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■coup d'Etat/Syrup16g


coup d'Etat【reissue】coup d'Etat【reissue】
(2010/10/27)
syrup16g

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 気が付いたら00年代の日本のギターロックを代表する存在と言える様になってしまったシロップの02年発表の2ndにしてメジャーデビュー作品である今作は、シロップで最も尖った殺傷力と甘さが濃縮された非常に中毒性の高い作品である、諦めが一周回って開き直りの希望みたいになっている歌の世界と、ディレイとコーラスを多用した音作りと、シャープな轟音が作品に充満しており、本当の聴き手の無視してしまいたい感情との対峙を促すような、ダークさだけに逃げる事じゃなく、諦めの向こう側から聴き手に刃を突き付ける様な、陶酔の果てにあるドロドロとした醜い感情を暴いていく、そんな作品だと思う。



 ぶっちゃけるとシロップの歌詞に関しては色々な所で語り尽くされているので僕の方からは何も言う事は無いに等しいと思うのだけど、シロップはそのダークな歌詞が表層ばかり取り立たされている印象が僕の中でどうしてもあるのだ。シロップの核になっているのはその歌詞ではなく、初期U2直系の甘さとエッジの調和が見事に取れたサウンドであると僕は思っているし、今作はシロップの作品の中で最もそのエッジの部分が鋭い作品であるし、そのサウンドに乗るからこそ五十嵐の言葉の鋭さも増すのだと僕は思っている。甘く中毒性のある旋律と、エッジの利いたギターサウンド。これが存在するだけでロックとしての攻撃力は十分だし、その音が作品の中で見事に統一されているのだ。特に第7曲「天才」と第12曲「空をなくす」はシロップの切れ味の鋭さが前面に出た必殺の楽曲だと思う。
 そのエッジの利いた楽曲郡に混ざって静謐でメロウな甘さを持つ楽曲も収録されている。第5曲「遊体離脱」なんかはシンプルなコード進行でありながら精神世界の後悔と諦めに満ちた内に向かう陰鬱さを持つロックの名曲であるし、第10曲「ハピネス」のアコースティックなサウンドが生み出すモノクロの風景なんかもシロップも持ち味であるし、今作はそれらの楽曲が本当に魅力的な甘さを持っているのだ。そして最終曲である第13曲「汚れたいだけ」のボリュームペダルを駆使した浮遊する音と、儚い轟音と懺悔の様に紡がれる言葉。荒涼として空っぽな虚無感に満ちた楽曲なのに、血液の流れと僅かな光を感じさせてくれる名曲であるし、僕はシロップの一つの到達点と言っても良い楽曲だと勝手に思っている。



 シロップは決して安易な絶望を歌ってるバンドなんかじゃないし、聴き手をそれに陶酔させるだけのバンドなんかじゃないと僕は思う。今作に収録されている楽曲の鋭さと甘さは確かに中毒性があるが、それに言葉が乗った瞬間に聴き手に生きることと死ぬことを同時に突き付け、それらの感情を一気に暴いていくのだ。今作は外側に向かう殺意に満ちたサウンドと、内側に向かう自問自答と諦めと開き直りが同時に存在し、それらがシロップをロックバンドとしてより魅力的にしているのだ。
 最近、安易に鬱や絶望を歌うバンドが増えた気がするけど、殆どのバンドが独りよがりな構ってちゃんバンドであるし、そのインスタントな絶望ばかり求め、ダークサイドをファッションとしてしか捉えてない甘ったれたリスナーが凄く増えたなと勝手に思っているし、シロップもそうゆう聴き方をかなりされているバンドだとも思う。でも都合悪い事も目を覆いたくなることも含めて暴いていくのがロックであるし、シロップはそのサウンドの説得力と、開き直りながらもただ精一杯人間臭い感情を鳴らしたバンドだ。今作で鳴っている音は楽曲自体のクオリティこそは高いが全然洗練されてないし、アレンジも派手ではない、でもシロップは解散まで洗練される事は無かった。だからこそ僕は未だに今作を再生する。
 シロップは決してロックバンドである事からは逃げなかった。だからこそ今作は初期U2の様な美しさを持っているのだ。
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