■2015年09月

■BIRUSHANAH"魔境-MAKYO-"release partyにDJで参加させて頂きました。

 SEI WITH MASTER OF RAM/Antiknockの印藤さん(リスペクト!!)からの出動要請を受けまして、去る9月26日は大阪のBirushanahのレコ発オールナイトイベントにDJで参加させて頂きました。
 DJなんて生まれて初めてでしたし、印藤さんには「音源入れてスイッチ押すだけだから大丈夫。」なんて言われましたけど、他のDJの方々は皆さん僕が大好きで尊敬するバンドの方々ばかり、出演バンドも大好きなバンドばかりという中で別にバンドとかやっていない僕がDJをするっていうのはかなりのプレッシャーでしたし、当日前まで私情で色々ゴタゴタしてて慌ただしかったりもして中々に満身創痍でしたが、今回無事に役目を果たしました。



 ライブの方もDJの方も色々目撃させて頂きましたが、金曜の深夜のオールナイトイベントという空気と、出演バンドの良い意味での統率の無さは、Birushanahというある意味ではカルトで謎なバンドのレコ発に相応しい物だったと思う。特に印象的だった4バンドについて書かせて頂きます。

 SEI WITH MASTER OF RAMはいつも通りなんだけど、切迫感溢れるライブを展開していたし、音源とは違う一種の危うさがこのバンドにはあって、それはベースレスであるからこそ、3人がそれぞれ積極的に音源での音を解体しているからこそ、丸裸でライブをしているからこその物だし、いつ崩壊してしまうか分からない感覚がありながらも、そこにはロックのロマンと業が満ち溢れている。
 ジャーマンメタルと歌謡曲の融合ってフレーズはSEI WITH~には最早不要だと思うし、世界中の美メロ・クサメロ・泣きメロをかっさらった音がそこにはあった。
 毎回ラストにプレイする「絵空詩」は本当に象徴的だし、「灰になるまで焼き付けるだけ」っていうラストのフレーズに勇気付けられる人は本当に多いと思う。特にライブハウスっていう地下室ではその業は説得力を持って伝わってくる。

 この日の主役だったBirushanahaは前回にduesで観た時も思ったけど、ドゥームとかスラッジって言葉はもしかしたら不適切なのかもしれないってライブだった。
 メタルパーカッションとドラムの実質ツインドラムなビートの躍動、ヘビィでありながらもメロディを喚起させるギターリフ、それらが生み出す生命の躍動こそがBirushanahaだと思う。
 そして毎回ライブを観て思うのは佐野さんの存在感は色々ズルい。ヤクザというか暴走族なノリで熱いMCもそうだけど、メタルパーカッションというパートでありながら、誰よりも存在感を放つ。
 僕は自分のDJの準備もあったから、Birushanahが終わる直前でフロアからバースペに移動しなきゃいけなかったけど、バースペのモニターにはやっぱり銅鑼を持ってフロアに降り立つ佐野氏が映っていた。

 昨年ヘブンズで衝撃的な出会いを果たしたWonderLandは配信でリリースされた最新作「The Consciousness Of Internal Time And Space」を通しで演奏するセット。
 WonderLandというバンドは改めて全容を掴ませてくれないバンドだと思う。導入こそはMONOみたいな王道のポストロックなテイストのサウンドではあったけど、徐々にクリーントーンのまま不協和音が増幅していくサウンドは頭の中を覗かれている不気味な感覚を覚える。
 トランペットやキーボードといった新しい武器を導入しながらも、あくまで3ピースで3ピースの限界に挑んでいくライブであり、轟音パートもありつつ、あくまでクリーントーンで不条理を塗り重ねていく。
 でもラストのパートで歪んだリフを叩きつけていく様は正にグランジの一言であったし、WonderLandは独自のポストグランジを突き進んでいくんだと思った。それは多数の色彩を持ちながらも、歪んだ感触を持つクリーンな音が一番物語っていたのかもしれない。

 イベントのトリを務めたNoLAは相変わらず絶好調!!いつもより短めのセットではあったけど、イベントをビシッと締め括ってくれた。
 ここ最近のNoLAは脂が乗っているというよりも、常に最高のテンションで最高の演奏を繰り出す、NoLA側からもそのブレの無い自信を感じるし、常々大きなバンドになったと実感。
 NoLAはヘビィロックでありハードコアであり続ける覚悟をライブで提示しているだけであるし、だからこそ不純物が全く無い。喜びも憎しみも衝動も愛も全てフィルターを全く通さないで音に乗せて吐き出す。
 どこでライブをしようがNoLAの音はNoLAにしか生み出せない。だからこそこの若武者たちは既に大物であり、ハードコアヒーローなのだ。



 肝心のDJの方だけど、URBAN PREDATOr馬立さんはビートダウンハードコア中心のモッシュな選曲、weepray阿武氏はブレイクコア中心の選曲、militarysniperpinfall西谷氏はニュースクールハードコア中心とそれぞれの個性が溢れる選曲を楽しませて頂きました。
 しかし最後の最後にBirishanah佐野氏のDJが全てかっさらってしまった。Bon JoviからCorruptedからX JAPANから果ては「はたらくくるま」までと非常にぶっ飛んだセット。途中でX流しながら普通にフロアにライブを観に行くという暴挙も飛び出し、最後は古き良きHR/HMメドレーで締め。印藤さんもノリノリで大満足だったのでした。

 自分はハードコアを敢えて避ける感じで昔の日本のロックだったり、でもやっぱり自分の好きなオルタナとか流した感じ。初めてのDJだった物で色々と戸惑いも多かったけど、なんとか無事に役目は果たせたかな?
自分がDJしている時に「この曲なんてバンドの曲ですか?」と知らない方が声をかけて下さったのが本当に嬉しかったですね。

 そんな感じで謎のオールナイトレコ発イベントは大盛況で幕を閉じました。今回チョイ役ではありますが、こうしてDJとしてこんな素敵なパーティに参加できた事は心から誇りに思います。



 最後に自分が流したセットを記載します。流した曲順は完全に忘れてしまってるのですけど。

・Turn You Cry/High Rise
・Can't Get Winds/痛郎
・神々のレース/黒色エレジー
・三千世界/ネム
・つまんない/ちゅうぶらんこ
・Mer/Chelsea Wolfe
・僕だけが…/Angel'in Heavy Syrup
・ベッド/割礼
・人造人間/三重人格ノ犬
・34 DANCE/百蚊
・徐々に/GreenAppleQuickStep
・THE Angel(A Wish)/Funhouse
・逃げ水/ele-phant
・This Stops At The River/UNSANE
・Solid crossing/MiDDLE
・DIAGONAL/accidents in too large field
・天使の悲鳴/松崎ナオ
・僕なりの恐怖政治/nemo
・ALLARME/DUNE
・Tired Of Waiting/Nomeansno
・Blind/Su19b
・Spikes To You/Drive Like Jehu
・Oblivion Peak/ワゴム
・konnkatizm/TG.Atlas
・Pareidolia/The Third Eye Foundation
・How Long Can U Front/Kool Keith & 54-71
・The Flow/Model 500
・Million Year Summer/The Angelic Process
・クロニックラヴ/中谷美紀
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■Guilty Forest&MOCHI presents Under the Surface vol.1開催!!

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Guilty Forest&MOCHI presents Under the Surface vol.1
12/20(日)@東高円寺二万電圧

BB
bilo'u
Su19b
ZOTHIQUE

open17:30
start18:00
adv:2000円+1drink
door:2500円+1drink


東高円寺二万電圧:20000@den-atsu.com
All Info:paradaise.k@gmail.com


日本のアンダーグラウンド・シーンのバンドたちは、世界でもトップレベルであると、僕たちは確信している。しかし世に情報が氾濫しているせいで、素晴らしいバンドであっても、一部のフリークスのみが知る存在に留まり、過小評価されているのが現状だ。
有象無象が渦巻く今こそ、スタイルや世代を超え、循環とクロスオーヴァーを起こすべく、立ち上がることにした。
ここに集結したのは、安易なカテゴライズに押し込めることができないバンドばかりだ。しかし「観る者を完全に圧倒する」「極限のヘヴィネス」という2点においては共通している。ライヴという場で、目撃した者に爪痕と足跡を残す猛者たちであることは間違いない。
「Under the Surface」は、単純なアンダーグラウンドの交流会では絶対に終わらせない。「表層の下」という企画名を付けたのは、過密した情報ばかりが先行し、屈折と停滞と閉塞で埋め尽くされたシーンに対する挑戦であり、未知なる本質をつかみ取るためだ。
この企画に足を運ぶ人々全てに、新たなる出会いと覚醒を与えるべく、その第一歩をここに刻む。



【出演バンド紹介】

・Su19b

神奈川発世紀末行きブラッケンドパワーヴァイオレンス。生み出すはジード軍団すら死滅した救世主無き虚無と化した世紀末的暗黒世界。
 激遅・激速・激重をパワーヴァイオレンスを基軸にブラッケンド・デスメタル・フューネラルドゥーム・スラッジ要素を加えドス黒く世界を染め上げる絶望すら無くした奈落の音。
 極限まで研ぎ澄まし、観る物をドン底へと叩き落とすライブアクトも好評で、一部では東のCorruptedとまで評されている。
 結成17年に及び、これまで数多くのスプリットやEPをリリースしたが、2015年待望の1stフルアルバム「World Is Doomed To Violence」とシカゴの陰鬱ドゥームDisrottedとのスプリットもリリース。Under the Surfaceをいきなり全生物が死滅した荒廃世界へと変えるだろう。





・bilo'u

 テクデス?プログレメタル?カオティック?全然違う。bilo'uの生み出す音をカテゴライズする事は最早不可能に近いと思っている。
 メンバーそれぞれの演奏技術はズバ抜けているが、単なる技術先行型の既存の音をコピペしただけの音とは全く違う。和音も不協和音も遠心分離させた末に完璧な音の配列でそれを並べてしまったが故に生まれる異物感。頭が完全にイカれてしまった猟奇的科学者は重低音と変拍子だらけの音の混沌の中で未曾有の情景をストイックに描き続けるだけだ。
 bilo'uはこれまでの2枚のフルアルバムをリリース。BETWEEN THE BURIED AND MEとの共演も果たし、そのライブは音源完全再現どころか更に奇怪さが加わっている。
 フリーキーかつアナーキーに繰り出される暴力的な音の乱数は数学的でありながら、新たなる方程式を生み出し続ける。





・ZOTHIQUE

2011年に結成されたサイケデリックドゥームカルテット。
 ハードコアからドゥーム・スラッジ・サイケ・アンビエント等の要素を飲み込み、前人未到の領域を目指し続けている。
 作品リリースにも積極的でこれまでに3枚のアルバムをリリース。2015年リリースの最新作「Faith, Hope And Charity」ではこれまでの這い寄るドゥーミーなグルーブはそのままによりハードコアに、よりアンビエントに変幻自在なサウンドへと進化。より得体の知れない怪物と化す。
 肉体にも脳髄にもガツンと来るビートとリフの濁流、所構わず飛び交うキーボードの音色、地底から金星までゼロ距離で体感可能なライブアクトは観る者の未知なる感性を覚醒させる事間違いなし。
 今回のUnder the surfaceではは45分に及ぶロングセットで太陽系の先からマントルまで飛び交う音を全身全霊で放つ!!
 更には12月の東名阪ツアーで限定無料配布され、2016年からは商品として流通予定の1曲20分の新作プレスCD音源「Limbo」を今回特別に無料配布!!





・BB

 COCOBAT、BACK BONE、 DESERT、WRENCH、MINOR LEAGUEとメンバーのそれぞれのキャリアを挙げただけでも目眩がする程だけど、BBはそれらのキャリアすら帳消しにしてしまう新感覚の激音を生み出す大妖怪である。
 モダンヘビィネス・カオティックハードコアが地盤にはなってはいるけど、BBの音はそれらのバンド全てを過去の遺物に変えてしまう物であり、極限までヘビィであり、ノイジーであり、メロディアスであり、ダークであり、退廃的である。誤解を恐れずに言えば日本でTOOLの領域まで達してしまったバンドがBBだ。
 更に常にオリジナリティある物だけを創造し続けるというスタンスから来る毎回進化のみを提示するライブは誰も寄せ付けない孤高の存在としてのBBを惜しみなく見せつける。
 BBも今回は45分セットでこの世の全てを置き去りにする極限世界を描くだろう。表現のスペシャリスト4人が生み出す音塊に震えろ!!
 またBBはまだ正式な音源はリリースしてないが、こちらからデモ音源2曲をフリーダウンロードで公開中。今回のイベント前にBBに触れて殺されて欲しい。





【タイムテーブル】

17:30 OPEN
18:00~18:30 Su19b(30分)
18:45~19:15 bilo'u(30分)
19:30~20:15 ZOTHIQUE(45分)
20:30~21:15 BB(45分)




チケット取り置きはparadaise.k@gmail.comに氏名・チケット枚数を明記してメールして下さい。
各出演バンドへの取り置きも大丈夫です。
僕のtwitter(@paradaiseK)へのリプやDMでの取り置きも受け付けています。
初の自主企画ですが、最高の夜を作り出せるように全力で努力していく所存です!!
またFACEBOOKのイベントページの方でも随時情報を公開中。
12/20は沢山のご来場お待ちしております!!

■新世界標本/wombscape

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 東京を拠点に活動するアートコアバンドwombscapeの初の正式音源となる1stミニアルバム。リリースは自主レーベルlandscape recordsから。
 これまでメンバーチェンジもあり、現編成になるまでの道は苦難の道だったと思うし、過去の音源を一旦封印し制作された今作はwombscapeが持つコンセプチュアルさを表現した作品だと言える。
 音だけじゃなくアートワークやブックレットといった部分も含めて一つの作品であり、「新世界標本」という一つのテーマを表現している。

 デモ音源はまだカオティックハードコア要素が強かったし、今作も断片的ではあるがそうした要素はある。だけど今作をカオティックやポストハードコアといった言葉で括ってしまうのはかなり強引な気もする。
 アナログな音色を出した録音だったりとか、イントロダクションやアウトロも含めて7曲で一つの作品というプログレ的な作品構成もそうだけど、フロントマンでメインコンポーザーのRyo氏の美意識と世界観を今作からヒシヒシと感じるし、歌詞カードに綴られている言葉も含めて、聴く人に爪痕を残すだろう。

 終わりの始まりを告げるイントロダクションである第1曲「跋文」から、リフの反復によって海馬の中まで引き込まれる感覚に襲われる「捩れた解放が嘲笑う」の序盤の数分だけで、今作はカオティックハードコアの文脈から完全に外れてしまっている。
 第3曲「真白な狂気」こそ分かりやすいアプローチであるけど、狂気と耽美と鬱めいた感情で真っ黒な絵具で塗り潰されたキャンパスの様な風景が見えるし、それに続く第4曲「新世界標本」から軌道修正が不可能な不条理が更にキャンパスを塗り潰す。
 アート的世界観を表現する為にブラストビートであったり、カオティックなギターリフといった要素を用いてはいるし、そこはwombscapeというバンドに触れる取っ掛りにはなるけど、でもそこに触れたらwombscapeの世界に引きずり込まれるだろう。

 特に第6曲「正しい愛が正しい絶望に変わるまで」は個人的に末期KuralaやTOOLやKayo Dotが持つシラフのままで堕ちていく様な絶望感に溢れており、曲自体は非常にメロディアスなクリーントーンの音とボーカルで構成されており、ポストメタル的アトモスフェリックさを使いこなしたドラマティックで美しい楽曲。
 しかしそんな音像が輪郭を崩壊させて、最初は綺麗な色で構成されていた絵画に様々な色を加えた結果真っ黒になってしまうかの様なクライマックスへ。最後の最後は不協和音のギターが繰り返され、曲名通りの世界が表現される。

 今回やっと正式音源がリリースされたし、これまで何度ライブを観ても掴めなかった世界が少しだけ掴めた気がするけど、その音もアートワークも言葉も含めて病的ではあるけど、でも一貫して歌われているのは愛だったりもするし、串刺しにされた新世界を見て何を思うかはそれぞれが決めれば良い。
 今作を聴いていると心臓を素手で掴まれている気持ちになるけど、そういった人間の感受性に訴える力がwombscapeにはある。僕はそんな作品にこそ価値があると思うし、24分の中で描かれていく「新世界標本」は純粋なアートだ。



■ele-phant presents electric phantom vol.4 ele-phant 1st album TOBIRA release party(2015年9月12日)@新大久保EARTHDOM

 新たなるロックのスタンダードを創造するギターレストリオele-phantの1stアルバムがいよいよ完成した!!
 リリースこそは今月下旬であるが、リリースに先駆けレコ発となる自主企画が行われる事に。今回のレコ発は1stアルバムである「TOBIRA」の先行リリースもあり、対バンはベースレス異次元ダンスミュージックデュオことKIRIHITOと先日復活を果たした爆走ヘビィロックG.A.T.E.Sという超ドこってりな3マン!!
 タイプこそ完全にバラバラだが、こうした実力しかないバンドの3マンとなれば行くしかない!!との事で今回足を運ばせて頂いた。



・KIRIHITO

 今回数年振りとかにライブを観る事になったKIRIHITO、最初に観たのが07年のPanicsmileのレコ発で、その時に受けた衝撃は今でも生々しく覚えている。。
 一発目の出音のギターとドラムのあまりの音量にのけぞりそうになるけど、久々に観たKIRIHITOはどこまでもKIRIHITOだった。
 バスドラ無しの特注の巨大ドラムから繰り出す早川氏の強靭なパワーのドラム、竹久さんのエフェクトかけまくりなボーカル&単音フレーズをファンキーでポップに弾き倒すギター、たった2人で起こす化学反応がそこにある。
 ノーウェイブやらポストパンクやらファンクやら色々引っ括めた上でKIRIHITOはダンスミュージックであるし、ポップスでもある。爆音で難聴上等!!ではあるけど、繰り出す音が全て踊れる音を形成しているし、パンキッシュな生々しさがあるからこそ、ダイレクトな危険信号としての音楽を彼らは成立させていると思う。
 早川氏のリズムパットの技量が冴えまくっていたし、全9曲35分に渡ってフロアを踊らせる新感覚ディスコミュージックが響き渡っていく。
 ノイジーさもファンキーさも含め、KIRIHITOが提示しているのは新たなレベルミュージックだし、最もプリミティブな電脳パンクだ。どんな事をやってもKIRIHITOはパンクだと僕は思うし、その反骨精神に感服するライブだった。



・G.A.T.E.S

 先日復活を果たしたG.A.T.E.S、先日の復活ライブでの爆走アクトもしっかり目撃したけど、今回のライブもG.A.T.E.Sらしさに溢れていた。
 楽器隊の爆音ロックっぷりもそうだけど、G.A.T.E.Sの凄い所って根岸氏という野獣ロックスターの存在だと僕は思っていて、爆音に全然負けないどころか、その叫びだけで楽器隊の音すら食ってしまいそうなボーカルを根岸氏は繰り出す。
 疾走パートしかやっぱり無いし、ストーナーロックな要素もありつつ、古き良きメタルコアなギターフレーズも盛り込み、でも行き着く先は結局ロックンロールというG.A.T.E.Sらしさは今回も十分味あわせてもらった。
 根岸氏は途中でマイクすら放り投げてマイク無しでも十分じゃないかって本気で思う怒号を響かせ、メタルパンクの中で輝くポップさも含めて、全てがフロアを興奮に陥れる、血湧き肉躍る酒池肉林さ。
 アクト自体は25分程度ではあったが、フロアの盛り上がりも含めてド直球メタルパンクを今回も炸裂させていたのだ!!



・ele-phant

 少し長めの転換を終えて本日の主役であるele-phantがいよいよ登場!!
 上手には大量のエフェクトボードを並べたベースの斎藤氏、下手にはドラムの荒木氏、そして中央にはボーカリストのcomi氏がマントを羽織った姿で立つ。ele-phantのイケメン揃いの御三方はこうしてステージに立つだけで華がありまくりだ。
 先ずは1stアルバム「TOBIRA」でもキラーチューン「逃げ水」から。ギターレスという変則編成でありながら、この3人だけで完成させた新たなるロックのスタンダードが始まった。
 ベースだけで重低音もメロディも司るリフを繰り出し、パンクもドゥームも感じるドラムのビートが爆散し、comi氏のボーカルはロックの妖しさとエロスを充満させる。
 ele-phantがギターレスという変則的編成なのは結果論でしか無いし、「逃げ水」というオープニングからやれドゥームだとかやれサイケデリックだとかなんて議論を無効化するロックを体現する。
 アルバムの中でもハードコア要素が色濃い「アクマニセンセイ」はどこを切ってもパンクでしか無いし、斎藤氏のクリーントーンのベースプレイのキメ細かさと繊細さが際立つ「すぐ」、この2曲の振り幅は大きいのかもしれないけど、どんなアプローチでもele-phantにしか生み出せないロックでしかない。
 ライブで表現している事も、3人で出来る事を最大限に突き詰めているというスタイルだし、余計なギミックを全く感じない。その削ぎ落とされた音は、初めて割礼のライブを観た時に感じた「グルーブと甘さと陶酔とエロス」が存在する。
 ラストにプレイされたele-phantでも長尺な「扉」の往年のプログレッシブロックや歌謡曲やフォークやらのドロドロとした空気感の中に存在する触れてはいけない場所に触れてしまう感覚には射精させられてしまったし、精液も愛液も汗や血の匂いを音で表現するele-phantの音がそこにありだった。
 全7曲約45分のライブの中でele-phantが表現していたのはロックのピュアネスであったし、そこに余計なカテゴライズは何も必要無い。本当に最高のライブだった。



 全3バンドという事もあってゆったりとした気分で今回のレコ発を楽しませて頂いたけど、3バンドだからこそ濃密な時間をたっぷりと堪能したし、何よりもele-phantが体現していた新たなるロックのエロスには本当に惚れ惚れとしたし、もっともっと味わっていたいと心から思った。
 ele-phantの1stアルバム「TOBIRA」は今月末に一般流通するし、今回物販で先行販売されていたので一足早く聴かせて貰ったが、僕の中で今年のベストアルバムの一枚となる名盤になっている。是非とも今回のリリースを機にもっと多くの人にele-phantというバンドを知って貰いたい。
タグ : ライブレポ

■Faith, Hope And Charity/ZOTHIQUE

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 先日、GUEVNNAとフランスのAguirreと共に10日間にも渡るツアーを繰り広げたサイケデリックドゥームバンドZOTHIQUEから早くも3rdアルバムが届いた!
 前作から僅か一年での新作リリースとこのバンドの創作意欲は止まる事を知らないし、2013年から毎年必ずアルバムをリリースし続けるのは並大抵の事じゃ無いだろう。
 そして肝心の内容は、息が詰まりそうな窒息的ドゥームを展開していた2ndと打って変わって、ZOTHIQUEが持つ音楽性の多様さと可能性が全面に出た作品となっている。



 今作ではフロントマンの下中氏がメインコンポーザーを務めていたこれまでの作品と違い、各メンバーがそれぞれ楽曲を制作するというスタイルで作られており、それがバンドの音楽性の多様化に大きく繋がっている。
 先ず驚いたのはソロ活動もしているベースのJah Excretion氏作曲の第1曲「Venus I」である。これまでのZOTHIQUEに無かったアンビエント・アトモスフェリックな空気感の音像が響き、中盤からはまさかの美轟音サウンドだ。
 サイケデリックな空気感も存在するが、これまでのZOTHIQUEのヘビィさとノイズによるグチャグチャなサイケデリックでは無く、美しい調和が徐々に歪む酩酊世界。まさかの一手だ。

 だが下中氏作曲の第2曲「The Tower Of White Moth」では見事なまでにZOTHIQUE節炸裂なスラッジハードコア!!ノイズとキーボードの歪みまくった味付けこそあるけど、クラスティなビートとヘビィなリフで爆走する、スラッジ・ドゥームだけじゃなくハードコアな魅力を全面に押し出して攻める。
 DARKLAW氏作曲の第3曲「Hijra」でまた一転してダウンテンポの極悪な一曲。こちらは重さだけじゃ無く締めつけも加わり、反復リフ圧殺曲だが、リフ以上に爆音のノイズがその輪郭をドロドロに溶かす。
 2ndからのノイジシャンが2名も在籍する編成のZOTHIQUEになってからカオス感が余計にタチが悪くなったと思うし、1stの頃のサイケデリック要素は味付けであくまでヘビィでストレートなハードコアだったZOTHIQUEはもういない。
 かと思えばドラムのKoji氏作曲の第4曲「Faith, Hope And Charity」はZOTHIQUE流サバス系統ドゥームというノイズが暴れながらも正統派を突き進んでいるし前半4曲でもう実態は解明不可能だ。

 第6曲「Amyotrophy」はZOTHIQUE史上最もストレートなハードコアパンクがぶっ飛んでくるし、JAH氏作曲のアンビエントな第7曲「Nomadic」を挟んでの第8曲「Valley Of Tears」で今作でのZOTHIQUEの到達点がやっと見えてくる。
 ストレートなハードコアも治安が悪いスラッジもアンビエントもサイケデリックなノイズも今作には存在しているが、クライマックスは物悲しさ溢れる歌物が来てしまった。
 日本語詞でセンチメンタルな喪失感を歌い上げ、ギターは勿論、ノイズキーボードも声を上げて泣き叫ぶ様なピュアネス。地獄巡りかと思わせて、人間臭さしか無い爆音のバラードだ。
 そして最終曲「Venus II」で全ての音が暴れ狂う涅槃へと堕ちていく…。



 それぞれの楽曲だけをピックアップすると作風も音も混沌を極めている様に見えるけど、アルバムを通して聴くと前作以上にストーリー性や世界観を感じる事が出来るし、ヘビィさや既存のサイケデリックでは無く、ヘビィさを自由に使いこなし、ノイズすら自在に操るドロドロの音。
 1stがハードコア色が強く、2ndはドゥーム色が色濃かったが、その二枚の流れを汲んだこの3rdは純粋なサイケデリックを追求しているのかもしれない。
 どっちにしろZOTHIQUEはまたしても別次元の作品を作り上げてしまったのだ。



■魔境 -MAKYO-/Birushanah

魔境 -MAKYO-



 大阪のスラッジトリオBirushanahの2015年リリースの最新作であり、前作まで参加していた唯一のオリジナルメンバーであったSOUGYO氏脱退後初の音源。
 バンドの創設者が脱退しベースレスになるというピンチを迎えていたが、それを逆手に取りギター・ボーカル・ドラム・メタルパーカッションによる独自の呪術スラッジをより濃厚にスケールアップした会心の一作となっている。
 BirushanahにとってSOUGYO氏のベースはかなり重要な存在であったし、それが欠けてしまうのはバンドの持つ独自性が崩壊してしまうんじゃないかって勝手に心配していたけど、そんな心配は不要でしか無かった。ベースがいなくなった分、各楽器の持つおぞましさが余計に際立ち、アジアンテイストな密教世界を描く。

 第1曲「薔薇小夜も兔」の冒頭でこそ和太鼓と和笛の音をフューチャリングこそしているけど、残されたメンバー三人の演奏が肝になっており、特にドラムとメタルパーカッションのビートは更に磨きがかかっている。
 ドラムに関してはよりパワフルになり、祭囃子感をこれでもかと押し出しまくり、それに加えてSANO氏のメタルパーカッションの金属の破裂音も無慈悲な不協和音でありながら、その音だけで踊れるダンスミュージックだ。
 唯一のメロディ楽器であるISO氏のギターもスラッジリフがダイナミックに炸裂し、ベースの不在を感じさせない重低音溢れるスラッジリフを奏でているが、そこから感じる和音階のメロディにより、破壊力だけじゃ無く、Birushanahの持つ世界観がより明確に伝わる。

 今作の一番の特徴としては歌物作品となっている事だろう。サウンドこそ呪経的スラッジではあるけど、そこに乗るISO氏の歌はロマンの塊だ。
 歌詞こそ独特の言い回しを駆使してはいるが、変拍子だらけのビートとリフに歌を浸透させる事によって、非常に自然体のサウンドが完成している。
 第3曲「星々の名残」はそのヴォーカルから80年代のポジパンだったり、YBO2的なプログレの空気も感じるし、バンドのアプローチもそういったバンドの文脈に確かに繋がっている。
 削岩機の様なドラムとメタルパーカッションの応酬とギターリフと歌の謎の高揚感から一撃必殺スラッジを繰り出す第4曲「瞼色の旅人」、14分に渡りスラッジプログレなサウンドスケープを展開し、現在のBirushanahのエクストラヴァージンな要素とロックンロールな要素を最後には噴出する最終曲「鏡」は今作でも特に大きな聴き所だろう。

 これまでのディスコグラフィの中でも屈指の整合性とキャッチーさを持つ作品だが、そのキャッチーさが逆にBirushanahの異形さを浮き彫りにし、ベースがいなくなった事によって生まれた引き算の美学を感じる作品だ。
 全5曲50分の魔境への道中はファンタジーでもあり、どこまでもスリリングだ。メンバーチェンジを繰り返しながらも、新たな細胞分裂により生物として更に進化したbirushanahここにあり!!



■【激音爆心地】TILL YOUR DEATH RECORDS、ロングインタビュー。

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 日本のエクストリームミュージックは世界トップレベルだ。

 いきなりこんな書き出しをしたけど、僕は心からそう思っている。勿論アメリカ・ヨーロッパ・アジア諸国にも最高なバンドは有名無名問わず存在している。だけど、日本のエクストリームミュージックはそんな海外のバンドとガチンコで殺り合えるバンドばかりなのだ。
 そんな日本のエクストリームミュージックを支える存在として絶対に忘れてはいけないのは、それらのバンドに光を当ててリリースするレーベルの存在であるし、僕は真摯に音楽と向き合っている各レーベルの方々には素晴らしい音楽を鳴らすバンド同様に心から尊敬の念を抱いている。
 という事で今回はそんな日本の素晴らしいエクストリームミュージック達をリリースするTILL YOUR DEATH RECORDSのオーナーである伴内氏にインタビューさせて頂く事になった。
 今年で創設十周年を迎えるTILL YOUR DEATH RECORDSはリリースをしていなかった時期もあったりしたが、リリースだけじゃ無く総武線バイオレンスを始めとするイベント主催にも力を入れ、現場主義レーベルとして様々なバンドのサポートを行っているレーベルだ。
 昨年のO.G.Dの2ndアルバムリリースから再びレーベルとしての活動を活発化させ、The DonorやREDSHEER等のリリースでその存在を知った人も多いと思う。
 これからもLOVE IS DEAD3rdミニアルバムや栃木のORANGEの編集盤やweeprayの1stアルバムのリリースを控え、これから益々熱い事を仕掛けていくTILL YOUR DEATH RECORDSの存在を一人でも多くの人に知って欲しいと僕は願う。



・まずはTILL YOUR DEATH RECORDS立ち上げの切欠を教えて下さい。

自分の好きな日本のアンダーグラウンドシーンのバンドをもっと色んな人達に聴いてもらえるような環境を作りたいなと思ったのがレーベルをやってみようという切欠でした。
当時KABBALAという日本のアンダーグラウンドシーンのメタルバンドを取り上げたファンジンに参加していて、よりそういうシーンにのめり込んでいった時期だったんですよね。
SUNSET LIFEというファンジンを15年前くらいに作ったのですが、その時に昔からの友達に手伝ってもらったことが後々のTILL YOUR DEATHに繋がっています。
ファンジンを手伝ってもらった友達と10年前くらいに飲みに行った時に、実は今度はファンジンじゃなくてレーベルをやりたいと思っているんだよねと話したところ、彼も話にのってくれて、トントン拍子に話が進み、もうその飲んでる場でV.A.をリリースすることが決まりました(笑)。
彼はTILL YOUR DEATHから離れることになるのですが、彼がCD製作や流通について非常に詳しく、本当に彼がいてくれて助かりました。感謝しても本当にしきれないほど、彼には感謝しています。



・TILL YOUR DEATHというレーベル名の由来を教えて下さい。

死ぬまでずっと聴いて欲しいという意味をこめてTILL YOUR DEATHというレーベル名にしました。
聴いて飽きたら中古で売るのではなく、リリースした作品をずっと聴き続けていただけたらいいなと思っています。



・TILL YOUR DEATHとしての最初のリリースはV.A.の「TILL YOUR DEATH」ですが、そちらに参加されてるバンドはどの様な基準で決めましたか?また当時はどんなV.A.にしようと考えてましたか?

当時は僕も時間があって色んな地方にライブを観に行っていました。東京だけではなく各地方にもかっこいいバンドがたくさんいることはわかっていたので、知名度のあるなしではなく、本当に自分が観てかっこいいと思えるバンドを集めたいなと。
実は当初は8バンドの予定だったのですが、日程的な都合もあり5バンドを収録することになりました。結果的には収録時間を考えるとちょうどよかったのかなと。
当時は何もわかっていなかったので、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍していたメジャーバンドにも声をかけたのですが、当然ながらダメでした(笑)。懐かしい思い出です(笑)。



・その経験がTILL YOUR DEATHが地方のバンドにもしっかりと目を向けてるスタンスに繋がってると思います。
そこからV.A.に参加されていたNAMAZとDOORMATの単独音源のリリースがありましたが、それはV.A.に参加していたのが切欠でリリースする事に繋がった感じでしょうか?


そうですね。DOORMATにもNAMAZにも単独作を出す時に「何かありましたら、力になれることはやらせて頂きますので。」と話をさせていただいていていたので。
何だかよくわからない奴が始めたレーベルの一作品目のV.A.に参加して頂いたバンドにたいして凄く感謝の気持ちもありますし思い入れもありますので、その後もこうやってお付き合いをさせていただけているのは本当にありがたいです。







・TILL YOUR DEATHの初期リリースのDOORMAT、NAMAZ、GxSxDはそれぞれ活動拠点こそ違えど、日本のヘビィロック・ハードコアのリアルを体現するバンドですし、その3バンドのリリースがTILL YOUR DEATHの方向性を決定付けたと思います。
伴内さんの中でTILL YOUR DEATHのレーベルとしての一つの方向性や信条とは何でしょうか?


実は音的な共通点はその後のリリースを見るとよりわかると思うのですが、あまりこだわりはありません。自分が観て聴いてかっこいいなと思えるかどうかだけです。
やはり自分でリリースをして後から何度も自分自身が聴くようなバンドをリリースしたいとは考えています。
人の意見は正直全く気にしません。結局自分の好みかどうかだけなんですよね。
あとはリリースするにあたって密接な関係になりますので、一緒に飲んで楽しい方がいいですね(笑)。
飲んでてリリースの話が決まることもあったので、うちのレーベルの信条として「一緒に飲んで楽しいかどうか。」というのも実はあるのかもしれません(笑)。



・実際に飲みの席とかでリリースが決まった作品は何でしょうか?

割と前もって僕の中で考えていて、メンバーの方々との飲みの席でオファーをして正式にリリースが決まるということは多いのですが、O.G.Dの場合は完全に飲みの席で話が出てそのままその場でリリースが決まりました(笑)。O.G.Dの時は前もってなにも考えてなかったという(笑)。勿論バンドのことを好きであるという前提の話ではあるのですが、O.G.Dのリリースは本当に完全に飲みの席での話ですね。
O.G.Dのリリース前はTILL YOUR DEATHは企画はやるもののリリースに関しては4年ほど休止していたので、そこからまたTILL YOUR DEATHのリリースが始まることになるなんて考えてもいませんでした。本当に飲みの席でのノリって怖いなと(笑)。
それでグラインドコアのバンドを出すならば僕だけでは弱いと思い、BLOODBATH RECORDSの木村さんにお話をさせて頂いて、共同リリースという形でまとまりました。







・なんともO.G.Dらしいエピソードですね。
2014年のO.G.DリリースからTILL YOUR DEATHが本格的に多数の音源をリリースする様になりましたが、その中でもTHE DONORとREDSHEERのリリースはTILL YOUR DEATHの新たなる可能性を打ち出すリリースとなりました。
この2バンドのリリースはレーベルにとって大きな転機になったのでは無いでしょうか?


自分の中では他の作品のリリースも一つ一つがレーベルにとって転機であるとは思っています。先ほど話に出た5作品目のO.G.Dのリリースも4作品目までのリリースとは若干色が異なりますからね。
AKSK君の言うとおりTHE DONORとREDSHEERのリリースは新たなリスナーの方々がTILL YOUR DEATHに目を向けてくれる切欠になったという意味でこれも一つの転機だと思います。
ただそれを特に狙っているというわけでもないんですよね。THE DONORに関しては前身バンドのSEC DIMENSIONからの繋がりですし、REDSHEERに関しても昔からATOMIC FIREBALLやSCALENEを観に行っていたという繋がりもあり、ただ単純に格好良いと思っているバンドをリリースしたら、新たなる可能性を感じられる結果になったということだと考えています。











・こうした新たな可能性を提示出来るのがTILL YOUR DEATHの一つの魅力だと思います。
少し話は変わりますが、TILL YOUR DEATHのリリース活動やライブ企画からは日本各地のバンドに対する愛を感じます。伴内さんの中で日本のエクストリームミュージックの魅力とは何だと思いますか?


やはり身近に感じられるというのは魅力の一つだと思います。こういう答え方をすると語弊があるかもしれませんが、高いお金を払って観に行く外タレのライブと同等かそれ以上のライブを毎週のように観れるというのは魅力ですよね。
また同じ国に住んでいるので他の国のバンドに比べてやり手と聴き手の感性が近く、凄く音が入ってきやすいというのも魅力の一つかなと思います。



・その中で、日本のバンドの作品のリリースを続けるのは大変だと思います。これまで様々な作品をリリースして大変だった事、逆にリリースをして良かったと思った事は何でしょうか?

大変なのは毎回のことなのですが、梱包して各店舗に納品することです。
うちのレーベルはディストリビューターにまとめて送って終わりという形ではなく、作品毎にどこのレコード屋さんやディストロで扱ってもらったら売れるかなと考えながら個別に連絡をさせていただくという形の納品の方法も並行してやっています。これをやると相当な数の送り先になるので、本業の仕事の合間にやるには重労働なんですよね。
リリースして良かったなと思うことはやはり作品が出来上がってきた瞬間と、その作品の売れ行きと買って下さった方々の反応が良かった時ですね。「いや~あのアルバム凄く良いね~!」なんて言われるとまた頑張ろうとやる気になります。



・こうした伴内さんの地道な働きがあるからこそ、僕たちの元に最高の音が届いてると思うと本当に感謝しか無いです。
TILL YOUR DEATHはライブ企画も行ってますし、その中で年末恒例の総武線バイオレンスがありますが、総武線の方はどの様な流れで行う事になりましたか?また出演バンドも毎回濃くてバラエティー豊かですが、その辺りの意図などはありますか?


総武線バイオレンスはBLOODBATH RECORDSの木村さんとCAPTURED RECORDSのJEROさんと飲んでる時に「企画でもやろうかと」いう話になって、完全に飲みの席のノリです(笑)。
僕たち三人とも千葉県の出身で総武線沿線で遊ぶことが多いんですよね。それでやるならば自分達の遊び場として総武線沿線がいいねと。
総武線バイオレンスは各レーベルが基本的に3バンド呼ぶという形をとっているので、それがバラエティー豊かな出演バンドになっている理由だと思います。
特別誰がどういうジャンルのバンドを呼ぼうと話し合っているわけではないのですが、やはり各々の好きなバンドを呼ぶとバラエティー豊かな感じに自然となるんですよね。



・なるほど。今年も熱い面子が集結してますし、今から楽しみです!
今後もTILL YOUR DEATHは多くのリリースを控えてますが、その中でも来年リリース予定の「TILL YOUR DEATH Vol2」は前代未聞の20バンド4枚組のとんでもないボリュームになってます。何故こんな前代未聞なリリースをしようと思ったのでしょうか?


今年も熱い面子が出揃ったと自負しておりますので是非総武線バイオレンスよろしくお願い致します。
以前からボリュームのあるV.A.はやってみたかったんですよね。丁度今年がレーベルを始めて10周年だったのでそれならこの機会にやってみようかと。本当はそれならば今年リリースすべきだったんですけど。
重複してしまうのですが、本当に知名度こそ全国区ではないものの地方にはたくさんかっこいいバンドがいます。そういったバンドにも参加していただいて、リスナーの方々に色んなバンドを知ってもらえるきっかけになるような作品を作りたかったんですよね。
それで参加して頂きたいバンドをピックアップしていったら4枚組という物凄いボリュームになってしまいました(笑)。1バンド15分という枠は完全に僕のワガママです。ミニアルバムくらいの収録時間で各バンドに勝負して頂きたいなと。
知らないだけで物凄くかっこいいバンドがたくさんいますので、買って聴いて下さった方々は本当にビックリすると思います。
楽しみにしていてください。



・同時に来年の夏には「TILL YOUR DEATH Vol.3」のリリースも決定しましたね。こちらはカオティックハードコア中心のオムニバスになる予定みたいですが、Vol.2とは違って音楽性特化型のオムニバスになると思います。こちらのコンセプトはどの様な形になってますか?

「TILL YOUR DEATH Vol.3」はAKSK君の言うように国内のカオティックハードコアのバンドを集めたV.A.になります。
「TILL YOUR DEATH Vol.2」とは違い、各バンド1曲ずつになります。参加をお願いしているバンドのほとんどが単独作のリリースを考えていたりすでに単独作をリリースしているバンドばかりだからというのと、Vol.2で15分という枠の問題で参加が難しいと断られてしまうケースもあったのでそれでは今回はコンセプトをガラッと変えて各バンド1曲でV.A.を作ってみようと。
Vol.2と違って音楽的に共通点の多いバンドをお誘いしているので、購入してくださる方々の層が絞りやすくそれでいて同じジャンルに属していながらも各バンドが個性的なので1曲ずつの収録でも各バンドの良さが伝わりやすいのではないかというのもこのVol.3にはあります。



・それぞれのオムニバスはこれからの日本のエクストリームミュージックシーンを象徴する作品になると思います。
これからも精力的にリリースされるのが決定してますが、リリースする作品を通してリスナーには何を伝えたいでしょうか?


知らないだけで国内にはたくさんかっこいいバンドが存在しますので、自分の耳で聴いてなにか感じていただけたらいいなと思います。
娯楽が満ち溢れているこの時代にCDを買うところまでなかなかお金が回らないかもしれませんが、飲み代を節約して買ったたった一枚のCDが人生を変えることもあります。
気になる作品があったら是非手に取ってみてください。



・最後に伴内さんの中で日本のバンドで人生の名盤10枚を教えて下さい。

自分がリリースに関わっているものは除きました。
明日には変わってると思いますが、今現在選ぶとこんな10枚になります。

DEATH SIDE「WASTED DREAM」

PAINTBOX「TRIP,TRANCE&TRAVELLING」

ORANGE「RECKLESS」

LOUDNESS「LOUDNESS」

NEGAROBO「EMERGENCY」

THE MAD CAPSULE MARKETS「4 PLUGS」

SABAZZ「THE INTOLERABLE ABSENCE OF EVIL」

GRUBBY「THE MOB BOSS」

SLY「SLY」

SUNSOWL「RECHARGED」



【TILL YOUR DEATH RECORDSリリース作品】

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TYDR001
・V.A.「TILL YOUR DEATH」
NO MORE PAIN(札幌)
NAMAZ(福島)
DOORMAT(東京)
HAIT(大阪)
CHOKE(佐賀)



gsd.jpg

TYDR002
・GxSxD「GOD SEND DEATH」



doormat.jpg

TYDR003
・DOORMAT「CROSS THE THRESHOLD」



namaz.jpg

TYDR004
・NAMAZ「MANIPULATED JUSTICE」



ogd.jpg

TYDR005
・ORGASM GRIND DISRUPTION「Offensive Grind Dudes」



TheDonor_AgonyJacket.jpg

TYDR006
・THE DONOR「AGONY」



THORN.jpg

TYDR007
・NN~DURA/THORN「NN~DURA vs THORN」



daisakkai.jpg

TYDR008
・DEATHBLAST/DEATH THIRST/MASS HYPNOSIA「スラッシュ大殺界」



redsheer.jpg

TYDR010
・REDSHEER「ETERNITY」


TYDR各作品購入ページ(Amazon)



【TILL YOUR DEATH RECORDS今後のリリース予定】



LID.jpg

2015年9月30日発売
TYDR011
・LOVE IS DEAD「2203EP」



2015年年末発売予定
TYDR012
・ORANGE「DISCOGRAPHY CD」



2016年春頃発売予定
TYDR013
・weepray「1st FULL ALBUM」



2016年春頃発売予定
TYDR014
・4枚組V.A.「TILL YOUR DEATH Vol.2」
AT ONE STROKE (東京)
CHOKE(佐賀)
DEATHBLAST(栃木)
DEATH HORN(東京)
DOORMAT(東京)
DORAID(東京)
EXOFORCE(静岡)
GxSxD(岡山)
IMMORTAL SENSE (群馬)
JUNKY WALTZ(岐阜)
NAMAZ(福島)
PAKU-TOH(栃木)
ROSEROSE(東京)
SECOND RESURRECTION(福島)
THE DONOR(金沢)
THORN(千葉)
vimoksha(名古屋)
エ〜クソダス(大阪)
零(千葉)
蓮獄(岡山)



2016年夏頃発売予定
TYDR015
・V.A.「TILL YOUR DEATH Vol.3」
NoLA
REDSHEER
and more...



発売日未定
TYDR009
・GxSxD「2nd FULL ALBUM」



発売日未定
TYDR016
・REIGNTERROR「DISCOGRAPHY CD」




BLOODBATH RECORDS、CAPTURED RECORDS、TILL YOUR DEATH RECORDS共同企画
「総武線バイオレンス2015」
2015年12月29日
両国SUNRIZE

・ABORT MASTICATION
・DORAID
・ORANGE(栃木)
・REDSHEER
・RIVERGE(大阪)
・vimoksha(名古屋)
・W.D.L.K.(京都)
・weepray
・ZOMBIE RITUAL
・幻覚NEONS




【レーベルblog】:http://blog.livedoor.jp/newbleed66/

■裏現/COHOL

裏現 (りげん)



 いよいよCOHOLが全世界へと飛び出した!!
 2013年にフランスの超名門レーベルOsmose Productionsと契約した事が話題を呼んでいたが、2015年いよいよそのOsmose Productionsから5年振りの2ndアルバムがリリースされたのだ。日本国内ではDaymare Recordingsからのリリースと磐石の体制。
 1stアルバム「空洞」、heaven in her armsとのスプリット「刻光」でも圧倒的な存在感と生身の表現を繰り出していたが、今作でそのオリジナリティを確固たる物にしてしまった。

 今作を実際に聴いて思ったのは、今のCOHOLの前ではハードコアとかブラックメタルというカテゴライズは完全に無意味だという事だ。実際にこれまでの作品よりもブラック要素は増えたけど、既存のブラックメタル・ブラッケンドハードコアとは全然違う。ドス黒くありながら、その音はどこまでも透明感溢れるという、黒い結晶。
 歌詞で歌われている事も以前よりも徹底的に現実的な闇といった物を想起させられるし、アルバムタイトル通り「裏側の現実」を描く今作はCOHOLもまたエクストリームミュージックから全てを暴くバンドだと言う事だ。

 濃霧に包まれた深い森を歩くような幻想的なイントロダクションである第1曲「冷たい石」から残酷なまでに現実に放り込む第2曲「下部構造」へと雪崩込むオープニングは秀逸であり、「下部構造」はより進化したブルータリティを発揮した「刻光」の進化系だ。
 より美しく鬱苦しいメロディが増えているが、バンドアンサンブルの突進力もビルドアップし、繊細過ぎる程に作り込まれたサウンドプロダクトが為せる音だろう。特にKYOSUKE氏のドラムが複雑極まりないのに、とんでもなく速いビートをこれでもかと叩きつけているし、KYOSUKE氏の進化は現在のCOHOLを形成する上で絶対不可欠な物だっただろう。

 怪鳥の如し獲物を一瞬で八つ裂きにするITARU氏のギターと憎悪を吐き散らすボーカルとベースを披露するHIROMASA氏と、爆発力と繊細さの狭間をすり抜けて刺し殺すKYOSUKE氏の三位一体アタックが恐ろしい第3曲「暗君」、幻想と現実の両方の世界観を突き詰め、静寂の美しさから発狂の美しさへと雪崩込む第4曲「地に堕ちる」とCOHOLの現在進行形の黒と透明の境界線をぐちゃぐちゃにかき回す激音は聴き手の心に強烈なトラウマを残す。

 全体としてブラックメタル・デスメタルの要素が増えているけど、それらのサウンドの獰猛さを抽出し、そこにスケール感と美しさを加えたのが今のCOHOLだし、カオスに次ぐカオスを放出しながら、最後は無慈悲な浮世の闇を描く第5曲「葬送行進」も素晴らしい。
 特に最終曲「急性期の終わり」は今作の中でもベストトラックで、ブルータルなリフで始まったと思えば、ブラックメタルとハードコアの衝突地点に存在するそれぞれの最も純粋な原液を混ぜ合わせた様な計算され尽くしているのに、それでも止められない暴走。最後の最後は「また会う日まで。」とほんの少しだけの救いの言葉で締めくくり、アンビエントな濃霧へと消え去ってしまう。
 そしてそこからまたアルバムの冒頭「冷たい石」へ繋がっているし、40分というある程度コンパクトな尺の作品でありながら過密な情報と音の濃度によって強烈で新時代的な音を刻みつけている。

 メタラーからもハードコアパンクスからも熱い支持をこれまで集めてきたけど、今作でCOHOLは完全に勝負に出たし、ブラックメタルとかデスメタルとか激情系ハードコアとかアンビエントだとかの境界を無効にし、日本の東京という都市で生きて感じた事を音として表現された音は確かなる現実に対する宣戦布告だ。
 描く世界こそ漆黒ではあるが、その黒い瞳の奥には微かな光が見えてくるし、黒いフィルターを通して放たれる光は確かな希望なのかもしれない。
 COHOLは今作で闇で埋め尽くしても消えない光をもしかしたら描いているのかもしれないし、それは2015年の現代に最もリアルに響く音だ。



■Raw Nerve/Jack The Stripper

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 先日日本に来日し、NoLAと共にツアーを行ったオーストラリアのカオティックハードコアであるJack The Stripperの2013年リリースの2ndアルバム。
 来日公演で目撃したライブでは脳筋丸出しな強さとビートダウンとヘビィさを全力で突き詰めたパワフルかつ獰猛なライブアクトにド肝を抜かれたが、ライブで見せた強さは音源の方でも健在。である。

 音楽性としては決して斬新な事をやっている訳では無いし、Convereg凄く大好きなんだろうなって感じの正統派カオティックハードコアサウンド。でもカオス感よりもビートダウンを基調とした重さの方を重視している印象を受けるし、非常にストレートな部類のバンドだと思う。
 曲の随所随所で不協和音駆使のギターフレーズを盛り込んだり、曲の中で転調を繰り返したりするサウンドスタイル以上に、極悪に刻まれるギターリフだったり、瞬発力重視で繰り出されるビートといった点で勝負している感じだし、カオティックハードコアなサウンドになったのは結果論な気もするし、それこそConvergeも結果としてのカオティックハードコアなサウンドだし、あくまでもヘビィなハードコアを突き詰めた上でのサウンドだ。

 爆走パートを随所に盛り込みながらも基本はビートダウンパートで攻めるスタイルだから音に鈍器感が出まくっているし、ツインギターを活かして片方がカオティックなフレーズを弾いても、もう片方がヘビィなリフをゴリゴリ刻んでいく男臭さしか無いギターワークは熱い。
 ビートダウン重視と言っても、あからさまな前フリをしてからのビートダウンだったり、パワーヴァイオレンスの唐突にビートダウンする極端さでも無く、往のも年の硬派なメタルコアバンドの曲の中で緩急を付ける意味でのビートダウンを他のバンドよりも比率マシマシで繰り出しているのも彼等のサウンドの特徴だ。

 アルバムを通して聴いても曲毎に大きな変化は無く、男気一本でカオティック&ビートダウンなスタイルだし、時折少しエモっぽくてメロディアスなパートもあったりするけど、それもアクセントでしか無いし、良い意味で金太郎飴な投擲サウンド。
 その瞬間の事しか考えてないぜ!!とばかりに瞬発力系の筋肉を使いまくった汗臭さムンムンハードコア。来日公演ではボーカルが流血する始末だったし、そんな大馬鹿っぷりはアルバムでも健在。男は黙ってリフとビートダウンじゃ!!な兄貴達はマストな作品だ。



■伊藤政則のロック TV!プレゼンツ ROCK OF CHAOS Vol.2(2015年9月1日)@恵比寿LIQUIDROOM

 ゴシックメタル御三家として名を馳せ、脱ゴシックメタルしてからはポストロック・モダンプログレ路線へと転換し、ここ最近の3枚のアルバムでは天空に浮かぶラピュタから眩い救済を奏で、メタラー以外からも熱い支持を集めているANATHEMAが待望の初来日!!
 ANATHEMA自身も日本でライブをやりたいと発言していたし、その期待は日々高まっていたとは思うけど、こうしてそれが現実の物になって僕を始めとして多くの人が声を上げて泣いただろう。
 しかも前座としてアイスランドの壮大で広大なるポストメタルSolstrfirも初来日という、引退セレモニーで長渕剛の後ろで男泣きをした清原和博ばりに涙が溢れる贅沢極まりない特別中の特別な一夜だ。
 今回の来日公演は2daysの開催という事で、僕は二日目の方に足を運ばせて頂いた。チケットは立ち見チケットで買ったから、フロアの前は指定席の方で埋まっていたので、必然的に結構後ろの方で今回の来日公演を目撃する事に。
 来ていたお客さんは結構年齢層高めな予感がしたけど、ここ最近の3枚でANATHEMAを知った人も多いのか若い人や女性も多かったと思うし、性別や年齢層を超えてANATHEMAが支持を集めているのを実感。
 そして19時ジャスト、先ずは前座のSolstafirのアクトが始まった。
 


・Solstafir

 今回の来日公演はANATHEMA目当てという事もあってSolstafirに関しては全く予備知識ゼロの状態で観る事にはなってしまったが、ANATHEMAの前にいきなりハイボルテージなライブを目撃する事になってしまった。
 音楽性はポストメタルというよりもポストロック・プログレ・ゴシックの要素も色濃く、近年のUlverにも通じる実にエピックな音楽性だが、大風呂敷広げたなんて物じゃねえぞってばかりに壮大極まりないストーリーを展開していく。
 一番後ろで観ていたのもあってドラムの音が少し軽く聞こえたりはあったけど、演奏の血の通い方が尋常じゃ無く、決して音量的には爆音では無かったけど、美麗のトレモロフレーズに込められる熱量が半端じゃ無い。ストリングスやピアノは恐らく同期ではあったけど、それらの音が曲の世界観を彩り、バンド側の演奏の方で熱量を生み出すといったスタイル。
 演奏面だけでは無くパフォーマンスも激アツで、メンバーは縦横無尽にステージを動き回り、時にはギターボーカルのフロントマンがフロアに降りて指定席のお客さんと絡んだりというなんともディナーショーライクなパフォーマンス。しかもフロントマンの人が滅茶苦茶ボーカル上手いし、歌にやたらとコブシを感じる物だから、何か演歌歌手のコンサート感もあり、それも良かった。
 ライブ自体は45分程で、長尺曲ばかりであるから曲数自体は決して多くは無かったけど、ムンムンのエロス、クリアで透明感溢れる旋律の中でのドロっとした粘度、ヘビィな音圧をヘビィだと感じさせないバランス。パフォーマンスも含めミュージカルの様な目まぐるしい輝きと感動をもたらしてくれた。
 最後はメンバーがフロアでお客さんと握手したり肩を組んでたりなんて光景も立ち見席から見えたりもして、繊細で大胆なSolstafirの音楽性の中に確かな血が通っている事も納得だったし、良いアクトだった。
 個人的には予備知識が全く無いバンドであったが、壮大でありながら人情味溢れ、そしてハイボルテージなライブに心を打たれて、またライブを観たいと思ったし(再来日あるかなあ…)、僕を始めとしたANATHEMA目当てだった人たちの心も彼らはガッツり掴んだ筈!!



・ANATHEMA

 25分ほどの転換を経ていよいよANATHEMAのライブが始まった。客電が落ちてメンバーが登場するや否や割れんばかりの拍手と歓声が起き、みんなこの日を心から待ち望んでいた事が分かる。「スタンドアップ!!」の煽りと共に指定席のお客さんも席を立ち、これから始まる天上の宴へと備える。
 一曲目は最新作「Distant Satellites」から自らのバンド名を冠した名曲「Anathema」。繰り返されるピアノの神々しい調べから始まり、Vincent Cavanaghが歌い上げた瞬間にこの世界への救済が始まる。力強く歌い上げるVincentの歌声は最早オペラの領域に達し、力強いドラムと泣きのギターが入った瞬間に、心のざわめきが止まらなくなり、まるでX JAPANのEndless Rainを始めて聴いた時の様な衝撃が身を襲う!!
 鳴らされる旋律はどこまでも物悲しくあり、真夜中に一人で孤独感を感じている時間の空気でありながら、そんな時間にVincentが「一人じゃ無いよ。」と言ってくれるみたいな温かさがにじみ出てくる。そんな最高のオープニングトラックで僕の胸は言い表せない感動で一杯に。
 続けて前作「Weather Systems」から「Untouchable, Part 1」と「Untouchable, Part 2」を繰り出し本格的な光の時間が始まる。Lee Douglas姐さんも加わりツインボーカルでライブが始まったけど、Lee姉さんのボーカルも凄い!!ミニマルに繰り返されるギターと、打ち込み的な人力ビートの有機的な絡みもそうだけど、lee姐さんのコーラスに合わせてフロアは早速シンガロングすら巻き起こり、手拍子も起き、ANATHEMAの全身全霊のアクトに対して最大の敬意を表す。
 「Untouchable, Part 2」では静謐さが際立つ曲だからこそのエモーションが加速し、細部まで徹底的に拘り尽くしたサウンドプロダクトだからこそ生み出せる天へと昇天するエクスタシーの世界が広がっていく。

 再び最新作から「The Lost Song」シリーズの組曲3曲が立て続けにプレイされたが、「The Lost Song Part 1」のあの五拍子のドラムがパワフルに叩かれた時に新たな感動が生まれた。ANATHEMAはその歌声とメロディで生み出すエヴァーグリーンな世界観が魅力であるが、そんなバンドサウンドを支えるリズム隊の存在は本当に大きい。
 特に最新作の楽曲はmogwaiみたいなバンドが持つ、最小のビートで最大の高揚を生み出すというミニマルを最大に活かしたビート構築術が光る作品であったし、決して音はうるさく無いけど、でも適正音量でビートの生々しさを最大限に発信するという方法論がライブではより明確になり、そもそも音源以上の完成度をライブで余裕で見せつけてくるのだ。
 まるでMONOばりにドラマティックで映画的な世界を描く「Ariel」のスケールに圧倒され、そこからLee姐さんのボーカルの真骨頂とも言える大名曲「Lightning Song」での激エピックなサウンドは完全にオーディエンスを全員昇天させに来ていたし、ディストーションギターですらリキッドルームから全世界へと響き渡るであろう高らかさへと昇華され、無数の花が咲き乱れる桃源郷へと変えてしまう。
 そして止めの「The Storm Before the Calm」でリキッドルームは救済された世界で踊るディスコへと変貌。そんな曲ですら最後の最後は号泣必至の大団円だし、もうライブで観るANATHEMAは全世界のアンセムと言えるバラッドを惜しみなくプレイしているんじゃないかって状態だ。

 終盤は「昔からのファンの為にやるよ!」って旨のMCから中期の名曲「Deep」へ。ここら辺はまだゴシックメタル要素が残った楽曲ではあるけど、こうして最近の3枚以前の楽曲をプレイしても、セットリストにブレを全く感じさせないし、ANATHEMAは初期から考えたら音楽性は大きく変わった様にも思えるけど、でもそれは一筋の光がしっかりと歴史を繋いでいるからこそ根本の世界観は変わっていない様にも思えるし、そこから「まだまだオーディエンスを泣かせ足りないのか!?」って勢いで「The Beginning and the End」を繰り出してしまえるのがANATHEMAの歴史の重みを否応なしに感じる。
 「Universal」でこの日一番の感情の爆発をドキュメントとして体現し、ANATHEMAは光をただ描くんじゃなくて、その背後にある闇の存在を理解しているからこそのサウンドだって事を改めて理解させられて、本編ラストはボーコーダーボーカルとタイトでダンサブルなビートで夜のディスコティックからの嵐のゴシックサウンドで締めくくる「Closer」で締め。ここまでの13曲で既に人生で感じるだけの感嘆を全部してしまった気持ちである。

 メンバーが一旦ステージから去り、SEの「Firelight」が流れる中で勿論アンコールの手拍子は巻き起こり、再びメンバーが戻ってきたらまた割れんばかりの拍手。そしてアンコール一発目は最新作屈指のダンスナンバー「Distant Satellites」。今回のライブは2012年から加入したキーボードのDaniel Cardosoがドラムを叩き、本来のドラムであるJohn Douglasはパーカッションを務めるツインドラムな編成でもあったけど、この曲でANATHEMAの二人のビートの魔術師の力量の異様さを実感。
 こうしたミニマリズムなビートの楽曲でANATHEMAのビートに対する拘りと繊細さと大胆不敵さは本領発揮だし、技術も表現力も世界トップレベルなんじゃないかと本気で思う。そんな凄い物を見せられたらオーディエンスも再びシンガロングするよ。
 この日一番のアンプラグドな名曲「A Natural Disaster」ではステージの照明をほぼ落として、オーディエンスに携帯のライトでステージを照らす様に指示してのライブ。これがまたニクい演出だったし、そんなロケーションでLee姐さんの美声を堪能するのは桃源郷でしか無いって話である。
 今回のライブは最新作のジャケトに合わせて基本は赤をメインにした照明だったけど、こうして携帯ライトで照らされるステージも良かったし、ANATHEMAの天の上の存在だと思わせておきながら、でもやっぱりどこか人間臭さが滲み出てしまう楽曲やパフォーマンスにはドンピシャでハマっていた。
 アンコールラストは「もう涙も枯れ果てた?でもまだ泣けるでしょ?」とばかりにこの日のセットの中では一番ゴシックメタルしていた「Fragile Dreams」。コーラスのかかったギターのアルペジオで一気に現実に引き戻し、僕たちは桃源郷から浮世へと戻って来たけど、でも力強いVincentのボーカルと楽器隊の演奏が生む迸る血潮は僕たちにこれからも力強く生きていけよっていうANATHEMAからのエールだったと思う。
 こうして1時間50分に渡る熱演は終了。最後の最後はメンバーそれぞれがセットリストを前にいるファンに手渡したり握手したりし、オーディエンスからはANATHEMAの最高のライブに対するリスペクトとしてまた大きな拍手と歓声が巻き起こっていた。



セットリスト

1. Anathema
2. Untouchable, Part 1
3. Untouchable, Part 2
4. The Lost Song Part 1
5. The Lost Song Part 2
6. The Lost Song Part 3
7. Ariel
8. Lightning Song
9. The Storm Before the Calm
10. Deep
11. The Beginning and the End
12. Universal
13. Closer

SE.Firelight

en1. Distant Satellites
en2. A Natural Disaster
en3. Fragile Dreams



 前座のSolstafirのアクトも想像以上に素晴らしかったし、主役のANATHEMAはもう言うことなんて何も無いってレベルの完璧すぎるライブだった。MCでまた日本でライブをしたいって旨の事も言っていたし、この日リキッドにいた人全員がまたこの2バンドに会える日を待ち望んでいると思う。
 こうして来日公演を観るまでANATHEMAは僕の中でずっと違う世界の住人たちって印象が本当に強かったけど、彼等の異次元でありながらも、その中に温かさが溢れていたこの日のライブを観てそのイメージはガラッと変わった。メンバーはみんな手拍子だったりを煽るパフォーマンスをしていたし、MCは英語だったから部分部分しか聞き取れなかったけど、日本のANATHEMAファンに対する感謝の言葉を何度も言っていたし、僕たちと同じ目線を持つ人間であるからこそANATHEMAはこんなにも素晴らしいライブが出来るんだと思った。
 ANATHEMAは光だけじゃなくて確かな闇も描けるバンドであるけど、それ以上に人間のもっと根本的な意味での愛を彼等のライブから感じたし、今回のANATHEMAのライブは「結局最後は愛なんやで。」っていう日本の僕たちに向けたメッセージだったのかもしれない。



 ANATHEMA、日本にやって来てくれて本当にありがとう。同時に今回の来日公演に関わった様々な方々と、来日公演に足を運んだANATHEMAファンの皆さんへ大きな感謝と敬意を。

プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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