■Oceanic/ISIS
![]() | オーシャニック (2010/01/22) アイシス、ISIS 他 商品詳細を見る |
00年代に幅広く拡散したヘビィロック。その中でもポストメタルというジャンルはISISの手によって確立されたジャンルと言っても過言では無い。02年発表の2ndアルバムである今作はポストメタルというジャンルを確立した大きな意味のある作品であり、前作までNeurosisとGodfleshの流れを受け継ぐ邪炎のハードコアを鳴らしていたISISは一気に覚醒し、幽玄で美しい蒼白の炎の様なヘビィで殺気に満ちながらも、壮大で美しいヘビィロックを確立した。
第1曲「The Beginning And The End」からいきなり今作はクライマックスを迎える。大地の躍動を感じる重低音の効いたヘビィなリフから、反復し暗闇の中で僅かな光を反射するかの様な静謐なアルペジオが鳴り響き。それでいて神話の様な神々しさを持つ、自然界の神に近付いたかの様な美しさなのだ。前作の様なスラッジサウンドを聴かせる第3曲「False Light」でも、ハードコアの粗暴さを感じさせながらも、より広がりのある深海の様な不穏さを体現しているし、第4曲「Carry」の緊張感に満ちた音の交錯から大津波の様な轟音に雪崩れ込む様など恐怖すら覚えてしまう。
今作ではドラムのアーロン・ハリスの覚醒具合が凄まじい。寸分の狂いも無いビートを刻みながら、繊細でありタイトなドラムを聴かせてくれている。彼のドラムはISISのサウンドをとんでも無いレベルまで持ち上げていると僕は思う。そして第8曲「From Shinking」のスラッジコアの黒き波動がドラマチックに鳴り響く様と、第9曲「Hym」の美しき崩壊を描く様は間違いなくISISだからこそ描く事が出来る描写だ。
ISISは今作以降も進化を続け傑作を生み出しているが、今作は間違い無く00年代のヘビィロックの中でも最重要作品だ。偉大なる先人達の意志を受け継ぎながらも、それを進化させたISIS。ポストメタルというジャンルは現在も数多くのバンドを生み出しているが、ISISは今作でその礎を作り上げたのだ。
音の粒子が見えると言われるISIS。その音は激流であり、大地の躍動でもあり、天からの啓示の様ですらある。