■Draw Morbid Brutality/ELMO

ELMOはこれまでの作品でも常にハードコアを更新し、世界中のハードコアとリンクしながらも、自らのオリジナリティだけを提示し続けて来た。
今作は2017年末にドロップされた実に4年振りとなる新作7インチEP。リリースはTOO SMELL RECORDSから。
ELMOのサウンドスタイルは一貫しており、スラッジ・パワーヴァイオレンス・グラインドコア・ノイズとあらゆるエクストリームミュージックを咀嚼し、それを極限まで振り切る事によりオリジナリティを獲得した。
先鋭的な視線を常に持ち、余計なギミックを排除し、実直過ぎる程にブルータルである事と向き合い続けている事実が今作にもアウトプットされている。
盤を再生した瞬間に耳を殺しにかかるハウリングノイズ、荒々しくも研ぎ澄まされたノイズまみれのギターと凶暴なビート、パラノイヤそのものであるハイトーンボーカル。悪意と狂気を音にしたらELMOになると言っても過言でもない。
加えてELMOはピットミュージックとしても強靭だ。アーティスティックな一面を持ちながらも、軸足はピットミュージックから全くブレず、自然と腕をブン回したくなるリフとビートによる楽曲構造は恐怖と同時に聴き手に野蛮な感情を与える。
sideAはファストな2曲、sideBはスラッジな1曲の計3曲が収録されているが、どの方面に振り切ってもノイジーかつブルータルなELMO印のグルーヴが充満し、危険極まりないが不思議とそこに触れたくなる人間の好奇心を刺激する。
サウンドスタイルこそ前作から大きな変化を遂げた訳ではないが、より強烈なフックと冷徹な残虐さを追求し、自らを更新した一枚。
ただ凶悪さを極めるだけでなく、ピットミュージックとして聴き手と共犯関係を築く事が出来るのはELMOの一番の強みなのかもしれない。
ハードコアは何なのか?ブルータルとは何なのか?それを直向きに追求し続けているからこそELMOは常に最先端のハードコアを産み出し続けている。
この悪意の暴力を早くフルアルバムのサイズでリリースして欲しい。それは間違いなく新たなる時代を切り開く一枚になる筈だ。