■A Sun That Never Sets/NEUROSIS


Sun That Never SetsSun That Never Sets
(2001/08/07)
Neurosis

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 NEUROSISはやはり全てを置き去りにする孤高のバンドだ。ハードコアから始まり、それを粉砕する悪夢の様な激重サウンドを鳴らしながらも、それを更に超芸術的な音に仕立て上げてしまうバンドなのだから。そして01年に発表された今作はそのNEUROSISがヘビィロック・ハードコアの枠すら破壊し尽くした先の超芸術の世界を描いた深遠で壮大なる大傑作だ。スティーブ・アルビニをエンジニアに迎えた今作は歌物の作品となっている。しかしそこはあくまでもNEUROSISであるからただの歌物作品なんかではない、歌を重きにおいたからこそ、その音はよりダークでありながらも繊細で深く全ての音が呼吸をし、そしてその漆黒の先の微かな光に手を伸ばすかの様な感触なのだ。徹底的に作りこまれた音と精神世界はNEUROSIS史上屈指といっても過言ではない。00年代を代表する大傑作と断言出来る作品だ。



 まず第2曲「The Tide」から明らかな変化が伺えるだろうダークなアコギの旋律と空間的な音のコラージュに乗るのは淡々とした歌と言葉、分かりやすいスラッジリフは無いけれど、ピアノ・ヴァイオリンの旋律と、トライヴァルで手数こそ少ないけど一音の重さが半端じゃないドラム。これは紛れも無いNEUROSISだからこそ出せるダークさであるし、ヘビィさだ。しかしどこか優しい感触すら感じてしまうのである。そして後半では一気にスラッジリフが巻き起こる、しかもそれは殺伐とした感触ではなくとんでもない壮大な美しさと音の広がりを見せ付けるのだ。感傷と激情が三位一体となった血と涙の音。もうこの1曲だけで今作はNEUROSISがNEUROSISを超えてしまった作品だって断言出来てしまうレベル。今作はとんでもない痛みの音であるのに、その先に微かな救いすら鳴らしてしまっているのだ。作品全体で鳴っている旋律が本当に美しく悲しいのだ。第3曲 「From The Hill」も管楽器とギターの旋律が鬼気迫る物でありながらも完全に泣きの旋律、しかしそれは安易な泣きなんかでは勿論無いし、悲哀とも詠嘆の振り絞る様な激情と叫びだ。叙情性も凄まじく本当に残酷なまでに感情を揺さぶる。
 そして第4曲「A Sun That Never Sets」はNEUROSIS×アルビニの蜜月が最強クラスにまで表現された屈指の名曲。本当に全ての音が生々しいままアウトプットされており、その緊迫感と空気の振動が空間をその音の世界で染め上げていく。そしてその歌を悲壮さまでもが生々しく、本当に残酷なまでに全ての音が迫り来る様な陰湿さと気迫を感じざる得ないのだ。、オーボエとヴァイオリンをを取り入れた第7曲「Crowl Back In」もその感情に訴える叙情性が最も出た楽曲であるし、厳かな歌と緻密に組み合わさった楽器の音が爆発こそはしないけど、確実に聴き手に大きな爪痕を残すであろう赤黒いカタルシスが毒素の様に噴出している。そして最終曲の「Stones From The Sky」である。鐘の音色と、重苦しいスケールのアルペジオが神秘的な世界を奏で、そして暴発する激情パートになってからはほぼワンリフで繰り返されるギターリフ。反復する音の螺旋は破壊的ではあるが、今作までのNEUROSISの様な全てを粉砕するスラッジハンマーな音ではない、本当に重くも優しい音なのだ。そしてそれは一気に感情の高ぶりを見せ、全てを巻き込む嵐の様な音へと変貌し、最後は徐々に音飛びのコラージュが入りそのカタルシスを保ったままプツリと切れる。途方も無いエネルギーは直に浴び尽くしたまま聴き手は取り残されてしまうのだ。



 今作は今までのNEUROSIS同様にダーク極まりない作品ではあるのだけれど、歌物作品云々という部分以上に、今までのNEUROSISとは全く違う作品だ。途方も無い殺気を無慈悲に放出するバンドであったNEUROSISが底無し沼の深淵から地上から差し込んでくる僅かな光を求め、その途方も無い泥の海をただひたすらに光を目指して泳ぎ続けていく様な力強さを感じさせてくれるし、本当にあるゆる感情を徹底的に音にしたからこその芸術性と深遠さが途方もない作品なのだ。ネガティブな感情をひたすら殺気に満ちた音で鳴らし続けていたNEUROSISがその先の光を求め始めたバンドにとっても超重要作品であるし、本当にハードコアの一つの到達点とも言える歴史的名盤であるのだ。ここまで長々と書いたけど、今作に関してはただヤバい、その一言に尽きる。
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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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