■The Human Spectacle/Unholy Grave×Anarchus

名古屋のグラインドコアバンドであるUnholy GraveとメキシコのグラインドコアバンドであるAnarchusの両者がぶつかり合う04年発表の今作だが、日本×メキシコ(この界隈は何故か日本×メキシコでスプリットを出す事が多い)の国境を越えたグラインドコアの激烈正面衝突スプリットといった内容になっている。そんな濃密な全22曲が終わりなく迫り来る一枚だ。
まずは日本代表Unholy Graveだが、かなりローな録音がされており、若干チープに聴こえてしまいかねないのだけれども、そんな事を感じさせない殺気が凄まじいグラインドコアとなっている。シンプルでありながらも、極悪さを感じさせるリフと低域のデスから高域の嘔吐シャウトを縦横無尽に駆け抜けるボーカルは殺気と気合いが凄まじい物になっている。しかしながら単に極悪でえげつないグラインドをやってるのではなく、疾走感とキャッチーさを忘れないでいるのがまたニクいのだ。全11曲はあっという間にローであり疾走感溢れる下水道サウンドで突き抜けてしまう。日本代表としての貫禄を見せ付けてくれるし格好良い仕上がりになっている。
しかしそんなUnholy Graveを更に圧倒してしまっているのがメキシコ代表Anarchusだ。先手のUnholy Graveに比べたらかなり音質が良い状態で録音されているが、まずヘビィな重低音と高速の刻みのリフに一気に体中の体温が急上昇するのは間違いなしであろう。それでいてスコスコと気持ちの良いスネアの音を響かせながらブラストビートを繰り出すドラム、ベースの低音がまた見事に一つの音塊として休む事無く降り注いでくる。それでいてパンチョの華やかであり、やたらハイトーンなボーカルはAnarchusの格好良さを決定的にしている。キャッチーでありながらもブルータルなリフ、気持ちの良いブラスト、ツボを押さえまくりなブレイクと曲構成、個性的で格好良いボーカルともうグラインドコアの美味しい所取りで格好良くてずるいとしか思えない。
ローでいて殺気に満ちた音を鳴らしたUnholy Graveとグラインドコアの格好良さを最高の形で突き詰めたAnarchusが正面衝突した今作であるが、グラインドコアフリークスは絶対に満足出来る作品だし、単純にハードコアの作品として普通に爆裂で頭振りまくれて暴れられる作品だ。今作に収録されている22曲はどれもがそんな必殺に満ちている。というかAnarchusが本当に格好良すぎてずるい!!