■Unknown Lands/The Caution Children

09年にベルギーの激情バンドであるThe Black Heart Rebellionと共に来日を果たしているアメリカの激情バンドであるThe Caution Childrenの2011年発表の2nd。日本盤はTokyo Jupiterからリリースされている。レコーディングとミキシングにPianos Become The TeethのMike Yorkを迎えた今作は、繊細でありストレートでありながらも悲痛な痛みと、その先の希望を鳴らした作品だ。それでいて奥行きあるスケールもあり、楽曲その物の旋律の強さを生かした激情系ハードコアとなっている。
第1曲の穏やかかつメランコリックなインストから今作は幕を開けるが、第2曲「Cahuachi」から一転し、悲痛な叫びとともに感情的な旋律がこれでもかと轟音として押し寄せる。静謐なキーボードのみのパートが効果的に入り、そこから全てを打ち破る轟音へと雪崩れ込む様は非常にドラマティックだ。その音はハードコアを基調にしているが、非常にクリアであり夜空に広がる無数の星屑が降り注ぐ様な情景を感じさせてくれる。時折入るクリーンなアルペジオもそうだし、例え悲痛な叫びに満ちていても何処かポジティブな力強さを感じる。音楽性はまた違うけどRaeinの旋律のクリアさと、ここ最近のEnvyのリリカルさと前向きな衝動を彼等からは感じるし、静謐さと轟音の対比が生み出す楽曲の繊細さと、加速する激情が爆発するカタルシスこそが彼等の魅力だ。第6曲「Strange One, Mysterious One」は今作の中でも一番完成度の高い楽曲であり、闇夜を切り裂く絶大なる光その物を描き、高揚感に満ちた旋律が彼方へと煌き、その先の希望を掴む1曲だ。どの楽曲にも言えるのだが、時折静謐なパートを挟みながら、美麗なる激情サウンドをあくまでもハードコアとして具現化し、類まれなる楽曲の旋律を最大限に生かす為のサウンドこそが彼等の核になっている。そしてその壮大さにも胸を打たれるし、全ての闇を切り裂く光を描くハードコアなのだ。そしてその強さは揺るぎの無い物である。
全身全霊で魂の激情を聴かせてくれた今作であるが、静謐さも激情もひっくるめて、その先の光を壮大に描く彼等の音は本当にひたむきな物であるが、全力でその感情を鳴らすからこそエモーショナルであるし、だからこそ感動的な激情であるのだ。今作は下記リンクのTokyo Jupiterのサイトから購入可能であり、300枚限定のリリースだが廃盤になっていないので感動的スケールの光の激情に是非触れて欲しい。
Tokyo Jupiter Records