■2016年01月

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■ Morgana presents(2016年1月23日)@国分寺Morgana

 西東京が誇る激音聖地こと国分寺Morgana、この日は企画名すら無いMorgana主催のライブだったが、ハコ企画とは思えない濃密な5バンドが出演。それに加えてSpice Addictsもフード出店とハコ企画だけど、他の自主イベントに負けない物を提供。この日も色々と被りが多かったが、個人的に出演バンドも大好きなバンドばかりだったのではるばる国分寺まで足を運ばせて頂きました。



・Predator

 ギリギリでMorganaに到着。丁度一番手のPredatorのライブが始まっていた。ちゃんとライブを観るのは大分久々な若手2ピーストラッシュデュオであるが、前に観た時よりも更にファスト&ショートなスタイルに。
 MC全く無し、ライブも15分やってるか怪しいレベルの嵐の様なライブ展開だったが、ひたすら速さだけを追求し、グラインドかつトラッシュさだけで攻めるスタイルは無骨であり男らし過ぎる程にド直球な美学を追求し過ぎた末の爆音の衝動。
 この日の出演バンドの中では一番若手なバンドではあったが、ハナから堂々と自らの音を放ち、Morganaの熱を良い感じで高めてくれたのだった。



・ZENANDS GOTS

 こちらもライブを観るのは久々なゼナンズ。ベースレス2ピース煉獄グラインドな彼らだけど、彼らは最早2ピースの究極系を体現しているバンドだと改めて実感させられた。
 田中氏のドラムは荒々しさを最大の武器にしており、爆発的音量で繰り出されるブラストビートの土石流にはライブを観る度に押し潰されてしまう。
 それに加えて千葉氏の混沌だけじゃなく確かにメロディアスなギターも見逃せない。ライブのテンションこそ沸点をとうに超えてはしまっているが、ただ我武者羅で破滅的なだけじゃ無い魅力がゼナンズのライブはある。
 ラストの「赤い月」の叙情的美しさとそれでも衰えない破滅感はゼナンズを象徴していた。最後の最後には千葉氏が思い切りマイクスタンドを蹴り飛ばしていたのも含めて最高に痺れた!!



・TRIKORONA

 ファスト&グラインドな2バンドが熱気を高めてからのTRIKORONAだ!!今回はギターの是枝氏がテルミンを取り入れて今後のTRIKORONAを一足早くお披露目なライブになった。
 門馬氏もベースがXL-2のヘッドレスベースになっていたけど、より魅せるステージングをするバンドへとTRIKORONAは変わりつつある。
 小山氏の散文的吐き捨てボーカルも服部氏のヴァイオレンスなドラムも絶好調。是枝氏が勢い余って右手から流血したり、門馬氏が靴でベースをブッ叩いたりなんかもあったけど、メンバーそれぞれのアクションがロックスター感とメジャー感を押し出し、それでもファジーなパワーヴァイオレンスはキメキメで天井知らず。
 今年はライブも前以上に精力的になっていると思うし、彼らが提示する独自のパワーヴァイオレンスは更に予想の斜め上を行くだろう!!



・SeeK

 速いバンドばかり集結した今回のイベントで唯一ミドルテンポからカオティック&ポストメタルな音を放つツインベース&ギターレス重音楽団SeeK!!店企画で大阪の最終兵器バンドが出演してしまっているのが先ず凄い。
 今年はアルバムリリースに向けて活動を進めているらしいSeeKだが、ラストにプレイした新曲含め、現編成でのSeeKはいよいよ完全な形で羽化しようとしているのを目の当たりにさせられるライブだった。
 後光のみの照明も含め、音とステージ上の光景から神々しさを感じる物になり、ヘビィなリフとインダストリアルさすらあるドラムによる無慈悲な重低音からSuguru氏の美しき怒号までドンピシャで迫ってくるカタルシスも相当な物!!
 今回のイベントの中ではある意味異色の存在だと感じた人も多いかもしれないけど、ただでさえ他のバンドも異質なバンドばかりであるし、SeeKはどんな場所でライブをしてもSeeKでしかない。早くアルバムを聴きたいし、近々リリースされるであろうアルバムは日本のハードコア・ヘビィロックの歴史を更新する凄まじい物になるだろう。



・Red Ran Amber

 そしてトリは国内最強グラインドコアバンドだと信じて疑わないRRAだ!!ex.屍の関根氏が加入してからのRRAは最強でしか無い事はライブを目撃した人なら分かると思うが、ライブを重ねる度にこのバンドは進化しかしておらず、もっと言えば毎回のライブが常に最高新記録であり続ける化け物なのだ。
 RRAのライブのオープニングはこの曲しか考えられない「硝子のシャワー」からいつも通り始まり、そしていつも通り強烈なる閃光を放つだけ。たったそれだけが全てを掻っ攫ってしまう。
 木村氏の爆音を物ともしない魂の叫び、三科氏のカマイタチの様な切り裂くギター、関根氏の鬼のフィンガーピンキングが生み出す地獄の重低音、そして天野氏の破裂音と発狂のブラストビート、全員が超絶技巧のスペシャリストだが、技術だけのバンドには生み出せない発狂と怒りの美学。4人の声と音が生み出す美しき流線型。今のRRAは全てが完璧だ。
 この日は他のバンドも勿論素晴らしかったが、やはりRRAが全てを持っていったのだ!!



 Morganaのブッキングイベントでありながら、他のバンド企画や自主企画に負けない素晴らしいイベントであった。音楽は勿論だけど、Spice Addictsのアディチキトルティーヤに舌鼓を打ち、21時には全プログラムが終了したので、その後はMorganaでゆっくりとお酒を堪能したりと、客として存分に楽しめたイベントだった。
 国分寺Morganaは西東京のライブハウスだし、人によっては少し遠く感じる人も多いかもしれないけど、言っても新宿から中央線で一本で割と直ぐに足を運べるし、音響もうるさい音楽を最大限に生かせる素晴らしい物だし、お酒も安いし、ドリンクのお姉さんは可愛いしと良い所しか無いハコだ。勿論出演バンドも毎回良いバンドばかりである。
 もし機会があれば是非とも国分寺Morganaへと少しでも多くの人に足を運んで欲しいと思う。西東京ローカルだからこその最高のライブハウスだから!!
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■The Heretic`s Proof





 国内メタルコアシーンの中でも異質の存在感を放つAngagement、Arise In Stability、The Rabiesによる3wayスプリット。各バンドそれぞれ2曲ずつ提供の全6曲。
 作品タイトルの意味はズバリ「異端の証明」。シーンの中でも強烈なオリジナリティを持つ3バンドによるスプリットのタイトルとしてこれ以上の物は無いだろう。



 Angagementは今作の中では一番正統派なメタルコアサウンドではあるが、その強靭なる音は王道でありながら異質。今作に提供した2曲を聴いただけで荒れに荒れまくったピットの光景が簡単に視界に浮かんでくる。
 シンガロングパートもガッツリ盛り込み、ブルータル&タフネスなモダンなメタルコアサウンドで堂々と攻める様は猛獣が暴れ狂う無慈悲さ。リフからメロディをちゃんと想起させる要素もありながら、ゴリゴリのまま沸点を超えるダークネス。凶悪な重さと治安の悪さを感じさせるビートダウンパートの歪みを感じたら彼らがモッシュ大好きキッズから絶大な支持を集めている理由も分かる筈だ。
 単なる脳筋メタルコアじゃない、ブルータルさから滲み出るアーティスティックさと、それでもやっぱり出てしまうヴァイオレンスさに卒倒間違いなし。

 Arise In Stabilityは新境地を感じさせる2曲を提供。これまで通り圧倒的演奏技術と情報量のプログレメタルサウンドこそ変わらないが、楽曲全体の無駄を削ぎ落とし、音にシャープさが生まれたからこそ、AiSの異質な音の乱数がより際立つ物になっている。
 特に「Magnetclock」はこれまで以上に音を詰め込みながらもドラマティックな組曲的名曲になっており、変態プログレパート以上に、泣きのギターソロや、クリーンパートの叙情性の広がりと美しさ、特に終盤の激情的クライマックスの胸を震わせる壮大さ。バンドがいよいよネクストレベルに到達してしまっている。よりメロディセンスを磨き上げたからこそ生まれる美しさは寧ろクリーンパートで発揮されていたりもする。
 単なる速弾き変拍子大好きバンドと侮るなかれ。緻密なまでに組み込まれた変態の遺伝子に驚くだろう。

 そして個人的に一番ブチ殺されてしまったのはThe Rabiesが提供した2曲だ。このバンドは完全に新しいブラッケンドの扉を開いてしまっている。メタルコア×オールドスクールデス×ブラッケンドな音はこれまで他のバンドが全くやろうとしなかった境地であり、メタルコアとデスメタルの両方にルーツを持つ彼らが到達した未知の世界。
 重さと神々しさと退廃的美学を激ヴァイオレンスかつ激ブラッケンドな音に仕立て上げて「新感覚の激音」を提示した「Stagnant Eye」。グラインドコア要素も盛り込み暴走しまくる激走と凶悪なビートダウンで心臓に圧迫感を与えて破裂させる過密型暗黒メタルコア「Good Citizen」。どちらも強烈過ぎる。
 俗に言うデスコアバンドだと思ったら大間違いだ。彼らはドス黒い死の世界を全く新しい方法論で生み出してしまった。



 「異端の証明」というタイトルに偽り無し!!強烈なる激音全6曲はカテゴライズ不可能な新たなる可能性であり、どの時代も新たなるスタンダードは常に異端児達が生み出してきた事を思い出してしまった。
 メタルコア系の音楽が好きな人は勿論だけど、それらの音楽が苦手な人にこそ逆に聴いて欲しいスプリット。テンプレ化した音は今作には全く無い。あるのは約30分に及ぶ異端児達の宣戦布告だ。







■Weltschmerz/Totem Skin

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 スウェーデン・ダーラナのダークハードコアバンドTotem Skinの2ndアルバム。1720年から1870年にかけて彼らの出身地ダーラナ地方で隆盛を極めた、スウェーデンの伝統的なシンボルデザイン「カービッツ」を捩り、「Kurbits Crust」と自ら名乗ることもあるとリリース元である俺たちのTokyo Jupiterのインフォにはある。
 そんな彼らの音楽性は正に理想的なダークハードコアであり、2010年代以降のハードコアの流れにありながら、一線を画すパワーとセンスを感じさせるクロスオーバーサウンドだ。
 またアルバムタイトルの「Weltschmerz」は、あるべき理想的な状況と世界の現状とを比較することによって引き起こされる、精神的なうつ病や無関心、または感傷的な悲しみのムード、世界苦を意味するドイツ語らしい。




 今作で初めてTotem Skinに触れたが、日に日にクロスオーバーを繰り返す現行のハードコアの美味しい所を全部かっさらった上でそれらをダークハードコアの一点に帰結させるキメラサウンドを展開。
 音楽性で言うならば激情ハードコア、ブラッケンド、クラスト、スラッジと多岐に渡っているが、それらをとっ散らかしたクロスオーバーにするのでは無く、ダークなメタルクラストを現在進行形のハードコアのエッセンスで消化している。
 音はとにかく黒い!!音自体は汚らしい訳では無く非常に洗練されたサウンドプロダクトになっているが、Dビートで爆走するサウンドを重心に、ツインボーカルで畳み掛け、寒々しいリフからメタルコア的なフレーズやカオティックハードコアな曲展開までを同時に乱射しまくる。更にはネオクラストな泣きのメロディまで飛び出してくるから一体どうなっているんだ!?
 だけど大雑把なサウンドには決してなっていないのが彼らの凄い所。一本筋の通ったズ太い音はハードコアとしての強度やヘビィさに満ち溢れており、今作を再生した瞬間にその音の破壊力に脳味噌がブチ砕けそうになってしまった。
 こうして書くとマッチョイズムに溢れたハードコアを想起させてしまうだろう。勿論それらのタフネスはサウンドから溢れているが、同時にアトモスフェリックな要素も取り入れている事も忘れてはいけない。アートワーク(ちょっとBaronessっぽさを感じたのは僕だけじゃ無い筈)からも感じるだろうけど、彼らの精神性は非常にコンセプチュアルな物でもあり、熾烈なサウンドの随所随所に散りばめられた静謐な引きの瞬間の美しさは北欧ハードコア特有の美意識とメロディセンスに溢れており、そちらもナイス!!
 けれどもアトモスフェリックさをあざとく冗長に展開させるなんて手段を彼らは取らない。それは激と美が複合を繰り返して「強く美しい」サウンドフォルムを手にした第5曲「Pretend」を聴けば明らかだろう。一見ポストメタル要素を全開にしていると思わせておいて、スラッジの煉獄へ、そして最後はノイズに吹き消される第7曲「I De Blindas Rike Är Den Enögde Kung」も屈指の名曲。



 アルバム全編を通して隙無し捨て曲無しとサウンドのクオリティの高さに驚かされる作品であるが、今作の凄まじさは時折静謐なる音をスパイスとしてふりかけつつも常に激昂の音が吹き乱れている事だ。徹底した芸術的センスも素晴らしいが、何よりもハードコアとして単純に強くあり続けている。滅茶苦茶痺れるよ!これ!!



■Epitome/Tiala





 小岩が全世界に誇るハードコア番長であるTiala。これまで数多くの伝説的ライブを生み出し、常に現場主義ハードコアの姿勢を貫き続ける彼らの5年振りとなる2015年リリースの2ndフルアルバム。リリースは勿論Less Than TVから!!
 これまでもTialaはハードコアの真髄は全くブレないまま、既存のハードコアから逸脱した音だけを鳴らし、フロアを狂乱に陥れ続けて来たが、今作でそんなTialaの独創性は完全に羽化し、最早他のバンドを引き合いに出して語る事が不可能な存在になってしまった。



 音楽性としてはハードコアを基盤にしながら、ニューウェイヴやポストパンクの要素を詰め込んだのがTialaの特徴だけど、今作はそれらの要素を盛り込んだハードコアって説明だけじゃ全く凄さが伝わらないと思う。音楽的雑多さはより多岐に渡り、だがどの音を切り取ってもハードコアだ。
 前作からの大きな変化としては、前作までにあったキャッチーさやポップさといった要素が後退し、よりシリアスでダークな感触を持つ音が増えた事。歌詞の方も第1曲「Resist」の「殺し合い 正義などない」という歌詞のフレーズが象徴する様に、よりシリアスなメッセージが増えた。それは現状の世界情勢や日本の政治情勢の問題に対する怒り、そしてそれらの感情の開放だ。
 それこそ第1曲「Resist」には強烈なる怒りが封じ込められているが、そのエネルギーの開放方法が他のバンドとは全然違う。それぞれの楽器がフレーズをループさせるグルーブの陶酔から、それを爆発させた時のカタルシスはTialaの武器だが、それぞれのフレーズがより自由になり、好き勝手に音を鳴らしているのだ。でもそれらの音が自然と調和し合い、そしてフリーキーさが沸点を突破した瞬間の爆発。凄まじい熱量を感じる。これまで以上に音がキレまくっている第2曲「1825」は宇宙へと吹っ飛ばされる音を光速で繰り出すキラーチューン。
 その一方で第3曲「Down」は54-71風に言えばスカスカなハードコアとなっており、ポストロック要素を導入した意欲作。以前からあったループ感を新たなる形で変換した楽曲となっているが、沈み込むドープさに冷や汗が流れる。
更に長尺曲になっている第4曲「Flames On Sand」と第6曲「Epitome」では前人未到の境地へ。クリーントーンの音の不気味な蠢きから、ノイジーに吹き荒れる暴動まで網羅し、よりスリリングさを加速させる「Flames On Sand。殆ど同じフレーズのループの進行でありながら、サイケデリックな酩酊感とポストメタル的美しさをTiala流に消化した「Epitome」。これらは既存のハードコアの文脈には無かった物となっており、どの様な文脈からこの音が生まれたのか全く読めない。だけどTialaだから到達できた境地だって事だけは分かる。
 だけど最後の最後はフロアが大荒れ間違いなしな新たなる暴動のアンセム「White It」で締めくくられるのが何ともTialaらしいじゃないか!!



 新しいハードコアを追求し続けてきたからこその会心の一撃であり、一見ハードコア色は後退したと思わせておきながら、よりフレーズが独創的になり、自由でありながら不気味に轟く衝動が充満している力作。
 ハードコアを形骸化させる事に全力でNOを突きつけながらも、その精神性は間違いなくハードコア。聴いていると宇宙へと吹っ飛ばされてしまう。小岩のハードコア番長が生み出す圧巻の熱量と怒りのパワーにぶっ飛ばされるだろう。



■Shattered Wishes/Lifeblood

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 2013年に結成された国産デプレッシブブラックメタルバンドLifebloodの1stアルバム。リリースはFuneral MothのアルバムもリリースしたWeird Truth Productionsから。
 全8曲となる今作はLifebloodの持ち味である儚く陰鬱な空気感がパッケージングされた力作となっている。



 看板こそデプレッシブブラックメタルであるけど、実はブラックメタル要素はそこまである訳では無く、ドゥームメタル等の要素も盛り込みながらも、実はブラックメタルでもドゥームでも無い独特の音を生み出している。エッセンスとしては確かにそれらの要素は十分にあるけど、それだけでは説明できない音楽性だ。
 Lifebloodの持ち味は引き算の美学が光る楽曲構築論と、その中にあるメロディセンスだろう。フロントマンの浅井氏の書くメロディやリフは非常にシンプルで音数が少なめな物ではあるけど、だからこそ物悲しさと詫寂がある物に仕上がった。
 ギターフレーズはシンプルである一方で、ベースラインはかなり凝った物になっており、独特の高揚感をベースが生み出し、リズム楽器としてだけではなく、Lifebloodにとって第二のメロディ楽器として機能している。
 ディストーションギターによる音なのに、自然とクリーントーンな音が想起され、不思議と凶悪な重さを感じさせないのもLifebloodの持ち味だ。精神的な重さと暗さこそ凄まじいけど、それをさっぱりとした味付けにしているから聴いていて飽きないし浸れる。
 特に第3曲「Numb」は浅井氏のメロディセンスが光る名曲となっており、このバンドにとってブラックメタルの看板は実は必要ないのかもしれないと思ったりもしてしまう。そうしたカテゴライズ抜きにして、暗い音楽が好きな人を虜に出来るだけの物がこのバンドにはあるのだ。
 ミックスもローファイなニュアンスがありながらも音の輪郭がくっきりした絶妙な物。ディストーションとクリーントーンの対比でメロディをより際立たせる第4曲「Stench Of Excessive Self-Consciousness」は特にそんな音作りが映える。
 約10分に渡って終わりなき絶望の螺旋階段を下る最終曲「Shattered Wishes」以外はどれも平均5分程の尺の曲になっているのも大きい。長すぎず短すぎず腹八分目で酔いしれる事が出来る作品だからこそ胃もたれしないバランスが生まれていると僕は思う。



 このスロウテンポの物悲しいミニマリズムな美しい楽曲たちは、実は割礼辺りの日本語サイケデリックのバンドの持つセンスと通じる物があると僕は勝手に思っており、エクストリームミュージックの濃度を保ったまま、それを極端にしないである意味普遍的にアレンジした作品だとも言える。
 ふと落ち込んだ時に絶妙な距離感で寄り添ってくれるどこか優しさすら感じたりする作品。シンプルさとメロディセンスを磨き上げたからこそ生み出せた儚い灰色の全8曲。



■All Creation Mourns/Presence of Soul

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 Yuki嬢とyoshi氏はかつて東京酒吐座に参加していたり、ベースの中山氏はワゴムにも参加していたりとメンバーが多岐に渡って活動しているPoSの実に7年振りとなる待望の3rdアルバム。ミックス・エンジニアは前作に続き中村宗一郎氏。
 フランスのLes Tenebres Recordsからリリースされており、bandcampでのデジタル販売と物販とオフィシャルサイトでの通販の方でのアナログ盤の販売という形式で入手可能となっている。またデジタルとアナログ盤の方では収録曲に若干違いがあるが、僕はアナログの方で購入したのでそちらで紹介の方は書かせて頂きます。



 前作「Blinds」からバンドの編成自体も大きく変わっており、それを機にシューゲイザー×ポストロックな音をよりヘビィにさせてポストメタル化を果たしている。前作の儚いシューゲイザーサウンドを受け継ぎながらも、スラッジ要素も加え美の旋律とドス黒い轟音とヘビィネスが渦巻く様は日本のYear Of No Lightとも呼ぶべき音だ。そこに儚げなYuki嬢のボーカルが乗るという幻想の音。
 第2曲「The man who leads the mad horse」から明らかにメロディにゴシックな耽美さとダークさが存在しており、消え入りそうな美しさが奏でられていると思ったら、終盤では刻み付けるリフの一転攻勢からの凍てつく波動の様な破格のスケールのブリザードノイズへ!!
 wombscapeのボーカリストであるRyo氏がゲストボーカルを務める第3曲「Genom」は更にスラッジ色を強め、リフと轟音が渦巻く中で聴かせるRyo氏のボーカルはヒステリックで痛々しく、より曲の持つ絶望感を加速させる。
 宗教的な空気感を感じる旋律が歪みを想起させ、重力に押し潰されそうなスラッジリフによる悪夢である第4曲「Teaching of necessary evil」は現在のPoSを象徴する楽曲になっている。この曲をライブで初めて聴いた時に僕は「PoSは日本のYear Of No Lightや!!」なんて興奮したんだったな。
 だけどダークネスと暗黒スラッジだけで終わらないのがPoSだ。前半の楽曲も複雑に絡むギターと構成美を生み出すリズム隊の骨組みがアーティスティックな空気を確かに生み出し、ヘビィさの中でメロディやストーリーを聴き手に想起させる事に成功している。
 終盤は一転して黒を乗り越えた先の救いの白を描く楽曲。ピアノの音色とストリングスとシューゲイジングギターとYuki嬢の歌声のあまりの美しさに言葉を忘れそうになる第5曲「You'll come to the apocalypse at last」はMONOにも負けないであろうレベルの壮大なスケールとクラシカルさ。終盤のパートはGY!BE辺りにも通じるクライマックスであり素晴らしい!!
 そしてよりオーケストラ的な音色が増幅した最終曲「circulation」の清流の音から天へと導かれる高揚感と疾走感のラストは「今日を精一杯駆け抜ける君に鼓動を刻む明日は来る」って気持ちになってしまう事間違いなし。



 7年振りの3rdという事もあって前作から音楽性も大きく変化しているが、PoSの描く美しさをより際立たせる為のポストメタル化は必然であったと思う。日本でここまでのクオリティのポストメタルな音を聴かせるのはPoS以外だと現在のTHE CREATOR OFややWonderLandや現在のOVUM位しかいないんじゃないだろうか?
 ドス黒い轟音とヘビィネスの凄まじさから、その先にある美しい原風景の様な救いの音色には心が洗われる事間違いなし。国産ポストロックの新たなる進化を刻み付ける名盤となった。



■最低の昨日はきっと死なない/それでも世界が続くなら





 2011年にex.ドイツオレンジ篠塚氏を中心に結成された通称:それせかの2015年リリースの6thアルバム。2013年にメジャーデビューを果たしたが、2015年5月にリリースした5thアルバム「僕は透明になりたかった」を最後にメジャーからのリタイアを宣言。それから半年程でのリリースとなる。
 レーベル無所属という完全自主制作作品となっており、まるで生き急ぐ様に作品リリースを重ねているから色々心配になってしまったけど、今作は紛れもなくバンドにとっての最高傑作であり、国産ギターロックの金字塔的作品だと僕は勝手に思っている。



 今作の大きな特徴は二つある。一つは多重録音やクリック等を一切使わず、廃カラオケボックスの一室で一発録音された作品である事。「僕は透明になりたかった」もメジャーとは思えない音の荒さや生々しさが強かったが、それの比じゃない切迫感が作品には充満している。そしてほぼスタジオライブと同じ環境で録音されたにも関わらず音源としての完成度が素晴らしい。ライブバンド:それせかの実力を真空パックした作品だ。
 もう一つは「希死念慮」が今作のテーマになっている事。これまでもいじめ、虐待、家庭環境、病気、レイプ等の重いテーマを曲にして来たけど、それすら超えてただひたすら死について歌った作品となっている。
 今作にはアッパーな曲や分かりやすいディストーションサウンドの楽曲はほぼ皆無だ。空間系エフェクターによるポストロックな音色こそ多いけど、静謐さで引っ張る曲ばかりであり、内側へ内側へ沈み込む音ばかりが続く。なのに血流する絶望と渇望の感情。そしてただひたすらに暗く悲しく美しい。
 スロウテンポで削りに削った音数で歌われる第1曲「昨日が終わるまで」から死の匂いしかしないトレモロフレーズに心が引き込まれていくが、第2曲「浴槽」はバンド史上最も痛々しく終わりを願う名曲。トレモロリフのみで進行する楽曲、何度も悲痛に歌われる「返して」という言葉。この2曲だけで、目の前にぶら下がった死へと否応なしに向き合うしか無くなる。
 ビートこそやたらダンサブルさもあるのに、ドープに沈むビートと自傷的ディストーションのラストにハッとさせられる第3曲「冷凍保存」、篠塚氏の弾き語りによる分かり合えない事に対する諦めを歌った第4曲「ひとりぼっち」、透明になりたいのになれない淀みの中を彷徨うシューゲイジングギターが消え入りそうな儚さを描く第5曲「傾斜」、重低音の効いたビートが小宇宙の中でただ笑う事すら忘れて取り残される第6曲「落下」、メランコリックなメロディであるのに、聴いていると叫びそうな気持ちになってしまう第7曲「少女と放火」まで本気で絶望的な曲しかない。
 篠塚氏の歌の力は歌詞と共に嫌でも聴手に突き刺さってくる。決して誰かに押し付けるトーンで歌っていないのに、だけど歌と言葉が音と共に共存し合っているからこそ、聴いてて涙が止まらなくなる。僕が個人的にこの感覚を覚えたのはisolate苔口氏のバンドであるRegret Griefを聴いた時以来だ。
 そんな曲ばかり並ぶ中で唯一アッパーな第8曲「最後の日」は行き着く先はそこにあったのかと気付かされる。bloodthirsty butchersの吉村氏のギターの音を個人的に思い出した優しいファズギター、「俺はもう長生きでいいよ」という歌詞のフレーズはどんなに死を望んでいても結局は「死なない」という悟りの境地にまで達している。
 そして再び自問自答の世界で「死なない」日々へと消えていく最終曲「失踪未遂」で取り残された気持ちで終わる。



 まるで「生活」の頃のエレカシとSyrup16gと「深海」の頃のミスチルとブッチャーズが全く薄くならずに共存してしまった世界。安易な絶望や慰めすら尻尾を巻いて逃げ出すリアル。完全に悟りの境地であり、アンビエント色の強い音色が余計に悲しく響く。底の底に沈んだ先に何を見るかは聴き手それぞれだ
 だけどカテゴライズされた絶望や死にたさでは無く、本気で足掻く人を優しく包み込む作品だ。こんなリアルで生々しくて残酷で優しくて透明な音は他に無い。
 それせかがずっと描き続けたポピュラーミュージックの到達点であり、そこにあるのは目を背けたくなる日々の絶望と現実。だけど何があってもこの歌は死なない。打算も理想も無いからこそ、この歌が届いた人にとっては掛け替えのない物として残り続ける。だからこそこのバンドは本物だ。



■Existentialism/INFANTICIDE SS

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 2015年に突如として登場したINFANTICIDE SSの1st音源。
 全てが謎に包まれており、何故か東京都町田市のアーティストである事だけが判明しているが、それ以外は全てが闇に飲まれいる。ググってみても出てくるのはリリース元のSATAN'S DOJO RECORDINGSのサイトと盤を販売しているdisk unionしかヒットしない。
 ブラックメタル並の神秘性を持っており、最早バンドなのかユニットなのかソロワークなのかも完全に不明。音源を聴く限り、ドラムは恐らくビートマシンを使っているから誰かのソロワークなんじゃないかと勝手に踏んでいる。



 よって今作に関しては本当に音についてしか書く事が出来ないけど、これが本当に素晴らしい複合型拷問サウンドとなっているのだ。アルバムタイトルは「実存主義」という意味になっており、人間の精神的ダークネスを暴く物になっているが、インダストリアル、スラッジ、ブラッケンド、デスメタルの持つ一番ドス黒くて恐怖を覚える音が組み合わさった煉獄。
 感情を失ったかの如く無慈悲に鈍器で殴りつけるビートと気が狂いそうなギターリフの反復の応酬。地の底の底から響き渡るグロウル。終わり無く痛めつける陰慘極まりないトーチャーサウンドだ。
 GODFLESH辺りのインダストリアルやCorruptedやSu19b辺りのバンドとリンクしつつも、オールドスクールデスメタル辺りの空気感もあり、ただドス黒く重いだけじゃ無く、確かな渋さもある。
 第1曲「Existentialism」は見事なまでの反復リフとビートが責め苛む地獄案件。かと思えば第2曲「Psychological Effects Of Violence」ではリフに神秘性を感じるメロディが存在し、ラストの唐突に入り込むクリーントーンのアルペジオが輪郭を失い、リバーブかかりまくったグロウルで締めくくられるおぞましさ。
 第3曲「God Is Necessary For Mind Of A Schizophrenia Person」は更にメロディを想起させる楽曲になっているけど、音が潰れ切っているローファイさが癒しを与えてくれる訳が無く、黒鉛の音に体も心も侵食されていくだろう。
 極めつけの最終曲「Plateau Dirty With Blood」は死以上の恐怖を余裕で与える美しき悪夢。不協和音のクリーントーンから始まり、轟音化したリフとフューネラルなクリーンの対比を繰り返した末に、ラスト2分は鐘の音色にファズをかけた様な音だけが繰り返される…ご冥福をお祈りしますといった所だ。



 この世のあらゆる漆黒音楽を飲み込んだトーチャーサウンドはこの手の音楽の中でも最高水準の完成度を誇っており、陰鬱さを追求した末の痛みを無慈悲に与える葬式案件。GODFLESH、PITCH SHIFTER、Corrupted、Su19b、SUNN O)))辺りが好きな人には是非とも聴いて欲しい。心身共に南無阿弥陀仏。



■PRAYGROUND/BOMBORI





 カオティック美大として名高い武蔵野美術大学にて結成されたエクスペリメンタルヘヴィサウンドチームBOMBORIの初の全国流通となる2ndアルバム!!
 フランスでの武者修行ツアーやフジロック出演で名前を全国に広げ、その圧巻のライブアクトは各地で話題を呼んでいたが、2014年からプレイされていた今作収録の楽曲は1stの頃のカオスなサイケデリアから更に踏み込み、HEAVINESS(ヘヴィネス)をキーワードに新しいエクスペリメンタルを生み出すに至った。
 レコーディングエンジニアにはex.GAJIとしても有名で、OSRUMやskillkillsやREDSHEERのレコーディングも手掛けた浅草橋ツバメスタジオの君島結氏が担当。最高じゃないワケあるか!!



 今作での大きな変化を先ず挙げるとすると、ツインドラムの片割れであるTPOGalaxyがフロントに立ちボーカルを務めている事だ。まず彼のボーカルが素晴らしく、ヘイトフルであり叙情的な叫びを聴かせている。
 オープニングを飾るタイトル曲「PRAYGROUND」からバンドの変化と進化を発揮。3分半というコンパクトな楽曲でありながら、明確で分かりやすいリフと、複雑さを極めて逆にシンプルでダイナミックになったビート、奥行あり過ぎりな宇宙的音響、そしてTPOGalaxyの叫びが3分半で冥界へと誘う。
 前作にも収録されていた第2曲「Land」も全く別の曲へと変貌を遂げている。元々のトランスでトライヴァルなドラムとmicroKORGの音はそのままに、轟音のヘビィネスとループ感によるミクロとマクロをごった煮にした闇鍋感を下手したらスタイリッシュに、だけど洗練というより超越的に生み出している。
 ブルースやストーナーやドゥームをドカ盛り全部乗せにしてしまった第3曲「Helios」のドープさとマグマすら蒸発させてしまいそうな熱さ。真夏の夜の悪夢の様であり、キャンプファイアーの炎にみんなでクラウドサーフしちまっている感じ。全部ひっくるめて頭がおかしくて最高。
 序盤の3曲だけでも方向性は見事にバラバラではあるけど、共通しているのは徹底してヘビィである事と、メンバーそれぞれのルーツになっている音楽を新旧古今東西問わずに好き嫌い無く全部平らげておかわり君も卒倒するレベルでのおかわりchangな音に対する貪欲さ。食っても食っても表現衝動によって脂肪が燃焼されてしまうフードファイターっぷり。これ最早万年空腹のモンスターだ。
 個人的に後半の4曲が特に好きで、夏の終わりの切なさのクリーントーンをツインドラムで絵日記なんかに出来ずに全部破り捨て、思い出なんか残さない爆音の激昂へとなだれ込む第5曲「Egungun」、micoroKORGとツインドラムの秩序が生み出すダブと民族音楽を起点にしたBOMBORI流EDMな第6曲「VLS」。 
 今作で一番ヘビィな涅槃のサイケデリアを描く第7曲「Black Mountain」のクラウトロックやニューウェイブのバンドが持つあの泥臭さと血流を想起させながら、極限までビルドアップしたリフの応酬が乱反射する黒の輝き!!そして最終曲「Echo」の一抹の刹那の最果てはBOMBORIにしか生み出せなかった名曲であり、この曲が全ての行き着く所だ。



 あらゆる音を食い散らかし、その結果完全に化け物な音を吐き出す永久機関。ジャンルの形容は不可能。単なるアバンギャルドにも走らない。単なる技術主義にも走らない。音自体はキャッチーな余地を残し、リフで圧殺し、轟音でトランスさせる。確かな取っ掛かりがどの曲にも存在しているからこそ余計に引き摺り込まれたなら逃げる事は不可能だ。
 滴り落ちる汗、背筋を走るゾクゾク感、未知の世界に触れそうになる瞬間の覚醒、それらを全てヘビィネスから発信する。これはもう理屈で語る事は到底不可能だろう。
 触れた者全員爆殺確定。完全無欠のモンスターことBOMBORIはこれから更に全てを喰い殺していくだろう。そしてBOMBORIという新たなる王国が生まれた…最高だ!!



■Twolow Presents garlic? Vol.6(2016年1月10日)@下北沢ERA

 早くも第六回目となったTwolowの自主企画。毎回絶妙な面子が集結するけど、今回は実に一年半振りの東京ライブとなる山形の激情ハードコアwhat ever filimに、魚頭氏・羽田氏、藤本氏によるミラクルオルタナティブOSRUM、相変わらず各地で暴力的な音で圧倒しまくりなVVORLD、スラッジから新たなる地平を目指すSTORM OF VOIDとTwolow企画ならではな超豪華面子。
実に久々にERAへと足を運んだけど、スタート直前には既に多くの人でフロアは埋まり、こうした音楽性のライブイベントではかなり大盛況のライブとなった事が先ず嬉しい。そして少し早めのスタート時間である17時30分ほぼオンタイムでイベントはスタートした。



・STORM OF VOID

 トップバッターはEnvy、TURTLE ISLAND、FC FiVEのメンバーによるスーパーバンドSOVがいきなり登場。個人的にライブを観るのがかなり久々だったので楽しみにしていた。
 暫く観ない間にセットも新曲中心になっていたけど、従来のスラッジサウンドとは大分かけ離れた所へと到達しようとしているんじゃないかと今回ライブを観て思った。白熱照明の後光だけのステージから生み出されるのは紛れも無く激重の音だけど、ギターフレーズやドラムの音がより複雑になっているのも関わらず、今まで以上にグルーブのトランス感覚が増幅し、拷問感ゼロ、意識を吹っ飛ばす重低音は最早スラッジEDMの領域にまで達していた。
 演奏も相変わらずタイトでストイックだったけど、曲によってはポストメタルに接近したクリーントーンの音のアプローチも飛び出し、更にここぞの所では3人の音が暴走したまま爆発するカタルシスまであり、ますます意表を突くバンドに変貌を遂げていた。
 言葉の無い音楽だし、MCもいつも通りゼロではあったが、ジョージ氏が曲間に掲げるメロイックサインが全てを語っていただろう。相変わらず凄さしか無いライブだった。



・VVORLD

 お次はヴァイオレンスハードコアバンドVVORLDだ!!
 パワーヴァイオレンスってもう言ったら大雑把な括りになってしまうのかもしれないけど、VVORLDに関しては行き着く先は純粋なるハードコアなんだと思う。弦楽器隊二人もボーカルを取るトリプルボーカルもそうだし、緩急の付いた速さと重さのバランスもそうだし、時折カオティックハードコアなフレーズを盛り込むのもそうなんだけど、VVORLDの持つハードコア全部乗せ感は最早異常だとすら思う。
 面子的には少しアウェイなイベントではあったのかもしれないけど、極悪で治安の悪い音と空気感はこの日一番のタフネスを発揮していたと思う。ゴリゴリと削り取られる様な熾烈さと、ヘイトフルな音が鼓膜を破壊する爆音のハードコア。この日本にも数多くヴァイオレンスなバンドは存在するけど、VVORLDは頭一つ飛び抜けている。彼らの実力を十分堪能したライブとなった。



・OSRUM

 ex.ゼアイズとかex.Zなんて最早不要。どこまでもシンプルで透明感のある熱情を描くOSRUMはそれぞれのメンバーのキャリアすら無効にする最高のバンドだ。
 いや勿論3人のキャリアやこれまで積み重ねた物があるからこそ到達出来た音を鳴らしているのは間違いない。円熟した表現力が生み出す渋さもOSRUMの大きな魅力なのだから。
 だけれども、余計な音を削ぎ落とし、90sエモやアーリーグランジの流れを汲みながらも、シンプルなアプローチだけで最大の感動を生み出すOSRUMの音は本当に胸にじわりと沁みこんで来る。
 魚頭氏のギターフレーズはコード弾きとパワーコード中心であるし、リズム隊の音の絡み方こそ独特ではあるけど、最終的にはシンプルな哀愁のギターフレーズのみでゆったりとバンドを引っ張っていく。
 決して派手な音では無い。だけれでも確かな重みと熱情を豊かに描き出すOSRUMは掛替えの無い熱情を常に生み出す。だからこそ僕はOSRUMが大好きなのだ。



・what ever film

 ライブを観るのは実に7年とか8年振りになる山形産激情ハードコアwhat ever film!!東京でのライブ自体かなり久々だったらしいので、今回こうしてまたライブを観れる事が嬉しい。
 実際久々にライブを観たけど、東北の寒い地域特有の刹那的なメロディは相変わらず健在。ソリッドさとシャープさを重心にしたツインギターと掛け合いのボーカルも極寒の雪国を凍てつかせない熱情。自分たちが出来ることをただ我武者羅に一生懸命鳴らすという真摯さがあるからこそその音は胸に確かに響いてくる。
 曲自体次も変拍子多様で多展開なサウンドであるけど、そうした印象はライブを観ていると全く感じさせないのが不思議だ。音が熱情という一本の筋で通っているからこそ、熱くストレートなエモーションとして観る人に伝わってくるのだろう。
 五月雨の様に降り注ぐ蒼の衝動を堪能。ローカルからシーンを作り上げた猛者の底力を見た!!



・Twolow

 そして主催のTwolow。セッティング時に謎の細身の髭のイケメンが!?何のアナウンスも無かったけど、この日のライブからTwolowは新ギタリストが加入して4人編成に!!新ギタリストは若干24歳の期待のホープ渡辺氏!!塚本さんのご長男の一個上らしい。
 そして4人になったTwolowはと言うとツインギターでリフを刻み捲りなスタイル!!これまでの3ピースの硬質な音とはまた違って、二人でリフを刻んでユニゾンさせながらも、音の広がりや臨場感といった物を増幅させる事に成功。タイトで乾いていて図太い音をグルーブにするリズム隊の音と相性も抜群だ。
 渡辺氏のギタープレイも今後益々期待するしか無い物を見せてくれたが、初ステージとは思えない暴れっぷりを見せてくれて、堂々とした佇まいで暴れながらリフを刻んでいた。それに負けじと店主・水谷氏は登場時はグラサン→それを高々とフロアに放り投げる。なんてロックスター感から、Twolow名物ガニ股騎乗位リフ刻みに、暴れ刻む渡辺氏の裏でザイルの如く体を回転させながらのリフ刻みという新メニューも登場。
 しかしながらギターが二人になった事で音のレンジもこれから広がっていくだろうし、1stで見せたリフ地獄から更に一歩踏み込んだ表現へとこれから突入して行くだろう。4人になってパワーアップを果たしたTwolow、今後も楽しみです!!



動員的にも内容的にも大成功なイベントであり、毎回確かな熱さがあり、実力派のバンドのみが集結するTwolow企画の集大成となったと思う。
 Twolowは新メンバー加入というサプライズもあったが、企画者としてこの猛者ばかりの中で堂々としたライブで見事にイベントを締めくくってくれたのだ。今後も新曲の方も企画の方も引っ括めてTwolowから目が離せない!!
 それにしても21時半前と早めの時間にイベントが終わるのは良いですね。帰りにのんびりラーメン食いに行けるんですから。

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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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