■Angler/Gomnupers

通称試される大地であると同時に激烈ハードコアバンドが激戦を繰り広げる北海道は札幌の重圧殺マシーンことGomnupersの96年発表の1stアルバム。リリースは名門レーベルとして名高いSTRAIGHT UP RECORDSから。現在ではインストのスラッジで相変わらずその重圧殺っぷりを見せつけているこいつらであるが1stである今作はかなりストレートはハードコアをやっている。しかしそのへビィ極まりない音は1stである今作から健在であるし、そのギターリフ一発でブッ潰されるのは間違い無しの1枚になっている。
基本的にはファストかつストレンジな音を鳴らしている彼等であるが、その殺気に満ちた音とへビィなギターリフの引き摺るグルーブは脳天直撃物である。それでいてシャープに引き締まったバンドとしてのフォルムを持っているのも見逃せない。第1曲「Angler」からもそれは伺えるし、時折スラッジな要素のミドルテンポのパートがあったりする辺りは彼等の根底は当時から現在まで全くブレていない事を証明している。一方で第2曲「Yes I'm God」はそのへビィさで自らのファストコアを叩き付けているし、抜けの良いスネアの2ビートが何とも気持ちが良いが油断してたらあっという間に粉砕されてしまう。第4曲「7」は本当に必殺の1曲でドラムの小気味良いビートと鋭角のキメを盛り込みながらもシェイプアップされたバンドのアンサンブルはかえって自らの音圧を際立たせているし、この楽曲を聴けば彼等が重圧殺マシーンの名を欲しいままにしているかを嫌でも理解出来る筈だ。基本的には2ビートを基調にしたファストな楽曲で攻めてくるのが彼等のスタイルであるが、第7曲「Moment」は完全にスラッジの域に到達したパートとファストなパートを絶妙に盛り込んでいる楽曲であるし、引き摺るスロウさであろうと性急なファストさであろうとこのギターリフは全てを薙ぎ倒す殺戮平兵器である事に変わりは無いのだ。そしてラストである第9曲「Fight」はAgnostic Frontのカバーであるが、この15秒で駆け抜けるファストさと全力のスラッジハンマーの高速回転で全てを粉砕するパワーが融合した結果の破壊力のおぞましさは相当の物だ。
徹底して自らの音の殺傷力を鍛え上げたからこそ生まれた殺傷力に満ちたハードコアこそが彼等の持ち味であり、そのストレートでありストレンジなスタイルから放出されるギターリフの重みこそが彼等の武器であるのだ。現在では完全にスラッジコアになってしまったが、それでもその核はこの当時から全く変わっていないし、それが変わらない限りは彼等は重圧殺マシーンであり続けるのだ。