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■夏/さかな


夏
(2009/01/05)
SAKANA

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 アコースティックバンドであるさかなの91年発表の4thアルバム。エマーソン北村をプロデューサーに迎え、必要最低限の音しか存在しないアコースティックなサウンドと、豊かで味わいあるサウンドでありながらも、どこか悟っているかの様なドライな感覚も共存している。各曲の尺も短くシンプルな構成をもった楽曲ばかりであるが、それが余計に軽やかな風の様でいて、だけどどこか尖った今作の魅力をより浮き彫りにしている。



 殆どの楽曲がドラムとギターと歌のみで構成されており、音数も少なく、音と音の空白をも聴かせる様な仕上がりだ。ポコペンのブルージーな歌唱を前面に押し出し各楽器は分かりやすい主張はしないが、ひんやりとした緊張感を絶え間なく作り続けている。アコースティックギターのコード進行はお洒落で爽やかさすら感じるが、時折織り交ぜられる不協和音や、どこか儚さを感じる旋律ががただのBGMとして聴かれる事を拒絶し、空間を絶え間なく支配しているのだ。特に林山人のパーカッシブなドラムが今作の軽やかな緊張感を作り出す大きな要因になっているのは間違いない。独特のタイム感を持ち、乾ききっっていながらもどこか有機的なシンプルなドラムがあるからこそ出せる空気だと思うのだ。
 シンプルな言葉が断片的に紡がれるポコペンの歌も今作の世界観を確かな物にしている。楽曲の尺も短いのもあってか、シンプルな構成と、音数の少ない楽器、それに平熱のままでいるポコペンの声が、淡々と上映されてゆく数々のショートムービーの様な風景を聴き手に想起させるのだ。



 今作は夏の昼下がりに聴きたくなる様な清涼感と透明感に満ちた作品でありながら、空間をひんやりと支配する空気や緊張感を極限までシンプルな形で鳴らされている。シンプルでアコースティックな歌物作品は数多く存在するが、ここまで余計な感情の存在しない作品は少ない。今作は俳句の様にシンプルで数少ない音と言葉が紡ぐ短編小説集の様な作品であり、冷たい一筋の風が頬を撫でる様な冷たさを持っている。
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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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