■2016年04月

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■MoE japan tour(2016年4月25日)@小岩bushbash

 Khmer来日の興奮が冷めぬ中、今度はノルウェーのジャンクロックバンドMoEが日本にやって来た!!今年に入ってから外タレの来日ラッシュは続くが、各所でMoE来日に対する期待も高まる中、来日公演一発目となる小岩ブッシュバッシュへと足を運ばせて頂いた。
 個人的には4人編成での活動をスタートさせたBOMBORIと遂にベースが加入して5人となったNoLAという二つの強力な若手バンドの新体制のライブを楽しみにしていた。月曜という事もあって、お世辞にも客入りが良かった訳では無かったけど、この日足を運んだ人はノルウェーの怪物に挑む2大若手バンドというスペシャルな対決をしっかりと目撃して記憶に焼き付けた筈だ。



・BOMBORI

 トップはBOMBORIから。4人編成での活動を本格的にスタートさせた彼らだが、その変貌ぶりに先ずは驚かされた。VJがいなくなり、ギターも一本減ったが、これまでの楽曲は一切無しの全新曲でのライブという攻めのモード。昨年末に2ndをリリースしたばかりだというのにその異様な創作意欲に驚かされる。
 肝心の新曲の方にも驚かされた、これまでの方法論を完全に捨て去り、パワーヴァイオレンス的なサウンドにシフト、まさかBOMBORIがパワーヴァイオレンス化したという事実にも驚きだけど、BOMBORIが単なるパワーヴァイオレンスをやる訳が無いだろう。以前よりよりヘビィさを意識したサウンドは格段にサグイ空気を身に纏いながらも、BOMBORi独自のサイケデリアを滲ませるサイケデリックパワーヴァイオレンスなんて意味が分からない単語が思い浮かんだ程。
 完全にボーカルへとシフトしたTPOGalaxyは常にフロアに向けて殺気を撒き散らしながら、狂気的叫びを繰り出し(途中でズボンのベルトが外れてパンツが丸出しになったのは流石に笑ったが)、Hikariのブラストビートに込められた狂疾的なヘビィネス、ALTとETAQのギターとベースが生み出すリフの魔力。ジャンクロックからストーナーを盛り込み、ますます解読不能となりながら、ただ目の前にはヘビィネスだけが存在する新生BOMBORIに言葉を失い、ライブが終わった後に出てきた言葉は「何じゃこれ!?」の一言だ。
 またしても新たな音を喰らい、より独自のヘビィネスを追求し始めたBOMBORi、早くも3rdアルバムが楽しみになった反面、この日見せたサウンドが今後どう進化し変貌していくのか予測不可能だ。こいつらはまだまだとんでもない事をやらかしてくれる筈!!



・NoLA

 3月からベーシストYutoが加入し遂に最後のピースがハマり完全体となったNoLA。これまでのライブも凄まじい殺気と怒気を放つ物ではあったが、一発目の「DEAD BEAT」で5人になったNoLAの強靭な音に卒倒してしまった。
 Yuto加入直後だからまだライブに固さみたいなのはあるのかなとも思ってはいたが、そんな物は全く無し!!既に5人としてのアンサンブルを完成させており、もう何も恐れる物が無くなったのだろう。5人が好きに人殺しの音をただぶつけてくるだけだ。
 bandcampの方でも公開されている新曲「Last Moment」もこの日プレイされたが、NoLA独特のコブシの効いたビートとリフのフックの強さは段違い。既存の楽曲もベースがいる事を意識したアレンジへと変化しており、元々のポテンシャルの高さが極まってしまっている。
 何よりもダークネスを起点にしながらもどこまでもアッパーに突き抜ける。
 あっという間に終わった全6曲だったが、5人体制となり完璧な布陣となったNoLAのこれからの快進撃に期待するしか無くなった。この若武者はこれからもっともっと凄い事になるぞ!!



・MoE

 そしてこの日のメインのMoE。色々な前情報が飛び交っていたが、それは完全に無意味であり、MoEの全容はライブで明らかになったと言える。
 BOMBORIのTPOGalaxyにタックルされそうになったり、NoLAのTakeruに服を掴まれたりとジャパニーズ若武者ボーカリストのわんぱくさを肌で体感したであろう女性ベースボーカルを中心とした3ピースだが、兎に角奇天烈で予想外の音を彼女たちは投げつけてくれた。
 個人的にはNomeansnoに通じるであろうポストハードコアさを感じたりもしたが、ギターのリフはジャンクそのもので奇怪な不協和音のリフを鳴らす。ベースの鉄の重さを感じるフレーズとドラムの変幻自在な自由度の高さで曲に一貫性こそあれど、方法論は本当にバラバラ。
 2ビートでパンキッシュに疾走すると思いきや、既存のスラッジの方法論から逸脱したスラッジさまで飛び出し、30分に及ぶライブで観る者を妙なドキドキを植え付けたMoEは独創性が生み出すオルタナティブロックを体現するバンドだったという事だ!!



 MoEは現在全国をツアーしているが、5/6の東高円寺二万電圧のCoffins企画では更なる猛者と対峙する事になっている。
 ノルウェーが生み出した突然変異は日本のエクストリーム独自勢力と対峙した時にどのような化学反応を起こすのか、想像しただけでワクワクが止まらない。
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■lyric poetry(2016年4月23日)@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

 何度も当ブログでライブレポを書かせて頂いているが、日本が誇る国宝級バンドこと割礼がロングセットライブという事でこの日は数多くの被りがあった中でヘブンズドアへと足を運ばせて頂いた。
 迎え討つはex.PEALOUTの近藤氏とdipヤマジ氏のユニットと女性ボーカルを擁する奇天烈ポストパンクOtoriと見逃せない3マン。客層の年齢層こそ少し高めではあったがヘブンズは多くのお客さんが。いやこんな豪華な3マンは見に行かない訳が無いって話だ。



・Otori

 家を出るのが遅くなってしまったがギリギリトップのOtiriに間に合って最初からしっかりと今回のライブを拝見出来て先ずは一安心といった所。
 Otori自体は最後に観たのは三年前とかだから本当に久々にライブをチェックする事になったが、前に観た時よりもバンドのグルーブの肉厚さが際立つ。
 ハイトーンの女性ボーカルが放つイルな言葉、ノーウェイブな機械的で無機質なギターフレーズの独創性、極太のビートのファッティさ。音数へ決して多くないが、放つ音と声がそれぞれ「どのフレーズを弾けば観る人の意識をかき乱せるか。」という事に対して異様に自覚的でもある。
 曲中でループするフレーズと言葉が意識を混乱させるポストパンクサウンドは何よりも研ぎ澄まされた切れ味を持っており、キャッチーで踊れるのに不協和音とノイジーさの不条理の中に観る人を追い詰めていた。30分の持ち時間の中で濃厚なライブを繰り出す。
 ジャンクさとノーウェイブを熟知したサウンドを機械的かつダイナミックに繰り出すライブだが、自然と体が動いてしまう躍動性。改めて強烈なバンドだと知らしめられた。



・近藤智洋withヤマジカズヒデ

 お次はex.PAELOUT近藤氏とdipヤマジ氏のセッションユニットのライブ。どんな事をするのか気になっていたが、内容はカバー曲中心のセット。
 だけどこの二人が単なるカバー曲をプレイする訳が無く、Pink Floydのカバーから始まったが、原曲よりも更にサイケデリックさが増していないか?
 近藤氏に関してはPEALOUTのイメージがどうしても強かったけど、こんなサイケデリックな音を奏でる人だったってのは意外でもあったが、ヤマジ氏のプレイとの相性は抜群。ボーカルとギターのエフェクトをかけまくっていたのもあり、弾き語り形式のスタイルではあったが、音の霧が目前に存在しているのを体感。
 Joy Divisionのプレイしながら歌はルースターズなんて反則技も繰り出したが、Pavementのカバーを意識したらしいEcho & the Bunnymenの「Killing Moon」のカバーがハイライトだった。
 緊張感溢れるセッションでありながらMCは緩くほっこりな空気も含めてじっくりと堪能させて頂いた。二人の奇才によるスペシャルなセッションはやはり特別な物になったと言える。



・割礼

 トリは勿論我らが御大こと割礼。先日のBorisとの2マンライブで凶悪な音を繰り出し圧倒されたが、この日は歌をじっくりと聴かせる空気の割礼だったと言える。
 だが一時間セットの割礼が普通のライブなんて勿論する筈が無く、そもそも割礼自体が普通のライブなんてやらないのだけど、一曲目の「ネイルフラン」のディストーションに頼らないバンドの遅さというタイム感だけで酩酊させるアンサンブルの時点で既に仕上がりまくりだ。続く「散歩」で更にスロウな空気感が生み出す重さと圧迫感に押しつぶされそうに。
 その流れから名物・松橋MCを挟んでの「ラブ?」で一気にハッとさせられる。割礼の中でも異色の速さのこの曲だが、パンキッシュな疾走感の中でも滲み出る妖しいサイケデリア、イントロを長めに引っ張っての山際氏と宍戸氏のギターの絡みがまた気持ち良いのに、不思議と意識を溶かされそうに。曲間のキメではフロアから歓声が起きる程で、割礼は遅いだけでなく、速い割礼も強烈な音を鳴らすのである。
 そんな極まった状態で終盤は「素敵な季節」と「溺れっぱなし」をプレイ。割礼でも屈指の重厚さを誇るこの2曲でメンバーのプレイのギアもマックスになり、ラストの「溺れっぱなし」では山際氏と宍戸氏の凶悪なファズギターによるロングギターソロで圧巻のエンディング。ライブが進む程に音が増幅され、意識を覚醒させまま酩酊させる割礼の必殺技とも言えるアンサンブルに完全にやられてしまったよ。
 ライブが終わり客電が直ぐ点いたが、あんな凄いライブされてしまったらアンコールを求める手拍子が鳴り止む筈は無く、最後の最後は予定に無かったであろうアンコールへ。一転して爽やかな風通しの良さに酔いしれる「怪人20面相」にてこの日は終了。一時間弱で全6曲となんとも割礼らしいセットだったが、何にしても最高以外の言葉しか無い。割礼を観る度に思うけど、本当に日本に生まれて良かった!!



 帰り際は少し小雨が降っていたが、傘なんて持っていないし傘無くても大丈夫なレベルの小雨だったのでそのまま自転車で帰路へ。少しだけ肌寒い空気だけど、その中の不思議と嫌な感じのしない空気の感じが何とも割礼のライブを観た後に妙にマッチしており、そんな余韻の中で帰路へ。
 割礼の事ばかり書いているけど、近藤氏とヤマジ氏のセッション、Otoriと本当に濃いライブを体感させて頂きました。Otoriは物販でアルバム買ったけど、そちらの方も強烈な毒電波塗れで素晴らしい一枚でした。

■Khmer Japan Tour 2016(2016年4月16日)新宿Nine Spices

 新たなる物語のページはいよいよ開かれた!!スパニッシュネオクラストの伝説であるIctusから始まりブラッケンドとして新たなるページを開くKhmerがいよいよ俺たちの3LAの招聘によってこの日本にやって来る!!これまでIctus編集盤再発やKhmerの作品をリリースして来た3LAの手によってKhmerが来日公演を果たなんて激アツじゃないか!!
 僕は今回の来日ツアーは初日の新宿しか足を運べないのだけど、この日はまさかのドリンク代だけの無銭ライブ。3LAとナインスパイスの心意気を感じた。国内サポートバンドの方も金沢のThe Donorはメンバーの健康上の都合で出演キャンセルとなってしまったが、申し分無しのラインナップ!!そんな熱き物語の1ページ目を目撃させて頂いた。



・Vertraft

 トップバッターはVertraftから。気づいたら5人編成になっていたが、音がより分厚くなり、ツインギターのメロディアスさがより際立つサウンドに変貌を遂げていた。演奏時間こそ短かったけど、MCも含めてライブのテンションも楽曲も兎に角熱いハードコア魂溢れる物へと進化していたのが印象深かった。
 正式音源こそまだリリースされていないバンドだけど、彼らが放つネオクラストが今後どの様に更なるオリジナリティーを確立し、Vertraftだけの物へと変えていくのか、そこも含めて今後益々期待が高まるライブであり、何よりもトップからナインスパイスを熱くしてくれた。



・Gleamed

 2番手はキャンセルとなったThe Donorに変わってピンチヒッターを務めたGleamed。まだまだ若手バンドだが、彼らの音楽性は非常に不思議な癖があり、パワーヴァイオレンスって言葉だけで片付けてはいけないと思った。
 まだまだ粗さこそあるけど、独特な不協和音のコードとロウな疾走感の絶妙な匙加減。ここ最近国内でも大きな盛り上がりを見せるパワーヴァイオレンスだが、こうした新個体の存在は今後シーンにとって大きな存在になるのではないだろうか?Gleamedも今後大化けする可能性大と読んでいるので、これからこの変態性高めな音をより熾烈な物に仕上てくるか楽しみである。



・REDSHEER

 終わりの無い表現衝動に取り憑かれたナイスミドルことREDSHEERは約二ヶ月振りのライブとなったが、この日は初披露の新曲もありと新機軸を見せるライブとなった。ここ最近のライブではトップを飾る新曲「Fall Into Oblivion」から鉄板の「Silience Will Burn」の流れは激アツ!!
 1stアルバム「Eternity」のアートワークはKhmerのMarioが手がけているという事もあり、今回のライブで運命の邂逅を果たしたが、REDSHEERは日本からスパニッシュハードコアへの確かなアンサーを見せつけるというナイスミドルの気迫が特濃で体現されていく。
 何よりも初披露の新曲「DistortionsContortions」はバンドが完全に新機軸へと到達し、既にREDSHEER屈指の名曲確定の必殺の一曲!!これまでの楽曲以上にクリーントーンの不穏なコード感が際立ち、同時に拍子など理解不能なカオスとしか呼べない超展開を3人の音が繰り出していく爆発力も過去最強と呼べる物。今後ライブを重ねてどう進化していくか本当に楽しみ。
 最後は「濃厚な曲をやります。」と小野里氏のMCから「Yoru No Sotogawa」で締め。たった4曲のライブだったから後一曲はプレイして欲しかった所ではあるけど、たった4曲で凝縮された激アツで混迷としていながら激渋なREDSHEER節を堪能させて貰った。



・sekien

 REDSHEERがナイスミドルの渋みの中からの熱さを放つライブを展開したのに対し、姫路シティのハードコア番長は最初から最後までブチ抜いた熱さで一本勝負を仕掛けるこれまた暑苦しくて最高なライブを展開。
 待ちに待った1stアルバムリリース、以前からリスペクトを公言していたKhmerとの邂逅とこちらもドラマティックな要素しか無かったけど、ライブを観る度にこの人たちが持つハードコアパンクの熱気はどこに到達してしまうのかと思ってしまう。
 1stアルバム収録曲を中心に現在進行形の姫路シティハードコアの「リアル」をsekienはブチかましているだけでしか無いけど、新しい音楽的要素を取り込みつつ、だけど結局はシリアスな怒りだったりといった何処を切ってもハードコアパンクの魂をぶつけてくるだけのsekienは本当に男らしいバンドだ。
 弦楽器隊もガンガン前に出てフロアを煽り、ブレる事なんて決してあり得ない純粋なる初期衝動。sekienの魅力ってネオクラストだとか以上に姫路というローカルから「ローカルハードコア舐めとったらアカンぞ!!」というカチコミ感だと僕は思っている。そんなパンクスピリットがライブでこそ発揮されるからsekienは多くの支持を集めているのだ。
 今回のKhmer来日ツアーのファイナルはsekienのホームである姫路にてKhmerとの時間無制限ガチンコ2マンライブ!!スペインと日本のモノホンがバチバチと殺り合う伝説の夜になるだろう。関西圏の方は是非目撃して欲しい!!



・Khmer

 そして主役のKhmerへ。果たしてスパニッシュネオクラストから始まったブラッケンドクラストとは、そしてその本当の実力は如何程の物なのか。いよいよKhmerの正体が明らかになるのだけど、みんなの想像を裏切る熱きハードコアしかKhmerには無かった。
 ボーカルのMarioはREDSHEERのTシャツを着ていた時点で個人的には凄く嬉しくなってしまったのだけど、音源で鳴らすシリアスな怒りに満ちた音は全く別の形でライブではアウトプットされていたと思う。別にライブで音源とやっている事が違う訳では無いし、演奏自体は本当に荒々しさ全開ではあるけど、どこまでもストレートで直情的な音をKhmerはぶつけて来ただけだった。
 序盤こそはツアー初日という事もあって演奏が乗り切れてない感じだったけど、ギアが入ったら本当に早かった!!Marioはガンガン前に出て叫ぶ叫ぶ!!だけど怒りに満ちたシリアスなメッセージを放っているのに、Marioは終始笑顔だ。
 ドラムがハードコアのツボを押さえまくったニクいプレイを連発しバンドのテンションを底上げすればする程に他のメンバーのテンションも高まっていくという最高の循環。Ivanのギタープレイはやっぱり泣きに泣きまくり、SNSで一部から写真集を出してくれなんて意見もあったりしたスパニッシュハードコアの姫ことオアイオちゃん(前髪パッツンで刺青だらけでボブカットと男心くすぐるキュートな美少女でした)のベースプレイはそのルックスに反してズ太いベースを弾き倒す。
 何よりもMarioが本当に楽しそうにライブする物だから、ここに来てフロアの熱気は大爆発!!モッシュにダイバーとカオスを極め、Marioは曲間に最前の客と拳を握り交わしたりと熱い漢っぷりを見せる。
 そんなテンションでKhmerの切れ味だらけのキラーチューンを繰り出すのだから30分の演奏時間はあっという間に終了。直様アンコールの一曲をプレイして終了と思いきやフロアからは「まだ出来る!!」との声が上がりまくる。
 そんな流れで行われたダブルアンコールはLivstidとのスプリットに収録されている10分に及ぶハードコア交響曲「Himno a las llamas」長尺曲でありながらフロアはこの日一番の熱気へと雪崩込み、10分に渡るクラシカルかつハードコアな名曲すら一瞬で駆け抜けてしまうKhmerのバンドとしての凄さを発揮。
 こうして40分に及ぶ熱演は終了。もうKhmerにはネオクラストとかスパニッシュハードコアとかブラッケンドクラストなんて必要無かった。ただ最高のハードコアパンクだった。



 無銭イベントというのもあったかもしれないが、集客的にも大成功で終演後はKhmerの物販を買い求める人が多数とツアー初日から大成功のライブだったと言える。
 これを書いている時点では横浜公演と残りの東京公演は終了し、愛知・大阪・姫路の三公演を残すのみとなったが、果たしてKhmerのライブは東海と関西の人々にどんな衝撃を与えるのだろうか、愛知・関西の猛者と激突し、最後の姫路でのsekienとの最終決戦ではどんなカタルシスが生まれるのだろうか。全てがドラマティックさに彩られるのは間違い無いだろうが、このドラマには脚本なんて存在しない。全てがリアルなドキュメントであり、それこそがハードコアパンクの真髄だと言える。
 結末なんて分からないからこそリアルがそこにある。だけどこの日のナインスパイスのツアー初日は間違いなく伝説の1ページとして刻みつけられた筈だ。

■BACTERIA presents mosaic vol.1(2016年4月10日)@東高円寺二万電圧

 本当にこの日を心から楽しみにしていた。Funhouseを母体に結成された唯一無二のハードコアバンドPIGMEN。これまで二枚のアルバムをリリースし、超ショート&ファストで鋭利なサウンドにユウキ氏の皮肉と風刺とメッセージ性が痛烈な言葉が乗るサウンドスタイルは正にハードコアパンクの理想形。5年近くに渡って活動休止状態だったが、今回のBACTERIA企画で最前線にカムバック!!しかもユウキ氏がギターボーカルを務める3ピースの結成当時のオリジナルメンバーでの再始動だから燃えない筈が無い!!



 この日はPIGMENがトップだったけど、先ずはトリを務めた主催のBACTERIAのライブについて書く。この日のBACTERIAは浮遊感溢れてポップでキャッチーな印象を受けるステージとなったけど、BACTERIAのライブの良さってその時その時で全然違うテンションやトーンのライブを展開するけど、どこをどう切ってもBACTERIAだけの音を常に発信し続けている事だと思う。
 キャリアもかなり長いバンドであり、時代を作り上げたバンドの一つであるけど、BACTERIAは昔から現在まで核の部分を全くブレさせずに、聖域にも老害にもならず、常に最高の曲とライブを展開し続けているだけなのだ。
 ジャンクでノイジーでありながら、メランコリックでポップという矛盾をバンドの中で成立させ、単純な曲の完成度の高さ、ライブの完成度と演奏力、場を盛り上げる力といったバンドとしてのポテンシャルの高さをBACTERIAは持っている。
 特にまだ音源化はされていないがここ最近のライブでよくプレイされている新曲「winter#3」はこれからのBACTERIAを象徴する屈指の名曲であり、感傷的過ぎて涙が溢れそうになるアルペジオがエモーションを引率するそれは不思議と心に温もりを与える。
 アンコールは一転して爽やかな風を吹かせる「SOLEIL」と全10曲に及ぶセットは狂騒と感傷を超えた先にある柔らかな温もりで終わりを告げた。このバンドはやっぱり替えのいないバンドだ。



 そしてこの日のトップを飾りながら全てを持っていったPIGMENについて書く。ユウキさん、三國さん、そしてオリジナルベーシストであるマスピーさんの三人がお揃いのツナギ姿で顔をマスクで覆った出で立ちでステージに登場した瞬間に僕の中で一気に何かがこみ上げてしまった。
 僕が実際にライブで目撃したPIGMENは宮本さんがギターを弾き、ユウキさんはピンボーカル、ベースはデラシネのコレヒコさんの「サヨナラクソ世界」の頃の編成だったのもあるけど、こうしてずっと憧れていた(とは言え世代的に完全に後追いではあるけど)結成当初のPIGMENが観れる、これがまず嬉しい。
 そして「電話でブチコロセ」からライブはキックオフ!!序盤はまだ演奏に硬さが残るライブで「やっぱりブランクは少なからずあるんだな」と思ってしまったけど、そんな事を思ってしまった自分が今となっては凄く恥ずかしい。
 4曲程プレイしてユウキさんがマスクを剥ぎ取り、マスピーさんもマスクを剥ぎ取って素顔を晒してから一気にギアが入り、そこからはブランクは全く感じさせない現在進行形のPIGMENが目の前にあった。
 ユウキ氏のギターはキレを増幅させ、金属的な辻斬りリフをお見舞い、マスピーさんのゴリゴリの鋭角ベースの急降下っぷりと重みも段違いになり、三國さんの怒涛のドラムがフロアを爆撃、3ピース編成だからこその三位一体のサウンドに体内の血液も沸騰し、心臓が爆発しそうな感覚をダイレクトに味わう。
 「日記」や「告白」といった「少年アルトラ」に収録されている楽曲はユウキさんとマスピーさんのツインボーカルの怒号も高まり、本来楽曲が持っている圧倒的情報量が更に倍増して襲いかかってくる。「サヨナラクソ世界」の楽曲を中心にプレイした後半にはPIGMENのテンションはブランクゼロで過去の伝説的バンドの再結成ライブである事を忘れ去ってしまう程の出来に、フロアもモッシュが発生しPIGMENとフロアの磁場も混沌へと向かう。
 ハイライトは終盤にプレイされた2分未満で爆走するにも関わらず悲劇的な雨が降り注ぐハードコアバラッド「未来」だった。Funhouse時代の「Happy End」や「Angel」といった救いの無い世界を描く名バラードに比肩する屈指の名曲に僕は涙が本気で止まらなくなる羽目に…Funhouse時代の「Happy End」と「Angel」の2曲は日本のオルタナティブロックの完成系で究極系だと僕は思っているのだけど、PIGMENでの「未来」は日本のハードコアの完成系で究極系だって事を改めて思い出したし、この時は頭がぐちゃぐちゃになってしまっていた最早よく覚えてない。
 だけどラストの2曲は「大いなる野望」と「君ハ何処ヘ堕チタイ?」という皮肉たっぷりな2曲で締めくくられ、僕のそんな感傷すらPIGMENは嘲笑っていたと思う。感傷なんかそのそも必要なかった。PIGMENは最高のテンションで帰ってきたし、再結成云々とかブランク云々とか最早必要無い。PIGMENは2016年のハードコアパンクとして二万電圧で鳴り響いたのだ。それでいい、それが最高だ。



 長々と書き連ねたけど、Funhouse時代は完全に後追いでPIGMENを聴き始めたのも「サヨナラクソ世界」がリリースされた当時という完全に後追い世代な僕だけど、安売りされた唯一無二じゃない、本物のハードコアパンクが帰って来た!!そして最高のライブでブチ殺してくれた!!それが何よりも嬉しかったし、ライブ中に何度も泣いてしまったけど、ライブが終わったその瞬間は興奮だけが僕の中にあった。
 PIGMENはこれからもライブ活動を続けていくだろう。いつになるかは分からないが新しい音も僕たちに届けてくれるに違いない。冷笑と空虚と悲観と厭世が入り混じったこのクソ世界にサヨナラをする為にPIGMENは戻ってきた。そんなクソ世界を嘲笑うゴミみたいな集団意識も仲良しこよしも無い本物が2016年に存在している。だから今こそこれからのPIGMENの活動をみんなで追いかけるべきだ!!
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■NOOTHGRUSH Japan Tour 2016 with Nepenthes - The Endless Nightmare Tour - - The Beginning of the Nightmare -(2016年4月9日)@新大久保EARTHDOM

 2013年秋に奇跡の来日を果たした伝説のカルトドゥームことNoothgrushが約2年半の歳月を経てまた日本にやって来た!!今回の来日ツアーは二週間に渡って本当に全国津々浦々と回るツアーとなっていたが、最終日はやっぱりアースダム!!僕自身はツアーはファイナルであるこの日しか足を運べなかったけど、こうしてまたNoothgrushを観れる事が本当に嬉しい。前回のツアーでサポートを務めたCoffins、昨年リリースしたアルバムも絶好調なNepenthes、そしてまさかの音速パワーヴァイオレンスSlight Slappersの参戦と最高の夜が確定された一日。この事件とも呼べる一夜のレポをここに記させて頂く。



・Coffins

 トップから世界レベルでお馴染みのCoffins!!USツアーはまさかの入国拒否でキャンセルという残念な結果になったが、オランダでその実力を全世界に見せつけ、そのモードのままこの日本でも見事なライブを展開。
 ATAKE氏が加入して半年程経ったが、ATAKE氏はCoffinsのベーシストとして完全に定着した感もあり、更にヘビィさが増したグルーブの中枢を担うだけでなく、フロアをアジテートする切り込み隊長としての役割も果たす。UCHINO氏の爆音ブギーかつオールドスクールデスなギターもSATOSHI氏のタイトなドラムもTOKITA氏のおぞましい咆哮も絶好調!!
 何よりもそんな絶好調なバンドの空気感に触発されてか、この日のCoffinsはいつも以上にフロアは大盛り上がりだったの印象深い。元々全然モッシュ出来る音楽性のバンドであり、これまでのCoffinsのライブでもモッシュが起きても不思議じゃ無かったが、ATAKE氏加入以降の暴れても良い空気なCoffinsへとライブの空気感が変わったのは本当に大きいだろう。
 45分みっちりオールドスクールデスメタルでありながらも、より自由でヴァイオレンスなヘビィネス渦巻くライブを堪能。トップからアースダムの空気は最高潮へと達した。



・Slight Slappers

 この面子にまさかのスラスラ参戦という事でどう引っ掻き回してくれるか非常に楽しみだったが、結論から言うとスラスラはあくまでもいつも通りの超速&超ショートカットなライブを繰り広げただけだった。
 ライブ時間は実に10分ちょっと、ノンストップで繰り出される宇宙へとぶっ飛ぶショートカットパワーヴァイオレンスの竜巻にアースダムは一瞬で飲み込まれていく。ボーカルの久保田氏はスマホで写真撮ってた人のスマホを取り上げてフロアを撮っていたり、常に柵の上に立ちっぱなしで叫んでいたりと相変わらずのフリーダムさ。
 ギンギンにガンギマリしたツインギターの音が駆け巡り、爆走するビートで嵐の様に過ぎ去る音。そんな常軌を逸した激しさと速さとキャッチーさに興奮を覚えていたらライブはあっという間に終わってしまったという感じだ。スラスラはいつどこでもスラスラのままなのだ!



・Nepenthes

 このバンドを形容する言葉として最早ドゥームなんて言葉は必要なく、ロックンロールの一言で十分なんじゃないか?昨年リリースした1stアルバム「Scent」も絶好調なNepenthesだが、この日は一時間以上に渡るロングセットでバンドの現在の出せる物を全て出し尽くす渾身のライブとなった。
 恐らく持ち曲はほぼ全てプレイしたセットだったが、前半は超長尺ヘビィサイケなネペを展開。根岸氏の哀愁が滲み出まくったボーカルと、ヘビィさから泣きが充満してくるギターがシンクロし、曲こそはスロウに展開しているけど、ドッシリドッシリと踏み締める様なアンサンブルに酩酊を覚えながらも何だか泣きそうになってしまう。
 そんな哀愁のブルースをブチ犯すかの様にキラーチューン「cease -弑-」がプレイされた時は本気で血が燃え上がるのを体感。爆走ロックンロールを今の時代に堂々とプレイ出来てしまうのもネペの持ち味であり強さだ。こうなったらロックスター根岸氏は絶好調!!ただでさえ華しかないネペだけど、更なるギラつきが加速し、観る物はネペの前では一人のキッズに戻るしか無くなるのだ。
 一時間にも及ぶロングセットでイベントのトリでも無いにも関わらず、本編が終わってフロアからはアンコールの声、それに応えてのアンコールに至るまで全てがロックショウとして完成されていた。最後に根岸氏はフロアへとサーフをキメ、圧倒的カリスマを見せつけてくれたが、カテゴライズとかジャンルでは無く、ロックバンドとしてここまでのポテンシャルを持つバンドは本当にいない。Nepenthesは最高のロックバンドだ!!



・Noothgrush

 ネペの圧巻のライブにノックアウトされてしまったが、最後の最後にNoothgrushって普通に考えてもおかしいと思う。2年半前の来日公演も素晴らしいライブだったが、今回の来日公演も見事に仕上がった状態でのライブ。前回の来日の時以上に凄まじいライブとなった。
 再結成後のNoothgrushはハードコアな空気感を纏いながらも、より冷徹さを叩きつける音になっていたのは前回の来日公演を目撃して分かっていたけど、今回の来日公演はその冷徹さが更に際立つ音になっていた。分かりやすいグルーブは皆無であり、完膚無きまでに観る者を突き放す音。リフはどこを切ってもスラッジコアその物であり、だけど不思議と暴れる事も出来てしまうのがNoothgrushの大きな魅力だ。
 反復するリフとビートは最早チャラさを完全に削ぎ落として代わりに無慈悲さを加えた人力EDMの様でもあり、女性日本人ドラマーであるチヨさんの力強いドラム、野蛮さを極めたボーカルとベースの重厚さ、ただひたすらに強烈でしかない。
 Noothgrushも一時間近くに及ぶライブだったが、ダレる瞬間なんて1mmも無く、スラッジコアの純度を高めたまま、ハードコアの粗暴さを体現する理想的なライブとなった。アンコールはまさかのダブルアンコールであり、それでもまだまだこの音に飲み込まれていたいと思わせてしまう地獄の中の天国。ライブバンドとしての実力もそうだが、あくまでカルトな空気感のままで、ここまで人を燃え上がらせるライブをしてしまっていたNoothgrushに乾杯だ!!



 Noothgrushはこの日本で二週間にも及ぶツアーを終え無事にアメリカへと帰国したが、前回の来日公演でサポートを務めたCoffinsとNepenthesがこうして再び来日公演をサポートしていた事も何だか感慨深くなったりもした。しかしこの日集結した4バンドは本当に細々したカテゴライズなんて一切出来ない、極限から新しい何かを生み出す素晴らしいバンドであり、そんなバンドが素晴らしいライブをしてくれた。この事実が僕は本当に嬉しい。
 Noothgrush、また日本を訪れてくれてありがとう!!また日本に来る時を心待ちにしてます!!
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■【精神の階層への誘い】WonderLandロングインタビュー

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 WonderLandというあまりに人を食ったバンド名を冠している3ピースバンドが存在する。
 三軒茶屋HEAVEN'S DOORを根城に積極的なライブ展開を繰り広げている彼らだが、元々はグランジバンドとして始まったバンドだ。それが短期間で音楽的変化と進化を遂げ、インストによる超長尺ポストロック的バンドへと変化した。
 昨年デジタルでリリースされた「The Consciousness Of Internal Time And Space」には既存のポストロックバンドには全く存在しない独特の歪みが存在している。トランペットやピアノの音を大胆に取り入れるだけに留まらず、多くの人を魅了する屈指のメロディセンスから、多くの人を混乱に陥れる不気味極まりない旋律まで取り入れ新たなるオルタナティブを提示する事に成功している。
 今回はオリジナルメンバーであるKoheiとShutoの二人に「WonderLandとは一体何なのか?」という事を徹底的に聞き出すインタビューを行わせて頂いた。二人の発言は人によっては挑発的だと感じるかもしれない。だけど彼らが純粋に愚直な程に音楽を信じている男たちだと伝わるテキストになっている。
 WonderLandが目指すものは固定概念からの解放であり、新世界への挑戦だ。その全容はこのインタビューだけでは伝わらないだろう。だからこそWonderLandの全容を自らの足でライブへと足を運んで確かめて欲しいと僕は願う。



・WonderLandってオリジナルメンバーはKoheiくんとShutoくんの二人だっけ?

Kohei:そうだね。

・元々はどんな経緯でWonderLandは始まったの?

Shuto:最初は俺が地元が一緒だったKoheiとオトベって奴と三人でバンドをやるって話になって、何でバンドを始めたかとかは覚えていないけど、一番最初は神楽坂でライブをやったね。
 初めてのライブはオリジナルで5曲位やったのかな?その3人でのバンドはオトベが就職して抜けたから一回限りだったね。俺は大学は軽音サークルにいたんだけど、そこの同級生のベーシストが代わりに入って始めたバンドがWonderLandって感じだね。

・その頃はどんな音楽性だったの?

Kohei:マリオとかやってた(笑)。

・マリオってスーパーマリオ!?(笑)。

Kohei:そうそう。

・マジで!?

Shuto:吉祥寺のペンタでやってたわ。

・その頃はまだ遊びでバンドやってた感じ?

Kohei:遊びだったね。最初ギャグで始めた感じで2012年の3月に一回だけライブやったけど、そこから次のライブまでかなり間が空いて、その間に曲を作ってた。二回目のライブが2012年の12月だったね。

・その当時はどんな方向性でやりたいとか考えてた?

Kohei:いや全然。その当時は演奏自体ちゃんと出来ていなかったんだよ。俺はギター始めたばかりって感じだった。ベースの奴は上手かったけど、それ以外はマジで論外だったわ。

・2013年からライブも本格的にやり始めた感じ?

Kohei:2013年の初旬にライブはそれなりにやっていたけど、二人目のベースがそこで辞めちゃって、その後に九州から上京してきたタイラって奴が三人目のベースとして加入した感じ。だから今のベースのDaikiは四代目だね。タイラがいた頃は5拍子で10分位の曲とかやってたなあ。
 ちゃんと活動する様になったのはタイラが入ってからで、その時期になると月に3本とか4本はライブをやる様にはなってた。でもタイラが辞めて、Daikiが加入してからやっと本格的にWonderLandが始まったと言えるのかな?俺の中ではまだ思い描いている音がちゃんと出来ているとは思ってないから、WonderLand自体まだ始まってはいないって所ではあるけど。

・僕が初めてWonderLandを観たのが2014年の10月で、それ以前の音は「Welcome To Woderland」でしか分からないから最初はグランジバンドだったってイメージかな?

Kohei:「Welcome To Woderland」(現在は廃盤)は出来が気に入ってなくて、お蔵入りにしちゃった感じだけどね。俺らとしては過去は既に蛇足でしか無いんだよね。2014年頃の曲も音源化して無くて、アレも出来が気に入らなくて廃棄しちゃっているし。だから過去よりもこれからって感じだね。







・じゃあ昨年リリースした「The Consciousness Of Internal Time And Space」について聞こうかな。あの音源は配信でのリリースだったけど、音源としてのコンセプトとかってある?

Kohei:アレは人によってはポストロック的なのかもしれないけど、そこは狙った感じでは無いなあ。

・あの音源はポストロックのテンプレートからは大分外れた所にある感じだったね。

Kohei:それは俺らがテンプレートから外れたい訳じゃなくて、単純に出来ないってだけなんだけどね。

・でも人からしたら○○っぽいみたいな所からは完全に逸脱していると感じると思う。メロディアスさとそうじゃない部分の落差とか激しいし。既存の音を借りない音楽だと思った。

Kohei:○○っぽいって事は劣化版って事じゃん?それじゃ意味が無いんだよ。

・元々は君たちはグランジバンドだったし。

Kohei:それは俺らのルーツではあるからね。でもそれだけで終わるのは嫌だったからさ。「The Consciousness Of Internal Time And Space」自体もあの時のWonderLandのベストを作ったに過ぎなくて、その時その時のベストを出すしか俺らは出来ない。
 そもそもこういう物を表現したいとか、こういう事を発信したいとかなんて作品には反映されないし。結局そういうのって言葉の話だから、精神性って歌詞でしか反映されない物だから、それは音楽の話では無いと思うよ。だから歌詞は俺らには必要ない。

・じゃあ音楽には何が反映されていると思う?

Kohei:精神の階層かな。

・そこはもう言葉に出来ない部分だよね。

Kohei:言葉に出来ない訳じゃ無いとは思うけど、それを言葉にするのは難しいよね。

・今のWonderLandって歌や言葉自体が無いし。

Kohei:俺らには音楽を「使って」何かを発信するって考えは無くて、音楽をやる事自体が目的だから。音楽をやるっていうよりも曲だね。

・その曲の中で何を生み出したいとかっていうのはある?

Kohei:単純にハイになりたいだけだよ。

・Shuto君はKohei君が作った曲にドラムで自分のカラーを加える事はどう考えている?

Shuto:ドラムってまあ直感的に感じやすい楽器だからねえ。でもKoheiが持ってくる曲ネタだけじゃ完成系は全然見えないし、どう表現するかとかってのは言葉で表す事は出来ないと思う。

・でも僕は音楽が一番想像力が働く物だとは思っている。

Shuto:精神性云々ってのは俺は考えていないから。自分が今まで聴いて来た音楽をどう消化してみたいなのも無いし。

・でも反面教師的な消化はあるでしょ?

Shuto:それはあるね。

・だからWonderLandって精神性とかコンセプトとかじゃなくて、自らの音を聴き手の解釈に委ねているんだなって感じたよ。

Kohei:それで良いんだ。俺らの意図は関係ない。だから解釈の余地が大きければ大きい程、それは優れた作品なんだよ。

・さっき言った外している云々ってのは解釈の余地を残すって事なのかな?

Shuto:「俺たちはこういう事をやってますよ。」みたいなのは必要ないからね。

・イマジネーションとしての音楽なのかな?

Kohei:主義主張って言葉で言う方が手っ取り早いから、だから歌詞が大事とかってなって歌を入れるんだと思う。それは音だけで自分の思考を体現できないからだと思う。そうなるともう音楽では無い。少なくとも本質的には音楽ってダイレクトな物であって、必ずしも言語を媒介にする必要は無い。

・音だけで何かを感じさせるとなると、作り手の意図は無いに等しいのかもしれない。

Kohei:それで良い。意図的にやるのは自由だけど、意図した通りに受け取って貰えるかは分からないし、結局のところ意図は後付けだからね。







・曲を作る際のインスピレーションってどこから来る?

Kohei:それは感情とか景色では無くて、それ以外の何かだね。他の誰かの音楽でも無い。だから分からない。多分、夢から来ているんじゃないかな?寝ている時の無意識の作業で、そこに俺の意識が関与する余地は無い。無意識下で行われる何らかの処理が音楽だって俺は捉えている。

・無自覚で作った物を自覚した状態で演奏するってどう思う?

Kohei:まあライブの時も特別何かを自覚している訳では無いからね。寧ろ「これってこういう曲なんだ!」って演奏してみて初めて分かる。

・意図してない物の積み重ねだからこそ君たちはジャンルを名乗ってはいないとも思うし。

Kohei:まあジャンルはオルタナで良いと思う。そもそもジャンルは音楽じゃ無いし、音楽を騙る為の道具だよ。結局は音楽の説明書でしかない。
 多分スポーツ選手とかと同じで、感覚で分かる人にとっては説明書は必要ないけど、その感覚が無い人は説明書が無いと伝わらないし、そういう意味では説明も大事だと思う。

・もっと言うとオリジナリティ溢れる事をやると、ある程度の取っ掛りとしての説明は必要だし、君たちは入口の部分はちゃんと作ってはいるよ。

Kohei:それは必要だからやるけど、その入口の先は俺らも分かってないからね。

・だからWonderLandって感覚に訴える音楽なんだなって。

Kohei:それが出来るのが音楽だと俺は思っているよ。まあ無意識の裏付けとしての提示なのかなって気はしている。それが実際にコンセプトになっているかは分からない。

・それは無意識の裏付けというコンセプトになるんじゃない?

Kohei:関連性があるだろうというだけの話で、実際意識と無意識がどんな関連を持って音楽に反映されているかは分からない。

・だから逆に聴く人を選ばなくて済むのかもしれないし、入口の広さに繋がるんじゃないのかな?逆に「こうですよ。」って提示してしまうと、分かる人にしか分からなくなると思う。

Kohei:説明無く提示出来るのがベストだね。でも、説明をしても説明になってないのかもしれない。
 例えばある曲があって、アルバムタイトルがあって曲名があるとする。そこの関連性は誰も分からないし、タイトルが分かりづらいと余計に関連性が分からない。だからタイトルを付けている時点で俺は説明はしているとは思う。それに、時間という軸の中で発生した意識と無意識の座標が同じであるのも俺は分かる。でも、その関連性は本当には分からない。

・その関連性の解釈は聴く人が決める事だよ。

Kohei:例えばNIRVANAの「NEVERMIND」は「NEVERMIND」って曲は収録されてないじゃん?でもアルバムタイトルは「NEVERMIND」だし、関連性があるかとかって結局後付けじゃないかって思う。



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・その関連性の話に繋がるかは分からないけど、なんで「WonderLand」ってバンド名にしたの?

Kohei:「WonderLand」って三つの側面があって、その一つとして言葉から音楽性が想像出来ないってメリットがある。別にバンド名は「椅子」とかでも良い。

・「WonderLand」ってシンプルな単語だよね。

Kohei:誰もが知ってる言葉ではあるからね。でも意味が一番知られてない単語かなって。残り二つの側面に関しては企業機密で(笑)。

・でも「WonderLand」って楽園みたいなイメージをみんな思い浮かべると思うけど、そことはかけ離れた気持ちの悪い音楽だよね。

Kohei:みんな「WonderLand」って言葉の本質を理解してないとは思う。ユートピアみたいなイメージをみんなするけど、それは間違えているし、言葉と音楽の関連付けをするならもっと言葉の意味を理解しないとね。でもそこは要求はしない方が良いと思ってる。

・だから音楽に対して表層的な部分だけを捉えている人が多いのかもしれないね。

Kohei:音楽って分からないじゃん?それは殆どの人間が精神の階層に行き着く手段を持ってないからなんだよ。

・だから思考を放棄してしまっているのかもしれない?

Kohei:放棄というよりも思考の手段を持ってないんだよ。だからどうしようも無くなるんだよ。

・音楽は思考の為の手段なのかもしれない?

Kohei:それはあながち間違いではないかも。

・そもそも五感ってなんなのかを僕は理解出来てないんだよ。結局は脳の伝達だし。それを言説化するのは僕には難しいかな。

Kohei:人類はそれには近づいているとは思うよ。

・それが可能になったら人間はどうなると思う?

Kohei:それを理解した人間は音楽を始めると思う。ペンギンとかリスは音楽をやらないじゃん? でも、人間は音楽を奏でる事が出来るし、人間の人間性を示すために音楽に走ると思う。別に演奏に限らず聴くって行為もそこに入るし、もっと音楽と密接な関係になろうとすると思うな。だから人間の構造が解明されたとしたら、みんな焦って音楽を始めるんだよ。
 人間の一つの側面として論理性ってのがあって、それはコンピューターには勝てないし、人間はそこに絶望してしまっている。だからどこまでが人間でどこまでが人工知能か分かっていたら音楽を始める。それが分からないと何処までが音楽で何処までが音楽じゃないかも分からないし、何処までが論理で何処までが非論理かも分からない。だから大半の人間はコンピューターと変わらないし、劣化版コンピューターになってしまっているんだよ。



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・この渋谷って街に来る度に思うんだけど(今回のインタビュー収録は渋谷で行っている)、記号がウロチョロしている様に見えるんだよね。記号化された人間が歩いているなって。僕もそんな記号の一つではあるとも思うけど。

Kohei:性能の悪いコンピューターだからね、絵文字とかスタンプとか多用する人も多いし。最早言葉をちゃんと使えているかも怪しいじゃない?

・大半の人がそこに対して足掻いてもいないよね?

Kohei:コンピューターと同じだって分かってないからだよ。自分が人間だと勘違いしてて。

・凄くざっくりとした言い方になるけど、何かを疑ったり、想像するってのが人間としての在るべき姿なのかなって思ってる。でも僕はそこを理解してはいないし、それこそさっきKohei君が言っていた「夢の事は分からない。」ってのと同じなんだよ。それに喜怒哀楽すら僕は言説化は出来ない。

Kohei:それは後付けの統計の話でしかないよね。そもそも感性って常に正しいんだよ。それが面白いかつまらないかってのはあるし、つまらない物はコンピューター的な感性だよ。何らかの発信に対して同じレスポンスしか出来ないようならそれはコンピューターと同じ。

・レスポンスなんて多種多様だし、それこそWonderLandを聴いて何を感じるかなんて人それぞれだし、そこに対して明確な答えを何も提示してないからこそ想像させる音楽だなって思う。

Kohei:Googleとかが人工知能に絵を描かせたりしているじゃん?もし人工知能が音楽を作る事が出来たら何か変わると思うよ。
 だからJ-POPとかがやっている事も同じような曲調で同じような歌詞の物を量産していてプログラムと変わらないし、それが自動で出来る様になったらそれらに価値は無くなる。そうなったら西野カナは必要なくなって、自分が聴きたい西野カナの曲を人工知能がその場で作ってくれるからね。
 そうなると真の音楽って物がはっきりするし、人工知能が作れない音楽が必要とされると思う。俺たちはそんな音楽を作り続けるだけに過ぎない。だから色々な音楽を聴いて自分の中にデータベースを作って、その上で今までに無い新しい音楽を作り出したいね。
 天才を名乗るのは簡単だけど、そんな物は自己満足に過ぎないし、先ずは色々な音楽を聴くこと事が大事で、後は無意識に任せるだけかな。それで良いと思う。



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ライブスケジュール

5/2 三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
5/29 三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
6/18 三軒茶屋HEAVEN'S DOOR




【オフィシャルサイト】http://www.wonderland-japan.com/
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「The Consciousness Of Internal Time And Space」購入ページ(iTunes)
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photographer : Takashita Toru&セオサユミ

プロフィール

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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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