■ヒキワケ/Gomnupers
![]() | ヒキワケ (2000/09/30) GOMNUPERS 商品詳細を見る |
北海道の重圧殺マシーンことGomnupersの00年発表の2ndアルバム。1stではファストながらにもヘビィなリフが轟くハードコアを聴かせていたが、今作ではそのヘビィさはそのままによりファストかつカオティックなハードコアになっている。その変則的かつファストな音を鳴らしながらもヘビィさは失っておらず益々攻撃的な音に仕上がっている。リリースは名門STRAIGHT UP RECORDSから。
楽曲の尺も短くなっており、よりファストコアに傾倒した音になっている、それに加えてカオティックハードコアの要素も強くなっており、変拍子を多用する様にもなった。しかし第2曲「シナプス」を聴けば分かると思うが持ち前のヘビィで強烈な音圧のリフは健在であるし、それをよりブチ切れたテンションで鳴らす様になり一点集中の音になっている。ドラムのビートもグラインドコア色の強くなっているしDiscordance Axisにも近い物を感じる。また大きな変化としてベースラインの変化であり、躍動感に満ちたうねりを炸裂させ、縦横無尽に這い回る大蛇の様なラインがそのカオティックさを加速させているのだ。その中でも第5曲「悪臭」はスラッジコアの毒素を持ったリフが引き摺るグルーブを生み出しているが、逆に彼等の持ち前のヘビィなハードコアをアピールするには十分過ぎるし、時折見せるファストコアなパートがより混沌へとダイブしていく。他の楽曲もヘビィなリフで攻めるパートとファストなカオティックなパートを使い分け、性急さと、ダークなグルーブが交互に入れ替わり、それがより制御不能の音になっている。テンションは常にフルストッルだし、ハードコアバンドとしての肉体へと訴えるパワーは絶対に忘れない。そして最終曲である「ペースト」は今作の中でも完全に異色の楽曲になっており、ファストコア要素皆無な厳かさすら感じさせるスラッジコアになっているのだ。緻密さも感じさせながらも、今作で最もヘビィな楽曲になっているし、止まりそうなBPMで一発一発のリフの残響音すら聴かせてくるし、それは後の3rdの完全にスラッジコアへと変貌した音に繋がっている。
1stでのストレートなハードコア路線から転調と変拍子が渦巻くカオティック路線へと変貌を遂げ、プログレッシブなグルーブで攻め立てる今作であるが、それでも核になっているのは一貫してヘビィで強烈な音圧のギターリフだ。その一撃必殺のリフがあってこその今作でもあるし、それがあるからこそGomnupersは重圧殺マシーンの名を欲しいままにしているのである。