドであったけど、本当に異次元の体験をさせて貰ったし、スタジオライブって環境だからこそ極悪な音をより間近で体感出来た。Su19b、Sithter、Umberliteと本当に素晴らしかったが、矢張り楽しみだった94th6を見逃してしまった後悔は今後の反省にします。しかしながら阿佐ヶ谷は完全に死の街と化してしまったのだ!!
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■Nubes que anuncian tormenta/Khmer

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 プレス分を完売し多くの人々の賞賛を浴びた3LA第一弾リリースであるAfter ForeverとKhmerのスプリットの衝撃も凄かったが、今回Khmerの単独リリースとなった今作は更に上を行く作品となった。今作は3LA、HALO OF FLIES、TUPATUTUPA、KTC DOMESTIC、NOOIRAX、IN MY HEART EMPIREとの共同リリースの作品であり、A面には新曲5曲、B面には入手困難となっていた2012年のデモ音源5曲を収録。純粋な新作であるけど、過去のデモもコンパイルした半編集盤的内容となっている。レコードの盤はカラーヴァイナルでインサートのアートワークも凝っているし、ダウンロードコード付きと嬉しい内容。



 さてKhmerは昨年全曲収録の編集盤が3LAからリリースされ、多くのリスナーから喜びの声で溢れたスパニッシュネオクラストのレジェンドであるIctusのIvanとEl EgoのMarioを中心にマドリードで結成され、バンドの歴史自体はまだまだ短いけど、スペインのネオクラスト人脈の最重要人物達によって結成されたバンドであり、ネオクラストの流れからブラッケンドハードコアへと到達したバンドである。先ずは新作となるA面だが、第1曲「Pujares Negros」から絶好調。ダークな旋律をアグレッシブに叩きつけるサウンドは今作でも健在。2ビートとブラストを使い分け、常に爆走するビートを土台にし、スパニッシュネオクラストらしい非常にメロいギターフレーズの切れ味とインパクトは抜群。ブラッケンドらしい要素は確かに存在するけど、既存のブラッケンドとは全然違う。ネオクラストから更に進化したからこそのブラッケンドであり、寒々しいリフの洪水もあり、カオティックハードコアなフレーズもあり、目まぐるしい展開の中でダレる事なく渾身のアッパーかったを無数にお見舞いしてくれる。歴戦の猛者だからこその馬力の凄さと、円熟では無く、より攻めの姿勢にバンドが入っているからこそのサウンドに圧倒される。第2曲「Bajo La Cruz」はトレモロリフとブラストビートが攻めてくるよりブラッケンドな楽曲であるけど、バンドの攻撃性と哀愁のダークネスが見事に結びつき、精神を抉る美リフだけじゃなく、そのサッドネスの中から獰猛なる怒りを体現したシリアスな爆走サウンド。Ictusもそうだったけど、バンドの芸術性をアグレッシブ過ぎるサウンドに落とし込む手腕は凄いし、スパニッシュネオクラストの一番濃い部分を見事に曲にしているし、その先を行く為のブラッケンドであるからこそ、他のバンドとは違う。第3曲「Metales Que Guardas」もシンガロングを盛り込み拳を突き上げるしかない熱さに溢れていながら、持ち味となっているメロディセンスとカオティックかつ爆走するサウンドは全然衰えない。第4曲「Si Aun Corre La Sangre」もそんなKhmer節しか無い。A面ラストの「Hagamos El Mal」もバンドの新たな進化を体現した楽曲であり、持ち前のリフの切れ味を絶対零度でお見舞いするサウンドスケープ、爆走サウンド一辺倒じゃ無く、攻撃性と芸術性を見事なバランスで共存させ、ある種のポストブラックメタルらしさを出していたりもしながら、やっぱりサウンドに怯みは無し!!この5曲の新曲はKhmerの更なる進化を体現するだけじゃ無く、スパニッシュネオクラストとブラッケンドハードコアが新たな領域に到達した事の証明でもあるのだ。
 そしてB面は2012年のデモ音源を再録した内容となっており、A面の新曲群に比べたら少し過渡期的な内容ではあるかもしれないし、それはバンドがたった2年でとんでもない進化をしてしまったから仕方ないんだけど、こちらはこちらでまだ荒々しさもありつつ、バンドが新たな領域への航海を始めた最初の1ページでもある。第1曲「Lenguas De Fuego」はまだブラッケンドハードコアらしさがモロな楽曲ではあるけど、この頃からKhmer節は健在。暴走ブラッケンドサウンドの中に確かに現在に繋がるメロディは存在している。ダウンテンポとクリーントーンのダークなイントロからジャッとコースターサウンドとしてドス黒く真っ逆さまな第2曲「Magna Mater」は新作サイドには無いタイプの曲ではあるけど、サウンドの落差という意味では新曲群には無いカタルシスが確かにある。デモの最後を飾る「Mares Vacios」なんかはKhmerの現在のサウンドに一番近いし、リリース当時にこのデモを聴いた訳じゃ無いんだけど、こうして現在の音とデモの音を聴き比べるとバンドの進化具合の凄さに驚くと同時に、バンドのスタイルは一貫していると改めて思った。



 メンバーそれぞれが過去に在籍していたバンド以上に凄まじい情報量と圧巻の破壊力をKhmerは持っているし、そこにそれぞれの持つ美意識が惜しみなく追求された事によって、更なるネクストステージにKhmerは到達してしまっているのだ。冗長さに逃げず、脳筋になるのでも無く、美しく激しく蠢くサウンドは最早室伏兄貴ばりの肉体美であり、そこには美しさしか無い。貪欲に進化を続け、常に新鮮でいて攻撃的なサウンドを繰り出しているからこそとんでもない格好良さだし、そのスタイルはメンバーそれぞれの過去のバンドの頃から一貫している。スパニッシュネオクラストの歴史を背負いながら、それを置き去りにしようと更なる新世界へとKhmerは踏み込んでいる。今作は勿論3LAで購入出来る!!



■Realising Media presents 変の極み 壱(2015年4月19日)@渋谷CYCLONE

 ド直球な企画名であるけど、正にそんなイベントだった。今回のCyclamen企画は日本のdjent・プログレメタルの中でも特に濃いバンドを集めた変態の宴であり、演奏している側も客も変態であり、そんな変態達の不法集会を渋谷サイクロンという地下室でやってしまったのだ。しかし本来ならこんな不法集会取り締まらないといけない筈だけど、実際にあったのは本当に沢山の人達の温かい笑顔と楽しさに満ちたヴァイブスだったのだ。今回はそんなピースフルでありながらもやっぱり変態汁ぶっかけられまくりだった不法集会潜入レポを。



・Arise in Stability

 ライブは一年振り位に観る事になったアライズだけど、いやいや本当に凄まじく進化を遂げていたと思う。セットは全4曲中3曲が新曲という強気で攻めのセットだけど、それも納得のライブだったと思う。相変わらずタッピングの嵐に、複雑怪奇な楽曲構成に、変拍子の嵐に、詰め込みに詰め込みまくった圧倒的情報量の音が否応なしに入り込んでくるんだけど、新曲はどれも凄くてバンドが完全にネクストレベルに突入していたと確信した。長尺でプログレッシブで超絶技巧の連続という点はこれまで通りだけど、よりストイックでタイトなサウンド、激情要素に更に踏み込んでいたりもしたけど、完全に聴き手を突き放しに来ていた。いや音やフレーズのパーツパーツはキャッチーであったりとか暴れられる要素があったりもするんだけど、それらの組み合わせ方がよりおかしくなっているし、違和感が仕事しまくる音なのに、そこに必然性が存在している。ラストこそアルバムの楽曲をプレイしたけど、それでも完全に突き放しつつ、完全に異形さを魅せるモードだったし、今回プレイした新曲達の音源化が非常に楽しみである。



・Vision of Fatima

 今回全く予備知識無しで観るVision of Fatimaだけど、プログレッシブさだけが変態じゃないって改めて実感させてくれたバンドだった。今回の面子の中では一番カオティックハードコア成分が強いバンドであり、そりゃ変拍子も多数だけど、それ以前に不協和音だらけのカオティックサウンド、耳がおかしくなりそうな不条理さを音にしたみたいなフレーズ、演奏こそタイトではあるけど、それ以上にダークな狂気がバンドから伝わってきたし、カオティックというよりも寧ろサイケのバンドでギタボやってそうな黒髪ロン毛前髪パッツンなボーカルの人の完全にいかれているとしか言えないパフォーマンスも含めて正にダークサイドカオティックハードコア!その手の音が好きな人にはガッツり刺さりまくるバンドだったけど、それ以上にダークさと狂気によるある意味ではアート的でもあるライブは息を呑む物があった。



・bilo'u

 最早唯一無二の領域に到達した音楽から狂気の追求を重ね、もしくは中国雑技団かよってレベルで超絶技巧のびっくり人間ショーを繰り出す彼等。2ndリリースからはモッシュも許さない完全に人を突き放しまくった狂気がメルトダウンしたライブを繰り出し、完全に観る人を突き放すライブしかしていなかったけど、今回はまさかまさかの1stの楽曲中心のセット。しかしそれでもbilo'uだ。テクデスとかプロぐれメタル云々じゃ全く片付けられないサウンド。今回はみんなが楽しみにしていたであろう1stの楽曲をプレイという事もあってピットが出来ていたし、クラウドサーフする人までいたりもしたけど、それでも変拍子に変拍子を重ね、和音階を駆使しまくったbilo'uサウンドはやっぱり健在。実際に方法論こそ1stも2ndも一貫しているし、2ndはそれが極端な程に極めまくっていたから異形だったけど、元から彼等はリスナーに寄り添うバンドじゃない。そりゃビートダウンパートではモッシャー大量発生ではあったけど、それでも地獄のプログレサウンドに悶絶するばかりだったし、相変わらず演奏上手すぎて気持ちが悪い。彼等はハナっから形骸化する事に全力でノーを叩きつけている。だからこそ異物感すら快楽に変える狂気の研究者達でしかない。



・Hone Your Sense

 今回のイベントの中では最もストレートなサウンドだった彼等。しかしストレートなメタルコアサウンドの馬力が単純に強い!!極悪な刻みとビートダウンを駆使しまくったサウンドは王道であり、この手のサウンドが好きなキッズからしたら大歓喜だろう。でも今回のこのイベントに参戦しているって事はやっぱり一筋縄じゃいかないバンドだ。ストレートなメタルコアサウンドの中にはやはりカオティック変態リードギターのフレーズが見事に咲き乱れているし、それがバッキングの刻みのギターと見事な化学反応を起こしている。でも変態方面に振り切るのではなく、そんな楽曲の中でシンガロングもあざといビートダウンも盛り込み、でもそこだけじゃない変態さもあり、要は正統派であり続けるバンドだと思ったし、何よりも堂々としまくったライブは純粋に格好良かった!!



・Cyclamen

 トリは主催のCyclamen。ここまで変態バンドばかりであったけどCyclamenも勿論変態バンドだ。しかし彼等はそれを最高のエンターテイメントにしているから本当に凄いと思う。いつも通り「破邪顕正」からライブはスタートし、最早ライブでは御馴染となった曲達の連続であったが、バンドとしての新たな成熟を今のCyclamenからは感じる。勿論個々の演奏技術が更に高くなったのも大きいと思うけど、Cyclamenが以前から持っていたタイトなだけじゃなく、ハードコアな荒々しさライブで表現するという事、誰よりもライブを楽しむという事、それらが本当にブレ無く固まったのを観ていて思った。相変わらずみんなドヤ顔アヘ顔で超絶技巧で魅せまくり、今西さんは相変わらず汗だくになって叫ぶ。しかしそこにあるのは狂気でもサッドネスでも無くて、やっている音楽こそはシリアスではあるけど、それを楽しさというフィルターを通す事によって最高にブチ上がる音にしているって事。ヒロシさんがモッシュを煽ればサークルモッシュが発生していたし、一曲終わる毎にフロアからは歓声とも奇声とも言える声が滅茶苦茶上がっていたし、本編ラストとアンコールは「Never Ending Dream」と久々にライブでプレイした「With Our Hands」という彼等のアンセムで締めてくれたのも最早頼もしい。今回の主催という事もあって気合十分でありながらも、バンドとして更なる成長を感じたライブだったし、もっともっと大きなバンドになるだろう。それはフロアの突き上げられた無数の拳を受け入れ、引っ張っていくだけのバンドになったって事なんだと思う。



 今回のイベントは正に国産変態バンド大集合で、言ってしまうと超絶技巧をアヘ顔・ドヤ顔でキメまくるびっくり人間ショーをアヘ顔晒して奇声上げながら観るという正に変態しかいないイベントではあったが、そんなイベントにも関わらず最後はみんな笑顔だったし、特に外タレの出演があった訳じゃないのに、サイクロンというハコでかなりの集客を出来ていたのも凄いと思う。djent・プログレメタルというサブジャンルのイベントではあるけど、明確過ぎる程に明確なイベントのコンセプトもあるし、そのコンセプトから全くブレて無いイベントだったと思う。今回だけでは無く是非とも第二回第三回と続いていって欲しいし、更にジャンルやカテゴライズを超えた変態バンドの参戦にもこれから期待したい。しかしこんな変拍子と超絶技巧の宴でみんながピースフルで笑顔に溢れていたのだから、変態はもしかしたら世界を平和にするのかもしれない。
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■コミューター/おまわりさん

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 各所で生きる惨劇としてヴァイオレンス極まりない危険なライブを展開し、ハードコア・グラインド・ノイズ、様々な界隈で本当に高い評価を得ていたおまわりさんだが、いよいよ1stアルバムがリリースされた。デモ音源のリリースはあったけど、正式音源は今作が初であり、待望のフルアルバムだが、今作はまさかの2枚組という内容で先ずはそこに驚いた。そしてこれまでノイズ塗れで不明確だったおまわりさんというバンドの全貌が明らかになった作品であり、そしておまわりさんというバンドがライブパフォーマンス云々以前にどれだけ危険なバンドか分かる作品だ。



 先ず今作はまさかのdsic2枚組である。アルバム全体ではディスク一枚に収まる収録時間ではあるけど、敢えて2枚組に分けられている。それはおわまりさんというバンドの二面性をそれぞれのディスクに分けているからで、disc1は9曲で20分にも満たないショートでジャンクなハードコアな楽曲ばかり収録し、disc2では長尺でスロウでアンビエンスな要素を盛り込んだよりダークな楽曲を収録している。しかしながらどちらも非常にヴァイオレンスな音を生み出しているのは間違いないし、その方法論が違ってもバンドの暴力性は揺らいでいない。
 第1曲「It Says No」から言語化不可能なボーカルとノイズと高速2ビートが吹き荒れるdisc1はとにかく飛ばしまくっている。今回はデモの時に比べて音の輪郭が非常に明確になっているし、各パートは暴力的な音を放っているけど、非常に音が掴みやすい。第2曲「グラインダー」もタイトル通り音が暴走しまくっているけど、ジャンクでハードコアなギターリフが引っ張りながら突き刺すノイズと突っ走るビートと、風人氏の一人で何役もこなすボーカルスタイルが最高にハマっている。そのまま矢継ぎ早に第3曲「不在」へと続くけど、そこでも前以上にキャッチーとまではいかなくても分かりやすいリフとノイズとビートの構成による濁流サウンドが全開。デモにも収録されていた第4曲「バカ社長」や第7曲「Dew」もバンドの成長を強く感じさせる物で、デモの時の様にノイジーさで殺すスタイルでは無くて、ノイジーさこそ変わらないし、相変わらずジャンク極まりない音であるのに、どこか正体不明だったおまわりさんの全貌を見事にアウトプットしている。それと矢継ぎ早にジャンクでカオスでノイジーなハードコアを繰り出しているからこそ、強烈でインパクトが残る音が一瞬で過ぎ去る暴風雨感は実に気持ちが良い。ハードコアとノイズとジャンクのドM大歓喜な快楽を音に叩き込んでいる。disc1のラストを飾る「集合意識」も暴走パートとビートダウンの緩急を付けるスタイルで常に歪みながらも、暴走一辺倒じゃなくて、5分間で速さと遅さによる落差のヴァイオレンスさを生み出している。
 そして驚くべきはdisc2である。デモでも長尺で静謐さからノイズの暴力へと変貌する楽曲はあったが、それが見事に進化している。第1曲「コミューター」はアルバムタイトル曲なだけあって屈指の出来だ。Slint辺りの不穏なクリーントーンのギターと硬質なビートの反復、それらのサウンドにシンセとノイズが更に不気味な音を加え、そのメロディも音も美しさでは無くて不気味さしか無い。風人氏は途中でホーミーみたいな発生方を使ったボーカルを披露しているし、松田氏のハーモニックスを使ったフレーズもなんとも「らしさ」があってニヤリとするけど、来る爆発の瞬間に対する恐怖、そしてラスト1分半でブラストビートとトレモロリフとノイズによる大爆発。悲痛な叫びと共に破滅へと暴走するカタルシス。スロウヴァイオレンスでありサッドヴァイオレンスでしかない。第2曲「引力」も静から動へと移行する曲だけど、こちらはスラッジコアやポストメタル的な方法論にも通じるサウンドであり、同時に歪みまくったパートではジャンクさも全開。そしてデモにも収録されていたおまわりさんの象徴する曲である第4曲「膨張」は更に不条理な惨劇だ。のっけから不気味に蠢くギターとノイズ、唐突に通り魔2ビートが吹き荒れ、デモの時以上に表現力と声の暴力がおかしい事になっているボーカル、音の色と輪郭が明確になり、よる禍々しさが増した音、情報量も凄いけど、ドゥーミーな音階のアルペジオからビートダウンの暴力と化すパワーヴァイオレンスさ。最後の最後はやっぱり暴走で締めくくられるし、disc1のジャンクでショートなハードコアも凄かったけど、このバンドのヴァイオレンスさは実は長尺で大作志向の楽曲でこそ生きるんじゃ無いかと思った。最終曲「ハイパーインテリジェンツィア」もやはり10分近くに及ぶ不条理であり、低域地獄のベースの不気味さ、ポエトリーによる呪詛、クリーントーンのサウンドでありながらのしかかる重々しさ、そしてスラッジなヴァイオレンスな重ノイズ地獄。最後の最後のクリーントーンのギターフレーズから今作で一番の不条理な混沌、完全に取り残されてしまった気分だ。



 ライブではやはりヴァイオレンスなパフォーマンスやサウンドによる交通事故感が目立つけど、こうしていざ正式音源となった音を聴くと、そういった部分だけじゃ無くて純粋にバンドとして進化したと思う。ジャンクなバイオレンスさも、サッドでナードなヴァイオレンスさも、スロウなヴァイオレンスさも、ファストなヴァイオレンスさもある。言ってしまえばヴァイオレンスマシマシ全部乗せみたいなアルバムだ。しかし速さや遅さや五月蝿さだけでは無い。より精神的な重さもあり、より完成度の高さも、ノーフューチャーな暴走もある。何にせよ極端すぎる音ではあるけど、だからこそ今作のカタルシスは半端じゃない。



■a sheep/SEI WITH MASTER OF RAM


a sheepa sheep
(2013/04/03)
SEI WITH MASTER OF RAM

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 かつてマシリトというバンドを率いていた印藤勢氏がマシリト活動休止後に結成したベースレスツインギター3ピースがこのSEI WITH~であり、今作は2013年リリースの1stアルバム。僕自身はマシリトはちゃんと聴いた事が無くて、マシリトでは歌謡フォークとヨーロピアンメタルの融合と言える音を鳴らしていたらしい。このSEI WITH~もそんな音楽性ではあるのだけど、もっと純粋な意味でのオルタナティブロックを僕は感じたし、フォークとヘビィロックの融合という言葉じゃ片付けられない作品だし、もっとロマンと沼みたいな深みと普遍性が今作にはある。



 そもそもオルタナティブとはなんぞやと言う問いに対して最早明確に回答をする事が出来る人って実は殆どいないと思うし、「概念」としての言葉であるから僕自身は具体的にこうだって言えない。寧ろ現在のシーンでは手垢に塗れて使い古されてしまった言葉であるし、オルタナって意味や真理を真面目に考える事は無意味だと思う。結局明確で全ての人を納得させる答えなんて無いし。でもSEi WITH~を聴くとこの音は間違いなくオルタナティブロックの一つの理想形であり、確かな回答だと思う。単に歌謡曲とフォークとメタルを融合させた音だからでは無い。食い合わせが一見悪そうな音が実は滅茶苦茶食い合わせが良く聴こえているし、今作を聴いて思うのは最早普遍性に満ちまくった音だし、もっと根本的なロックの流れにあると思う。異質だと思わせて実はこれ以上に無いスタンダード、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドの中間地点にありながら、その両方にリーチする音。楽曲の完成度の高さと中毒性を生かした曲ばかりであるが、そこに縛りは何も無い。これこそが普遍性と異様さの結晶なんだと思う。
 第1曲「INDIAN FROM THE SKY」は正にSEI WITH~を体現するキラーチューンだ。四畳半フォークなアコギのフレーズと印藤氏の居場所の無い歌の哀愁。しかしアコギの音がヘビィなディストーションとなり、壮大で四畳半で大風呂敷おっ広げたみたいなやたらに壮大なリフからが本当の幕開けだ。ゴリゴリに高速の刻みのリフが渦巻き、ドラムも手数をガンガン放つタイプでは無いけど、ビートの骨格がこれ以上に無い位に強靭。こんなヘビィな音でありながら非常にメロいし、印藤氏はやたらにサイケデリックさを感じさせながらも、往年のHR/HM感のあるボーカルもキメるし、ソロはガッツり弾き倒すし、サイケデリックな音の妖しさもある。歌詞のフレーズにもある「正体不明の預言者」なんてフレーズが凄くしっくりくるし、ラストはゴリゴリにリフでキメる。この曲に関しては言葉にするのが本気で野暮だと思う位にキラーチューンであるし、捻れに捻じれた末に逆に真っ当になってしまったみたいな痛快さすらある。
 しかし今作の楽曲は非常に多様だと思う。第2曲「PONY」はハードロックらしいフレーズもガッツり盛り込みつつも、歌物としての色合いも強いし、もう何か普通にロックで良いじゃんって言い切ってしまいたい曲。一方で第3曲「TRACES REMAIN」はやたら壮大なメタル感溢れるスケールとフレーズを駆使しているのに、曲の持つクサさやメロさはフォークソングのそれだし、ラストの早弾きからのハイトーンシャウトのそれは見事なまでに古き良きメタル。バッキングとリードのツインギターの極意に満ち、攻撃性全開で攻める第4曲「浮墨ノ戦記」、ストーナー感を出しまくり、SEI WITh~流のサイケデリックロックでもある第5曲「CRYSTAL DOME PARADISE」もそうだけど、どの楽曲も多彩なアプローチをしながらも共通して言えるのはどの楽曲でも印藤氏の完全に好き嫌い別れるであろうボーカルなのに、ロックとメタルの両方の真髄を継承したボーカルを生かしているし、歌があって曲が生きる、曲があって歌が生きるという相互作用だ。
 そして特筆すべきは第6曲「絵空詩」だろう。今作で一番ストレートな楽曲でありながら、もっとも普遍性に溢れ、そこにあるのは余計な脳書きを無効にする歌とメロディの純粋な良さと凄みであり、満ち溢れる悲哀は涙腺を殴りつけてくるし、ラストの泣きまくったツインリードのソロなんかその涙無しでは聴けない歌同様に聴く人の心に「泣くが良い、声を上げて泣くが良い。」と伊藤政則ばりに訴えてくるだろう。第7曲「エンドロールを待たずに」のアンプラグドさと最終曲「慕情と墓標」のアコギと歌のみの消え入りそうなエンディングで今作は終わるけど。全8曲捨て曲無し、斬新であり、王道であり、異質であり、日本語ロックの一つの理想形だ。



 本質的な意味でのミクスチャーであると思う人もいれば、懐古的だと思われる音を出していると思わせておいて、それを蹴散らす音だと思う人もいるだろう。今作は人によって本当に多くの解釈が出来るし、その解釈に間違いは無い。それこそがもしかしたら本質的なオルタナティブなんだろうし、全てを受け入れる強さもある。しかしその根源にあるのは印藤勢という人間が持つロックに対する愛と憎悪なのかもしれないと僕は勝手に解釈していたりする。しかしこれだけは間違いないと思うのはSEI WITH MASTER OF RAMは自らロックの業を背負い、そして人々の音楽への愛と憎悪を背負ってもいる。だからこそどんな音を鳴らしても自らの音としての説得力があるし、だからこそ王道と邪道の両方をぶった切れるんだろう。日本語ロックの到達点であるし、理想形だ。



■Redsheer Presents ” GRAY WORLD ” Vol.1(2015年4月11日)@立川BABEL

 7月に1stアルバムのリリースも決定しているRedsheer、初ライブから一年が経ちいよいよ自身初の企画となったにだけど、その初企画となった今回は正に地獄の祭典と呼ぶに相応しい物となった。全10バンド、エクストリームメタル方面の猛者ばかりを集め、人々を完膚無きまでにブチ殺し、しかしそんな地獄の中で生まれるのはもしかしたら沢山の笑顔なのかもしれない。そんな新しいパーティに足を運ばない訳が無いし、今回足を運ばせて頂いた。



・Coffins

 内野さんはMCで「早い時間もやりますよー。」って言っていたけど、オンタイムでスタートしてハナから世界レベルでお馴染みのCoffinsである。ブッチャーとUGとのスプリットもリリースされ、来月には新作EPのリリースと飛ばしに飛ばしまくっているけど、やはりCoffinsというバンドは本当に凄いバンドだって改めて思った。この日のセットはかなり渋めのセットで、Coffinsの中でも渋くてドゥーム色の強い楽曲を中心にプレイ。しかしどんなセットで攻めてもCoffinsは常に長年積み重ねたキャリアと世界で活躍するライブパフォーマンスで絶大なる安定感を誇る。時田さんのボーカルは一年前と打って変わって今となってはCoffinsに絶対不可欠な存在であるし、是枝氏の宇宙的でありヴァイオレンスなベースのグルーブとサトシさんの乾いていてタイトなドラムと、内野さんのロック的であり、ドゥームとデスメタルの深みを更に抉り取るギターリフの数々が生み出すヘビィロックとしての貫禄と重さ。新曲もCoffinsが持つドゥームとしての重みを充満させまくったエグさ全開の楽曲だったし、最後の最後は彼等のアンセムである「Evil Infection」で空気を一転させてヘビィロックの天国へと突き落とすしてしっかりと締めてくれる頼もしさ!!何度ライブを観ても常に新鮮な格好良さがあるし、だからこそCoffinsは世界レベルのバンドで有り続けているのだ。



・NECROPHILE

 国産デスメタルの始祖であり、再始動からの活動もマイペースでありながらも、観る物を地獄に突き落としているNECROPHILE。ライブは一年振り位に観たけど、セッティングの時点で出音が前よりもエグくなってて思わず笑いそうになったけど、しかしライブも前以上にエグくなっていた。ANATOMIAではドラムの田中さんだけど、こちらではギターを弾き、エグい音で凄まじい高速の刻みのリフで観る物をバラバラにして殺して死姦するという鬼畜具合。デスメタルのカルト性を大切にしながらも、それぞれの音が先ずエグいし、サクサクと曲をプレイしていくスタイルながらも、一曲一曲の濃度は濃いし、速さというエクストリームさも凄いけど、バンドの演奏と楽曲が持つおぞましさも凄い。初めてライブでプレイした楽曲もあり、このバンドの再結成は僕の様な国産デスメタルの黎明期を知らない人間にとって嬉しくもあるけど、同時に再結成後もバンドは余裕で現在進行形。単なる懐古的な再結成じゃなっくて、このバンドはレジェンドになる事を否定し現在も進化していると改めて思った。



・CLANDESTINED

 今回初見な名古屋のオールドスクールデスメタルバンドCLANDESTINED。全然予備知識が無い状態でライブを観る事になったのだけど、女性のベーシストを含めたメンバーの出で立ちからしてもう何かモロって感じで妙に安心感を覚えてしまったりもしたけど、そんな出で立ちを裏切らない王道を往くオールドスクールデスメタル。演奏は勿論普通に上手いんだけど、タイトさよりも荒々しさを選んだサウンドワークは非常に好印象だし、特に金髪モヒカンのドラムの方が滅茶苦茶僕好みのドラムで、パンキッシュな荒々しさと暴走具合をガッツリデスメタルに持ち込んだドラムで、個人的に大好きな音。う矢継ぎ早に暴走サウンドを繰り出すライブスタイルもまた良かったし、全然予備知識無いバンドではあったけど、滅茶苦茶楽しませて頂きました。



・TERROR SQUAD

 シーンの重鎮中の重鎮でありながら、未だに最前線でバリバリ活動しまくるレジェンドとなる事を全否定するTERROR SQUAD。ライブ自体は本当に観るのが久々だったけど、本当にこのバンドに代わるバンドって他にいないって思うよ。スラッシュメタルでありながら、非常にメロく、カオティックで、ハードコア的でもあって、エモーショナルであり、唯一無二のサウンドを作り上げてしまっている事は僕が今更言う事じゃ無いけど、先ほどまでのデスメタルな流れを完全にぶった斬り、TERRORの独壇場に変えてしまうのは流石だ。何よりも宇田川さんは本当に全身全霊で格好良いカリスマだし、マイクスタンドを高々と掲げる姿も、ステージとフロアの垣根なんておかまいなしにフロアに飛び出して、客に絡みながら叫び狂う姿は。スラッシュメタルのバンドであるにも関わらず、ハードコアヒーローでもあると思ったし、TERRORの前ではそんなカテゴライズなんて全然不要だし、TERRORはTERRORでしか無いのだ。全力で暴れまくる宇田川さんは本当にヒーローだったし、重鎮のポジションに満足せずに常に全力で最高のライブを繰り出してくれる。だからこそTERRORは別格のバンドだ。



・DEADLY SPAWN

 今回初見だったDEADLYだけど。個人的にはあまり馴染みが無かったりするスラミングデスメタルといった方向性の音楽だけど、現代的なデスメタルサウンドだけじゃなくて、オールドスクールデスなテイストやスラッシュメタルのテイストも感じさせる楽曲のセンスの良さを先ず実感した。同時にSEを使ったりして楽曲やパフォーマンスの中で確かな世界観を感じさせるバンドだって印象も受けた。演奏は非常にタイトで安定感抜群の物で、息の合ったツインギターの絡みは特に眉唾物。メタラーじゃない僕ではあるけど、サウンドの気持ちよさと、それと同時にダークでおぞましい世界観が同居しバンドの持つ世界に引き込まれてしまったよ。ここまで十分こってりしまくったバンドばかりにも関わらず、その濃度を更に引き上げる地獄の怨霊達のデスメタルの圧倒されてしまうだけだった。



・SECOND RESURRECTION

 郡山の残虐王として名高いSECOND RESURRECTIONは一度ライブを観てみたいバンドであったけど、そのライブが想像以上の物だった!!ギターの歪み方がもうとにかくブルータルの一言で、デスグラインドの美味しい所をガッツリと突きまくる、3ピースの普遍的でシンプルな編成でありつつも、だからこそ各楽器の音の暴走具合と汚らしさと五月蝿さは際立ち、押し潰しながらも突き刺す重さと鋭利さを兼ね備えたサウンド、何よりもガテラルとハイトーンシャウトのツインボーカルは熱い!!しかもこんな残虐過ぎる音を鳴らしているにも関わらず、MCは滅茶苦茶腰が低くて真摯でっているデスメタラー良い人説まんまな感じだったのもまた好印象。曲も矢継ぎ早にガンガン放っていくスタイルでありながら、小気味が良くて飽きが来ない。音の粒が潰れまくった歪んだサウンドは実は純粋にゲス野郎達の快楽のど真ん中でしか無いし、実際に単純に凄く格好良いバンドだった。今回ライブを観れて良かったし、福島ってジャンル問わずに本当に凄いバンドばかだ。



・Butcher ABC

 CoffinsやUnholy Graveとのスプリットをリリースし、バンドが新たなモードに入っているであろう東京の肉屋デスグラインドのブッチャー。いつも通りどこかリラックスした感じではあったし、ライブ自体は安心と信頼の肉屋クオリティではあったけど、しかしメンバーさんのリラックスして肩の力を良い意味で抜いた雰囲気とは違って、ライブは相変わらず極悪。時にブラスターしまくったサウンドを繰り出しながらも、デスメタル成分をプンプンに匂い立たせて、邪悪なリフで攻め立てまくる。長年のキャリアもあるし、常に安定した格好良さを持っているブッチャーだけど、同時にパーティバンドであると思うし、デスグラインドというジャンルであり、純度と強度は非常に凄まじい音を放っているけど、同時に非常にキャッチーさを持っているバンドであるし、それこそ地獄の魑魅魍魎達のダンスパーティなのだ。モッシュやシンガロングも発生するし、デスボイスとハイトーンシャウトのツインボーカルは相変わらず最高だ。今年はいよいよアルバム制作にも入るらしいし、日本のデスメタル・グラインドの重鎮はまだまだとんでもない事をしてくれそうだ。それはそうと関根氏が「イギリスから来たBOLT THROWERです。」なんてMCをしていたけど、これはフラグと見て良いんでしょうか?期待しちゃって良いんでしょうか?



・NEPENTHES

 ここまで爆音バンドばかりであったにも関わらず、更に爆音過ぎて笑ってしまったけど、ストーナーだとかドゥームだとかを超えてロックのロマンを爆音でブギーするNEPENTHESの登場だ!!メンバーチェンジがあり新編成でのライブを観るのは今回が初だけど、いやいや本当に容赦なくブチ犯しに来るよ。根岸さんはサングラスをかけて、最初から素肌にシャツというキメキメな出で立ちで登場し、早速叫びまくる。しかしこの日はどのバンドも爆音バンドばかりだったにも関わらず、ネペはそれすらも凌駕するレベルの音量だったと思うし、新編成になってより凶悪な音になったと思う。でもただエクストリームなだけじゃ無いのがネペであり、爆走リフによるロックンロール天国を繰り広げているからこそ最高に格好良いし、ネペの前じゃ爆音に身を任せて酒を飲めば良いのだ。しかし最後の最後の長尺サイケデリックナンバーではロックの深淵を体現し、爆音の揺らぎが時空を歪ませ、今いる場所が天国なのか地獄なのか分からなくなってしまいそうな酩酊体験。あっという間でもあったし、体感時間は凄く長かった様にも思ったり、しかしただロックなだけじゃない、ただサイケデリックなだけじゃない、ただドゥームなだけじゃない。得体の知れない膨大なエネルギーの爆発の凄み、だからこそNEPENTHESは凄いバンドだ。



・Redsheer

 間違いなく過去最強のライブだったと思う。去年のブッシュバッシュでの出会いから行けるライブは行くレベルでRedsheerは大好きなんだけど、今年になって初めて観たRedsheerはもうバンドとしてのj強度が一つの完成形となっていたと思う。まずベースとギターの音の感触のヘビィさが異様なまでに増幅。山口さんのギターの音がクリーントーンのパートでも異様な歪みをより感じさせる音になっていて最早恐怖すら覚えるレベルだった。「Curse From Sad Spirit」、「Yoru No Sotogawa」、「In The Coma」、「Blindness」、「Silence Will Burn」、7月リリースの1stにも収録されるであろうこの5曲を今回はプレイしていたけど、音の禍々しさが尋常じゃ無いレベルで増幅していたし、同時にバベルの音響もあって、音が絶妙に広がりながらも、各パートの音が明確になっていたし、だからこそ各パートのフレーズの一つ一つの狂気がより浮き彫りになったと思う。Redsheerの楽曲のメインコンポーザーである山口さんのアルペジオ地獄から刻み地獄まで横断し、ダークなエモーションと混沌で身も心もズタズタに切り裂いてしまうギターワークは少し観ない間に更にパワーアップしていたと思うし、raoさんのドラムはやっぱり独自のタイム感と強度を持ち、硬質な躍動を体現している。小野里さんのベースのうねりと叫びも刺々しさと禍々しさと精神と肉体の両方に訴え、お前の裏側を暴く様なサウンドだ。しかしラストの「Silence Will Burn」は個人的に僕が一番大好きな曲というのもあるけど、吐き捨てる叫びと、切り捨てるギター、そして静寂から邪炎で焼き尽くし跡形も無く粉砕。地獄のパーティの空気を一変させ、精神の地獄へと変貌させてしまったし、もうなんというかRedsheerってバンドは本当にとんでもないバンドでしか無いんだよ。いやマジで。



・ANATOMIA

 そして主催であるRedsheerじゃなくてANATOMIAがまさかの今回のトリであるけど、今回のANATOMIAのライブを観て、彼等がトリになった事によって地獄の祭典は本当に地獄の祭典すら破壊する病み捲ったエンディングを迎えてしまった。これまで出演したバンドはサウンドはエグいし余裕で地獄なんだけど、爆風で火を消すみたいな感じで、エクストリームなサウンドで地獄すらパーティに変える事が出来てしまうっていう痛快さとカタルシスを生み出すバンドばかりだったし、その流れを破壊し、Redsheerが過去最強のライブを展開して、ダークな混沌のエモーションで一気に張り裂けそうな感覚に襲われ、そして最後の最後でANATOMIAが真の地獄を生み出してしまった。ラストにご褒美な感じで速い楽曲をやってはいたけど、それ以外はBPMもかなり遅く重く、鼓膜を破壊するギターリフの混沌、赤のみの照明で照らされたステージにて繰り広げられているのは、カルトさを極めに極めまくった病巣その物で、変な言い方だけどライブを観ていて本当に音で心が病みそうになったし、呆然とステージを眺めながら、理不尽に展開されるデスドゥームの奥の底の底の奈落を黙って受け入れるしか無かった。今回のイベントは地獄の祭典だけど凄くハッピーじゃんって思っていたけど、最後の最後の本物の地獄によってそんな感情も犯されてしまった。いやANATOMIAってやっぱり凄いバンドだよ。



 今回の企画がアナウンスされた時に小野里氏は「難聴上等・トラウマ派生・帰宅困難者続出…病み捲りながらも、参加して頂きました方々全て・多幸感2000%な活力満載な大成功を目指して動き尽くします。」と言っていたけど、正にそんなイベントだったと思う(実際に帰宅困難者がいたかは分からないけど)。地獄その物な音ばかり出すバンドばかりだし、イベントも昼からの長丁場であったけど、各バンドの転換がサクサク進んだから疲れやストレスが良い意味で溜まらずに各バンドを良いコンディションで観れたのも良かったし、この日も各地で熱いイベントが多かったけど、それでも都心からしたら決して近くは無い立川という場所に本当に多くのフリークスが集結し(バベルという広いハコだったから人が多くても窮屈さが無かったのもまた良かった)、動員の面でも大成功なイベントだったんじゃないか。でもそれ以上に最後のANATOMIAで完全に地獄に叩き落とされてしまったけれでも、それでも来ている人たちは本当に楽しそうな人しかいなかったし、変な言い方かもしれねえけど、エクストリームミュージックは人を笑顔に出来るという一見すると矛盾しているかもしれない事は全然出来るって事だし、今回のRedsheer企画は国内エクストリームミュージックのシーンで起きた事件として多くの人々の間で語り継がれる筈だ。
 しかしこれで終わりじゃない。7月には1stアルバムのリリースパーティとなる自主企画を東高円寺二万電圧で、9月には今回同様にRedsheer含めた10バンドによる更なる暗黒の宴が新代田FEVERで開催される事がアナウンスされているし、出演バンド等の情報も近い内に解禁されると思うけど、今回で終わりじゃなくて、今回こそが始まりなのだ。まだまだ多くのうっせえ音が大好きなフリークスが失禁必至であろう宴が待っているし、ジャンルを超えてうっっさくて格好良い音が新たな流れを作っていくだろう。まだまだお楽しみはこれからなのだ。だが改めて今回のRedsheer初企画は本当に最高の夜でしか無かったのだ!!

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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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