■Diamond Eyes/Deftones
![]() | Diamond Eyes (2010/05/12) Deftones 商品詳細を見る |
俺達のDeftonesが帰ってきた!声高らかにそう叫びたい名盤だ。交通事故によりベースのChi Chengが昏睡状態のままであったDeftonesだがSergio Vegaがベースを弾く事によってレコーディングされた2010年発表の6枚目のアルバムはバンド最大のピンチを乗り越えたDeftonesの最前線帰還を告げる作品でもあり、同時にバンドのキャリアの中でも屈指の傑作に仕上がっている。彼等の原点回帰でもあり、更なる進化を告げる作品だ。
彼等の名を上げた傑作2ndである「Around the Fur」の頃のサウンドに回帰した作品であり、ストレートなヘビィネスサウンドが展開されている。ギターのStephenは8弦ギターを使用し超重量級の歪んだギターワークを展開。楽曲も3分台の曲が並び非常にコンパクトかつ必要な音のみで構築されている。しかし単なる原点回帰では無く、今まで培った物を最大に生かし衝動だけじゃなく楽曲の深遠さも増している。陰鬱なヘビィネスサウンドとChinoの耽美なボーカルの融和は正にDeftones節と言えるし、自らの持ち味を最大に生かしへビィであり美しく深遠で情緒豊かなサウンドを聴かせる。第1曲「Diamond Eyes」からこれらの何処を切ってもDeftonesなサウンドが展開されているし、「Around the Fur」の楽曲以上に歎美さとへビィさも増しているし、確かな進化しか感じない。第2曲「Royal」、第3曲「CMND/CTRL」の様にヘビィなリフとミドルテンポのグルーブが渦巻く楽曲でも持ち前の旋律の残響と精神世界へと切り込む繊細さを感じさせる辺りは流石だ。タイトなヘビィネスの中で伸びやかなChinoのボーカルと旋律が印象的な第4曲「You've Seen The Butcher」も見逃せない。3rdである「White Pony」から自らのヘビィネスの可能性を試す実験的作品を発表していたが、今作はDeftonesで最もキャッチーな作品であるし、本当にヘビィなサウンドと耽美でダークで深遠な旋律のみで勝負している。そしてそれらの要素だけでも彼等は無敵のヘビィネスバンドなのだ。第7曲「Rocket Skates」変拍子を駆使したギターワークは超激熱だし、Chinoのシャウトには胸が高鳴る。メロウさが際立ったバラードである第8曲「Sextape」からの終盤のメロウさが前面に出ている楽曲郡も染みるし、どの楽曲もとんでもない完成度だ。
ヘビィさも激情もダークさの先の救いもある今作はDeftonesの第二の黄金期を告げる傑作になっているし、モダンヘビィネスもムーブメントが終焉した現在でもDeftonesは多くの人を虜にするバンドである事を再認識させられた。唯一無二のモダンヘビィネスを鳴らし続ける彼等はムーブメントとか関係無い確かなバンドであるし、今作でそれを証明している。後はChiが再び目覚め再びDeftonesでベースを弾く時が来るのを待つだけだ。一日も早いChiの復活をファンとして祈っている。