■Headbanger's Karaoke Club Dangerous Fire/HAYAINO DAISUKI
![]() | ヘッドバンガーズ・カラオケ・クラブ・デンジャラス・ファイアー (2008/02/22) 速いの大好き 商品詳細を見る |
HAYAINO DAISUKI。これまでに無い位に馬鹿で最高に格好良いバンド名だ。ジャケットも燃えている位に熱い。一見ふざけたこのバンドだが、グラインドコアの最重要バンドの一つであるDISCORDANCE AXISのJon Changがボーカルを務め、京都のグラインドコアの雄であるMortalizedの松原氏をギターに迎えたガチのバンドだ。そんな彼等の08年発表の1stEPが今作だ。グラインドコアからその先にある速さを追求し、どこまでもサービス精神に溢れながらもバンド名とは裏腹におふざけ無しのスラッシュサウンド渦巻く全4曲だ。
DISCORDANCE AXISというグラインドコアを極めたバンドの先にJon Changが行き着いたのはグラインドコアを捨て、ハードコアとスラッシュメタルをクロスオーバーさせたハイブリットさだ。Jon Changの狂気に満ちたハイトーンシャウトは勿論健在であるが、その狂気をメタルと融合させ、ぶっ飛びながらも、聴き手の気持ちの良い場所ばかりを突いてくる気持ちの良い音が今作の肝になっている。ギターは特に美味しい所取りな感覚満載で、メタリックな高速の刻みのリフを繰り出しながらも、クサさとハードコア的タフネスを持った絶妙な匙加減であるし、随所随所でテクニカルな早弾きフレーズも取り入れながらもしつこくはならない味加減。しかしながらバンド名通り速さを追求するド直球さは絶対に忘れないのもニクい。全曲BPMは早く、ノンストップで嵐の様に繰り出される全パートの音とボーカルのタフネス。ドラムも複雑なフレーズを乗りこなしながらも徹底して高いテンションと速さで突き抜ける暴走加減。だが全編通してのハイテンションさと速さと同時に絶妙に取り入れられるキメやブレイクの数々もこのバンドの魅力。DISCORDANCE AXISで培った物を生かしながらも、それを全力で捨てたのが彼等の音楽だからだ。ハードコアとメタルの良い所取りな音で攻めるズルさとらしさとセンスが本当に良いバランスで存在している。4曲14分というコンパクトな作りも彼等の音楽を飽きさせずに聴かせるのに一役買っているのも見逃せないであろう。
DISCORDANCE AXISとMortalizedというグラインドコアの猛者がタッグを組んだ結果、まさかのメタル魂炸裂のバンドになってしまったHAYAINO DAISUKIであるが、彼等のハードコア魂も同時に炸裂し、メタラーにもハードコア好きのどちらにもアプローチ出来る作品に仕上がったと言えるだろう。日本オタク・アニメオタクとしても有名なJon Changがそのオタク魂が行き着いた先にあったのはサービス精神を聴き手の快楽を追求した最高に突き抜けた音楽だった。そのバンド名はハッタリ何かじゃなく大マジだ。最高に笑えて最高に格好良い作品である!