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■[keep the hope] extra(2011年11月27日)@代官山UNIT

 BALLOONSの呼びかけで始まり、3/11の東日本大震災の復興支援イベントとして始まったこの企画はチケット代や物販の収益、それぞれの持ち込んだフリマの売り上げを全て寄付するという物であり、収益は全て震災孤児への支援として、あしなが育英会の「震災・津波遺児募金」へ寄付しているというイベントであるが、そんなBALLOONSの呼びかけに多くの猛者が賛同し、全13バンドが出演するという大規模なイベントになった。2ステージで昼からノンストップで猛烈な音が鳴り響くこのイベントに僕だけで無く本当に多くの人が賛同し、今回のイベントは代官山UNITという大きなハコで実に約650人を動員したイベントとなった。BALLOONSの働きは勿論素晴らしいのだけれど、チャリティ云々抜きにして日本のアンダーグラウンドシーンの猛者達のアクトは本当に素晴らしく、とんでもない熱量を持つ音楽イベントとして大きな意味を持つ物になったと言えるだろう。僕は会場に入って直ぐに物販を買ったり、長丁場のイベントだったので流石に途中で休憩を入れたりしたのでそのアクトを見たのは13バンド中10バンドなのだけれど、どのバンドのアクトも強烈であり、全バンドが主役と言っても良い物であった。



・PASTAFASTA

 会場に入った時には1バンド目のATATAが既に始まっており、ロッカーに荷物を預けたり、物販で買い物したりしたのでライブを見たのは2バンド目のPASTAFASTAからであったが、赤石氏の「代官山UNIT!!ブッ殺してやる!!」というなんとも物騒な叫びから始まったアクトはのっけから圧倒的悪意のテンションをバラ撒く物であった。キャッチーかつテクニカルかつショートなファストコアサウンドの殺傷力は抜群であるし、性急に破滅へと暴走しながらも、3ピースとは思えない音圧と、その混沌を描く為の高い演奏技術にも圧倒された。特に必殺の1分間な「Satanic」の破壊力には圧倒されまくりだった。代官山UNITというお洒落なライブハウスらしかぬ悪意と下劣さと前面に押し出しているバンドであるが、そんな事はおかまいなしに瞬殺の混沌で駆け巡るアクトであった、ラストは「地獄を見せてやる!」という言葉通りに一転してスラッジなサウンドを聴かせ、飛び入りのゲストボーカルまで迎えての爆音地獄で宣言通り代官山UNITを大量殺人の犯行現場にしてしまっていた。



・deepslauter

 そして間髪入れずに柏が誇る若手最強ハードコアことdeepslauterへ雪崩れ込む!1曲目から必殺の1曲「TIMechanical」でPASTAFASTAが作り上げた爆音ファストの狂気に連なる力強くもショートな激情カオティック絵巻へと続いていった。メンバーはテクニカルなフレーズをキメながらも、ステージを所狭しと楽器を振り回しながら暴れまくっていたし、勿論畳み掛ける様に連発される楽曲の熱量もとんでもなかった。独自の方法論で生み出したポップさを持ちながらも、やはり鼓膜をブン殴る爆音電撃ハードコアこそが彼等の一番の武器であり、それを音源以上にテンションで放出しまくった日にはもう即死物であった。20分程のアクトで実に10曲以上をノンストップで繰り出し、柏ハードコア代表として申し分ない力を見せ付けていた。PASTAFASTAに続きこいつらのアクトもハードコアの原始的な粗暴さが咲き乱れていたのだ。矢張りハードコア激戦区である柏でkamomekamome同様に帝王として君臨する彼等の風格は揺ぎ無かった。



・akutagawa

 少しブランクをおいて次は山形出身の激情系ハードコアバンドakutagawa。先程までのファストなハードコアの空気を一変させる哀愁と郷愁の世界を見せ付けてくれた。30分のアクトで全3曲と長尺の楽曲ばかりを演奏していたが、ポストロック等の要素も取り入れ、ドラマティックな旋律と展開が生み出す感動的な音の風景をライブでも再現していたし、シャウトを殆ど使わない牧歌的な感触すら感じさせるクリーントーンのボーカルが郷愁の音をより加速させていた。ボーカルが半分屈んだ体勢で体を震わせながら全身でそのエモーションを吐き出す姿にも胸が打たれたし、akutagawa節としか言えない壮大なスケールのエモーショナル絵巻はライブでは更に純度を高めて描き出されていた。何のギミックもこのバンドには無いが、ただ真摯に自らの音を鳴らすだけで世界を塗り替えるだけのバンドである事を再確認した。ライブを見たのは初めてだったが音源以上の純度に涙が零れそうになった位だ。山形という片田舎で培ったピュアネスを美しい旋律と轟音で奏でる彼等は本当に感動的だった。



・LITE

 次は国内マスロック最強バンドであるLITE。彼等のライブを見るのは実に一年半振りだったし、大傑作「For all the innocence 」にやられた人間として今日のアクトは非常に楽しみであった。最早お馴染みの「Ef」で始まった時はまだギアがイマイチ入ってなかったが、2曲目からは完全にLITEの音源完全再現の精密機械の様な緻密さがMAXになっていて、その音の切れ味は相当な物であった。打ち込みとバンドサウンドの相性も抜群であり、音源を忠実に再現しながらも、それに加えてダンサブルなビートと切れ味鋭いツインギターが肉体的な快楽の信号として発信させられていた。打ち込みやシンセを導入し、マスロックに肉体に有効なダンスサウンドを取り入れたLITEの音に多くの人が体を揺らしていた。色彩豊かな音と、変拍子とダンサブルなビートとギターの鋭いリフと緻密なアンサンブルが結びついた先のLITEは本当に違う次元のバンドであると実感させられた。国内マスロックの帝王として君臨しているかはを体で再認識したアクトだ。



・BALLOONS

 そして主催者であるBALLOONS。killieの後件肯定参加バンドであるが、その音に触れるのは実は初めて。音楽的にはとんでもなく高い演奏力で奏でるポストロック・マスロックサウンドでクリーントーンを基調にしたサウンドは本当にクール。個人的にはkillieの伊藤氏がかつて在籍していた3cmtourにも通じる物を感じたりもしたが、より鋭利な緊張感を感じたし、クールでありながらも、何処か生き急ぐ性急さも感じた。複雑に絡み合う楽器隊の音が捻れを生み出し、それが暴発は決してせずにひんやりとしたままとぐろを巻く様は脳髄が本当に犯される感覚になった。初めて見たがその音には惚れ惚れとしたし、企画バンドとしての貫禄は十分に見せ付けてもらった。



・crypt city

 BALLOONSの後にカフェで一時間程休憩してからのcrypt city。ex.NUMBER GIRL、ex.SPIRAL CHORDの中尾憲太郎率いるバンドだ。その高い評判は色々な所で聞いていたので期待していたが、その期待以上のアクトであった。メンバーの半分が外国人という事もあり、そのグルーブは規格外だし、ポストパンクとNo Waveとオルタナティブを遠心濃縮したダンスサウンド、効果的な打ち込みサウンドと共に圧倒的な轟音と爆音のグルーブは圧巻!中尾氏お得意のルート弾き倒しぼゴリゴリのラインと、BIG BLACKを独自解釈したかの様な機械的でありながらも人力のダンサブルなビートとパワフルな音の熱量も凄まじく、そこにスポーキンかつクールな狂気に満ちたリバーブかかったボーカルが乗るというサウンドスタイルは邪悪さと共に開放された音であり、その人力ポストパンクのダンサブルな音は宇宙へと繋がっており、多くの人を狂騒のトランス世界へと導いていた。その評判以上の音にこれから発表されるであろうアルバムへの期待も高まった。これからに益々期待したい!



・thread yarn

 そして3ピースでどこまでもストレートなポストハードコアを奏でるthread yarnへ。変拍子を駆使しながらドライブするビートで、全フレーズが瞬殺必死の鋭角ギターリフのみで全てをブチ殺す彼等はライブでこそその真価を発揮する。絶唱に告ぐ絶唱のツインボーカルと共に爆音で自らのオルタナティブサウンドを叩きつける彼等のライブはただでさえ必殺の音がより高いテンションで常に爆発しているし、音源以上に性急な演奏とアンサンブルは下手したら崩壊寸前であるが、その崩壊寸前に緊張感と、全てを燃え上がらせるテンションの熱量がただ体中を熱くしてくれた。これから音源になるであろう新曲でもその鋭角さはより進化しており、2年前に彼等のアクトを体感した時よりも格段の進化を遂げていた。特にラストの「Resume」は音源よりもBPMがかなり早くなっており、完全にカオティックなギターリフ天国へ!僅か1分をフルストッルで暴走する音は無敵だった。Drive Like Jehu直系のサウンドを進化させ続ける彼等はよりネクストレベルのバンドになっていた。



・Z

 「自分達がやらなければいけない事は理屈抜きにやるべきだ。」という魚頭氏のMCから魚頭激情第1部のZへ!何度もその異次元のアクトを体感していたが、メンバーチェンジしてからは見るのは初めて。今回は5曲中4曲が目下最新作である「新今日」以降に製作された新曲であり、よりシンプルかつヘビィになりながらも、ハードコアの先の異質のハードコアは益々制御不能になっていた。魚頭氏のギターリフは益々明確に殺傷力の高いリフを徹底して拘った機材とセッティングでより別次元の音として全ての空気を一変させるだけの力をもっているし、根本氏のサックスも格段に精神世界の混沌を加速させるフリーキーかつノイジーな物になっていた。特に根本氏のボーカルも益々個人的感情暴発な物になっており、狂気と妄想でおかしくなった頭で言葉にならない叫びと妄想に脳髄がやられて狂ってしまっている様でもあった。1stである「御壁」以降シンプルになりながらも益々多様化し、どこにも属さない純度1000%の完全自由な音を奏でているが、それは今回演奏された新曲でもライブアクトでも健在で、それどころか益々開放された音になっていた。ラストは唯一「新今日」から「蛇鉄」TOOLを独自解釈したかの様なドープかつダンサブルなグルーブにUNITは完全に昇天してしまった。異形のハードコアを鳴らすZの音は今回のアクトでも発揮されており、やはり彼等は最果てのバンドであった。



・killie

 そしてトリ前はenvy同様に国内激情の最高峰として君臨するkillie。恐らく多くの人がかなり楽しみにしていたアクトだっただろうが、結論から言うと言葉になんかとてもじゃないけど出来ない訳の分からなくなるアクトであった。伊藤氏と吉武氏の犯行声明的なMCから始まった1曲目はなんと「キリストは復活する」!!印象的な静謐なアルペジオのイントロが鳴った瞬間にフロアからは大きな歓声が上がる程であり、1曲目からクライマックスへとワープしてしまっていた。静謐なパートから轟音が渦巻く激情パートへと入り込んだ瞬間にフロアは瞬く間にモッシュの嵐!完全にマスロックの域に到達してしまっている複雑極まりないアンサンブルも伊藤氏の叫びも全てはその激情を表現する為に手段でしかなく、ライブではそれが全身全霊の激情として全てを叩き潰していくのだ。ドラマティックな構成の「キリストは復活する」はとんでもない次元の物になっており、モッシュの中で多くの人がそのスケールの感動していた筈だ。そして「性欲の果てに土を掘り返す」に雪崩れ込みモッシュは益々加速していく。もうkillieは細かい演奏のミスとかチューニングが狂ってるとかは本気でどうでも良い事であり、複雑な楽曲を演奏しながらも、音源とは違い完全なるロックとハードコアとして最強の物としてのライブを見せつけ、それがフロアの熱量も高め、たった2本の足元の蛍光灯のみが映し出すkillieの5人は神秘的ですらあった。続く「契約解除」も吉武氏の弾き倒すベースの音が響いた瞬間にクライマックスとなり、繰り返されるキメの数々にブチ殺されたし、その後は個人的にkillie最強の1曲である「先入観を考える」!!!!!!!!!!!そしてラストは1分半の激情すら超えた完全なる衝動「落書きされた放置死体」その2曲でフロアはライブでは無く完全なる惨劇の現場となっていた。感極まった伊藤氏の「お前ら最高の客だ!!」のMCに応え惨劇を増幅させるフロアの人々は正にkillieの共犯者であったし、僕もその瞬間のカタルシスにただひたすらその肉体で応えていた。ラストでは伊藤氏がフロアにダイブし、吉武氏に至ってはベースをまるでサーフボードの様にしてフロアにダイブ。その一瞬の静寂も制御不能の混沌も自らの音として鳴らすkillieは最強であったし、間違いなく今回のベストアクトであり一番の盛り上がりを見せていた。



・AS MEIAS

 そしてトリはkillieの惨劇から一転の魚頭激情第2部のAS MEIASへ。killieとは一転し、風通しの良さとテクニカルなフレーズが生み出す郷愁のエモーショナルサウンドに多くの人々が胸を打たれていた。魚頭氏がMCで色々な想いを語っていたし、今回のイベント限りで終わりにしたく無いという事や、バンドを続けていく意味や、完全に無料のフェスを開きたいという事を語っていた事からも魚頭氏の今回のイベントに対する情熱を強く痛感したし、それはAS MEIASのアクトにも現れていた。2ndからの楽曲中心のセトリだったがテクニカルな楽曲を純粋に完全再現する馬力とバンドとしての技量に先ず圧倒されたし、それに加えてよりダイレクトに伝わる郷愁の音のメロウさとアンサンブルの屈強さは彼等だからこそ生み出せる物であるし、その懐の大きい音の強さをライブではより明確になっていた。アンコールでは1stの名曲である「Sloughy」を演奏し、その音はどこまでも力強く羽ばたいていた。



 多くのバンドがMCでその熱い想いを語っていたが、今回のイベントはチャリティイベントとしてだけで無く、純粋に面白い事を音楽でやりたいという想いも強いイベントだったと個人的には思う。今回のイベントに集結した650人もの人々にもそれぞれの想いがあり、僕にも強い想いがあり、出演したバンドや今回のイベントに携わったスタッフにもそれぞれの想いがある。それが共犯者として今回のイベントを生み出したとなれば本当に感慨深い。そして魚頭氏のMCでの言葉通り、それを今回で終わりにしてはいけないのだ、バンドもスタッフも客も関係無しで色々な考えや想いを明確な形にしたからこそ、今回のイベントが実現された訳であるし、それがこれからも続いていけばもっと大きな力になるのだ。今回出演したバンドは勿論、そのスタッフや代官山UNITにいた650人の人々に大きなリスペクトを。



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今回物販で購入したkillieのTシャツ。物販の収益も寄付されるらしいので少しでも被災地の子供たちの役に立つ事を祈っています。
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