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■kocorono/bloodthirsty butchers


kocorono完全盤(紙ジャケット仕様)kocorono完全盤(紙ジャケット仕様)
(2010/03/10)
bloodthirsty butchers

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 間違いなく日本のエモーショナルロックを語る上では絶対に外す事の出来ない歴史的名盤であるし、間違い無く多くの人々の心のマスターピースになった作品といえる今作。ブッチャーズというバンドは孤高のバンドであり、代わりなんて絶対に存在しないバンドであるのは僕が今更言う事では無いのは分かってはいるんだけれど、だが96年に発表された今作の作品全体に漂うあまりにも悲しい空気であったり感情であったりはブッチャーズにしか鳴らすことの出来ない物だ。1月~12月までの物語、全曲完全なる名曲であると同時に全曲洗練なんか全然されていない、本当に僅かな感情ですらギターの一音の振動から伝わってくる作品。こんな作品はこれから先の日本のロックで生まれない可能性すら感じてしまう。それだけの作品だ。



 第1曲「2月/february 親愛なるアレックスさんへ」からいきなりkocoronoの景色を一気に想起させてしまうかの様な楽曲で今作は幕を開ける。爆音ではあるが決して吉村氏は叫ばないで淡々と歌うし、その代わりにブッチャーズの3人が鳴らすそれぞれの音が感情のままに叫び歌う。BIG MUFFの轟音ですらとんでもなく悲しいし、泣いてる様にすら聞こえてしまう、もうこの時点で魂が揺さぶられるのだ!!第3曲「3月/march 青空」の性急な疾走感を持ちながらも、ただ立ち尽くし視界に映る景色を歌う様な楽曲も、第3曲「4月/april 大人になんか解ってたまるものか!」のどうしようも無い葛藤を抱えたまま歩き続ける悲しみであったりとか、否応なしに聴き手に何かを突き刺す様な感情が今作を支配している。決して分かりやすい爆音バーストなんか全然無いのだけれども、一つの大きな波として確かに存在する感情をブッチャーズは表現しているのだ。クリーントーンの不器用でメロウな旋律であったりとか、歌う様なベースラインであったりとか、確かな激情を鳴らすドラムが、全てが何の打算も無しに鳴っている!この純度の高い音がkocoronoの核であると言えるだろう。そして第6曲「7月/july 心」は間違いなく日本、いや世界のエモーショナルロック屈指の大名曲である。日本人にしか鳴らせない繊細な感情の機微を体現し、うなだれる様な夏の暑さと風景を安易に想起させ、身を切り裂く様な悲しみを淡々と歌う吉村氏の声、アルペジオを弾き物語を紡ぐベースライン。全てが完全だ。中盤からBIG MUFFを炸裂させ一気に悲しみは大きな波になり終盤は楽器の音のみでとんでもない音圧の轟音を繰り出し、止めることの出来ない涙の様な音を響かせる。全感情の壁を破壊し、心が剥き出しになっていく感覚すら覚える曲だ。それ以降は躍動感とソリッドさが際立つ楽曲が続く。今作の核にもなっている第8曲「8月/august」の躍動感溢れる楽曲とそれに反する物語を紡いでいく様であったりとか、第9曲「10月/october 黄昏」や第11曲「12月/december トウキョウ」のソリッドに攻めていく轟音の塊であったりと、後半は全く違う顔を見せる。しかしソリッドさを前面に出しても今作の核は全くブレてなんかいない。kocoronoは一貫してkocoronoでしかないのだ。そして2010年の再発盤に収録されたkocoronoの最後の1ピースが第12曲「1月/January」だ。それがまた今作屈指の名曲であるのだ。鐘の音の様なギターのストロークで幕を開け、爆音の波の中で全てが暴発していく様はあまりにも悲しく、身を切られる様な思いになってしまうが、自然と第1曲に繋がっている様な楽曲であるし、12曲全てが揃った事によってkocoronoで描かれる四季や感情は繰り返す物だと僕は思い知らされてしまった。



 恐らく今作は多くの人々の心と人生にとんでもない衝撃を与えた作品だ。しかしブッチャーズは誰かの為に歌うバンドではない。今作で何かを感じたら、それは聴き手の数だけあるし、人々の無数の感情を揺さぶり、無数の感情とシンクロする様な作品なのだ。kocoronoを聴いて感じた物は全て正解であるし、結局kocoronoは聴き手の数だけ無数に存在する作品なのだ。「俺とkocorono」が「俺達のkocorono」になったのはそれらの理由があるからだと僕は勝手ながらに思っている。kocoronoは完全であり不完全だと僕が思うのは、今作は間違いなく吉村秀樹という男の感情を偽りなく鳴らした作品であるし、どこまでも純度1000%の人間としての音が鳴っているからだ。完全なんてものは無くても良い、kocoronoは不器用でも人生を歩む人々の確かな支えになっているのだから。だから今作をまだ聴いて無い人は今すぐにでも今作を聴いて欲しい。感受性が少しでも呼吸していたら、今作から絶対に何かを感じる事が出来る筈だ!!



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タグ : 日本 エモ

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