■2015年08月

■Salad Days Vol.314(2015年8月23日)@小岩bushbash

 2015年八月で六周年を迎えた小岩bushbash。一ヶ月に渡ってアニバーサリー企画の数々が開催されているが、小岩eM7時代から続く名物企画「Salad Days」も勿論開催。
 この日は久々のライブとなったaieや、小岩と共に歴史を積み上げたCurveの出演など、日本のエモ・オルタナティブを代表するバンドが集結。PLAY DEAD SEASONはベーシストサカイ氏の体調不良により出演キャンセルになってしまったのは残念ではあったが、それでも十分過ぎる程に豪華な6バンドでブッシュバッシュの六周年を祝ったのだ。



・Curve

 小岩と共に歴史を刻んできたCurve。エモ×シューゲイザーを超えたファンタジーとしてのロックを今回もCurveは鳴らしていた。
 既発曲から新曲まで満遍なくプレイするセットで今回は挑み、ホームであるブッシュバッシュでのライブということもあって、少しリラックスしながらもありったけの感情を歌とメロディに託すCurveならではのスタイルはこの日も健在。
 途中機材トラブルでギターから音が出なくなってしまったりもあったけど、ドラムとベースだけの音になっても羅氏の歌は高らかに響き渡り、その歌だけでメロディはおろか、Curveが持つ幻想的世界を体現してしまっていたのはCurveの底力を観たといった所だ。
 よりオルタナティブになりダイナミックになった新曲も今のCurveのモードを体現し、よりソリッドかつアグレッシブなサウンドでありながら、揺らぎとブレが全く存在しない幻惑のメロディと歌が感動を呼び起こし、観る物の感受性をこじ開ける。
 今回のライブはトップバッターではあったが、序盤からいきなりハイライトを生み出し、ブッシュバッシュに新たなる救いと秩序を生み出したのだ。今の攻めに攻めるCurveはこれからとんでもない爆発を見せてくれるだろう。



・Twolow

 いよいよ1stアルバムのリリースも決まった新人だけど新人じゃないヘビィネスTwolow。
 ライブ自体は本当に久々に観たんだけど、以前観た時とは明らかにバンドのモードが変わり、音のソリッドさはそのままに、よりメジャー感溢れるアンサンブルを魅せるバンドになったと思う。
 勿論楽曲構成は複雑だし、分かりやすいアグレッシブさよりも渋さが全面に出ているサウンドなのは変わらないけど、ヘビィなオルタナティブロックとしての理想形を描き、刻みまくりなギターフレーズから感じるクールなダークネス、塚本&亀井のリズム隊のグルーブも鉄壁その物。
 分かりやすい爆発では無く、爆発寸前の緊張感を常に保っている様な熱量はじわじわと鼓膜に入り込んでくるし、際限なく刻まれるリフが複雑に色を変える度にTwolowという未知の生命体の輪郭はより掴めなくなってしまう。
 今回久々にライブを観てみて、やはり一筋縄ではいかないバンドだと思ったけど、でも鉄の匂いと重みをこれでもかと感じるアンサンブルは新人バンドじゃ絶対に出せないし、10月リリースのアルバムでやっとその全貌が少しは掴める気もした。
 ヘビィロックのブラックボックスことTwolowはリスナーの安易な想像を軽々しく裏切っていくだろう。



・aie

 最後に観たのはもう6年前とかだったかもしれない。本当に久々にaieのライブを観る事になった。
 バンド自体もライブをしていなかったらしく、この日は大分久々のライブだったみたいだけど、頭に「nicolai's place」というaieのアンセムをいきなり持ってこられてしまって一気に感涙物のエモーションが溢れ出す。
 ライブ自体の出来は決して良いとは言えなかったとは思う。演奏にはかなり硬さがあったし、久々のライブという事もあって、音の散漫さも目立ってはいた。だけど、aieが持つ珠玉のメロディと誠心誠意全力でぶつかってくるライブは技術的な意味でのライブの出来を完全に超えていたのだ。
 aieのライブやMCからは色々な戸惑いや困惑もありながらも、それでも足を止めることはしないという覚悟が見えたし、最後は楽器を放り投げる爆発的感情を出し切り終了。お世辞にも完成度が高いライブとは言えなかったし、前に観た時よりも初々しさすら感じるライブだった。でも新たなるスタートを改めて切ったaieというバンドをまた心から応援したいと思ったし、柏が生んだ純粋無垢な結晶は絶対に砕けない!!



・MiDDLE

 鶯谷ローカルハードコアヒーローMiDDLE。このバンドはどこまでも清く正しく尖り続けている。
 春にドロップされた「尖音」でも見せつけていたディスコダントポストハードコアサウンドの真価はやはりライブで発揮されるし、音源とやっている事は何一つ変わらないけど、だからこそ人間臭い熱きパッションがMiDDLEのライブでは迸る!!
 全7曲に渡ってストイックかつ硬派に繰り出されるサウンドに隙は全く無く、トリプルボーカルで掛け合うボーカルも熱き男の叫び!!3人の尖り特化型のキチガイは積み重ねたキャリアなんか関係無いんじゃ!!とばかりに初期衝動を爆発させ続ける。
 ドライブするギターワークは不協和音だらけでありながら、リフの突き刺さる格好良さを押し出し、極太のベースラインも他の音を食い殺す勢いで突き抜け、ストレートなハードコアなドラムは正に爆走!!
 正統派サンディエゴ直系サウンドでありながら、どこまでも純粋な爆発力と衝動により鋭利極まりない3つの爆音のパトスをこの日もただ真っ直ぐに高め続けるだけだったし、MiDDLEの持つエネルギーは底無しの絶倫だ。鶯谷からやって来たハードコア番長の兄貴三人はただ爆音を放つだけで全てを虜にする、最高にロックな男たちだ!!



・OSRUM

 前日のBB企画に続いてこの日もOSRUMのライブを観る事に。
 BB企画の方では機材トラブル等もあったけど、この日はそういった事も無く、バンドの方も非常にリラックスしたライブをしていたと思う。
 セット自体は前日と全く変わらなかったけど、二日続けてのライブという事もあって脂が乗りに乗りまくっていたし、特にリズム隊のグルーブに関してはかなり調子が良かっただろう。
 羽田氏のベースは音数の多さもそうだけど、流れる様に音を紡いでいくスタイルでグルーブだけじゃ無く、確かなメロディを感じさせるベースだし、藤本氏の繊細とダイナミックの狭間を堂々と突き進むドラムは何度聴いても心が熱くなる。
 魚頭氏のギターと歌もキレにキレまくり、鋭利にメロディを観る人に突き刺していくのは勿論だけど、よりOSRUMの持つ渋いエモーションがより高い純度で輝きを生み出していく。
 リラックスしたテンションでありながら、より完成度が高まったライブであったし、この企画のラストを熟練のサウンドで堂々と締めくくってくれた。



 気がつけば314回も開催されていたこの「Salad Days」という企画であるが、これまで幾多の伝説的ライブを生み出し、長き年月に渡って確かに続いている。
 ブッシュバッシュも6歳の誕生日を迎え、循環する時代と共に新たな夜を作り続けているが、バンドもハコも決して歩みを止めずに続いているという事が凄く大切だと思うし、そんな掛け替えのない日々の隙間にある音は一つのライフスパンとして脈絡と続いているし、そしてこれからも続いていくのだ。
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■Noise Slauter Vol.6(2015年8月22日)@新大久保Earthdom

 毎回ボーダーレスにキャリアやジャンルを問わず本物のバンドばかりが出演するBB企画。今回はREDSHEERとxerowoundとOSRUMを迎えての開催となった。
 主催のBBを含めて、偶然か必然か今回出演する4バンドはバンドの歴史自体は決して長くない新人バンドばかりだが、それぞれのバンドのそれぞれのメンバーのキャリアは凄い物があるバンドばかりで、そんな新人だけど新人じゃない4バンドが集結し、これまでのキャリアでは無く、現在進行形の今の音こそが必然だと訴える夜になったと思う。



・REDSHEER

 トップバッターはアルバムリリースから本当に精力的にライブを重ねているREDSHEER。
 REDSHEERのライブはガッツり追いかけさせて頂いているので観るのは今月3本目ではあったが、この日のライブは前回観た手刀の時のテンションの振り切ったライブとはまた違って、少しばかり引きの部分も意識していたライブだと感じた。
 REDSHEERは曲こそ複雑極まりないけど、非常にメロディアスであり、ハードコアならではのテンションの高さが既に存在しているバンドであり、ライブではそのテンションがより暴発した混沌が魅力であるが、この日は曲のテンションの高さを生かしつつも、より繊細に曲を聴かせるライブに仕上がっていのだ。
 勿論ここ最近は毎回トップを飾る「Silince Will Burn」のハイボルテージさや、ラストを飾った「Yoru No Sotogawa」といった曲では激昂を叩きつけて来たけど、少し久々にプレイした「Blindness」は曲が持つエモーショナルな叙情性をより高次元で体現し、「The End, Rise Above」では熱情と静観の境界にある燻りからの爆発を描く。
 この日は特に「Curse from Sad Spirit」が象徴的で、脂が乗りまくったREDSHEERのサウンドとドンピシャにハマり、曲の持つ不穏の美と絶望感が混じりっ気無しで交錯し、正に「愛と憎悪」を表現していたと思う。
 次回のライブは9月の3回目となる自主企画だが、壮絶なる暗黒の夜、また新たな進化を遂げたREDSHEERが観れるだろうし、そんな期待と新たな発見が生まれたライブをこの日は展開していた。



・xerowound

 昨年、killieの内田氏、akutagawaの英樹氏、MIRRORの磯貝氏、ex.200mphのヘラ氏によって結成されたスーパーバンドxerowound。昨年の活動開始からずっとライブが観たかったが、タイミングが合わず今回遂にライブを観る事が出来た。
 気になるその音楽性であるが、90年代のUSポストハードコアサウンドを2015年に体現するといったエモーショナルかつソリッドなサウンドでまた驚いた。それぞれのメンバーのキャリアとはまた違うけど、でも4つに散らばった点が確かに結びついて形作っているのだろう。
 ツインギターでドライブしながらも、哀愁の渋味がムンムンなリフは熟練の猛者の技、磯貝氏のベースはMIRRPRの時以上に攻撃的にボトムを形成しながらも、テクニカルな安定感はやっぱり健在、ヘラ氏のドラムはもうヘラ節全開で、200mph・SPIRAL CHORDで聴かせてたダイナミックなビートの爆撃をこのバンドでもガッツり叩きつけてくる。
 どこか懐かしくもあり、どこか荒々しくもあり、初期衝動に満ちながら、でも一筋縄で済まない拗れた熱情。それぞれが自らのキャリアでシーンを作り上げた猛者だからこそ生み出せるどこまでも王道を爆走するエモーショナルポストハードコア!勿論痺れたに決まってる!!



・BB

 そして主催のBBへ。これまで何度も次元の法則を変えるライブを繰り出してきたBBだけど、この日のBBは個人的にこれまで観た中で一番のベストアクトだったと思う。
 楽器隊3人の演奏から始まり、Ryuji氏がステージに登場した瞬間にアースダムの空気が一変。そしてMVも先日公開された「shadowy」へ!!一声目のRyuji氏の叫びだけで胸のざわつきが止まらなくなり、そして楽器隊が爆発して魔境へ!!
 BBはアプローチとしてはヘビィネス黎明期やカオティックハードコア黎明期のサウンドを2015年の必然として鳴らしている物ではあるが、それはあくまでも表層的な部分の話に過ぎず、その表層の下にはマグマの様に熱くドロドロした得体の知れない物が渦巻く。
 Ryuji氏が叫びながら何度もフロアをその鋭い眼差しで射抜き、その姿は仙人の様でもあり、悪魔の様でもある。勿論、楽器隊の3人も同様にスペシャリストであり、難解極まりない複雑な楽曲を完全な密度で表現していく。
 ビートも全然ノリ易い訳じゃないし、グルーブの異質さは恐怖すら覚える、それなのにダイナミックさは全く失わないで襲い掛かり、同じくズタズタのリフを叩きつけながらメロディアスでゴスで耽美なコード感を持つ坂元氏のギタープレイ。巡り巡った地獄の八十八箇所巡礼の末に行き着いた先の絶望がBBだ。
 ラストにプレイした新曲も完全に聴き手を突き放し、その虚無感のまま無情に終わりを告げるという完全に全盛期NEUROSISなそれを展開。最早NEUROSISとかTOOLといったバンドと比肩する完成度を誇りながらも、その先のオリジナリティへと繋がるBBは今こそ聴くべきバンドであるし、最早メンバー四人のキャリアは関係無いと思う。
 まだ正式音源のリリースは無いけど、正式音源は国内のヘビィロック・ハードコアの歴史に大きな傷跡を残す作品になるだろうし、ベテランだからこそ生み出せる新たなる歴史をBBは現在進行形で記し続けている。



・OSRUM

 トリはOSRUM。昨年末のレコ発以来にライブを観るけど、先ずはギタボの魚頭氏のアンプが前よりも増えていて驚く。
 ライブは「2013」からスタート、美麗のメロディをダイナミックに奏でるOSRUMのサウンドはこの日の出演者の中では一番ポップでシンプルではあるけど、単なるエモで終わらないのがOSRUMだ。
 初期USエモとグランジを通過した上で放つミドルテンポ主体の音は正に熟練の匠の技が光りまくり、羽田氏と藤本氏のリズム隊によるグルーブのコシの強さはそんじゃそこらのバンドには絶対に出せない物。
 機材トラブルもあったりでライブ自体は決して本調子では無かったかもしれないけど、それでも他を圧倒する曲の完成度の高さもそうだし、ちょっとやそっとじゃ揺るがないアンサンブルはどんな逆境でも鉄壁である。
 今後音源化されるであろう新曲もグランジ通過ミドルテンポなOSRUM節が響き渡り、メロディを活かす魚頭氏のギターの音作りの繊細さと大胆さもより郷愁の余韻を確かな物にする。
 激音バンドが3バンド続いた中でOSRUMが鳴らした音は決して派手では無かったかもしれないけど、アンコールの「全然終わっていない」まで全7曲、透明感の結晶の様なライブだった。



 新人だけど新人じゃない4バンドはキャリアもジャンルも超えて現在進行形のバンドばかりであったし、過去では無く今を生きて音を鳴らしているからこその説得力があったし、それぞれのベクトルこそ違えどそこには歴史を作り続けながらも衝動と才能が全然乾きを知らない猛者たちしかいなかった。
 この日は各地で熱いライブが被りまくっていたけど、この日のBB企画を選んで本当に良かったと思うし、老害にも聖域にも絶対にならない、現役であり続けているベテランの意地と凄みがそこにはあった。
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■【魔界を描く三匹の大妖怪】Birushanah、SANOロングインタビュー

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 アンダーグランドにて異次元の音楽が蠢く地こと大阪。その大阪アンダーグランドを象徴するバンドがBirushanahである。
 Birushanahはスラッジ・ドゥームというカテゴライズでは収まらないオリジナリティを初期から獲得していたバンドであり、積極的な海外ツアーや時空を歪ませるライブアクトと、メタルパーカッションを取り入れた暴力的ビートと圧殺ギターによるサウンドで日常を魑魅魍魎が踊り狂う別次元へと変貌させ続けている。
 3ピース編成で初の作品となった新作「魔境 -MAKYO-」はベースが不在という最大のピンチから3ピースによって洗練されたサウンドフォルムと、より密教的で祭囃子の様な異常なテンションで放たれる重圧サウンドでバンドの新たな可能性を体現した快作となった。異質さという点に於いては前身バンドである鐡男時代から何もブレてはいないが、メンバーチェンジを繰り返し新たなる循環を日々繰り返し続けたBirushanahという生物学の範疇を超えた怪物の新たなる進化系だ。
 今回はメタルパーカッションを叩く佐野氏に謎に包まれたBirushanahというバンドについてや新作「魔境 -MAKYO-」について色々聞かせて頂いた。



・先ずは佐野さんが知っている限りでのBirushanahの歴史について教えてください。

 前身バンド鐡男を経て2002年頃(多分)結成。今までメンバーは多分10人位入れ替わってますね。最初の音源「淘汰」をリリースしたメンバーがオリジナルメンバーで、オリジナルメンバーはもう一人もいません。
 「魔境 -MAKYO-」でドラムを叩いてるKOHEI(前任Dr)は多分2003年か2004年くらいから在籍してたと思います。ISO(Gt)と自分は2005年に加入してます。現在ドラムを叩いてるMOTOKI(現Dr)は2014年から叩いてくれてますね。
 吸収と排泄を繰り返した結果、細胞は入れ替わり続けてバンドは生きてます。



・佐野さんは途中加入のメンバーですけど、加入当時は佐野さんから見てBirushanahはどんなバンドでしたか?

 複雑そうな演奏、謎の緊張感とヤクザ感。絶対友達なりたくないバンドでした。



・Birushanahはカルト的な謎に満ちたバンドだと思われる事が多いですけど、それに対して佐野さん自身はどう捉えてますか?

 自分では一切カルトだとかは思った事ないんですよね。他のロックバンドと同じように良い曲作ろうとか良いライブしようと思ってやってるだけなんです。



・Birushanahが放つ音は本当に非現実的で異様ですが、その世界観のルーツはなんでしょうか?

 これも自分達ではあんまり非現実的だとは思ってないんです。というのも自分としてはけっこう現実的だと感じてます。自分達の放つムードに大阪の空気が影響してるような気はどこかでしてます。
 大阪の生ぬるい濁った風の匂いとか街のガチャガチャした喧騒とか、そんなイメージですね。産業廃棄物である鉄クズを叩くという事にしても街の持つトラッシュ感とリンクしてる気がしてます。



・Birushanahのサウンドの特徴としてメタルパーカッションを取り入れている事が特徴として挙げられますけど、Birushanahの中で
どの様な役割を果たしていると思いますか?


 ほとんどの人にとってメタルパーカッションは何のためにいるのかよくわからないし、まず普通にバンドやるうえで絶対必要無いものだと思うんですけど、そんなややすればタダの鉄クズを楽器(音楽)にするのって他の完成されたギターやドラムといった楽器と比べて無駄に遠い道のりで、例えるなら富士山5合目まで車で登れるのに1合目から歩いて登る、しかも裸足で、あげくに気がついたら全然違う山登ってもうてたみたいな(笑)そういう楽しみはあります。



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・今回の新作アルバム「魔境 -MAKYO-」はベースレスになって初の作品となりましたが、これまでの作品とどの様な点が変化したと思いますか?

 ベースによる低音が無いので、以前にも増して丸裸になったような気はします。そして今までで最も歌の力が全面に出てると思います。
 それと共にベースという足りなくなった枝を補おうと触手を伸ばした各楽器の発達と呼吸が感じられると思います。



・今作はコンパクトな印象だった前作と変わって長尺曲が増えましたが、バンドとしてはどの様な事を意識しましたか?

 自分達を飽きさせないサウンドを作っていたらし知らん間に長くなっちゃった感じなんです。短い曲を作ろうと意識はしてます。



・また今作の大きな特徴としてドゥームというより和のテイストと密教感や祭囃子感、ビートの部分での原始的な躍動、ギターのリ
フのダイナミックさといった今までも特にシンプルでありながらドープな方向に振り切っている印象も受けました。そこに関して意
識している部分はありますか?


 特に意識している事も無くて強いて言えば安易なパターンの演奏はできるだけ避けておこうと思ったくらいかな?



・レコーディングの際はどの様な音作りを目指しましたか?

 とにかく生感!肉感!湿気、汁感。くどい感じとスッキリ美しい感じの絶妙なラインというイメージはあるにはあったんですが割と成り行き任せにしてる部分はあります。
 実際レコーディングしながら生まれてきたアイデアも結構あるので、それは演奏やアレンジにしても言える事で、録り始めたら曲が迷走しだしてゴールに連れてってくれましたーみたいな(笑)



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・今作からはベースレスの3ピース編成ですけど、現在の編成になってからは曲はどのような形で作られてますか?

 集まって汗ダクなってケンカしてるうちに出来る、人を喜ばせたいと思いながらも各々の主張と自己満。まさに喧嘩オナニー状態です。



・実際に現在はオリジナルメンバーが一人も在籍してない状態ですけど、そんな中でバンドを続けていく原動力とはなんでしょうか


 辞めたい人がいなくなってやりたい人が続けてるってだけの事だと思うのでオリジナルメンバーかどうかはあまり重要ではない気がします。
 面白いし、命の爆発をまだまだ楽しみたいし「なんじゃこれ!?」っていう音楽をもっと作っていきたいっていう個人的視点と、バンド的視点で言うならこれまでに沢山のメンバーが関わってきて10年以上やってきてるんですけどそのメンバー全員の力で出来上がった土台の上で活動を今も続けれてるっていう意識もありますのでその辺りも原動力といえばそうなのかも知れません。
 逆に自分や今のメンバーがどっか行ったり死んでもその意志を継ぐ人によってこのバンドが続いていったら良いなと思います。我々の命のサイクルが連鎖するように。



・Birushanahは海外でのライブも多いですけど、海外でのライブで日本との違いはどの様な点がありますか?

 言葉が通じない。これぞ醍醐味だと思います。



・また海外ライブを行う事によってバンドが得る物とはなんでしょうか?

 自分の場合は友達かな。



・日本でも海外で絶大な評価を得ているバンドが多いですが、その中でBirushanahは全世界に対してどのように攻めていきたいですか?

 好きになってほしいねんけど、どっちかって言うたら振り切りたい。リスナーが「何あれ?スゴイな。わからん!」みたいになる様な。あと元気出る感じにしたいな!



・逆に日本国内のシーンに対してはこれからどう展開していきたいですか?

 これまで通りどんどん色んなとこに出掛けていって面白い瞬間作りたい。まだまだ面白いヤツに出会いたいしわけわからん事したい!



・実際に現在のBirushanahが目指しているサウンドはどの様な物でしょうか?またこれからはどのようなサウンドに変化していくと
思いますか?


 想像できうる限りの面白い響きで、なおかつ誰も真剣に具現化しないようなサウンド。そういう面倒くさい事を作っていきたいです。
 それと一定の定義しやすい所にこじんまりとまとまるサウンドにはしたくないので、スケールは大きく持っておきたいという意味でポップなものにしていこうとは考えています
あとは自分なりのロックンロールを追いかけたいと思います。精神と身体=メンタルとフィジカル=ロック&ロール。この両極を自分の物差しでデッカくしていきたいなと。



・Birushanahはライブバンドだと思ってますが、ライブではどういった世界観や音を提示したいと思ってますか?

 命の輝き、血液の循環、人間の沸騰。恥も誉もひっくるめて生きとるぞっていうライブをしたいですね。そういうところからやる側見る側の生命の循環を生み出せたらと思います。
 観てる方も「よっしゃ俺も生きとるわ!やったるわ!」っていうような、やっぱし凄い完成度のものとか、誰も思いつかないアイデアだとかを提示したとして、観てる側に何かそういった影響や作用を生み出せなかったら面白くないと思うんですよ。なんていうか血の玉とか元気玉みたいなものそういうものを見てる側に投げつけたいと勝手に思ってます。



・最後にこれからの活動に向けての意気込みを教えてください。

 こんなに自分のやりたい放題な事やっといてこんな事言うのもおこがまいしい気もするけど自分が楽しむ分、同じように聴いてくれる人の毎日も面白くできたら良いなと思ってやってます。
 とにかく心と体朽ち果てるまで挑戦していきたいですね。そして願わくば誰かの挑戦につながるものでありたいと思います。


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【Birushanahライブ予定】

2015.8.28(FRI)@YOKOSUKA PUMPKIN
[LAUGH LINE vol.67
~BIRUSHANAH レコ発ツアー~]
BIRUSHANAH
HOW
QHOQ
RUBE RACIES
OPEN: START: 未定
ADV¥1000/DOOR¥1300



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2015.8.29(SAT)@SHINJUKU dues
[INSTORE LIVE MAKYO Release Event]
BIRUSHANAH
OPEN 12:00/START 12:30
ディスクユニオン対象店舗にて「MAKYO」購入者のみ入場可。さらなる詳細はdues新宿HPにて。



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2015.8.29(SAT)@CHIBA FIREBIRD
FIREBIRD presents[THEREN]
BIRUSHANAH
カイモクジショウ
Bahboon
GUEVNNA
-転換ACT-
SEI INDO (SEI WITH MASTER OF RAM)
OPEN: 18:00 START: 19:00
Adv¥2400 Door¥2900



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shinjuku ANTIKNOCK presents
【ANTIKNOCK POWER PUSH! 30th前夜祭 BIRUSHANAH"魔境-MAKYO-"release party】

BIRUSHANAH
jailbreak
BLACKAGLY FORCE
SEI WITH MASTER OF RAM
NoLA
The life plant
PERPETUAL
END IN BLOOD
WonderLand
and more...
DJ:YRAK(guilty forest) / 馬立(URBAN PREDATOR)
FOOD:山﨑裕仁(MudWheel Records)
OPEN: 20:30 START: 21:00
Adv¥2000 Door¥2400




【オフィシャルサイト】http://birushanah.com/
【Facebook】https://www.facebook.com/Birushanah




photographer : ミツハシカツキ(http://xgtex.tumblr.com/)

■FEVER presents NOT BORED TYO(2015年8月10日)@新代田FEVER

 実に12年振りの惹かれ合いだ。


 世界で最も評価されている日本のバンドと呼ばれ、轟音インストゥルメンタルの最高峰と名高く、最早世界規模のバンドであるMONO。
 国産ポストロックの先駆者であり、一時代を築き上げながら突如の活動休止、そして9年振りの活動再開後は更なる支持を集め、より予測不能の世界へと入り込んだdowny。
 そんな時代を築き上げた両者の2マンライブという夢の様なライブだった。今でこそ轟音系ポストロックなんて物は市民権を獲得している時代ではあるけど、まだ何も芽生えてなかった時代から活動し、常に最新型の音を提示してきた両者がこうして12年振りに共演するのは感慨深くもある。
 お盆休みに入ったとはいえ、平日でFEVERは超満員のソールドアウト。両者とも決してライブ自体が多くないのもあるかもしれないけど、この2マンライブはもう二度と実現しないだろうスペシャルなサプライズだろう。
 僕自身はこの両者は自分のルーツであるバンドでもあるし、一つの感慨深さ、そして未知なる音に触れてぶっ飛ばされまくってた10代の頃の気持ちを思い出しながらFEVERへと足を運んだ。



・MONO

 先攻はMONOからスタート。今年一月にUNITで目撃したワンマンライブではMONOの集大成とも言える圧巻のステージであったけど、今回のMONOはこれまで以上に音がアグレッシブに攻めてくるMONOだった。
 最早MONOを代表する名曲と言える「Ashes In The Snow」からライブはスタート。この曲のきめ細かく作りこまれた音色の数々は静謐なパートでこそ際立ち、その息を呑む美しさをより緊張感を高まらせながら奏でていく。
 張り詰めたピアノ線の様な鋭さと触れたら傷つきそうな痛々しい繊細さを感じながらも、その保たれた緊張感が一気に切れた瞬間に訪れる轟音パートのカタルシスは最早お見事ではあるけど、今まで以上に音がダイナミックに感じたのはFEVER規模のハコでのライブというのもあったかもしれない。
 しかしこれまで大きめのハコでしか観る事が出来なかったMONOだけどキャパ300人程のハコで観るのは本当に贅沢に極みだったとも思うけど、MONOの世界観はどんな場所でライブをやろうとも揺るがない事を証明した「Pure as Snow (Trails of the Winter Storm)」の格別の美しさよ。
 オーケストラ隊こそいないけど、たった4人でオーケストラ級のスケールを生み出してしまっているし、そのスケールで単なる轟音では無く、まるで滝の音の様な自然世界の轟音に身を任せている様な錯覚に陥らせるのがMONOの凄い所だ。
 逆に「Kanata」みたいな分かりやすい轟音パートでは無く、トレモロの美しさを前面に押し出した曲でも揺らがないエヴァグリーンな世界観、エレキ楽器で生み出されるアンサンブルでありながら、その音をもっと生々しい温もりへと変換する力はMONOのライブの大きな醍醐味だし、そこから無限の光のシャワーが降り注ぐ救済の福音「Halcyon(beautiful days)」への流れは鳥肌が立つ美しさだったし、音が新世界の誕生を祝福するパレードと化していたし、その情景には泣きそうになったよ。
 だけど今回のMONOはそれだけでは終わらなかった。緊迫感溢れるアルペジオのフレーズでそんな祝祭を黒く染め上げるダークサイドMONOの最新で最凶の一曲「Recoil, Ignite」をプレイした瞬間に今回のMONOのライブの本当のハイライトが始まった。
 さっきまでプレイしていた曲と方法論が違う訳では無いけど、メロディと音の感触を少し変えてしまっただけで光を闇に変えてしまえるMONOというバンドも恐ろしいが、先程までのダイナミックでありながら丁寧に紡がれる音を一変させて、サッドネスに発狂した轟音へと堕落させ、観る物を殺しに来てしまっていたし、その祝福から絶望への落差は残酷なまでに美しかった。
 ラストは初披露の新曲「Death For Revers」で締めくくられたが、それがダークネスのMONOと光溢れるMONOの衝突地点から生み出される白と黒の乱反射をMONO史上最大のダイナミックさとアグレッシブさで描いた新たなる名曲であり、最新の新曲でこの日一番の興奮をFEVERに産み落として一時間に渡る壮絶なるライブは終焉。
 最後の最後の終わりなきフィードバックノイズの中、拍手は全く鳴り止まなかったし、本当に凄まじいライブだった。これが世界トップランカーバンドの実力であり、他のバンドが束になっても全然勝てないであろう圧倒的存在。それがMONOだと五感に刻み込まれてしまった!!

セットリスト

1.Ashes In The Snow
2.Pure as Snow(Trails of the Winter Storm)
3.Kanata
4.Halcyon(beautiful days)
5.Recoil, Ignite
6.Death For Revers(新曲)



・downy

 後攻はdowny。先攻のMONOの圧巻のライブにどう立ち向かっていくのかと思ったけど、MONOとは全然違う轟音を研ぎ澄ませに研ぎ澄ませたライブでdownyは攻めてきた。
 一曲目からいきなり新曲「凍る花」でキックオフ、再結成後にリリースした5thにて新たなるdownyの世界を彼らは提示したけど、そこで提示した世界の更に深淵へと迫る楽曲であり、何から何まで気持ち悪いという印象を受けてしまった。
 ギターフレーズが朧げな霧に包まれた様な輪郭を全く掴めない歪みを生み出し、リズム隊のビートはもうやっている事が複雑極まりなくて最早何をやっているか全く分からない。
 そしてカタルシスを放棄しドープなまま置き去りにしていくという完全にdownyの新章をこじ開ける渾身の一曲。その時点で今日のdownyはとんでもないライブを繰り出すと確信。
 シンセのフレーズと歌が優しく導きながらも複雑で機械的なビートが心象風景をグニャグニャに捻じ曲げる「春と修羅」を序盤でプレイしたのも意外だったが、2ndからの「葵」、「黒い雨」、「象牙の塔」の3曲は過去の楽曲すら完全に違う形でアップデートさせてしまったdownyの恐ろしさを痛感させられる物へと化けていた。
 インプロパートの音はより混沌と絡み合い、ビートと変拍子が音源よりも更に複雑になり、超絶技巧の正確無比さと、ありえない緊張感に何度も何度も息を飲みそうになり、よりソリッドでタイトになった轟音ギターは正に刺し殺すといった表現が相応しい。常に喉元に刃を向けられている様な切迫感と死と隣り合わせになる恐怖をVJの不穏な映像と共に音と歌で描いていく、そんなdownyというオリジネーターの本領が発揮される。
 中盤の新作の中でも特に叙情的な歌と世界観を描く「時雨前」、「黒」の2曲は今回プレイされた曲のなかではまだ分かりやすい曲ではあったが、同時にだからこそ人間的な切迫した痛々しさが描かれるし、ライブでこの2曲は本当に映える。繰り返される美麗のフレーズの中で蠢く熱情、ダークでありながらも、どこまでもエモーショナルで本当に素晴らしい。
 ダンサブルなビートでありながら不気味なインダストリアルさを人力で生み出し、もはや拍の概念すら理解不能の領域に達しながら完全に息の合った演奏による曲線美の美しさ「或る夜」を経て繰り出されるアンセム「左の種」はdownyに絶対不可欠の名曲だし、最もギターロック的なスタンダードさを持ちながらも、ブレイクでの静寂の絶望感から爆発するアンサンブルの虚無と嘆きを放出する叫びと轟音、一見機械的であるにも関わらず、どこまでも人の持つ闇を暴くdownyというバンドのオリジナリティはやはりそこにあると僕は思う。
 終盤は理不尽なまでに体温を失った混沌「曦ヲ見ヨ!」、インダストリアルな断崖絶壁な轟音のギロチン「弌」からdownyの代表曲であり原点にして未だに一つの到達点である「猿の手柄」にてこの日一番に尖りまくったソリッドさとメランコリックさの中、感動的でありながら無慈悲に終了。
 アンコールを求める拍手も止まなかったが、アンコールなしで全12曲一時間の異次元ライブを完遂。ラストの「猿の手柄」をプレイする前にMCで青木ロビンは新作レコーディングに入る事も宣言し、まだまだ前人未到の世界へと僕たちを連れて行ってくれる事を約束してくれた。
 一年振りにライブを目撃する事が出来たけど、やはり過去も現在も、そしてこれからもdownyに代わるバンドは出てこない。ここまで全てを暴くバンドなんて他にいないのだ!!

セットリスト

1.凍る花(新曲)
2.春と修羅
3.葵
4.黒い雨
5.象牙の塔
6.時雨前
7.黒
8.或る夜
9.左の種
10.曦ヲ見ヨ!
11.弌
12.猿の手柄



 12年振りの共演となった両者だが、ゼロの時代からシーンを作り上げて来た両者の再開は必然だったし、MONOもdownyも余計な事は語らず、ただ音で観る者を圧倒していた。
 どれだけ時代は巡っても本物のアーティストはどんな形であれ生き残り続けるし、シーンに立ち続けるからこそ説得力がある。
 MONOもdownyも時代が巡っても現在進行形で常に最高の音を生み出しているし、今でもシーンの最前線にいる。そんな両者がいつも僕たちに見せてくれるのは圧倒的世界だ。それだけで良い。それだから良い。
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■POWER TRIP Vol.7(2015年8月8日)@池袋手刀

 黒い夏がやって来た!!昨年の活動再開により新たなる伝説が始まった石川県金沢のGREENMACHiNEが再び東京の地を訪れる!!
 昨年はBorisとの2マンという夢の様な夜になったGRRENMACHiNEの東京来襲ライブだが、今回はNEPENTHES根岸氏が参加していた爆走メタルパンクバンドG.A.T.E.Sの活動再開復活ライブも兼ねている正にスペシャルな一夜。REDSHEER、THE幻覚NEONS、Veritas Conc.75が脇を固め、池袋北口を黒く染め上げる。
 この日も東京は猛暑に襲われたが、手刀の方も超満員の人口密度でとんでもない熱気が襲いかかる、それはただ人口密度の問題じゃ無くて、この日を心待ちにしていた人たちの熱気が生み出した物だと思う。



・G.A.T.E.S

 トップバッターからいきなりG.A.T.E.Sっていうのがまずおかしいけど、黒い夏は伝説的メタルパンクバンドの狂騒のライブから始まった!!ステージに登場するメンバーの出で立ちだけでまず格好良いし、その中でも根岸氏はやはりロックスターの風格に溢れまくっている。
 そしていざライブが始まると爆走のゴリゴリのパンクメタルが炸裂しまくる。休まる暇なんて全く無い爆音サウンド!!ブギー感以上にもっとメタリックなリフの切れ味と突っ走る極太のビートの正面衝突に圧倒されるが、根岸氏はやはり選ばれたボーカリストだと思った。
 G.A.T.E.Sでの根岸氏のパフォーマンスはNEPENTHESの時と違ってどっしりと構えるスタイルであるけど、その怪物化した声量の叫びはやっぱり野獣そのもの。
 バンドのサウンドも復活ライブとは思えない余裕だったり貫禄を感じるのはメンバーそれぞれが今でも第一線で活動する方々というのもあるかもしれないけど、MOTORHEADやTANKといったバンドの流れの上にありながら、それらの怪物バンドを食い殺すパワーで音を放つ事による王道の格好良さ!最高だ!!
 フロアも勿論序盤からモッシャーやヘドバンが発生しまくる大盛り上がりのライブとなったし、日本が誇る暴走特急メタルパンクは最高の形で新たなる活動をスタートさせたのだ。



・THE幻覚NEONS

 各所で話題を呼びまくりな突如登場した80年代の亡霊たちによる女性ボーカルメタリックハードコアTHE幻覚NEONS!!
 メンバーそれぞれの衣装がもうモロに80年代ポジパンな感じを現代的に少しアレンジしてみましたって感じだったし、「今年って2015年だよな!?」ってなってしまいそうになるけど、THE幻覚NEONSは80年代の空気を現代にアップデートして生み出されたバンドなのだ。
 何にせよ往年のジャパコア・メタリックハードコア・ポジパンの美味しい所を全部かっさらってしまいましたなサウンドは反則極まりない。弦楽器隊は隙あらば前に出てきてそのプレイを見せつけるのもずるいし、そのメロディはどこか妖しくあったりもするけど、でもやはりパワフルな「攻め」を感じる。
 このバンドのパンキッシュな成分は楽器隊の演奏も大きいけどやはりフロントを張っている女性ボーカルの存在が大きいだろう。中性的な声質で力強く歌い上げるそのボーカルスタイルは往年の強い女性ロック歌手のそれを見事に継承しているし、男女問わず濡れさせて勃起させるエロスと強さがあり、そりゃもう勝てないって気持ちにさせられる。
 カバー曲も飛び出しての30分のステージにフロアは瞬く間に興奮の渦に飲み込まれたし、単なる時代錯誤じゃ無くて、ロックのドキドキを今に蘇らせようという怨念と気迫を見せてくれた!!



・REDSHEER

 このメンツの中にREDSHEERがいるっていうのも少し意外な気もするけど、現在進行形の激音代表としてこの黒い夜に参加しているのはやはり必然だ。
 前回の二万から一週間振りに観るライブだったけど、バンドの演奏のテンションの高さは二万の時よりも比にならない物だったのだ。
 演奏のギア自体は「Rule The Gray World」をプレイした辺りから一気に加速し始めてたし、特に山口氏のギターのディストーションの音のエグさがこの日のライブだと際立っていただろう。
 後半の「Yoru No Stotogawa」を経ての「Curse From Sad Spirit」でエンジンが一気に悲鳴を上げる熱量を手にし、メンバー3人のテンションが一番高いところでドンピシャでぶつかって、それが演奏に色濃く出まくっていたのには驚いた。
 90年代末期から00年代のオルタナティブ・カオティックの流れにあるサウンドはこの日の出演バンドの中じゃ一番異質だったし、方法論も一番複雑なバンドだったけど、もっと全面的にささくれ立つ怒りと熱情が音にも表れていたし、それはラストのワンリフドゥーム地獄「Gloom」で一気に爆発した。
 小野里氏のベースと溶け合う低域の強く出た山口氏のギターによる圧殺悶絶のワンリフの反復による死、緩やかに落としていくrao氏のドラム、断末魔と共にこの日一番の地獄が生まれて終了。突き放しまくりながらも、その刺々しさの中の愛憎、REDSHEERの提示する激音がまた新たな形で固まったライブだったと思う。



・Veritas Conc.75

 手刀内の人口密度の凄さで外に避難してて戻ったら始まっていてライブ観るのは途中からになってしまったVeritas Conc.75。
 この日の出演バンドの中では一番ロック色が強いバンドだし、激音ばかりの中でチルする感じで観ていたけど、今回のライブはその予想を大きく裏切るライブだった。
 フロアのテンションの高さもあったのかもしれないけど、彼らが持ち味としているミドルテンポでブルージーでヘビィさもあるロックンロールはそのままにバンド全体の演奏の熱がじわじわと伝わってくるライブだったと思うし、観るのは途中からにはなってしまったけど、徐々にテンションの上がっていく演奏は脂が乗りまくった熟練の匠の技を感じさせる物。
 この日特に印象に残ったのはバンドの中でも最も長尺なロックナンバー「Thanks Woman 」だろう。15分近くに渡る楽曲の中で生まれるストーリー性、音の切れ味が半端じゃないギターフレーズとタイトで太いメロディアスなベースとミドルテンポでシンプルながらも往年のロックバンドの持つビートのコシの強さを披露するドラムという3ピースのシンプルさを極限に突き詰めた音に脱帽。
 特に終盤のロングギターソロは圧巻であり、泣きに泣きまくるギターとその熱量を感じつつもタイトにルートを重ねていくベースと、一気に昂ぶらせるドラムの三点攻勢による哀愁のロックンロールは観る人々のハートに火を点け、燃え上がらせるロマンの結晶であった!!
 久々にライブを観たけど正にベストなライブアクトであったし、このロック魂は不変だ!!



・GRRENMACHiNE

 そしていよいよGREENMACHiNE!!昨年の活動再開は多くの人々にとって完全に事件であったし、昨年は東京と大阪でのライブを目撃する事が出来たけど、The DonorのMAX氏をギターに迎えて4ピースバンドとして生まれ変わったグリマシはより強靭なバンドとなっていた。
 あれから約一年振りに観るグリマシだったが、音の強度がより純粋に強くなっていた。ツインギターで攻めるリフと爆発と暴走を繰り返すビート、極限までヘビィさを突き詰めながら同時に速さも追い求めるサウンドはストレートなままにエクストリームなサウンドであったし、エクストリームミュージックの原点にして頂点を体感させられた。
 グリマシはドゥームの文脈でも語られる事が多いバンドではあるけど、そういった文脈で語る事も野暮だと思ってしまう位にあくまでもハードコアでロックであり続けている。
 MAX氏も復活後の加入メンバーとは思えない程にバンドの血肉となり、ガンガン前に出まくってリフを刻みまくり、門澤氏のプレイと完全に溶け合って音の塊を容赦無くぶつけてくる!!
 フロアの狂熱っぷりも凄くて、ダイバーも続出しまくり、少し怖くなって安全な場所で観ていたけど、少しステージから離れた位じゃ音は容赦無く襲いかかってくるし、でもそれは地獄とかそういった類の物じゃなくて、完全無欠のハードコアロックの天国だった。
 アンコールでは門澤氏が上半身裸で再び登場したけど、そのアンコールがまた凄すぎた!!「ON」~「MUDDY」~「HUMMER AND BURNER」とグリマシでも特に強烈で破壊力溢れるキラーチューンをここでプレイするのはずるいし、両手を大きく広げる門澤氏の姿に少し感動すら覚えてしまったよ。
 そんな約一時間に渡って繰り広げられた漆黒の宴は最高以外に無かったし、また来年も東京でライブをする事を僕たちに約束してくれた。最高だよGREENMACHiNE!!



 出演バンドのベクトルは本当に全然違うけど、再び爆走ロックを放ち始めたG.A.T.E.S、今この時を80年代に変えてしまうTHE幻覚NEONS、最新型の激音を放ったREDSHEER、ロックのロマンを描いたVeritas Conc.75、そして池袋を漆黒に変えたGREENMACCCHiNEと何から何まで最高の宴だったのだ!!
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■NOISE ROOM SESSIONS(2015年8月2日)@西武柳沢NOISE ROOM STUDIO

 これまで挙げたらキリが無いレベルで国内激音の名盤を生み出し続けているレコーディングスタジオであるNOISE ROOM STUDIO。そしてレペゼン西東京の女性ハードコアバンドであるGOUMとの共同企画として行われているのがNOISE ROOM SESSIONSだ。
 NOISE ROOM SESSIONSについて簡単に説明するとライブ動画レコーディングの為の企画であり、ライブハウスで関係者のみで撮影が行われる事もあるが、基本的には西東京市西武柳沢にあるNOISE ROOM STUDIOにて一般の人も見学自由で行われている。
 撮影された動画はYoutubeにもアップされており、REDSHEER・BOMBORI・Sithter・ele-phant・sekienといった国内の激音の猛者だけでなくHexisやOsmantikosといった海外バンドの撮影もこれまでに行っている。
 そしてYoutubeにアップされたこれまでのライブ動画を観ていると、これが本当に生々しい臨場感溢れるライブ動画で、ネットにアップされているライブ動画の中でも本当に郡を抜いて高いクオリティを誇っている。ミックス・マスタリングを務めるGOUMのベーシストであり、NOISE ROOMで数多くの名盤を生み出した小林重典氏の手腕にはライブレコーディングでも激音バンドを魅力を最大限まで引き出すマジックがやはり存在しているのだ。
 また不定期ではあるが撮影に参加したバンド等のインタビューやコラムを掲載したZINEも発行しており、そちらも充実の内容になっている。つまりはライブイベントやレコーディングだけじゃない、新しいライブレコーディングの形なのだ。



 そんな今回のNOISE ROOM SESSIONSは前日二万電圧で圧巻のハードコアヒーローっぷりを見せ付けまくった大阪のSTUBBORN FATHER、そして新ベーシストにex.屍の達屋氏が加入して最強の4ピースとなったRED RAN AMBERの2バンドの撮影。前日のTRIKORONAとSTUBBORNのツアーファイナルの疲れもあったが、一般客も見学可能って事もあって今回初のNOISE ROOM SESSIONSへ潜入させて頂いた。
 普段全く使う事の無い西武新宿線に揺られ西部柳沢に降り立ったのだけど、初めて訪れた西武柳沢は都会の喧騒とはかけ離れまくった良い意味でまったりとした街で住むには最高のロケーションだと思ったり、そんな真夏の暑さの中駅から5分程歩いた場所にNOISE ROOMはあった。
 地下へと続く階段を下りるとSTUBBORN FATHERのメンバーが楽器を弾いて演奏する曲のフレーズを確認していて、ソファと椅子が並んだスペースではRED RAN AMBERのメンバーが寛いでいる。何というかスタジオ練習前の空気というかライブ前の出演バンドの楽屋の空気というか、絶妙にリラックスした空気が流れている。
 レコーディングスタジオの方では小林重典さんをはじめとするGOUMのメンバーが色々とセッティング中。そちらは少し緊張感の含まれた空気が流れていたり。また撮影クルーの一人としてZOTHIQUEのギターボーカルである下中氏が来ていたり、見学者として服部氏以外のTRIKORONAメンバーやREDSHEERの小野里氏やweeprayの阿武氏も遊びに来ていたりと、完全にライブハウスの楽屋な空気。普段のライブハウスと違う空気に新鮮さを覚えながら挨拶をしたり談笑したり。
 そうこうしている内にSTUBBORN FATHERのメンバーがセッティングを開始、和やかだった空気が一変して緊張感が走り始める。撮影クルーも映像撮影の準備に入る。その時に驚いたのがこのNOISE ROOM SESSIONSの映像撮影はなんとスマートフォンとタブレットで行われていたのだ。あれだけのクオリティの映像だからしっかりビデオカメラで撮影していると思ってたからそれには驚いたよ。
 STUBBORNメンバーはリハーサルで「裏側」をプレイ。この日は2曲撮影をしたのだけど、実はもう1曲何の曲の撮影をするのか決まってなくて、その時にTRIKORONAの是枝氏が前日のファイナルでプレイしていない「創造の山」をプレイしたら良いんじゃないかとSTUBBORNメンバーに進言しており、STUBBORNは「裏側」と「創造の山」を撮影する事に。



 そしていよいよ撮影が始まった。バンドメンバーと撮影クルー以外はスタジオ内には入れないのだけど、スタジオの扉を開きっ放しにする事で隣のコントロールルームから撮影の様子は見学する事が出来るシステム。バンド側や撮影クルーやエンジニアの小林氏だけじゃなく、見学する側にも異常な程の緊張感が走る。
 その緊張感の中でプレイされた「裏側」だけど、普段のライブとは全然違うグルーブが生まれていて驚いた。普段のライブでのSTUBBORN FATHERのサウンドは一歩間違えたら崩壊しそうなギリギリのラインを突っ走る正にエモヴァイオレンスなサウンドだけど、この日は全体的に音がドッシリと構えた感じになっており、性急さよりもグルーブの重みと緊張感が前面に出ていたと思う。「裏側」みたいな多展開サウンドの楽曲も、より真髄に迫る気迫と音の厚みが加わっていたとも思うし、これはスタジオでのライブレコーディングならではの空気だったんじゃないかな?
 そして「裏側」の撮影が終了。小林氏からは一発オッケーが出て、続く「創造の山」の撮影もまた普段のライブと全然違う空気だったし、Shige氏のボーカルだけじゃなくて楽器隊のコーラスなんかもライブよりもずっと聞き取り易いなあなんて単純な事を思ったり、フロアを一気に狂騒へと導くアンセムをこうしたスタジオで聴けるのって凄い贅沢だなって思った。
 こちらも小林氏から一発オッケーが出て、拍手が巻き起こる。撮影中は見学しているだけなにに異常な緊張感に押し潰されそうになってたけど、撮影が終わって一気に解放された気分になったよ。
 実際に撮影後にメンバー全員口を揃えて「滅茶苦茶緊張したわ!!」と話していたのも印象深かったし、ライブと違って別テイクを撮影する事も可能なのだろうけど、音源のレコーディングともライブとも違う空気というのは15年以上活動を続けるバンドですらある種のプレッシャーを感じさせる物なのかもしれない。だから普段と全然違うマジックが生まれたんじゃないかなと思う。



 STUBBORNメンバーへのZINEに掲載するインタビュー終了後はRED RAN AMBERの撮影へ。サウンドチェックの時点で天野氏のドラムの音が爆発音過ぎてびっくりしたし、このバンドもサウンドチェックの出音の時点で凶悪な音しか出していない。
 STUBBORNの時点ではスタジオも緊張感に溢れていたけど、RRAの時は不思議とそんな空気はあまり感じたりしなかったし、見学者の方々も椅子やソファで寛ぎながら買ってきたお酒を飲んでたりって完全にチルな空気。でもスタジオを覗いてみるとやはり小林氏や撮影クルーの皆さんからは緊張感が伝わってくるし、終始リラックスしていたRRAメンバーも次第に気迫が滲み出てくる。
 そして撮影がスタート。1曲目はライブでいつもオープニングを飾る代表曲「硝子のシャワー」からスタート。ライブではいつも先ずは楽器隊がステージで演奏し、途中からボーカルの木村氏がステージに登場するという演出が行われているけど、この日も木村氏はコントロールルームで待機して、ライブと同じ演出でプレイ。それもあったのかSTUBBORNの時と違ってライブと何ら遜色の無いグルーブが生み出されていたと思う。
だけど直に浴びるRRAの音はより生々しい血の匂いを感じさせる物だったし、例えバンド側が普段のライブと変わらないコンディションやメンタルでプレイしていても、見学する側にアウトプットされる空気は全然違った。そしていつものライブ通り圧巻のカオティックグラインドを炸裂させて一発オッケー。2曲目の方もあっさり一発オッケーとRRAの撮影はあっという間に終了。メンバーもまたリラックスしたモードに。
 しかしながら改めて達屋氏加入後のRRAは全てが完璧になったと言えるだろう。高域も低域も後ろも前も激音のレベルが完全に振り切れていたし、このクオリティを毎回ブレずに維持しているのは本当に凄い。このバンドはグラインドコアの先を鳴らしているし、本当に素晴らしいバンドだと再認識させられた。



 STUBBORN同様にRRAのZINE掲載のインタビューを行いこの日の予定は全て終了。最後はGOUMメンバーの締めで和やかに終了した。最後は大阪に帰るSTUBBORNメンバーをみんなで見送り、それぞれが再会を約束し、西武柳沢の激音地下集会は幕を閉じた。
 今回NOISE ROOM SESSIONSに潜入して感じたのは本当に贅沢な時間を過ごさせて貰ったって事だ。普段のライブハウスでのライブとは全然違う演奏を観る事が出来る事も、激音を間近に浴びる事が出来る事もそうだけど、こうしたレコーディングの現場に立ち会うのは何だか工場見学というか社会科見学みたいなワクワク感もあって個人的には凄く楽しめた。
 関係者のみの時もあるけど、大体バンドとかやっていなくても見学自由だし、西武柳沢も新宿から決して遠い訳じゃないから、このNOISE ROOM SESSIONSは機会があれば是非一度見学に訪れて欲しい。NOISE ROOMやGOUMの皆さんが温かく迎えてくださるし、ライブハウスとはまた違うレコーディングスタジオという「現場」の空気はまた格別な物があるから。
 そして今回素晴らしいスタジオライブを見せて下さったSTUBBORN FATHERとRED RAN AMBERの両者に改めて大きな感謝と敬意をここに記します。



NOISE ROOM STUDIO:http://www10.plala.or.jp/noiseroom303/
NOISE ROOM SESSIONS:http://jbdpq981.wix.com/noiseroomsessions
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■TRIKORONA presents “様々な困惑”(2015年8月1日)@東高円寺二万電圧

 東京のTRIKORONA、大阪のSTUBBORN FATHERという東西の大妖怪2匹が激音のみをパッケージしたスプリットを昨年末にリリースし、そのスプリットは本当に多くの人々から高い評価を得た。
 そして今年の2月から半年に渡って全国各地をその2バンドで回るスプリットツアーが行われたが今回は半年に渡るツアーを締めくくるファイナルだ。先日正に新感覚の激音を新たに提示した大傑作1stをドロップしたREDSHEER、西東京からハードコアの真髄を鳴らすGOUM、人間の内面を暴く新時代のハードコアweepray、Su19b&FINAl EXITの菊池氏がドラムを叩き、TRIKORONAの是枝氏がボーカルで参加する新バンドunconscious disharmonic malfunctionという濃密6バンド。更には(((AMNESIa-ccHANNEL)))の転換中のノイズ演奏に3LAのディストロ出店と豪華極まりないファイナルとなった。
 二万に到着した時点で(((AMNESIa-ccHANNEL)))がフロアで行われており、フロアに入ったら耳が壊れるだろう超絶音量のハーシュノイズが垂れ流されており、思わずバースペに避難。僕の他にもフロアに入ったけど殺人的ノイズに耐え切れなくてバースペに逃げる人が続出。フロアのドアが開く度にバースペでの会話も困難になるであろうノイズが流れて来て、その異様さには笑うしかなかったけど、今回のファイナルの混沌を良い意味で表す現象でもあった気がする。
 そしてそんなノイズの洪水の中、UxDxMのライブからツアーファイナルは始まった。



・unconscious disharmonic malfunction

 この日が初ライブとなるUxDxM。バンドの編成はノイズが2人、トリプルボーカルにドラムという特殊過ぎる編成のバンド。先ずはノイズ散らかし隊の2人のハーシュノイズ演奏が4分程続くが、その時点で既に鼓膜が悲鳴を上げていたし、暴力的カタルシスのノイズはまるで初めてSTRUGGLE FOR PRIDEのライブを観た時をふと思い出しりもした。
 そして是枝氏含むボーカル3人とドラムの菊池さんも加わってからは本当に早かった!!せわしなく繰り出される3人のボーカルによってノイズ塗れの演奏は即座にヴァイオレンスなハードコアへと様変わりし、暴力的ノイズを快楽へと変貌させていく。
 また注目すべきは菊池氏のドラムだろう。Su19bの緊張感溢れるドラムとも、FINAL EXITのブラストビートを基軸に変幻自在にビートを帰るスタイルとも違い、Dビートを基軸にしながらもっと変則的なスタイルのドラムを叩いており、ビートが分断に分断を繰り返しているけど、でもDビートの一瞬の快楽の一番高まる部分だけを最終的に組み合わせているからファスト&カオティック!!菊池良平というフリーキーで解き放たれたドラマーの真骨頂がUxDxMにはある。
 ライブは僅か10分で終了という短すぎるライブではあったけど、たった10分で台風の様に過ぎ去る音は得体の知れない物を見た時に込み上げる興奮に満ちていたし、初ライブながら異常な盛り上がりで終了。ツアーファイナルの頭からフロアのギアをマックスに切り替えた。



・REDSHEER

 大傑作の1stリリースが絶好調なREDSHEER。その勢いに乗る形でこれからライブラッシュであるけど、その一発目を飾る形になった今回のライブは7月のレコ発ライブで一つの完成形を提示したREDSHEERを余裕で見せつけるライブだったと思う。
 今回は頭の「Silence Will Burn」とラストの「Yoru No Sotogawa」以外はREDSHEERのエピックさを展開する曲を中心としたセットで頭とラストにアルバムの中でも特に破壊力のある曲を持ってきたのもあって、REDSHEERの激音の中に確かに存在するメロディアスな悲哀がより際立ったライブとなったんじゃないかな?
 勿論音の破壊力は相変わらずだし、ギター一本で叙情詩を綴りながらも、鎌鼬を発生させる山口氏のギターも、タメと爆走と感情の暴発をビートに託すrao氏のドラムも、愛と憎悪を叫びとベースに託す小野里氏もメンバーそろぞれのプレイは安定していたし、紛れも無く1stアルバムで提示した音を体現していた。
 だけど個人的に感じたのはREDSHEERの3人は今こそ1stアルバム以降の音というのを模索している段階に入ったのでは無いかという事だ。バンドのテンションこそ相変わらず高いけど、その先へその先へという渇望が何処か音に出ていた気もするし、早くも次のステージへと向かっていくREDSHEERの苦悩みたいな物をライブから感じたり。
 だけどラストの「Yoru No Sotogawa」はどんなライブでも一つの到達点というかクライマックスに相応しい曲だと改めて思ったし、ビートとグルーブとリフが攻めまくるカタルシスの先を毎回見せて貰っている。
 REDSHEERは9月26日の新代田FEVERまで精神と時の部屋かって勢いでライブがあるし、それを通過した先の9/26は間違いなくREDSHEERのネクストステージが見れる日なんじゃないだろうか?そんな期待を抱くライブだった。



・GOUM

 レペゼン西東京女性ボーカルハードコアGOUM。これまで音源は聴いていたし、その素晴らしさは知ってはいたけど念願叶ってやっとライブを観る事が出来たのが先ず嬉しい。
 だけど今回ライブを観て音源だけじゃ掴みきれなかったGOUMの全貌にやっと近づけた気がする。サウンドスタイルも非常に独特だし、ネオクラストだとかヘビィなオルタナティブとかざっくりとした言い方は出来るし、His Hero Is Goneからグランジからモダンヘビィネスまで縦断する音はアバンギャルドでは無いけど、他に例えようの無いカオス感に溢れている。
 そんな音源でのサウンドはライブでよりシンプルでギミックを排除したサウンドになるとより生々しさが伝わってくる。何故か歪んだシンバルを使っているドラムのビートはハードコアらしい疾走感を出しつつ、タイトな余韻を感じるし、ベースやギターの音作りやフレーズもシンプルなのにそれらが爆音で解け合った場所に生まれるのは混沌だ。
 何よりもGOUMは女性ボーカリストKumi嬢の存在感が凄まじい。女性とは思えないボーカルとかって言い方をしてしまうと簡単なのかもしれないけどそれは大間違いだ。女性だからこそ生み出せる情念や問題意識やドロドロとした粘度をボーカルから感じるし、こんな強烈なボーカルを魅せる事が出来る女性ボーカルは個人的にベルギーのOathbreakerのボーカル位じゃないかと思ったりもした。
 30分近くに渡って繰り広げられたライブは最早神々しさすら感じたし、西東京から世界へと羽ばたくハードコアディーバの本領を観た!!ダークハードコアの新機軸をGOUMは間違いなく鳴らしている!!



・weepray

 今年はアルバム制作期間に入っているためライブ活動はほぼ行っていないweeprayであるが、5月のKEE AND WALK以来のライブというブランクがあったにも関わらず、それを全く感じさせないライブだった。
 序盤はじわじわと熱を生み出してそれを終盤で爆発させるというのが個人的にこれまでweeprayのライブを観て感じたweeprayのスタイルだと思っていたけど、この日はそれを完全に覆す形になっていたと思うし、それこそ一曲目にプレイした「滅びの碧 終末の詞」は二万電圧にweeprayの世界観を構築する準備運動な段階ではあったけど、それ以降の3曲でこれまでのweeprayのライブでのスタイルを破壊する流れが存在していたのだ。
 ライブでは後半にプレイして着火役となっていた「この手とその手」を2曲目にプレイしていたのが本当に大きかっただろう。笠原氏のボーカルスタイルもパフォーマンスも一気にギアが入っていたし、ここ最近は完全に魔道士と化した衣装に身を包んでいた阿武氏のパフォーマンスも冴え渡る。個人的に前以上に阿武氏のベースラインが明確にライブで見える様になったのも大きいとも思うし、不穏などよめきだけじゃ無く、もっと肉体に訴える音になっているのだ。赤塚氏のギタープレイもより切れ味が増し、ただでさえ他に誰も思いつかないし、比較不可能なギターフレーズしか弾かない赤塚氏の異常な天才具合がやっと明確になったと言える。
 驚くべきは今回初披露された新曲「カルマ」だ。これまでのweeprayを完全に裏切る新曲は構成もこれまでで一番複雑だし、更に精神にも肉体にもトラウマを植え付ける音に変貌し、それこそベタな例えにはなってしまうけど、世界の終わりを眺めている気持ちになる曲だし、ラストの不気味すぎる音階を反復させまくるキメの連続は本気で鳥肌が立った。
 最後の最後にプレイした「彼岸花」も凄まじくメンバーそれぞれのルーツであるニュースクールハードコアを完全に独自の方向性へと逸脱させたサウンドになっていたし、フロアに一気に火が付いてモッシュが起きまくる暴動状態!!これまでその異常な世界観と気持ち悪さでライブを観ていても立ち尽くすだけだったweeprayというバンドが、その世界観に肉体が追いつき、もっとダイレクトで明確な表現をライブで生み出すまでになったのだ。
 その愛と混沌を歌うweeprayのハードコアは完全に世界と闘う段階にまで来ていたのを僕は確信したし、その純粋過ぎる黒の決勝はまるで業と欲望が過密状態で膨張したこの東京という街を包む薄気味悪い安い正義感の膜を破裂させ、その破裂した膜から滲む泥水を飲まされている気分だ。本当に吐き気を覚えるまで気持ち悪いのに、その汚物すら美しく感じてしまうじゃないか!!



・STUBBORN FATHER

 本日の主役の一つである大阪が生み出したハードコアヒーローSTUBBORN FATHER!!このバンドは東京に住んでいると中々ライブが観れないんだけど、毎回毎回ライブを観る度に感動を覚えるのだ。
 今回はスプリットに収録されている3曲と「イデア」とANODEカバー「隠された太陽」というSTUBBORNを象徴するアンセム「創造の山」は省かれたセットではあったけど、徹頭徹尾ハードコアヒーローの熱き思いが炸裂するライブだっただろう。
 頭の「裏側」で人間の心の奥底を暴き「お前は裏側」と宣告するけど、多展開に多展開を重ねていくビートとギターは興奮だけを生み出し、蛍光灯だけの照明が照らすShige氏の姿は顔こそ最前で観ていても全然見えないけど、でもその顔の無い妖怪はまるで自分自身の様な気もするし、この現代社会の中で顔の無い魑魅魍魎になってしまっている自分自身を鏡で見ている様な気持ちにさせられる。だからこそ「お前は裏側」って宣告はどうしても残酷に聞こえてしまう。
 一転してストレートな「イデア」によるThe エモヴァイオレンスなフックの効きまくったサウンドはライブで音が崩壊しても構わないって勢いで突っ走る音とシンクロするし、暴力的に刻まれるリフはメタリックさもありながらもやっぱりハードコアだ。それはカオティックハードコアだとかエモヴァイオレンスだって話じゃ無くて、Convergeの聴いててその強さと奥底にある脆さに勇気を貰えるのと同じ気がする。
 だからこそ本人たちが「鬼に金棒」と称しているANODEの「隠された太陽」のカバーも毎回力を貰えるし、ANODEが墜落してしまった今ではあるけど、その魂を受け継ぐSTUBBORN FATHERがいるって事実は日本のハードコアが好きな人にとって本当に希望だと思うのだ。
 最後の最後はスプリットからバンド史上最もドラマティックでドメスティックな「痣」で締めくくられたけど、この曲はSTUBBORN FATHERのアンセムとして完全に定着させてしまって良いと思うし、「廃人の隣人に贈る」という最後のフレーズに僕は確かに救われた気持ちにもなる。
 歌っている事自体は本当にシリアス極まりないし、決してポップな音楽では無いと思う。だけどSTUBBORNはハードコアから一筋の光を生み出し、屈折し絶望した人々のケツを叩いてくれる希望の音楽だ。
 東京だとか大阪だとか関係無い。STUBBORN FATHERのブレずに突き進む精神はハードコアの絶対的な核だ。



・TRIKORONA

 最後の最後は東の大妖怪TRIKORONA!!STUBBORN同様にスプリットでネクストへと飛び立ったけど、TRIKORONAはパワーヴァイオレンスって括りすらもういらないのかもしれない。
 スプリットに収録されている曲も過去の曲も含めてほぼノンストップで繰り出される音は理不尽さしか無い。是枝氏のファズギターは爆音の歪みだけを生み出し、小山氏の散文詩的なボーカルは言語感覚を崩壊させ、門馬氏のベースの超絶テクの情報量の多さと服部氏の爆走ドラムによる粉みじんに解体されたビート。不条理に不条理を掛け算してそれこそ「様々な困惑」を音にしているのだ。
 その殆どが爆走パートとファズで埋め尽くされ、スプラッタ映画の様な血と狂気を生み出し、だけどそれを観て手を叩いてポップコーン食いながらゲラゲラ笑っている様な感覚をTRIKORONAのライブを観ていて感じるし、彼らは人間が本来持っていて、だけど必死で見ない事にしようとしていたり隠したくて仕方無いサイコパスな感情を容赦無く暴いていく。それこそ「お前も同じ穴の狢なんだよ。」って絶望と安心を突きつける。
 ケミカル極まりないファズによって観る物の脳みそは完全にスポンジと化し、その暴力性を前に暴れることしか出来なくなっていた人たちがフロアに大勢いたし、人間の深層にある厳重に鍵の掛かった「本能」をピッキングした上で捏ねくりまわし、そして思考回路を破壊する。それがTRIKORONAの恐ろしさだ。
 今回のツアーファイナルをSTUBBORNの希望に満ちたライブとは完全に真逆の、破壊衝動を植え付けて狂人を生み出す困惑と絶望で締めくくった。観ていて途中から恐怖感すら覚えたし、この破壊音の行き着く果ては本当に何処なんだろうか…



 今年2月のツアー一発目だったモルガーナから半年に渡って今回のツアーは行われたけど、東西の化物二匹は各地で猛者と殺し合いを重ねた末にこのツアーファイナルで新たな進化を見せつけてくれた。
 勿論アルバムをリリースしたREDSHEERとアルバムリリースを控えているweeprayのライブはハードコアの新たなる歴史の始まりを感じたし、UxDxMという新たなる困惑、そしてGOUMの神がかったライブとどこを切っても最高の夜でしか無かった。
 楽しいだけじゃ無く、みんなで円になって踊るでも無く、それこそ「様々な困惑」の中で迷いながら何かを探し続ける事を今回出演したバンド達には突きつけられた気もするし、楽しさの中でこうした困惑を残してくれるからこそそれは確かな記憶として残り続けていくとも思う。
 TRIKORONAとSTUBBORN FATHERの皆さん、長いツアー本当にお疲れ様でした!!両者と今回出演したバンドの方々には改めて大きな敬意を。
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■Jack The Stripper&NoLA Japan tour FINAL!!(2015年7月26日)@新大久保EARTHDOM

 新作リリースとそれに伴うツアーを大成功に収めたNoLAだが、早くもオーストラリアのJack The Stripperの来日公演のサポートツアーとその勢いは止まらない。
 全5公演のツアーのファイナルとなった今回のアースダムは型に縛られない実にNoLA企画らしい対バンを集めての全7バンドの爆音祭!!進化を止める事の無い猛獣達の宴となった。



・bilo'u

意外な事にアースダムでは初ライブとなったbilo'u。今回は2ndの楽曲中心の完全に観る人を突き放すセットで勝負を挑んだ。相変わらず超絶テクを遠心分解した混沌を混沌で上書きするサウンドには狂気を感じるし、和音を分断しまくったツインギターのギターワークは冴え渡りまくり!!
 それとアースダムの音響とも相性は抜群で、いつも以上に音がヘビィに聞こえて、特にベースの重低音とギターの低域の音がドシリと体に響いてくる。よりbilo'uのお家芸とも言えるド変態タッピングサウンドとのメリハリも出ていたし、ヘビィネスとカオスの坩堝を生み出し、それで踊らせるのでは無く、その混沌を明確にしない事によってよりドープな方向へと突き進んでいたと思う。前回観たCyclamen企画の時はビートダウンとカオティックサウンドで人を暴れさせていたけど、今のbilo'uの本質は和音階をよりミキサーで分解した得体の知れなさだろう。
 息の合いまくった演奏も凄いし、毎回安定した完成度のライブを展開しているけど、bilo'uにとってはアウェイとも言える今回のイベントでより自らの根底を吐き出すライブを繰り広げたのは間違いなく正解だし、拍手も歓声もいらないとばかりに圧倒させるプログレッシブヘビィロックはいつ観ても息を呑む緊張感しかない。



・VVORLD

 うるせえ!!PASTAFAST赤石氏も参加するハードコアバンドVVORLDを表す言葉はこれしか無いだろう。
 ファスト&ヴァイオレンスなハードコアサウンドの圧殺力が先ず凄いし、正直音量が凄まじすぎて何をやっているのか理解出来なかったりもしたけど、休まる暇無く降り注ぐ音の土石流はハードコア以外のカテゴライズが完全に不可能であるし、パワーヴァイオレンス色も結構強い印象を受けたりもしたけど、そんな細かい音楽性の事なんてどうでもよくなってしまう程度には音量が凄まじい。
 正直耳が壊れるんじゃないかって心配になるレベルだったし、音量だけでは無く、音に殺気が込められていたし、これは完全に人殺しの濁流。そのふざけきったバンド名からして最高だけど、この気狂いピエロなテロリスト達は音で世界を転覆させる。全容は掴みきれていないし、この殺気と狂気の出処と行き先が全く分からないのは本当に怖くなる。そんなバンドだった!!


・EARTH FEDERATION

 ex.Corruptedのhevi氏在籍!!ベテラン達によるピュアグラインドバンドEARTH FEDERATION!!前回観たライブがサポートベーシストを迎えてのライブだったので、REDSHEER小野里氏がベースを弾くEARTH~を観る事が叶ったわけだが、本来の編成のEARTH~は徹底的に速さだけを追求したキチガイバンドだった。
 hevi氏のデスボイスは例えジャンルが変わろうとも魂を震わせる物であるし、Corruptedの時と違うのはそのボーカルにより熱さが加わっている事だと思う。
 でもhevi氏をフックアップするバンドでは無く、全員がヒーローであるのがEARTH~の大きな強みだと僕は思う。DISGUNDERとはまた違い、スラッシュ要素よりももっとハードコアな要素を押し出したチェインソウギターを繰り出す信二氏とフルピッキングの閃光を奏でる小野里氏の二人の弦楽器隊はhevi氏以上に前に出まくり目立ちまくっている。個人的に小野里氏はREDSHEERの時と全然違うテンションの高さを感じた。
 そんな3人を支える高木氏の正確無比なブラストビート、余計なギミックをメンバー4人が徹底して排除しているからこそ純粋な速さとヘビィさのカタルシスを体感する事が出来るし、ありそうでなかったピュアグラインドを見事に体現しているだろう。早く正式リリースの音源も聴きたい所だ!!



・RED RAN AMBER

 ベースにex.屍の関根達屋氏が加入し、最強の4人となったRRA!!達屋氏の加入は最早国内グラインドコア界の大事件だし、念願叶って4人になってからのRRAを観る事が出来たが、RRAに足りなかった最後の1ピースが達屋氏によって埋まり、RRAは究極の完成系へと到達した。
 RRAの弱点はやはりベースレスによる低域の足らなさだったと思うし、それは三科氏と天野氏の超絶技巧によって皮肉にもかなり目立ってしまっていた部分もある。だけどそんな2人を殺害する勢いの達也氏の超速フィンガーピッキングはRRAでも健在!!低域の音を必要以上に埋めながら、気を許してしまったら首根っこ掻っ切られそうな極悪な音を奏でるし、それはまた新たな化学反応を生み出し、より叙情的でダークであり、、そしてより重く速くなっていく。
 最早最強のオープニング「硝子のシャワー」の神々しさから、その神秘的でありながらも、裂傷を生み出す切れ味のギターと爆発音としか思えないドラムとどよめきのベースと魂の方向の四重奏は駆け巡る瞬間だけを表現し、天変地異の慟哭であったし、このバンドはグラインドの先の先をこれからも突き進むのを確信した!!血まみれのまま感情を音に託すRRA、最高だ!!



・Jack The Stripper

 オーストラリアからの刺客Jack The Stripper!!この日は完全に国内バンド目当てで足を運んだし、彼らに関する予備知識は完全にゼロではあったけど、見事なまでにアホなバンドだった。
 サウンドスタイルはConverge・The Dillinger Escape Planといったカオティックハードコアの王道バンドの影響をモロに受けた音であり、特別に目新しさがあったりする訳では無かったけど、それらのバンドの音を一気にIQ一桁レベルまで頭を悪くしたらJack The Stripperになるんだと思う。
 彼らのライブを観て感じたのは余計なギミックを排除し、ひたすら音を重く強くする事だけに魂を注ぎ、ビートダウンに命賭けてます!!って素直なアホっぷりだ。音もアホならパフォーマンスもアホ丸出しだし、ボーカルの奴は何度もマイクで自分の額を殴りまくって流血している始末。他のメンバーもガンガン前に出てきて暴れている。
 そんなチンパンジーレベルの頭脳な音だけど、バンド側から伝わってくるのは音楽を奏でる事を純粋に楽しんでいるっていう熱い気持ちだったし、ただ強さを追い求めるだけのバンドではあるけど、そこに熱さが存在しているからこそ観る物を興奮の渦へと連れて行くことが出来るのだ。
 初見の人がほとんどではあったとは思うけど、最後の最後はモッシュも発生する盛り上がりだったし、それはバンドの強靭なライブは勿論、バンド側の楽しむって気持ちがフロアにも伝わったからだ。オーストラリアの馬鹿野郎たちはこの日本で確かな興奮を生み出していた!!



・The Donor

 石川県金沢が誇る爆音人間国宝The Donor。今年になってからは結構定期的に東京でもライブを展開しているけど、ライブを重ねる毎にビルドアップしていくサウンド、爆音をひたすらに極めているのは勿論だけど、カテゴリーとしてのクロスオーバーではなく、あらゆるエクストリームミュージックを純粋に吸収したからこそのメタリックでファストでヘビィでハードコアな音は相変わらず格好良い!!
 栖原さんの爆音ドラムはフロント2人が思いっきり爆音を放つのに絶対不可欠だし、僕は正直この人しかThe Donorのドラムはいないと思っているんだけど、The Donorの3ピースの究極系なサウンドは実に単純なんじゃないかって今回のライブを観て改めて思った。
 突っ走りまくりながら一撃一撃が体力ゲージをゴリゴリ削るパワータイプなドラムスタイルが本当に顕著だけど、The Donorはメンバー3人それぞれが強すぎるし、それを掛け算どころか100乗位して生まれた無量大数なバンドアンサンブル。要は単純に言葉にも数字にも出来やしない音しか放っていないって事だ。
 定番のキラーチューンも新曲も最高だったけど、そんな爆音天国の果てにプレイされたラストの「Shine」は本当に神々しくて泣けてくる。歪みまくったギターサウンドがキャビ2台積みのアンプから容赦無く放たれた瞬間に一気に光が差し込んでくるし、キラーリフを鳴らしながらも、そのメロディに心が震えるし、そんなサウンドでも全くブレずに凶悪なグルーブを突きつけるリズム隊。このバンドは本当に何一つブレやしない。だからこそみんなThe Donorが大好きなんだ!!


・NoLA

 トリは今回のツアーサポートを務めたNoLA。2ndミニアルバムリリースとそれに伴うツアーで新たなる進化を果たし、それ以降のライブはある種の安定感とメジャー感を持つライブを展開していたけど、この日のNoLAはまた新たなる進化の扉を開いていた。
 共にツアーを回ったJack The Stripperに触発されていたとも思うけど、NoLAのメンバー4人からライブを楽しむと言う気迫を感じた事に驚いたし、印象的だったのはあんなにエクストリームでヘビィな激音を放ちながらもメンバー4人が常に笑顔だった事だ。コタロウは前以上にドラムプレイに重さが加わりより獰猛な音で攻めまくっていたけど、そんなドラムを叩きながら常に笑顔を絶やさなかったし、ケヤキもガンガン前に出てお客を煽る。ここ最近は少し抑え目で風格溢れるパフォーマンスで魅せていたタケルがいきなりフロアに飛び出すし、かつてのNoLAのテンションに近いパフォーマンスだったのも驚いた。
 でも3人だった頃のノーフューチャー感では無く、その瞬間に全てを出し切り全力で楽しもうって意気込みがあったし、NoLAの中では達観キャラで冷静と情熱の間を担当するマキノからも自然とそんなオーラや空気が伝わってきたのも嬉しかった。
 それと普段は全くMCをしないNoLAだけど、この日はタケルがMCで今回のツアーに対する熱い想いを言葉にしていたのは少し涙腺が緩くなってしまったし、鳴らしている音はそれこそ暴力的で混沌としてはいるけど、でもその原動力は音楽に対する紛れも無い「愛」だと感じたし、だからこそこの日のNoLAは最高のライブを繰り広げていた。
 登場当初は人を寄せ付けないドス黒い殺意だけを音にしていたけど、マキノの加入、新作リリース、そして今回のツアーでバンドのモードは完全に変わったし、NoLAは次のステップへと確かな一歩を踏み出した。これからだ!!NoLAにはシーンの代表格になるだけの力があるし、NoLAがそんな大きな存在になった時、日本のライブハウスシーンに新たな革命が起きるだろう。そんな革命前夜のワクワクを僕は感じたんだ!!



 国内バンドだけでも他には無い組み合わせのガチンコだったし、全然予備知識の無かったJack The Stripperの最高に馬鹿なライブは魂を熱くしてくれた!!
 しかしこの日はやはりNoLAが全部持っていっただろう。シーンを掻き乱す若武者はいよいよシーンのトップに飛び出そうとしているし、この日はそんな時代が変わる前夜だったのかもしれない。
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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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