■White Pony/Deftones


White PonyWhite Pony
(2000/06/20)
Deftones

商品詳細を見る




 Deftonesはやはりモダンヘビィネスのシーンの中でも一際異彩を放つバンドだ。その音は紛れも無いヘビィロックであるにも関わらず、どこまでもその先を鳴らしてるという意味で本質的に「ポスト」なバンドであると言えるのだ。その一音一音を洗練させ、美しい響きを持ちながらも、ヘビィロックの即効性や粗暴さを全く失う事無く、その陰鬱な音を爆音のヘビィネスで鳴らすのは簡単に見えて実際とんでもなく難しい。今作は00年発表の3rdアルバムであるが、そんなDeftonesの音楽性を一つの到達点まで引っ張った名盤だ。



 まず今作は今まで通りの陰鬱さに加えて非常に耽美な感触も加わった作品であると言える、チノのボーカルはやたらとエロスとダークさを放つ歌声であるし、ギターの旋律の響きは確かなヘビィさを持ちながらも叙情性を待った旋律を鳴らし、その空間的な響きの深淵さにやられてしまいそうだ。第2曲「Digital Bath」の静と動を巧みに使い分ける構成であったり、また楽器隊の音が緊張感を孕んだまま神経質な音を鳴らしているのも今作でより「ポスト」に接近したからこその変化だ。今でこそポストメタルなんて言葉が拡散しているけど、当時はそんな概念すら存在していなかったにも関わらず、Deftonesはあくまで自らのやり方でヘビィネスにポストロックの要素を取り入れ、その両方の音楽的な強さを物にするハイブリットな音を完成させたのだ。第4曲「Rx Queen」の作りこまれた音色とそこからバーストする重苦しい空気を放つ轟音はそれを完全に証明している。
 またその音は楽曲毎にそれぞれの色をしっかり持っている。今作屈指の名曲である第7曲「Knife Party」はチノの退廃的な歌を全面に押し出し、空間の次元を徐々に歪ませていく空間的なギターの音色から本当に重苦しい音へと変貌を遂げていく。安易なヘビィさに全く頼ってない音なのに、その音は紛れも無いヘビィロックであるし、しかも楽曲の中で一つのドラマ性を孕ませ、中盤からはその狂気を一気に加速させる狂い叫びのたうち回る感覚かは負の激情へと雪崩れ込む様なんか堪らない。TOOLのメイナードが参加した第10曲「Passenger」では渦を巻く精神のパラノイアな音にメイナードとチノの人間の闇を揺さぶるボーカルが乗り、そこに退廃的な空間を一気に作り出していく。メイナードの声も驚く位にDeftonesの音にハマっている。そして最終曲「Pink Maggit」にてその深遠さを最大にまで花咲かせた漆黒の世界は今作の到達点だ。闇深くから這い上がる様な音から、一気に巨大なスケールを持つエモーショナルな激情へと変貌し、聴き手の感情を揺さぶっていく。そしてその「Pink Maggit」をアレンジしたのがDeftonesの代表曲といえる「Back To School」だ。壮大なヘビィネス絵巻を鳴らしながらも、それをコンパクトで即効性に満ちた必殺の1曲に変貌させてしまう辺りに、Deftonesの懐の深さを感じる事が出来る。



 今作はDeftonesが孤高のヘビィネスを鳴らす決定打と言っても良い傑作になったといえる。肉体へと訴えるヘビィなリフは勿論だが、その硬質で緊張感に満ちたビートや奥深い響きを音色として鳴らすギターもそうだし、チノは完全に歌の力だけで耽美で退廃的な世界を歌い上げている。Deftonesはモダンヘビィネスを代表するバンドでありシーンの最前線で戦い続けているバンドだが、本質的にダークでヘビィなバンドなのだ。その核をしっかりと守りながらも、その音は常に先を見据えた音になっている。だからこそこいつらは異質な存在であるしカリスマであり続ける事が出来るのだ。



スポンサーサイト

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 

プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

タグ別記事表示

日本 ライブレポ 激情系ハードコア アメリカ スラッジ ポストメタル ポストハードコア ポストロック カオティックハードコア ドゥーム エモ オルタナティブロック イギリス サイケ フランス アンビエント ストーナー ネオクラスト ドローン ドイツ シューゲイザー ハードコア ロック グラインドコア プログレ ギターロック ポストブラックメタル インタビュー マスロック ポストパンク デスメタル スウェーデン カナダ モダンへビィネス スラッシュメタル ブラックメタル ギターポップ エクスペリメンタル エレクトロニカ ジャンクロック イタリア インダストリアル ベルギー フューネラルドゥーム グランジ ノルウェー 年間BEST ジェント オーストラリア スペイン アコースティック ポップス プログレッシブメタル ラーメン ブラッケンドハードコア フォーク ミニマル モダンヘビィネス ニューウェイブ パワーヴァイオレンス ロシア ゴシックメタル ハードロック ファストコア ノイズ ニュースクールハードコア フィンランド メタルコア ゴシックドゥーム トリップホップ ヒップホップ 自殺系ブラックメタル オランダ 駄盤珍盤紹介 アブストラクト ノーウェイブ クラウトロック ダブ ヘビィロック パンク ゴシック ダブステップ ノイズコア シンガポール ラトビア ミクスチャー チェコ インディーロック メロディックパンク テクノ ポーランド ドラムンベース ウィッチハウス オルタナティブ アイルランド デンマーク スイス ヘビィネス メキシコ ポジパン ジャズ ヴィジュアル系 アシッドフォーク メタル ブルデス 声優 ボイスCD ドリームポップ トラッドフォーク クラストコア スクリーモ カントリー プリミティブブラック 韓国 ハンガリー アイスランド イラン シンフォニックブラック ギリシャ スコットランド USハードコア ポルトガル ガレージ ソフトロック フリージャズ モダンクラシカル 台湾 トルコ ファンク 

カテゴリー

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

カウンター