■DIABOLIC/DEATHSPAWNED
2018年結成の神奈川県トーチャースラッジコアDEATHSPAWNEDの2019年リリースの1stアルバム。リリースはこちらも神奈川のSATAN'S DOJO RECORDINGSから。
バンドに関しては情報が本当になく、何故か結成年と活動地域のみが判明してて、ライヴ活動などは全くしていない模様。
音源のブックレットも曲名のみがクレジットされているだけでその正体は謎に包まれている。バンドなのかユニットなのかソロワークなのか当然不明。
SATAN'S DOJOといえば2015年末に突然として数作品をリリースした謎のレーベルであり、リリースされた音源に関しても全てが謎に包まれている。
しかしながら同レーベルからリリースされたINFANTICIDE SSはコアなフリークスの間で局地的に話題になったりもしたから不思議である。
さて肝心のDEATHSPAWNEDに関してだけど、前述したINFANTICIDE SSの進化系とも言える音楽だ。
マシーンビートの無慈悲なインダストリアル。徹底してトーチャーなスラッジサウンドと共通項はあるけどDEATHSPAWNEDはより暗黒の世界を描く。
DEATHSPAWNEDの最大の特徴はデプレッシブなメロディにあるだろう。
無機質なビート、地獄の底から聞こえてくる様なリヴァーブのかかりまくった怨嗟に満ちたボーカルだけでも地獄だけれど、その地獄を拡張させるかの様にギターのフレーズがメロディアスなのだ。
しかしメロディアスと言っても泣きメロ全開だとかそんなメロディアスさではない。
ギターフレーズも基本的に圧殺的なフレーズが多いのだけれど、不思議とメロディを想起させるものになっている。
わかりやすくデプレッシブを狙ったというより、軸になってるサウンドの解像度をより上げようとした結果、メロディも付いてきたと言っていいかもしれない。
楽曲は殆どがコンパクトな尺でまとめられており、この手のサウンドの中でも聞きやすくなってはいるが、アルバム32分通して煉獄しか待っていない。
けれども、同じ様な楽曲を垂れ流しするといった事態にはなっていなく、楽曲それぞれの細かい塩梅が絶妙。
徹底してトーチャーな楽曲から、メロディがより明確になった曲から、ブラッケンドな要素を持つ楽曲から、フューネラルドゥームな楽曲まで様々な要素があるから余計に意味が分からなくなる。
それでも世界観は徹底しており、アートワーク同様にグロテスクな地獄でありながら、その先に破滅的な美しさすらあるから素晴らしい。
32分に渡る醜も美も混在した真っ黒な煉獄巡り。
ただでさえ全身を粉砕する様なサウンドなのに、精神を抉り出す様な悲壮感溢れるサウンドになっているから、心身ともにバラバラになる。
あまりにも暗黒過ぎて聴いていると死にたくなるどころか、寧ろお元気になれるトーチャーインダストリアルお葬式サウンド。
スラッジ・ドゥーム愛好家は勿論、ブラックメタルやフューネラル系、とにかく暗くて重くて泣ける音楽が好きな人はマストな名盤だ。
しかしDEATHSPAWNED、一体何者なんだ…