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■Seiromistkrieg/SEIROM

Seirom 2011 Seiromistkrieg



 オランダの超下衆野郎アンビエントブラックメタルノイズユニットであるGnaw Their TonguesのMoriesの別名義でのユニットがこのSEIROMである。Gnawではとんでもない音圧で汚物と憎悪に満ちた拷問ノイズを展開していたけど、今作では幽玄なアンビエントサウンドが展開されており、その音圧こそ健在であるが非常に美しい音を奏でている。殺気と憎しみに満ちた音を鳴らしているGnawとは全く違う良質なアンビエント作品になっていると言えるだろう。



 今作は3曲で約33分の組曲形式の作品であるが、序盤から反復する音の音圧は中々の物である。しかし無機質さを感じさせながらも何処か揺らめく感触はやたら神秘的であるのだ。それが徐々にノイジーな轟音へと変貌を遂げていくとその音圧も高まり、不穏の空気を生み出し始める。しかしその音から徐々に幽玄なシンセの音が微かに聴こえ始めた瞬間にGnawとはまた違うカタルシスが生み出される。それは暴風雨の中に差し込む微かな光の様であり、それが徐々に広がっていくのだ。まるで祝福の雨の様に降り注ぐそれはミニマムな手法を取っていながらもその音を徐々に広げ、強い音圧はより壮大で幽玄の空気を生み出す。第3曲に入るとよりその幽玄さは加速し、幾重にも重なる音が絶妙なハーモニーを奏でる。音だけを取ってしまえばノイズミュージックであるし、耳を劈く様な音圧と歪さではあるのだけれども、そのノイズと重なり合うシンセの音が儚い旋律を奏で、メインで鳴るノイズも殺気や憎悪とは無縁な天界から降り注ぐ抗えない何かとして存在している様にさえ思えてくるのだ。そして終盤でその音は完全なるホワイトノイズへと変貌し、裏で性急に刻まれるリズムマシーンの音が感傷的な感触を加速させ、最後はクラシカルに静かに幕を引いて行く。



 Gnawでは極限までの極悪極まりない音を噴出してたがこのSEIROMは真逆の神秘的で美しいアンビエントノイズを奏でている。Moriesが何故この様な音を奏でたかは分からないが、Gnawとはまた違うこの音の幽玄な世界は本当に畏怖の念を覚える物であるのは間違い無い筈だ。また今作はBandcampでフリーダウンロード形式で配布されているので下記リンクから覗いてみて欲しい。

Seiromistkriegダウンロードページ
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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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