■心ノ底ニ灯火トモセ/eastern youth
![]() | 心ノ底ニ灯火トモセ (2011/05/18) eastern youth 商品詳細を見る |
長年に渡りジャパニーズエモのシーンを引っ張り続けているeastern youth(以下ey)の実に14枚目を数える11年発表の最新作。近年の作品郡の中では爆音の激情と衝動が前面に出ている作品であるが、我武者羅な感覚は皆無で、どんなに年を取っても燃え尽きることの無き激情を歌った作品である。じわじわと聴き手の胸に突き刺さる楽曲の数々は自分たちの軸を変えることなく走り続けているeyだからこそ作り上げる事の出来る物だ。
第1曲「ドッコイ生キテル街ノ中」はこれぞeyといった疾走感に満ちたエモーショナルな楽曲、しかし全てに絶望し嘆きながらも、それでも歌わずにはいられない男の魂がゆらりと燃え盛る楽曲だ。不器用ながらも一歩一歩歩みを進めていく様な枯れ果てた先の感情を歌う名曲だ。第2曲「這いつくばったり 空を飛んだり」、第4曲「東京west」、第9曲「直情バカ一代」の様に、吉野氏の爆音の激情が暴発し、二宮氏の凶悪極まりない絶妙なボトムのベースラインと田森氏のシンプルでありながらも一音一音を確かに鳴らすドラムが三位一体で突き刺していく楽曲が今作は多いが、それでも「感受性応答セヨ」の様な激情ではなく、あらゆる物を見てきた男達にしか鳴らせない深みを増しているのだ。それがじわじわと燃え広がる炎の様であり、静謐さからの暴発のパートも分かりやすい形での激情ではなく、確かな波として伝わってくるのだ。今作のハイライトは第8曲「雑踏」であると思う。吉野の歌が響き渡り聴き手の心に突き刺さっていく。分かりやすい爆音が無くても魂の歌を鳴らせるのは形式だけの爆音に頼るのではなく、楽曲の骨組みを構成する旋律が生み出す激情はeyにしか出せないものだと僕は思う。最終曲である第10曲「再生工場の朝」の静謐な旋律と、力強く歌われる声の力の荒野を突き進んで行くかの様な悲しくもそれでも前に進んでいくひたむきさが伝わってくる
今作はbedside yoshinoのアコースティックで静謐な激情をバンドで鳴らした作品であるが、爆音でありながらも歌の力を感じさせてくれる作品になっている。メラメラと燃え盛る炎はどんなに時間が過ぎても消え去る事無く僕たちに熱き激情を伝えてくれる。eyの音がある限り僕たちはこの日常を歩みを止めずに戦えるのだ!!
■コメント
■Re: 心ノ底ニ灯火トモセ/eastern youth [Wilhelmina]
いや、自身がey独自の泥臭いような力強さがバリバリ健在なサウンドを、胃もたれすることなく聞くことができるまで染まってしまったのかもしれません(笑)
「形式だけの爆音」、っていい表現ですね。
大きな音を鳴らすだけなら誰にもできる。でも、奏でられるその音楽が爆音だろうと聴きたい、むしろ爆音で聴きたいと思わせられるかはアーティストの技量次第なのかもしれない。
■Re: 心ノ底ニ灯火トモセ/eastern youth [ゆりあき]
イースタンの名曲「矯正視力0.六」なんか分かりやすい爆音は無いですけど、それでも激情は確かにあると思っていて、爆音はイースタンの売りではありますけど、それに頼らずとも本当に感情に突き刺さるエモさを出せるのはやはりイースタンの核にある魅力だと僕は思ってます。