■Switch Style/Switch Style

Switch Styleは日本のニュースクールハードコアを語る上では絶対に外す事の出来ないバンドである。彼等の存在があったからこそ日本のニュースクールハードコアのシーンは作られたと言って良いのだから。今作は93年に7"EPとしてリリースされた物を95年にCD化されてHG FACTからリリースされた物であるが、93年というまだニュースクールハードコアが全く存在しない日本において今作をリリースし、後のバンドに与えた影響は計り知れない重要な作品だ。
ニュースクールハードコアと言うとメタリックな音楽性を思い浮かべる人が多いかもしれないけど、彼等はヘビィではあったが決してメタリックでは無かった。今作の音は紛れも無いハードコアそのものな音だからだ。しかしハードコアらしいスピード感溢れるパートは決して多く無く、あくまでもミドルテンポで攻めるのが彼等の音の特徴だと言えるだろう。ギターリフ自体もズクズクと刻みのリフで攻めていくスタイルではあるが決してメタル的なリフでは無く、ハードコアからの発展系のリフだと言えるだろう。YU-RI氏の男臭いドスの効いた声とKENZO氏の灰トーンの絶唱というツインボーカルとツインギターのストイックかつ後ノリのリフと一発一発の音にタメを効かせたミドルテンポのドラムという彼等の音は多くのバンドに計り知れない影響を与えている。第1曲「Pass」なんてそんな彼等の持ち味が如何無く発揮されている。BPM早めな第2曲「Distance」もリフやビートは性急でありながらも、ズッシリと構えドスの強い音が矢張り前に出ている印象を受ける。作品全体のリフとビートは矢張りエッジの強い音でありながらも、引き摺る様なミドルテンポのビートが核になっているし、彼等はハードコアでありながら、自らの音をヘビィに仕立て上げ、ハードコアの攻撃性だけで無く、ヘビィなグルーブも手に入れ、だからこそ彼等は日本のニュースクールハードコアのカリスマになったのだ。
今作は20年近く前にリリースされた作品でありながら、今も尚、ニュースクールハードコアの重要作品の一つである。彼等のグルーブは唯一無二であり、日本のハードコアの最重要バンドになったのだ。Switch Styleは現在は解散してしまっているが、YU-RI氏はNUMB、KENZO氏はkamomekamomeと現在もハードコアシーンの最前線で活動し、シーンを引っ張り続けている。