■空谷ノ歪音/discotortion

北海道のハードコアシーンを引っ張り続ける猛者共によって結成されたdiscotortionの2011年発表の2ndアルバム。ツインドラム編成となってから初の作品であるが、重厚な音圧によって繰り広げられるのはハードコア・オルタナティブロックを基盤にしながら雑多な要素をジャンクに食らった、超爆音のギターリフが空間を埋め尽くす本質的な意味での混沌と、脳髄直撃の爆音ダンサブルオルタナティブロックだ。ゲストとしてL!EFのマツウラヨシタケ、Zの根本潤、魚頭圭がゲストで参加し、より混沌を極めているのも見逃せない。
まず今作に存在する音は全く整理なんかされていない。爆音の中でかすかに聴こえてくるキーボードの音であったりとか、硬質でダンサブルなビートがツインドラムの音圧で鳴らされていたりとか、NO WAVEなカラーも思い切り吸い込んだ上で、それを脳直で本能のままに鳴らしているのが今作の大きな魅力だと言える。楽曲の基盤になっているのは爆音で殺気だった一撃必殺のギターリフの格好良さであり、それをストレートに鳴らしながらも、正当なオルタナティブロックのマナーなんか無視し、多くの音を未整合のままブチ込んでいるのだ。Shellacにも通じる硬質のビートを解体し、より混沌に向かい暴走しているとしか思えないのだ!何よりもバンドとしての腕力と馬力が圧倒的。このバンドにあるのは豊かな音楽性と、サンディエゴ直径のハードコアサウンドをズタズタにしてしまう暴力性であるけど、その音を鳴らすバンドとしてのパワーが本当に絶大!バンドが持つ原子的な力が凄まじいからこそ、このジャンクで残酷な音は、狂気に満ちたオルタナティブ殺戮兵器として猛威を振るっているのだ!
先人達の影響とリスペクトを感じさせながら、それを模倣するのでは無く、ズタズタにしてしまった上で、整理なんかしないで本能のまま爆音で鳴らしてしまった今作。本当にオルタナティブであるし、脳髄を叩き潰す極悪な爆音のギターリフと冷徹でダイナミックなビートは全てを粉々にしてしまうだけの力を持っている。耳を劈く爆音サウンドに僕の心は完全にノックアウトされてしまった。2011年のジャパニーズオルタナの傑作だ。今作は是非とも超爆音で聴いて、その脳髄を完全粉砕されて欲しい。