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■2018年12月

■【残酷なまでに無垢な美しき真夜中の音楽】しののめ、ロングインタビュー

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2018年も終わりに差し掛かり、SNSではフリークス達が今年の年間ベストなんかをツイートしたりしているが、僕個人として2018年の一番のベストリリースはしののめの1stフルアルバム「ロウライト」だった。
シューゲイザー/ギターロック/エモといった括りのサウンドスタイルではあるが、しののめは安易なるカテゴライズを拒むバンドだ。
バンド名を出してしまえば、syrup16g 、きのこ帝国、それでも世界が続くなら、ANCHOR(新潟)、bloodthirsty butchers、Discharming Man、mogwai、Low、U2といったバンドと共振する部分はあるが、バンド名を羅列しただけではしののめの本質には迫れない。
気付けば作為的でSNS映えを狙った表現もどきばかりが増えてしまった病みきった今であるけど、そうした本当の病巣を無垢で無作為な表現で暴く力を持つのがしののめの魅力だと個人的に思う。
深いリヴァーブのかかったボーカルと音像、冬や夜に映える美しいメロディ、果てしなく諦めを言葉にした歌、それらは安易に鬱ロックだとかメンヘラ御用達といった安い評価を蹴散らす力がある。
今回は実に10ヶ月振りのライヴとなったブラックナードフェスでのライヴ後にメンバー3人にインタビューさせて頂いたが、具体的なバンド名やジャンルとしての音楽の話はほぼ皆無だ。
メンバー3人は非常に穏やかな人達だが、決して多くない言葉は3人の確かな反抗声明である。
作為やジャンルやSNS映えといったくだらない物に辟易としている人にこそしののめに触れて欲しい。
こんな時代だからこそ、しののめの持つ暴く表現は聴く人の感受性に響くはずだから。



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・今日は約10ヶ月振りのライヴでしたが、手応えとしてはどうでした?

真下(Dr):前よりみんなの気持ちが揃い始めた感がありますね。
私はしののめに途中から加入しているので、やっとバンドらしくなって来たかな?

眞保(Gt.Vo):みんながバラバラな感じが凄かったので。



・まず今年の2月に1stアルバム「ロウライト」をリリースしてのリアクションなどはどうでしたか?

久間(Ba.Vo):活動してない割には聴いてもらえている感じはします。

眞保:Twitterとかで検索したりすると、気合いの入った感想を書いてくれている方がちょこちょこいたりするので、ハマる人にはハマるバンドなのかな?



・僕はしののめを初めて聴いた時に、不特定多数に向けているのではなくて、そこからはみ出してしまった人達に向けている音楽だと思いました。

眞保:大衆受けが嫌なわけではないのですが、自分は正直に言うと好きなバンドがあまりいなくて、それで自分が好きなバンドを作ろうっていうのがしののめですね。90年代とかだと結構好きなバンドはいるのですが。



・現行の邦楽ロック系のシーンの中ではかなり浮いてるバンドにも見えるのですが、90年代や00年代のシーンで当てはめてみるとすごくしっくりくるバンドでもあると思います。
オルタナティブな感覚が当たり前だった時代とリンクするバンドだなって。

眞保:「ロウライト」はCDとMVでアレンジが違いまして、音源の方は短いんですけど、MVの方では1分半くらいイントロを付け足したらMVを撮影・編集してくれた方に「これ聴かれねえよ。」って言われましたね。



・僕はMVを観てからCDを聴いたので、アレンジが全然違ったのはびっくりしましたが、個人的にはMVの方のアレンジが好きですね。あのイントロは聴く人を引き込むなって。

眞保:MVを観て気に入ってくださった方は「あのイントロが良い。」って言ってくれてますね。
ライヴではMVの方のアレンジで演奏してますが、まずアルバムをレコーディングした時はドラムは真下さんじゃなかったので。MVの方のアレンジでは真下さんが叩いてるのでそっちのアレンジでやっています。







・「呼吸」もCDとMVでアレンジ変わってますね。

眞保:CDの方は僕一人でのアレンジでしたが、そっちはバンドアレンジでやってみたらどうかなと思ってアレンジを変えましたね。



・今日初めてライヴを観て、やっぱり音源よりもバンド感が出ていると思いました。
ある種の生々しさや無作為さを強く感じましたね。

眞保:我々は器用なタイプではないので。



・僕がそもそもジャンルって括りが好きな人間では無いのですが、しののめはシューゲイザーやギターロックって括りで語られたりもすると思うんですよ。
でもそれは触りでしかなくて、寧ろしののめの音楽は一つのスタンダードですらあると思ってます。純粋に良いメロディと良い歌と刺さる言葉で成立してる音楽だなって。それと同時に本質的な意味でオルタナティブであると感じます。
鬱ロックだとかいうくだらないカテゴライズだったりとか、わかりやすいセンセーショナルな言葉だったりとか、そうした作為的なSNS映え狙いみたいな打算がしののめには無いのが本当に好きなんですよね。

眞保:そうした計算はないですね。少しはなきゃ
駄目じゃないかって話はしたりしますが。結局そんな計算は必要ないからやらないだけですね。



・僕はそうした打算で作られた音楽が溢れている現代に対して、しののめは「本当はそうじゃないだろ!」って暴いてる気もします。

眞保:音楽って本来は芸術的なものだと思ってるんですが、そうした芸術的な音楽が相当減っているように感じてます。



・音楽って芸術の中でも一番人に伝わりやすいものでもあると思うんですよね。
感情や思想を音と言葉でダイナミックに表現出来るのが僕の中の音楽なので。

眞保:表現の手段として音楽をやっているだけなので、必要のないものは削ぎ落とされているのかなって。



・しののめは核がしっかり見えるからこそ、響く人には本当に響く音楽をやっていると思います。

眞保:そうであり続けたいですね。



・久間さんはしののめのオリジナルメンバーですが、久間さんから見たしののめってどういうバンドなのでしょうか?

久間:「みんなおいでよー!」って感じではないけど、「ロウライト」に関しては辛い気持ちの夜とかに優しくはないけど朝まで付き合ってくれるアルバムみたいな感じなので、バンドも基本的にそんな感じですね。優しくはしないけど突き放しもしないみたいな。



・駆け込み寺みたいな。

久間:「大丈夫だよ!元気出してよ!」みたいな感じじゃないけど、朝まで一緒にいてくれるみたいな感じはしてます。



・真夜中に聴くと本当に映えるバンドですよね。

久間:そんなバンドだと思っています。別に昼間っぽいバンドではないので。陽が出てない時に聴くバンドって感じはあります。



・「しののめ」ってバンド名もそれを表してますよね。

久間:最初に曲を作った時から夜っぽい曲が多かったので。

眞保:夜っぽいバンド名にしたいなって感じで決まったよね。

久間:それで大体バンド名は略されるから四文字くらいでって感じでバンド名は決まりました。

眞保:エゴサが異常に難しいバンド名。



・真下さんの加入はアルバムレコーディング後ですよね。

久間:一年がかりでアルバムどうにか完成させたんですけど、アルバム用のアートワークの写真の撮影でまた時間がかかって、そんな時に加入しました。

眞保:色々ギリギリになってしまったんで大変でしたね。真下さんから見るしののめはどんなバンドですか?

真下:良いなって思うところは想像の余地があるところですね。
歌詞とかはちゃんと具体的な言葉で書かれてはいるんですけど、曲からイメージが浮かぶ様な曲が多くて。
元々、私と久間ちゃんが美大の先輩後輩の関係なんですけど、私は絵を描くのが好きなんですが、音楽以上のものをくれると言うか、インスピレーションが膨らんで良いなって。二人の歌声も大好きだし。
私はこういう暗いバンドをやるって思ってなかったんですけど、今はやるって決めて良かったですね。

眞保:真下さんが加入して最初のスタジオは衝撃だったらしいです。

真下:最初に眞保君に呼ばれてスタジオに行ったんですけど、何曲か曲をコピーして合わせるってなって、その時は久間ちゃんは体調が悪くてあんまり歌えなくて、眞保君はギター弾いて歌い始めるけど全然やる気がないんですよ。
そんな雰囲気だったので「この異様な雰囲気はなんだろう?」ってなって、眞保君に聞いたら「あんまりカバーやる気でないんですよね…」って。そして凄く辛い空気が流れてましたね。
私は高校生の時からドラムをやってるんですけど、バンドってもっと楽しいものだって感覚だったんですよね。だから「バンドって楽しい…よね?」ってのを投げ掛けるところから始まった感じです。そしたら二人は「楽しいって何だっけ?」みたいになって。

眞保:真下さんが加入する前はピリピリしてたので。

久間:当時はお腹が痛くなって携帯見たら眞保君から連絡が来てるとかあって、それを予知してお腹が痛くなる感じでした。

眞保:スタジオの時、全く私語無かったよね。

久間:みんな下を向いてお酒を飲むだけみたいな。それで曲合わせてピリピリした空気が流れてまたお酒に逃げるみたいな。
そんなのを数年やっていたので、真下さんに問いかけられた時に楽しいの概念の振り返りから始まりました。でも今は楽しいですね。

眞保:最近はスタジオでの私語が多すぎるかなって。でも最近は明るい…のかな?







・そもそもしののめの音楽に楽しい要素が全くないので。しののめはやはり真夜中の真っ暗な部屋の片隅で体育座りで聴くのが礼儀だと思ったりします。

久間:ロウライトが完成した当時は宇都宮に住んでて、丁度寒くなり始めた頃だったので、取り敢えず窓開けて正座して聴きましたね。そして「これだ!」ってなりました。



・しののめの持つ暗さって日常生活や人生の中で失ってしまった物に対する後悔というか…どうしても拭いきれない物悲しさや喪失感を歌ってるバンドだと思います。
しののめって僕の中で感情なり景色なり時間なりを想起させる音ってのがありまして、だからこそしののめをジャンルで括りたくないですね。

眞保:ジャンルなんて手段でしかないですから。シューゲイザーっぽい音作りとかは多いですが、それはあくまで曲の表現方法として使ってるだけで、僕はたまたまギターが弾けるからギターを弾いてるだけですし、たまたま僕の表現方法が音楽だっただけです。
パンクバンドだから奇抜な格好をして過激なことを言うってのは僕にとっては手段であって目的ではないですね。



・パンクバンドだからって全ての曲でポリティカルなメッセージを放たないとダメとかってルールは僕もないと思います。

眞保:音楽はあくまで表現の手段と考えてるので、そこが他のバンドとのノリの違いかなって思います。



・眞保さんが具体的に表現したいものとは何でしょうか?

眞保:色味だったりとか、冬の寒さだったりとか、内向的なところだと自分が思ってる事とか、そうしたものをどうやって音楽に昇華してこうかってところを考えてやってますかね。



・「楽園」という曲の歌詞に「生きる事は素晴らしくない」ってあるじゃないですか?あの曲を初めて聴いた時に「本当はそんな風に思いたくない!」って足掻いてるように思いました。

眞保:本当はかなり期待してるのかもしれないですね。人生そのものが絶望的だと感じてるので「救いはないものか?」という気持ちはすごくありますね。
何の考えもなく肯定されてるのに違和感を覚えたりとかあって、「自殺ダメゼッタイ!」とか「生きていれば良いことあるから生きましょう。」とか何の根拠もなく言ってる事が、みんなそれを何の疑いもなく受け入れてるのが本当に怖くて、だから触れちゃいけない部分を暴くというか…そういうノリはあるかもしれません。
音楽というかロックというかそうしたものがポップスとなんら変わらなくなっちゃったって感じもありますね。



・それこそ作為的なものが増えてしまったのかなって。

眞保:大量に売らないと回らなくなったんでしょうね。だからわかりやすくて作為的で消費されるものが増えてる傾向があると思います。







・ここまで眞保さんの考えを話してもらいましたが、眞保さんがしののめの中心人物じゃないですか?その眞保さんの表現に対して久間さんと真下さんはどうリンクさせてる感じでしょうか?

真下:私はイメージの拡張器でありたいなと思っていて、眞保君が曲に込めてる思想とかに触れて、そこで感じた情景とかを音に出して、眞保君が3考えてるなら6にして返したいなって。それがバンドでやってる意味だと思います。
私は空想とか妄想が好きなので、そういう情景だ!ってなったら私の中ではそういう世界になってるんですよね。それを眞保君に伝えると最初はレスポンスが良くなかったりするんですけど、合わせてるうちに気付いてくれてる事もあって、それが他人が介在する意味だと思います。



・眞保さんが描いた色をブーストさせるのが真下さんなら、そこにまた違う色を加えるのが久間
さんだと個人的に思います。一つのテーマやコンセプトに対して近いけど違う色を付け足してるというか。

久間:基本的に暗いので、根っこが暗いというか。一番暗いかも。
眞保君がデモを持ってきた時に普通にリスナー目線で聴くんですよ。それを聞いてブーストみたいにはならないんですけど…何だろうな?

真下:私はこういう意味が分かってない人がいるのも重要だと思うんですよ。自分なんでいるのかな?みたいな。そういう感覚の人も重要だなって。
私みたいにしっかりと思考を持ち過ぎてるとまたそれはそれでバンドの雰囲気とかバランスが変わりますし、ウジウジと「何で!?」って感じで久間ちゃんにはいて欲しいなって思います。無理しないで「何で私が歌っているんだろう?」みたいな人も重要ですね。

久間:分からぬままで、ずっとファンみたいな感じで所属してて、デモ聴いて「これめっちゃいいじゃないですか!!え?これ私歌うんですか?」って感じなんで。



・ますます一筋縄ではいかないバンドですよね。しののめって。こうして話していると皆さん穏やかな方ですが、根はダークサイドだなって。

久間:もしかしたら眞保君が根っこは一番明るいかも。



・次の展開は決まってますか?

眞保:アルバム出してから今日までゆっくりし過ぎたので、少し飛ばして行こうかなって。何なら今月とか来月とかには色々動こうかなって感じですね。

久間:寒い間に何かします。

眞保:冬の間だけ頑張ります。



・逆冬眠ですか(笑)。

真下:夏は夏眠します。冬は頑張るので夏の間はWANIMAみたいな明るいバンドに頑張ってもらう感じで。冬は私たちしののめが頑張ります。



・改めて夜や冬が似合うバンドですよね。次のアルバムやライヴも楽しみです。

眞保:アルバムは出しますけど、ライヴはどうしようかって感じですね。

真下:基本的に作るのが好きな人たちが集まっちゃってるんで。



・100s結成前の中村一義みたいな。

久間:レコーディングしたりとかMV撮ったりしてる方が楽しいです。

真下:でも今日のライヴで観ている人たちの顔が見れたのは本当に幸せでしたね。

久間:観てくれてる人がいるって状況が半年以上なかったので…



・しののめの音楽は今の時代だからこそ広まる筈なので、マイペースながらも頑張って作り続けて欲しいです。20年とか30年とか続けて欲しいなと。

真下:今日、割礼さんのライヴを観て、自分があの位の年齢になった時にどんな音を出してるんだろうって興味が出ましたね。

眞保:割礼すごく格好良かったな。

真下:目指せストーンズで!転がる石になります。

久間:割礼さんがMCで「公民館で練習したりもする。」と言ってたので、私たちも次のライヴはまた公民館かな?

眞保:個人的に蒲田温泉でライヴしてみたいですね。



・次のライヴはまた公民館で!ライヴハウスでライヴしないバンドって感じで。真冬の水上公園とかも良いですね!水元公園とか。

久間:寒さに震えてもらいながら。

真下:でも冬のフェスとかやりたいよね。

久間:「ロウライト」の長くなったイントロの部分を私たちは「レイキャヴィークの部分」と呼んでまして。

眞保:当時シガーロスにハマってて、アイスランド行きてえ!って思いながらフレーズ作りましたね。



・アイスランドでもライヴして欲しいですね。

眞保:シガーロスと対バンしたいと思いながら、それを目標に末長く続けていけたらなと。



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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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