■2015年06月

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■Fatalitas/Aguirre





 7月に日本のGUEVNNAとZOTHIQUEと共にジャパンツアーを行う事もアナウンスされているフランスのスラッジコアAguirreの2011年リリースの現時点での最新の単独音源。これが見事にモロなスラッジコアサウンドであり、呪術的空気と蠢く重低音のカルト感溢れるサウンドだが、スラッジコアの王道を往く全4曲35分。



 サウンドの傾向としてはNOOTHGRUSHやEyeHateGod辺りのスラッジコアに通じるサウンドであり、スラッジコア特有のカルト的空気感を持っているし、ハードコアというよりもその呪術的世界観はドゥーム的な物なのかもしれない。サウンドから感じ取れるのは最早怨念だし、ボーカルワークが完全に遠慮の知らない物になっている。サウンド自体も極端にスラッジスラッジしている訳じゃ無いし、寧ろロック色も地味にあったりもするんだけど、サウンドの純粋な重さというよりも、その音色や空気感から滲み出る重さが特徴的だ。あくまでもピュアなスラッジコアなサウンドスタイルであるけど、微かにロック色を残したまま奈落へとズブズブ堕ちていくサウンドはスラッジの一つの極意を感じる物だと思う。
 ベースの重低音が這い回る第1曲「Bastards」からその儀式的スラッジは展開される。極端に歪んでいるサウンドじゃ無いし、スラッジらしい激遅ビートではあるがグルーブ感は十分に感じられる音になっているのに、そのボーカルが入るとおぞましさが増幅してしまう。こうしたスラッジコアの中では割とキャッチーな部類に入る曲だと思うし、単なるカルトドゥームでは無く、ちゃんと聴き手に対してグルーブで揺らす事もサウンドで提示しているのはかなり好印象。一方で中盤ではベースとドラムのみの静謐なパートの不気味さが際立ち、ドス黒さの中に妙な叙情性を微かに感じさせながらもより漆黒のサウンドを生み出している第2曲「Besse」のグルーブと重さと密教性の見事に結びついたサウンドはスラッジフリークスからしたら悶絶物だし、10分間の中に濃密なスラッジ絵巻が展開されている。特に終盤のロングギターソロの哀愁は本当に堪らないし、こうしたフレーズをピュアなスラッジサウンドに取り入れるセンスに脱帽だ。第3曲「Bleak」は正にスラッジコアの躍動を体現した曲であり、今作で一番ビートがノレる物になっているけど、中盤のハウリングするサウンドから更に音に重みと黒さが増すのは最高に痺れる。最終曲「Barricades」もそんなAguirreの魅力が存分に発揮されているし、今作屈指の暗黒リフで攻め立てながらも、後半のまるでご褒美と言わんばかりにBPMを引き上げて爆走するスラッジサウンドの破壊力の凄みよ。



 全35分とサクッと聴ける作品ではあるけど、実に35分にも渡って繰り広げられるスラッジコアとは何かを熟知したサウンドの数々。勿論遅いし重いし密教的だし重低音充満しまくりなドス黒いサウンドではあるが、曲の合間に入るギターソロの哀愁だったり、バンドとしての根本的なグルーブだったりといったロックバンド的魅力もちゃんと出しているバンドではあるし、こうした明確で分かりやすいアプローチをしているにも関わらずAguirreには謎の得体の知れなさも感じる。その全貌は7月半ばからスタートするジャパンツアーで全貌が明らかになるだろうし、フランスが生み出した純粋漆黒のスラッジコアの悪意を肌で体感して欲しい。
 また今作は下記のbandcampページでフリーダウンロードで配信されているので、ジャパンツアーの予習も兼ねてチェックして欲しいし、気に入ったら是非とも盤の方をジャパンツアーの物販で購入してサポートして欲しい限りだ。



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■いいにおいのする the body Japan Tour 2015 東京編 2(2015年6月23日)@新大久保Earthdom

 毎回絶妙な外タレを招聘しているいいにおい企画だけど、今回のいいにおいはポートランドのスラッジデュオであるThe Bodyを招聘。昨年もThe Bodyは来日したが、オールナイトイベント&平日で目撃する事が出来なかった人も多かっただろうし、今回の再来日を心から喜んだ人は多いだろう。東京公演は2daysで一日目のo-nestでの公演はThe BodyとVampilliaとその2バンドのコラボセットという内容だったが、個人的にSETE STAR SEPTとENDONとkillieという3バンドが参戦する二日目の公演が激熱で二日目の方に足を運びました。スタート15分前にアースダムに到着したけど、客は疎ら。大丈夫かと思ったが、ハナのSETE STAR SEPTが終わった頃には人もかなり増え、最終的には平日で東京2daysでありながらアースダムは八割は埋まるという盛況っぷり。やっぱりみんなThe Bodyを楽しみにしていたんだ。そして蓋を開けたら5つの強大なる悪魔が降臨した夜だった。



・Vampillia blackest ever blackmetal

 一応オープニングアクトのVampillia blackest ever blackmetalなんだけど、セッティングはハナのSETE STAR SEPTだし、内容はと言うと、Vampilliaのmicciが黒いローブを纏って、でも黒のタイツを履いてコープスペイントして登場し、ストロボライトが壊れて出来ないって旨と、明るい場所でやると滑稽だって事を言って、当て振りでちょっとだけやるからどんな感じか伝わればって言って、ちょっとだけトレモロリフを口と動きで当て振りして終わりって内容。拍手も当然全然起きない。そんな感じでしたとしかお伝えできません。というかこれただの前説じゃねえか!!



・SETE STAR SEPT

 そんな茶番からハナのSETE STAR SEPTからスタート。しかしライブ前からベースから耳を破壊するノイズが出ているし、もう嫌な予感しかしなかったけど、やっぱりライブは超絶爆音のノイズグラインド、音階壊れまくりのベースが放つえげつないノイズと叫びが超圧縮で繰り出される不条理な地獄。しかし今回ライブ観るの二回目だったけど、キヤスさんのドラムは本当に変幻自在だなって改めて思った。爆音のノイジーなサウンドに負けず劣らず打音と音量の強いドラムを叩きながら、ドラムパターンを瞬く間に変えまくり、ブラストだけじゃ無く、それ以外のドラムフレーズでも速さと混沌を生み出しているし、独創的でありながらも、より混沌へと走り出すのだ。ラストはカエさんはやっぱりベース弾くの放棄して叫びまくり、そしてカエさんが捌けてからキヤスさんのドラムだけの混沌から最後は片桐えりりかパイセンの素股ギターよろしく素股ベースを披露し、ノイズの残響の中、地獄の20分が終わった。



・Vampillia

 主催のVampilliaは一年振りに観る運びになったけど、なんか前と色々変わってないか?銀髪男の娘ギタリストのVelladonはまピュレーター担当になっていてギター弾いてないし、後ロン毛のギターの人って前からいた人だっけ?人数多いし、ライブによって編成も地味に違うからそこら辺は観てても混乱するなあ。因みに今回は吉田達也氏はお休みで、ドラムは竜巻太郎氏のみ。しかしブルータルゲスオーケストラはやっぱりライブで本領を発揮するサウンドなんだなあって思った。音源も良いんだけど、個人的に小奇麗に纏め過ぎて無いかって思ったりもするんだけど、ライブだと情報量の多さもそうだけど、静謐で聴かせるオーケストラなパートはその空気感や余韻がより高次元だし、でもそんなオーケストラサウンドからヘビィなサウンドが放たれるパートは音源よりもずっと音も重いし、ダイナミックだし、ストリングスですら叫んでいる音を鳴らしている。45分というロングセットだったが、曲をほぼノンストップで組曲の様に展開していくVampilliaのスタイルはより磨きがかかっていたし、竜巻太郎氏のドラムのキレッキレっぷりもやっぱり凄い。このバンドはやっぱりライブでこそ真価を発揮する音だと改めて思ったよ。
 はい、音楽的な真面目な部分のレポはこれで終わり。これで終わらないのがVampilliaです。今回のライブでのボーカルのmongoloidの悪行の数々、もう箇条書きで良いですか?というか情報量が色々なベクトルで多すぎて頭整理つきません!!

・客に前来いってジェスチャーからのクラウドサーフ。
・最初は変な柄のツナギ着てて、それ脱いだら変な柄のハーパンにTシャツ。Tシャツには何故か「GOLF」って書かれている。
・客にマイク持たせて自分はフロアに。
・曲に合わせて壊れたポンコツのおもちゃみたいな動きする。
・フロアで客に混ざって腕振りの煽り、そしてみんなでそれをやり始める。
・客からドリンク貰って飲むのかと思ったらその場で吐く。
・仕舞いには「ええ加減にせえよ!」と。お前がええ加減にしろ!!
・やっぱり出てきた梯子、そして梯子を支える訓練された客。梯子から頭から滑って綺麗に折りたたむ。


以上レポっす。



・ENDON

 Vampilliaでお腹一杯になってしまったけど、いやいやまだまだこれから。ここ最近の洗練されたライブがアースダムの殺人音響で果たしてどうなるか楽しみだったけど、見事な化学反応を起こしていた。相変わらず凄まじい殺気を放ってはいあたけど、各パートの音のバランスも良いし、放たれる音の輪郭が掴み取れる今のENDONのライブの完成度はやっぱ凄いし、その中でよりハードコアへと振り切ってもいるし、より暗黒で病みそうになるサウンドにもなっており、アレンジも更に練り込まれた印象を受けたし、このバンドもライブを観る毎に変化を続けながらもより良くなっていくバンドだ。でもアースダムのサグくてダーティな音響だとそんなサウンドの破壊力はより増幅されるし、明確になったからこそのカオスっていう物がより体現されたライブだったと思う。ENDONも初めてライブを観た時とは良い意味で全然違うバンドになったと思うし、より間口の広いアプローチを展開し、ノイズ好きやハードコア好き意外にも全然有効な音を生み出しているけど、やはりENDONの核は殺人的で暴力的なサウンドだ!!でも混沌の中で素晴らしい快楽を生み出していたし、そこには純粋な格好良さしか無かった。



・killie

 今回一番アウェイだったであろうkillie。でもアウェイだったからこそ今回のkillieは凄かった。先ずいつもラストにプレイしている「落書きされた放置死体」は今回プレイせず、プレイしたのは「歌詞は客の耳に届かない」、「脳死が俺の側に」、「お前は労力」の完全に突き放したセットリスト。何よりもkillieメンバー全員から殺気が充満しまくっていた。ここ最近のkillieのライブはモッシュも凄く起こるし、killie側もそれを煽る感じのテンションのライブをするし、核の部分は貫きながら、より外へ外へとその膨大なエネルギーを放出するバンドになったとライブを観ていて思ったけど、今回は全然違った。客は誰もモッシュをしないでただkillieのステージをじっと見守っているし、ステージで繰り出されるサウンドに対してどう反応して良いか分からなくなってしまった。ギターリフから血飛沫が吹き出し、ドラムとベースですり潰される。気が付いたら僕は伊藤さんの放つ言葉をなんとかなんとか聞き取ろうとしていた。僕がkillieを知らなかった時代、killieが一番尖っていた時代のライブってこんな感じだったのかとじっと見守りたくなったし、アグレッシブな繰り出される音とは裏腹に完全に置き去りにされてしまいそうな気分になったし、観ている側はそれになんとかしがみついていたんじゃないかな。ラストの「お前は労力」は今回ライブで初めて聴いた曲で(オフィシャルサイトに上がっていたセトリで曲名分かった)、今回のセットの中では一番各楽器の音のエッジが鋭い曲になっているけど、どんどんどんどん増幅するエネルギーとは裏腹に、これ完全に殺されてしまうんじゃ無いかって思い始めていた。そして呆気に取られたまま気付いたらライブが終わっていた。この理解出来ない事に何とかしがみつきたい、それを知りたいし触れたい。killie側が全てを突き放すライブをしていたからこそ、より強くそれを思ったし、killieはまだまだ凄いバンドである続けるんだろう。



・The Body

 killieの凄まじいライブに圧倒されたが、本日の主役であるThe Bodyがいよいよ登場。ギターボーカル兼ノイズのメンバーがまずとんでもない巨漢で驚いた。腕とか滅茶苦茶ブヨブヨじゃないか。ドラムの人も腕は刺青、髭、ハゲともうスラッジバンドの役満感出ているルックスで最高だ。でも実際のライブは本当に良い意味で裏切られたと思う。音源でのロクでもない殺意と憎悪を音にしましたってサウンドをより増幅させたサウンドをライブで展開するのかと思ったら全然違って、ライブではスラッジコアのグルーブを最大限に生かしたノレる重圧殺サウンドという何だか矛盾しているサウンドを展開していた。確かに音はデュオとは思えない厚みがあるし、ドラムのスラッジビートは音源よりもずっと音量もパワーも凄まじく、正に粉砕サウンドなんだけど、ドラムのストイックでタイトなサウンドはある意味では非常に頭振れるビートになっていて、スラッジコアのままビートの魔力を宿して地獄でダンスする様なビート、一方でギターのサウンドも音量あるし、重いし、モロにスラッジなんだけど、必要以上に地獄感を出すのでは無く、持ち前のロクでもないスラッジサウンドを洗練させているサウンド。そんな二人が放つ音はライブでは本当に余計な音を完全に削ぎ落としてタイトなサウンドになっていたし、それが逆に無駄が無いからこそダイナミックに伝わるし、踊れるスラッジになっていた。時にはギターの巨漢の人が手元のボードから持続音ノイズを発生させたりもしていたけど、それもやり過ぎな感じで出すんじゃ無くて、良い塩梅で曲にアクセントを付けている感じだったし、脂肪だらけのルックスとは裏腹にソリッドでシャープなスラッジサウンドは、Lentoとか5iveに近いサウンドであったし、でも大音量で地獄を生み出すんじゃなくて、良いバランスで暗黒感を出しつつ、そこから充満するタイトなグルーブに頭を振りまくった。ライブは30分程でアンコール無しというセットだったけど、正直もっともっと聴きたかったし、一時間位のロングセットでも全然飽きないライブだった。しかし最初は本当に耳がぶっ壊れるんじゃないかって地獄を想定していたけど、全然違って、でもやっぱりろくでもない荒涼としたスラッジサウンド。本当に凄い物を観ましたよ!!



 The Body終了後にVampilliaのmicciが登場し、来ていたお客に感謝の言葉を述べ今回のイベントは終了。終わったのは23時15分とかで凄くヘトヘトになってしまった(でも平日だからスタート早める訳にもいかないだろうし、転換時間かかるバンドばかりだったからそればかりは仕方無いのかもしれない)。でも火曜の夜にこんなイベントをやってのけてしまういいにおいはやっぱり流石だと思うし、特に主役のThe Bodyは勿論だけど、killieのライブはThe Bodyに対する日本からのアンサーだった気もするし、ENDONとSETE STAR SEPTも爆音地獄で応戦していたし、Vampilliaはやっぱりvampilliaだった。昨年の来日公演に行けなかった身としては今回のThe Body来日は本当に嬉しかったし、日本のロクデナシ共に対して最高のライブで応えてくれていて嬉しくなった。是非ともまた日本にやって来て暗黒スラッジサウンドを放出して欲しい。そして他の出演した国内バンドといいにおいにも改めて感謝とリスペクトを。
タグ : ライブレポ

■Bullshit Propaganda #9(2015年6月20日)@西横浜El Puente

 今回のSu19b企画だが、最早バンド企画を超えたフェスだった。GUEVNNA、Young Lizard、zenocide、Excreteass、Earth Federationを迎えての最高に極悪でうるさい6バンド、それだけでは無く、ディストロ出店ではるまげ堂と3LA、更には横浜のTHRASH ZONEがクラフトビールで参戦、フードでは高円寺のVespera's Falafelが出店と正にお祭り仕様な一夜!!ぶっちゃけ西横浜はかなり遠かったけど、でもこの祭りに参加しない訳無いだろと各地からフリークスが集結し、El Puenteは満員の大盛況!!みんなでうるさい音楽に心震わせ、飲んで喰ってと最高にピースフルな夜だった!!



・Su19b

 先ずはスタート時間から10分巻いていきなり主催のSu19bからスタート。というか主催ハナな上に巻いて良いのかってツッコミを入れたくなったのは僕だけじゃ無い筈。しかしほぼ真っ暗となったフロアでのっけから放たれるノイジーな重低音、最早音が混沌と化しながらも、単なる混沌では無く静かに呼吸をする美しさ、単にノイジーな音で殺すのでは無くて、その殺し方にすら芸術性が存在している。だが激遅パートから激速パートへのカタルシスも相当だし、激速パートではとんでもない重量の音を爆撃機の如く乱射しまくる気持ち良さすらある。ライブが始まってから終わるまで全く途切れない緊張感を放出し、新旧問わず曲をプレイしていたけど、過去の曲も現在の曲も見事にリンクしていたし、ラストの「World Is Doomed To Violence」は現在のSu19bのオリジナリティを象徴する名曲だと再認識。ブラッケンドサウンドに系統しながらも、既存のブラッケンドでは無く、パワーヴァイオレンスからのブラッケンドへの見事な回答であり、心拍数停止サウンドの臨死体験からの暴走サウンドへの変貌。最後は何処までも純粋にヴァイオレンスに殴り殺して終幕。正直言うともっと長くセットをプレイして欲しかったけど、でも20分程のアクトでも濃密過ぎる拷問音量の漆黒虐殺劇、それはSu19bにしか生み出せない異次元だ。



・GUEVNNA

 GUEVVNAは本当に純粋なロックバンドだと思う。ドゥーム・ストーナー文脈とは違う純粋なヘビィロックだ。そもそも先ずRYOさんのマイクが骸骨マイクってだけで最高だ。そしてライブではバンドの熟練のグルーブが光りまくる。決してヘビィさに振り切ったアプローチはしていないし、サウンドには余計なギミックは一切無い。でもミドルテンポのコシの強いグルーブはやはりライブで本領を発揮し、ミドルテンポでノレるというキャッチーさになる。チャラいメジャー感では無く、硬派なメジャー感をGUEVNNAは持っているし、爆音だけど、いや爆音だからこそ純粋に音に酔いしれる事が出来るのだ。曲によっては煙たさを全開にして陶酔出来るパートも盛り込みながら、でも引きずる音の余韻にしっかりと浸らせてくれる。今回の面子の中では一番正統派なロックサウンドでありながら、でもしっかりとヘビィロックの毒を放ち、だけれどハードボイルドな渋さをステージングや音でもしっかりと示してくる。今回のライブも大盛り上がりで終わったけど、このバンドは本当にドゥーム・ストーナー好きだけじゃ無くて、もっと沢山のロックファンに是非とも触れて欲しいと改めて思った。硬派な漢のロックバンドとしてGUEVNNAは最高にクールだし熱い!!



・Young Lizard

 ハードコアの異端児であり暴力であるYoung Lizardはこの日も暴虐そのものなライブだった。最早細かいアンサンブルなんて存在しないし、殺気立ったビートとリフを本能のままに繰り出してくる。常に異様な緊張感に包まれ、密教要素の無いスラッジサウンドとパワーヴァイオレンスなサウンドを融合させて、それをより明確に殺意として提示したライブは最早妙な恐怖感にすら襲われてしまう。余計な音を削ぎ落としているのに何でこんなに心がざわつくんだろうか、何でこんなに不安になって怖くなるのだろうか。ただ音が重いからとか遅さと速さを行き来するからだとか、そんなんじゃなくてもっと根本的な部分での恐怖だ。ギタボの人は今回もフロアに突っ込んだり、暴れてストラップ外れたりだったけど、本能的な部分でラリっているとしか思えない。久々にライブを観たけど、前以上に殺傷力を高めながら前以上に恐怖を煽るサウンドになっていたし、しかしながらその音はどこまでもハードコアだ。純粋なハードコアの狂気に震えるライブだった。



 今回はバンドだけじゃ無くてディストロやフードも充実していたので、転換中はそちらも満喫しまくり。先ずははるまげ堂と3LAのディストロで色々物色。3LAディストロでokbanの「Hiperestesia」とnadjaの「Tangled」を購入。他にも謎のHR/HM箱なんてのをやっていて定番の名盤を一枚200円、二枚組音源は300円と大安売りいていて、そちらは本当に多くの人がチェックしてたし、みんな色々買っていたなあ。普段の定番ディストロだけじゃ無くて、killieの伊藤さんが以前物販でやっていたブックオフ等で安く売るCDをディストロするなんていうのも滅茶苦茶面白いと思う。
 そしてフードの方だけど、横浜のTHRASH ZONEのクラフトビールだけど、これが今まで飲んだビールの中でも最上位に入るであろう美味さ!!アルコール度数自体は高くないけど、兎に角純粋に濃厚なのだ。滅茶苦茶フルーティで飲みやすいのに、後を引くビールの旨みの余韻に浸れるし、ゆっくり大切に飲みたいビール。こりゃ実店舗の方にも通う人が沢山いるのも納得だったし、この文を書いている今もう飲みたくなっている。今度実店舗の方にも行きます!!
 高円寺のVespera's Falafelの方はファラフェルサンドにファラフェルハンバーグにポテトにクラッカーとメニューが豊富。ファラフェルとは豆と香辛料をミックスして揚げた物らしく、ヴィーガンフードとしても有名。僕はハンバーグの方を食べたけど、これ完全に豆が入っている肉じゃん!!僕自身はヴィーガンでは無いし寧ろかなりの肉食だけど、これ最早肉と全然変わらないし、でも肉じゃ無いからヘルシーで何個でも食えちゃう。ポテトの方も特性パウダーで味付けされてて、それも激ウマ!!こちらも近いうちに高円寺の実店舗に行きます!!そんな感じでディストロやフードも転換中に満喫してました。



・zenocide

 しかしzenocideは最早安定感と貫禄すらある。昔のスラッジサウンドでは無くなったけど、パワーヴァイオレンス方面に振り切り激重ながらも速さもガンガン出すようになった今のzenocideは昔とはまた違う格好良さがある。ソリッドさを極めたサウンドでストレートに叩き潰してくる音に失禁必至だけど、バンドが先ず常に安定して完成度の高いアクトしかしていないとも思う。ビートダウンパートでは昔のスラッジさを彷彿とさせる重低音地獄だけど、でも余計な音を削ぎ落としているからこそより重みと破壊力は増したし、何よりも濃密に音を詰めまくっているからこそライブが本当にあっという間に終わってしまった。ショートかつスラッジかつヴァイオレンスと異種配合を繰り返しまくりながら、それを最もシンプルな形で生み出している。今年に入ってからリリースも積極的だし、このバンドはますます脂が乗った良い状態であると思う。激重の暴力が衰えることはまだまだ無さそうだ。



・Excreteass

 ベースの機材トラブルが転換中にあって色々不安になりそうな空気をちょっと感じつつ岡山のExcreteassのライブがスタート。しかしセッティング中のトラブルのグダグダの空気なんて一瞬で吹っ飛んでしまった。もうこれはピュアグラインドの一言しかないし、もっと言うと最高の爆走ロックンロールだ。これぞブラストビートの真髄と言わんばかりに突っ走りまくりながら殴りつけるドラムが先ず最高だし、グラインドでありながらロックらしさやジャパコアな成分もプンプン充満させまくり、ダーティなだけじゃなく、もっとキャッチーさも振り切っている様にも思った。何よりもベースの人が何度もシールド抜けたりしてもお構いなしだったのから分かるように非常にハイボルテージでハイテンション!!もうブチ上がるしかなかったしこの日一番の盛り上がりで圧巻のグラインドコアだった!!



・Earth Federation

 トリはサイド7からやって来たEarth Federation!!ex.324であり現DISGUNDERの信二氏に同じくDISGUNDERの高木氏、そしてex.Corruptedのhevi氏がボーカルというスペシャルバンド!!ベースは本来はREDSHEERの小野里氏だけど、この日はREDSHEERのライブだったのでサポートベーシストを迎えてのライブ。そんなガンダムグラインドな彼等だが、このバンドも正にピュアグラインドだと言えるバンドだろう。先ず高木氏のドラムに圧倒された、若干24歳のグラインドコアのこれからをリードするであろう若きドラマーのブラストビートが先ず凄い!!正確無比でありながら音の粒が揃いまくり、更にとんでもない馬力で突っ走るドラムに圧倒されるし、誰よりも前に出まくって高速のギターリフを引き倒し、瞬殺のギターソロまで繰り出す信二氏のギター、そして何よりもhevi氏は唯一無二のボーカリストだって事だ。例えそのボーカルを披露するフィールドが違えどhevi氏のボーカルは唯一無二であり、あそこまで心を震わせるデスボイスを放つボーカリストは本当にいない。MCこそグダグダではあったけど、そんな部分もどこか愛おしくもあり、でも曲をプレイしたら正にファーストガンダム一年戦争を体現したエクストリームグラインド!!ずっとライブを観たかったバンドだったけど、このスーパーバンドはそれぞれの個性が光りまくりながら、それが新たな化学反応を起こして爆発しまくるグラインドだった!!次は是非とも小野里氏がベースを弾く本来のEarth Federationのライブを観たい!!




 単なるバンド企画では無く、バンド企画でも一つのお祭りが出来るって事を今回Su19bが体現してくれたし、出演バンドのライブが凄かったのは勿論だけど、フードやディストロといったまた違う楽しみもあり、骨の髄まで楽しめる企画だったと思う。他のバンドにも是非ともこうした企画をやって欲しいし、音楽だけじゃ無く、フードや写真やアートや色々な物が混ざり合ってカオスになりながらも新たな楽しみがあるイベントが増えたら、もっともっと日本でも多くのフリークスが生まれるんじゃないかって改めて僕は思った。
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■残響も失せた過去と諦めに彩られた未来に/Gauge Means Nothing

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 2005年に解散した激情系ハードコアバンドGauge Means NothingのEP作品。CD盤とLP盤があるが、内容が微妙に違って、CD盤では一曲目が「ピルグリム」、LP盤では一曲目が「右手」となっている。僕が所持しているのはCD盤の方なので、今回はそちらの方で紹介させて頂きます。僕自身は00年代初頭の国内激情・カオティックの黎明期をリアルタイムで体感出来なかった世代ではあるけど、Gauge Means Nothingはそんな時代を駆け抜けたバンドであり、重要バンドの一つだとされている。そして現在進行形のシーンには全く存在しない自由でプリミティブなサウンドを鳴らしていた。



 彼等の音はどこまでも純粋過ぎて危ういと言える。まだ激情系ハードコアなんて言葉が存在していなかっただろうし、新しいハードコアは全部カオティックってカテゴライズの中で括られていた時代、その当時の独特のクセの強いバンド達の中でもGaugeは特異なバンドだったと思う。サウンドの雛形は90年代の海外激情黎明期のサウンドではあるけど、Gaugeはもっとキャッチーであったし、もっと開放されていた。手探りで自らのオリジナリティを追求し、不安定なバランスだと思わせておいて、実は一番バランスが良いサウンドスタイルを手にしていたし、何よりも音が本当にキラキラしている。激情・カオティックのバンドに対して言う言葉じゃ無いのかもしれないけど、この青い衝動はキラキラしている以外の言葉が無い。
 第1曲「「ピルグリム」」から8分超えの大作だけど、シンセの音色とザクザクと刻まれるギターリフの繰り返しが先ず妙な居心地の悪さを生み出し、既になんとも言えないやるせなさを生み出しているけど、プリミティブも良い所だろっていうトレモロフレーズで疾走するダークネス。そんなソリッドなサウンドはそれこそ90年代US激情の空気だろうけど、シンセの音と共に駆け巡るナードなメロディ、そしてGaugeの重要なファクターの一つである女性ボーカル、笠沼氏の痛々しいボーカルも既に最高だけど、そこにクリーントーンで音を外しまくった女性ボーカルを入れてしまっているんだけど、それが見事にピッタリハマっているし、何よりもメランコリックなメロディが胸にグッと突き刺さる。
 第2曲「ぼくのメガネはゆがんだ風景をぼくの目に映し出す 」は今作で最も激情系サウンドが展開されており、ソリッドなサウンドがより際立ち、笠沼氏の叫びと共に爆走しまくるサウンドに血が噴き出しそうになる。しかしそんな曲でもシンセの音が飛び回り、女性ボーカルの叫びも飛び出しより混沌とした空気になっているし、プリミティブな疾走を貫きながらも濃密に詰め込まれた音の数々に仰け反る。第3曲「ぼくは美化委員」は今作でも時に気に入っている曲で、よりツインボーカル感を出しまくったボーカルワーク、今作で一番のポップネス、サウンドはどこを切っても激情系であり、ツインボーカルで捲し立てながら展開されるサウンドは非常に目まぐるしいのに、疾走パートでメランコリックさがより輝くし、本当におもちゃ箱をひっくり返したって形容が一番しっくり来るかもしれない。ラストを飾る「黒く染まる」もそんな煌きのメランコリーが咲き乱れた名曲になっているし、より感動的だ。



 現在進行形の激情・カオティックのバンドもそれぞれがオリジナリティを強く持ったバンドばかりではあるけど、Gaugenお煌きとメランコリックとダークネスと居場所の無さが一緒になったみたいな混沌のポップネスは間違いなく黎明期だったからこそのサウンドであるし、その当時でもかなり強烈な個性だったと思うが、バンドが解散して10年が経過した今でもその輝きは全く変わらない。それにしても本当に夕方時間に聴くと本当に沁みる作品だ。メンバーは現在P.S Burn This Letter、死んだ方がまし、Kowloon Ghost Syndicate 等で活動中。



■Efter, Utan Under/Via Fondo

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 Anemone, Medviliaのメンバーによるスウェーデンの激情系ハードコアの2014年リリースの1stフルアルバム。今作はレコーディングから何から何までセルフプロデュースで制作されたらしく、これまでのEPでも見せていた炸裂する青き激情はより高次元のサウンドとなり、より磨きがかかっているし、屈指の完成度になっている。日本盤リリースは日本から世界中の美しき音をお届けするTokyo Jupiter Recordsから。



 これまでの作品でもそうだったけど、このバンドは屈指のメロディセンスを持ちながら、それを最もダイレクトで混沌とした形で届けてくる。第1曲「Avstängd」からこれ以上無い位にあちら側へ引っ張り込む美アルペジオから始まりながらも、静謐さでは無く、クリアに歪んだサウンドにて生み出す混沌だ。曲自体の構成も凄く練り込まれているにも関わらず、テクニカルな演奏でありながらも一歩間違えれば崩壊してしまいそうな危うさもある。曲展開も非常に多展開だし、カオティックなフレーズから轟音ギターまで瞬く間に飛び出すし、一曲の中で何度も何度も爆発を繰り返すサウンドスタイル。それは蒼き疾走感であるし、バンドのアンサンブルのバネの伸びの凄さは大きな武器だと思う。変則的な楽曲構成でありながらもカオティックでありつつ、常にフルスロットルに駆け抜けるドラムもそうだけど、それはポエトリー等を盛り込みながら全力で叫び散らすボーカルもそうだし、ただ青い美旋律ってだけじゃ無くて、青く更に駆け巡る様なコード進行を強く押し出したギターのセンスが為せる技だろう。女性ボーカルをゲストに迎えた第3曲「Jag Vill Ändå Vakna」何かは叫びと女性ボーカルの悲痛でどこかヒステリックなボーカルが、瞬発力のギアを最初からマックスで走り抜けるバンドサウンドと見事にシンクロして急降下しているし、かといってその初期衝動はそのままにじっくりと聴かせる第4曲「Januari」の完成度の高さも見逃せない。しかし全8曲を通してここまでスピード違反に爆走するサウンドは他に無いだろう。曲も多展開だし、変則的ではあるけど、一本の大きな筋が通っているし、何よりも持ち前のメロディセンスを初期衝動と共に駆け巡る激情として最大限に表現している。ギターワークの緻密で美しいセンスもあるし、アルペジオを多用しまくっていても衰えない体感速度、全8曲が収録時間よりもずっと短く感じるだろうし、特に第7曲「Mörkert」は今のVia Foundの持ち味が全て詰め込まれている名曲だろう。轟音フレーズやポストロッキンなアプローチも盛り込み、バンドとしての武器も以前に比べて格段に増えたと思うけど、それを全て馬鹿正直なまでにハイボルテージなサウンドに詰め込んでしまっているから最高だ。そして最終曲「Strategi」の2分20秒のカタルシスには圧倒されるし、同時にはやり完成度の高い楽曲のクオリティにも驚かされる。



 多展開、爆走感、カオティックさ、美旋律、美轟音、その手のハードコアの持ち味とされているサウンドをこれでもかとばかりに喰らい尽くした末にそれを最もストレートであり、熱き血潮に満ちたハードコアとして完成させてしまっている事に驚きだし、どこまでもエモヴァイオレンスだと思う。しかしながら最終的にはその天才的メロディセンスと初期騒動溢れる音にブチ殺されてしまうだけだし、1stをリリースしたばかりのバンドではあるけど、ここまで混沌としながら美しく作品を生み出した事実に乾杯だ。今作は勿論Tokyo Jupiter Recordsの方で購入出来る。




■TOMY WEALTH presents 【MASKED MANSION 4】82015年6月13日)@渋谷eggman

 まるで夢の様なイベントだった。Tomy Wealth企画である今回のイベントであるが、主催のTomy Wealthが出演者として選んだのはまさかの降神とkamomekamomeとCOHOLである。ジャンルなんて最早全然バラバラなのかもしれない。でもブラッケンドだろうがハードコアだろうがヒップホップだろうがそんなのは関係無い。ジャンルを超えてただ孤高であり最高の4つのアーティストが対峙したそれだけの事だし、それだけの事で既に最高のイベントになるのは確信した。決して狭くないエッグマンというハコでソールドアウトを記録したのは大きな事件だと思うし、これは単なるバンド企画のイベントじゃなくて一つの事件になるとみんな分かっていたんだろう。いざエッグマンに到着したらいる人々は本当に多種多様だったし、でもそんな多種多様な人々みんながそれぞれのアーティストのライブをしっかりと目撃していたのも印象深かった。僕はこのイベントに足を運べて本当に良かったし、2015年のシーンを象徴する事件の目撃者になれて良かった。以下その一部始終を。



・COHOL

 先日リリースされた待望の2ndアルバム「裏現」が本当に全世界を塗りつぶすとんでもないアルバムだっただけに本気でライブを観たくて仕方なかったCOHOL。先ずはステージにKYOSUKE氏とITARU氏が立ち「裏現」でも一曲目を飾るインスト「冷たい石」をプレイ。そして全身ボロ布の衣装を身に纏ったHIROMASA氏が登場し「下部構造」からキックオフ!!しかしながらもうとんでもないという言葉以外浮かばないライブだった。先ずKYOSUKE氏のドラムがとんでもない!!正確無比過ぎるドラミングを展開しているにも関わらず、とんでもなく速い!!怒涛のバスドラとシンバルをあり得ないポイントでブチ込んでくるドラミングは前々から凄かったCOHOLのビートを更にエクストリームに仕立て上げている。HIROMASA氏もよくあの速さのフィンガーピッキングを繰り出しながら叫べるなってベースを繰り出し、そこにITARU氏のセンスの塊しか無いギターで世界観をより確固な物にする。何よりも以前よりもブラッケンドな音になっているにも関わらずその音は紛れもなくハードコアのそれでしか無いし。「ハードコア=進化」である事をCOHOLはライブでも証明してくれた。「裏現」の楽曲中心のセットではありながら中盤で「不毛の地」を繰り出しガッツりブルータルなサウンドで殺しに来てくれたのも最高だったし、こんなにメロディアスであり、こんなに暴力的で冷徹でありながらも熱い音楽は他には無いし、それはITARU氏の熱い想いをブチ撒けるMCからも伝わってきたし、何かITARU氏のMCで凄いグッと来てしまった。終盤の「地に堕ちる」からラストまでは本当に怒涛のサウンドを展開。しかしここまで美しく激烈でダークでありながら、同時に人間味溢れて優しさすら溢れるライブをするバンドって他にいないだろ!!どんなにスモークが充満してステージの上の3人の姿が隠れても、どんなにHIROMASA氏が布を被って素顔を隠そうとも、その熱き魂は絶対に隠れやしない。それが伝わって来るから胸が熱くなる瞬間が何度もあった。だからこそ良かった。COHOLはブラッケンドとか激情って言葉じゃ片付けてはいけない。紛れもない熱すぎるハードコアだ!!



・kamomekamome

 COHOLの熱すぎるライブからカモメの流れがもう最高だと思う。のっけからいきなり向氏のMCというか小芝居からスタート、もう小芝居の内容で一曲目に何をやるかは分かっていたけど、幼少期に幼馴染と竹林に行ったエピソードを話す小芝居から始まるのはもうこの曲しかない!!のっけから「メデューサ」!!!!!いつもよりは大人しめとは言えいきなりピットが出来上がってモッシャーが登場するし、プログレッシブでありながら獰猛なるハードコアでフロアを完全にカモメの物にしてしまっていた。続く「ナイーブレターズ」から「例え言葉は冷静に」で更にフロアの空気を着火させるし、フロアの熱気がとんでもない事になっていて汗だくに、カモメのライブ自体は観るのは結構久々にはなってしまったけど、この人たちはいつライブを観ても常にフルスロットルで最高の熱量しか放出しないし、細かいミスだったりとかはそりゃあったりはするけどそんなの関係無しにフロアを熱くする熱量のみを常に爆発させまくるのだ。COHOLのITARU氏に負けない熱さでこの日の出演バンドへのリスペクトを語ったMC(COHOLの新作を最早一家に一枚無きゃおかしいって言ってのはちょっと笑ってしまった)から、「頭の中お大事に」、そして「化け直し」、「エクスキューズミー」、「手を振る人」とラストはアンセム三連発で締めくくり!!というかこの日のセットは全曲アンセムで固めて本気中の本気のセットだったと思う。汗だくになりながら叫ぶ向氏の姿は最早神々しさすらあったし、ハードコアのそれでしか無いサウンドを繰り出し、フロアを狂騒の渦にしながらも最後の最後はみんなを笑顔にする。例え時には暗い事を歌っていたりしても、今のカモメには紛れも無く愛が溢れている。シリアスであってもその熱情で魂を焦がすハードコアとしてカモメは最強なんだ。COHOLのライブに続いて本当に魂が熱くなるライブだったし、汗だくになって死にかけたけど、本当に胸を撃つライブだった!!



・降神

 この人たちは最早ヒップホップじゃ無いのかもしれない。ライブ自体は実に7年振りとかに観た降神であるが、最早トラックすらいらないってレベルだった。先ずは志人が登場し志人のフリースタイルから始まったけど、先ずはここまで声だけで引き込む表現者が他にどれだけいるのだろう。ラッパーだとか詩人だとかいう括りじゃ括れない、本当の意味で選ばれた表現者なんだと改めて思った。なのるなもないも登場し2MCで本編スタート。この日は昔の降神の曲も結構やってくれたしサービス溢れるセットだったけど、トラックのドープさもさながら本当にこの二人の表現者が生み出す世界はとんでもない。ラップ自体もこの二人にしか出せないフロウがあるけど、声と言葉で最大限の表現をこの人たちは生み出しているし、アカペラで歌うだけでここまで心を震わせるだけの表現は一体何と言えば良いのだろうか?カテゴライズこそヒップホップなのかもしれないけど、フリースタイルもラップも歌も引っ括めて降神が放つ声と言葉は唯一無二の感動しかない。ラストはアンセム「帰り道」で締めくくったけど、最後の「また会いましょう」のリリックでやっぱり涙腺が緩くなってしまったし、時には鋭い言葉を放ちながらも、また出会いを約束する優しきアンセムにフロアの心は間違いなく一つになったと思う。本当に降神は唯一無二の素晴らしいアーティストだ。



・Tomy Wealth

 トリは主催のTomyだったけど、この人のライブも本当に感動的だった。トラックメイカー・ベース・ドラムだけでここまで豊かな情景を生み出し描くアーティストはやっぱり他にはいない。先ず緊張感溢れながらも完全に息が合ったアンサンブルに震えるしかないし、何よりもTomy Wealthは素晴らしいトラックメイカーである以前に素晴らしいドラマーなのだ。ここまでダンサブルでありながらパンキッシュでハードコアな躍動感に溢れて踊れるのに感動的なドラムを叩く人はいないし、最早ドラムだけで一つのアートの領域に到達してしまっている。ヒップホップだけじゃなく、もっと映画的世界を描くトラック、3人の音だけで言葉を借りずとも美しい流線型を描くアンサンブル、一つ一つの音が繊細極まりないのに、同時に大胆でもあり、音の呼吸すら聞こえてきそうになってしまう。MCを全く挟まずほぼノンストップで繰り出される名曲達はピアノのサンプリング、グルーブに満ちたベース、そしてTomyのドラム、一々音に説得力があるし、それがどれも感動的な美しさに溢れていた。そしてアンコールでまた一曲プレイしたが、お気づきだろうけどこの日のイベントはkamomekamomeと対バンだ。フロアがアレやらねえのかよ!!って空気になったところでTomyの思わせぶりなドラムソロが始まり、そしてドラムロールが始まった瞬間にカモメの向氏が登場!!そして向氏とのコラボ曲「Automatism」と焦らしに焦らしてみんなが待ち望んでいた名曲を最後の最後にプレイ。ただでさえ他に入る余地が無い3人の音に見事すぎる言葉とボーカルとラップを入れる向氏の天才っぷりも凄いけど、インストってだけで既に完成されてしまっている3人の音に更に素晴らしいボーカリストが加わるだけで素晴らしい熱量が。美しいピアノの音色とベースとドラムのグルーブに向氏のボーカルと完全すぎる形で表現された「Automatism」はこの日のハイライトであったし、このイベントで集結したアーティストとお客さんのかけがえのない惹かれ合いを象徴している様でもあった。



 アンコールが終わって最後は出演者みんながステージに集合して集合写真を撮り今回のイベントは締めくくられたが、ふと見渡せば出演者は勿論、ギチギチに埋まったエッグマンにいた人々がみんな笑顔だったのだ。出演したアーティスト達の音楽性は言ってしまえば決してメジャーな物じゃないのかもしれないし、極端な音楽性ではあるのかもしれない。でも本当に素晴らしいアーティストはどんな音楽性だろうと関係無く、そのライブで人々を笑顔にする事が出来るのだ。そんな4つの素晴らしいアーティストは勿論、転換中に素晴らしいパフォーマンスを展開していたDJ A-$UKEとFL CHE PACHINO、そしてこのイベントに関わった全ての方々に改めて大きな感謝とリスペクトを。
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■Atheist's Cornea/Envy





 やはりEnvyというバンドは凄い!!前作から5年の歳月を経て届けられた今作だけど、これまでのEnvyの集大成とも言える作品を遂にドロップしてくれた。前作「Recitation」はハードコア要素こそあったけど、それはもっとキャッチーだったりポップであったりポストメタル的であったりもしたけど、今作はここ最近のEnvyの音も存在しているけど、それこそ名盤「君の靴と未来」の頃の痛々しい熾烈な音も存在しているし、長いキャリアの中で自らの核を貫きながらも変化を続けてきたEnvyの歴史の集大成がここに存在している。



 今作は「君靴は大好きだけど、ここ最近のポストロック化したEnvyはちょっと…」って人にこそ是非とも聴いて欲しい作品であるし、同時にここ最近のEnvyの音が好きな人にも聴いて欲しい作品だ。確かにここ最近の数枚のアルバムはポストロック・ポストメタル化したサウンドだったし、激烈な音よりも美旋律を壮大に奏でていたとも思うし、そこを絶賛する人もいれば、そこに物足りなさを感じた人も多かっただろう。僕自身はそんなEnvyも凄く大好きなんだけど、でもやっぱりこれぞ激情系ハードコア!!なEnvyの音もやっぱり欲しくなったりもしていた。国内激情系ハードコアでは不動の帝王であり、海外でも絶大なる支持を集めている事は周知ではあるとは思うけど、でもそんなキャリア20年を迎えたEnvyは何もブレていないし、何も揺らいではいない。第1曲「Blue Moonlight」はイントロこそここ最近のEnvyらしいクリーンのギターで始まるけど、瞬く間にこれぞEnvyという激烈すぎるサウンドが炸裂!初期のEnvyの名曲群と並ぶだけの痛みを吐き散らすサウンドと言葉、会心の一撃をいきなり食らわして来るこの一曲だけで目から涙が出そうになる位に嬉しくなったのは僕だけじゃないだろう。第2曲「Ignorant Rain and the End of the World」もそんなEnvy節全開なハードコアが炸裂!フックが効いたソリッドなツインギターのフレーズの攻撃的でありながらも感情を貫く音はキャリアを積み上げて再び原点を見つめ直したからこその貫禄に溢れているし、世界で戦い続けているからこその圧倒的貫禄は流石だ。
 かといって単純にハードコアに回帰するだけじゃないのはやっぱりEnvyらしくもある。第3曲「Shining Finger」はその曲名に「シャイニングガンダムかよ!!」って突っ込みそうになったのは僕だけじゃ無いけど、「Seane」を彷彿とさせるポストロックなEnvyの名曲となっており、美旋律とポエトリーによって進行し、キーボードの音色の暖かさと轟音によって至福の瞬間を生み出し、希望の煌きが広がる神々しさ、ここ最近の路線の楽曲も以前以上に説得力が増しているのもやはり進化だ。第4曲「Ticking Time and String」はsgt.成井嬢がヴァイオリンで参加し、ポストメタルな激烈なサウンドを繰り出しながらも、その壮絶なる激音激情から最後はヴァイオリンの音色に酔う至福に包まれる。第5曲「Footsteps in the Distance」ではキャッチーさとスケール感溢れる叙情的メロディとポジティブなエネルギー溢れるサウンドとtetsu氏のポエトリーは否応無しに「今日を精一杯駆け抜ける君に、鼓動を刻む明日は来る!!」って感じだし、そこから光り溢れるハードコアである第6曲「An Insignificant Poem」へ続くのは何かもうズルいなあってなる。
 そして決定打でありハイライトはライブでもいち早くプレイされていたし「NERO 光」とのタイアップでいち早く公開されていた第7曲「Two Isolated Souls」だろう。一転して再び歪みまくったギターが鳴り響き、すり減らすリフから今作一番の爆発を魅せるカタルシス!!この曲は正にEnvyのハードコアが究極の理想形として完成された証明であり、ポストロック化していないサウンドでありながら、スケールが凄いし、ソリッドでストレートな激情サウンドにメロディセンスとスケール感をぶち込み、Envyにしか生み出せなかった音を繰り出し、中盤でポストロックな静謐なパートを挟みながらも終盤ではその流れを受け継ぎクライマックスへと爆走していく正に「Envyスタイル」としか形容出来ない音に完全にノックアウトされた。そしてエピローグとなる最終曲「Your Heart and My Hand」の陽性のメロディが炸裂し、眩いばかりの光を激しくも優しく描くラストで感動的に締めくくられる。



 全8曲とコンパクトな作品ではあるが、20年に及ぶEnvyのキャリアで培った全てを惜しみなく出し切っている作品だと思うし、どこを切ってもEnvyな作品だと思う。痛烈なハードコアもあれば柔らかな光差し込む楽曲もあり、光と闇と激情から世界を描くEnvyの総決算とも言える逸品だろう。昔のハードコアなEnvyが好きな人も今のポストロックなEnvyが好きな人も納得の完成度だし、大ベテランであるからこそそんな作品を生み出せたのだろう。日本が世界に誇る激情の生きる伝説は現在進行形であるし、今作もそんなEnvyの新たな1ページとして狂い記されていく。



■Conspiracies/GUEVNNA

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 ex.CoffinsのRyo氏率いるストーナーロックバンドGUEVNNA。今年に入ってex.屍・VektorのTemi氏も加入したが、そんな彼等の初の単独音源である1stEPが今作だ。歌詞カードこそ無いけど、アートワークが凝っていて収録されている4曲それぞれをテーマにしたアートワークも注目だけど、これがこれ以上にない位にロックな作品になっている。既存のストーナー・ドゥームとはまた違ったアプローチを展開しながらも、それでも言うまでもなく煙たい音ばかりが充満している。



 BongzillaやIron Monkeyといったバンドの影響を受け、それらのバンドへの愛を感じさせるサウンドでありながら、今作は所謂ストーナー・ドゥームとは全然違う作品である。ストーナーとして見ると爆走ブギーサウンドじゃないし、ドゥームとして見ると極端にヘビィに振り切っている訳じゃない。基本的にミドルテンポで曲は進行しているし、リフやグルーブはどこまでもヘビィだ。しかし同時に純粋なロックバンドな間口の広さがあって、極端にヘビィさやドラっギーさやダークさに振り切るんじゃなくて、どっしり構えた骨太のミドルテンポサウンドを活かし、良い塩梅の重さのリフだったり曲の完成度の高さで勝負しているといった所だろう。特にバンドのグルーブはかなり気持ちよくて、引きずった音でありながら解放された音は純粋に気持ち良い。個人的にはストーナーやドゥームだけじゃなくて、古き良きグランジサウンドにも通じる物を感じるし、バンドがそこら辺を意識しているかどうかは分からないけど、この煙たく重く、でもカラッとしていて純粋にロックなサウンドはグランジ的だと思うのだ。
 第1曲「Conspiracy」の冒頭から煙たく思いギターリフとリズム隊のグルーブでグイグイ引き込んでいくサウンドが展開されるも、そこから躍動感溢れるストーナーサウンドが展開される。それも爆走ロックサウンドとは違って、あくまでミドルテンポなビートでのっそりと疾走する矛盾したサウンドを成立させてしまっている。それはどこかダンスミュージック的グルーブでもあり、極端に速くも無いし、遅くもない。音もあくまでもロックサウンドの中でのヘビィさで、チューニングの重さじゃなくて一番重く聞こえる音階を使ったリフを使っているからだろう。本質としての「ヘビィ」さを熟知しているからこそ生み出せるサウンドだと思うし、Ryo氏のボーカルもCoffinsとは全然違ったストーナーロック愛に溢れたボーカルを聴かせ、それが滅茶苦茶格好良い!!何よりも曲そのもののキャッチーさが素晴らしいし、確かにヘビィではあるけど、そういった音楽を全然聴かない人でも、もしかしたら音楽を全然聴かない人ですら拒絶反応起こさずに受け入れられるであろう普遍性があるし、でもやっぱりストーナー・ドゥーム好きのフリークスからは「これでしょ!!」って絶賛されるサウンドだ。
 第2曲「Confession」は正にキラーチューンであり、2本のギターが充満し走りまくる気持ちよさと、リズム隊の少し粘っこくてコシの強いビートが炸裂。中盤のBPMを落としたパートではより重くなっているのに、でもあくまでもロックなサウンドであり続けている。音こそドゥーム・ストーナー好きに受け入れられる音なんだけど、個人的に実はドゥーム・スラッジ感はふりかけ程度のエッセンスなんじゃないかなって思ったりもする。所謂ドゥーム・スラッジの密教性が今作には全く無いし、今作で提示しているのは自然体なロックサウンドの中での開放だと思うし、それこそアートワークも含めたらある種の全ては明らかにはしないけど、その世界観を分かりやすく提示しているのかもしれない。その捉え方も人それぞれであるし、「病み」だとか「暗黒」といった部分がテーマじゃなくて、もっと普遍的な「何か」をこのバンドはテーマにしているのかもしれない。第3曲「This Mortal Grace」なんて映画のBGMにも全然使えてしまうんじゃ無いかっていう気持ちの良いロックサウンドだし、Old School Discoにもバンドは影響を受けているらしいが、極端に速くない自然体な速さでのグルーブはそこから来ていると考えたら納得だ。第4曲「Deathbed」は今作でも特に濃密なグルーブに溢れていて、リフの反復といった要素もありつつ、でも終盤のギターソロは激渋であり、最早渋い男達のロックとして全然成立すらしていると思う。でもグランジ的グルーブもあり、それでいてディスコサウンドやストーナーといったグルーブもあり、それを最も普遍的な形でロックに落とし込んでいるのだ。流石である。



 既存のストーナーでは無く、またドゥーム・スラッジ方面に振り切るのでは無く、開放的でキャッチーでノレるサウンドを提示したGUEVNNAはストーナーからロックの新たな可能性を今作で提示したと思うし、ヘビィさに頼らず、でもやっぱりヘビィなグルーブで、もっと間口が広く普遍的でありながらより濃厚な全4曲はバンドのオリジナリティと熟練の渋みが光りまくっている。来年には1stフルアルバムもリリース予定らしいし、そのフルアルバムでは今作で提示したサウンドが更に進化していると思うし、より普遍的で独創的なGUEVNNAのストーナーサウンドがどうなっていくか本当に楽しみである。



■The Ark Work/Liturgy





 狂気のポストブラックメタルであるLiturgy。前作「Aesthethica」から実に4年の歳月を経て届けられた今作であるが、それがとんでもない大問題作であり大傑作となってしまった。前作もメタル系メディアとかにはdisられたりもしたらしいが、今作は更に大ブーイングを喰らい、Pitchforkでも6.4点という点数を付けられてしまったりと散々だ。しかしこの作品は前作が生温く感じてしまうレベルでLiturgyの狂気が詰められた作品であり、そして本気で他に似ているバンドや作品が全く思い浮かばない作品だ。一言で言ってしまうと本気で頭オカシイし気持ち悪いビートと音しかない。



 先ず今作について大きく触れると歪んだ音が全く存在していない。トレモロリフといったギターの音は全く歪んでいない。ほぼクリーントーンの音である。ボーカルも叫び全く無し。鼻声みたいなラップ調のクリーントーンボーカルとなっている。というかそもそもブラックメタル要素は殆ど無いし、あっても燃えカスみたいな感じになっている。前作はガンガン歪んだトレモロもがなり声もかなりあったけど、今作でそれらは完全に封印。ボーカルに至ってもクリーントーンでエモーショナルに歌うって事は全くしていない、ラップ調と言っても全く生気の無い感じだし、不気味過ぎるボーカル。何よりこれまでのぶっ壊れたビートがよりズタズタになっている。それはまるでビートをパーツとして使って組み合わせた様な不自然極まりないビートであり、初聴の時はプレイヤーがぶっ壊れたんじゃないかって本気で思った。更には加工もされまくっているし、そちらも全く生気が無い音になっている。加えてホーンの音を大々的に取り入れて寧ろそのホーンの音で曲の輪郭を掴むみたいな感じだし、トレモロの音と共に不気味に響くベルがかなり耳に残るだろう。簡単に言うとブラックメタルもメタルも今作にはほぼ無い。トレモロフレーズからそりゃメロディは確かに存在しているし、曲としては全然成立している。でもそれを分解と再構築を繰り返して、ブラックメタル要素を完全に燃やした消し炭もトッピングしてみましたって感じ。ちょっと無理やりかもしれないけど、今作に近い音がもしあるのならここ最近のSWANSだろう。でも曲は長尺曲もありながらも、基本的には割と普通の尺の曲が多いし、また聴き方次第ではdjentやプログレメタル的とも捉える事も出来るかもしれない。でも如何せん本当に全ての音に生気が全く無いし、それは冷徹で緊張感があるっていう音だからじゃなくて、本当に抜け殻みたいな音ばかりが並んでいる。そりゃメタラーからは反発喰らうし、インディ系からも低評価だわ。
 とここまで今作について大雑把に語ってはみたけど、僕はこれが最強にカルトな作品であり、もうブラックメタルとかインディ系の枠組みで語る必要も無い作品ですらあると思うし、本当に大傑作だと思っている。これまで俗に言うヒップスターブラックのバンドは批判を浴びながらもそれぞれ確かな進化を遂げて支持を得た。初期こそ正にシューゲイジングブラックメタルであったけど、メタルを捨て去り完全に夢の世界を描く幻想絵巻を生み出したAlcestもそうだし、激情要素も取り入れ、よりキラキラしたサウンドを展開しながらも古き良き90年代V系感すら手にして堂々と輝きを放つDEAFHEAVENもそうだ、Liturgyもヒップスターブラックの代表格であったけど、彼等はその音をよりドープでイルにして、そしてそれすらも分解して感情移入の余地すら残さない異形さとして進化させたのだと思う。僅かばかりのメタル要素、ヒップホップやブレイクコアといった音にそれを近づけながらも決してそこには属さないでいて、今作で正にLiturgyでしか無い音を生み出したのだ。本当にここまで気持ち悪くなる音は無いし、それをクリーントーンで生み出してしまったから本当にタチが悪いったらありゃしない。
 第2曲「Follow」の時点でいきなり壊れたビートとトレモロとベルが延々と鳴り響き、加工された鼻声ボーカルがまるで悪夢みたいに響き渡り、第3曲「Kel Valhaal」でプレイヤーが完全にぶっ壊れたと思ってしまうだろうビートに慄き、第4曲「Follow II」の終わりのない2本のギターが放つトレモロがまとわりつく不気味さを生み出す。そんな序盤だけでも頭が狂いそうになるし、ブレイクビーツ的なビートであり、ギターのメロディは叙情的で悲哀に溢れているのに、鼻声ラップによってそれすら気持ち悪さへと変えてしまっている第5曲「Quetzalcoatl」、フレーズこそまだ普遍的だけど、変速ドラムに合わせたギターとベースが却っておかしい事になってしまっている、プログレメタルの抜け殻みたいな第6曲「Father Vorizen」、そして今作の狂いっぷりを全て詰め込んだのに、やたらドラマティックに展開しながら、それが余計に奈落へと引きずり込む様なおぞましさしかない10分に及ぶ白昼夢である第8曲「Reign Array」は今作のハイライトであるし、そこから完全にドープ極まりないヒップホップになってしまっている第9曲「Vitriol」へとある意味自然に続いていくのがまた凄いそんな音ばかり続いた末に結局ぶっ壊れた最終曲「Total War」でエンディングを迎えるけど、その頃には最早この抜け殻の中に狂気を詰め込んだ音に神々しさすら感じてしまうし、やっと何処かで感情移入出来た事に安心すると思う。ラストのトレモロの轟音はまるで感情の全てを洗い流してしまうかの様な感覚に陥るし、最早洗脳されてもおかしく無いレベルだと思う。



 個人的には最早ある種の宗教音楽の域にまで到達してしまった音だと思うし、というかこれライブで再現出来るのかって気にもなったし、兎に角全編通して不気味極まりないし、究極に異物感と恐怖を覚える音に歪んだ音は最早必要無いとすら思えてしまった。でもそんな音の中にも確かなメロディだったりビートという掴み所があるからこそ余計薄気味悪いし、分かりやすい轟音や重さで恐怖を与えるのでは無くて、じわじわと危険な注射を打たれておかしくなっていきそうな作品だと思ったりもする。神秘的な美しさと忙しなく転調を不自然に繰り返すドラムと抜け殻のボーカルが組み合わさって、アッパーなのかダウナーなのか、ドープなのかイルなのか、もうブリブリでパキパキですら無いんじゃないか、でも分かりやすい高揚では無くて、沈んでいく様な緩やかに浮いているようなその両方があったりもする。だから今作は本当にカルト的な作品だし、でも異様なまでの中毒性もある。ある意味では歴史に残って欲しい作品。でも僕はこの作品をある意味メタルとか云々じゃなくて一つの表現の究極系だと断言したい。



■opposition to pops(2015年6月7日)@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

 昨日に引き続いてこの日もごちゃ混ぜ系のライブイベントに足を運んで来ました。というか三日連続でライブだし、その三日間全部良い感じでごちゃ混ぜなイベントだからやっぱり色々収穫は多い。この日はTHE CREATOR OF目当てではあったけど、それ以外のバンドもチェックしたかったし、やっぱり普段行かないイベントにもしっかりと足を運びたいんですよ。そんな感じで以下レポです。




・LosingMySilentDoors

 今回はTCO以外は全部初見のバンドばかりだったけど、このバンドは兎に角音がキラキラしていた。ダンサブルなドラムのビートで曲をグイグイ引っ張りながら轟音の美メロで聞かせるバンドであり、歌物要素を持ちながらも時には激しさもガンガン出していくスタイル。音自体はキャッチーでメロディアスではあるけど、その浮遊感は若干サイケデリック要素もあってり、単なるシューゲイザー系のギターロックとは違う。またビートは骨太だったからバンドとしてのアンサンブルもしっかりと聞かせてくれるし、VJの映像も含めてパラレルワールド感覚に満ちたサウンド。最後は轟音と共に叫びを繰り出すエモーションで締めくくられた。



・音の旅crew

 今回大きな収穫だったのはこのバンドを知れた事だったと思う。音楽性は完全にレベルミュージックのそれであり、レゲエ・ファンクを基調としたサウンドでありながら、オーガニックでピースフルな空気を生み出すバンドであり、同時にキャッチーな歌物としても成立させている。SUPER BATTER DOGやフィッシュマンズといったレベルミュージックから生まれる多幸感とポップネスを放つバンドであるけど、もっと泥臭さもあり、もっと開放感もあるし、野外フェスとかで観たら本当にハマるバンドだと思う。びっくりしたのはこの手のバンドって演奏上手くて当たり前みたいな風潮あるけど、それでも演奏がマジで上手い!ダブっぽいコラージュとかは無くて、かなり純粋なルーツミュージックサウンドであるからこその自然体のグルーズは聴いてて気持ちよさしかないし、でも裏拍でキメるカッティングのキレとか凄いし、ベースの人とか滅茶苦茶上手い!!グルーブを自然体のままで開放していくサウンドスタイルはドラっギーさこそ皆無ではあるけど、ナチュラルな高揚があり、ライブ観ていて凄くほっこりしてしまった。この手のジャンルは明るい人間じゃ無いけど、色々な層を引き込むライブしていたし、これはこれからちゃんとチェックしなきゃだ。



・HALBACH

 そんなハピネスな空気をブチ壊した電脳ジャンクノイズバンドであるHALBACHだ。一発目の音で完全に耳が壊れそうになる位の爆音でキンキンしまくったノイズが炸裂。ブラストビートも炸裂しまくり、女性ボーカルの人が叫びまくる。曲自体の原型はキャッチーだったりするのはmelt-banana的でもあって、そういったバンド好きな人にとってストライクかなって思ったりもしたけど、もっと不快感を感じさせるノイズでもあったし、でも何故かキュートさもあってと相反する要素を無理やり同じ場所に詰め込んだ感じ。ビートも踊れるビートだし、メロディもちゃんと感じ取れる音でもあったけど、でもやっぱりそれを極端に分解して再構築した音は異常だって思うよ。最後はボーカルの人がフロアでぶっ倒れていたし、なんだか嵐の様なライブだった。



・THE CREATOR OF

 そしてトリはTCO。今回はVJを使ったライブセットとなっていて、VJ以外の照明はほぼ無しという感じ。セットは前半は「Settle」、「Out For Three Days Straight」、「Pass Away」のインスト3曲。またアレンジも色々変わっていて、リズムパットの音を大胆に取り入れたサウンドはこれまでのライブとはまた印象が大きく変わっていたし、よりミニマルなビートでじっくりと聴かせるサウンドスケープにもなっていて、反復の美学からエネルギーを増幅させるスタイルへ。そのアレンジがより不純物を取り除いた感じでより研ぎ澄まされていたけど、やっぱり爆発する部分ではディストーションサウンドがガツンと来るし、「Out For Three Days Straight」はそんなアレンジがハマっていた。「Pass Away」は音数を減らした事によって極限のバランスにより静寂の世界を展開するサウンドになっていたし、美旋律をよりミニマルに描く事によって、バンドサウンドの中でもっと違う場所へとアプローチする音に。でもハードコア好きからポストロック好きからクラブミュージック好きまで引き込める音でもあった。本当に必要な情報と音だけを詰めた事によって、逆に密度が上がったんだと思う。そんな曲でも轟音パートはやっぱりガツンと決めていたし、後半の「Wind Up」はそんなアレンジの中だからこそより爆発するパートでのトランス感がパワーアップしていた。ラストの「You Are」はそんな空気を一転させてもっとヒリヒリした緊張感がずっと炸裂し、よりタイトな音作りになったビートとは裏腹に2本のギターがより暴れるサウンドへと上り詰める!!VJの映像とのシンクロも見事で、より神秘的な世界を生み出していただろう。今回は新曲こそ無いセットではあったけど、これまでの曲に新たな息吹が吹き込まれていたし、これが次はどうなるか分からない。だからこそTCOは予測不能な事を最も真っ当に常に鳴らすバンドなんだ。



 全バンド終了が23時前で、結局少しグダグダしていたら終電で帰るハメになってしまったり、三日連続のライブで大分クタクタにはなってしまったけど、それでも新たな収穫もあり、やっぱりTCOのライブは凄かったりと良いライブ3連チャン最終日になりました。
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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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