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■Live9091/割礼

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 80年代から現在に至るまで活動し、未だ音楽的な実りの季節を謳歌している名古屋が生んだ生ける伝説こと割礼。その甘美でヘビィなスロウなサイケデリックな音をコンパイルしたライブ盤である今作は90年~91年頃の割礼のライブ音源を収録しており、8人編成という大所帯(サポートで不失者の三浦真樹やさかなの林山人とかなり豪華なメンバーが参加している)で鳴らされる重厚なサイケデリック絵巻を余す所無くパッケージングされている。リリースは北村昌士のSSEからで、今は亡き人形師である天野可淡の作品である球体関節人形のジャケットのインパクトも凄いが、今作は正に割礼にしか鳴らせない世界が最大レベルで発揮されている。



 まず今作の楽曲はスタジオ盤とは全く違うアレンジが施されている。スタジオ盤ではスタンダードなバンド編成で録音されていた楽曲は大所帯編成でのアレンジに生まれ変わっており、音がスタジオ盤以上に重厚な物になっている。それだけでは無くスタジオ盤以上にダークさとスロウになったBPMも際立っており、全体的に長尺の楽曲が多くなっているのも特徴だ。第1曲「ラブ?」や第2曲「海のあの娘」こそスタジオ盤とあまりアレンジは変わっていないけど音の厚みが増しているし、緩やかにダークサイドへと堕落していく様な音になっている。しかし第3曲「散歩」から完全に別次元の割礼に変貌を遂げている。本当に音数少なく今にも止まりそうなまでにスロウに削ぎ落とされているのに、その僅かな音のみで紡がれるアンサンブルの重厚さと振り絞る様な宍戸の歌が生み出す甘美なラブソングが並ぶ。特に「ネイルフラン」に収録されている楽曲はかなりの変貌を遂げている。「ネイルフラン」もかなり少ない音数で録音された作品であるが、その音数の少なさはそのままに一音の厚みと存在感が増したスロウコアの世界へと誘われる。第5曲「ネイルフラン」の静謐な中でのアンサンブルの止まりそうなタイム感が生み出す緊張感もそうだが、第6曲「太陽の真中のリフ」のスタジオ盤以上にスロウになりながらもその心拍数停止寸前の感覚が生み出すサイケデリックな世界が咲き乱れ、第7曲「君の写真」の空間的なノイジーさが波紋の様に広がり、神秘的なシンセの音と共にねっとりとした感触の歌とギターが生み出す情念に満ちた怨歌と化した様は、人間の奥底の純粋であるが故の感情の静かな螺旋がドラマティックに鳴らされている。そしてラスト第10曲の「ゲーペーウー」の緩やかさと今作で一番優しい空気で歌われたラブソングは全ての音が静かに呼吸し、今までの窒息する様な重苦しさから少しだけ開放された様な救いすら感じる。



 ただでさえ重苦しくサイケデリックな割礼の音をよりスロウに、より重苦しくしたアレンジを8人編成のアンサンブルで奏でるサイケデリックオーケストラと言っても過言ではない今作は、本当に削ぎ落とした音数でありながら、全ての音が重厚であるし、その音と音の隙間が作り出す空白ですら割礼の音楽として重要な存在にしてしまった作品だ。止まりそうな速度で紡がれる歌と音が生み出す空気こそが割礼の持つサイケデリックな空気であり、その空白すら重苦しく感じさせる極上のスロウコアである。スタジオ盤もかなりドロドロとした情念の歌ばかりであるが、本当に剥き出しの割礼の核に今作では触れる事が出来る。この音は割礼にしか出せないスロウな純粋過ぎる情念の世界だ。
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